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2009年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2009年11月17日公開・12月15日追記)
2万円台後半の複合機は、最上位機種とのスペック差が小さいながら、8千円〜1万円の価格差があり比較的購入しやすい価格であることから、売れ筋モデルとなる価格帯である。ここには、エプソンのEP-802AとキャノンのPIXUS MP640が該当する。EP-802Aは27,980円、PIXUS MP640は25,980円と2千円の価格差があるが、この価格帯ならこの程度の差は問題にならないだろう。2機種にはどのような違いがあるのだろうか。
これらの2機種をまずプリンタ部から見てみよう。EP-802Aは上位機種のEP-902Aと同等となっており、6色染料インクで、1.5plのインク滴、5760×1440dpiの解像度である。そのため非常に高画質であり、写真印刷でも粒状感はほとんど無いと言える。ノズル数も同等であるため、L判縁なし印刷が14秒と非常に高速なのも好印象である。一方のPIXUS MP640は上位機種のPIXUS MP990からグレーインクを省いた5色構成となる。染料インクは4色となるため、写真印刷は4色となりEP-802Aと比べると色の薄い部分で粒状感が強くなってしまう。ただし、1plのインク滴と9600×2400dpiの解像度と、インク滴が非常に小さいため、十分に高画質である。目をこらしてみないとEP-802Aとの差は分からないだろう。また、顔料ブラックインクを搭載しているおかげで、普通紙へのモノクロ印刷はメリハリのある印刷が行える。印刷速度はL判縁なしが17秒とコチラも高速である。インクだが、EP-802Aは「つよインク200」でありアルバム保存200年、耐光性50年となる。一方、PIXUS MP640は「ChromaLife100+」であり「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」を使用することにより、アルバム保存300年、耐光性40年を実現している(キャノン写真用紙・光沢ではアルバム保存100年)。どちらも十分なレベルである。また、両機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる。 給紙関連の部分を見てみると、EP-802Aが前面のみ、PIXUS MP640が背面と前面の2方向となっている。EP-802Aでは前面給紙のみとすることで、コンパクトさとデザイン性を高めた形だが、背面給紙がないため、特に厚い紙や封筒などへの対応は少し心配だ(前面から給紙し前面から排紙するためプリンタ内部で曲げられるため)。またL判より小さな名刺サイズなどには対応しないのも残念である。一方で前面給紙トレイが2段とすることで、L判用紙やハガキなどとA4用紙が同時にセットできるようになり、利便性は確保されている。一方のPIXUS MP640は背面からも給紙できるため、厚紙などへの対応も問題ない他、名刺サイズにも対応する。ただし、本体の薄型化のために、前面給紙は普通紙のみとなっている点は注意が必要だ。普通紙は前面に、写真用紙やはがき、厚紙は背面からとなるだろう。自動両面印刷はPIXUS MP640が標準搭載、EP-802Aはオプション対応となる。 特殊機能を見てみよう。DVD/CDレーベル印刷機能はどちらも備えている。さらにEP-802Aはトレイが内蔵されているため、内蔵トレイの上にディスクを置くだけとより簡単になっている点で、さらに便利である。写真の自動補正機能としては、EP-802Aは従来と名称こそ同じ「オートフォトファインEX」だが機能が追加されたものを、PIXUS MP640も機能が追加された「自動写真補正II」を採用し、去年の機種よりさらに高いレベルで自動補正が行えるようになっている。またパソコンからの印刷時、ダイレクト印刷時のどちらでも使用できる。 続いて、スキャナ部を見てみよう。EP-802Aは上位機種より解像度の低い2400dpiとなっている他ADFも搭載されていない。一方のPIXUS MP640は解像度こそ上位機種と同じだが、EP-802Aと同じCIS方式となっているため、分厚い本など原稿が浮いてしまう部分が苦手な他、ネガフィルムスキャンにも対応しなくなっている。両機種とも、最上位機種では特徴的だった部分が省略されて、シンプルになった感じである。2機種には解像度には大きな差があるが、実際には紙原稿のスキャンとなるため、2400dpiでも十分であり、スペック差はそれほど気にする物ではないと言える。スキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能は、両機種とも搭載している。 ダイレクト印刷は、SDカード/メモリースティック/コンパクトフラッシュは両機種とも対応しているが、xDピクチャーカードに関してはEP-802Aのみ対応しており、PIXUS MP640ではアダプタが必要である。さらに、今年のモデルよりキャノンでもUSBメモリからの印刷が可能となり、EP-802AとPIXUS MP640のどちらもUSBメモリに対応している。ただし、PIXUS MP640はUSBメモリからの印刷のみ対応するのに対して、EP-802AではメモリカードからUSBメモリへのバックアップが可能な他、USBメモリ以外に対応の外付けドライブへのバックアップやそれらからの印刷も行える。その他、両機種とも赤外線通信やPictBridgeにも対応している。 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートは両機種とも対応している。またPIXUS MP640はCD/DVDレーベルの手書き合成にも対応している。その他、EP-802Aでは塗り絵風の白黒印刷や、写真を背景に印刷した便箋を始めとする罫線やマス目などの用紙が印刷できる。PIXUS MP640ではカレンダーや原稿用紙、方眼紙、楽譜などが印刷できる他、証明写真サイズに印刷できる機能を備えている。両機種とも最上位機種並みに機能は豊富である(EP-802Aでは動画からの印刷が行えなくなったくらいである)。 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、両機種とも25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える。またCD/DVDレーベルコピーも両機種とも対応である。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、EP-802Aは退色復元、PIXUS MP640では色あせ補正と名称は異なるが、両機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。両機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップに対応する。さらにPIXUS MP640では4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。一方EP-802Aでは逆に、1枚の原稿を16枚に拡大し、貼り合わせることで大きなポスターが作れる機能を搭載している。その他、EP-802Aはコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、見開きの本を左右ページで別々にコピーする「BOOKコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、文字領域と画像領域を認識し、それぞれが見やすくなるよう別々の画像処理を行う「領域判定コピー」といった機能を備える。一方PIXUS MP640には、原稿の一部だけを拡大印刷する「トリミングコピー」機能や任意の箇所を消してコピーする「マスキングコピー」、厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。 操作パネルは両機種で大きく異なる。PIXUS MP640ではスキャナの原稿カバー前方にある液晶パネルを開けると、操作パネルが現れる。液晶の角度調整が行えるほか、使用しない時はフタが出来る。3.0インチと比較的大型の液晶を搭載しており見やすく、新型の「Easy-Scroll Wheel」により操作性も良好だ。一方EP-802Aの操作パネルは本体前面に取り付けられ、持ち上げて角度調整が可能だ。液晶ディスプレイは2.5インチとPIXUS MP640より小型だが最低限のサイズは有しており、また液晶ディスプレイだけでなく操作パネルも角度調整できる点が便利である。ちなみに最上位機種と違いタッチパネルではなくボタン式である。 インタフェースは両機種ともUSB2.0に加えて、有線/無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線LAN/無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。本体サイズはEP-802Aが446×385×150mm、PIXUS MP640は450×368×176mmである。奥行きはPIXUS MP640の方が若干小さいが、EP-802Aの方が高さが抑えられているため、全体としてはEP-802Aの方がコンパクトに見える。また、PIXUS MP640がパソコンの周辺機器ライクなデザインなのに対して、EP-802Aの方は周辺機器らしさを出来る限り消したデザインとなっている。家庭内のリビングなどに置きやすいのはEP-802Aの方かもしれない。 両機種とも最上位機種から一部の機能を省くことにより低価格化を図っているが、省かれた機能はグレーインクやADF、ネガフィルムスキャン、動画から写真印刷など、一部の人しか利用しないようなものである。そのため、それらの機能に興味がないなら、最上位機種と同じ機能を、低価格で手に入れることが可能である。2機種のどちらを選ぶかについては、両機種とも最上位機種の特徴的な部分が省略されたためによく似てしまったために非常に難しい。強いているなら写真印刷中心ならEP-802Aと、写真だけでなく文書印刷やコピーもよく行うならPIXUS MP640という事になるが、EP-802Aでの原稿印刷やコピーが汚いわけでもなく、PIXUS MP640の写真印刷も十分綺麗である。となると、本体のデザインや操作のしやすさといった面で選ぶのも良いかもしれない。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ![]() ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||