小ネタ集
2013年末時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2013年12月11日公開/12月21日追記)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


2万円台中盤の複合機
 
 エプソンのEP-776AとキャノンのPIXUS MG6530が2万円台中盤の価格帯の製品となる。EP-776Aは25,980円、PIXUS MG6530は24,980円となりほぼ同価格の製品となる。この2機種にはどのような違いがあるのだろうか。

メーカ
エプソン
キャノン
品番
EP-776A
PIXUS MG6530
製品画像
予想実売価格
25,980円
24,980円
プリンタ部
インク
色数
6色
6色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ライトシアン
ライトマゼンタ
顔料ブラック
染料ブラック
グレー
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100+)
ノズル数
1080ノズル
6656ノズル
全色:各180ノズル
C/M/GY:各1536ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
顔料BK:1024ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(Advanced-MSDT)
1pl
最大解像度
5760×1440dpi
9600×2400dpi
給紙・排紙関連
対応用紙サイズ
L判〜A4
L判〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
前面
○(100枚)
○(125枚/A4/B5/A5他)
○(L/KG/2L/はがき)
その他
排紙トレイ自動開閉
○(オープンのみ)
自動両面印刷
特殊機能
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正II)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(残った色で一時的に印刷可)
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
17秒
18秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
15.0ipm
スキャナ部
読み取り解像度
1200dpi
2400dpi
センサータイプ
CIS
CIS
ADF
ネガフィルム読み取り機能
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)
ダイレクト
印刷部
カードスロット
対応メモリカード
SD/MS Duo
SD/MS Duo
PCからドライブとして利用
外付けHDD/外付けDVD/USBメモリへ保存
○(外部機器共有対応)/○/○
−/−/−
外付けHDD/外付けDVD/USBメモリから印刷
○/○/○
−/−/−
手書き合成シート
○(CD/DVD/Blu-rayレーベル対応)
PictBridge対応
○(USB/Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
赤外線通信
Bluetooth通信
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒)
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(原稿用紙・方眼紙・五線譜・レポート用紙・スケジュール帳・チェックリスト・漢字練習帳)
ネットワーク
印刷
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 5.0以降)
Android 2.2以降
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 5.1以降)
Android 2.3.3以降
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/○
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
コピー部
倍率指定/自動変倍/オートフィット
○(25〜400%)/○/○
○(25〜400%)/○/○
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(色あせ補正対応)
2アップ/4アップ
○/−
○/○
バラエティコピー
塗り絵印刷
BOOKコピー
ミラーコピー
領域判定コピー
枠消しコピー
FAX部
受信ファックス最大保存ページ数
データ保持(電源オフ/停電)
−/−
−/−
ワンタッチ/短縮ダイヤル
−/−
−/−
グループダイヤル/順次同報送信
−/−
−/−
自動リダイヤル
PCファクス
液晶ディスプレイ
2.5型(角度調整可)
3.0型
操作パネル
LEDナビ(角度調整可)
ボタン式
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(アクセスポイントモード対応)
有線LAN
外形寸法(横×奥×高)
390×341×138mm
466×369×148mm
重量
6.5kg
8.0kg
 

 両機種をまずプリンタ部から見てみよう。EP-776AとPIXUS MG6530はいずれも上位機種EP-806AやPIXUS MG7130と同じインク構成、最小インクドロップサイズ、ノズル数を備えており、画質は全く同等となっている。EP-776Aは6色インクで最小インクドロップサイズは1.5plであり、PIXUS MG6530も6色インクで最小インクドロップサイズは1plと一見するとよく似ている。しかし、同じ6色でもその構成は異なる。EP-776Aはブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に加えてライトシアンとライトマゼンダを採用しており昔ながらの6色構成だ。いずれも染料インクとなる。カラー原稿の色の薄い部分ではライトインクを使う事で粒状感が抑えられる。また染料インクであるため写真用紙へ印刷した際に用紙の光沢感が素直に出て、発色も良い。一方、PIXUS MG6530は染料インクのブラック、シアン、マゼンダ、イエローに加えてグレーインクが搭載されているため、色の濃い部分でブラックインクを使うよりも粒状感が抑えられる。また、モノクロに近い原稿での階調表現が優れており、中間色が赤や青っぽいグレーになることがないという特徴がある。もちろん染料インクだけに、写真用紙への印刷時も用紙の光沢感がそのままで発色も良い。さらに、染料ブラックに加えて顔料ブラックを搭載しているため、ブラックインクを使用する部分に限ってだが、普通紙などへの印刷ではメリハリのある印刷結果が得られる。小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。このインク構成を見る限りでは、写真に関してはどちらもそれぞれ工夫があり、また最小インクドロップサイズも非常に小さいことから、最高画質に達しており、互角と言える。もちろん、カラーの色の薄い部分はライトインクを持つEP-776Aが、色の濃い部分グレーインクを持つPIXUS MG6530が得意とも言えるが、粒状感は皆無であるため、実際にはどちらも高い次元でのわずかな差である。スペック上の差はあっても実際に比べてみれば差はほとんど無いはずだ。モノクロ写真の階調表現はPIXUS MG6530が優れているものの、EP-776Aも決して悪いとは言えない。一方コピーや文書印刷と言った部分では、顔料インクを搭載するPIXUS MG6530に軍配が上がると言える。
 最小インクドロップサイズは非常に小さいが、EP-776AはAdvanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しており、PIXUS MG6530はノズル数を非常に多くすることで、最小インクドロップサイズは小さくても高速化を実現している。結果、L判縁なし写真印刷で、EP-776Aが17秒、PIXUS MG6530が18秒と非常に高速になっており、枚数の多い印刷でもストレスのない速度となっている。一方、普通紙への印刷速度はEP-776Aは公表されていないため、比較することはできないが、PIXUS MG6530ではカラーが10ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが15ipmとなっている。1分間にカラー原稿が10枚というのは非常に高速だと言えるだろう。
 使用するインクはEP-776Aは「つよインク200」である。昨年より採用された新インクであるため、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となる。一方、PIXUS MG6530は「ChromaLife100+」であり「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」を使用することにより、アルバム保存300年、耐光性40年、耐ガス性10年を実現している(キャノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]ではそれぞれ200年、50年、10年)。どちらも十分なレベルの耐保存性を持ったインクである。また、両機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる。
 給紙に関しては、両機種とも前面給紙カセットが基本となる。EP-776Aは上位機種とは異なり1段式のカセットとなっている。セット可能枚数はA4普通紙で100枚となる。上位機種のような背面手差し給紙機能も省略されているため、前面給紙トレイ1段のみのシンプルな構成である。一方PIXUS MG6530は上位機種同様2段式のカセットとなり、上段にはL判、KG、2L判、ハガキサイズの用紙を、下段にはA4、A5、B5、レター、リーガルサイズをセットできる。同時に2種類セットできるため、入れ替える必要が無く便利だ。A4普通紙なら125枚(下段)、ハガキなら40枚(上段)までセット可能だ。2段給紙になっておりセット可能枚数の多いPIXUS MG6530が圧倒的に便利だと言えるだろう。ちなみにいずれも最小用紙サイズはL判で名刺などのより小さな用紙には対応していない。
 PIXUS MG6530は排紙トレイの自動オープン機能を搭載している。印刷が行われる際に排紙トレイのロックが外れて開くというシンプルな動作であるが、別の部屋に置いたPIXUS MG6530にパソコンやスマートフォンから印刷を実行する際にわざわざトレイを開けに行く必要が無く非常に便利だ。その他、自動両面印刷機能もPIXUS MG6530のみ搭載している。普通紙だけでなくハガキなどにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。一方、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能は両機種とも備えている。トレイを使わない時は、前面給紙カセット部分に収納できるようになっている点も同等だ。写真の自動補正機能としては、EP-776Aは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS MG6530は「自動写真補正II」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。もちろんパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。
 続いて、スキャナ部を見てみよう。解像度はEP-776Aが1200dpi、PIXUS MG7130が2400dpiとなる。解像度に大きな差があるように見えるが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言えるため、実際に使う上での差はあまりないと言える。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿は苦手だ。スキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能は、両機種とも搭載している。
 ダイレクト印刷は両機種とも対応しているが、いずれも対応メモリーカードが少なくなり、、SDカード、メモリースティックDuoのみとなる。とはいえ、一眼レフを除き、ここ数年で使われているメモリカードはこの2つなので、特に不満はないはずだ。加えて、EP-776AはメモリカードだけでなくUSBメモリからの印刷にも対応している。さらに、各種メモリカードからUSBメモリへのバックアップが可能な他、USBメモリ以外に対応の外付けハードディスクや外付けDVDドライブへのバックアップやそれらからの印刷も行える。その上、EP-776Aは、ネットワーク接続をしている場合、他のパソコンから外付けハードディスクのデータにアクセスが可能な「外部機器共有」機能も備えている。つまりEP-776A単体でメモリカード内の写真やスキャンした写真や原稿を外付けHDDに保存でき、それらに家庭内のどのパソコンからもアクセスできるわけである。PictBridgeは両機種とも搭載しているが、EP-776AはUSB接続とWi-Fi接続の両方式のPictBridgeに対応しているのに対して、USBポートを省略したPIXUS MG6530ではWi-Fi接続のPictBridgeにしか対応しない点は注意が必要だ。機能の豊富さではEP-776Aに軍配が上がると言える。
 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートは両機種とも対応している。またPIXUS MG6530はCD/DVD/Blu-rayレーベルの手書き合成にも対応している。その他、EP-776Aは塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカード、折り紙封筒を印刷できる「フォーム印刷」機能を備える。一方のPIXUS MG6530も、写真を使用したカレンダー印刷機能や、原稿用紙・方眼紙・五線譜・レポート用紙・スケジュール帳・チェックリスト・漢字練習帳を印刷できる「定型フォーム印刷」機能を備えており、両機種とも機能は豊富で、また似た機能を搭載している。
 スマートフォンとの連携機能も両機種とも搭載しており、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることで行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、両機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。さらに、クラウドとの連携機能も搭載されている。オンラインストレージから印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS MG6530は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、EP-776Aはスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、PIXUS MG6530はスマートフォン上だけでなくPIXUS MG76530からも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではPIXUS MG6530が便利だ。
 さらにネットワークを利用したプリント機能として、EP-776Aは、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のEP-776Aで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS MG6530は、本機にメールすると自動で印刷できる「メールからプリント」機能のみ搭載しているが、WP-776AがWord/Excel/PowerPoint/PDFの他、JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMPの画像形式に対応しているのに対して、PIXUU MG6530はPDFとJPEGだけの対応というのも少し寂しい。リモートプリント機能はエプソンの3機種の圧勝だ。
 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、両機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「自動変倍」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「オートフィット」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルコピーも両機種とも対応である。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、EP-776Aは「退色復元」、PIXUS MG6530では「色あせ補正」と名称は異なるが、両機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。両機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップにも対応する。さらにPIXUS MG6530では4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。その他、EP-776Aはコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、見開きの本を左右ページで別々にコピーする「BOOKコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、文字領域と画像領域を認識し、それぞれが見やすくなるよう別々の画像処理を行う「領域判定コピー」といった機能を備える。一方PIXUS MG6530には厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。
 操作パネルは両機種とも上位モデルとは異なりタッチパネル液晶ではなくなっている。しかしその中でも工夫がなされているのはEP-776Aである。液晶ディスプレイはタッチパネルではないが、ボタン部分をセンサー式の「LEDナビ」としている。その手順ごとに使用できるキーだけがLEDライトで光り、使えないキーは消灯しているため、非常に分かりやすい。液晶ディスプレイと操作パネルは本体前面に取り付けられているが、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能だ。最大90度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。液晶ディスプレイは2.5型とやや小型になるが、操作性を損なうほどではない。一方のPIXUS MG6530は完全なボタン式である。LEDライトによる誘導もないため、EP-776Aに比べるとわかりにくい。また、液晶ディスプレイと操作パネルは、本体の上面から側面にかけて斜めに大きく面取りされた部分に埋め込まれている。残念ながら操作パネルも液晶ディスプレイも固定されていて角度調整はできない。斜めになっているため、どの角度からでもそれほど使いにくくはないだろうが、それでも高い位置に置くと、操作がしにくかったり液晶ディスプレイが見にくくなりそうだ。液晶ディスプレイはEP-776Aより大きな3.0型となっている。全体として、液晶ディスプレイは一回り小さいものの、「LEDナビ」と角度調整可能な点から、EP-776Aの方が優れていると言えるだろう。
 インタフェースは両機種ともUSB2.0に加えて、無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。また無線LANはWi-Fiダイレクト(PIXUS MG6530はアクセスポイントモード)に対応しているため、無線LANルータの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も4機種共通の便利な点だ。ただし両機種とも有線LAN接続には対応していない点が上位機種とは異なる。
 本体サイズを見てみよう。EP-776Aが390×341×138mm、PIXUS MG6530が466×369×148mmとなり、全体的にEP-776Aが小さい、特に横幅に関してはEP-776Aが76mmも小さく、見た目にもかなりコンパクトな印象だ。一方PIXUS MG6530もEP-776Aと比べると大きく見えるが、従来機よりは低く抑えられているし、上面から側面にかけて大きく面取りされているため、数値より低く見える。高さだけは抑えられた結果、横幅が大きくなったように見えるが、過去の機種と比べて大きくなったわけではない。とは言え設置面積を考えれば、EP-776Aの方が便利ではある。

 EP-776AとPIXUS MG6530は価格がほぼ同等であるため、どの機能を必要としているかで機種が決まるだろう。写真の印刷画質や印刷速度、スキャン性能やコピー機能はほぼ同等であるため、ここで決めるのは難しそうだ。基本機能の豊富さで言えばPIXUS MG6530で決まりだろう。給紙カセットが2段で、自動両面印刷機能を備えているなど機能面で優れている。また顔料ブラックインク搭載なので、文書も綺麗であるのもメリットだ。一方、一方EP-776Aの強みは、操作パネルの便利さと本体のコンパクトさだろう。また各種メモリカードに加えUSBメモリが使え、それらの共有ができることや、各種リモートプリント機能に興味を持ったならEP-776Aである。結局の所、パソコンからの使用がメインならPIXUS MG6530、複合機単体での操作も多いならEP-776Aがおすすめと言えるだろう。もちろん、どちらも高性能なので、どちらを選んでも大きな失敗にはならないはずだ。
  

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


EP-776A
PIXUS MG6530