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運動会当日。丸十の指揮で「天然の美」が演奏される中、玉割り、ムカデ競走などが行われている。招待席には田口一家、ゆきの姿もある。
会場入り口前で念入りにパフを叩くカルメンと朱実。何かの拍子に朱実のスカートがずり落ちる。「あんたって下品ねエ」とたしなめるカルメンに「舞台衣装着て来たから、すぐ落っこちるのよ」と朱実。
会場に姿を見せ、最前列へ。おきんが指揮する丸十に「おじょうずですこと」と声を掛けると、調子に乗った丸十は「りんごの唄」を演奏。徐々にテンポを速め、運動会はそっちのけ。困惑する校長先生ら。一郎の制止でやっと一段落。
校長先生からの紹介の後、いよいよ春雄の新曲発表。田口一家三人が「ああわが古里」を歌い始める。
火の山の ふもとの村よ なつかしの古里 花に木に 梢の鳥に 光満てる わが里
「キャー」と叫んで立ち上がった朱実のスカートがぱらりと落ちる。「だって、丸十が手を握るんだもの」。
観衆やんやの大笑い。春雄は怒って演奏を中止、帰ると言う。謝り、なだめる校長先生。おきんも謝るが、「あんたは帰りなさい!」と校長先生に怒鳴られて「いいわよ、そんなこと言うなら帰るから」と半べそかいて駆け出すおきん。
おきんと朱実の派手な服装と突飛で自由気ままな振る舞いは、村中の評判となり、注目の的。白樺林を歩く二人を見て、村の若者は「何だ、ありゃ?」「パンパンだよ」と言う始末。 |
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正さんはそれを気に病んで寝込んでしまう。校長先生も、芸術家とは程遠い二人に、正さんを説得したことを後悔し始めていた。
小高い丘の草原。
運動会の一件でくさるおきん、思いを寄せる小川先生の反応ゼロでくさる朱実からは「もう帰ろうよ」と泣き言が出始める。
しかし、丸十後援でのストリップ公演を思い立った二人は、元気百倍。下着姿で踊り始めるのだった。
それを見たのが、小川先生引率で写生に来ていた子供たち。下着踊りは即座に村中に広まり、耳にした丸十は一儲けを企んで、おきんに興行話を持ちかけるのだった。渡りに船と、おきんが承諾して小屋がけ、宣伝が始まる。
公演当日、ポスターを見た校長先生は憤慨して、病み上がりの正さんのところへ。
ゆきに案内され、高原牧場で正さんに対した校長先生は、おきんの芸術を勘違いして正さんを説得したことを軽率だったと謝り、「今度だけは教育者として黙っておれん。村の者に毒だ」と、おきんの居場所を聞く。
おきんたちは小高い丘の草原で、バケツを叩きながら踊りの練習の真っ最中らしい。「おきんが何かしましたか」と不安げに問う正さん。
「今晩踊る。それも裸で…百円だか取って見せると言うじゃないか。大方丸十の企んだことじゃろうが」。何としても公演をやめさせなければと、おきんのところへ急ごうとする校長先生を丘の老木の傍で呼び止めて「おきんのことならわしにも責任がある…娘の恥ずかしいとこなんか見たくねえ。あんたも見ないでくだせい」と泣く正さん。
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