1年生の練習内容 2002年2月号 改定:平成14年2月17日 |
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●3対1でパス回し 味方を探してパスをする練習はいろいろあるが、今回は限られたエリア内で3人がパスを回して1人の鬼がそれを追う3対1を行ってみた。これは高学年がウォーミングアップ等によくやる練習だが、1年生でもルールを簡単にすれば何とかやれるのではないかと思って試してみた。状況に応じて最適なタイミングで味方にパスをするというのは、大人でもなかなか難しい。決められた所に蹴るだけの単純なパス練習では身につかない技術だ。早い時期からこうした状況判断を多く含んだ練習を多く取り入れることで、多くの子が試合を自分で組み立てられるようにしたい。 ・準備 1.この練習は基本的に3対1、つまり4人1組で行うので、まずは全員に4人一組になってもらう。全体の人数が4で割り切れない時は、余った子をどこかの組に加えて、1組5人で行う。 2.パス回しを行なうエリアを組数分つくる。例えば13人の場合は3つ作ればよい。1年生ではまだうまくボールをコントロールが出来ない子が多く、エリアが狭いとすぐにボールが出てしまうことから、エリアは少し大きめにする。10m四方位は欲しい。 ・ルール 1.最初に4人(または5人)1組でジャンケンをさせて鬼を1人(または2人)決める。 2.残りの3人で、鬼にボールを取られないようにパス回しをする。 3.スタートは、1回目のパスが通ってからにする。そうしないと、パスを出す前に鬼がちょっかいを出してしまってなかなか始められないからだ。 4.鬼の交替条件は次のとおり。 @鬼以外の子がエリアからボールを出した場合。(鬼が最後に触った場合はそのままである。) A鬼がボールを奪ってキープした場合。わかりやすくするために足の裏でボールを押さえた時とするとよい。 Bボール回しをしている子が反則をした場合。 Cパスはきちんと出したが、受ける子がからぶりをしてボールが出てしまった場合は、からぶりした子が鬼になる。 D鬼がボールを奪ったが、誰が最終的に関与していたか判断がつかない場合は、ジャンケンで鬼を決める。 5.一定時間(2〜3分)が経過したら、ジャンケンで2人ずつローテーションさせる。こうすることでマンネリ化を防ぐ。子供達は新しいメンバーで再び気持ちを入れ替えて頑張りだす。 ・指示 1.ボール回しをする子への指示 @ボールを持っていない子は、ボールを持った子の両側に開く。 A鬼がそばに寄ってこないときはすぐにパスを出さない。鬼をぎりぎりまで引きつけてパスを行う。 B鬼がいつまでもボールを取りに来なかったら自分から鬼のところに近づく。 2.鬼に対する指示 @簡単にかわされるので毎度毎度一発でボールを取りに行かないこと。 Aどちらかのサイドのパスを出させないように(ワンサイドカット)行う。 ・効果 これは勝ち負けをはっきりさせる勝負ではない。ゲーム性が強いので上手な子もそうでない子も皆同じ仲間として同じレベルで練習できる。上手な子でもなぜかすぐにミスをして鬼になる。従って、誰のせいで勝ったの負けたのというような言い争いがほとんどなく、仲良くできる。知らぬ間に味方同士でパスをする感覚が身につく。 状況を見て、人数合わせのためにコーチが入ってもよい。子供たちがやれない技を披露して盛り上げたり、時々は鬼になったりするとよい。狭いエリアなので、それほど違和感がなくできるはずだ。 |
●競り合いからシュート 8月号で紹介した“ボールの奪い合いからシュート”では、ゴールは別々に1つずつだった。今回の練習はゴールを2つ作ることで、2つの選択肢から瞬時にどちらが有利になるかの判断をさせることを狙ったものだ。 単調でハードな内容にならないように以下の2点を練習の条件に入れることはこれまでと同じだ。 @勝ち負けがはっきりしていること。 A得点をしたことが、自分のチームの勝利に貢献すること。 チーム分け まず全員を集合させて一列に並ばせる。「前から順番に番号を言ってください。番号を言った子はすぐに座ってください」。こうすると、たちまち順番が決まってしまう。そこで、たとえば12人いたら、「1,2,5,6,9、10番の子はゼッケンをつけてください。」と言って、ゼッケンをつけさせる。 準備 大きなコーンでミニゴールを2つ作る。ボールを置くエリアを作り、全員に手でボールを入れさせる。得点用の小さなコーンをボールの置いてある後ろに各チーム分10個ずつ置く。 ルール説明 「コーチが出したボールを競り合ってゴールに入れてください。シュートする方向は向こう側からだけです。2つのゴールのどちらへ入れてもかまいません。得点した子は小さなコーンを自陣へ持っていってください。」と言ってから始める。 一度勝負がついたら、チーム替えをして2対2にする。こうすることで、また練習内容に新鮮味が出てくる。 効果 単純な内容なので、子供達は夢中になってボールを追い掛けまわす。ゴールが2つあるので、だまっていてもそのうちに有効に使うことを考え出す。右へ行くと見せかけて逆を狙う子も出てくる。下手な子でも動いていればチャンスがめぐってくるので、積極性を養うにはもってこいの練習である。 |
試合中には目の前でボールが大きくはずんでくることが多い。それをうまくトラップできないとシュートやパスがうまくできない。ここでは、単純なシュート練習ではなく、その前にトラップを意識的にさせてみた。また、交替でキーパーもさせることにした。これは、キーパーの経験と同時にシュートの待ち時間(人数が多いと長くなる)を有効活用するためだ。 準備 まず、各自のボールをコーチのそばに手で全部置いてもらう。次に大まかにシュートをする子とキーパーをする子に分け、所定の位置に並ばせる。 ルール説明 @コーチが投げたボールが地面ではずむところを体を幾分前に倒して胸でトラップ後、シュートをしてください。 Aシュートをした子はボールを拾ってゴール裏を回り、キーパー待ちの列の後ろに並ぶこと。 Bキーパーをした子はボールを拾ってコーチにボールを渡す列の一番後ろに並び、終わったらシュートをする列の後ろに移動すること。 盛り上げ方 「先に10点取ったら優勝です」と言ってから始める。これをひとこと言っただけで皆必死になって頑張る。 キーパーへの指示 なぜか、シュートを怖がってゴールライン上で待つ子があまりにも多かったので、ゴール前1mくらいの所に線を引いて、「必ずこの線まで出て待つこと!そうすれば簡単にシュートが入らなくなるから。」と指示した。 |