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「ファンタゴリア」

雪女神が謡う

白い歌声

空を舞う

六花の結晶欠片

閉ざされた氷の城は

優しい結界に守られ

眠る王子は

午睡みの中

遥かな人の影を追う

「何処か遠く知らない国」

 

「ジャックと豆の木」

手のひらに転がる

小さな茶色い粒

やがて目覚め

殻を破り

天を目指し

グングン伸びる

その時を

今は秘かに夢見てる

ジャックと豆の木

 

「この雪に願えるなら」

空に泣く

ドードーの葬列

リンゴン デンドン

鳴り響く鐘の音は

降る雪に吸い込まれて

無音の白闇

歪な白の世界は

何処までも冷たく

誰よりも優しく

響野夏菜 『この雪に願えるなら』

 

「MOON CHILD」

7の月の熱帯夜

月が僕を呑み込んだ

真っ暗な夜に浮かぶ

蒼白い光り

ちょっと冷たくて

ほんのり温かい

僕だけの天球

cry for the moon

僕は泣かない

君はいつでも

僕の傍らに

『moon child』

 

6番目のサヨコ」

主演者を失って

がらんどうになった校舎

主を失って空っぽになった

木製の下駄箱

残してきた1通の手紙

差出人不明の手紙を

受け取る誰かを

私は待っている

私を引き継ぐ貴方の登場を

焦がれるほどに

強く、強く

―――ツギハアナタノバンデス

 

「てぶくろをかいに」

白い雪の晩

手袋を買いに来た

かわいらしい客人

今も手元に残る

色のない枯葉をみて

年老いた洋品屋は笑う

獣も凍える

寒い寒い北の夜

 

「ルナ」

緑色した惑星に

無数に瞬く金と銀

空と天と大地を満たして

その数、那由他

最早、区別もつかないほど

星と蛍は互いに溶け合い

今も静かに

眠る墓標

 

「浅き夢みし」

何が欲しかったの?

問いかけの答えは返らず

跡に残る砂礫の楽土に

ただ黄砂が舞うばかり

これでよかったの?

答える君は遠い彼方

焔に消えた

亡国の残像

狩野あざみ「天邑の遼煙」&So.Asai「Take Off」

 

「月の子」

天頂に満ちる真珠色

誘われて泳ぎ出す

孵化した人魚の群れ

曙の女神の祝福を受け

月姫達は旅をする

月へと還る旅をする

 

「お絵描き雲」

青のキャンバスに

白いクレヨンで

ぐりぐりと描いた

歪なくじら

雲になって

僕らを乗せて

高く、高く

 

「モノローグ」

モノクロの写真

閉じ込められた

僕ではない僕

彼は何を思って

どういう時を生きたのか

問いかけの答えは

落ちる夕日に呑まれ

ただ涙した

ある秋の日暮れ

 

「カーテンの法則」

止まった時計

凍った時間

窓の外は

知らない世界

揺れるカーテンは

捻れた時間旋律

 

「オカエリナサイ」

囁く声

惹きつける重力

懐かしい

何か

大地の底から

ふつふつと

浮びあがる

那由他の声

 

「しろいぼうし」

静かに揺れる

夏帽子

緩く薫る

夏みかん

白いちょうちょが

ひらひらと

静かな空を

泳いでく

 

「そうして星になった」

秋の夜更け

眠れないかけすが

1羽、天を目指した

ぱたぱたぱたぱた

飛び続ける羽音

遠くなって行く地上

遥か彼方で

地平線に消えた

北の十字架

 

「壊−KAI−のおもちゃ箱」

誰も彼も

優しくしてくれと

圧し掛かるから

耳を塞ぎ

目を瞑って

口を押さえて

叫び出しそうになる

自分を抹消する

 

「the Wonderland」

逃げるウサギに連れられて

アリスは不思議の雲の上

中から聞こえるお茶会は

手長足長お人形

鳥とお花とキツネリス

空と水と大樹が歌う

眠る石の子守唄

 

「銀のトゲ」

空に浮かんだ銀の月

淡い銀糸の天球に

僕は何を祈るのか

君に出会えてよかったと

暗い宵闇

銀のトゲ

茨の檻は今もなお

僕等の間を隔てるけど

それでも君が笑うなら

僕は地上で生きていける

 

「禁じられた遊び」

銀の箱に君を埋めて

真白な花束

金の十字架

薔薇色の眠る君

閉じられた瞼に口付して

弔いの言葉と罪の告白

長い長い葬儀の行列

目を開けてはいけないよ

真っ黒な悪魔が

君を連れにやってくる

 

「金の獣」

吹く風は春の嵐

凍れる冬を洗い流す

流浪の王者

眩い金の鬣

響く獣の咆哮

天は震えて地は揺らぎ

蘇る緑の森

 

『終刻』

紺碧の夜と白金の朝

その訪れの目前

空を染め抜いた

真紅の夕暮れ

燃え上がる西空には

朽ちていく巨大な太陽

終幕は雄雄しく

終焉は華々しく

王者は去りて

密やかな時代の終末

 

「夏休暇」

時計の振り子の下を潜り抜け

辿りついた時間の裏側

コーヒー片手に新聞読んで

時にはぶらりと散歩に出る

注意事項はただ一つ

時計の針が刻む音に耳を立てたら

時間は忽ち動き出し

幻の休暇は終了する

 

「鬼隠れ」

秋の山には紅い紅葉

はらはらと

舞散る木の葉に隠れて

鬼が笑う

 

モノガタリウム

七つの海の海賊王 

人間になりたかった人魚姫

銀の竜を退治した英雄

金の目をした悪魔と白い魔女

全ては夢語り

子供は夢を食べて大人になる

 

「甘味少女」

純白のドレスとオーガンジーのリボン

甘いクリームでデコレーションされた少女

クリームの下には何がある?

 

「あなたと死ぬなら」

あなたと死ぬのなら悪くない

たとえ悪魔と罵られようとも

歴史の罪人として記されようとも

あなたと同じ道を行けるなら

私の心はあなたの物

私の真実はあなただけ

 

「道行」

見えるのは唯一本の道

朽ち果てる物と生まれいずるもの

この世界に永遠なんてないから

だから後悔はしない

ただ精一杯生きるだけ

 

「お茶会」

お気に入りのドレスと純白のリボンを纏い

暖かい紅茶とチェリーパイを用意する

銀の器に盛って

始めるはロシアンルーレット

 

「告別」

真白き花が散っていく

ハラハラと舞う花びらが地面を覆い尽くす

地上には横たわる少女

すべてが真白く覆われていく

カンラ カンラ カンラ

鐘の音が響く

全ての時間は止まり

全ての生き物は祈る

 

「CRY FOR THE MOON」

お月様が欲しい

欲しいと言ったら欲しい

あれは私の物

誰かちょうだいなんて言わない

欲しいものは自分で手に入れるから

 

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