1KW変更計画・申請から落成検査までの日記 その1

タワーの建塔に合わせて、計画開始(2000年8月頃)〜2001年3月25日まで。
計画、申請、工事の開始編

はじめに
 過去に、1KWの検査を受けられたOM諸氏の記事を参考にさせて頂いたのですが、電磁波が人体への影響を防護
するための防護指針が施行されてからの事例は残念ながら見当たりませんでした。
 防護指針が施行された後、電界強度実測検査の事例公開が過去にない事から、今後(電波防護指針施行後)、
1KWの変更、新設検査を受けられるOM諸氏の参考になればと思い、変更工事の計画、申請から工事落成、検査ま
でを日記とて記録していましたので、その全てを公開させていただきました。お役に立て頂ければ幸いです。
 また、ご質問などは遠慮なくメールにてお問い合わせ下さい。

2000年8月頃より計画開始・リニアのチューンナップ。
 RIG 、リニアアンプの準備。アンテナは10年以上前に実家で利用していたアンテナ。中古のアンテナを入手してそ
れぞれ、メンテナンスを行いました。
 RIG・リニアは新品を準備しました。リニアは、3K CLASSIC X MKUを準備していたのですが、このさえ1.9MHzも
1KWと思い、3K CLASSIC X MKUを手放し、思い切って3K PREMIRとしました。
 早々、オンディレイ、オフディレイ回路を追加し、国産のブリーダー抵抗に交換します。出来れば、RF出力のコンデン
サも交換したかったのですが、パンクした時に考えるとして今後の課題としました。2006Aは利用頻度も少ないので、
ブリーダー抵抗の冷却ファンのみ追加しました。


3K PREMIRの電源部上段で、ONディレーが2個とOFFディレーが1個のタイマーリレーからパワーリレーを駆動。

リグ関係
 エキサイタ・・・ICOM IC-756PRO(1台で、1.9MHz〜50MHzまでカーバー。検査手数料を少しでも安くあげました。)
          (2000年8月に新品購入。約半年後にIC-756PROUが発売。ガックリ)
  RIGはTS-520DからTS-940SとKENWOODファンではありましたが、最近のKENWOODのRIGはイマイチのように思
  えて、今回はICOMを選びました。
 リニア・・・HF用(1.9〜28MHz) HENRY 3K PREMIR(SINGLE 3CX1200A7)
          (3K CLASSIC MKUにRF切り替えの真空リレーと1.9MHz追加のフロアータイプ)
        50MHz用 HENRY 2006A(SINGLE 3CX800A7)(デスクトップタイプ)
  リニアはいずれも、HENRYより個人輸入にて直接購入しました。万が一の時は自分で対応しなければならないリ
  スクを背負えるOM諸氏なら、直販が金銭的な助けになります。

 
左の写真で、下が今回の検査対象のIC-756PRO、中段は移動用免許分で、アナログ
人間ながら、近い時期にはパケット用として準備中のTS-790Gと上段のIC-820D。右の
写真で、奥側のフロアータイプが3K PREMIR、手前のデスクトップタイプが2006Aです。
机前下には冷却ファンを追加したダミーロードとRFinqの電源コモンモードフィルターです。

アンテナの土台(タワー)
  23mHクランクアップタワー・・・愛知タワー工業 様 ATK−23
                (Aのクランクアップタワー、ATK-23建設塔記。を参照下さい。
  ( OM諸氏にお勧め。安全度ピカイチ。200%満足。アフターもバッチリ。愛知タワーを選んで大正解でした。)


クランクダウンした状態です。デジカメの性能が悪いので傾いて写っています。左の垂直アンテナがCV-48です。

アンテナ
  1.9MHz・・・B&W社製耐圧2KWフォールデットダイポール(USAのショップより新品購入)
   (1.9MHz〜30MHzまで耐圧2KW PEP、SWR2.0以下でブロードカバー。3.5MHzと3.8MHzも検査を受ける事
    に・・・。)
  3.5MHz、3.8MHz・・・クリエイトデザイン CV-48 + 3.5MHz用アダプタ
               (約5年前に新品購入し、未使用保管分)
  7MHz、14MHz、21MHz・・・クリエイトデザイン 714T
               (7-2ele、14/21-4ele 15年程前に実家で利用していた分)
  10MHz、18MHz、24MHz・・・クリエイトデザイン 830V-1
               (約6年前に新品購入し、未使用保管分)
  28MHz・・・クリエイトデザイン CL-10 (5ele 約10年前に新品購入し、未使用保管分)
  50MHz・・・クリエイトデザイン CL6-DXX
               (7ele 8年前に未使用品をローカル局より譲り受け分)


タワー上から、CL6DXX CL-10 714T 830V-1 B&W社のフォーレデットダイポール
左下はテレビのUHF帯のアンテナ。インターフェア調査のため2本で2方向からモニター受信。

2001年2月14日 変更申請書類を作成し郵送。
 総務省のホームページで、一太郎とWORDの様式があるそうですので、確認されてはと思います。ちなみに、私の
場合は某連盟発行の変更申請書一式を予備として所持しておりましたので利用しました。
 200Wを超える場合、送信機の系統図の添付が必要となりますが、写し変えるのは大変です。取説をコピーし、リニ
アアンプ(終段の名称を記載)やフィルター関係及び付加装置を追加したものを添付します。

2001年2月14日 提出後、近畿総合通信局へ連絡するが・・・。
 近畿総合通信局へ変更申請提出について、電話連絡したがN担当官が出張のため16日に電話で打ち合せのア
ポ。

2001年2月16日 N担当官とコンタクト、電磁波の防護指針の説明を受ける。
 連絡待つが無いので午後4:30頃電話する。
 N担当官より電波法事情の防護指針について説明を受ける。
 防護指針の基準がクリア出来ているのであれば、予備免許を付与するとのことで、検査を受けようとする空中線か
ら計算した書類の提出を求められ、提出があるまで保留。
 注意点として、クランクアップタワーの場合は、クランクダウンした状態で計算値を出して下さいとのアドバイスも頂
く。また、ご親切に電磁波が及ぼす人体への影響に関する資料を郵送頂けるとの事。早々、帰宅後、某連盟のホー
ムページを参考にして、電波防護指針について勉強の開始。(長年QRT状態であったので電波防護指針は知らなかっ
た。)

2001年2月25日 電磁波防護指針に基づいて、距離の実測。
 各アンテナの実際の高さ、タワーから道路や敷地の一番近い場所までを巻尺にて計測し、計算式にあてはめて算
出。同軸ロス、ビームパターンの打ち上げ角度等で変わって来るが、アンテナの性能が不明なので一番厳しく算出。
14MHz以上の周波数は全て計算上NGとなる。

2001年2月26日 愛知タワー工業のほりべ社長と防護指針の件で相談。
 電波防護指針の件で、愛知タワー工業のほりべ社長と連絡を取り、クランクダウン時の対策方法について相談し、
アドバイスを頂く。万が一クリア出来ない場合の対策を打てる事を確認。直ぐに対策部品を特別に作って頂き、無料で
提供頂きました。愛知タワー工業のクランクアップタワーをお使いのOMさんは、ほりべ社長と相談されると解決出来
ます。
(何でも、快く相談に乗って頂ける事は既存のお客さんなら承知の上と思いますが・・・。ホント、安心。)

2001年3月5日 電波防護指針の計算式に当てはめて結果一覧表の作成。
 電界強度の計算結果を表にして提出。クリア出来ない周波数は、対策方法を明記して提出。

2001年3月6日 変更許可の連絡を頂く。
 近畿総合通信局のN担当官より携帯電話へ連絡があり、変更申請を許可しますとの連絡。落成検査は、いつ頃を
予定されますか?。との事で、ゴールデンウイーク明けぐらいと考えている事を告げる。

2001年3月8日 変更許可書が届く。
 1KWの変更許可書及び、工事落成時に提出する書類、検査前に実施しておく事の説明等、一式が届く。

2001年3月9日 試験電波の発射届の郵送。
 試験電波の発射届を提出(3月10日より)。

2001年3月11日 リニアアンプの出力調整するが・・・。
 RIG 、リニアをダミーロードに接続し、出力調整を実施するがドライブ電力が大きいため、各周波数で1,000Wを軽くオ
ーバーする。
 出力ダウン対処として3K PPREMIRは、VP用トランスタップの入力電圧を240V用とし、プレート電圧を一番低くなるよ
うに設定。ALCを絞り1,000W以内に収まる。しかし、ALCがかかり過ぎ特にローバンドの立ちあがりがNGとなる。
 50MHzの2006AはALC出力がなく、自己バイアス方式のためドライブ電力を落とすしか方法がない。IC-756PROの
パネルのRFつまみで調整は可能ではあるが、オーバードライブによる球の破損を防ぐため、RFつまみ全開で出力設
定する必要がある。

2001年3月12日 ICOMへIC-756PROの出力調整について問い合わせ。
 ICOMのアイユースへ問い合わせを行う。親切に対応して頂き、出力調整方法を記載した、サービスマニュアルの一
部をコピーして郵送頂く事になりました。しかも、郵送料金もICOMさん持ちで送って頂き、更に、無事に届いたかどう
か、確認のメールまで送って頂きました。

2001年3月18日 IC-756PROの出力の調整するが・・・。
 IC-756PROの出力調整をまず、50MHzから実施します。3CX800A7の球ですので、40Wのドライブが限界です。これ
以上かけると球が、飾りになってしまいます。しかし、20Wまで落としても軽く700W出ています。更に調整し、13Wの
ドライブで何とか480Wぐらいに収まりました。
 今度は、3K Premir です。ALCが有るとは言っても、立ちあがりが落ち込むのは、精神衛生上、好ましくありません。
ここは、ALCを調整しながら3K PREMIR からの出力が1KW弱になるようにし、IC-756PROの出力(約50Wでした)を見
出します。
 今度は、ICOMアイユースから送付頂いたマニュアルを参考に50MHzと同様に出力調整を行います。この日は、これ
で打ち止め。終了。

2001年3月25日 更に、IC-756PROの出力調整するが・・・。
 出力調整の続行で、50Mhzは問題ないが、HFで問題が発生。
21MHzが一番出力が出やすい事が分かり、21MHzで1KW丁度に調整し、各周波数の調整を実施するが、周波数が
低くなるほど、出力が出ない。1.9Mhzでは、650Wになる。
 今後の課題として保留し、一旦は機器のカバー類を閉じる。

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