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2009年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2009年11月17日公開・12月15日追記)
1万円台前半となると、複合機としてはかなり安い部類になる。エプソンのPX-501Aが13,800円、キャノンのPIXUS MP490は12,980円となる。この価格だと、かなり機能が省かれているが、エプソンとキャノンで省く機能に違いがある。どういった機能が搭載され、どのような差があるのだろうか。
まずプリンタ部から見てみよう。PX-501Aは全色顔料インクのつよインク200Xを採用する。4色インクで3plのインク滴と上位機種より劣る事から、ある程度粒状感が出てしまう。とはいえ、上位機種と比較しなければ十分綺麗な画質であるため、写真印刷なども十分に行えるレベルである。しかし顔料インクであるため、写真用紙への印刷は行えるものの光沢感がかなり薄くなりポストカードのような雰囲気となる。一方でモノクロ、カラー問わず普通紙への印刷画質は染料インクに比べて高く、耐水性も高い。濡れた手で触ったりマーカーを引いたりしてもにじまないのがメリットである。写真印刷も出来なくはないが、普通紙へのプリントやコピー、年賀状印刷等に特化している機種と言える。一方のPIXUS MP490はカラー3色が染料インク、ブラックが顔料インクとなる。一見すると上位モデルと似た構成だが、ブラックの染料インクが搭載されていないため、写真印刷時にブラックインクが使用できず、カラー3色を混ぜて黒に近い色にするため、どうしても黒のメリハリが弱くなってしまう。またインク滴が2plと大きくなっているため、PX-501ほどではないものの粒状感がある。インク滴はPX-501より小さいがブラックインクが使えないため、画質面でどちらが上とは言いにくいレベルである。ただし、染料インクで写真印刷が出来るため、光沢感の失われない印刷が可能なため写真印刷にはPIXUS MP490が有利だ。一方、ブラックの顔料インクのおかげで普通紙への印刷やコピーはモノクロのみメリハリがある印刷となるが、顔料インクはブラックのみとなるため、普通紙印刷の画質や耐水性の面ではPX-501Aの方が上である。カートリッジ構成も両機種で異なる。PX-501Aは上位モデルと同じく各色独立だが、PIXUS MP490はカラー3色が一体となるため、3色の内どれか1色でも無くなると他の色が無駄になるためコスト面では不利だ。 両機種とも背面給紙のみとなる。前面給紙や自動両面印刷、CD/DVDレーベル印刷などの付加機能は省略されている。対応する用紙は、PX-501AはL判以上、PIXUS MP490は名刺サイズ以上となる。写真補正機能としてPX-501AはオートフォトファインEX、PIXUS MP490は自動写真補正IIをそれぞれ搭載されているが、パソコンからの印刷時しか使用できない点も上位機種との差である。印刷速度はL判縁なしでPX-501Aが69秒、PIXUS MP490が37秒と、上位機種より遅くなっているのは当たり前として、両機種でも大きな差がある。写真や年賀状など印刷枚数が多い場合は結構な差になるかもしれない。 続いてスキャナ部である。両機種とも1200dpiのCIS方式となる。CIS方式であるため分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手である。また上位機種と比べると解像度は低めだが、紙原稿のスキャンと言う事を考えると1200dpi以上でスキャンする事はほぼ無いと思われるため、十分な解像度であり問題ない。もちろんADFやネガスキャン機能は搭載しない。またスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能はPIXUS MP490のみ搭載している。 ダイレクト印刷は、SDカード/メモリースティック/コンパクトフラッシュは両機種とも対応しているが、xDピクチャーカードに関してはPX-501Aのみ対応しており、PIXUS MP490ではアダプタが必要である。これらからの写真印刷機能以外、上位機種の備える付加機能はほとんど省略されている。USBメモリからの印刷機能や、動画からの写真印刷、手書き合成シートは非対応である。PictBridgeはPX-501Aのみ対応しているが、赤外線通信は対応していないなど最低限である。メモリカード内の写真を使用した各種デザイン用紙の印刷機能も、PX-501Aは一切無く、PIXUS MP490も原稿用紙、方眼紙、楽譜などが印刷できる「フォーム印刷」のみ対応している。 コピー機能を見てみよう。この価格となると、コピー機能もかなり簡略化されており、特にPIXUS MP490では上位機種との差が大きい。PX-501Aは等倍コピーやB5からA4などの自動拡大・縮小の他、上位機種と同じく25〜400%の間で1%刻みで倍率設定が可能である。一方PIXUS MP490は等倍コピーと、B5からA4のような自動拡大・縮小しか行えない。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来るのもPX-501Aのみである。PX-501Aはこの際、両機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる「退色復元」機能も備えている。その他、2枚又は4枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップ・4アップや16枚に拡大コピーする事で大きなポスターを作成する機能は両機種とも省かれている。どちらも上位機種より機能が劣るが、PX-501Aの方が機能は豊富である。顔料インクである事も含め、PX-501Aの方がコピーは便利だ。 操作パネルはPX-501Aはスキャナ部の左側、PIXUS MP490はスキャナ部の右側に配置される。液晶は奥にあり、手前に操作パネルがあるのは共通だ。どちらも液晶の角度調整が可能であるため便利だ。さらにPIXUS MP490は液晶部を閉じることで操作パネルにフタが出来るため、使用しない時にスッキリして見える。液晶パネルはPX-501Aは2.5インチ、PIXUS MP490が1.8インチであるため、視認性ではPX-501Aの方が上である。操作ボタンは、PIXUS MP490が上位機種の備える「Easy-Scroll Wheel」ではなくボタン式になっているため、両機種ともボタン式で同等となる。配置などによって使い勝手に違いがあるため、一度店頭で触れて、使いやすさを確認していただきたい。 インタフェースは両機種ともUSB2.0のみとなるが、価格を考えると仕方がないところだ。パソコン1台と接続する分には問題ないだろう。本体サイズはPX-501Aが450×342×182mm、PIXUS MP490は450×335×155mmであり、全体的にPIXUS MP490の方が小さい。ただ、どちらもサイズは複合機にしてはコンパクトであるため、どちらを選んでもサイズが問題になる事はなさそうだ。 この2機種のどちらを選ぶかは写真を印刷するかどうかにかかっている。写真は印刷せず、普通紙印刷やコピー、年賀状印刷等を目的としているなら、全色顔料のPX-501Aがオススメと言える。コピー機能も豊富で、ディスプレイも大きく使いやすい。また色に使用が偏りやすいコピー機能をよく使っても、各色独立のカートリッジなので安心だ。ただし、写真も印刷するなら、染料インクを搭載したPIXUS MP490の方が光沢感のある写真が印刷できるためオススメだ。また印刷速度を重視するなら、どちらの機種も上位機種よりは遅いものの、まだ速いPIXUS MP490の方が便利だと言える。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ![]() ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||