2年生の練習内容 2002年6月号 改定:平成14年7月6日 |
目 次 |
●ドリブルからシュートの競争 ジグザグドリブルの練習を手っ取り早くやろうと思ったら、コーンをゴール前まで2〜3m間隔で縦に並べてやらせることが多い。しかし、やらせてみるとボールに蝿が止まってしまいそうな位ゆっくりとした調子でやる子が何人もいる。ドリブルで相手をかわす時には、スピードがなくては敵を抜くことはできないし簡単に取られてしまうであろう。そんな風にのんびりとやっている子は、いくら練習しても実戦では役に立たない。そこで早くドリブルするという意識をつけさせるために、2人で競う形式にしてみた。 準備 ゴールに向かってコーンを4つずつ縦に2列置く。全員を半分ずつに分けてコーンの前に縦に並ばせる。各チーム毎に前から番号を言わせて順番を決める。この順番にドリブル競争を行い、キーパーもこの順番で交替するように指示する。また、得点記録用のホワイトボードを準備する。 ルール説明 「今からコーンをジグザグドリブルしてからシュートをします。コーチから合図があったら各チーム1人ずつが同時にスタートしてください。先にゴールに入れた方が勝ちです。勝った子は、ホワイトボードに線を一本だけ引いてください。引き方は“正しい”という字になるように順に線を付け足してください。どちらかのチームが20点になったら終わりです。キーパーは一巡したら交替します。」 「ドリブルはコーチから言ったやり方で必ずやってください。ルールに従わない子はやりなおしをさせます。最初は、両足のインサイドで交互にタッチです。それでは準備できたかな?ヨーイ、ドン」 何回かやったら、ドリブルのやり方を下に示した順番で変えていく。 ・片足だけで行う(インサイド → アウトサイド を交互に行う) ・足の裏でボールを運ぶ ・自由なドリブル 効果 @相手よりも早くシュートをしようと思って、無意識に早いドリブルをするようになる。 Aドリブル練習だけではふざけたりしてしまう子も、競争には負けたくないので一生懸命やる。 Bルール違反をしたらやり直しをさせられて勝負に負けてしまうので、いろいろなドリブルメニューをやらせても素直に従う。 予期しないことへの対応策 しばらくやっていたらペナルティエリアよりも前に出て待ち構えるキーパーが出てきた。これでは練習にならないので、次のようにルールを追加した。「キーパーは、シュートする子が最後のコーンを抜けてくるまではゴールエリアの中に入っていること。コーンを抜け出てきたら前に出てもOKです。」 |
●走りこんだ所へパスを出してもらってシュートする競争 これは5月号で紹介した「走りこんだ所へパス」の改良版で、走りこんだ所へ味方からパスをもらってシュートする感覚を養うのは同じだが、よりスピーディにやらせようとするものだ。 準備 下図に示したように大きなコーンを左右対称に2つずつ置く。手前のコーンはスタート地点。斜め前のコーンはボールをもらう時にその外側を回らせるためだ。ボールを置くエリアを作り、全員に手でボールを入れさせる。得点用の小さなコーンをボールの置いてある後ろに各チーム分10個ずつ置く。 ルール説明 「まず、各チームごとに並んで順番を決めてください。その順番でキーパーを交替します。それでは今からルールを説明します。シュートする子は最初に次の順番の子に短いパスを出すと同時にその子の背中をまわって斜め前のコーンの外側を回ります。パスを出す子は走りこんで行く所に合わせてインサイドで前方の2つのコーンに向かって蹴ってください。このパスをもらったら前方のコーンをかわし、そのままドリブルで持ち込んでシュートをします。コーチの合図で2チーム同時にスタートし、先にゴールに入れた方の勝ちです。勝った子は小さなコーンを自陣へ持っていってください。」と言ってから始める。 ねらいと効果 5月号でやった練習に競争原理を付け加えたので、よりキビキビとやるようにはなった。ただ、どうしてもふざけてしまう子が出てくるのでまだまだ改良が必要なようだ。 |
低学年では、 @高く上がったボールの処理が苦手 A何でもかんでもつま先(トー)でキックをしてしまう という子がほとんどである。 @項については、空中を飛んできたボールの目測を誤り、目の前でバウンドしたボールが頭を越えてしまう。 A項については、思うところには飛ばない、強く蹴れない、うっかりするとつま先を痛めてしまう、とあまりいいことはない。とっさの時ならともかく、1年生の早い時期から指導をしてきた子でも注意しないとほとんどがつま先だけを使ってしまう。 今回はこの2つの課題を2人一組のパントキックの練習で矯正させようという試みだ。 準備と説明 まず2人一組になってもらう。次にタッチライン等を利用して互いに一定の距離(20m前後)だけ離れさせてから次のように言う。 「今から2人で交互にパントキックしてください。パントキックをする時は必ず足の甲(インステップ)に当ててください。つま先ではボールは遠くに飛びません。ボールを受ける子は必ずワンバウンド以内で、手を使わずにトラップすること。ボールは体の正面で迎え、できれば胸に当ててください。トラップは1m以内で行うこと。」 うまくいかない子への指導 パントキックを始めると、つま先の方に当ててしまって思うように飛ばせない子が予想通り何人もいる。そういう子は口でいくら言っても直らない。そばに行き、地面から30cm位の所で、手でボールを押さえた状態でパントキックをやらせてみる。足の甲の固い所を指で押し、「ここに当ててごらん」と言って何回か蹴らせる。正しく蹴れているかは手に伝わる衝撃ですぐ分かる。うまく蹴れて衝撃が強く感じ取れたら、「そう。今の蹴り方で合格。」と言ってやる。こうして何人もの子の指導を次々とやっていく。そのうちにそれまで5mも飛ばせなかった子が突如として飛距離が伸びる時がある。こうなると面白くなって最初よりも一生懸命やるようになる。 |
最近の練習試合を見て気が付いたことだが、普段からドリブルが得意ではない子は団子状態の中に紛れ込んで目の前に来たボールを前へ蹴ることしかやっていない。蹴ってそれを追いかけるならともかく、ただ蹴ってその場に立ち止まってボールの行方を見ているだけだ。今までやってきた練習は何だったんだろうと考えさせられる。連続的なプレーは上手な子が大抵はやってしまうのでいつもは単発のプレーで十分だったのかもしれない。そうした反省から、今月からは長い距離のドリブル突破練習を全員にやらせることにする。ドリブルで抜く自信をつけさせ、団子サッカーからの脱皮をさせようと思う。1年位この練習を続けていけば、現時点で単一プレーしかやっていない子でも、何かしら自信をつけて自分でいろいろ考えたプレーをやれるようになることを期待して・・・。 準備と説明 最近は人数が増えてきたので説明は簡単にいかなくなった。中途半端に口頭だけで説明を済ませると、あらぬ方向に走ってしまってかえって修正が大変になる。まず全員をセンターサークル付近に集めて座らせ、静まるのを待ってから説明を始める。 「まず、2人でジャンケンをして最初の攻撃と守備を決めます。攻撃の子はハーフウェーラインまで下がってください。2人は3m位離れて向かい合います。攻撃側の子からインサイドでボールをパスし、守備側の子は来たボールをインサイドで返します。これを3回繰り返したら1対1の始まりです。どちらがシュートをしてもかまいません。ゴールに入るかゴールラインから出たら勝負は終わりで、攻守が交替します。分かりましたか?それでは好きな子と組んで一斉に始めて下さい。」 ねらいと効果 これまでは、いろいろな形の1対1をやってきた。それはほとんどが局地戦の練習だった。しかし、はるか遠くにあるゴールに向かってドリブルで敵を抜いていく攻撃の感覚と、ゴールを背にしながら守っていくという守備の感覚は養えなかった。この練習はその両方を兼ねている。しかも、ゴールまでの距離が長いので、抜いた後もまた追いつかれて最後まで勝負は分からない。単純な練習だが、サッカーの面白い要素を含んでいて子供達は誰もさぼらない。全員が休むことなく効率よくできるところもよい。 |