(A) 大きく育ったミズバショウが優占する浅い湿地帯で、中には1本の朽ちた倒木があり、ハクバサンショウウオの卵嚢20対が付着していた。この年は、以下に述べる同じ倒木に沿った3ケ所以外で、湿地帯内に産卵は見られなかった。
(B) 6対の卵嚢で、倒木の1ケ所に集中していた(6対の卵嚢の周囲で、倒木の外側の水温は10.9℃、倒木の内側の水温は13.2℃、水のpH=6.7、午前10時58分に計測。標高930m)。胚発生のステージは、全て原腸陥入期で、未受精卵は見られなかった(17〜38胚)。
(C) 7対の卵嚢群で、Bからは30cmほど離れていた。胚発生のステージは、桑実胚初期から卵黄栓期までで、未受精卵が1個あった(19〜39胚)。
(D) 7対の卵嚢群で、Cからは30cmほど離れていた。胚発生のステージは、胞胚期から馬蹄型卵黄栓期までで、未受精卵が1個あった(17〜33胚)。
湿地帯の周囲は、2006年5月3日には、(30〜40cmの深さの)積雪で覆われていた。そのとき、サンショウウオは、陸上にも水中にも見つからなかった(水温=5.3〜8.8℃、水のpH=6.8〜7.0、雪のpH=4.7)。
同行した調査者(アルファベット順、敬称略): 懸川雅市(東京都立小松川高等学校)、岸冨士夫、齊川祐子(しろうま自然の会)。