小ネタ集
2009年末時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2010年1月6日公開)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。

4万円以上のFAX付き複合機
 
 FAXつき複合機はエプソンから2機種、キャノンから2機種が発売されているが、4機種は価格が異なるため、4機種を一度に比較してみたいと思う。一番価格が高いのが、PIXUS MX7600の44,800円、次がEP-901Fの39,400円、そしてPIXUS MX860の34,980円、一番低価格なのがPX-601Fで25,000円となる。どのような違いがあるのだろうか。

メーカ
エプソン
エプソン
キャノン
キャノン
品番
EP-901F
PX-601F
PIXUS MX7600
PIXUS MX860
製品画像
予想実売価格
39,400円
25,000円
44,800円
34,980円
プリンタ部
インク
色数
6色
4色
5色+クリア
5色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ライトシアン
ライトマゼンタ
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
マットブラック
フォトブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
クリア
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
顔料
(つよインク200X)
顔料
(LUCIA)
染料
(ChromaLife100+)
ノズル数
1080ノズル
768ノズル
3584ノズル
2368ノズル
全色:180ノズル
C/M/Y:各128ノズル
Bk:各384ノズル
C/M:各1024ノズル
Y/PBk/BK:各512ノズル
C/M:各768ノズル
Y/染料Bk:各256ノズル
顔料Bk:320ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(Advanced-MSDT)
2pl
2pl
1pl(3サイズドロップレット)
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
4800×1200dpi
9600×2400dpi
給紙関連
対応用紙サイズ
L判〜A4
L判〜A4
名刺〜A4
名刺〜A4
給紙方向
前面給紙(A4以下)
前面給紙(2L/ハイビジョン以下)
背面給紙
前面給紙(普通紙のみ)
背面給紙
前面給紙(普通紙のみ)
背面給紙
自動両面印刷
△(オプション)
○(ハガキ非対応)
○(ハガキ非対応)
特殊機能
DVD/CDレーベル印刷
○(トレイ内蔵)
写真補正機能
○(オートフォトファインEX)
○(オートフォトファインEX)
ダイレクト印刷時のみ
○(自動写真補正II)
ダイレクト印刷時は自動写真補正
○(自動写真補正II)
ダイレクト印刷時は自動写真補正
特定インク切れ時印刷
カラーインク切れ時モノクロ印刷可
(5日間のみ)
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
14秒
55秒
36秒
35秒
スキャナ部
読み取り解像度
4800dpi
2400dpi
4800dpi
2400dpi
センサータイプ
CIS
CIS
CIS
CIS
ADF
○(30枚)
○(30枚)
○(35枚・両面)
○(35枚・両面)
ネガフィルム読み取り機能
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)
ダイレクト
印刷部
カードスロット
対応メモリカード
SD/MS/xD/CF
SD/MS/xD/CF
SD/MS/CF
SD/MS/CF
PCからドライブとして利用
外付けドライブ/USBメモリへ保存
外付けドライブ/USBメモリから印刷
動画から印刷
手書き合成シート
PictBridge対応
赤外線通信
Bluetooth通信
△(オプション)
△(オプション)
△(オプション)
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
ノート罫線印刷(罫線・マス目・便箋)
ノート罫線印刷(罫線・マス目・便箋)
フォーム印刷(原稿用紙・方眼紙・五線譜)
コピー部
拡大縮小コピー機能
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
CD/DVDレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
2アップ/4アップ/16枚分ポスター
○/−/○
○/−/−
○/○/−
○/○/−
バラエティコピー
BOOKコピー
ミラーコピー
領域判定コピー
領域判定コピー
枠消しコピー
とじ代コピー
パンチ穴消しコピー
日付印刷コピー
ページ番号印刷コピー
枠消しコピー
FAX機能
○(スーパーG3)
○(スーパーG3)
○(スーパーG3)
○(スーパーG3)
液晶ディスプレイ
3.5型(角度調整可)
2.5型(角度調整可)
1.8型(角度調整可)
2.5型
操作パネル
タッチパネル(7.8インチ)
ボタン式
ボタン式
ボタン式
インターフェイス
USB2.0
有線・無線LAN
USB2.0
有線・無線LAN
USB2.0
有線LAN
USB2.0
有線・無線LAN
外形寸法(横×奥×高)
466×385×198mm
461×346×236mm
500×535×257mm
491×437×226mm
重量
10.7kg
8.3kg
16.6kg
11.8kg

 まずはこれら4機種の概要を説明しよう。エプソンの2機種は、それぞれ基本となるようなFAX機能無しの複合機が存在する。EP-901Fはその名の通りEP-902Aの1つ前のモデルEP-901AにFAX機能を付けたような機種である。一方PX-601FはPX-502AにADFとFAX機能を付けたような機種である。それぞれ基本となるFAX機能無し複合機の特徴そのままで、EP-901Fは写真が特に綺麗でその他の機能もフル装備といった機種で、PX-601Fが全色顔料インクで普通紙や年賀状印刷が得意である。一方キャノンの2機種は基本となるようなFAX機能無し複合機がない。特にPIXUS MX7600に関しては全色顔料インクを搭載するなど、FAX機能無し複合機には無い製品だ。この機種はビジネス利用寄りの機種であり、CD/DVDレーベル印刷や手書き合成、写真焼き増し風コピーなど家庭で利用する機能は省略されている。また画質面でも下位機種に劣る反面、全色顔料なので普通紙や年賀状印刷が得意である。一方のPIXUS MX860は染料インクを搭載し、画質もPIXUS MX7600より上であるため写真印刷にも向くが、PIXUS MX7600同様家庭で利用する機能は省略されている。
 では、まずプリンタ部から見てみよう。エプソンのEP-901Aは4機種中最多の6色インクとなる。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に加えてライトシアンとライトマゼンダが採用されており、カラー原稿での色の薄い部分での粒状感が抑えられる。また、インク滴が1.5plと非常に小さいため、粒状感は肉眼では感じられず、非常に高画質な印刷が行える。インクは「つよインク200」でありアルバム保存200年、耐光性50年、耐オゾン性15年と、保存性も高い。またインク滴は1.5plと小さいが、5つのインクサイズのインクを打ち分けるAdvanced-MSDTにより、L判写真1枚が14秒と非常に高速なのもメリットである。写真印刷は最高レベルと言える。次にエプソンのもう1機種PX-601Fだが、こちらは4色インクで、インク滴が2plと若干劣る。といっても、このレベルであれば十分写真高画質で、目をこらしてみると若干粒状感があるといった程度である。ただし、EP-901Aと異なり顔料インクであるため、写真用紙への印刷は行えるものの、光沢感が薄くなり、ポストカードのようになってしまうため、実際には写真印刷目的には向かないと言える。その代わり、顔料インクは普通紙への印刷時にメリハリのある印刷が行える他、耐水性も高いというメリットがある。普通紙印刷ではむしろEP-901Fより上とも言え、また耐水性の高さは濡れた手で触ったりマーカーで線を引いても滲まない点で便利である。そのため、パソコンから普通紙への印刷や、普通紙コピー、年賀状印刷に向いている他、PX-601Fの特徴のFAX機能を使う時も、受信したFAXを普通紙に印刷する際に高画質、高耐水で印刷が出来る。インクは「つよインク200X」でアルバム保存200年、耐光性45年、耐オゾン性30年とこちらも保存性は高い。3つのインクサイズのインクを打ち分けるMSDTに対応しているが、カラーノズル数がEP-901Fより少ないこともあって、L判写真1枚が55秒と遅めである。ただし、ブラックインクのノズル数はカラーノズルの3倍以上、EP-901Fの2倍以上あるため、モノクロ印刷は非常に高速である。モノクロ原稿のプリントやコピー、モノクロFAXの印刷速度は満足できるはずである。
 次にキャノンのPIXUS MX7600だがインクは5色構成となる。構成はフォトブラック、マットブラック、シアン、マゼンダ、イエローとなり、ブラックは2種類搭載されるが、写真時はフォトブラック、普通紙モノクロ印刷時はマットブラックと使い分けられるため実質4色印刷となる。またインク滴は2plとなるため、PX-601Fと同レベルの画質となる。複合機の上位モデルと比べると画質は落ちるが、十分写真高画質で、目をこらしてみると若干粒状感があるといった程度である。そしてPIXUS MX7600も全色顔料インクのLUCIAインクを使用する。そして、顔料インクの得意とする普通紙印刷画質をさらに高めるために搭載されるのが、クリアインクと「PgR」テクノロジーである。これは、インクの染み込みやすい普通紙の表面全体にこのクリアインクを塗布することで、顔料インクを用紙に染み込ませず表面近くに定着させるという技術である。これにより、顔料インクの特徴である シャープで発色の良さがさらに際だつこととなる。雰囲気としては、普通紙でもファイン紙のようなコーティングをした用紙のような印刷が可能になるわけである。クリアインクは用紙全体に塗布するため、通常のインクを搭載する所とは別の所に、かなり大型のものが搭載される。塗布もプリントヘッドを左右に動かす方式ではなく、印刷前に塗布用ローラーを通過させ、そこで塗布する形となっている。もちろん、顔料インクの特徴である耐水性もあるため、濡れた手で触ったりマーカーを引いても安心だ。一方でクリアインクの塗布は用紙設定を普通紙以外に設定すると一切行われないため、写真用紙への印刷では光沢感が失われてしまう。また、L判写真1枚36秒と、EP-901Fよりはかなり遅いがPX-601Fよりは高速である。普通紙への印刷に特化した機種と言える。ちなみに耐光性は100年となっている。一方、PIXUS MX860のインク構成は、PIXUS MX7600より写真向きの構成となっている。5色構成で、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色が染料インクで、加えて顔料のブラックインクを搭載する。写真印刷は4色で行う事になるが、インク滴は1plであるため、PXIUS MX7600やPX-601Fより画質は上である。6色インクのEP-901Fよりは特に色の薄い部分で若干劣るが、肉眼では分からない程度の差である。また染料インクである事もあって光沢感のある写真印刷が行える。一方顔料ブラックインクがあるため、普通紙や年賀状へのモノクロ印刷時にもシャープな画質を得られる。インク滴はPIXUS MX7600より小さいが、インクサイズのインクを打ち分ける3サイズドロップレットに対応しているため、L判写真の印刷速度はPXISU MX7600と同レベルの35秒となっている。インクは「ChromaLife 100+」であり、純正写真用紙の中で最上級のキャノン写真用紙・光沢 ゴールドを使用する事で、アルバム保存300年、耐光性40年、耐オゾン性10年を誇っている(キャノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]ではそれぞれ200/50/10年、キャノン写真用紙・光沢/光沢 プロフェッショナルではそれぞれ100/40/10年)。
 給紙に関する部分を見てみよう。EP-901Fは前面給紙のみである。前面給紙のみとすることで、コンパクトさとデザイン性を高めた形だが、背面給紙がないため、特に厚い紙や封筒などへの対応は少し心配だ(前面から給紙し前面から排紙するため用紙がプリンタ内部で曲げられるため)。一方で前面給紙カセットを2段とすることで、L判用紙やハガキなどとA4用紙が同時にセットできるようになり、利便性は確保されている。一方PX-601Fは背面給紙のみとシンプルである。PIXUS MX7600とPIXUS MX860は前面給紙カセットと背面給紙の両方に対応している。前面給紙カセットは普通紙のみだが、前面給紙カセットにA4普通紙、背面に写真用紙をセットするなど使い分けが出来る。その点では、2種類の用紙が搭載できるEP-901FとPIXUS MX7600、PIXUS MX860は便利である。対応用紙サイズは、エプソンの2機種はL判サイズ以上、キャノンの2機種は名刺サイズ以上である。名刺サイズに印刷する場合はキャノンの機種である必要がある。
 自動両面印刷はEP-901Fはオプション対応、キャノンの2機種は標準対応となる。ただし両機種ともFAX機能無し複合機の自動両面印刷は異なり、ハガキ用紙には対応していない。一方CD/DVDレーベル印刷はEP-901Fのみ対応する。しかも、トレイが内蔵されているため、内蔵トレイの上にディスクを置くだけとより簡単になっているタイプである。写真印刷時の自動補正機能は、エプソンの2機種が「オートフォトファインEX」、キャノンの2機種は「自動写真補正II」である。ただしEP-901Fはダイレクト印刷時にも使用できるのに対して、PX-601Fはパソコンからの印刷のみ使用できる。またキャノンの2機種も自動写真補正IIはパソコンからの印刷時のみで、ダイレクト印刷時は旧タイプの自動写真補正になる。おもしろい機能としてはPX-601Fのカラーインクが切れた際にもモノクロ印刷は継続できる機能がある。通常は1色でもインクが無くなるとプリントが出来なくなるため、便利な機能である。ただし5日間限定であり、常にカラーインクを搭載せずに使用できるわけではない。これらを見ると、写真印刷画質や印刷速度、レーベル印刷を備えているといった点でEP-901Fが最も家庭向けの機種と言えるだろう。
 続いて、スキャナ部を見てみよう。解像度はエプソン、キャノン共に上位機種は4800dpi、下位機種は2400dpiとなっている。いずれもCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手だ。もちろんネガフィルムのスキャンにも対応しない。また、解像度に差はあるが、紙原稿のスキャンとなると1200dpi以上でスキャンする事はほとんど無いため、2400dpiでも十分な解像度であると言え、スペックの差ほど使用する上での差はない。4機種ともADFを備えているのはさすがFAX機能搭載の機種である。エプソンの2機種は30枚、キャノンの2機種は35枚まで原稿を一度にセットできる。それだけ見ると差はほとんど無いように見えるが、エプソンの2機種は片面のみのスキャンしか行えないのに対して、キャノンの2機種は両面スキャンが行える。両面原稿が一度に読み取れるためキャノンの2機種は非常に便利だ。ただし、キャノンの2機種はADF使用時は最大解像度が600dpiとなる点は注意が必要だ。また4機種とも対応する原稿サイズはA4、レターサイズ、リーガルの3種類のみで、それより小さなB5などの原稿には対応しない。そのため雑誌や漫画等をスキャンしてデジタル化する用途には、雑誌や漫画のサイズによっては行えなず、完全にドキュメントスキャナ代わりに使用する事は難しい。その他の機能として、PIXUS MX7600以外の3機種はスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能を搭載している。
 ダイレクト印刷は、SDカード/メモリースティック/コンパクトフラッシュは全機種とも対応しているが、xDピクチャーカードに関してはエプソンの2機種のみ対応しており、キャノンの2機種ではアダプタが必要である。さらに、全機種がPictBridgeに対応している。さらにエプソンの2機種はUSBメモリや対応の外付けドライブへのバックアップやそれらからの印刷が行える。さらにEP-901Aは家庭向けの機能が豊富で、動画の特定のシーンを1コマまたは12コマの連続写真で印刷できる機能や、手書き合成機能、赤外線通信が可能である。またデザイン用紙の印刷機能として、メモリカード内の写真の輪郭だけを抽出し塗り絵風の印刷が行う機能や、写真を背景に印刷した便箋を始めとする罫線やマス目などの用紙が印刷できる「ノート罫線印刷」機能を備えている。いずれも多くの人が頻繁に使う機能ではないだろうが、複合機単体で様々な事が出来るという点ではおもしろい機能である。PX-601Fも「ノート罫線印刷」機能のみ備えている。またPIXUS MX860も似たような機能で、原稿用紙や方眼紙、五線譜等を印刷できる「フォーム印刷」機能を備えている。ダイレクト印刷が出来るという点では4機種とも同等だが、その機能はEP-901Fが圧倒的に豊富である。
 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、全機種が等倍コピーや、B5からA4のような用紙を指定した拡大縮小の他に、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える。それ以外の機能としては、CD/DVDレーベル印刷が行えるEP-901FはCD/DVDレーベルコピーが行える。またEP-901FとPX-601Fは原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、昔の色あせした写真を自動で補正してくれる「退色復元」機能を備えているのは便利である。4機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップに対応する。さらにPIXUS MX7600とPIXUS MX860は4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。一方のEP-901Fは1枚の原稿を16枚に拡大し、貼り合わせることで大きなポスターが作れる機能を搭載している。その他、EP-901Fは見開きの本を左右ページで別々にコピーする「BOOKコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、文字領域と画像領域を認識し、それぞれが見やすくなるよう別々の画像処理を行う「領域判定コピー」といった機能を備える。一方PX-601Fは「領域判定コピー」機能のみとなる。またPIXUS MX7600は厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。PIXUS MX860はそれに加えて、複合機中で本機だけが備えている「とじ代コピー」「パンチ穴消しコピー」「日付印刷コピー」「ページ番号印刷コピー」といったビジネス向けの機能を備えている。コピー機能に関しては、基本的はコピー機能は全機種が備えており、それに加えてEP-901Fは家庭向けのコピー機能が、PIXUS MX860はビジネス向けのコピー機能が豊富である。
 それでは肝心のFAX機能を見てみよう。全機種がスーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーFAXを行う事が出来る。この際に全機種ADFを搭載していることが便利である。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒というのも全機種共通だ。また読取走査線密度はモノクロで「8pels/mm×3.85line/mm又は8pels/mm×7.7line/mm、カラーで200×200dpiなのも共通である。PIXUS MX860は更にモノクロ時に300×300dpiのファインEXモードを備えているが、大きな差ではないだろう。ダイヤル機能では、エプソンの2機種は短縮ダイヤルに60件登録できる。一方PIXUS MX7600はワンタッチダイヤル8件と短縮ダイヤル100件、PIXUS MX860はワンタッチダイヤル5件と短縮ダイヤル100件を登録できる。キャノンの2機種の方が若干便利だが、全機種とも家庭向けの複合機に付いているFAX機能だからといって手抜きはない。受信したファクスの最大保存ページ数はエプソンの2機種が180枚又は30件、キャノンの2機種が250枚又は30件と、こちらも家庭で使う分には十分なメモリ量を備えている。その他、4機種ともグループダイヤル、順次同報送信、手動送信、自動リダイヤル機能を備えているため、一般的な家庭用FAX電話以上の事が可能だ。さらにキャノンの2機種は1宛先でモノクロ送信のみとなるが、パソコン内のデータを直接FAXできる「PCファクス」機能を備えているのが便利だ。
 操作パネルが最も優れているのがEP-901Fである。液晶パネルが3.5インチと4機種中最大なのもあるが、液晶パネルを含む7.8インチ分がタッチパネルとなっているのが大きなメリットなのである。重要な操作は液晶に表示されタッチして操作できるので直感的だ。それ以外の所は表示内容は変更できないものの、使えるボタンのみバックライトが光るので、その時点で使用できないボタンに惑わされることがない。また液晶パネルだけでなく操作パネルごと角度調整が可能というメリットもある。さらにFAX付きの機種はどうしても電話番号用のテンキーや短縮ダイヤルのボタンなど、どうしてもボタン数が増えてしまい、操作パネルが分かりにくくなるが、EP-901Fの場合は液晶ディスプレイ部にテンキー等を表示することが出来るため、ボタン数がFAX無しの機種と変わらないレベルに抑えられるのも分かりやすくて便利である。次に便利なのはPX-601Fである。操作パネルはボタン式となるため、テンキーなどFAX用のキーが増えているためにボタン数がかなり多くなるが、液晶ディスプレイが2.5インチと比較的大きめである。また、液晶ディスプレイと操作パネルが一体に角度調整が可能であるため、操作しやすい。一方キャノンの2機種はエプソンの2機種と比べると操作性は劣る。PIXUS MX7600は液晶ディスプレイは角度調整可能なものの、1.8インチとかなり小さいため視認性は悪い。また、FAXなし複合機では中位機種以上に搭載されてる「Easy-Scroll Wheel」は搭載されず、全てボタン操作となるためボタン数も多くなってしまう。一方のPIXUS MX860は液晶ディスプレイは2.5インチと大型化するものの角度調整が出来ないのが残念だ。操作パネルもPIXUS MX7600と同じくボタン操作である。操作パネルはエプソンの2機種の方が工夫されている印象だ。
 インタフェースは4機種ともUSB2.0とLANの接続に対応している。ただし、EP-901AとPX-601A、PIXUS MX860は有線LAN、無線LAN共に対応しているがPIXUS MX7600は有線LANのみに対応している。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線LAN/無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。
 最近はコンパクト化が進む複合機だが、エプソンの2機種はその流れに乗ってコンパクトボディとなっている。EP-901FはFAX無し複合機のEP-902Aやその前モデルEP-901Aと同デザインであるため、これほどの機能にADFまで搭載されているとは思えないほどコンパクトだ。PX-601Fは奥行きこそEP-901Fより39mm小さいが、高さが38mm高いため、若干大きめに見える。それでもコンパクトな方である。一方のキャノンの2機種は、昔ながらの大型ボディとなっている。PIXUS MX7600はEP-901Fと比べると横幅が34mm、高さが59mm、奥行きに至っては150mmも大きいため、見た目にも巨大な印象を受ける。それと比べるとPIXUS MX860は小さいがそれでもEP-901Fより横幅が25mm、奥行きが52mm、高さが28mm大きい。またエプソンの2機種は周辺機器らしさを出来る限り消したデザインとなっている一方、キャノンの2機種はパソコンの周辺機器といった印象である。有線/無線LANが搭載されてパソコンの側に置く必要が無く、またFAX機能が搭載されていることからリビングなどに置く場合もあるだろうが、本体サイズやデザインを見るとエプソンの2機種の方が向いていると言えるだろう。
 このように4機種を比較してみると、家庭内での使用であればエプソンの2機種、EP-901FとPX-601Fがオススメと言える。確かにキャノンの2機種の方がFAX機能は豊富でADFも両面スキャン対応、さらにPIXUS MP7600はクリアインクと「PgR」テクノロジーにより普通紙にも超高画質で印刷が可能であるが、FAX無しの複合機に搭載されている家庭向けの様々な機能がほとんど搭載されておらず、機能面でビジネス寄りであることに加え、本体サイズがエプソンの2機種に比べて大きい事から、なかなか万人にお勧めはしにくい。その点でEP-901FとPX-601Fは、FAX無し複合機のラインナップに違和感なく溶け込めるような、家庭向けの機能を集めた機種で、サイズやデザインも家庭向けと言える。その中でも写真印刷を行う場合や、CD/DVDレーベル印刷や写真の焼き増し風コピー、手書き合成など様々な機能を使用してみたいなら、染料インクを搭載し印刷も高速で、ほぼフル機能搭載のEP-901Fがオススメである。何でもありなので、価格が許せばEP-901Fを買っておけば、購入後に機能が無いと行って後悔することはないため、最も万人にお勧めできる機種である。一方FAXが主体である場合や、普通紙印刷やコピー、年賀状印刷などが目的と決まっているなら顔料インクのPX-601Fがオススメである。基本的にはこの2機種だが、前述のクリアインクと「PgR」テクノロジーにより普通紙にも超高画質で印刷が可能である点が気になるならPIXUS MX7600を、PCファクス機能や両面スキャン対応ADFなどに魅力を感じるならPIXUS MX860を(PIXUS MX7600でも良いがクリアインクと「PgR」テクノロジーが不要ならPIXUS MX860の方が安価であるため)購入する手もある。ただしその場合は様々な機能が省略されている点を確認した上で選ぶ方が良いだろう。


(H.Intel)


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/