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「想天詩」

赤い南天が

白い雪の上

ぱらぱら描く

誰かの想い

冬を解かして

光りに眠る

春に囁く

 

メルマガNo.70 誰のことを想うのか。

 

「氷結柱」

霜月の詩を

足の下から聴く

さくりさくりさくり

生えてくる

透明な水が凝って

大地を押し上げる

小さな力強さ

 

メルマガNo.69 そんな季節になりました。

 

「静月夜」

光が落ちる

きら きら きらら

黄色い満月が

天の頂き

子犬みたいに

僕を見おろす

あんまり見るなよ

僕は笑って

こっちへおいでと

月を招く

 

時々、こんな風に見える。

 

「新賀」

光を寿ぐ

廻る廻る

季節の循環

緩んでゆく

寒の空

足元に揺れる

小さき緑が謳う

生誕の祝祭

 

「新賀」は造語です。

 

「接触」

凍える大気

凍れる夜空

マイナスのH2Oが

空気に混ざって

指先をかすめる

瞬間の火花

どくどくと脈打つ

赤い血の暖かさを知る

 

メルマガNo.59 冷たいから暖かい。

 

「灯火」

白い雪の中から

細く伸びた

裸の枝先

赤く咲いた

椿一花(ひとはな)

心に灯された

小さな焔

 

なんて雪の似合う花なのでしょうね。

 

「風花」

白い風に

花びらを飛ばして

桜吹雪 雪吹雪

飛び交う欠片が

視界を覆って

やがて空高く

通り過ぎてゆく

 

雪か、桜か。

 

「雪が降る」

白い雪が降る

小さく点々と繋がる

私の足跡は消えて

ここに1人ぽっちになる

しんとした

世界はただ そこに在って

音も無く

白い雪が降る

 

それだけが、確かなもの

 

 

「福音」

風の音が

空を切って

澄み渡る

冴えた青の天

足元では

凍る白雪の中

淡く生まれ出ずる

小さな太陽

 

福寿草が咲き出してます。

 

 

「砂の城」

滲む視界に曇る街角

黄色い香りの

砂の風が

遥かなる異国の海と空を

私の前に描き出す

それはまるで砂の城

礫に混じった

記憶の粒子が空に溶け

 

黄砂到来。・・・困ったもんだ。

 

「初夢」

桃色の羊が

ふわふわと空を飛ぶ

真綿で包んだ

甘い雲が

ぱらぱらと降り注ぎ

舌の上に

懐かしい

飴色の匂いを

思い出させた

 

如月司さんに頂いた年賀状のお礼。

 

「冬回廊」

その冬は2度目の冬

君が居なくなって

僕が居なくなって

空から落ちる白い涙

誰かが活けた白百合の花が

僕らの墓の前

伽羅色に変化した

命の傷痕

 

銀色さんに頂いた寒中見舞へのお礼。

 

「Delete」

熱のない無機物

白く凝る分子

指先で

描かれた幾何学模様を壊す

溶解する

結晶片

溶解する

私の言葉

ただどちらも

世界の淵に消えていく

 

メルマガNo.54 窓越しに冬を見る。

 

「ソナタ」

雪の結晶を

灰色の空に想い

淡く光る

蒼い恒星の灯火

手の中で

パチンと弾けた

欠片は世界に飛び散って

冷たい音の雨になる

 

メルマガNo.53 ソナタには冬が似合う。

 

「透過する」

蒼い氷の中から

ゆっくりと手を伸ばす

空と雲と風と

柔らかな緑の呼吸

肌を焼く

マイナスの空気さえ心地よく

 

ガラスの先には外の世界が広がる。

 

「一つ花」

冬の空は鈍く

青の谷間に沈んで

放射冷却の朝

白雪に紅く灯る

篝火草が

窓の淵

 

「篝火草」別名シクラメン

 

「小鳥」

帰る場所を忘れてしまったの

白いカナリアが空を見上げて

雪のちらゆく冬の街

灰色のビルに瞬く

青白い蛍光灯

夜の影は冷たく迫って

世界は冷たく凍えてゆく

太陽の光りは何処へ消えたの

私の森は

何処へいってしまったの

 

凍える冬がやってくる。

 

「花月」

無重力を漂う

おぼろげな記憶

月に行けなかった花々は

地上の梢で

沈黙のまま

高い空を見上げる

 

メルマガNo.38 「花」「月」という漢字から…

 

「snow silence」

柵越しにのぞきこむ

白く覆われた校庭

足跡のない雪の上へ

歓声をあげて駆け出す

赤や黄色の長靴

四方を囲まれた

箱庭の風景に

記憶の中で無音の音を聞く

 

メルマガNo.36 コドモの時は雪が嬉しかったです

 

雪透ける 窓先かすむ 緑色

 

メルマガNo.35 外が寒くて窓がくもってます

 

     「冬音階」

冷たい空気    
         空に凝って
北の木枯らし   
         枯葉が舞う
街の灯り   
         地上に燈り
白く儚く   
         降り始めた雪
もうすぐ帰る   
         君が帰る
吹雪と共に   
         歌うは雪姫
解けない氷
         白い鳥篭
閉じ込めたいのは
         誰の想い出
白い魔女の
         呪いは今も
解かせる君は
         いついつ帰る

 

メルマガNo.31 ピアノの鍵盤に…見えないか?

 

『天狗星』

シリウスの光りに

焼き尽くされた

地上の窓辺

空に焦がれて

君に焦がれて

ただひたすらに

この小さな窓から

彼方を見つめ続ける

 

メルマガNo.14。シリウスって「焼き尽くすもの」だそうだ

 

「水に潜る月」

冷たい水に沈んだ

蒼く燈る満月

手を伸ばせば

叶わない祈りの言葉

幾重もの泡になる

身体を切り裂く冷水は

すでに僕等を拒絶して

午睡みの先に

朧に浮遊する

懐かしい夢の果て

 

メルマガNo.9に掲載。凍れる冬の蜃気楼

 

  「冬風」

強風に煽られて

    空に帰っていく

            風花の霞

 

雪を見て。降っているのか、飛んでいくのか。

 

「花かんざし」

花簪を髪にさし

貴方に会いに行きましょう

おどかしたいから突然に

内緒で会いに行きましょう

貴方はびっくり驚いて

困ってしまうかもしれません

私はにっこり笑いましょう

泣かないようにがんばって

笑顔のままで消えましょう

 

冬花シリーズ「花かんざし」。童謡「赤い花」チックな詩。

 

「光サス」

雲の間からさす光

貴方の笑う顔

植物が、

光を糧に生きる様に

私には、

貴方の笑顔が必要だった

 

冬花シリーズ「雲間草」。雲間という名前から。

 

「冬果実」

赤い実食べた

甘い実だった

振り向いたら

悪魔がやって来て

私の心臓を

攫ってしまった

 

冬花シリーズ「冬苺」。苺は恋が似合う果物。

 

「冬の言葉」

葉の落ちた樹木

透けて見える青い空

吹きぬける強風

色のない冬

開いた花に名付けた

「花月」と…

 

冬花シリーズ「花月」。名付けた人はすごい。

 

『雪月花』

満月の咲く晩に

雪が割れる音がする

どうどうと

流れ出す水

動き出す時間

冬の眠りを打ち破る

激しい水飛沫

 

冬花シリーズ「雪割草」。雪を割って咲く花。

 

「トキジクノカクノミ」

唐橘が一枝

小さな土山の前

守人の居なくなった

大君の柩に

捧げられる

誰かの思い

 

冬花シリーズ「唐橘」。「トキ〜」は橘に似てるそうだ。

 

『忘却』

ぽんぽんぽん

庭先に

幾つも開いた

木瓜の花

あの花が咲ききる頃

私は貴方を

思い出せるだろうか

 

冬花シリーズ「木瓜」。ぼけと懸けてます

 

『存続』

庭の八手に花が咲き

小鳥がそれをついばんだ

小鳥はそのまま飛立って

遠い何処かへ旅に出た

八手は鳥の腹の中

くるくる回って

種となる

小鳥が朽ちたその時に

新たな地平に芽吹くため

 

冬花シリーズ「八手」。庭で鳥が食ってる。

 

『極楽鳥花』

極楽へ飛ぶ鳥が

西の空

暮れてゆく

朱と紫の空に

力強く

はばたく羽音

 

冬花シリーズ「極楽鳥花」。花の色形のまま。

 

『命』

目を覚ますと

窓辺にシクラメン

消毒薬の匂いのする

狭い四角の檻で

空が透ける小さな窓に

シクラメン

下界の眩しい光を浴びて

無音の鼓動が響いてた

 

冬花シリーズ「シクラメン」。鉢花って生きてると思う。

 

『賀正』

千両万両

時祝い

真新しきこの1日に

雨霰降る

寿の赤

 

冬花シリーズ「千両・万両」。区別がつかない。

 

『山茶花』

紅色に揺れて

雪色に震えて

眩いばかりに咲き誇る

続く黄泉路の灯火に

艶やかなるかな

大地の花よ

 

冬花シリーズ「サザンカ」。群れて咲くから圧巻です。

 

『初春』

からからとした

刻の風

空の果てから吹いてくる

 

春は果てからやって来る

 

『南天』

空を見上げて何かを思う

南の空は暖かい?

問いかける雀

南の空は夕焼色?

問いかける粉雪

南の空は遠い?

問いかける大地

赤い実は答えを知らない

ただ首を傾げて空を思う

 

冬花シリーズ「南天」。南の空と懸けてます。

 

『箱庭』

赤い色を1つ

真白い雪に塗りたくられた

この小さな箱庭

正方形に切り取られた

果てに囲まれた世界で

ぽろりと開いた

命の色

 

冬花シリーズ「椿」。雪が似合う花です。

 

『花歌』

白い白い冬

小さな花が

青い空に滲む

冷たい風に飛ばされて

はりはりと

春へ向かって

流れてく

 

冬花シリーズ「寒桜」。桜は飛ぶ花。

 

「不断桜」

京の静寂

雪の散る闇

裸の樹木に囲まれて

四角い空を眺めやる

はらはら落ちる

雪切片

仄紅の風渡り

夢の入り江に

過ぎる刻

 

京都、大原に冬でも咲く桜があるのです

 

『冷めた眠り』

冬の記憶は冴えゞと凍る

綿菓子のような綺麗な思い出は

北から来る風に攫われ

ひたひたひた

摂氏0度の現実

曖昧な夢は覚め

永遠にセピアに染まらない

ただ凛とした空気が

現世の輪郭を浮き彫りにするのみ

 

冬は空気がすみすぎて、世界がクリアになりすぎる。

 

「セレナーデ」

晴れた夜空を見ながら

月と星への祈り

それは幸福への子守唄

 

年賀状で送った詩。幸せのお祈り。久しぶりに短いです。

 

『元旦』

昨日と違はない1日なのに

ちょっとだけ

新鮮な気分になれる日

 

あけましておめでとうございますな、新鮮な1日。

 

『強風警報』

窓の外は冬快晴

聞こえて来た朝の天気予報

気象予報士の声は告げた

『冬の大風、強風警報』

玄関のドアを開ければ

吹き飛ばされていく

看板・瓦・サラリーマン

一緒に吹き飛ばされながら考える

「洗濯物はどうしよう・・・」

 

どんな困難にであっても日常はついてくる。で、着地は?

 

『その時』

世紀末を嘆き

新世紀を祝う

地上の人類

どんなに彼らが暴れても

宙の地球には

いつもと同じ

自転と公転の一瞬

 

結局暦は人が作ったものですから。

 

『新世紀』

進まない鉛筆

白紙の年賀状

カレンダーを見れば

20世紀は後5日

 

21世紀なんです。でも年賀状が書けない。

 

『silent night』

真白な雪の降る夜

傘をさして

降り積もる雪の上に降り立った

彼女の小さな足跡は

後から後から

ふってくる白い欠片にかき消され

真っ白な空間

いっぱいの孤独と1つの命

心臓が微熱を発している

 

クリスマスカードでお送りした詩。静かなクリスマス。

 

『冬至』

熱湯の張られた浴槽

鼻腔を掠める柑橘

湯に浮かんだ柚子はぷかぷかと

漂うまにまに香りを舞わせ

曇る硝子

遠のく意識

視界は水蒸気に遮られ

眠りの国はすぐにそこ

 

風呂場で寝るのは私のクセ。かなり危険。「まにまに」が好き。

 

「冬の月」

天蓋の幕の下に

青白く輝く小さな月

太陽も星もない僕の宇宙に

たった一つ

君が揺れる

 

月っていうのはやっぱり特別な天体だと思う。

 

『天上音楽』

研ぎ澄まされた冬の空

響き渡る

銀の歌声

星の光りは煌々と

全てのものを焼きつくし

君は地上の星座を見る

 

冬の夜空はものすごくきれいです。耳の奥に音がしそう。

 

「羽雪」

空の彼方から落ちてくる

天使たちの羽

地上にたどりつき

溶けて消えた

 

見上げるとはらはらと降る雪。

 

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