JOURNAL 2004.octobre.
〜東京幻想旅行記〜



☆2004年10月1日(金)曇☆

初台DOORSにて、ちえみ・ジョーンズ・ライブ。
久しぶりの生ちえジョン。彼女の透明で爽やかな
歌声に、日常の中で心に刺さったこまごまとした棘が
消え去ってゆく。いつか、きっと、彼女の地元沖縄で、
沖縄の風に吹かれながら、その歌声を聴いてみたいと思う。





☆2004年10月2日(土)曇☆

国分寺の自宅から五日市街道を経て、
国立市、けやき台団地の中の美しい欅並木のトンネルを
くぐりぬけて立川まで2時間の散歩。
けやき台団地は1960年代に建設された首都圏でも
最も古いの団地のひとつだ。
その名のとおり、欅の森に囲まれている。
幼稚園の頃、千葉県船橋市の高根台団地というところに住んでいた。
当時の親友、シゲル君の一家が、
彼の(そして僕の)小学校入学の年に
このけやき台団地に引っ越していった。
シゲル君のお母さんがウチに来て、
『おばさんたち、国立に引っ越すよ・・・』と言ったあの日、
僕は泣きたい気持ちになったけれど、
すこし怒ったような顔をして、『いいよ』と素っ気無い返事をした。
彼の家族と僕の家族とのその後の長い歴史に思いをはせながら、
今日、この団地の風景を見つめた。





☆2004年10月9日(土)豪雨☆

テレビ神奈川でパンソリの旅芸人を描いた映画
『風の丘を越えて〜西便制〜』(1993)を観る。
イム・グオンテク監督。出演者、キム・ミョンゴン、オ・ジョンヘ等。





☆2004年10月10日(日)小雨☆

国立・地球屋にて国分寺エクスペリエンスライブ。
東京のロックの本場はここだ・・・と思った。





☆2004年10月11日(月)曇り☆

村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を20年ぶりに読み、
福生の街に散歩に出かけた。
現在も紛れも無く基地の町なのだが、
それらしい雰囲気はあまりなかった。
GIと思しき白人青年が若い妻とベビーカーに乗った
赤ん坊とともにスターバックスでコーヒーを
飲んでいる風景は、なんとも凡庸で、
日本の、この東京郊外の町の日常に
見事なまでに溶け込んでいた。





☆2004年10月13日(水)曇り☆

ラヂオキッチン、ほんやら洞で飲む。
幸福なひととき。





☆2004年10月16日(土)曇り☆

勤務先の会社のパーティーの後、
西荻ホビット村2階の自然食レストラン・バルタザールで
行われた、画家アキノ・イサム新作展の
オープニング・ライブに寄る。
中山ラビさんと花&フェノミナンの夢の共演。
スーツで行ったので、花フェノのメンバーたちに珍しがられる。
帰りに国分寺ラヂオキッチンにてマレーシアンカレーと
チャイの遅い夕食。





☆2004年10月19日(火)雨☆

夜間高校の新米の若い女性教師を主人公にした
テレビドラマ『めだか』を観た。
ある日、昼間部の優等生が夜間部生徒に
カツアゲされたと嘘をつく。
濡れ衣を着せられた、普段から素行が悪いと
されているその生徒に対し、事件化を恐れた
学校側が、罪を認め、学校当局が用意した金を
“被害者”の生徒側に“返却”して謝罪すれば
退学は見逃してやる、という条件を提示する。
これに対して、主人公の女性教師と夜間部のクラスメイトたちが
団結して、容疑をかけられた生徒のアリバイを証明する。
久しぶりに、こんなに真正面から正義をとりあげたドラマを見た。
正義があまりにもないがしろにされ痩せ衰えた今日、
このテーマは新鮮だ。





☆2004年10月23日(土)曇り☆

上野、東京都美術館で開催されている第31回創画展にて
土方朋子入選作『ラヴ・レター』を観る。





☆2004年10月24日(日)曇り☆

雑司が谷鬼子母神にて唐組のテント芝居
『眠りオルゴール』を観る。





☆2004年10月30日(土)雨☆

昼過ぎから国分寺労政会館で行われた
立川・反戦ビラ入れ裁判の無罪判決を求める集会に出席。
夕方、雨の中、国分寺市内をデモ。
見知らぬ年配の男性とひとつの傘で歩く。
シュプレヒコールを彼はつぶやくように繰り返す。
それは祈りの言葉。僕も彼とともにつぶやいた。

デモのあとラヂオキッチンにてホット・バーボン
とカレーライスの夕食で温まり、その足で
谷保・かけこみ亭にて花&フェノミナンのワンマンライブ。
熱い一日は深夜まで続いた。