安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。


 

2004年6月7日月曜日
 今日は凄い雨です。私は湘南方面から西湘バイパス経由で、よすおさんは都内を抜けて東名高速〜小田原厚木道路経由で135号線に入りましたが、雨と霧で前が全然見えません。おぉ〜、こわぁ〜。
 今日はよすおさんに『イデア・サウンド・スタジオ』に寄って貰い、ミックス・ダウンで使った私の機材を車に積んで来て貰いました。私の方は、よすおさんのベース・アンプやスピーカーなど、PA機材を中心に車に積み込んであって、こちらも機材満載です。
 私は熱海を過ぎた辺りでよすおさんに電話を掛けると、どうやら私の1km程後ろを走ってる様なので、私達の行きつけの伊東の干物屋さん、『山国』で待ち合わせる事にしました。お店に着くなり若旦那に「今日は一人かよぉ?」と聞かれ、「いやいや、よすおさん、もうじき来るよ」と言いますと、その言ってる最中よすおさんの車がやって来ました。
 この頃には雨も上がり、さっきの大雨がまるで嘘の様です。私達は夜の酒の肴にと、ここで御魚(おやじギャグ!)買って、スーパーでもちょっと御買い物、最後は『福々亭』でラーメンを食べ、それからやっとFAB ROCKS REC. HOUSEに向かいました。
 今日は御互いに疲れてるので、荷を降ろすのは明日と言う事にして、ちょっとだけ御部屋の片づけのフリなぞして、早速くつろぎます。……と、その前に、気になってた事を済ませてしまいましょう。実は、青ちゃんに頼まれてシュアーのマイク、545Dを手に入れたのですが、こいつのテストをしなくてはいけなかったのです。これをしてしまうまでは私も落ち着かないので、早速その準備にとりかかります。この545Dと言うマイクは、同じシュアーのマイク、SM57の前身機種だと思われます。ですから見た目はかなりSM57に似ています。音の方は、SM57の様な高音のきつさはなく、その辺りは「柔らかく伸びてる」と言う様な印象が有ります。私はこれをギター・アンプなどにも使います。もちろん歌にも良いです。古いタイプの545はまだキヤノン・ジャックではなく、変換ケーブルが必要ですが、今回のこれは既にキヤノン・ジャックになってます。多分後期の頃の545はそうなんでしょうか。実は青ちゃんは、これのデッド・ストックも持ってるんです。そっちはキヤノン・ジャックではありません。元のそのケーブルはフォーン・プラグに変換するケーブルが付いていたので、そのフォーンをキヤノンのオスに換えてやるのですが、実は半田付けする時にどう繋ぐかでインピーダンスを選べる様になってるのであります。因に私の持ってるのもそのタイプです。
 さてさて、早速テストです。「チェック、チェック、チェック・1・2、……チェックス、チェックス、セック……」……音はちゃんと出てます、問題有りません。音質も良さそうですが、ちゃんとしたマイク・テストは今度ゆっくり『イデア・サウンド・スタジオ』で演る事にして、今回は初期不良が無い事が分かればそれでOK。と言う事で無事合格。青ちゃん、良かったね。その後は545Dのクリーニングをして、マイク・チェックは終了です。

2004年6月8日水曜日
 今日はいよいよ機材を車から降ろします。。午前中は簡単に草むしりなどもしましたので、もうヘトヘト、私もよすおさんも汗でびっしょりです。しかし、これでFAB ROCKS REC. HOUSEに機材が戻り、次回からはまたまたレコーディングに突入出来そうです。……と、その前に、青ちゃんから電話、「うちでマイク・チェックしよう!」との事で、私のマイク何本か持って行く事にしました。今度のマイク・チェック大会には、元AKGのメンテナンス・エンジニアのNおじいちゃん(今やAKGマイクをちゃんと直せるのは日本ではこの人一人しかいないと思います。勿論AKGマイクの知識は随一!!)にも来て貰い、色々な角度からチェック出来るので、私も最近手に入れたマイクを含め数本のマイクを持って行くつもりです。因に持って行くマイクは、AKGD12を2本、D12E、D19C(60Ωの方)、D19E、D190ES(1本だけ)、D202E1、シュアー545、PE515、ベイヤーM610、M160(リボン・マイク)を2本、SoundstarX−1を2本、ゼンハイザー421(白、スクリプト・ロゴ)、それからレスロのリボン・マイク(勿論、ジャンクじゃない方)などなど……。青ちゃんには「そんなに持って来なくても良いのに……」と言われそうですが、せっかくですからね。
 さてそのチェック大会は今月の15日と決まりました。その様子もレポート出来ましたらするつもりです。

2004年6月15日火曜日 at イデア・サウンド・スタジオ
 今日は青ちゃんのスタジオ、『イデア・サウンド・スタジオ』にてマイク・チェックです。

 このマイク・チェックに参加したのは、私と青ちゃんの他、タッキー、イデアの若きエンジニアの手塚君と村石君、アシスタントの萩谷君、それから「AKGのマイクを完ぺきに直せるのは、今や日本にはこの人一人だけ」」と言うNさんです。

 先ずは、青ちゃんのマイクAKG414EB(シルバー)ですが、これは凄いです。なんと、世界に1本の「Nさんの改造ヴァージョン」です。と言うのは、青ちゃんが先日カプセルを購入したのですが、これが実はAKGオリジナル(CK)ではなく、なんと業者さん(アメリカ人の凄くマニアックな人)本人が手作りした物だったのです(青ちゃんがオリジナルと間違えて買っちゃった。その手引きしたのがなんと私……)。実はこのカプセルを414EBに付けるには加工が必要で、それをNさんが実に見事に加工してくれたのでした。凄い技術です。
 カプセルがAKGのオリジナルでなければ、当然音もオリジナルの414EBとは変るはずですが、今回はリファレンス用マイクにオリジナル・ヴァージョンの414EB(シルバー)と414B−ULS、それからノイマン47FETを立ててみました。
 今回のマイク・チェック、楽器なども使って行いたかったのですが、何せ数が多いので、それは次回と言う事で、今回は私の声で行いました。とりあえず、「大きくしっかりとした声でしゃべる」、「シャウトする」、「あらゆる音域でしっかりと歌う」「ファルセット」、「ファルセット(ウイスパー系)」、「小声でしゃべる」と声の出し方を分け、距離もオンとオフ(オフは何パターンか演りました)でそれぞれを録音して聴きました。プレイする私は、最後はとても疲れましたが、プレイ中はヘッド・フォンでモニターも出来たので、その分良かった気がします。
 さて、この改造ヴァージョンの414EBですが、不思議なもんで、オリジナルと比べてみると「AKGと言うよりはノイマンっぽいな」と感じますし、ノイマンの47FET(私のお気に入りです)と比ると、「あ、やっぱりAKGの音だ」と感じます。つまり、「AKGの良いところとノイマンの良いところが有る」と言う、とても暖かく、しかも切れの有る音がするのです。それからオフにした時に音像がにじまないところも非常に良いです。この改造414EB、正に五つ星の凄いマイクです。私も欲しい〜!でも、Nさん、もう造ってくれないだろうなぁ…、「物凄く手間が掛かった」って言ってたもん。

 私と青ちゃん、タッキー、村石君、「この4人でAKGのD190を全部で10数本所有してる」って言うのも結構笑えますが、それほどこのD190は良いマイクなのです。D190には大きくわけて、スイッチ無しのEとスイッチ付きのESと言う2つのヴァージョンが有りますが、実は造られた年代によって同じ品番でも中身が少し違う様です。
 EとESは、スイッチが有るか無いかだけの違いのはずですが、私達の持ってる物では明らかにEとESでは音が違うと感じられます。ESの方がEよりも低音が落ちてます。この「低音が落ちてる」と言うのは、平たく言うと、「低音が有る」と言う事ですが(ま、微妙に違うのですが…)、Eの方がESに比べると下がさっぱりしてます。何故でしょう?私達の190は全てそうなのですが、とても不思議です。やはり、スペック以外の部分って有るんですよね。ホント、奥が深い……。

 D19はD190のルーツになった機種ですが、ビートルズなどが使った事でも有名です。大まかにには、D19にはD19B、D19C、D19Eと言う3つのバージョンが有りますが、更にその3つのヴァージョンを細かく分ける事が出来ます。「D19の上級機種がD24だ」と言う事はNさんに聞いて初めて知りましたが、どう言う事かと言いますと、「D19を更に厳選した物がD24」なのだそうです。D19は分かりやすく言いますと「D24のアウトレット」の様な物で、実は個体差もかなりあるのだそうです。
 私と青ちゃんが持ってるD19は、私がD19C(テレフンケン仕様、200Ω)、D19C(シルバー、60Ω)、D19Eの3本で、青ちゃんがD19B(テレフンケン)、D19C(シルバー200Ω)の2本です。私達のD19C同士はほとんど音の違いはないのですが、D19BとD19EはまたD19Cとは別物だと思います。このD19Bは元々、昔のテープ・レコーダーに付属してた物ではないのかと思われますが、シルエットはD19Cと同じでも、ウインド・スクリーンの形状が違うのと、ロール・オフ・スイッチが効かない(一応付いてるけど)、それから重量が軽い、これは中身が違うかららしいのですが、マイクの胴体の材質も違う様です。で、青ちゃんのは、NさんにD19Cのユニットを入れて貰った物なので、音はD19Cと同じ……かと思うとこれがまた全然違うので有ります。実はD19BにはD19Cの本体に入ってる共振帯が無いので、同じユニットを入れてもD19Cと同じ音にはならないのであります。それで、このD19Bの音はどうかと言いますと、これが非常に魅力的な音なのです。ちょっとビックリです。しかも昔のマイクの良いところがしっかり有り、D19Cよりかは昔っぽい音がするのです(上手く言えませんが、ヘッド・フォンでモニターしながら歌ってますと、鼻の奥が“コツンコツン”と響く様な感じがします)。オリジナルのD19Bはどんな音がするのでしょうか?実は私も聴いた事が有りません。
 D19EはD19Cよりも胴体が長く、音もD19Cよりは中域に集まって来てる感じがします。「やっぱり」と言うか、D19EはD19Cよりはノスタルジックな香りがする私のお気に入りです。

 「D12」と言うと、やはりドラム・セットのバス・ドラムの前に立ってる姿が一番似合いますよね。しかし、ヴォーカルでも使えるのが、このマイクの「もう一つ美味しいところ」と言えるでしょう。D12をヴォーカルに使うと、中々太い声が録れます。それから、オーケストラをマルチ・マイクで収録する時なども、出番が有りそうです。
 私はD12Eを1本、普通のD12を2本(片方はゴールドの枠です)、それから青ちゃんもほとんどデッド・ストックのD12を1本、タッキーは60ΩのD12を1本持ってます。このD12Eは、キヤノン・アウト仕様になっていまして、主にアメリカなどへの輸出用だと思われます(と、私は昔誰からか聞いた事があります)。AKGのホーム・ページを見ますと、「E」と言うのは、キヤノン仕様の物に付けてた品番の様です。因にD19Eもキャノン仕様です…、が、しかし5PINですが…。
 音の方は、200Ωと60Ωでは同じヘッド・アンプを使ってでは比べるのは難しいです。因に60Ωのを無理やり200Ωのマイク・プリで音出ししますと、やはりレンジが変に変ってしまいます。ま、それもとらえ方によっては面白いかもしれませんが…。やはり60Ωのはそれ用の更に昔のマイク・プリで音を出すと良い感じです。D12Eの方は、やはり普通の物よりかは音がしまってる印象でした。これはもしかしたら「個体差」と言うやつで、私のだけなのでしょうか?私がキックを録る場合、輪郭を出したいのであればD12Eを、低音の音圧を出したいのなら普通のD12をと、使い分けてます。更にキックのアタックを強調するのであれば、同じAKG系でしたら「D112」と言うD12の後継機種を使う事になります。但し、D12とD112では音の質感がガラッと変りますが…。

 私達が所有してる「リボン・マイク」と言うと、RCAの77DX、44BX(青ちゃん)、COLESの4038(青ちゃん)、それからRESLOなどの物が有りますが、べイヤーのリボン・マイク、M160もなかなか良いマイクです。このマイクの特徴は、ある意味とてもフラットでソフトな印象が有り、高音の伸び方はコンデンサーのマイクともまたちょっと違っていて、そのサッパリ感がなんとも言えません。更にダイナミック・マイクとも音の質感が異なる為、1本有るととても助かるマイクです。今回、村石君はこのマイクがいたく気に入った様で、「こりゃヤバイなぁ……ブツブツブツ…」と小声でつぶやいてました。

 今回のメインの一つ(今回、私と青ちゃんで1本ずつ購入しました。実は今回が初チェックです)、ベイヤーのサウンド・スターX−1ですが、見た目はゼンハイザーのクジラにそっくりです。きっと音の方も……、と期待しつつ、リファレンス・マイクには白クジラのスクリプト・ロゴのファースト・ロットの物を立てました。この白クジラ、「私の歌はほとんどこれ」と言っても良いほど、私の声には合ってます。
 サウンド・スターは私のが1968年製、青ちゃんのが1970年製で、私と青ちゃんのシリアルは意外とそんなに離れてない様です。しかし、私のはケースのロゴが「BEYER」なのに対し、青ちゃんのは「BEYERDYNAMICS」と書いてあります。………ま、音さえ良ければどうでも良い話ですが…。
 さて、白クジラの方は、やはりとても暖かみの有る良い音をしてます。このマイク、下の方が実に滑らかに削れていて、「暖かみを残しつつも、余計な低音が無い」と言う、とても都合良い特性が有ります。これは経年変化によるものなのでしょうか?しかし、タッキーや青ちゃんが持ってるスクリプト・ロゴの白クジラもその傾向が有り、あながちそれだけではなさそうです。
 さぁ〜て、サウンド・スターは…。やっぱり421に似てます。但し、スクリプト・ロゴの白クジラに比べると、低域が有ります。歌を録る場合は少し邪魔になるかもしれませんが、ま、これは私の声の場合ですから、案外女性の歌だと良かったりするかもしれません。ただ、楽器の場合はこれが功を奏する場合が有りそうです。キックなどには良いかもしれません。言い忘れましたが、実は私はまだスクリプト・ロゴの白クジラを楽器に使った事がないんです。楽器の場合は(勿論、何かによりますが)、クジラですと白の421Nか普通の黒いクジラを使う事の方が断然多いんです。このサウンド・スターはスクリプト・ロゴの白クジラの暖かさが有り、歌以外にも打楽器は勿論、他の楽器にも向いてそうです(後日談:青ちゃんが別プロジェクトで、早速サウンド・スターを使ってキックを録り、「うん、凄く良かったよ」って言ってました)。

 今回はこの辺でいい時間になってしまい、この続きは6月21日に演る事になりました。

 持って行ったマイクの写真です。左から、AKG D202E1、BEYER SOUNDSTAR X1、SENNHEISER 421、SHURE PE515、SHURE 545、RESLO RBT、BEYERDYNAMIC M160、BEYERDYNAMIC M160、AKG D19OES、AKG D19E、TELEFUNKEN D19C、AKG D19C、BEYER M610、AKG D12E、AKG D12、AKG D12。

2004年6月21日月曜日 at イデア・サウンド・スタジオ
 先週に続いて、今日も『イデア・サウンド・スタジオ』でマイク・チェックです。

 今日のマイク・チェック、先頭バッターはレスロのリボン・マイクです。レスロのリボン・マイクはイングランド製で、「ビートルズがデビュー前に『キャバーン・クラブ』でヴォーカル・マイクとして使ってた」と言う物ですが、私はビートルズがスタジオで使ってた写真も見た事が有ります。どうやら「イギリスのBBC放送で使われてた」と言う事らしいのですが、もしかしたらそれかな?ですが、私は定かな事は分かりません……。
 先ずは、マイク・チェックの前に、私のレスロ・リボン・マイクと青ちゃんのレスロ・リボン・マイクのマイク・コードを造ります。レスロのジャックはキヤノンでもDINでもTUCHELでもなく、独特の物です。おそらくレスロのオリジナルでしょうか?半田付けもキヤノンなどに比べると遥かに大変そうです。その半田付けはタッキー様に御願いしました(タッキー、い〜つもぉあ〜りがとよぉっ!)。
 私のレスロは「RBT」と言うヤツで、2本持ってるのですが、実は1本はジャンクです。青ちゃんのは「RBH」と言うタイプです。レスロは、そのタイプによってシールドの繋ぎ方が違い、それを間違えると音が出なかったり、まともな音がしないでモコモコと篭った音になってしまう事があるのです。実は、私が初めてレスロを知ったのは今から10年程前で、某アーティストのレコーディング・プロデュースをしてた時、そのアーティストがマニアックな御友達からレスロを借りて来たのが最初なのです。その時借りて来たレスロがまさにその「モコモコ状態」で、その時はただ単に「ダメなマイクだなぁ……」と言う事だったのですが、今から考えると、それもシールドを間違えて配線してたのだと思います。
 さてこのシールドの半田付けは何度もチェックを繰り返し、やっとちゃんとした適切な配線方法が判明し、私のと青ちゃんのレスロはマイク・チェックが出来る状態になりました。
 私のと青ちゃんのは微妙にサウンドが異なってますが、どちらも期待通りの素晴らしいサウンドでした。青ちゃん曰く、「あえて使い方を分けるなら、しんちゃんのを楽器、僕のを歌ってのもアリだね」との事です。なるほど…。青ちゃんのは私のやつよりも若干中音の押しの強さが有り、私のはそれに比べると、高音の抜けが有るって感じでしょうか。それからシールドは、私のオリジナルと青ちゃんのノイマンのシールドをチェックしましたが、どちらもそれぞれキャラクターがあって良かったです。
 いずれにせよ、レスロで私のヴォーカルを録るのでしたら、「ハードに発声してる時のヴォーカルが良いかな」とも思いました。「あとはヴォックス&リッケンかグレッチなどのギターも面白そう!」と、レスロに対する期待感は高いです。ま、これは演ってみない事には分かりませんが…。言い忘れましたが、このマイク、音源からちょっと離したところにセットしても音像がにじんだりしないので、意外や歌やギター以外にも用途は広がりそうです。
 先週のベイヤーM160と言い、リボン・マイクはやっぱり美味しいです。タッキーは「俺、リボン・マイクにはまっちゃおうかなぁ……」と、かなり本気度が高いのですが、もう一人、村石君もすっかりはまってそうです。

 続いてはノイマン47FETです。私はベース・アンプには必ずこれを使いますが、それ以外にも、歌、タンバリン……etc.と、とても使い勝手の良いマイクです。そう言えば考えてみれば、私の持ってるノイマンはこのマイクだけでした。
 青ちゃんのノイマン47FETはシルバーのやつで(ミラクルシャドウの『奇跡の影』のヴォーカルの大半は、青ちゃんからこれを借りて録りました)、私のはブラックでキヤノン仕様です。キヤノン仕様のノイマン47FETは正確には品番の後ろに「i」と付きます。これはU87などもそうです。
 今回はノイマン47FETをSSLのヘッド・アンプに繋いで試しましたが、やはりこのマイク、高級感が有って、しかも良いマイクです。ただ、私はいつもはこれのヘッド・アンプにテレフンケンのV76を使ってるので、今回の音はいつもより若干さっぱりした感じがしました(青ちゃんもいつもV76なんだって。同じだぁ!)。因に、私のマイクよりも青ちゃんのマイクの方が音の重心が低い位置にあり、それに対し私のはもう少しだけ高いところに音の重心があります(と言っても、47FETは他のコンデンサー・マイクと比べても、音の重心はかなり低い方だと思いますが…)。

 続いてはタッキーの真空管マイク、ノイマンUM57です。これはマイクロテック・ゲッフェルUM92Sと同じ形をしてますが、どうやら中身もかなり近いと言う話です。
 実は、これらは先週聴き比べたのですが、UM57の方の状態がイマイチ良くなかったのでした。後日、「もしかしたら」と、タッキーが中を開けてみると、部品の幾つかが本来の物ではなく、代用部品を使っていたのだそうです。早速マメなタッキーはその部品を取り換えたのですが、すると少し印象が変ったみたいです。ですが結局、「本来のUM57の音はこまだんなもんではなかろう」と言う事で、次回は電源部をチェックし、更にカプセルを一度“ゴッド・ハンドN”さんに診てもらう事になりそうです。マイクロテック・ゲッフェルUM92Sは良いマイクなので、「このUM57が万全の状態になったら」と思うと、かなり期待出来るのではないでしょうか。

 最後はRCA77DXです。私のはメタリック(シルバー/ゴールド)で、青ちゃんのはつや消しの黒です。どうやら黒いのは、「TV局で使う時に照明が反射しない様にそうなってる」と言う事なんだそうです。
 2つの音を比べますと、青ちゃんのやつの方が若干レベルは大きいみたいですが、状態はどちらも良い様です。このマイクはマイク・プリを青ちゃんが持ってるRCAのを使うと、本来の77DXの音になります。SSLとかですと「意外と普通のリボン・マイク」って感じです。私はゲイツの3638と言う1950年代のマイク・プリを使ってますが、やっぱりテレフンケンなどを使うよりかはアメリカの音、しかもノスタルジックな音になります。

 そう言えば、青ちゃんが先日別プロジェクトで、コールズ4038と言うリボン・マイクを使ってドラムを録ったのだそうですが、「良かったよぉ〜。今度使おうねぇ」とニコニコしながら言ってました。コールズも昔BBCで良く使われてたマイクなのだそうですが、昔アビー・ロードのベテラン・エンジニアに聞いたら「知らにゃいにゃぁ〜」と(勿論英語で)言ってました(おかしいなぁ…、ビートルズはアビー・ロードで使ってるんだけどなぁ)。今度はそのコールズのリボン・マイクについてもレポート致します(実はチェックは随分前に終わってるんですが…)。


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