健康のバロメーター


現在、ラーメン万人家(まんにんや)大学前店の「メンマらーめん(680円)」に嵌(は)まっている。大量のメンマ、大振りのチャーシュー4枚、もやし、刻みネギが乗った玉子麺で、ほんのりと煮干し出汁(だし)の香りのする醤油味のスープには、ブタの背脂が浮いている。すり鉢に入って出て来る、これの大盛り(100円増し)の量が、半端でなく多い。毎週○曜日の夜、メンマらーめんの大盛りを注文してスープもろとも綺麗に平らげるのが、ここ半年ほど、私の身体の調子を測る「健康のバロメーター」になっている。

万人家のラーメンは、ラーメン店が軒を並べている新潟でも、かなり美味しい部類に入ると思う。客層を見ても、新潟大学が近い割りには学生より社会人のほうが多く、男女比も半々くらいである。しかしながら、私くらいの年齢(44歳)になると、この店でメンマらーめんの大盛りを頼んで背脂の浮いたスープを最後まで飲み干すのは、かなりヘビーな作業である。麺を2/3ほど食べたところで飽きが来て、食べるのが辛くなり、そこから先は万人家秘伝の味、刻みトウガラシの力を借りることになる(1)。

それでも一週間に一度、食べに行くのが限度かもしれない。「体に余計な脂肪が付くのが怖いので、さすがにそれ以上は店に通う気にはなれない(2)」という事情もある。最後までスープを飲み干さなければ良いのだろうが、私にとって「スープを残す」という行為は「あなたの店のラーメンは美味しくないですよ」という意思表示になってしまうので、それもまた出来ない相談である。

「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」と言われるが、心身共に健康でいられるのは、いつまでだろう。健康のバロメーターである万人家のメンマらーめん大盛りを残してしまったとき、きっと「俺も歳を取ってしまったんだなあ」という感慨に耽ることになる、のかもしれないね。

[脚注]
(1) 大盛りを頼んで最後まで残さず綺麗に平らげるのが、よほど珍しいのか、店の人全員から顔を覚えてもらっているようである。また、この店の大盛りに嵌まる前は、チャーシューが花びらのように丼の周囲を飾る「ちゃーしゅーめん(780円)」を注文するのが、いつものパターンであった。
(2) 私は、この年齢になっても腹は出ていないし、顔にも肉が付いていないので痩せて見られるが、学生時代にバレーボールをやっていたこともあり、筋肉質である。そのため、身長は173cmとそれほど高いわけではないが、体重は80kg近くある。スポーツ選手の性(さが)で、この筋肉が体脂肪に代わってしまうことを多少なりとも怖れているわけである。


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