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2014年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2014年12月10日公開)
エプソンのEP-977A3、EP-807A、キャノンのPIXUS MG7530が2万円台後半以上の価格帯の製品となる。家庭向け複合機の中では最上位モデルとなる。EP-975A3は34,980円、EP-806Aは29,980円、PIXUS MG7530は28,800円となる。本来はEP-807AとPIXUS MG7530が同価格帯の製品で直接の比較対象となる。EP-977A3はEP-807AをA3プリントに対応させた様な機種で、その分価格が高いため、直接的な比較にはならないが、キャノンに該当する比較機種がないため、ここで同時に比較していく。EP-807AとPIXUS MG7530を直接比較しつつ、プラスで金額を出してまでEP-977A3を選ぶ価値があるかを見てみよう。 |
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シアン マゼンタ イエロー ライトシアン ライトマゼンタ |
シアン マゼンタ イエロー ライトシアン ライトマゼンタ |
染料ブラック グレー シアン マゼンタ イエロー |
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(つよインク200) |
(つよインク200) |
(ChromaLife100+) |
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Y/染料BK:各512ノズル 顔料BK:1024ノズル |
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(A4普通紙セット可能枚数) |
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○(2L・ハイビジョン以下) |
○(2L・ハイビジョン以下) |
○(L/KG/2L/はがき) |
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印刷部 |
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フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒) |
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒) |
定型フォーム印刷(原稿用紙・方眼紙・五線譜・レポート用紙・スケジュール帳・チェックリスト・漢字練習帳) |
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印刷 |
iPod touch iPad (iOS 5.0以降) Android 2.2以降 |
iPod touch iPad (iOS 5.0以降) Android 2.2以降 |
iPod touch iPad (iOS 5.1以降) Android 2.3.3以降 |
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BOOKコピー ミラーコピー 領域判定コピー |
BOOKコピー ミラーコピー 領域判定コピー |
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(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(アクセスポイントモード対応) (NFC対応) |
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EP-977A3とEP-807Aのプリント機能は基本的には同じだ。6色インクで最小インクドロップサイズは1.5plであり、非常に高画質な印刷が可能だ。一方のPIXUS MG7530も6色インクで最小インクドロップサイズは1plと、こちらも非常に高画質だ。しかし、同じ6色でもその構成は異なる。EP-977A3とEP-807Aはブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に加えてライトシアンとライトマゼンダを採用しており昔ながらの6色構成だ。いずれも染料インクとなる。カラー原稿の色の薄い部分ではライトインクを使う事で粒状感が抑えられる。一方、PIXUS MG7530はブラック、シアン、マゼンダ、イエローに加えてグレーインクが搭載され、色の濃い部分でブラックインクを使うよりも粒状感が抑えられる。また、モノクロに近い原稿での階調表現が優れており、中間色が赤や青っぽいグレーになることがないという特徴がある。さらに、染料ブラックに加えて顔料ブラックを搭載しているため、ブラックインクを使用する部分に限ってだが、普通紙などへの印刷ではメリハリのある印刷結果が得られる。小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。このインク構成を見る限りでは、写真に関してはどちらもそれぞれ工夫があり、また最小インクドロップサイズも非常に小さいことから、最高画質に達しており、互角と言える。EP-977A3とEP-807Aは6色、PIXUS MG7530は5色で表現するため、ややEP-977A3とEP-807Aの方が上とも言えるが、その分PIXUS MG7530の方が最小インクドロップサイズは小さい。実際に高い次元でのわずかな差である。スペック上の差はあっても実際に比べてみれば差はほとんど無いはずだ。一方コピーや文書印刷と言った部分では、顔料インクを搭載するPIXUS MG7530に軍配が上がると言える。しかし黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のグレーやカラーインクを使用するし、カラーの中に混ざっている場合は顔料と染料を混ぜられないことから、染料インクが使われるなど、背景が無く完全な黒という限定があるなど、必ずしも顔料インクの恩恵を受けられるわけではない点は注意が必要だ。 最小インクドロップサイズは非常に小さいが、EP-977A3とEP-807AはAdvanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しており、PIXUS MG7530はノズル数を非常に多くすることで、最小インクドロップサイズは小さくても高速化を実現している。結果、L判縁なし写真印刷で、EP-977A3が13秒、EP-807Aが14秒、PIXUS MG7530が18秒と非常に高速になっており、枚数の多い印刷でもストレスのない速度となっている。一方、普通紙への印刷速度はEP-977A3とEP-807Aでは公表されていないため、比較することはできないが、PIXUS MG7530ではカラーが10ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが15ipmとなっている。1分間にカラー原稿が10枚というのは非常に高速だと言えるだろう。 使用するインクはEP-977A3とEP-807Aは「つよインク200」である。アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となる。一方、PIXUS MG7130は「ChromaLife100+」でありアルバム保存300年、耐光性40年、耐ガス性10年を実現している。どちらも十分なレベルの耐保存性を持ったインクである。また、3機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる。 給紙に関しては、3機種とも前面給紙カセットが基本となる。いずれも2段カセットとなっており、上段にL判やハガキなどの小さな用紙を、下段にはA4やB5といった大きな用紙をセットするようになっている。完全に本体に収納可能なので、用紙をセットしたままにしてもホコリがかかるなどの心配がない。EP-977A3とEP-807Aの場合、下段にA4普通紙が100枚、上段に写真用紙やハガキなら20枚までセット可能だ。一方PIXUS MG7530は下段にA4普通紙なら125枚、上段に写真用紙やハガキなら40枚までセット可能だ。セット可能枚数はPIXUS MG7530の方が上となる。しかし、PIXUS MG7530の下段はA4、A5、B5、レター、リーガルサイズのみの対応で、L判、KG、2L判、ハガキサイズに対応する上段と使用できるサイズが完全に分けられている。一方EP-977A3とEP-807Aは下段にもL判やハガキサイズにの用紙もセットできる。その場合、ハガキなら40枚セット可能となるため、上下段ともにハガキを入れれば合計で60枚までセットでき、もちろん連続で使用が可能となる。下段の用紙を入れ替える必要があるが、大量印刷の場合にはPIXUS MG7530より大量にセットできるわけである。ちなみにいずれも最小用紙サイズはL判で名刺などのより小さな用紙には対応していない。前面給紙・前面排紙と言うことで気になるのが、厚紙やラベル用紙などである。メーカーとしては問題ない事になっているが、前面から給紙して前面から排紙するため、内部で大きく曲げられてしまうのは少し心配だ。また封筒など二重になっている用紙への印刷も不安なほか、定型サイズでない場合前面給紙カセットのガイドをあわせにくい。そこで、EP-977A3とEP-807Aでは1枚ずつではあるが背面からの手差し給紙を可能としている。従来の背面給紙に近い位置だが、用紙をセットしておけるような大型のものではなく、小さな背面給紙カバーと、用紙を支える小さな「用紙サポート」を引き出せるだけだ。複数枚セットしても一度に給紙されてしまうため、本当に1枚ずつとなる。その分、コンパクトな本体でも背面給紙を可能としているわけである。さらに、通常の給紙カセットでは0.3mm厚の用紙までの対応だが、背面手差し給紙では、倍の0.6mmの用紙に印刷ができる。今まで印刷できなかった厚紙にも印刷できる点も便利だろう。前面給紙のみのPIXUS MG7530に比べて、1枚ずつだが背面からと言う方法が選択できるEP-977A3とEP-807Aは、購入後に前面給紙がうまくいかない用紙を使う事になっても安心感がある。その上、EP-977A3ではこの背面手差し給紙に限ってA3用紙への印刷を可能にしている。A3や四つ切などの大きな用紙に写真を印刷したい場合や、A3やB4の文書を印刷する必要がある場合に便利だ。大量印刷の場合は本格的なA3プリンタが必要だが、時々数枚程度であれば十分に使う事ができる。 3機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込むと自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。なおEP-977A3とEP-807Aはこれに加えて、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。 無線/有線LAN接続ができるようになり、プリンタから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたため、電源や排紙トレイの自動化が進んでいる。EP-977A3とEP-807Aは、印刷が実行されると自動的に電源がオンになり、排紙トレイが自動的に出てくる。また、排紙トレイに引っかかる操作パネルは自動的に少し角度が上がる。一方、PIXUS MG7530も印刷が実行されると自動的に電源がオンになり、自動的に前面パネルのロックが外れて前に倒れ、排紙トレイとなる。3機種とも用紙はあらかじめカセットにセットしておけることから、プリンタの前に行くことなく印刷が実行できる。その後指定した時間が経てば自動的に電源はオフになる。その際、EP-977A3とEP-807Aは自動的にトレイが収納され、上がっていた操作パネルは垂直に戻り収納されるなど、こちらも完全自動である。PIXUS MG7530は電源はオフになるがトレイはそのままである。 その他、自動両面印刷機能は3機種とも搭載している。普通紙だけでなくハガキなどにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。また、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能も3機種がとも備えている。レーベル印刷のトレイを使わない時は、EP-977A3とEP-807Aは前面給紙カセットの下に、PIUXUS MG7530は前面給紙カセットの上段の裏に収納できる。写真の自動補正機能としては、EP-977A3とEP-807Aは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS MG7530は「自動写真補正II」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。もちろんパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。 続いて、スキャナ部を見てみよう。解像度はEP-977A3が4800dpi、EP-807AとPIXUS MG7530が2400dpiとなる。解像度に大きな差があるように見えるが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。実際写真サイズを2400dpiで取り込むと約8,400×12,000ドットとなり1億画素相当となる事から、オーバースペックとも言える。、実際に使う上での差はあまりないと言えるだろう。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。EP-977A3とEP-807Aはスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能を搭載しているためパソコン無しで簡単にスキャンができる。 ダイレクト印刷は、SDカード、メモリースティックDuoのメモリカードに対応しているのは3機種共通だ。最近のデジタルカメラやスマートフォンは一眼レフなどを除きSDカードかその小型版のmicroSDになっており、少し前にさかのぼってもメモリースティックDuoに対応していてば基本的には不満はない。加えて、EP-977A3とEP-807Aはコンパクトフラッシュにも対応している。RAWデータのダイレクト印刷は行えないが、一眼レフなどのメモリカードも挿し込める。さらにこの2機種はメモリカードだけでなくUSBメモリからの印刷にも対応している。また、各種メモリカードからUSBメモリへのバックアップが可能な他、USBメモリ以外に対応の外付けハードディスクや外付けDVDドライブへのバックアップやそれらからの印刷も行える。その上、EP-977A3とEP-807Aはネットワーク接続をしている場合、他のパソコンから外付けハードディスクのデータにアクセスが可能な「外部機器共有」機能も備えている。つまり複合機単体でメモリカード内の写真やスキャンした写真や原稿を外付けHDDに保存でき、それらに家庭内のどのパソコンからもアクセスできるわけである。もちろん写真データ以外も共有可能であるため、簡易NASとしても使用できる。そのほか、赤外線通信による印刷に対応しているのはエプソンの2機種である。PictBridgeは3機種とも搭載しているが、EP-977A3とEP-807AはUSB接続とWi-Fi接続の両方式のPictBridgeに対応しているのに対して、USBポートを省略したPIXUS MG7130ではWi-Fi接続のPictBridgeにしか対応しない点は注意が必要だ。機能の豊富さではエプソンの2機種に軍配が上がると言える。 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートは3機種とも対応している。またPIXUS MG7530は写真やハガキだけでなくCD/DVD/Blu-rayレーベルの手書き合成にも対応している。その他、EP-977A3とEP-807Aでは塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカード、折り紙封筒が印刷できるフォーム印刷機能を搭載している。一方のPIXUS MG7530ではカレンダー印刷機能や、原稿用紙、方眼紙、五線譜、レポート用紙、スケジュール帳、チェックリスト、漢字練習帳が印刷できる定型フォーム印刷機能を備えており、3機種とも単体でも機能は豊富であるといえる。 スマートフォンとの連携機能も3機種とも搭載しており、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、3機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。さらに、クラウドとの連携機能も搭載されており、オンラインストレージから印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS MG7130は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、エプソンの2機種はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、PIXUS MG7530はスマートフォン上だけでなくPIXUS MG7530からも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではPIXUS MG7530が便利だ。 さらにネットワークを利用したプリント機能として、EP-977A3とEP-807Aはは、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のEP-977A3/EP-807Aで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS MG7530は、本機にメールすると自動で印刷できる「メールからプリント」機能のみ搭載しているが、EP-977A3とEP-807AがWord/Excel/PowerPoint/PDFの他、JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMPの画像形式に対応しているのに対して、PIXUS MG7530はPDFとJPEGだけの対応というのも少し寂しい。リモートプリント機能はEP-977A3とEP-807Aの圧勝だ。 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、3機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「自動変倍」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「オートフィット」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルコピーも3機種とも対応である。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、EP-977A3とEP-807Aは「退色復元」、PIXUS MG7530では「色あせ補正」と名称は異なるが、3機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。3機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップにも対応する。さらにPIXUS MG7530では4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。その他、EP-977A3とEP-807Aはコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、見開きの本を左右ページで別々にコピーする「BOOKコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、文字領域と画像領域を認識し、それぞれが見やすくなるよう別々の画像処理を行う「領域判定コピー」といった機能を備える。一方PIXUS MG7530には厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能を備える。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。 操作パネルは3機種ともタッチパネル液晶を基本とする点では同じである。PIXUS MG7530は「インテリジェントタッチシステム」となっており、スタートやストップ、戻ると言った使う場面の多いボタンは液晶ディスプレイの外にタッチ式ボタンとして用意され、メニューや各種設定と言った表示内容が場面に応じて変わるものは液晶ディスプレイ内に表示されを直接タッチして操作することになっている。液晶ディスプレイ外のボタンも使用できるときだけ光る様になっているので分かりやすい。液晶ディスプレイも3.5型と大きめなので、タッチ操作や画像確認も行いやすい。一方のEP-977A3とEP-807Aは液晶ディスプレイ内に、戻るやスタートのボタンも表示してしまい、液晶ディスプレイ外のボタンは電源ボタンだけというシンプルな構成だ。その分液晶ディスプレイは大きく、ワイドの4.3型となっている。どちらも使いやすいように工夫されているが、液晶ディスプレイの外にタッチ式ボタンを配置するPIXUS MG7530では、本体のカラーによっては光っているのがわかりにくい場合もあり、全てが液晶ディスプレイ内にある方が見やすい場合もあるだろう。 このように操作方法は似ている3機種だが、その取り付け位置は大きく異なる。EP-977A3とEP-807Aの液晶ディスプレイと操作パネルは本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能だ。最大90度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。一方PIXUS MG7530は、本体の上面から側面にかけて斜めに大きく面取りされた部分に埋め込まれている。残念ながら操作パネルも液晶ディスプレイも固定されていて角度調整はできない。斜めになっているため、どの角度からでもそれほど使いにくくはないだろうが、それでも高い位置に置くと、操作がしにくかったり液晶ディスプレイが見にくくなりそうだ。角度調整ができるだけEP-977A3とEP-807Aの方が利便性は上である。 インタフェースは3機種ともUSB2.0に加えて、有線/無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線LAN/無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。またネットワーク接続をすればスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(PIXUS MG7530はアクセスポイントモード)に対応しているため、無線LANルータの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も3機種共通の便利な点だ。PIXUS MG7530はこのアクセスポイントモードの際に、NFCによる接続が行える「PIXUSタッチ」に対応する。通常はスマートフォン上で数手順の接続設定が必要になるが、「PIXUSタッチ」なら、写真を選んでスマートフォンをPIXUS MG7530のNFCマークにタッチするだけで接続設定ができる。スマートフォンからの設定もそれほど難しいわけではないがWi-Fiダイレクト/アクセスポイントモードを使う人には便利な機能と言える。ただし、対応機種はスマートフォンからのプリントの対応機種より限定され、Android4.0以上でNFCを搭載した端末となっている。 本体サイズを見てみよう。ほぼ同価格のEP-807AとPIXUS MG7530で比べてみると、EP-807Aが390×341×141mm、PIXUS MG7530が435×370×148mmとなり、全体的にEP-807Aが小さい、特に横幅に関してはEP-807Aが10%以上小さく、設置面積も17.4%小さい。高さもEP-807Aの方がわずかながら小さくなっており、圧迫感は非常に少ない。一方PIXUS MG7530も従来機よりは小型化されているし、上面から側面にかけて大きく面取りされているため、数値よりは小さく見えるが、EP-807Aと比べると大きく見える。そしてA3の手差し給紙対応のEP-977A3は479×356×148mmと横幅が特に大きくなっている。とは言えPIXUS MG7530との差は44mmで、下位機種のPIXUS MG6730と同程度なので、特別大きいという印象はない。奥行きはEP-977A3の方が小さいので、設置面積では6%大きいだけである。 3機種の中で、ほぼ同価格のEP-807AとPIXUS MG7530のどちらがおすすめかを考えてみよう。印刷画質や印刷速度、自動両面印刷やレーベル印刷といったプリンタ機能、スキャナ解像度や方式といったスキャナ機能、ダイレクト印刷機能の有無、コピー機能などはかなり似ていると言える。細かい違いで言えば、排紙トレイの自動収納やUSBメモリへの対応などがあるが、決め手には欠けるだろう。画質面ではライトインクを搭載したEP-977A3とEP-807Aと、グレーインクを搭載したPIXUS MG7530では得意な内容に違いはあるだろうが、どちらも高いレベルでの事で、大きな違いではない。比較的大きな違いと言えば、EP-807Aは1枚ずつの手差しではあるが背面からの給紙が可能である点、操作パネルの角度調整が可能な点が挙げられる。そしてなにより本体サイズが高性能複合機とは思えないほどコンパクトなのも魅力だ。一方のPIXUS MG7530は顔料ブラックインクにより、普通紙への印刷が綺麗な点、NFCを搭載している点などが挙げられる。これらのどちらに魅力を感じるかで機種は決まってくるだろう。ただ、どちらを購入しても大きな失敗ではなく十分に満足がいく製品だろう。残るEP-977A3は純粋にA3プリントを楽しみたいかどうかだ。手差しという不便さはあるが、コンパクトな複合機でA3プリントが行えるというのはメリットだ。A3プリントに5,000円の価格差が見合うと思うならEP-977A3がおすすめだ。ある意味、同画質のA3印刷が可能な単機能機より安く手に入るため、お買い得感は高いと言える。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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