+ 永久の夏の記憶 +
夏の風物詩
(音楽は「ノクターン」より「妖精の園」(ラヴェル)をお借りしました。)
机の上を見れば
忘れられた絵日記の
真白いページ
開く焔の華
百花繚乱
未確認飛行物体の中で
宇宙人も花見する夜
闇夜をさまよう灯り壱つ
人影はなく
赤い提灯だけが
橋の上を滑り行く
それは人の魂か
小さな生き物
少しの間もがいて
動かなくなった
オツカレサマ
ユックリオヤスミナサイ
阿波踊り 見る阿呆して 風邪ひいた
赤い果実にかぶりついた
口に残る種を吹き飛ばすと
黒い塊が庭土の上
その少し手前に緑の苗
そういえば、去年の種はあの辺りに落ちたっけ
吸いこまれる白いボール
走り出した君の足跡が
マウンドにくっきりと刻まれる
わずかに掴んだ夏の光線
やがて夏は過ぎ
秋が行き
冬の訪れ
いつしか雪が舞い始める
それでも
私の手の中には夏があった
(「可視光線」もじり)
白い入道雲
どこまでも濃い青い空
風に飛ぶ麦藁帽子
氷の中の夏景色
氷姫のくちづけは
一瞬に
全ての夏を閉じ込めた
(「氷柱花」もじり)
透明な硝子の中
降りそそぐ
氷の結晶屑
半透明のプロペラ
向こう側に
去年の好きだった人の顔が
微かに見えた