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2009年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2009年11月17日公開・12月15日追記)
2万円台前半の機種は購入しやすい価格であるため売れ筋モデルとなっている。この価格帯にエプソンはEP-702Aを、キャノンはPIXUS MP560を持ってきている。価格には1000円の違いがあるが、店舗によっては逆転することもあるため価格差は余り考えず、機能を比較していこう。
まずプリンタ部から見てみよう。EP-702Aは6色染料インクで、1.5plのインク滴、5760×1440dpiの解像度という点では最上位機種のEP-902Aと同等となっている。そのため非常に高画質であり、写真印刷でも粒状感はほとんど無いと言える。ただし、ノズル数が上位機種と比べると半減しているため、印刷速度がL判縁なし印刷で22秒と遅くなっている。とは言っても毎分3枚というのは十分に高速だ。また給紙は上位機種と異なり背面給紙のみとなる。デザイン上はシンプルではないが、その分厚紙や封筒などへの印刷面では安心と言える。また上位機種ではL判サイズまでだが、EP-702Aでは更に小さなカードや名刺サイズに対応している。一方PIXUS MP560は染料インク4色と顔料ブラックの5色構成となる。写真印刷は4色で行うため、EP-702Aと比べると色の薄い部分で粒状感が強くなってしまう。ただし、1plのインク滴と9600×2400dpiの解像度と、インク滴が非常に小さいため、十分に高画質である。また、顔料ブラックインクを搭載しているおかげで、普通紙へのモノクロ印刷はEP-702Aよりメリハリがある印刷が行える。写真印刷はL判縁なしで33秒と十分高速だが、EP-702Aよりは遅いといえる。給紙は前面給紙と背面給紙の両方に対応している。前面カセットは普通紙のみとなるため、前面には普通紙を、背面には写真用紙をセットしておく等使い分けが出来て便利だ。また自動両面印刷もPIXUS MP560のみ対応している。写真が特に綺麗で印刷も高速なEP-702Aと、写真もそれなりに綺麗で普通紙へのモノクロ印刷にも強く給紙方法も豊富なPIXUS MP560といった特徴だと言える。 インクそのものは、EP-702Aは「つよインク200」でありアルバム保存200年、耐光性50年となり、PIXUS MP560は「ChromaLife100+」であり「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」を使用することにより、アルバム保存300年、耐光性40年を実現している(キャノン写真用紙・光沢ではアルバム保存100年)。どちらも十分なレベルである。また、両機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる点で経済的だ。さらに、写真の自動補正機能も両機種とも備えている。しかもEP-702Aは名称こそ従来と同じ「オートフォトファインEX」だが機能が追加されたものを、PIXUS MP560も機能が追加された「自動写真補正II」を採用し、去年の機種よりさらに高いレベルで自動補正が行えるようになっている。またパソコンからの印刷時、ダイレクト印刷時のどちらでも使用できる。CD/DVDレーベル印刷はEP-702Aのみ対応しているため、CD/DVDレーベル印刷をしようという人はEP-702Aとなる。 続いて、スキャナ部を見てみよう。EP-702Aは1200dpiでCIS方式、PIXUS MP560は2400dpiでCIS方式となっている。両機種ともADFやネガフィルムのスキャン機能は搭載していない。またCIS方式であるため、分厚い本など原稿が浮いてしまう部分が苦手なのも両機種共通だ。解像度では大きな差があるが、実際には紙原稿で1200dpi以上でスキャンする事は少ないと言えるため、大きな差はないと言える。PIXUS MP560の方がいざという時若干有利だという程度だと考えられる。また両機種ともスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能を搭載している。 ダイレクト印刷は、SDカード/メモリースティック/コンパクトフラッシュは両機種とも対応しているが、xDピクチャーカードに関してはEP-702Aのみ対応しており、PIXUS MP560ではアダプタが必要である。また両機種ともUSBメモリからの印刷にも対応しており便利だ。さらにEP-702AはメモリカードからUSBメモリへ写真のバックアップが可能である他、USBメモリだけでなく対応の外付けドライブへのバックアップやそれらからの印刷も可能である。両機種ともPictBridgeに対応しているが、赤外線通信はPIXUS MP560では省略されておりEP-702Aのみの対応となる。その他、手書き合成シートも両機種とも対応している。上位機種の備えているメモリカード内の写真を使用して各種デザイン用紙を印刷する機能だが、EP-702Aでは完全に省略されている一方、PIXUS MP560では上位機種と同様、カレンダーや原稿用紙、方眼紙、楽譜などが印刷できる他、証明写真サイズに印刷できる機能を備えている。あくまでオマケ機能だが、あるとおもしろい機能である。 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、両機種とも25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える。またCD/DVDレーベル印刷が行えるEP-702Aは、CD/DVDレーベルコピーも可能である。また両機種とも原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、両機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えているのも同等だ。両機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップに対応する。さらにPIXUS MP560では4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。一方EP-702Aでは逆に、1枚の原稿を16枚に拡大し、貼り合わせることで大きなポスターが作れる機能を搭載している。その他、EP-702Aはアイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」機能を備えているが、上位機種の備える「塗り絵印刷」「BOOKコピー」「領域判定コピー」は省略されている。一方PIXUS MP560は、原稿の一部だけを拡大印刷する「トリミングコピー」機能や任意の箇所を消してコピーする「マスキングコピー」、厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。 操作パネルは両機種で大きく異なる。EP-702Aの操作パネルは上位機種のEP-802Aに近く、本体前面に取り付けられ、持ち上げて角度調整が可能である。液晶ディスプレイは2.5インチと最低限のサイズは有しており、また液晶ディスプレイだけでなく操作パネルも角度調整できる点が便利である。一方、PIXUS MP560は、ここを境に本体レイアウトが下位機種のもになる。操作パネルや液晶ディスプレイはスキャナ部の右側に配置される。液晶ディスプレイは角度調整可能だが、2.0型と小さくなってしまっているのは残念だ。一方操作パネルには上位機種と同じ「Easy-Scroll Wheel」を備えており操作性は良好だ。 インタフェースはEP-702AがUSB2.0だけなのに対して、PIXUS MP560は無線LANにも対応する(ただし上位機種とは異なり有線LANには対応しない)。1機種と接続するだけならどちらの機種でも問題ないが、最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には無線LAN接続の機能は非常に便利だろう。本体サイズはEP-702Aが450×386×195mm、PIXUS MP560は453×368×160mmである。EP-702AはEP-802Aと同じくリビングに合うパソコン周辺機器らしさを消したデザインとなっているが、コンパクトさでは若干劣り、特に高さが大きくなっている。一方PIXUS MP560は 前述のようにこの機種から下位機種のコンパクトなデザインになっているため、特に高さがEP-702Aよりも抑えられている。パソコンの周辺機器らしさを消したEP-702Aとサイズが小さく目立たないPIXUS MP560といったところである。 この2機種は多少方向性が異なるため選びやすい。写真印刷主体なら、6色インクで印刷も高速なEP-702Aがオススメだ。またCD/DVDレーベル印刷を行いたいと考えている人もコチラとなる。一方、複数のパソコンと接続するという人はPIXUS MP560の無線LANが便利だし、顔料ブラックや前面給紙、各種デザイン用紙印刷やバラエティコピーなど、写真画質は最高を求めないので機能が豊富な方が良いという人もPIXUS MP560である。自分に必要な機能は何か、プリンタを買う一番の目的は何かをはっきりさせると機種が決まるのではないだろうか。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ![]() ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||