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2009年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2010年1月29日著)
A4単機能プリンタの下位機種2機種である。エプソンのPX-101は8,560円、キャノンのPIXUS iP2600は7,280円とかなり低価格だがどのような機能を搭載しているのだろうか。比較してみよう。
2機種はそれぞれ基本となる複合機が存在している。インク構成やインク滴、ノズル数や印刷スピードを見ると、PX-101はPX-501Aのプリンタ部と、PIXUS iP2600はPIXUS MP490又はPIXUS MP270のプリンタ部とほぼ同スペックである。 まずは印刷画質を見てみよう。PX-101とPIXUS iP2600はどちらもブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色構成となっている。ただし、PX-101は全色顔料インク、PIXUS iP2600はカラー3色は染料インク、ブラックは顔料インクとなっている点が異なる。またPX-101はブラックインクを2本搭載するため4色5本構成である。ただし、キャノンの上位機種や複合機のように染料インクと顔料インクという訳ではなく、全く同じインクを2本搭載している。PX-101は全色顔料インクであるため、普通紙への印刷時にはシャープな印刷結果が得られる。また耐水性も高いため、濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まないという特徴がある。反面、写真用紙へ印刷すると光沢感が薄くなり、ポストカードのようになってしまう点は注意が必要だ。インク滴は3plと上位機種と比べると大きめであるため、4色インク構成であることもあって粒状感はそれなりにあると言える。近くでよく見て上位機種と比較すると、全体的にザラザラしているように感じる。といっても全体的にはそれほど悪くはなく、前述の光沢感が薄れることを除けば写真印刷も行えるレベルである。また普通紙への印刷画質は顔料インクであるため高く、上位機種との差は小さくなる。一方PIXUS iP2600はカラーインクは染料インクであるため、写真用紙への印刷時にも光沢感がそのままであるため写真印刷には向いている。一方、ブラックインクは顔料インクであるため、普通紙へのモノクロ印刷時にもシャープで耐水性のある印刷が行える。しかし、上位機種と異なり染料のブラックインクを搭載していないため、写真印刷時にブラックインクが使用できない。シアン、マゼンダ、イエローの3色を混ぜて黒に近い色を表現するが、どうしてもコントラストは弱くなってしまう。一方顔料インクはブラックだけであるため、PX-101とは異なり、普通紙へのシャープな印刷結果や高耐水性はモノクロ印刷時しか得られない。インク滴は2plとPX-101より小さいため、粒状感は抑えられるがコントラストは弱いため画質の評価としては同レベルと言える。普通紙特化のPX-101と普通紙も写真用紙もそこそこのPIXUS iP2600といった印象である。 インクを見てみよう。PX-101は「つよインク200X」でありアルバム保存200年、耐光性45年、耐オゾン性30年となる。一方、PIXUS iP2600は「ChromaLife 100+」であり、純正写真用紙の中で最上級のキャノン写真用紙・光沢 ゴールドを使用する事で、アルバム保存300年、耐光性40年、耐オゾン性10年となる(キャノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]ではそれぞれ200/50/10年、キャノン写真用紙・光沢/光沢 プロフェッショナルではそれぞれ100/40/10年)。両機種とも耐保存性は非常に高いのはポイントである。さらに両機種とも写真印刷時に写真を自動補正する機能を備えている。PX-101が備える「オートフォトファインEX」は顔を自動判別し、シーンに合った補正をするもので、逆光写真や色かぶりも自然に補正してくれる。一方PIXUS iP2600の備える「自動写真補正II」も顔を自動検出し、顔とそれ以外の部分の露光状態を別々に解析して、それぞれに合った明るさに補正してくれる。両機種とも高精度で自動補正をしてくれるという事である。これらの点では上位機種に劣る事はない。 ちなみにインクであるが、PX-101は上位機種と同じく各色独立インクを採用しており、無くなった色だけ交換可能である。一方、PIXUS iP2600はブラックインクは独立しているものの、カラー3色は一体となっており一色でも無くなると全て交換となる。特に年賀状などの印刷では使用する色に偏りが出やすいため、印刷コストの面では不利と言える。 対応用紙は、PX-101がL判からA4サイズまでなのに対し、PIXUS iP2600はL判サイズより小さな名刺サイズにも対応している。始めから名刺サイズにカットされた用紙が使用できるため、名刺印刷を考えている人は便利である。一方、上位機種の備えているような前面給紙や自動両面印刷、CD/DVDレーベル印刷機能は省かれており、背面からの給紙のみのシンプルな構成である。 印刷速度は、L判縁なし1枚がPX-101が77秒、PIXUS iP2600が46秒と両機種とも上位機種より遅くなっており、また両機種間にも結構な差がある。少し前の下位機種では3分以上という機種もあった事を考えれば使えるレベルではあるが、年賀状や写真などを大量印刷する場合は多少時間がかかるだろう。具体的な時間で見ると、例えばL判写真を100枚印刷する場合、上位機種のPIXUS iP4700では28分20秒、PIXUS iP2600では1時間16分40秒、PX-101では2時間8分20秒となる。この印刷時間を見て、気になるという場合は上位機種を検討した方が良さそうである。ただしPX-101が遅いのはカラー印刷に限った話である。というのも、PX-101はカラー3色は各59ノズルしかないのに対して、ブラックは1本当たり複合機の最上位機種と同じ180ノズル、さらに2本搭載してるので、合計で360ノズルとなっている。ブラックインクを2本搭載するのはこのためである。そのためモノクロ印刷は1分間に16枚とかなり高速になっている。確かに顔料インクであるPX-101では写真印刷を行う事は多くないと思われるため、カラーもモノクロも少しずつ速くするよりは、モノクロ文書だけでも大幅に高速にする方が便利だとも言える。 インタフェースはUSBとなるが、PX-101は上位機種と同じくUSB2.0に対応しているのに対して、PIXUS iP2600はUSB1.1にしか対応していない。USB2.0をUSB1.1にすることでどの程度コストダウンが計られるのかは不明だが、今では珍しいUSB1.1である。転送速度が最高でも12MbpsとUSB2.0の480Mbpsと比べるとかなり遅いため、写真などデータ量の大きなデータの場合はプリント開始までの時間が遅くなる可能性がある。本体サイズはPX-101が435×250×161mm、PIXUS iP2600が442×253×142mmである。設置面積はPX-101の方が若干小さく、高さはPIXUS iP2600の方が小さい。 2機種は顔料インクか染料インクかという違いがあるため分かりやすい。写真は印刷せず普通紙への文書印刷や年賀状印刷が目的なら顔料インクの方がシャープで耐水性もあるためPX-101が良いだろう。一方、写真印刷も行うなら染料インクのPIXUS iP2600が良いだろう。ただし、複合機を比較すると以外と差は小さい。例えばPIXUS iP2600同じプリント機能を持っているPIXUS MP270はダイレクト印刷機能を持たず、コピー機能も簡易的なものだが、スキャナもついて9,980円と価格は2,700円差である。本体サイズも450×335×155mmと奥行き以外はそれほど差がない。またPX-101と同じプリント機能を持っているPX-501Aは13,800円と5,240円差だが、液晶ディスプレイが付きコピーもダイレクト印刷もスキャンも行える。こちらも本体サイズは450×342×182mmと奥行き以外の差はそれほど大きくない。この2機種だけでなく複合機も一緒に検討し見るのも良いかもしれない。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ![]() ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||