「富田林・寺内町をまもりそだてる会」は、歴史的町並み保存運動に取り組む地元住民の会です。「地元に残る優れた歴史的町並み・文化遺産を後世まで保存・継承したい。」との熱い思いから、富田林市役所とも密接な連携を図りながら、平成6年(1994年)7月に「寺内町をまもりそだてる会」が発足しました。 歴史的町並み保存に向けて、富田林市文化財課のご支援を得ながら、町の清掃・防火防災訓練、会報発行、記念イベント企画、ボランティアガイド、研修会などさまざまな活動に地道に取組んできています。

2004年10月10日(日)・11日(祝)には、寺内町をまもりそだてる会発足10周年を記念した催しじないまちフェスタが開催されました。 また、2005年8月28日(日)には「寺内町燈路」が開催されています。 2006年4月には訪問者の休息施設及び地元住民の集会施設として新たに「じないまち交流館」が開館し、「富田林・寺内町をまもりそだてる会」が管理・運営を行っています。



じないまち交流館(2006年4月開館)

木口副会長、佐藤会長(右)
2006年5月7日 じないまち交流館にて


2006年5月7日(日)午前10時から、本年4月に新しくオープンしました「じないまち交流館」(富山町)で佐藤康平会長、木口副会長から会の最近の活動などについてお話をお伺いする機会を得ました。佐藤康平会長は、京谷会長(初代、2年間)、勝山会長(二代目、7年間)に次いで、2004年5月から三代目会長。佐藤会長は、じないまちをまもりそだてる会の活動に長年従事されるとともに、訪問者の休息施設・地元住民の活動拠点としてニーズが高かった「じないまち交流館」開設に向けて、地元意見の調整や行政等関係者との橋渡しなどに尽力されてきました。


「寺内町をまもりそだてる会」の過去10年間の地道な活動が実を結び、町並み保存・修景事業により町家や街路など町並み全体が美しくなったこと、さらに国の伝統的建造物群保存地区に指定されてから国の財政支援・税の優遇措置などを得ながら「じないまち交流館」のような整備事業が充実してきたこと、そうした会の活動が地元住民の交流や地域活性化にも少なからず役立っているとのことです。

富田林寺内町は、いわゆる俗観光地化することなく、静かな住環境を守りながら、歴史的町並みを保存・維持しながら、併せて地域社会の再生も進めてゆきたいとのお考えです。地域住民の高齢化が進む中で、子供を見かけない町から、若い人たちが住む活力ある町に再生したいとお考えになっておられます。訪問者の中には古い町並みに暮らしてみたいという方々もおられるため、既に人が住まなくなった古民家の「貸家情報ネットワーク」事業などにも今後、取り組んでみたいとのこと。

毎年8月最後の日曜日には、手作り行灯を通りに一斉点火する「寺内町燈路」を恒例行事として開催する計画で、今年からは地元住民以外の方々からも行灯の絵柄を広く集めて、当日は街路に並べて展示(点火)したいお考えです。

寺内町は自治自衛都市が起こりであったように、地域防災・防犯と町並み再生への取り組みは、「自分の住む地域社会は自分がまもりそだてる」といった住民意識によってその動きがいっそう広がってゆくのではないでしょうか?

同会副会長を務めておられる葭谷(よしたに)武雄さん(大正11年生まれ、写真)にお目にかかり、行政と共に歩む保存運動への取り組みや、訪問者へのボランティアガイド活動についてお聞きしました。

現在ではじないまちの住民約500世帯のうち、約5分の3に当たる会員数298名(世帯)を擁する組織となっています。歴史的町並み保存と住環境の整備をテーマにした定期的な会合が持たれており、会報(「じないまち瓦版」)も年3回程度発行しています。また全国各地の町並み保存に取り組む市町村や地元団体との相互交流も積極的に進めて来られました。国(文化庁)から1997年に大阪府では唯一の重要伝統的建造物保存地区に指定されたのも、こうした地元住民と自治体の保存に向けた熱意と、地道でたゆまぬ努力の賜物です。

毎年5月のゴールデンウイーク期間中に富田林市が主催する富田林市民ふれあいまつりでは寺内町域も会場の一部となり、スタンプラリーやじないまちボランティアガイドによる案内などで、企画・協力をされています。

富田林市役所・文化財保護課のご協力を得て、2002年4月30日午後に重要文化財・旧杉山家住宅にて葭谷さんに取材をさせて頂きました。この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

富田林・寺内町を守り育てる会・葭谷副会長(2002年4月30日撮影)
葭谷(よしたに)武雄副会長

(2002年4月30日、重要文化財・旧杉山家住宅にて)
富田林寺内町をまもる会

1973年(昭和48年)に地元住民が「富田林寺内町をまもる会」を結成し、初代会長を中井亀太郎氏が務められました。学術調査や行政による町並み保存の動きに呼応しながら、地元住民も歴史的町並み保存に向けて活動を開始してゆきました。当時の資料は手元には多くありませんが、富田林中央図書館には当時の学術調査に関わる調査報告書などが残っており閲覧もできます。

「歴史の町並み 近畿編」(保存修景計画研究会 西川幸治・苅谷勇雅編 NHKブックスカラー版、1982年6月1日 日本放送出版協会刊)の中で、富田林寺内町をまもる会について 以下のような記述がありましたので、一部を引用させて頂きました。

『今、富田林寺内町をまもる会」をつくり、その余生を寺内町町並みの保存にかけた中井亀太郎さんというおじいさんは、「私を勇気づけてくれるのは、近くの新しい住宅団地に住む奥さんたちが寺内町を訪ねて、私にぜひこの町並みを保存してくださいと訴えられることです。」という。富田林寺内町の町並みが、富田林を特徴づけ、そこに住む誇りとなり、新しく移り住んできた住民と富田林に古くから住みつづけてきた住民を結ぶ固い絆となっているのである。』(西川幸治氏)

2006年7月2日 管理人

じないまち交流館
 (2007年じないまちカレンダー絵柄)



「寺内町カレンダー」 2006年版

毎年年末には同会員向けに限定して、きり絵作家・近藤好幸氏のきり絵風景画を取り入れた「寺内町カレンダー」を頒布されています。

じないまちボランティアガイドお問い合わせと事前予約先:

 ガイド申込書(PDF) (Fax送付先: 0721−25−9037)
 
じないまち交流館(月曜休館 電話:0721−26−0110)
又は
富田林市教育委員会文化財課(電話:0721−25−1000代表)
真夏の夜の音楽会も開催されました。
〜時代を越えて響く弦楽四重奏の調べ〜

1.日時: 2006年8月27日(日)午後7時半〜8時半
2.場所: じないまち交流館

寺内町燈路の開催された平成18年(2006年)8月27日(日)にじないまち交流館において午後7時30分から午後8時30分までクラシック音楽を中心した音楽会が開催されました。これは、富田林市立中央公民館の協力の下に富田林寺内町をまもり・そだてる会、富田林町連合会、富田林市の共催により行なわれました。この音楽会の出演は、

アンサンブル“ベンジェ・ドブジェ”代表:井上康夫氏)という新進の演奏家によって結成された室内音楽グループでした。当日はクラシック音楽でも誰もが一度は聞いたことのあるポピュラーな曲目を中心に演奏されました。会場には早くから来られる方も多く、開演時間には立ち見も出て大変盛況でした。来場者数は二百人を越えていました。クラシック音楽の生演奏を身近に聴けるということもあって、これほど多くの方々が来られたのは予想をはるかに超えたものでした。

(お断り: 富田林寺内町をまもり・そだてる会発行の会報「じないまち瓦版」34号(平成18年11月28日付)2面記事からそのまま転載させて頂きました。)

寺内町燈路 大好評のうちに終わる
〜富田林寺内町の夏の恒例行事となる〜



1.日時: 2006年8月27日(日)午後7時〜9時
2.場所: 富山町及び城之門筋

今年で3年目を迎える「寺内町燈路」が、平成18年(2006年)8月27日(日)午後7時から開催されました。当日は午後4時過ぎに激しい雨が降り、一時開催が危ぶまれましたが、雨は暫く続いた後上がり再び陽が差すという目まぐるしい天候でした。一雨降ったお陰で気温も下がり風も涼しくなり過ごし易い夕暮れとなりました。今年は、大行灯(あんどん)以外に中行灯も制作しました。これは、各町会の区切りに町会名を書いた脚付きの行灯を置いて各町会ごとの会員の力作を見ていただこうというものです。また、今年から一般参加者の募集も始めました。今回は、14個の行灯が一般参加の区間に並べられました。

開催場所は、じないまち交流館のオープンを記念して富山町と城之門筋でした。このように、地区内において毎年場所を変えて行なっていく予定をしています。午後7時に一斉に行灯に火が灯されました。辺りがしだいに夜の帳に包まれる頃になると、幻想的な世界が広がります。昼間とは違った夜の寺内町の顔を見ることができました。午後8時頃には人出もピークに達してじないまち交流館前は、まるで大阪の心斎橋のような混雑ぶりでした。当日の来場者数は、約2千人に達するものと思われます。あちらこちらでは撮影に来られたカメラマンの方々も多く見られました。また浴衣姿の親子連れも見られ、ほのぼのとした雰囲気を醸し出していました。来年も、今年以上に多くの方々に来ていただけるように、様々な工夫を凝らせて行きたいと思っています。

(お断り: 富田林寺内町をまもり・そだてる会発行の会報「じないまち瓦版」34号(平成18年11月28日付)2面記事からそのまま転載させて頂きました。)

2005年8月28日(日)午後7時〜9時
寺内町燈路 開催 〜夏の夜空を照らす灯りの祭典〜

午後7時に旧杉山家住宅かた城之門筋にかけて約3百個の小行燈と町会ごとにある14個の大行燈に一斉に火が燈され、「寺内町燈路」がスタートしました。

ライトアップが開始された午後7時の段階では空にはまだ少し明るさが残っていましたが、辺りに夜の帳が徐々に降りてくるにつれて、様々な町並みの表情を見る事ができました。特に暗闇の中で行燈の光によって浮かび上がってくる町家の雰囲気には木と漆喰壁が持つ質感に圧倒されるとともに荘厳さが感じられました。

また、個々の行燈を見てもとても興味深いものでした。明かりを灯すまでは一見してただの白い半紙のようなものが、明かりが灯されると影絵のように家紋が浮かび上がってくるものやきり絵で作られたもの、本格的な水彩画、子供が描いた絵、町家のスケッチ画。。。など例をあげればきりがないくらい多種多様な行燈が並びさながら行燈の展覧会のようでした。

中には1個1個丁寧に行燈を見て回る見学者の方もおられました。さらに、ライトアップを撮影するために来られたカメラマンも数多く、良い構図を求めて様々な角度に挑戦する姿がとても印象的でした。

このイベントは、今回で2回目ですが親子連れが目立つなど夏休みの終わりにふさわしく家族のふれあいの場となっていました。行燈を制作する際や点灯当日も含めて(富田林じないまちをまもりそだてる会の)会員同士の交流の場としても大きな役割を果たしていると思います。

そのため、今後も交流の場としてまた家族で楽しめるイベントとしてライトアップを継続していきたいと思います。

(注)
富田林じないまちをまもりそだてる会会報「じないまち瓦版」第31号(2005年9月8日発行)より記事を転載させて頂きました。


富田林寺内町 町並み保存の歩み

1973年(昭和48年) 地元住民を中心に「富田林寺内町をまもる会」を結成(中井氏が初代会長)
1974年(昭和49年) 文化庁の支援により第1回保存対策調査
1979年(昭和54年) 富田林市が杉山家住宅を取得
1983年(昭和58年) (旧)杉山家住宅が重要文化財に指定
1987年(昭和62年) 町並み保存条例制定、(旧)杉山家住宅を一般公開
1991年(平成元年)  伝建条例制定
1994年(平成6年)  「富田林寺内町をまもりそだてる会」発足(京谷氏が初代会長)
1997年(平成9年)  伝建地区指定(国の財政支援開始)
1998年〜2008年 (平成10年〜20年) 街並み環境整備事業
2004年(平成16年) 「富田林寺内町をまもりそだてる会」発足10周年

富田林市富田林伝統的建造物群保存地区保存計画

富田林寺内町に関する写真や資料をお持ちでしたら、是非ご連絡をお願いします。
ホームページへのご意見・ご感想をお待ちしています。

富田林・寺内町の探訪 (トップページへ戻る)

Copyright 2002-2004 by Naoya Okutani , edited in Japan


直線上に配置