「年金の受給資格期間が10年に短縮」
年金よろず相談室
 
 
  
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                                      2017. 8.10



 
なぜ期間が短縮になったのですか


 日本では諸外国の年金制度に比べ受給資格期間が長く、無年金者への対策とし
て現行の25年から短縮すべきという意見がありました。

  一方、保険料免除期間や合算対象期間などのしくみのあり、低年金者の増加、保険料
 の納付意欲の低下、行政コストの増加等への影響などの議論もありました。
  結果として、消費税10%引き上げに合わせて年金の受給資格を「10年」に短縮す
 る法案が平成24年に成立、交付されました。
  施行日は平成27年10月の予定でしたが、消費税10%引き上げは先延ばしになる
 状況となり、最終的には、法律の一部が改正され、少しでも早く無年金者を減らすこと
 を優先し、年金受給資格短縮の法案の施行日は「平成29年8月1日」になしました。



 10年以上で受給権が発生する年金はどのようなものですか


 老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金、旧法の老齢年金、寡婦年金です


  60歳前半の特別支給の老齢厚生年金については、12ヶ月以上の厚生年金加入が必
 要となります。
  新たに受給権が発生する人は、老齢基礎年金は約40万人、特別支給の老齢厚生年金
 は約24万人といわれています。平成29年8月に受給権が発生し、請求した方は9月
 からの支給となり、初回は10月13日(金)に1ヶ月分が振り込まれます。



 受給対象者には何かお知らせが届きますか


 本人の年金加入期間が10年以上25年未満で年金受給開始年齢を過ぎている
方には日本年金機構から年齢の高い方より順次「黄色の封筒」に入った年金請求
書が郵便で届く予定です。

  請求書の表紙も黄色で、右上に「短縮」と赤字で印刷されています。
  共済組合などの加入期間を有する人については、最後に送付されるそうです。
  8月に受給権が発生しますが、事前受付も可能です。
  添付書類としては、年金手帳(基礎年金番号)、世帯の住民票(単身者の場合は不要
 )です。
  それぞれの状況に応じて雇用保険被保険者証、戸籍謄本、住民税の課税または非課税
 証明書(本人、配偶者)などが必要な場合があります。

                        

 年金受給権があっても年金請求書が届かない場合はありますか
  

 10年以上の加入期間があるのに年金請求書が届かない場合は、次の理由が考
えられます。


         
・基礎年金番号が交付されてない
         ・住所が正しく登録されてない
         ・氏名が正しく登録されてない
         ・年金記録が統合できていない



  また、保険料納付期間と免除期間を足して10年未満であっても、合算対象期間(カ
 ラ期間)を足すと10年以上も期間があるという方は、受給権が発生します。
  ただし、年金の請求書は届きませんので、お近くの年金事務所への相談が必要です。


(社会保険労務士・後藤田慶子)

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