安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。


 

2004年8月10日火曜日
 今日はレコーディングではなく、リハーサルです。実はバナナスでアコースティック・ライヴを演ろうかと計画してるのです。どこで、いつ演るかは全くの未定なのですが、私とよすおさんとで「レパートリーをどんどん増やしていこう計画」を練ってる最中なのであります。出来れば、年内、涼しい時季でのライヴを考えております。私とよすおさんのハモもバッチリ決めるつもりなので、特に今回はそこら辺を重点的に練習するつもりです。
 よすおさんの歌の場合、声も音程も悪くないのですが(曲によってはリードも取れます)、ちょっと声量が足りないので、ここら辺をアップさせる必要が有ります。実は、音程や音域、声質と言うのは、レベル・アップするにはかなりの努力と鍛練が必要ですが、声量だけと言う事ならば、ある種コツをつかんでしまえばどうにかなるものです。と言うのは、大体の声量の足りない人と言うのは、今の声量がその本人の目一杯ではなく、実は自分の本来の声量の何分の一位しか声を出せてない場合が多いからです。もう既に100%出し切ってるモノを100%以上にするのは、それこそかなり無理が有りますが、この場合ですと大体はなんとかなります。例えば、運動場の端にいる人に「お〜い!」と声を掛けて、それが相手に届く人であれば皆大丈夫。よすおさんももちろん「大丈夫な人」ですが、何故か歌うと声が小さい時があるのです。複式呼吸うんぬんなどの難しい事はその後に回し、先ずは今すぐ出来るところから取り掛かりたいと思います。
 さて、それでは声量はどの位アップすれば良いか……、それは「それがちゃんとハモって聴こえるところまで」と言う事になります。つまりは「音程とリズムだけしか合わせないのではダメで、ちゃんと音量のバランスも取る」と言う事になるのです。例えば、ハモる時に「声を出したらハイ終り」と言うのではなく、ちゃんと相手の声と“自分の出した声”を聴きとどけなくてはいけません。これはピッチやリズムを合わせるのにも必要な事です。ちゃんとコーラスの出来る人と、そうでない人の違いは先ずはここに有ります。ハモを担当する人は、リード・ヴォーカルに対して、全面的に合わせなくてはなりませんので、自分達のハモがちゃんとハモってるか、それを歌いながらにして確認するのもハモる人の重要な役割なのです。「よすおさん、今のハモどうだった?」と私が聞いた時、「えっ?わかんないなぁ」と言うのじゃダメです。上手くハモってたかどうか、よすおさんが歌いながらにして判断出来れば、よすおさんの歌い方も自然と変化するはずです。
 今日はその様な事をテーマにして、何度か演り、その結果、かなり良い感じに仕上がって来ました。後はこれを習慣づける事です。
 ハモは何度か演っていくうちに段々良くなってくる手ごたえが有りましたが、次は楽器のアンサンブルです。実は今回は基本的には私とよすおさんだけで演奏しなくてはなりません。せめてもう一人いれば幅は広がるのでありますが、2人きりですと結構演れる事が限られ来ます。ですが、諦めないのが私達。色々と趣向を凝らしながら頑張るつもりです。そんな中で活躍してくれそうなのがチャランギター。チャランゴとギターのダブル・ネックです。ダブル・ネック物が有ると演奏中に楽器を持ち替える事が出来、アンサンブルの幅も広がります。曲の途中で楽器を持ち替えると言うのであれば、ケーナやティン・ホイッスルなどの笛物を使うのも手です。よすおさんの弾くギターも時にはカッティングにベース・パートなども折り込み、アンサンブルに幅を持たせてます。よすおさんは元々はベーシストですが、ギターもとても上手く、更にここのところのレコーディングでまた腕を上げております。
 今回は『ウクレレ・ブラザース』と言うコーナーも演るつもりです。FAB ROCKS REC. HOUSEの台所で、私がソプラノ・ウクレレ、よすおさんがバリトン・ウクレレを持って「約束しましょう」(バナナスのオリジナル)を演りましたが、中々ゴキゲンでした。今後はウクレレだけではなく、ハワイのパーカッションなども使って何か出来たら良いなとも思ってます。

2004年8月25日水曜日
 久々のレコーディングになりました。今回のメンバーは私とよすおさん、それにエンジニアの青ちゃんも一日参加。更に今日は元レコード・メーカーC社のプロデューサー、O氏もFAB ROCKS REC. HOUSEに遊びに来てくれる事になってます(今日のレコーディングは夕方までで、それ以降は飲み会でぇ〜す)。
 17時に最寄りの駅にO氏を迎えに行くので、それまでによすおさんにアコースティック・ギターでも弾いてもらい、ちゃっちゃとレコーディングしてしまおうかと思いましたが、時間はあまり有りません。と言うのは、私、よすおさん、青ちゃんの3人、大寝坊してしまったからなのです。ホントを言うと、私はいつもどおりに一度は早起きしたのですが、青ちゃんに「1時から…」と布団の中から言われ、そのまま二度寝してしまったのでありました。再び起きると、なんと既に時計の針は昼の2時を回ってしまってるではありませんかぁ…。慌てて起きてからは、一応ご飯を食べ、悠長にコーヒーを飲み、セッティング開始。音創りの方は青ちゃんに任せ、録り始めましたが、一応1テイク録ったところでO氏を駅に御迎えに行かなくてはならい時間になってしまい、仕方ないので、セッティングをそのままにして、明日また演り直す事にしました。

2004年8月26日木曜日
 O氏と青ちゃんは既に東京へ戻り、メンバーは再び私とよすおさんの2人に…。さて申し遅れましたが、今日はなんの曲をレコーディングするかと言うと、これは昔、スリー・リズムと仮歌だけ録ってそのままになってる、仮題「夕日を見に行こうよ」です。仮題からも想像できるかとは思いますが、「朝日を見に行こうよ」と同タイプのミッド・バラードです。昔録ったテイクは、ドラムス以外は全部録り直すつもりですので、今回はほとんど新録の様なもんです。
 先ずは、昨日セッティングだけは済んでるアコースティック・ギターから録ります。青ちゃんに良い感じに音創りしてもらってありましたが、更に昔っぽい質感にしたかったので、レコーダーに行く直前にゲイツのコンプを繋ぎました。
 このギター・プレイ、今回よすおさんはかなり苦労してます。私のマーチン000−28を使ってプレイしてるのですが、どうやら弦が硬すぎるのか、上手くプレイ出来ないのです。弾いた後、よすおさんは左手の親指を痛がって押さえています。それでもなんとかテイクを残したのですが、私としてはなんだかまだ納得がいきません。ま、久々のレコーディングで私達のテンションも上がってないのでしょう。こんな時は無理をしないのが私達バナナスの信条(?)。「続きは明日」と言う事にしました。たしか昨日もこんな感じだった様な……。

 それから今日は、思い出した様にレコーダーのヘッドの磁気を取り除きました。こう言う事は先にやっておかなくてはと反省しました。

2004年8月27日金曜日
 昨日のマーチン000−28での録音、私としてはあまり気に入らないので、別トラックに、今度はギブソンJ−160Eを使ってよすおさんに同じプレイをして貰いました。アルペジオのところがコーラス効果が出てこれはこれで有りって感じになりました。ストロークになるところは同じプレイをしてもつまらないので、そこは少しプレイを変えて貰いましたが、いかんせん同じ人間がストロークするよりは違う乗りでプレイした方が面白いかと、そこだけはあえて(同じギターとセッティングで)私がプレイしました。

 最後はウーリッツァー・エレキ・ピアノを入れます。ところが、それまでは気にならなかったギターのピッチ感が、エレピを入れた途端にとても悪くなってしまったのです。どうやら最初にアコースティック・ギターを録ったのは、ちょっと拙かったかもしれません。テープの1トラックに入れてあるチューニング用のGトーン信号(普段はAを入れるのですが、この曲はキーがGなので、あえてGトーンで入れました)と合わせたつもりだったのですが、私達の耳も久しぶりと言う事でそうとう鈍ってしまってる様です。
 とりあえずギターのピッチに合わせてエレピを曲の全般に入れましたが、最後にプレイ・バックするとやっぱりところどころギターとのピッチ感が変な感じがします。「しょうがない、全部録り直し!!」。私のウーリッツァーはA=439.5hz位です。それをテープのGトーンに合わせてA=440hzにし、気を取り直して再プレイしました。プレイ自体は今回の方が良い出来になりましたが、今回の様な場合は、先ずアコースティック・ギターを録る前に、仮コードでも良いので先にエレピを入れて置くべきだったと反省してしまいました。……初歩的なミスです。

 今回のレコーディングはなんともトンチンカンなレコーディングになってしまいました。
 エレピの後は、私のコード・ストロークを入れましたが、よすおさんのパートは後日と言う事に…。結局、3日間で録ったのは、エレピとアコギが半分だけって事です。気合いを入れ直さないといけません。


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