安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。

2004年3月1日月曜日
 予定を過ぎ…と言うか予想通り、レコーディングは3月に突入してしまいました。しかし、実はレコーディング完成してる曲も多々有りまして、後は料理で言えば最後の塩加減ってところまで来てます。ところがこの“最後の塩加減”が大切なのであります。もしもここでいい加減な事をやってしまうと、すべてオジャンになってしまうので、私も真剣です。
 予定ですと、3月中には『イデア・サウンド・スタジオ』に場所を移し、いよいよミックス・ダウンに突入するつもりです。今現在15〜6曲の曲が完成間近で、余裕が有ればその他に1〜2分の小曲も創るつもりでいます。

2004年3月4日木曜日
 今日はよすおさんはお休み。久々にタッキーと2人だけでコンビを組んでのレコーディングです。

 「もしも今、会ったなら」の歌を入れ直そうと思います。実は昨日、口の中(喉の手前)を切ってしまい、扁桃腺付近が腫れてて痛いんです。ですが、声帯とはその個所が離れてるので大丈夫と思い、歌入れを強行する事にしました。
 声自体の調子は悪くありません。でも、いつもの様にウォーミング・アップに30分ほど掛けました。
 私の場合、喉のウォーミング・アップ(車のアイドリングみたいなものでしょうか?)には色々なパターンが有りますが、今回は先ず、高い声を使うところをいきなり歌い、喉を温めました。これはキーがあまり高すぎると、かえって喉を痛める可能性も有るので注意が必要ですが、巧く様子を見ながらやりますと、結構早く喉が出来上がります。
 今回のドリンクはブラック・コーヒーだけで良さそうです。きっと人それぞれで、歌う時の飲み物は違ってくるだろうとは思いますが、私の場合はブラック・コーヒー、それにホットはちみつレモンが多いです。特にホットはちみつレモンは喉の調子が一気に上がりますし、調子の悪い時もかなり効果が出ます。因みに、私が絶対にドリンクとして選ばない物は、冷たい飲み物、ウーロン茶、紅茶、緑茶ですが、水は稀に飲む事も有ります。特にお茶類を飲むと、喉が嗄れてしまう事が多いです。何故でしょうか?
 今日は結局、リード・ヴォーカルと2ndヴォーカルを録りました。ホントは調子も上がってきた事ですし、このまま一気にコーラスも仕上げてしまいたいところですが、お腹が減って来てしまったので、ここで終りにします。お腹が減ってる時に歌うと、私の場合、喉を痛めてしまう事が有るんです……これ、本当です。しかし、リード、2nd共に良い仕上がりです。ダブルで歌うところもバッチリです。タッキーは「凄い!」と言って笑ってます。
 実は歌を歌う時には、喉のウォーミング・アップの他に、耳のウォーミング・アップも必要なんです。耳のウォーミング・アップと言っても、特別何かをするわけではないのですが、耳が音に慣れてきますと、かなりシビアなところまで聞える様になります。ですから、レコーディング開始直後ですと、音の細かい所まで聴けない事が有ります。これは耳と言うよりは、実は集中力の問題なのでしょうか?

2004年3月5日金曜日
 本当は「もしも今、会ったなら」のコーラスの続きを演りたいのですが、午前中は声が出ないので、先ずは「高校生になったら」にメロトロンを入れます。メロトロンの音はストリングスで、全部で3パート録りました。

 メロトロンの後は、逆回転の効果音を入れていきます。マルチ・テープを逆さに掛け替えて録音し、それをまた元に戻しますと、逆回転の効果音は創り出せます。しかし、当然その時は逆回転になってるものをモニターして演奏するので、かなり演り難いです。逆回転でしっかりした演奏をする場合、一度普通の状態で演奏したものを2トラックのテープ・レコーダーにダビングし、それを逆に掛け替え、マルチに叩くと言うのが一番正確に出来ますが、今回は効果音的に入れたいので、この方法でなくても出来ました。結局、ピアノ、エレキ・ギター、ハンド・ベル、スレー・ベル、それにシンバルと言った楽器を録りました。これでサイケデリックな雰囲気に拍車をかなり掛ける事が出来ました。

 その後は「もしも今、会ったなら」のギターをダビングし、いよいよその曲のコーラスの続きを演ります。集中力もグッと上がって来たので、レコーディングもスムースです。最後にラフ・ミックスを作り、今週はこれで終了です。

2004年3月9日火曜日
 今日は「高校生になったら」でよすおさんが弾いたギターの一部を録り直します。ですが、これがたったの2小節だけなのですが、ドツボに嵌まってしまいました。

 この2小節を録るのに結構な時間を要し、その後の夕方は夕食の準備をして、シャワーを浴び、それから「ただそれだけさ」のコーラスの直しを演りました。普通、シャワーとかは仕事が終わってから浴びますよね。ですが、何故か今日はパターンが逆になってしまいました。しかしその所為か、コーラスの直しはとってもさわやかな気分で演れ、最後によすおさんとチェックして終了。それから直ちに用意してた鍋を火に掛け、マルチ・テープをマスター巻きにし、“お疲れの乾杯”をしました。マスター巻きが終わったら、MTRのヘッドをエタノールで拭いて、テープを箱に収め、またビール・グラスの前に戻ります。大好きなフォルクローレのCDなどを掛けながら、鍋を突きました。

2004年3月10日水曜日
 「雲の上から」のベースを録り直しました。今迄のものはプレイ自体は良かったのですが、よぉ〜く聴くとちょっとだけピッチが高いのです。かと言っても、0.5hzも高いわけではないのであります。つまりこれ位なら普通で行きますと気にならない所なのですが、ベースの倍音は歌のピッチ感に影響を与えてしまうので、かなりシビアに演らなくてはなりません。で、どうせ録り直すならと、音もかなり丁寧に(いつも丁寧なんですよ)創り、プレーズも1ヶ所だけ変えました。
 続いて、同じ曲の歌を数ヶ所直しました。最後によすおさんと2人で最終チェックをし、「チェックするチームだから、“チェックス”だぁ!」だなんて、しょうもない事を言いながら、ここで一旦休憩です。

 気になるラーメン屋さんがあったので、そこへ行きましたが、14時を回ってたので休憩時間になってしまってました。気を取り直してよそで食事をし、その後気分転換の為のウォーキング、立寄り風呂へ行き、その後レコーディング再開。レコーディング中は運動不足になりがちです。ですから、食事や気分転換を上手く取らないと、身体も気もめいって来てしまいます。特に、“打ち込み無しのオール生演奏”のレコーディングでは、レコーディング中はずうっと集中しっぱなしで、気も張りっぱなしですので…。

 「人生は楽しまなきゃダメさ」のコーラスです。この曲はコーラスをオケのメインにしようと思いますので、かなり時間が掛かりそうです。ですから、今日は前半を演り、残りは明日演ろうと思います。

2004年3月11日木曜日
 「人生は楽しまなきゃダメさ」の続きですが、その前にイントロと曲の最後の歪んだギターを録り直します。理由はちょっと音の重心が高いから…。たったそれだけの事ですが、あとでEQとかでいじくるよりかは、オケとの相性は断然良くなります。

 そしていよいよ昨日のコーラスの続きです。この辺りで、今迄入ってたメロトロンのストリングスが要らなくなって来ました。と、そう思ったらすかさずイレース(消去)してしまうのが私の主義です。スパッとバイアス(イレース)を掛けてしまいました。

 休憩時間を返上して、エレピを録る事にしました。使用する楽器はローズ・スーツケースです。実は先に一本入ってるのですが、これに同じ様に足してみましたら、サウンドに厚みが出ました。

 さて、再びコーラスに戻ります。
 私達の場合は、コーラス・アレンジをレコーディングしながら決めて行きますので、例えば、同じメロディーが2度出て来たとしても、毎回同じ和音の積み方になるとは限りません。しかし、これの難点は「レコーディングが終わるとグッと疲れる」と言う事です。レコーディングが終わった後、頭痛がする事が有ります。当然、その後の夕食時にビールなどで乾杯しますと、その一杯でかなり酔う事が出来ます。
 レコーディングのアクシデントは困ったもんですが、今日はカメムシがマイクに止まるなんて事が有りました(部屋の中にヤマカガシが出た事も有るここでは、カメムシくらいでは驚いてはいられませんが…)。これを不用意に潰そうとしたりすると大変な事態になりかねません。私達がカメムシに遭遇した時、先ず最初に登場するのがガム・テープです。これでカメムシをくっつけて、そのまま潰さないように折り畳んでしまいます。これでカメムシ対策は万全です。さて、カメムシなら良いのですが、なんと言っても機材のトラブルが一番困りますね。ヴィンテージ機材の多い、ここFAB ROCKS REC. HOUSEでは、いつも結構ドキドキしながらレコーディングしています。近頃の様に気温の変化の多い時季は結構要注意です。

2004年3月12日金曜日
 今日も「人生は楽しまなきゃダメさ」のコーラスの続きです。実はこの曲、曲がエンディングした後でア・カペラの小曲が付く事になりました。タイトルは「それも想い出に」です。実際には声だけで30トラック以上使いましたが、それをピンポンでまとめながらのレコーディングでした。昨今、巷ではコンピューターやデジタル処理でかなりキッチリ仕上げる事が多い様ですが、勿論私達のレコーディングは“アナログチック”に、デジタルやコンピューターを使わずに創り上げました。
 ア・カペラのレコーディングには、実際にかなりの時間を要し、終った時は精根尽きた感じで、グッタリと来てしまいました。曲の出来上がりを聴けば感動するものの、もしも「もう一度演れ」などと言われたら、きっと目まいがする事でしょう。

 レコーディングでグッタリと疲れると、かえって興奮状態となり、頭の中が覚醒された感じになります。ですから私の場合、レコーディング期間中は、疲れてるのに眠れないと言う事が多いのです。でももしも、こんな時に曲を書いたら……、これが結構色々なアイディアが浮かぶモンなんです。私は以前からジャズ・ロック風なインスト小曲を書きたいと思ってました。普段の様にピアノやギターを弾きながら歌って創るのではなく、テーマを二つ三つ創り、それを広げて行きながら曲を仕上げて行こうかと思っているのですが、そのテーマが早速浮かんで来てしまいました。このままドンドン続けると一曲出来上がってしまいそうですが、このままの勢いで創ってしまうのではなく、せっかくだから今回は相棒のよすおさんにも何かテーマを考えて来て貰おうかと言う事になりました。これで、私とよすおさん初の共作が出来そうです。題して「おれたちゃぁミラクルシャドウ!」って、こんなタイトルでホントに良いのでしょうか?出来れば2分以内の曲に仕上げたいのですが、果してどうなるでしょうか?

2004年3月15日月曜日
 実はMTRの調子がまた悪くなりました。すかさず“ミスター・ねえ”の青ちゃんに連絡し、「え〜〜ん、困っちゃったよぉ〜ん(涙)」と泣きの電話を入れます。可愛い乙女(?)の涙に心を動かされた青ちゃんが、早速私達の為にメーカーに連絡を取ってくれると、メーカーさんは、やっぱり「今週行けませんm(__)m」との事。症状を詳しく話し、“考えられる原因”を出して貰う事になりました。その後、メールが送られて来て、それには詳しくどこをどう調整すれば良いかと言う図面が添付されてました。結局、自分達でそれにトライする事になりそうです。なんだか緊張感が漂います。
 さて、いよいよMTRを開けてみるのですが、普段こう言う事はタッキーかよすおさんの役目なんです……が、今回はよすおさんが「この間の修理を見てなかった」って言うし、タッキーはいないし……、結局、以前修理してるところを見てた私がやる事になりました(ただ、ちょっと覗いただけなのにぃ〜)。と言うわけで、早速、よすおさんが六角レンチを道具箱から出してきてくれました。実は、六角レンチのサイズには、“インチ規格”の物と“センチ規格”の物が有り、今回は“センチ規格”のレンチを使います。メーター・ブリッジの上にある3つのネジを外し、手前にメーター・ブリッジを倒しますと、そこにはMTR内部の走行系の部品がドカ〜ンと有ります(当たり前!無かったらただのでっかい箱です)。その中の2本のネジを締め直す……ただそれだけなのですが、「だいたいそのネジはどこ?」って感じです。「あっ、あったぁ。これだぁ、これ。確かに2本あるぞ。それにしても小さいネジだなぁ〜。んっ?1本緩んでるぞ」ってな感じで、一応修理(?)完了。ホントにこれで良かったのかなあ?

 今日はもう遅いので「大切な人・パートIII」のリード・ヴォーカルとダブル分のヴォーカルを録り直しただけでレコーディングは終りです(こちらは歌い方にも満足!)。気になるMTRの調子の方は、明日様子を見ながらまた使ってみましょう。

2004年3月16日火曜日
 「大切な人・パートII」なんですが、今回のクールで歌詞を変えてレコーディングしてみるつもりです。この歌詞はよすおさんに書いて貰おうと思ってたのですが、何しろ時間が無いので、私が書き上げる事にしました。

 その前に「おやじジャム」にクラビネットを入れたいと思います。今回、クラビネットは初登場です。クラビネットとは、旧西ドイツのホーナー社が開発した、いわゆる「エレクトリック・ハープシコード」とでも言いましょうか。私のはそれにプラスして、エレクトリック・ピアノも入ったやつで、「クラビネット−ピアネット・デュオ」と言うやつです。クラビネットと言えば、スティービー・ワンダー、ジョージ・デュークなどなど、黒人アーティスト達が巧く使ってる事が目立つ様に、入れるとそれだけでファンキーなイメージが生まれます。

 「大切な人・パートII」の歌録りです。リード・ヴォーカルにそのダブリングの分を録りましたが、なんせキーが高い!歌い終わって頭が痛くなるほどでした。しかし、良い感じにテイクを残せて満足、満足(^^)V。ついでにですが、「気になる僕の未来の行く末」のコーラス、1ヶ所だけなのですが、ダブルにしてしまいました。私は、「ダブル」とか「ダブリング」と言う言葉をよく使いますが、同じパートを2回重ねて録る事を言います。コーラスの場合、例えば3声のコーラスをダブルにする場合、もう3声全く同じものを重ねて録り、合計3声×2=6人分の声と言う事になります。リード・ヴォーカルをダブルで録った場合、ミックス時にそれをイーブンで出せばかなりエフェクティヴな音になりますし、それを少しだけ混ぜたりするのもなかなか良い感じで私は好きです。特に、ダブルはデジタル・エフェクターを使わずに演ると、手間が掛かった分、暖かみが出ると思いますし、その場所によってどれだけキッチリ、又はルーズに合わせるかで効果の出方も変るので、それがとても面白いです。

 それから、気になるMTRの調子ですが、今のところ問題は無し!え〜い、やったぁ〜!……って、こう言う時にぬか喜びするとロクな事が無いので、今回は「ばんざ〜い……無しよぉ」(よっ、欽ちゃん!)。

2004年3月17日水曜日
 今日は先ず、ドラムをセッティングします。ドラム・セットはラディックのツー・タムの方を使います。シンバルは3枚で、ライド・シンバルはいつもと違って新しめのやつをチョイスしました。ドラムをセッティングし、マイクロフォンを立て、私は台所ヘ向かいます。何をするかって?……ご飯の準備です。その間、よすおさんにシールド類を繋いで貰い、私は土鍋でご飯を炊き、同時にカレーを煮込み、ついでに夜ご飯の鍋の出汁取りをします。よすおさんの方の準備が出来上がると同時に、ご飯の準備も出来ました。私が盛りつけをしてる間に、よすおさんが食後のコーヒーを入れる準備を済ませます。2人の息は恐ろしいほどにピッタリ合ってます(決して私達は“変な関係”では有りません。そこんとこヨロシクゥ!)。

 食事が終り早速レコーディングに掛かります。先ずはよすおさんにドラムを叩いてもらい、簡単に調整します。マイクの置いた位置も一発OKですんなり決まり、今度は私が叩き試し録りしてみます。それを聴き、テープへの入力レベルを更に調整し、いよいよレコーディング開始。曲は「大切な人」です。今迄録ってあったドラムをテープの24トラックへピンポンしてトラックに空きを創り、その24トラックをガイドにして新しいドラムを録音します。空きトラックは全部で4つ。私達の場合、4つ有れば充分です。今回はいつもとまたちょっと違ったマイクの立て方をしました(毎回、使うマイクやイクイップメント、マイクの立て位置は違います)。「!!」、お〜、“中期のジェネシス”の音じゃぁ〜!こう言うのもなかなか新鮮です。

 さて、今度はそのセッティングを少しだけ変え、それにプラス、ベース・アンプをセッティングしました。
 ここで一旦休憩……と言うか、作戦会議です。私とよすおさんの初の共作、「俺達、ミラクルシャドウ!」をまとめます。先週、私が考えたイントロとテーマ、それにサビ(インスト)に、よすおさんが更にアイデアを創って来てくれました。持って来たのを聴かせて貰います。私は、「ン〜、悪くないんだけど、コレじゃあちょっとなぁ〜」、ホントにそれ自体は悪くないのです。ですが、テーマから同じ様なテンションのものを持って来られても、それじゃあ単に曲が長くなるだけで、曲がダレてしまうのです。でももう一度、よすおさんの名誉の為に言いますが、フレーズは決して悪いわけではないんですよ。
 よすおさん、「実はもう1個考えて来たんだけど……」と申し訳なさそうに言い出しました。すると、これがなかなか面白い!しかも3拍子!さっきボツにしたフレーズを3拍子に直し、その後にくっつけるとこれもまあ良い感じです。なぁ〜んだ、やるじゃんか、よすおさんもぉ!
 さて、ここから巧く曲としてまとめて行きます。先ず、よすおさんに今迄の全部を譜面にまとめてもらい、よすおさんのガット・ギターの演奏で、簡単に演ってみます。ストップ・ウォッチがたしかあったはずですが、見当たらないので、冷蔵庫にくっ付けてあったクッキング・タイマーでラフに時間を計ってみました。……最後の大サビに行くまでに2分も有ります。「これじゃあちょっと長い!」と言うので、よすおさんが「さっきの3拍子に直したとこ、無くてもいーよねぇ」と言うので、そこをカット。ところが、やっぱりもう一味どうしても欲しい……、と言うわけで、今度はちょっとした歌を入れてみました。よすおさんが「おい、インストにするんじゃなかったのかよぉ〜!」と言いましたが、歌を入れる事で大サビも生き、曲の長さも感じなくなり、しかも上手く行けば3分位で収まる感じです。歌詞もちょっとだけ笑える歌詞が付き(しかも、自分達の切実な気持ちも入ってると思います)、これこそ「俺達、ミラクルシャドウ!」って感じになりそうです。

 と言うわけで、いよいよ「俺達、ミラクルシャドウ!」のレコーディング開始!
 先ずはドラムとベースをいっぺんに録りました。私の集中力が上がらないせいで、何度か演り直し、よすおさんには御迷惑をお掛けいたしましたm(_ _)m。で、ちょっと粗い演奏ですが、勢いがとても良いので、これでOKテイクです。
 その後、よすおさんがギブソンSGを弾きました。大サビはサイド・ギターを弾いたのですが、この勢いがサイコーに良いのです(勿論、一発OK!)。サイド・ギターでこれほど勢いが良いと、演奏の粗さがかえってカッコイイ方向へとどんどん進んで行ってくれる様です。そうなると、今度はもう一度、録音機材を換えてベースを録ってみたくなりました。幸い、まだトラックは沢山残ってます。「試しに演ってみましょう」って事で、よすおさんにもう一度ベースを弾いて貰いました。すると、これがまた良いのです。今日のよすおさんは凄いです。
 続いては、私が大サビの所にメロを入れます。ギターとアンプはよすおさんが弾いた時のままですが、ファズをエレクトリック・ハーモニクス社の“ビッグ・マフ”に換えました。これもなかなかプログレな音(?)って感じです。

 「今日のところはこの辺で止めようか?」と言うわけで、残りは明日です。ン〜、楽しみだぁ。

2004年3月18日木曜日
 実は昨日の夜、ご飯を食べてる時に、面白い小曲を考えてしまいました。私の場合、普通、何かしら楽器を使って曲を書くのですが、なんとなく鼻歌で考えた30秒〜40秒程の長さの小曲です。特に譜面に書き留めて置いたわけでもないのですが、朝になってもちゃんと憶えていたので、今日演ろうかと思います。

 朝8時半に起き、今日は朝早くから頑張ろうと思ったのですが、連日の疲れからか身体が動かず、気が付くともう昼の12時半を回ってます。なんとか頑張ってレコーディングを始めたいと思うのですが……。

 さて、昨日のギターの続きを演りたいと思います。今日はよすおさんにSGを弾いてもらい、ギターのハモのフレーズなどを弾いて貰いました。因に私のSGって、本当は“レス・ポール”ってモデル名なんです。形はSGそのものなんですが、この年代の物はSGとは呼ばないのだそうです。
 使ってるギターがそうだからなのか、元々の曲がそうだったのか、それは分かりませんが、ギターを入れたら、なんだかブラック・サバスの様な感じになってしまいました。でも、カッコイイです!
 続いては、イントロのところに、ハイ・ハットを入れ直し、ベースもそこだけ(ドラムスが入るところまでを)ラインで録り直しました。
 それから、3拍子になるところに、マンドリーナ、ロンロコ、ガット・ギター、タンバリンなどを入れ、残りは夜に歌を録り、その日は終了。続きは明日、それで完成です。

 さて、この曲を録るのと平行して、昨日考えた曲の方も録り始めました。この曲は時間にして1分も無い短いインスト曲で、しかも2拍子なんです。私は中学時代、ブラスバンド部に所属してたので、その時の曲なんかを思い出しながら創って行きたい(……と言っても、思い出せないっ!)……と思います。
 先ずは、ドラムスで1トラックだけ使い、ギターと同時に録音です(ギターは勿論よすおさん、ドラムスが私)。ドラムスのマイクは勿論1本だけです。ベースはその後録って、それから大太鼓(バス・ドラムのミュートを取った物をマレットで叩く)をダビングし、最後に私がカズーを吹いて、今日のところはここでおしまいです。まだ、たったの5トラックしか使ってませんが、結構雰囲気出てます。あっと、言い忘れてました。この曲の気になるタイトルですが、「ミラクルシャドウ大行進!」って言うのはどうでしょうか。何だか私達、段々変な方向へ行ってる様な……。

2004年3月19日金曜日
 今日は9時半に起きましたが、私もよすおさんも疲れがピークに達してる感じで、イマイチ身体がシャキっとしません。昨日の夕飯時に飲んだ酒が抜けきってない様です。そんなに沢山飲んだわけではないのですが、ここのところビール1〜2本でも直ぐにフラフラになってしまいます。ですから、身体をリフレッシュさせる為にも、起きてすぐにウォーキングに出掛けました。

 「ウォーキング〜朝飯兼用の昼食」と言うコースを経て、最初は「大切な人」のコーラスの残りを演ってしまう事にしました。4声のコーラスをダブルで取りたいのですが、使えるトラックは6つです。そのうちのコーラス専用に分け与えられたトラックは4つです(残りの2つには、途中にギターが入ってます)。先ず、コーラス専用でない2つのトラックにユニゾンで2声入れ、それをコーラスのトラックにピンポンしてまとめます。これを合計4回繰り返し、ダブルの4声コーラスが創れました。但し、ステレオで振り分ける場合、それぞれユニゾンのパートを同じトラックに入れてある為、各音のパートごとに振り分けるしかありません。ですが、そう言うステレオ感もまた違った広がり方をしてて良いもんです。

 「俺達、ミラクルシャドウ」の続きです。
 先ずは最後の大サビにコーラスを入れます。これもダブルの3声ですので、6トラック使いましたが、直ぐに3声×2つのトラックにピンポンしてしまいました。
 続いてはいよいよメロトロンの登場です。今回はストリングス、コーラス、フルート、3つの音色を使います。フルートは3拍子のところで蒸気オルガンの様な雰囲気を出してくれてます。コーラスとストリングスはメロトロンの王道的な使い方で、プログレ・ファンも喜びそうな感じを出しております。

2004年3月23日火曜日
 今日のレコーディングは私とよすおさん、それからタッキーとの3人体勢で挑みます。

 先ずは長さが1分以内の小曲、「ミラクルシャドウ大行進!」です。
 今日は、かなりハイ・ピッチなレコーディングをするつもりです。最初はバンジョーからですが、それからコンサンチーナと言うボタン式アコーディオンの様な楽器、マーチング・シンバル、2種類のティン・ホイッスル、バンジョレレ、クラップ(手拍子)を数回、普通のホイッスル……と言ったパートを立て続けて録りました。ホイッスルは以前百円ショップで買っておいた物を使いましたが、やはり安物の所為かかなり情けない音です。ま、「それがかえって良い」とかと言うので、一応それでOKにしておきましたが…。今回面白かったのは、マーチング・シンバルです。これはハイ・ハット・シンバルにヒモを付けて、それらしく叩いてみました。

 最後はいよいよ今回初登場、ハモンド・オルガンです。「永遠の踊り子」にハモンドを入れようとしましたが、レスリー・スピーカーのスピードの切り替えが出来ません。タッキーとよすおさんでコネクターをチェックしましたら、やはりグラウンドの線が切れてました。丁度お腹も空いたので、食事の準備に入り、タッキーにはその間に半田付けをお願いしました。
 半田付けと食事が終り、早速チェックし、見事復活しました。その後レコーディングに直ぐ入り、無事ハモンド・オルガンを入れる事が出来ました。セッティングをそのままにしたままで、今日はお開き。タッキーは真夜中に東京へ帰って行きました。タッキー、お疲れさん。

2004年3月24日水曜日
 昨日のハモンドとレスリー・スピーカーのセッティングのまま、今日は「人生は楽しまなきゃダメさ」にハモンド・オルガンを入れました。それから、コーラスを少しだけ歌い直し、他の曲もチェックします。

 最後はラフ・ミックスを創り、後は自宅で何度か聴きながら最終チェックします。次回はいよいよレコーディング最終章です。そして、それからいよいよ待望のミックス・ダウンに入ります。これまでに録り終った曲は以下の通りです。

曲名 解説
俺達、ミラクルシャドウ! ミラクルシャドウのテーマ・ソングです。ジャズ・ロック風に創ったつもりが、ブラック・サバスの様なハード・ロックになっちまいました。途中、リズム・チェンジが有り、南米チックにもなりますが、最後はドラマチックにメロトロンの洪水です。
ミラクルシャドウ大行進 2拍子のインスト小曲で長さは1分有りません。バンジョー。バンジョレレ、コンサンチーナ、ティン・ホイッスルなどの楽器でアンサンブルを構成しました。ベースはスーザフォンの様にも聞えます。
人生は楽しまなきゃダメさ/それもいい想い出 ドゥ・ワップ調のR&Bですが、途中リズムをチェンジさせます。「それもいい想い出」はア・カペラのナンバーで、コーラスだけで20音声以上は入ってると思います。歌もソウルフルに歌ってます。
大切な人 (Part I〜IV) ギターを使ってホルンやトランペットの様な音を創ってみました。曲はドラマチックな展開をみせ、パート1〜4までの組曲風です。パート4は歌詞が「万葉集」の頃の言葉を使い、とてもオリエンタルな感じです。
おやじジャム クラビネットを使ったファンキーなロック・インスト小曲です。ギター・ソロが1970年代風で、とてもシンプルな曲です。
気になる僕の未来の行く末 ハード・ロックですが、途中とてもドラマチックな展開になります。1970年代風のギター・ソロもそうですが、途中の展開で登場するチャランゴやケーナなど、中南米の民族楽器やメロトロンが印象的だと思います。
君がいるから/くよくよしないぞ 「君がいるから」はウエスト・コースト調のミッド・バラードでとてもメロウなナンバーです。SEとして波の音も入ってますが、それは私がハワイの海岸で録って来たものです。その海のサウンドが「くよくよしないぞ」でいきなりフォルクローレになります。ボリビアで活動してる、プロのフォルクローレのミュージシャンに聴かせましたら、「独特で面白い!」と言われました。
もしも今、会ったなら とても軽快なポップ・ナンバーです。ポップなスライド・ギターなども登場しますが、サウンド的にはアメリカンと言うよりは、むしろブリティッシュ寄りなんでしょうか。
憶えてるかい? とても構成がスムースなポップ・ナンバーです。音色的にはトッド・ラングレンとかの影響も観られますが、サビは“ちょっとだけフィル・スペクター風”に仕上げるつもりです。ですが、やはり“渚”を感じるサウンドです。
雲の上から カレッジ・フォークを思い出すメロウなナンバーです。キャッチーなサビは、バンジョーやペダル・スチール・ギターが登場しますが、それ以外のところはメロトロンなどを使い、ちょっとウエットな感じです。
高校生になったら 実は、これは私が中学生の時に書いた曲をアレンジしたナンバーで、歌中でマイナー・コードが一度も出て来ません。更にタブラやE.シタール、逆回転物などが登場する、とてもサイケデリックなハード・ロックです。
約束しましょう ハワイアンな4ビート(?)って感じでしょうか。歌&ウクレレとベースを先ずは一発録りし、あとからオーバー・ダビングしたのですが、最後はバンジョレレが登場し、ちょっとだけデキシーな感じになります。これも短い曲です。
荒野に用心/永遠の踊り子 「荒野に用心」はインディアン・フルートのイントロで、その後「永遠の踊り子」へと繋がって行きます。歌が出て来るところはハード・ロックなのですが、それを挟んで出て来るケーナのインスト部分が聴き所でしょうか。私はこの曲のクラップを聴くと、フラメンコを演ってる小さな小屋を連想してしまいます。何故でしょうか?
ただそれだけさ コーラスが重視されてるソフト・ロック調のナンバーです。タムの音が、ティンパニーの様で結構行けてます。サビはキャッチーですが、どこか悲しげ。
サヨナラ僕の想い出 バラード・ナンバーですが、ピアノのコンプレッサーが強めに効いていて気持良いです。途中のギター・ソロとギターのオブリ、メロトロンのチェロとフルート、それからコーラスなんかも結構行けてると思います。
青い東京タワー(テレビ塔の空) 1stにも収録した曲ですが、こちらはニュー・バージョン。ティン・ホイッスルの裏メロが良いと思います。メロトロンもかなり登場します。
朝日を見に行こうよ こちらもニュー・バージョンですが、ドラムスと二胡、それとリード・ヴォーカルは以前のトラックを使用しました。途中で中南米のハープ、アルパが出て来ます。オリジナル・ヴァージョンよりも音に厚みを持たしてあります。メロトロンも出て来ます。


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