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2009年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 （2009年11月17日公開・12月15日追記）
エプソンのPX-502AとキャノンのPIXUS MP550はどちらも19,980円で並んでいる。複合機としてはやや安い部類に入り、上位機種と比べるとそれなりに機能が削減されている。そんな中で2機種はどのような違いがあり、どのような特色を出しているのだろうか。
エプソンのPX-502Aは上位3機種とは方向性が全く異なる製品と言える。複合機の中で中位モデルというよりは、EPとPXで2つに分かれる複合機のPXシリーズの最上位機種と考える方が良さそうである。一方のPIXUS MP550は順当に上位機種から機能を省いて低価格化したモデルである。PIXUS MP560から無線LANを外した機種と考えると分かりやすい。 それではまずプリンタ部から見てみよう。PX-502Aは上位機種と異なり全色顔料インクのつよインク200Xを採用する。色数は4色へと少なくなるが、インク滴は1.5plから2plへと若干大きくなっているだけであるため、色の薄い部分を中心に、上位機種と比べるとやや粒状感が出る程度で十分写真画質である。また全色顔料インクであるため、モノクロ、カラー問わず普通紙への印刷画質は高く、耐水性も高い。濡れた手で触ったり、マーカー等を引いてもにじまないというメリットがある。一方で写真用紙への印刷は行えるものの光沢感がかなり薄くなりポストカードのような雰囲気となる。そのため、写真も一応印刷できるが、基本的には普通紙へのプリントやコピーに特化している機種と言える。一方PIXUS MP550は染料4色に顔料ブラックを加えた5色構成となる。写真印刷時はPX-502Aと同じ4色となるが、インク滴が1plと小さいため、6色インクの機種よりは劣るものの、PX-502Aよりは粒状感は抑えられる。といっても目をこらしてみれば多少PX-502Aの方が粒状感があるといった程度である。それよりもインクが染料であるため、写真用紙の光沢感が失われないのがPX-502Aとの違いだ。写真印刷といった点ではPIXUS MP550の方が向いている。一方で顔料インクはブラックのみとなるため、普通紙への印刷やコピーはモノクロのみメリハリがある印刷となる。普通紙印刷の画質や耐水性の面ではPX-502Aの方が上である。 給紙は、PX-502Aが背面のみ、PIXUS MP550が前面カセットと背面の両方に対応する。前面カセットは普通紙のみだが、それでも前面カセットにはA4普通紙を、背面にはL判写真用紙をセットするというように使い分けられる点でPIXUS MP550の方が便利である。対応用紙はPX-502AがL判以上、PIXUS MP550が名刺サイズ以上とこちらもPIXUS MP550の方が上である。一方上位機種と比較して省略された部分として、自動両面印刷やCD/DVDレーベル印刷機能が挙げられる。また写真補正機能はPX-502AがオートフォトファンEX、PIXUS MP550が自動写真補正IIという機能を備えているが、PIXUS MP550はメモリカードからのダイレクト印刷時でも使用できるのに対して、EP-502Aはパソコンからの印刷時のみ使用できる。印刷速度はL判縁なしでPX-502Aが55秒、PIXUS MP550が33秒と、こちらもPIXUS MP550に軍配が上がる。一方のPX-502Aのおもしろい機能として、カラーインクが切れた際にもモノクロ印刷は継続できるという点が挙げられる。通常は1色でもインクが無くなるとプリントが出来なくなるため、便利な機能である。ただし5日間限定であり、常にカラーインクを搭載せずに使用できるわけではない。 続いてスキャナ部である。両機種とも2400dpiのCIS方式となる。CIS方式であるため分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手であるが、2400dpiという解像度は紙原稿のスキャンには十分すぎる解像度であり問題ない。もちろんADFやネガスキャン機能は搭載しない。またスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能はPIXUS MP550のみ搭載している。 ダイレクト印刷は、SDカード/メモリースティック/コンパクトフラッシュは両機種とも対応しているが、xDピクチャーカードに関してはPX-502Aのみ対応しており、PIXUS MP550ではアダプタが必要である。一方USBメモリからの印刷はPIXUS MP550のみ対応している。またPictBridgeは両機種とも対応しているが、赤外線通信は両機種とも対応していない。その他、PIXUS MP550は機能が豊富だ。手書き合成シートに対応している他、メモリーカード内の写真を利用したカレンダーや原稿用紙、方眼紙、楽譜などが印刷できる他、証明写真サイズに印刷できる機能を備えている。多くの人が頻繁に使用する機能ではないだろうが、単独で出来るオマケ機能が多いのはおもしろい。 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、両機種とも25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行えるため便利だ。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、両機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えているのも同等だ。PX-502Aはコピー時に文字領域と画像領域を認識し、それぞれが見やすくなるよう別々の画像処理を行う「領域判定コピー」を行うため、顔料インクと合わせてPX-502Aのコピー画質はかなり高い。一方PIXUS MP550は様々なコピーが行える。2枚又は4枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップ・4アップに対応している。さらに原稿の一部だけを拡大印刷する「トリミングコピー」機能や任意の箇所を消してコピーする「マスキングコピー」、厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。 操作パネルはPX-502Aはスキャナ部の左側、PIXUS MP550はスキャナ部の右側に配置される。液晶は奥にあり、手前に操作パネルがあるのは共通だ。どちらも液晶の角度調整が可能であるため便利だ。さらにPIXUS MP550は液晶部を閉じることで操作パネルにフタが出来るため、使用しない時にスッキリして見える。液晶パネルはPX-502Aは2.5インチ、PIXUS MP550が2.0インチである。0.5インチの差だが、2.5インチでも小さめであるため、2.0インチというとかなり小さく、PX-502Aの方が見やすさでは上と言える。操作ボタンはPX-502Aはボタン式、PIXUS MP550は「Easy-Scroll Wheel」となっている。人によっても違うだろうが、PIXUS MP550の方が便利ではないだろうか。 インタフェースはPIXUS MP550がUSB2.0だけなのに対して、PX-502Aは有線/無線LANにも対応する。2万円台前半の複合機と場合と逆パターンである。1機種と接続するだけならどちらの機種でも問題ないが、最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線/無線LAN接続の機能は非常に便利だろう。本体サイズはPX-502Aが450×342×182mm、PIXUS MP550は453×368×160mmである。設置面積ではPX-502Aの方が小さいが、高さはPIXUS MP550の方が低い。ただ、どちらもサイズは複合機にしてはコンパクトである。 この2機種では方向性が異なるため選びやすい。写真は印刷せず、普通紙印刷やコピー、年賀状印刷等を目的としているなら、全色顔料のPX-502Aがオススメと言える。また有線/無線LAN機能に惹かれる場合もPX-502Aとなる。ちなみに、有線/無線LANに対応した複合機で最も安価なのはPX-502Aである。一方写真も印刷するなら、染料インクを搭載したPIXUS MP550の方が光沢感のある写真が印刷できる。印刷も速く、メモリカード内の写真を使用した手書き合成や各種デザイン用紙印刷、様々なコピーを行う事が出来るのもメリットだ。複合機を購入する時、写真印刷をするかしないかを考えれば、自然と機種が決まるだろう。 （H.Intel） 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/   | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
