君のことを忘れるから
僕のことを忘れて
まるで知らない人みたいに
きっと明日出会うみたいにも
そしたら
たぶん、もう1度
僕は君に恋をする
もう1度
僕は君に恋ができる
寒の空は青く
冷たい空気が
頬を冷ます
静かな路上に
赤いポスト
ポツネン
立っていて
あたしの年賀状
ゴックン
飲み込んでしまった
会いたいと
呟く声は雪空に溶け
胸の奥に灯った
小さな焔
消えないように
優しく包みながら
堪らなく幸福で
行き場のない心を
ここに置いて
「呪縛」
呪(しゅ)をかける
原子を縛る
細く儚い言葉の糸
霞のようなこの思いを
「koi」と呼んだその時から
世界は囚われた
君というたった1人に
真夜中に響く
携帯の着信音
耳に慣れた話声は
どこか遠いノイズの先で
今夜も私の隣はからっぽ
貴方はここに居ないから
私は別のぬくもりを探して
夢の淵からさまよい出てく
見つけたよ
四葉のクローバー
約束したから
貴方のために
幸せの四葉を
絶対にみつけるって
ねぇ、毎日探したのよ
ちょっと、聞いてるの?
終わらない唄を歌おう
途切れない物語を綴ろう
もし、この今が
明日覚める夢だとしても
貴方のことを覚えていよう
魂の片隅に
貴方の存在の証を
消えない傷痕にして
くっきりと刻みつけておこう
石楠花が咲く下を
2人で歩いた
花下に佇む
不透明な水溜り
雨上がりの空に架かる
架空の虹
ゆるやかに下る
いつもの坂道を
切ないほどなんでもない
ある日の午後だった
昨日みた夢は
青い月に魅せられて
夜のてっぺんに昇る夢
餅つくうさぎの杵を取り
月の河原へ捨てる夢
泣きはらした君を連れ
青い地球に落ちる夢
空も海も大地も
世界は君を待っている
その音は
何処から聞こえてくる?
透明な金属片が
チカチカと瞬く
刹那的で継続的に
心臓に響く
君が僕を呼んでいる
音
貴方に質問した
「どうして?」
貴方は笑った
「どうして?」と問うのは
私は困った
貴方の事が知りたいのだろう
声が聞きたかった
私の名前を呼ぶ
貴方の声
もう永遠に
貴方が私を呼ぶことは
ないのだけど
それでも
ただ、それだけ
貴方に触れる度に
遠くで誰かが泣く声
心臓の奥で
卑怯者と罵る自分
私は知っている
いつか罪は暴かれ
私の躰は躯になり
裁かれた恋は
冷たい柩に葬られる
「恋病 -koiyami-」
濃い闇の夏夜に
逢えない貴方を探して
流れる星をたどれば
その先に遠い誰か
誰もいなくなった教室
置き忘れた鉛筆
止まったままの時計
消えてしまった
今はもう居ない君を
たぐりよせる糸
君を探して
僕は世界を飛び越える
貴方の言葉が
真実でないことを知っている
笑顔に隠した涙も
私を撫でる震えた指も
置いていかれる可哀想な貴方
残酷な真実は目の前
お終いの日はすぐそこ
けれども
貴方の嘘だけで私はたえられる
その優しい嘘で
きっと幸福に逝ける
貴方の言葉が嘘をつく
私の心が嘘をつく
降り積もる刺
冷めていく恋
無意識の呟きは
遠い日の二人へ
『心音』
とくん、とくん
鳴り続ける鼓動
冷たい指先から灰色の脳まで
全身をかけめぐる微熱
あと1歩踏み出したら
貴方にも聞こえる?
あたしの中に流れる
真っ赤な血
女という性
全てを嫌悪した
どうしようもなく
許せなかった
『voice』
悲しいんじゃないの
嬉しいんじゃないの
あなたの声を聴けて
ただ幸せで
涙が出てくるの
夕食に並んだ添え物パセリ
白いお皿に緑がぽつん
一人ぼっちの売れ残り
まるで私みたい
頭に浮かぶ
昼間の電話
恋愛の終幕
切なくなって口に放りこんだパセリは
やっぱり苦かった
廻らされた有刺鉄線
個人の領域
1人王国
私だけの自由な秘密
なのにどうして
あなたはここへ入れるの?
秋空に
高く浮かんだ白い雲
あの雲に乗って
どこまでも
見知らぬ国まで
流れて行こう
「ラヴ・レター」
教室の片隅に置き忘れた
学生鞄の中には
渡せなかった手紙
言えなかった言葉
たった一言
あなたが好きでした
天から降ってくる
貴方の声は
私の身体を通過して
大地へと返っていく