あ つ か し 山

                                       ▼ 伊達郡国見町大木戸
                                       ▼ 東北本線藤田駅バス越河行大木戸下車

 東北本線藤田駅(国見町)で下車し、北東へ約四キロ、途中鎌倉期の高僧一山一寧の書になる石母田供養塔(史跡)を見て、まがりくねった道を登ると厚樫山(阿津賀志山)の頂上にでます。国見という名にふさわしく、ここからは信達平野が一望の下にみわたせ、蛇行する阿武隈川と、はるか霊山の山並みが美しい。眼下には条里制の遺構が確認でき、条理周辺の森江野地区には古墳群・窯跡・寺院跡などが発見され、古代文化の国見地方への浸透を物語っています。
 厚樫山は、古代東北に君臨した奥州藤原氏が、頼朝のひきいる鎌倉の大軍をむかえうった激戦地で、大将大木戸國衡(おおきぢくにひら)に率いられた平泉軍が陣取ったところです。このとき、信夫庄司佐藤基治も平泉の先鋒として戦い、そして破れました。阿津賀志山防塁(国史跡)は鎌倉軍迎撃のため山腹から東方に向かって築かれた二筋の空堀で、延々数キロにおよんで阿武隈川に達します。現在二重堀のあとが、鉄道や高速道路に分断されながらも、わずかに昔の姿をとどめています。

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