なぜ「Macintosh」なのか?


トップページを英語にしている。いきなり英語が出て来て、拒否反応を示す日本人もいるようだが「ホームページは世界中の人々が訪れる場所だから、トップページが日本語では不親切であろう」との配慮からである。それに加えて、元々は英文のホームページ作りを目指したことも、その理由のひとつである。

トップページの下のほうには「MacOSでSimpleTextを使用してホームページを作成し、Netscapeブラウザで動作環境を確かめている(1)」と書いてあることに、気づく人も少なくないだろう。これは、とりもなおさず、私がMacintoshユーザーであることを意味する。では、なぜ「Macintosh」なのか?

1990年代に入り、学術論文を掲載する国際専門誌では、投稿原稿がアクセプト(掲載許可)された時点で、最終稿のファイルがコピーされたディスクの提出を求められるケースが増えてきた。これが日本国内だけで済む話なら、何の問題もなかった。だが、世界を相手にしている研究者には「欧米諸国で発行する国際専門誌では、1990年代前半まで受理可能なディスクはMacintosh仕様か、またはIBM仕様の二者択一しかない」という現実があった。

それまでは、NECのPCでMS-DOSを使用して原稿を作成していたのだが、フォーマットの違いからIBMのPCでは、その原稿を読み込むことが出来なかった(2)。そのため、印刷会社の職人が「提出された最終稿を元に写植する」という昔ながらの作業をしなければならず、論文の校正時に発見されるミスが多かった。当時はDOS/Vマシーンが出始めたばかりで、とても試す気にはなれず、かといって国内にIBMのシェアは圧倒的に少ないので、そのときの私には、Macintosh以外に選択の余地はなかったのである(3)。

かくして、ただでさえ少ない生活費を節約してまで蓄えた預貯金を切り崩し、自分でPCを購入せざるを得ない状況が、とうとう来てしまった。購入したのは「Macintosh Performa 6210」という機種で(なんと、OS7.5.1)、そのときは最新式だったPCが、現在では、まるで骨董品のようである(4)。そして、その骨董品を、ずっと宝物のように使い続けているわけである(貧乏で、新しいPCを買うお金がないだけの話である)

[脚注]
(1) 「SimpleTextを使用してホームページを作成」という言葉が意味するところは、意外と知らない人が多いようだが「ホームページ作成用のソフトを使わずに、自分でタグを書いてHTMLファイルを作成している」ということである(このほうが、確実だし......)。
(2) それまで随分と、NECのPCには世話になった。9801VM、VXを初めとして、DA、DX、等々、本当に色々なPCを使わせてもらった。但し、私が所属する研究室にあったのは9801VXだけで、それ以外は他の研究室のPCである(生物学科ではない)。当然のことながら、どのPCでもハードディスクにデータを残せないので、フロッピーベースでの使用であった。
(3) それまで高級品で手が出せなかったMacintoshが、200,000円代で買えるようになったことも、Macintoshを選んだ理由のひとつである。
(4) 私のPCのRAMは32MBしかないが、元々は16MBで、たった16MBのRAMを増設するのに、当時は50,000円を必要とした(その半年後に、同じメモリのRAMが約8,000円にまで値下げされたことは、現在でも悔しい思い出である)。ちなみにハードディスクの容量は、たったの500MBである。この環境でホームページ作りをしていることもあって「どんな読者に対しても、速い動作環境を提供する」という目的以外にも「なるべく容量の小さいファイルを作成することで、ハードディスクに負担をかけない」という目的があることを、賢明な読者なら分かっていただけたかと思う。


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