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  対象者はどんな人

 
● 次の3つの条件を満たした人が対象となります。
  ① 厚生年金加入が44年(528月)以上ある。
    (厚生年金には、日本年金機構での加入、公務員共済加入、私学共済加入の3つがあります。
   合算ではなく、一つの加入で528月以上です。)
  ② 退職などで厚生年金に加入していない。
  ③ 60歳台前半の報酬比例部分の受給権者である。


  長期加入者特例とは・・・

 ● 平成12年の法改正により、60歳前半の報酬比例部分の老齢厚生年金の支給は3年ごとに1歳
  ずつ引き上げられ、男性の場合、昭和32年4月2日~昭和34年4月1日生まれは63歳からで
  す。この人が長期加入者で、会社を退職した場合には、報酬比例部分の年金にプラスして定額部分
  の年金約78万円が支給されます。
 ● さらに、加給年金対象者がいる場合には、約39万円がプラスされます。
 ● 60歳台前半の老齢厚生年金は65歳になると失権します。
 ● 65歳からは改めて老齢厚生年金と老齢基礎年金(78万円)、加給年金対象者には加給年金(
  39万円)が、支給されます。


  どうして44年なの?

 ● 法律改正前は、60歳で退職すると老齢厚生年金の報酬比例部分と定額部分が支給されていまし
  た。在職の場合は、給与の額によって在職老齢年金の支給がされていました。
 ● 改正により、老齢厚生年金の支給が約21年かけて段階的に60歳から65歳に引き上げられま
  した。
   中学を卒業して44年働いて60歳、高校を卒業して44年働いて63歳。
   退職して厚生年金に加入していない人に「長く働いてご苦労様」の気持ちでしょうか。


  特例を受けるか働き続けるか?

 ・退職して長期加入者の特例年金を受ける
  報酬比例部分が120万円なら・・・
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         報酬比例部分 120万円
         定額部分    78万円
         加入年金    39万円
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         年金額    237万円
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  となり、月20万円弱もらえることになります。
 ・厚生年金の被保険者にならない短時間で働く
  500人以下の企業なら・・・
  1ヶ月15日または1ヶ月120時間程度以下で働くと、厚生年金保険に加入できません。
 ・個人事業で収入を得る


  厚生年金に加入して働き続ける

 ● 令和4年3月までは、給与と年金月額の合計が28万円を超えると老齢厚生年金の額が調整され
  ます。これを在職老齢年金といいます。
 ● 会社から受ける給与が月25万円、受ける年金が月10万円なら、在職老齢年金は6.5万円と
  なり、1ヶ月の収入は31.5万円になります。
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         給与      25.0万円
         在職老齢年金   6.5万円
        ---------------
         1ヶ月の収入  31.5万円
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 ● また、63歳から2年間(24月)厚生年金に加入して働くと、保険料を払い込んだ分、65歳
  からの老齢厚生年金は少し増えることになります。



(社会保険労務士・後藤田慶子)