3年生の練習内容 

2003年8月号           改定:平成15年9月6日 

目   次

ロングキックの得点競争

3対1のボール回し(鳥かご)

ドリブルリレー競争

ロングキックの得点競争

4月から始まった西地区リーグ戦で3Bチームはかなりの大量得点を許してきた。いろいろな要因があるが、自陣に転がってきたボールを遠くまでクリアできなかったこともその一つで、相手の攻撃を加速させてしまったような気がする。ボールにかすりもせずに大きく空振りしてしまう子もけっこういて、そういう場合は大ピンチを招いていた。ボールが遠くに飛ばないのは、

@足首を固定して蹴ることができない、

A蹴るタイミングが少しずれている、

Bつま先で蹴ってしまう、

というようなことだ。考えてみれば、これまではロングキックの練習をしたことがなかった。なぜやらなかったかというと、最初からこの練習ばかりやらせていると自分の所に転がってきたボールはとにかく前方に大きく蹴るだけになってしまうと思ったからだ。このクセをつけさせてしまうと恐らく簡単には直らなくなるであろう。これまでの練習では、自分のところに転がってきたボールはまずトラップして自分のものにし、次にドリブルやパスをするという感覚を先に身につけさせてきたつもりだ。時期的に見て、もう心配ないであろう。今後の試合で大量得点をとられないようにするためにも、また逆に敵陣でロングシュートを狙えるようにするためにも、今月からロングキックの練習を重点課題としてやらせてみることにした。幸い緑地公園には高いフェンスがあり、いくら遠くに飛ばしても拾いに行く手間がかからないので、この練習には非常に都合が良い。

説明

「今から2人一組でロングキックの得点争いをします。1人がフェンス側からインサイドでボールを出します。これをもう一方がダイレクトで蹴ります。蹴る方はフェンスの前方(15m位)に置いたコーンの位置よりも後ろから蹴ってください。蹴ったボールが直接フェンスに当たれば1点です。飛距離がもっと伸びてフェンスの上側に当たれば2点です。連続して5回行ったら交替してください。」

さらに蹴り方の説明も行った。

「みんなは、つま先で蹴ってしまうことが多いと思います。でも、この練習ではトーキックはやめましょう。遠くへ飛ばないし、足は痛くなるし、どこへ飛ぶか分からないからです。インサイドキック、インステップキック、インフロントキックのいずれかでやってください。」と言って、コーチから3種類の蹴り方の見本をやって見せた。それだけだと、「コーチだからできるのは当たり前」などといって最初からあきらめる子もいるので、子供たちの中でキックに自信のある子に何回かやらせてもみた。

結果

この練習は極めて原始的だが子供達は練習の終わりを告げるまで夢中になっていた。大人でもうまく当たれば「スパーン」という良い音がして飛距離がグーンと伸び、気分はスカッとする。子供も同じだ。さらに得点争いで相手に勝てれば面白みも倍増する。15分くらい放っておいても誰もサボる子はいなかった。その間におかしなキックをしている子に対し、蹴り方の修正指導をおこなった。うまく蹴れない子のほとんどは転がってくるボールに対して真正面から走りこんでいた。真正面からでは自然にトーキックになってしまうので、遠くに飛ばない。そういう子には助走する時に少し斜めから回り込むように入るように指導した。回り込んで蹴れば自然と足の甲がボールの下に入る確率が高くなり、遠くに飛ぶようになるからだ。

ロングキックの必要性

ロングキックが出来るようになるには、何回も何回もトライすることだ。理屈ではない。やった回数である。何回もやっているうちにタイミングも合ってくる。これまでいくら蹴り方を指導しても遠くに飛ばせなかった子でも回数をこなしていくうちに急に勢いよく飛ぶことがある。まぐれでもタイミングが合って遠くに飛べばしめたものである。その時に間髪をいれずに「ナイスキーック」と大きな声でほめてやることが大事だ。その感覚をつかめれば、大きな自信につながるはずだ。また、比較的長めの距離を正確に加減して蹴られるようになるには、このような練習で得たキック力の自信が必要なのではないかと考える。

休憩前の課題・・・ロングシュート

ゲーム感覚でやらせていたこの練習の成果を確認する意味で、ロングシュートを「休憩前の課題」にしてみた。全員に各自のボールをゴールの脇に集めさせた後、ゴールポストの延長上でセンターサークル付近の左右2箇所にコーンを置いて2列に並ばせた。

「今からコーチがゴール脇から蹴ったボールをペナルティエリアの外からダイレクトで蹴ってください。2点入れたら休憩できます。2列あるので、それぞれの列で1点ずつ入れてください。ゴールへ直接入れてもいいし、ゴールのバーの上を越えてもOKです。自分で蹴ったボールは必ずゴール脇に置いていくこと。」

 フェンスを使った練習ではとにかく遠くに蹴ることだけだったが、休憩する条件には方向も加えたことで、キック力だけは人一倍でコントロールができない子にその練習の機会を与えたつもりだ。また、キック力のない子のために、ゴロでもゴールに入ればOKとした。

3対1のボール回し(鳥かご)

この練習は既に1年生の時に試験的に何回かやったことがある。その時はパスがうまく出来ない子が大半のうえ、ふざける子が続出してしまい、まだ早すぎたかなという記憶がある。1年生にはそれ以前の単純な練習にもっと時間を割くべきだと分かったので時期を待っていた。西地区リーグ戦も前半が終わり、そろそろ周りにいる味方と連携する感覚を身につけさせる時期になったのではと思い、この練習を再開することにした。

ルールは1年生の時にやらせた内容と同じにした。タッチ数の制限やボールを遠い方の足でトラップするといったようなことは上達振りを見てからやることにする。

以下は今回特に留意した点だ。

コートの準備は真っ先に

 人数を4で割って必要なコート数を把握し、真っ先にコートを作る。ペナルティエリアやゴールラインを利用して角にコーンを置いていく。広さは縦横10m位は欲しい。

チーム分けは面倒でもきちんと

今回はうっかり「好きな子同士で4人一組になってください」などと言ってしまったので混乱してしまった。面倒でも、まずは全員を1列に並ばせて番号を言わせて、その番号から4列を作り、強引に4人組を決めてしまうことが大事だ。最後の一組だけは大抵端数となってしまうが、人数が少ない場合はコーチが入り、多い場合は4対1、3対2、4対2等にする。

全員が理解できる説明を

「ジャンケンで鬼を1人決めて3人がボールを取られないようにパス回しをしてください。」などと言っていきなり始めてしまうと、ルールを理解していない子が練習を妨げてしまい収拾が付かなくなってしまう。最初に子供たちの中からうまく出来そうな子を4人選んでみんなの前で見本を見せておくことが極めて大事だ。全員がやり方を理解していないと後でもめる原因になるからだ。幸い、今回選んだ子達は1年生の時にやった内容をしっかり覚えていたので、すんなりといった。うる覚えの子もそれを見て思い出したようだ。

【鬼になる条件】

@鬼にボールを取られた子

鬼は取った後、ボールキープを示すこと。それには、足の裏でボールを押さえればよい。

Aボールをエリアの外に出した子

但し、きちんとパスされたボールなのに空振りしたり、わざとボールを取りに行かなかった子は鬼になる。

B反則をした子

 トラブルが発生しないように、ずる賢い子には最初からコーチがマークしていて現場を取り押さえること。

【パスをもらう子の動き】

下の図で、AからBにパスを出した後のAとCの動き方がポイントである。子供たちには、「ボールを持っている子が両手を左右に大きく広げた所へ移動するように」と言った。注意すれば一回目は下の図のA‘とC’のように移動するが、2回目以降はその場で立ち止まってしまう。

この練習の目的のひとつは、ボールをキープしている子の左右に開いてもらう動きが試合中にも無意識に出てくるようになることであるが、すぐに出来るわけはないので長い期間かけるつもりである。

飽きさせない工夫を

どんなに良い練習でも一生懸命にやらなかったら練習の意味がなくなる。何よりも飽きさせない工夫が必要である。

@鬼にはゼッケンを持たせて誰が見てもはっきりと鬼が分かるようにする。

A3分くらいしたら、鬼だけ隣の組に移動させる。移動は例えば左回りと決めるとよい。これでメンバーが変わるので気分も一新してやる気も出てくるはず。

B各ラウンドの終了時間が近づいてきたら、「最後にゼッケンを持っていた子は腕立て伏せを1回やってください。」と言って10秒位前から「10、9、8、7、・・・」と大きな声でカウントダウンすると、それまでだらだらしていた子供達もにわかに活気を取り戻す。

ドリブルリレー競争

いつも広々としたグランドとゴールがあればいろいろな練習ができるが、東舞子小学校や緑地公園などは狭い上に複数の学年で一緒に使うことが多く、どうしても限られたスペースになってしまう。しかし、コーチとしてはどんなに場所が狭くてもどんなに人数が多くてもとっさに判断して最適な練習を考える必要がある。しかも子供達がふざけたりしないようにするには勝負の要素も入れなければならない。

この日のある時間帯(ゴールを譲った時)は、25m×10mの縦長のエリアに人数が22人だった。これではミニゲームも満足に出来ないので、ドリブルリレー競争をすることにした。大抵は直線2列のジグザグドリブル競争にしてしまうが、この日はヘアピンカーブを5箇所作り、同じコースを共用させることで狭いエリアを有効に使えるようにした。

まず、チームをA、Bに分け、片方にビブスをつけさせた。さらに人数が多いほうのブロックのラストの子には、違う色のビブスをつけさせてアンカーとした。コートには、以下のようにスタート地点用の大きなコーンを4隅に、途中に小さなコーンを5つ置いた。次にA、B各チームをさらに半分ずつに分けて互いに対角線上に並ばせた。こうするとスタート時やバトンタッチ時は、常に横幅10m分のハンディがつき、バトンタッチ毎にハンディが入れ替わるので抜きつ抜かれつの白熱した展開に見える。

最初はみんながルールを理解できていないので、小さなコーンをバトン代わりにしてボール無しのリレーを行った。1回目は失敗もあるので、2ラウンドで終了とした。勝負がついたら軽い罰ゲームをして、ドリブルリレー競争に移った。