2013年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2013年12月11日公開/12月21日追記)
エプソンのEP-976A3、EP-905A、EP-806A、キャノンのPIXUS MG7130が3万円以上の価格帯の製品となる。EP-976A3は35,980円、EP-905Aは29,980円、EP-806Aは30,980円、PIXUS MG7130は29,980円となる。本来はEP-806AとPIXUS MG7130が同価格帯の製品で直接の比較対象となる。EP-976A3はA3プリントに対応している分価格が高く、EP-905Aは2012年末モデルであるため価格が下がってきておりこの価格帯となっているだけである。EP-905Aは途中で販売終了になる可能性はあり、またEP-806AとPIXUS MG7130は発売から少し経つと価格が下がりEP-905Aとの価格差が再度できる可能性があるため、参考程度に見ていただきたい。これら4機種は非常に高性能な製品だが、どのような違いがあるのだろうか。 |
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シアン マゼンタ イエロー ライトシアン ライトマゼンタ |
シアン マゼンタ イエロー ライトシアン ライトマゼンタ |
シアン マゼンタ イエロー ライトシアン ライトマゼンタ |
染料ブラック グレー シアン マゼンタ イエロー |
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(つよインク200) |
(つよインク200) |
(つよインク200) |
(ChromaLife100+) |
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Y/染料BK:各512ノズル 顔料BK:1024ノズル |
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(A4普通紙セット可能枚数) |
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○(2L・ハイビジョン以下) |
○(2L・ハイビジョン以下) |
○(2L・ハイビジョン以下) |
○(L/KG/2L/はがき) |
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印刷部 |
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フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒) |
ノート罫線印刷(罫線・マス目・便箋) |
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒) |
定型フォーム印刷(原稿用紙・方眼紙・五線譜・レポート用紙・スケジュール帳・チェックリスト・漢字練習帳) |
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印刷 |
iPod touch iPad (iOS 5.0以降) Android 2.2以降 |
iPod touch iPad (iOS 5.0以降) Android 2.2以降 |
iPod touch iPad (iOS 5.0以降) Android 2.2以降 |
iPod touch iPad (iOS 5.1以降) Android 2.3.3以降 |
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BOOKコピー ミラーコピー 領域判定コピー |
BOOKコピー ミラーコピー 領域判定コピー |
BOOKコピー ミラーコピー 領域判定コピー |
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(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(アクセスポイントモード対応) |
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4機種の内3機種はエプソンの機種なので、まずはその概要を見てみよう。EP-905Aは昨年の最上位モデルで、現在でも十分にその性能を持った製品である。ただし、2013年末の機種で新たに搭載された各機能は搭載されていない。EP-806AはEP-905AからスキャナのADFを省略し、新製品共通の新機能を搭載したような製品である。EP-976A3はEP-806Aの手差し給紙でA3用紙までのプリントに対応したような製品である。一方キャノンのPIXUS MG7130は複合機中の最上位機種として搭載できる限りの機能を搭載した製品である。 これらの4機種をまずプリンタ部から見てみよう。エプソンの3機種のプリンタ部は基本的に同じである。6色インクで最小インクドロップサイズは1.5plであり、非常に高画質だ。一方のPIXUS MG7130も6色インクで最小インクドロップサイズは1plと、こちらも非常に高画質だ。しかし、同じ6色でもその構成は異なる。エプソンの3機種はブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に加えてライトシアンとライトマゼンダを採用しており昔ながらの6色構成だ。いずれも染料インクとなる。カラー原稿の色の薄い部分ではライトインクを使う事で粒状感が抑えられる。一方、PIXUS MG7130はブラック、シアン、マゼンダ、イエローに加えてグレーインクが搭載され、色の濃い部分でブラックインクを使うよりも粒状感が抑えられる。また、モノクロに近い原稿での階調表現が優れており、中間色が赤や青っぽいグレーになることがないという特徴がある。さらに、染料ブラックに加えて顔料ブラックを搭載しているため、ブラックインクを使用する部分に限ってだが、普通紙などへの印刷ではメリハリのある印刷結果が得られる。小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。このインク構成を見る限りでは、写真に関してはどちらもそれぞれ工夫があり、また最小インクドロップサイズも非常に小さいことから、最高画質に達しており、互角と言える。もちろん、カラーの色の薄い部分はライトインクを持つエプソンの3機種が、色の濃い部分グレーインクを持つPIXUS MG7130が得意とも言えるが、粒状感は皆無であるため、実際にはどちらも高い次元でのわずかな差である。スペック上の差はあっても実際に比べてみれば差はほとんど無いはずだ。モノクロ写真の階調表現はPIXUS MG7130が優れているものの、エプソンの3機種も決して悪いとは言えない。一方コピーや文書印刷と言った部分では、顔料インクを搭載するPIXUS MG7130に軍配が上がると言える。 最小インクドロップサイズは非常に小さいが、エプソンの3機種はAdvanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しており、PIXUS MG7130はノズル数を非常に多くすることで、最小インクドロップサイズは小さくても高速化を実現している。結果、L判縁なし写真印刷で、EP-976A3が13秒、EP-905AとEP-806Aが14秒、PIXUS MG7130が18秒と非常に高速になっており、枚数の多い印刷でもストレスのない速度となっている。一方、普通紙への印刷速度はエプソンの3機種は公表されていないため、比較することはできないが、PIXUS MG7130ではカラーが10ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが15ipmとなっている。1分間にカラー原稿が10枚というのは非常に高速だと言えるだろう。 使用するインクはエプソンの3機種は「つよインク200」である。昨年より採用された新インクであるため、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となる。一方、PIXUS MG7130は「ChromaLife100+」であり「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」を使用することにより、アルバム保存300年、耐光性40年、耐ガス性10年を実現している(キャノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]ではそれぞれ200年、50年、10年)。どちらも十分なレベルの耐保存性を持ったインクである。また、4機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる。 給紙に関しては、4機種とも前面給紙カセットが基本となる。いずれも2段給紙となっており、上段にL判やハガキなどの小さな用紙を、下段にはA4やB5といった大きな用紙をセットするようになっている。エプソンの3機種の場合、下段にA4普通紙が100枚、上段にハガキなら20枚までセット可能だ。一方PIXUS MG7130は下段にA4普通紙なら125枚、上段にハガキなら40枚までセット可能だ。セット可能枚数はPIXUS MG7130の方が上だ。しかし、PIXUS MG7130の下段はA4、A5、B5、レター、リーガルサイズのみの対応で、L判、KG、2L判、ハガキサイズに対応する上段と使用できるサイズが完全に分けられている。一方エプソンの3機種は下段にもL判やハガキサイズにの用紙もセットできる。その場合、ハガキなら40枚セット可能となるため、下段を使用すればエプソンの3機種でもPIXUS MG7130と同じ枚数をセットできる。ちなみにいずれも最小用紙サイズはL判で名刺などのより小さな用紙には対応していない。前面給紙・前面排紙と言うことで気になるのが、厚紙やラベル用紙などである。メーカーとしては問題ない事になっているが、前面から給紙して前面から排紙するため、内部で大きく曲げられてしまうのは少し心配だ。また封筒など特殊なサイズの用紙への印刷も不安である。そこで、エプソンの3機種では1枚ずつではあるが背面からの手差し給紙を可能としている。従来の背面給紙に近い位置だが、用紙をセットしておけるような大型のものではなく、小さな背面給紙カバーと、用紙を支える小さな「用紙サポート」を引き出せるだけだ。複数枚セットしても一度に給紙されてしまうため、本当に1枚ずつとなる。その分、コンパクトな本体でも背面給紙を可能としているわけである。さらに、通常の給紙カセットでは0.3mm厚の用紙までの対応だが、背面手差し給紙では、倍の0.6mmの用紙に印刷ができる。今まで印刷できなかった厚紙にも印刷できる点も便利だろう。前面給紙のみのPIXUS MG7130に比べて、1枚ずつだが背面からと言う方法が選択できるエプソンの3機種は安心感がある。その上、EP-976A3ではこの背面手差し給紙に限ってA3用紙への印刷を可能にしている。A3用紙や四つ切などの大きな用紙に写真を印刷したい場合や、一時的にA3原稿を印刷する必要がある場合に便利だ。 排紙トレイに関しては、自動オープンが進んでいるが、エプソンの新機種EP-976A3とEP-806Aは自動クローズにも対応する。ただし、クローズに対応するために排紙トレイが電動式となっており、この点は評価が分かれるところだろう。EP-905Aは同じく電動式だが、旧機種という事で自動オープンのみだ。PIXUS MG7130は自動オープンだけであり、印刷が行われる際に排紙トレイのロックが外れて開くsというシンプルな動作である。 その他、自動両面印刷機能は4機種とも搭載している。普通紙だけでなくハガキなどにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。また、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能も全機種が備えている。トレイを使わない時は、前面給紙カセット部分に収納できるようになっている点も同等だ。写真の自動補正機能としては、エプソンの3機種は「オートフォトファイン!EX」、PIXUS MG7130は「自動写真補正II」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。もちろんパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。 続いて、スキャナ部を見てみよう。解像度はEP-976A3とEP-905Aが4800dpi、EP-806AとPIXUS MG7130が2400dpiとなる。解像度に大きな差があるように見えるが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言えるため、実際に使う上での差はあまりないと言える。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿は苦手だ。解像度以外に、EP-905AではADFを搭載しているのが大きな違いだ。一度に30枚まで原稿をセットでき、両面スキャンに対応しているため、大量の書類をスキャンしたり、コピーする場合に非常に便利だ。ADF部は、原稿トレイを閉じると、排紙トレイ部もせり上がってフラットになるため、使わないときは見た目をスマートにできる。ちなみにスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能は、4機種とも搭載している。 ダイレクト印刷は、SDカード、メモリースティックDuo、コンパクトフラッシュのメモリカードに対応しているのは4機種共通だ。最近のメモリカードに全て対応しており不満はない。加えて、エプソンの3機種はメモリカードだけでなくUSBメモリからの印刷にも対応している。さらに、各種メモリカードからUSBメモリへのバックアップが可能な他、USBメモリ以外に対応の外付けハードディスクや外付けDVDドライブへのバックアップやそれらからの印刷も行える。その上、エプソンの3機種は、ネットワーク接続をしている場合、他のパソコンから外付けハードディスクのデータにアクセスが可能な「外部機器共有」機能も備えている。つまり複合機単体でメモリカード内の写真やスキャンした写真や原稿を外付けHDDに保存でき、それらに家庭内のどのパソコンからもアクセスできるわけである。そのほか、赤外線通信による印刷に対応しているのはエプソンの3機種である。PictBridgeは4機種とも搭載しているが、エプソンの3機種はUSB接続とWi-Fi接続の両方式のPictBridgeに対応しているのに対して、USBポートを省略したPIXUS MG7130ではWi-Fi接続のPictBridgeにしか対応しない点は注意が必要だ。機能の豊富さではエプソンの3機種に軍配が上がると言える。 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートは4機種とも対応している。またPIXUS MG7130はCD/DVD/Blu-rayレーベルの手書き合成にも対応している。その他、エプソンの3機種では塗り絵風の輪郭だけの印刷や、写真を背景に印刷した便箋を始めとする罫線やマス目などの用紙が印刷できる。一方のPIXUS MG7130ではカレンダーや原稿用紙、方眼紙、五線譜などが印刷できる機能を備えており、4機種とも単体でも機能は豊富であるといえる。注意点は新機種のEP-976A3とEP-806Aはフォーム印刷機能として罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカード、折り紙封筒に対応するが旧機種のEP-905Aはノート罫線印刷機能となっており、罫線、マス目、便箋の印刷のみ対応である。 スマートフォンとの連携機能も4機種とも搭載しており、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることで行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、3機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。さらに、EP-905Aを除く3機種はクラウドとの連携機能も搭載されている。オンラインストレージから印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS MG7130は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、エプソンの2機種はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、PIXUS MG7130はスマートフォン上だけでなくPIXUS MG7130からも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではPIXUS MG7130が便利だ。 さらにネットワークを利用したプリント機能として、エプソンの3機種は、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のEP-976A3/EP-905A/EP-806Aで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS MG7130は、本機にメールすると自動で印刷できる「メールからプリント」機能のみ搭載しているが、エプソンの3機種がWord/Excel/PowerPoint/PDFの他、JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMPの画像形式に対応しているのに対して、PIXUS MG7130はPDFとJPEGだけの対応というのも少し寂しい。リモートプリント機能はエプソンの3機種の圧勝だ。 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「自動変倍」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「オートフィット」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルコピーも4機種とも対応である。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、エプソンの3機種は「退色復元」、PIXUS MG7130では「色あせ補正」と名称は異なるが、4機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。4機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップにも対応する。さらにPIXUS MG7130では4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。その他、エプソンの3機種はコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、見開きの本を左右ページで別々にコピーする「BOOKコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、文字領域と画像領域を認識し、それぞれが見やすくなるよう別々の画像処理を行う「領域判定コピー」といった機能を備える。一方PIXUS MG7130には厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。 操作パネルは4機種ともタッチパネル液晶とタッチ式ボタンの組み合わせとなっており、操作性は抜群である。エプソンの3機種は「タッチパネル液晶+LEDナビ」、PIXUS MG7130が併せて「新インテリジェントタッチシステム」となっているが、同様の方式だ。液晶ディスプレイ部分は、状況に応じて表示内容を変えられるため、ボタンそのものをタッチでき、直感的な操作が可能である。また、スマートフォンと同じフリック操作で写真を選んだり、項目をスクロールできるようになっている。一方のボタン部分は表示内容こそ固定だが、ボタンはLEDライトで光っており、使用できないキーは消灯している。物理的なボタンではなくタッチセンサーなので、光っているキー以外は見えないため、非常に分かりやすい。この2つの組み合わせにより、操作パネルは非常に便利になっている。液晶ディスプレイサイズも4機種とも3.5型と大きく、視認性は高い。このように操作方法は似ている4機種だが、その位置は大きく異なる。エプソンの3機種の液晶ディスプレイと操作パネルは本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能だ。最大90度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。一方PIXUS MG7130は、本体の上面から側面にかけて斜めに大きく面取りされた部分に埋め込まれている。残念ながら操作パネルも液晶ディスプレイも固定されていて角度調整はできない。斜めになっているため、どの角度からでもそれほど使いにくくはないだろうが、それでも高い位置に置くと、操作がしにくかったり液晶ディスプレイが見にくくなりそうだ。操作パネルの方式は同じといえるが、角度調整ができるだけエプソンの3機種の方が利便性は上である。 インタフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、有線/無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線LAN/無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。また無線LANはWi-Fiダイレクト(PIXUS MG7130はアクセスポイントモード)に対応しているため、無線LANルータの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も4機種共通の便利な点だ。 本体サイズを見てみよう。ほぼ同価格のEP-806AとPIXUS MG7130で比べてみると、EP-806Aが390×341×141mm、PIXUS MG7130が466×369×148mmとなり、全体的にEP-806Aが小さい、特に横幅に関してはEP-805Aが約16%も小さく、設置面積はかなり小さい。高さもEP-805Aの方がわずかながら小さくなっており、圧迫感は少ない。一方PIXUS MG7130も従来機よりは低く抑えられているし、上面から側面にかけて大きく面取りされているため、数値より低く見える。高さだけは抑えられた結果、横幅が大きくなったように見えるが、過去の機種と比べて大きくなったわけではない。設置面積を考えれば、EP-806Aの方が便利ではある。そしてA3の手差し給紙対応のEP-976A3は479×356×148mmと横幅が特に大きくなっている。とは言えPIXUS MG7130と同程度なので、特別大きいという印象はない。一方ADFを搭載したEP-905Aは、EP-806Aと設置面積はほぼ同じで、高さが5cm高くなっている形だ。ただし、右側にかけて低くなっているので、全体に5cm高くなっているよりは圧迫感はない。むしろADF搭載ながら191mmという高さに収まっていることが驚きだろう。 3機種の中で、ほぼ同価格のEP-806AとPIXUS MG7130のどちらがおすすめかを考えてみよう。印刷画質や印刷速度、自動両面印刷やレーベル印刷といったプリンタ機能、スキャナ解像度や方式といったスキャナ機能、ダイレクト印刷機能の有無、コピー機能などはかなり似ていると言える。去年まで異なっていたスマートフォントの連携機能も似たものになった。違う点をあえて言えば、写真の画質はほぼ同等ながら、PIXUS MG7130の方がグレーインクを搭載している分、白から黒にかけての階調表現が自然であることに加えて、顔料ブラックの恩恵が受けられる分だけ有利であることが挙げられる。総合的な画質ではPIXUS MG7130の方が上だろう。一方EP-806Aは1枚ずつの手差しではあるが背面からの給紙が可能なのは大きな違いだ。これまでよりも厚い用紙にも対応しているほか、封筒やラベル用紙への印刷も安心できる。また操作パネルの角度調整が可能なのも細かな点だが便利だろう。そしてなにより本体サイズに大きな違いがある。EP-806Aは高機能な複合機とは思えないほどコンパクトになっている。ただし、PIXUS MG7130も大きいというわけではない。グレーインクと顔料ブラックにメリットを感じるならPIXUS MG7130を、背面手差し給紙と操作パネルの角度調整、本体サイズに魅力を感じたならEP-806Aがおすすめだ。ただ、どちらを購入しても大きな失敗ではなく十分に満足がいく製品だろう。残るEP-976A3は純粋にA3プリントを楽しみたいかどうかだ。手差しという不便さはあるが、コンパクトな複合機でA3プリントが行えるというのはメリットだ。A3プリントに6,000円という価格差が見合うと思うならEP-976A3がおすすめだ。またADFがどうしても必要ならEP-905Aがおすすめである。ただし、こちらは旧機種なので価格が下がっているというメリットはあるが、一部新機能が搭載されていない。新機能も搭載しつつADFも必要なら、FAX付きとなるがEP-906Fも選択肢となるだろう。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ![]() ![]() |