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夏の風物詩

(音楽は「ノクターン」より「妖精の園」(ラヴェル)をお借りしました。)

 

夏休みの終わりに

机の上を見れば

忘れられた絵日記の

真白いページ

「宿題」 8月30日

 

ぱちぱちと 咲いては消える 夏の焦げ跡 
「線香花火」 8月29日

 

空に響く大音声

開く焔の華

百花繚乱

未確認飛行物体の中で

宇宙人も花見する夜

「花火大会」 8月24日

 

 『夢之浮橋』

闇夜をさまよう灯り壱つ

人影はなく

赤い提灯だけが

橋の上を滑り行く

それは人の魂か

「怪談、ほおづき」 8月22日

 

空から降ってきた

小さな生き物

少しの間もがいて

動かなくなった

オツカレサマ

ユックリオヤスミナサイ

「蝉」 8月21日

 

「本日休業」

阿波踊り 見る阿呆して 風邪ひいた

「阿呆」 8月20日

 

縁側に座って

赤い果実にかぶりついた

口に残る種を吹き飛ばすと

黒い塊が庭土の上

その少し手前に緑の苗

そういえば、去年の種はあの辺りに落ちたっけ

「西瓜」 8月15日

 

夏空に響く快音

吸いこまれる白いボール

走り出した君の足跡が

マウンドにくっきりと刻まれる

「甲子園」 8月13日

 

太陽に向かって手を伸ばし

わずかに掴んだ夏の光線

やがて夏は過ぎ

秋が行き

冬の訪れ

いつしか雪が舞い始める

それでも

私の手の中には夏があった

「夏視光線」 8月8日

(「可視光線」もじり)

 

『氷柱夏』

白い入道雲

どこまでも濃い青い空

風に飛ぶ麦藁帽子

氷の中の夏景色

氷姫のくちづけは

一瞬に

全ての夏を閉じ込めた

「氷柱夏」 8月2日

(「氷柱花」もじり) 

 

しゃりしゃりしゃり

透明な硝子の中

降りそそぐ

氷の結晶屑

「カキ氷機」 7月26日

 

ぐるぐる廻る

半透明のプロペラ

向こう側に

去年の好きだった人の顔が

微かに見えた

「扇風機」 7月23日

 

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