道路脇の湿地帯

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長野県北安曇郡白馬村北城猿倉にある道路脇の湿地帯。ここには、止水性のクロサンショウウオの卵嚢200対以上が見られた。元々は、ハクバサンショウウオの生息を期待してのことであった。

(A) 湿地帯の全景(2005年4月30日撮影)。このとき、20〜30cmの積雪が湿地帯全体を未だに覆っていたが、水がしみ出しているところに積雪はなかった。このようなところにはミズバショウが芽吹き始めていたが、クロサンショウウオの卵嚢は見当たらなかった。

(B) 湿地帯の全景の2週間後の変化(2005年5月14日撮影)。水のあるところには、合計で100対ほどのクロサンショウウオの卵嚢が産出されていた。それらの中で、およそ10対の卵嚢は半透明タイプであった(他の卵嚢は白色不透明タイプ)。湿地帯の奥のほうは伏流する直前で、ここには卵嚢が14〜15対あった。調査時に、たくさんの鉄バクテリアが水の表面に浮かんでいて、まるで機械油のようであった。

(C) 水深30cmの一時的な水たまりで(水温=11.7℃、水のpH=6.3)、雪融けによるもの(2005年5月14日撮影)。水たまりの脇に腰を下ろしている女性は齊川さん。残雪が多いことに注目(上方部分)

(D) およそ100対のクロサンショウウオの卵嚢で、水たまりの一ケ所に集中していた(2005年5月14日撮影)。卵嚢の多くは、胚発生のステージが胞胚期のものであった。卵嚢の吸水状態から判断して、2日前に産出された数対の卵嚢が、最も新しいもののようであった。この種の成体は、どこを探しても見つからなかった。以上の結果から、この個体群では2週間以内に爆発的に繁殖がおこなわれたことが示唆された。

驚いたことに、流水性のヒダサンショウウオの亜成体が、湿地帯とちょうど反対側の道路を横切った山の斜面にある枯れ葉の中から見つかった。この場所の近くには、枝沢が幾つかあった。亜成体の後肢は、両方とも4趾であった(体重=3.6g、全長=87.56mm、総排出口前端までの頭胴長=51.96mm、総排出口後端までの頭胴長=55.33mm、最大頭幅=9.48mm、最大尾高=6.26mm)。

同行した調査者(アルファベット順、敬称略): 懸川雅市(東京都立小松川高等学校)、岸冨士夫、齊川祐子(しろうま自然の会)。


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