第2章 最初から驚きの連続!?

 

11時46分、予定通り新幹線は京都に到着した。

我が神子の乗っていた車両は神子達ばかりだったので、皆わらわらと電車を降りる。

「京都だ〜♪」

我が神子と我らは京へと降り立った。このわずか1年半ぐらいの間に何度この地に来たことか…

改札口を出て、みなはまっすぐ集合場所である京都駅八条口バスプールへと向かう。

今日は八条口はほかの団体とかも集合していて、人々で溢れ返っていた。

バスもさまざまな会社のものがところ狭しと停まっては、人を乗せてまた走り去って行く。

 

我らは外への出入り口のガラス扉を開けて、見慣れた自動販売機の並んでいる八条口バスプールへと出た。そう! この販売機こそ何を隠そう、前回のツアーでいわくつきのま○茶を買った販売機である。

すでにそこはたくさんの神子たちで溢れていた…

今回のツアーはバス7台の大所帯。1台にだいたい40人ちょっとの神子たちが乗るので、総計で約300人近くの神子たちが参加していることになる。

それだけの女人が一つところに集まっているのだから、見ていて壮観だ。

通りがかる人々は年齢層がまちまちのこれだけの女人の集団を見て、何のツアーだと思うだろうか?(笑)

 

扉を開けて出た途端

「涙さん!」

と声を掛けられてそちらを見ると神子どらがやって来た。

よくこれだけの人の中で見つけられたな。すごいぞ、神子!

神子どらとは春のSCC以来だ。二人は再会を喜び合った。

そして、また後でと別れると今度は神子ちるとお会いした。

神子ちるは我らにもちゃんとご挨拶してくれたぞ♪ ありがとう、神子vv

神子ちるは我が神子に「ガラスの器とは?」第三弾の栞をくださった。

どんな絵柄だったかって? それは我らの口からは言えぬ。

それはまた後日サイトで公開するそうだ♪

そして我が神子と神子ミズキは先着順でいただけることになっているあんず味の心のかけら型ゼリーもしっかり神子ちるから受け取っていた。

我が神子の方も神子ちるのために特別に用意した我らのポスカセットと名刺をお渡しした。もちろん合言葉と引き替えに(笑)我らの雨の日バージョンのポスカも♪

そして、神子ちるの同行者の神子かずらともご挨拶した。神子かずらとは前のフェスタ以来だ。神子ちると神子かずらも我らと同じバスに乗る予定なのだ。

そして、や・つ・は・し〜♪ 本当に楽しみだな〜vv(*^.^*)

 

添乗員の男女一人ずつ、計二人の人物が出席を確認し始めたので、我が神子も女人の添乗員の列に並ぶ。神子SAKが終わって、次に並んでいた我が神子が自分の名を告げようとしたら、「ちょっと待ってください。」と止められて、横にいた別の神子の方を先に聞き始めた。

「ええーっ、どうして〜!?」

我が神子はちょっと不満そうだった。理由はわからぬが、仕方ないではないか。まったく神子は落ち着きがなくて困る。

「は〜い…」

ちょっと待たされてから添乗員はやっと我が神子の方を向いた。

「1号車 ○番 神凪(仮名・笑)」

短く必要な要件のみを伝える。我らではあるまいに愛想のない…

まあ、ちゃんと通じたから処理が早くすんだ分合理的か…

多くの神子たちは予約確認書を出して、それを見てから調べていたからかなり時間がかかっていたからな。

 

「まだバス来ないね。遅れてるのかな?」

我が神子が言った。

「えっ? だってまだ出発時間じゃないよ?」

神子ミズキがそんな我が神子に言った。

「ええっ、そうなの〜!?」

我が神子はごそごそといただいていた“旅のしおり”を出して確認する。

「本当だ〜!! ははっ」

どうやら我が神子は出発時間を15分も早く取り違えていたようだ。ぼけぼけしすぎだ、神子…

 

やがて時間になると

「1号車の方はついて来てくださ〜い」

と係員が声を上げた。人が多くて思うように1号車の旗を持つ添乗員の方に行くことが出来なかったのだが、何とか人ごみをかきわけて、かろうじて1号車らしき人たちの列を見つけて、その後ろの方にあわててついて行った。

次々に号車を呼ぶ上、人が本当に多いので、中には混乱している神子もいたようだ。

「2号車はあちらへ行きましたよ。こちらは3号車です。」

なんて言われて「ええ!?」とびっくりして、駆けて行く神子もいた。

 

途中、3号車の団体が旗の後ろをぞろぞろと歩いて行くのと行きあった。

神子みかんたち、壊れ隊の8人の集団がこのバスに乗ることになっている。

列の中に彼女らを見つけて、我が神子が手を振ったら、神子KYON吉が気がついて手を振り返してくれた。神子夕芽も見かけたが、気がつかなかったのか、ボーッと歩いて行ってしまった。神子夕芽らしいと我が神子が言っていた。し…失礼ではないか、神子。

「いいの、そういうところがまたかわいいんだから♪」

そ…そういうものか!?

まあ、いい。みんな、また後でお会いしよう!

 

ゴロゴロゴロ…カートを引きずって行くことしばし…

我が神子の乗る1号車のバスはかなり離れたところに停まっていた。

バスはツアーではおなじみの八坂観光のバスだ。

ステップを上がり、クーラーボックスの側面に貼ってある座席表を確認して、席に着く。1日目は運転席側の前から4列目の席だ。

前回のツアーの時は楽々棚に荷物を載せることが出来たので、今回も我が神子は荷物を棚に上げようとしたのだが、今回のカートはちょっと大き過ぎてそこには入らなかった。

「まだ預けられるみたいだよ。」

そう神子ミズキに言われて急いで出入り口の方へ荷物を持って行く。

「あの、これをお願いしたいのですが…」

バスガイドに我が神子がそう言うと、バスガイドは荷物をトランクの方へと持って行ってくれた。間に合ってよかったな、神子。

 

何とここでも龍神の導きが! 偶然にも神子SAKと神子ぱーぼぅは我が神子の前の席だったのだ! ここまで縁があるとは…我が神子はちょっと驚いていた。

そして、後ろは何と神子ちょまとそのご友人神子の神子友夢が! 神子ちょまも同じバスに乗るとは聞いていたが、なんという偶然!! さっそく神子ちょまと神子友夢にご挨拶をする。

そして、やはり同じ1号車の神子もえが我が神子に挨拶に来たので、差し上げる約束をしていた我らの母の日バージョンのポスカとお名刺、そして合言葉と引き替えに彰紋&翡翠ポスカをお渡ししていた。神子もえからも新作の名刺をいただく。今回は彰紋柄だ。そう言えば、今回は同じバスでありながら、なぜかこの時だけしか神子もえと我が神子はお話しなかった気がするぞ? まあ、旅の間、いろいろ“さぷらいず”の連続で二人ともそれどころではなかったのだろう(笑) 神子もえ、話はまた次の機会にな!

 

神子たちが揃ったバスから出発するとのことだったが、なかなか出発する気配がない。みな揃っているはずなのになぜ?などと考えていたら、

「こんにちは〜」

と言いながら、バスに乗り込んで来るものがあった。まず声が聞こえ、そしてステップを上がって顔が見えると神子たちから一斉に歓声が上がった。

「えっ? ええーっ!?」

何とステップを上がって来たのは井上友雅ではないか!? そして、その後から宮田詩紋が…

突然のことに、もうバスの中はキャーキャーキャーと黄色い声が飛び交い、大パニックである。今までのツアーではこんな趣向はまったくなかった。神子たちは驚きと喜びでもう収拾がつかない。

「すっごい油断しきった顔してたでしょ?」(だったかな?)

井上友雅がふふふっという笑いが聞こえて来そうなからかい口調で言った。こんなところは本当に友雅と似ているな(笑)

二人はほかにも何かしゃべったのだが、パニックになっている頭と神子たちの黄色い声の中ではその言の葉を記憶することは出来なかったと我が神子は言っている。

ふだんライヴなどに行きなれている我が神子は、ここで写真を撮っていいものかどうか一瞬カメラを出すのを躊躇したそうだ。だが、フラッシュをたく者がいたので、やっぱり出そうかとカバーを取りかけたところ、出しきる前に

「では、後ほど〜」

と挨拶をして、二人は手を振りながら、ステップを降りて行ってしまった…

「あっ…ああ〜…」

神子ミズキも我が神子と同様、どうやら写真を撮るか否か迷って撮らなかったようだ。本当に惜しいことをしたな、神子。

 

だが、このことで1号車の神子たちは出発前から大興奮して、俄然盛り上がりを見せたことは言うまでもあるまい。そして、神子たちの期待感はますます膨らんで行ったようだ。今回のツアーはいつものツアーと一味違うと!

 

井上友雅と宮田詩紋は2号車へと向かった…

きっと今ごろは2号車でも大パニックになっていることであろう。

 

1号車が停まっている前にはちょうど信号機と横断歩道があって、後半の号車のバス達は信号を渡った反対側の方に停まっていた。「きっとあちらに行く時、二人はここを渡るはず〜♪」などと我が神子は密かに思っていたようだが、それを見届ける前に我らが乗ったバスは動き出した。

運転席側の方の席だったのでよく見えなかったが、どうやら歩道の方で井上友雅と宮田詩紋の二人がバスを見送っていたらしい。見えなくて残念だったな、神子。

 

バスの中でバッジが配られる。これは我が神子が参加出来なかった前回のツアーから取り入れられたらしいが、大きすぎず、そして小さすぎず、ほどほどの大きさのバッジでなかなか気が利いている。

今回の絵柄は友雅と詩紋。

「え〜!? 彰紋くんと翡翠さんじゃないの〜!?」

今までのツアーはすべて『遙か2』メインで来ていたので、我が神子は当然今回も彰紋と翡翠の組み合わせだと思っていたようだ。だから、みなに配布するポストカードの方もその二人で作成したとのこと。少しばかり計算がはずれたな、神子。

 

次にオリジナルのうちわが配られた。その柄はいつものミニキャラの友雅と詩紋と神子(あかね)を散りばめたもの

「今回の出演者の柄だね。友雅さんと詩紋くんと神子…この神子は私たちだから♪ ん? ミニキャラ… わかった!!」

我が神子が突然言った。

「もうすぐ『盤上遊戯』が発売されるから今回は『遙か2』じゃなくて『1』で行くんだよ。」

この我が神子の推理はどうやら正しかったようだ。それはプレミアムナイトで証明されることになる…

 

車内に『遙か』の歌が流れ始めた。どうやら四神アルバムからの曲を次々に流しているらしい。だが、少々音が大き過ぎると我が神子はちょっと困っていた。話が聞こえにくいと…

我が神子は別に聴覚検査で引っ掛かるほどではないのだが、幼少のころ深夜放送を聞きながらイヤホーンをしたまましょっちゅう眠ってしまったとかいうことで少々耳を悪くして、小さな話し声などは時折聞こえにくいことがあるそうだ。だから、人と会話をしていて聞き返すことも多い。だがな、神子。何という理由なのだ。しかも幼少のころ!? 普通そんな年端も行かぬうちは深夜放送など聴かぬだろう… はぁ〜

 

バスガイドが「みなさん、こんにちは」と挨拶をした。

1号車の神子たちは井上友雅と宮田詩紋の突然の登場で、すでにテンションが上がりきっていたので大きな声で「こんにちは〜」と応える。うんうん、いい雰囲気だ。

 

バスガイドが最初に運転手の名前を紹介したが、BGMに邪魔されて、聞き取れなかった。

バスガイドの名は藤原と言うそうだ。なかなか『遙か』向きの名前ではないか♪

そして、次に男性の添乗員が挨拶をした。名は瀬野と言うらしい。何でも今回が初添乗だということだ。初々しくてよいが…

「ご迷惑をかけるかもしれませんが頑張ります。」

め…迷惑をかけるのか!? 大丈夫なのだろうか… まあ、きっと一生懸命やってくれるだろう…な。期待しているぞ。

 

次に恒例の参加している神子たちの自己紹介の時間になった。

「ハンドルネームで結構ですので…」

と添乗員が言った。

「えっ? 本名じゃなくて、ハンドルネームで??」

今まで我が神子が参加した2回は本名で自己紹介をしていた。そして、いつもなら“好きな八葉を言ってください。”とあったのだが、今回はそれもなし… ??

「なんか変な感じ〜」

と我が神子が言っていた。

順番は運転手側の席の前から始まって、後ろまで行ったら、反対側の席の側に移り、今度は後ろから前に…という具合にやるとのことだ。

我が神子は運転手側の列の前から四番目…ゆえに我が神子の番は早く巡って来る。

前回のツアーでは拍手も反応もなく、すご〜く暗〜い雰囲気の中での自己紹介だったのだが、今回は一人終わるごとに割れんばかりの拍手が起こり、時には歓声が上がったりして、とてもいい雰囲気で進んで行った。

よし! 今回は当たりだ! みなと楽しめるに違いない!!

だが、自己紹介の時はBGMを切るか、音を小さくすべきではないだろうか?

おかげで人によっては何を言っているか聞こえなかったと我が神子がちょっと嘆いていた。

 

左、右、左、右…と来たので、神子SAKと神子ぱーぼぅが終わって、次は神子ミズキで、その次…と思ってたら神子ミズキが何も言わず、スッと前から回って来たマイクを我が神子に手渡した。

「えっ…ええ〜っ!? ミズキちゃんが先じゃないの〜??」

心の準備がまだ出来ていない我が神子は神子ミズキに驚きながらもこそっと言った。

「涙ちゃん、先やって。」

 

――う〜〜〜っ、ここで時間かけてもみんなに悪いし…

 

仕方なくマイクを受け取って先にやることに…

「ハンドルネーム 神凪 涙と申します。『遙か』のサイトと同人誌活動をやっています。私の好きなのは今日も連れて来ております…」

と言って、我らを高く上げ、

「この子たち、泰明さんと泰継さんですv

と言い切ってから

「ですが、友雅さんの小説も書いています。もし、イベントなどで見かけましたらぜひお手に取ってみてください。2日間どうぞよろしくお願いいたします。」

と何とか言うだけ言い切って拍手をもらう。終わった〜

 

――わぁ〜、どこから来たって言い忘れた!! 何か文がめちゃくちゃ(泣)

 

我が神子はとっさのことにあわてて、どうやら言おうと思っていたことと違うことを言ってしまったようだ。気にするな、神子。どうせみなは元の原稿を知らないのだから、間違ったこともわかるまい。

「だって〜、日本語おかしくなかった?(大汗)」

「まあ、終わったことだし…」

「やっぱりおかしかった?? ふぇ〜ん」

 

前回のツアーではBGMは歌だけだったが、今回は語りも入っている。自己紹介の途中で私(あっきー)の語りが入ったりするとそちらにどうしても耳が行ってしまうと我が神子は苦笑していた…

 

まだ半分も行かないうちに清水へ着いてしまったので、自己紹介は一時中断して、また後で続きをすることになった。

 

「では、カセットを止めますね。」

バスガイドが言った。

「えっ? 今どきカセットなの??」

最近はカセットなどほとんど使うことがなくなっていたので、我が神子にはかえって新鮮に感じられたようだ。

 

駐車場に着くまでの短い時間、『遙か』はまったく知らないので一般的なガイドしかできぬと最初に断りを入れたバスガイドによる簡単な清水寺と音羽の滝に関する説明があった。

音羽の滝の清い水が清水寺の名前の由来だとか、音羽の滝の水は端から順に学業、恋愛、延命長寿の順に並んでいて、どれか選んで1つだけ飲むと効果があるが、2つ飲むと効果は半減し、3つとも飲むと効果はそのまた半分になるとか…

確か昔はどの滝が何の効力があるか説明書きがあったらしいが、前回訪れた時は「どの水を飲んでも同じです」などというようにごまかして書かれていたので、こういう説明があると助かるかもしれぬな。きっとみなは自分のお目当ての八葉と同じ水を飲みたがると思うゆえ(笑)

そして、バスは最初の目的地清水寺の駐車場へと到着した…

 

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