2014年末時点のプリンタ 〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜 (2014年12月10日公開/2015年3月21日更新)
2014年8月末、キャノンとエプソンから相次いで2014年末モデルのプリンタが多数発表された。そこで、2014年末時点での新機種の全体的な傾向、そして両メーカーの傾向を検証した上で、複合機、FAX機能付き複合機、単機能プリンタ、モバイルプリンタ、コンパクトプリンタの4種類を価格帯別に比較していく。各比較は、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。
長い間、エプソン、キャノン共に複合機の最上位機種の画質に変化はなかったが、その傾向は今年も同じである。エプソンが6色構成で最小インクドロップサイズ1.5plのAdvanced MSDTで解像度が5760×1440dpi、キャノンも6色構成で最小インクドロップサイズ1plで解像度が9600×2400dpiとなっているのは去年までの機種と同じである。画質面で十分すぎるほど綺麗な域に入っているため、これ以上画質を向上させる意味が無いためと思われる。インク自体はキャノンは継続、エプソンは70番から80番へと移行したが、インク自体に改良がなされたわけではなく、耐保存性や発色の面で変化はない。そして、両メーカーとも複合機に機能面や外見面での変化は大きくなく、小さな改良や機能追加となっている。一方、今回の新機種で目を引くのがコンパクトな機種だ。まずはエプソンがモバイルプリンタに参入し、バッテリ内蔵でWi-Fiでの印刷にも対応した機種を投入した。その影響か、キャノンもモバイルプリンタの新機種を6年ぶりに発表している。基本性能や本体サイズなどは違いはないが、赤外線通信とBluetooth(オプション)の機能を外し、流行のWi-Fiを搭載している。またエプソンはそれ以外にもコンパクト機を投入している。年賀状作成ができるE-840は順当にE-850になっただけだが、写真プリント専用のE-370は新デザインのPF-70に移行し、高さを抑えつつ、A5用紙にまで対応し、ロール状のシール紙にも対応、Wi-Fi機能も搭載するなど、今までにない分野の製品になっている。 それ以外に、春に新機種が出る傾向にあるFAX付き複合機やA3ノビ単機能機に新機種が一部発表されている他、キャノンがFAX付き複合機をPIXUSシリーズから外し、新たにMAXIFYシリーズとしているなど、特殊な変化もある。 もう少し細かく見てみよう。複合機は本体に関しても小型化は一段落と言ったところで、キャノンが最上位機種で横幅を3cmほど小型化した程度である。スマートフォンやインターネットとの連携も、去年まででWi-Fi機能は一通り搭載し、Wi-Fiダイレクト(キャノンはアクセスポイントモード)も液晶付きの機種に関しては全機種搭載と言うことで、大きな変化はない。エプソンは家庭内の無線LAN環境から接続を切らずにWi-Fiダイレクトも同時使用になった点が、キャノンは最上位モデルでNFCに対応し、スマートフォンとの接続がより簡単になった点が改良点だ。スマートフォン、タブレット向けのアプリも基本的には大きく変わらないが、エプソンは「Epson カメラでコピー」というアプリケーションを新たに用意。カメラで撮影してコピーするという考え方だが、掲示された時刻表やホワイトボード・黒板の内容、雑誌など、斜めに撮影しても四隅の位置を指定すればまっすぐにしてから印刷してくれる。一方キャノンはタブレット向けに「Easy-PhotoPrint+」というWebアプリを用意し、写真をレイアウトしたり、文字を入れたり、カレンダーにしたりと言ったことができるようになっている。 2014年末の新機種は両メーカーとも複合機を中心となっている。そして、昨年まで同様、機種数には大きな違いがある。エプソンはFAX機能無し複合機が9機種から8機種に減っているものの依然として多く、そのうち最下位機種PX-045Aを除く7機種が新機種へ移行している。内訳は染料インク機が4機種、顔料インク機が4機種である。また去年は継続販売だったEP-905Aは後継機種もなくカタログから姿を消している。また顔料インクのPX-504Aが久々にPX-M650Aという新機種へ移行している。型番は一部を除き順当に1の位が1つ増え、7になっている。本体カラーはEP-807Aのみカラーバリエーションがあり従来通りホワイト、ブラック、レッドの3色から選べる。それ以外の機種はホワイトとなっている。 一方、FAX機能付き複合機は7機種のままで、A3対応機が2機種、A4対応染料インク機が1機種、A4対応顔料インク機が4機種となる。A3対応機は継続販売である。FAXなし複合機ではEP-905Aがラインナップから消えたが、そのFAX付きモデルは順当に新機種へ移行しEP-907Fが発表されている。A4対応顔料インク機は、最下位のPX-505Fがラインナップから消え、代わりにPX-535FとPX-M740Fの間にPX-M650Fが追加されている。 A3対応単機能プリンタは5機種のままだが、最上位機のPX-5VがSC-PX5VIIと、少し変わった型番の機種へ移行している。A4単機能プリンタは4機種のまま継続販売である。コンパクトプリンタのカラリオmeシリーズは年賀状作成機能を備えたE-840は順当にE-850へと移行したが、下位機種のE-370は本体形状や対応用紙サイズも新たにPF-70となりカラリオmeシリーズから外れている、その他モバイルプリンタのPX-S05が登場しているのが新しい。 一方キャノンは複合機は4機種のままである。7000番台、6000番台、5000番台、3000番台というのは同じで、上位3機種は新機種、最下位のPIXUS MG3530は継続販売だ。1000の位がグレードを表している点は従来通りだが、100の位は順当に上がっておらず、PIXUS MG7130がPIXUS MG7530、PIXUS MG6530がPIXUS MG6730、PIXUS MG5530がPIXUS MG5630となる。全機種で新モデルが+100されているわけでもなく、かといって全ての100の位をそろえたわけでもなくわかりにくくなった。色は最上位機種は4色のままながら、レッドがオレンジに変更され、ブラック、ホワイト、オレンジ、ブラウンとなった。また、上から2番目の機種にもホワイトモデルが追加され、全機種でブラックとホワイトが選べるようになっている。 FAX付き複合機はPIXUS MX923は継続販売であるものの、PIXUS MX523は販売を終了、後継機種は登場していない。一方FAX付き複合機として新たにMAXIFYシリーズが登場、顔料4色で文章の印刷速度が向上するなど、よりビジネス寄りになった4機種が追加されている。A3単機能プリンタは5機種とも継続販売となる。A4単機能プリンタは従来の2機種は継続販売で、これに加えてMAXIFYシリーズの1機種が追加されている。モバイルプリンタのPIXUS iP100は久々にPIXUS iP110という新機種へ移行している。 このように全体で見ると大きな変更点はないものの、下位機種が削られて上位機種が追加されたり、新しいシリーズになったりとラインナップの整理が行われたり、カラーバリエーションの変更が行われたりと、昨年の動向に合わせて細かな修正が行われた印象である。それではメーカー別にもう少し詳しく見ていこう。
それでは、最新のエプソンのラインナップは、ちょうど2014年春と比べて、つまり昨年末のモデルと、その後春に追加発売された状態からどのようになっているか見てみよう。
まずFAXなし複合機を見てみよう。2013年末時点で発売された機種が順当に後継機種に移行した感のあるラインナップだ。ただし、2013年末に新機種のでなかったADF付きのモデルであるEP-905Aはラインナップから姿を消している(ただしこれにFAX機能を付けたEP-906FはEP-907Fという新機種が発表されている:後述)。また、型番がEPから始まる染料インクの機種は、使用するインクカートリッジが70番から80番へと変更されている。インクカートリッジの価格は高くなっているが、印刷コストは変わらないため、カートリッジの内容量が増えていると考えられる。A3対応のEP-976A3でA3写真をプリントするとインクがすぐになくなると言う点に対応したためかもしれない。また全機種共通の新機能として、「Epson カメラでコピー」というアプリケーションを新たに用意している。カメラで撮影してコピーするという考え方だが、掲示された時刻表やホワイトボード・黒板の内容、雑誌など、斜めに撮影しても四隅の位置を指定すればまっすぐにしてから印刷してくれるというアプリケーションとなる。ただしこちらは従来機種でも使用可能だ。 まずは説明のベースとなりやすいEP-807Aから説明しよう。EP-806Aの後継機種で、基本的は本体デザインや印刷機能に変化はない。大きな違いとして液晶ディスプレイが3.5インチから4.3インチのワイドタイプに変更されたことだ。それに伴って、液晶ディスプレイの左右にあったタッチ式のボタンは液晶ディスプレイ内に取り込まれた形となる。また自動電源オン機能が搭載さて、パソコンやスマホからプリントすると自動的に電源が入るようになった。また従来の機種でも、印刷時に自動的に排紙トレイが出てきて、その際に排紙トレイと接触する操作パネル部分と、前面給紙カセットの前面パネルも開いていた。そして、電源を切ると排紙トレイは収納されていたが、操作パネルと、前面給紙カセットの前面パネルは開いたままだった。これがEP-807Aより収納されるようになった。これにより、電源オフの状態でも、印刷を実行すると自動的に電源が入り操作パネルと前面パネルが開き、トレイが出てきて印刷が実行される。そして自動電源オフの時間を設定しておけば、指定時間になると電源が切れ、トレイが収納され、操作パネルと前面パネルも全て元通りとなる。このように完全自動化している。また電源を切ったりスリープモードに入ると操作パネルは収納されるが、その角度を記憶していて、次回電源オン時には元の角度に戻る「パネルポジション記憶」機能も搭載されている。また用紙サイズ登録機能も搭載された。これは前面給紙カセットに用紙の種類とサイズを登録することで、印刷時のプリント設定と一致しているか確認してくれる用になり、印刷失敗が防止される。従来もセンサーによる用紙サイズの検出により、セットされた用紙と印刷設定の違いを検知できたが、今回からは種類も確認してくれる用になったわけである。前面給紙カセットを挿し込むと登録画面が自動で表示される(表示されないようにもできる)。その他Wi-Fi Directと無線LANルータへの接続が同時に使用できるようになり、無線LANルータに接続している環境で、Wi-Fi Directを使用しても無線LANルータからの印刷も行えるようなっている。カラーはブラック、ホワイト、レッドの3色となる。 EP-807Aの手差しをA3に対応させたEP-977A3もEP-976A3の後継機種だ。基本的にEP-807Aの変更点と同じで、液晶ディスプレイの大型化、自動電源オン機能の搭載、電源オフ時の操作パネルと前面パネルの収納、「パネルポジション記憶機能」搭載、用紙サイズ登録機能の搭載、Wi-Fi Directと無線LANルータと同時接続対応と言った変更点だ。EP-977A3はそれに加えて手差しによるA3写真プリントの速度が大幅に向上し、2分42秒から1分55秒になっている。 EP-776AはEP-777Aへと移行した。液晶ディスプレイが2.5型から2.7型に大型化されているが、こちらはタッチパネル液晶で無いこともあり、操作パネルは従来通りLEDナビとなっている。自動両面印刷機能が搭載されたのが大きな違いと言える。一方カードスロットはメモリースティックDuoの対応がなくなりSDカードのみとなったが、メモリースティックDuoが使われなくなってしばらく立つので、問題はないだろう。EP-776A同様、排紙トレイは手動で引き出してやらなければならないので、自動電源オン機能は搭載されておらず、また、パネルの収納やパネルポジション記憶機能も無い。用紙サイズ登録機能とWi-Fi Directと無線LANルータの同時接続機能は搭載されている。操作パネルが大型化されEP-807Aに近いデザインとなり、操作パネルと前面給紙カセットの間にあった隙間が無くなり、すっきりしたデザインとなっている。 EP-706AはEP-707Aへと移行したが、こちらは用紙サイズ登録機能が搭載された点とWi-Fi- Directと無線LANルータへの同時接続機能以外は、対応メモリカードがSDカードのみとなったくらいの変更点だ。液晶ディスプレイなどは大型化していない。 PX-M650Aはこれまで長い間継続販売されていたPX-504Aの後継機種だ。FAX付き複合機のビジネスモデル同様、PXの後ろに、複合機を表すMが付いた型番へと移行している。4色顔料インクである点や前面からの150枚給紙である点は従来通りだが、2014年春に発売されたビジネス向けの機種同様新テクノロジー「PrecisionCore」を採用したヘッドを採用することで、普通紙印刷時の解像度が360dpiから600dpiにアップすると共に、カラーマッチングも新しくし、より色鮮やかになっている。ただし2014年春の機種とは解像度が異なっており、ノズル数も黒400ノズル、カラー各128ノズルと半減しているため、最小インクドロップサイズにも違いがある可能性はある(それらは公式ページに掲載がない)。その他スキャナに片面のみだがADFが搭載されたこと、2アップコピーやIDコピー機能が搭載されたことなどが新しい。一方でメモリカードスロットは非搭載となった。それに伴って液晶ディスプレイは2.5型カラーから2.2型モノクロへと変更されている。一方USB接続に加え無線LAN、有線LANに対応しているのは従来通りだが、Wi-Fi Directに新たに対応している。 PX-436AはPX-437Aという新機種になったが、こちらも用紙サイズ登録機能が搭載され、Wi-Fi Directと無線LANルータの同時接続機能対応、メモリカードがSDカードのみとなっているのみとなる。PX-046Aの後継機種PX-047Aも基本は変化していない。液晶ディスプレイもメモリカードスロットもないことから、他機種のような変更点もない。従来は対応しなかったメールプリント機能とリモートプリントドライバに対応したくらいである。最下位のPX-045Aは継続販売となる。 FAX付き複合機の内、A3対応機の2機種は継続販売となる。A4対応で染料インクのEP-906FはEP-907Fへと移行しているが基本的にEP-806AからEP-807Aへの変更点と同じだ。液晶ディスプレイの大型化、電源オフ時の操作パネルと前面パネルの収納、「パネルポジション記憶機能」の搭載、用紙サイズ登録機能の搭載、Wi-Fi Directと無線LANルータの同時接続機能対応と言った変更点だ。ただしFAX機能搭載と言うことで常時電源を付けておく使い方となるため、自動電源オン機能は搭載されていない(従来から自動電源オフ機能も搭載されていない)。A4の対応で顔料インクのPX-M741FとPX-M740F、PX-535Fは継続販売となる。そして最下位のPX-505Fがラインナップから消え、PX-M740FとPX-535Fの間にPX-M650Fが追加されている。PX-M650FはPX-M650AのFAX付きと言える機種だが、こちらは2.7型タッチパネル液晶となっているのが異なる。上位機種PX-M740Fと比べると「PrecisionCore」を採用したヘッドを採用することで、普通紙印刷時の解像度が360dpiから600dpiにアップすると共に、カラーマッチングも新しくし、より色鮮やかになっている点は同様だ。ただし2014年春の機種とは解像度が異なっており、ノズル数も黒400ノズル、カラー各128ノズルと半減しているため、最小インクドロップサイズにも違いがある可能性はある(それらは公式ページに掲載がない)。普通紙印刷速度もやや遅く、前面給紙カセットの枚数もPX-M740Fの250枚より少ない150枚で、背面手差し給紙もない。またスキャナははADFが片面スキャンとなっている。メモリカードスロットも搭載されず、コピー時に2アップはできるが4アップはできず、影消しコピーやパンチ穴消しコピーも無い。FAX機能も受信したFAXの保存件数や短縮ダイヤル、グループダイヤルなどの件数に差が付けられている。一方で操作パネルは同等で、本体サイズもやや小さくなっている。さらに下位機種のPX-535Fは継続販売となるが、最下位機種PX-505Fは姿を消している。 A3ノビ対応の単機能プリンタは5機種のままだが、最上位のPX-5VがSC-PX5VIIとなっている。頭にSCが付くなど型番に変化が見られるが、どういった理由かは不明だ。大きな変更点は、インクがK3インクから、UltraChrome K3インクに変更されていることである。フォトブラックとマットブラックが新しくなり、フォトブラックは色材を1.5倍とすることで濃度がアップ、またマットブラックも用紙表面に定着しやすくなり、より深い黒が表現できるという。またこれにより色域も広がっている。またインクを包む樹脂を厚くした事で、光の乱反射を従来の約60%に抑えられ、見る角度や光源によって色が変化するブロンジング現象を低減できる。またアプリケーション面でも進化しており、Photoshop/Lightroomに対応し、印刷時にレイアウトやプリント設定をひとつの画面上で簡単設定できる「Epson Print Layout」は機能を追加している。テストチャートのプリントや測色器を使った測色、色補正が行える「Epson ColorBase 2」は、これまで用紙ごとに必要だった測定が、1回ですむようになっている。このようによりプロ向けの機能が追加されている。Wi-Fi Directに新たに対応したほか、操作パネルが2.7型のタッチパネル液晶になり、角度調整も可能になるなど、使い勝手面でも改良が施されている。 A4単機能プリンタは4機種構成のまま継続販売である。あらたにモバイルプリンタが追加されている。PX-S05の1機種で、4色顔料インクを採用し、バッテリも内蔵しながらキャノンのPIXUS iP100より小型・軽量としている。また無線LANも内蔵し、液晶ディスプレイも搭載していることからWi-Fi Directにも対応している。印刷速度はそれほど高速でなく、セット可能な用紙枚数も少なめで、A4用紙には縁なし印刷ができないといった制限はあるが、モバイルに特化している。また、USB充電が可能なほか、1.5A以上のモバイルバッテリを使えばUSB給電も可能となっている。 年賀状作成対応のE-840はE-850へと変更されているが、内蔵デザインが5047種類へと増加したほか、宛名面のデザインも印刷できるようになった。年賀状印刷が行えないコンパクトプリンタはカラリオmeシリーズを外れ、PF-70という型番となった。高さが抑えられてコンパクトになったほか、A5用紙にまで対応しちょっとしたホームページの印刷などは行えるようになった。またロール紙にも対応、現段階ではロール状のシール用紙が販売されており、シールを作ったりパノラマ写真を印刷したりできる。無線LANも内蔵しWi-Fi Directにも対応するなど、より写真印刷に特化した機種になっている。
今年のラインナップが去年と比べてどのようになっているか、まずは見てみよう。
キャノンのラインナップを見てみよう。FAX無し複合機のラインナップは4機種で、7000番台、6000番台、5000番台、3000番台というのは同じだ。ただし、去年はPIXUS MG7130、MG6530、MG5530、MG3530と新たに追加された7000番台以外、下3桁が530で統一されていたが、今年はそれぞれ、PIXUS MG7530、MG6730、MG5630、MG3530とばらばらになっている。PIXUS MG7130の後継機種であるPIXUS MG7530は本体の小型化が行われた。基本的なデザインはそのまま、幅435mm×奥行き370mm×高さ148mmとなり、横幅を466mmから435mmに小型化している。奥行きは1mm大きくなり高さはそのままである。小型化とは言え、ライバルとなるEP-807Aの390×341×141mmと比べると、幅、奥行き共に大きいが、下位機種に対する差別化といる。小型化の関係で、カードスロットからコンパクトフラッシュが無くなり、下位機種と同じSDカードとメモリスティックDuoの対応となった。一方、NFCを搭載し、スマートフォンからアクセスポイントモードで印刷時に、写真を選択後スマートフォンをタッチするだけで接続される「PIXUSタッチ」機能を搭載している。NFCを搭載したAndroid 4.0以上の端末に限定されるが、スキャンも行え、手軽に利用できるようになった。その他の変更点として、ウェブブラザー上で動作するパソコン、タブレット向けアプリケーション「Easy-PhotoPrint+」への対応がある。写真や文字を自由にレイアウトしてプリントしたり、カレンダーやIDフォトを印刷したりできる。一方、スキャンしてメモリカードに保存する機能は省かれている。カタログには記載がないものの、用紙サイズと種類を登録できる機能が搭載され、印刷時に異なっている場合に警告が出る機能をエプソン同様搭載している。前面給紙カセットを取り付けると自動的に登録画面が表示される(表示しないようにもできる)。本体カラーは4色から選べるのは従来通りだが、レッドが無くなりオレンジが追加され、ブラック、ホワイト、オレンジ、ブラウンとなった。また、PIXUS Atelierを名乗るPIXUS MG7530Fも限定販売されている。基本機能はPIXUS MG7530と同等だが、女性向けの機種となっており、本体カラーが「エクリュベージュ」となっているほか、「PIXUS Atelier PRINT」と呼ばれるスマートフォン向けアプリが利用でき、ブックカバー、ギフトラッピングラベル、フレームカレンダー、ギフトボックス、フラッグガーランドなど様々な手作りアイテムを作る事ができる。また女性社員がプロジェクトを組んで企画したという事で、タッチパネル液晶のアイコンのデザインも優しいデザインに、さらによく使う機能を1ページ目に持ってくるなど、細かな変更がなされている。 PIXUS MG6530の後継機種PIXUS MG6730は、基本的には変更点はない。上位機種のように本体サイズも小型化しておらず、プリント、スキャン、その他の機能も同等だ。違いは、「Easy-PhotoPrint+」に対応したことと、スキャンしてメモリカードに保存する機能が省かれたことくらいだ。上位機種PIXUS MG7530と下位機種PIXUS MG5630に搭載された用紙サイズのセット機能は搭載されず、用紙の幅のチェック機能が搭載され、印刷時に異なるとメッセージが表示される方式となっている。本体カラーはPIXUS MG6530では唯一ホワイトが選べなかったが、今回よりブラックとホワイトの2色構成となる。これにより全モデルで本体カラーが選べることとなった。PIXUS MG5530はPIXUS MG5630となったが、こちらも大きな変更点はない。「Easy-PhotoPrint+」に対応したことと、PictBridge(Wi-Fi)に対応した事くらいとなる。また、用紙サイズと種類の登録機能も搭載されており、前面給紙トレイを前に引き出して用紙をセットした場合は押し込むと自動的に登録画面が表示される。PIXUS MG3530は継続販売となる。 FAX付き複合機は下位機種のPIXUS MX523がラインナップを外れ、PIXUSブランドではPIXUS MX923のみとなった。代わりにビジネスインクジェットプリンタ「MAXIFY」ブランドが新たに立ち上がり、こちらに4機種が発売されている。MAXIFYの4機種は基本機能は似ており、「MAXIFY用・新開発顔料インク」と名付けられた4色顔料インクを採用する。PIXUS用顔料インクに比べて、黒が濃く、マーカーを引いても滲みにくく摩擦にも強いという。また、縁なし印刷ができないなど、ビジネスに特化した機種となる。さらに印刷を高速化するために、1枚目の印字中に2枚目を重ねて搬送させる「重ね連送」機能を搭載し、モノクロ23ipm、カラー15ipmという高速印刷となっている。対して、印刷解像度は600x1200dpiであり、最小インクドロップサイズも公表されていないが、それほど小さくはないと予想され、画質面ではPIXUSシリーズよりは劣ると思われる。カセットは1段で250枚セット可能なものを1段、又は2段搭載し、全機種でADFを搭載し、最上位機種ではCISセンサーを2つ搭載し、同時両面スキャンが可能となっている。4機種がラインナップされ、上位機種から順にMAXIFY MB5330、MAXIFY MB5030、MAXIFY MB2330、MBMAXIFY MB2030となっている。MAXIFY MB5330は最上位機種で、モノクロ23ipm、カラー15ipmの高速印刷で、250枚セット可能な給紙カセットを2段搭載、自動両面プリントにも対応し、ADFは両面同時スキャンが可能である。タッチパネルの3.0型液晶を搭載し有線LANと無線LAN接続にも対応する。対応インクは超大容量のPGI-2300シリーズで、大容量インクカートリッジの場合モノクロ文書1.8円、カラー文書6.1円、標準インクカートリッジでも2.2円と7.6円の印刷コストとなっている。MAXIFY MB5030は給紙カセットが1段でADFは片面スキャンだが、高速印刷や低印刷コストは引き継いでいる。MAXIFY MB2330はMAXIFY MB5330のADFを片面スキャンにした機種で、給紙カセットも2段で印刷速度も同じだが、対応インクがPGI-1300シリーズで、PGI-2300シリーズよりコストが高く、大容量インクカートリッジの場合モノクロ文書3.0円、カラー文書8.9円、標準インクカートリッジで4.1円と12.1円と、大容量インクカートリッジでも、PGI-2300シリーズの標準インクカートリッジより印刷コストは高くなる。MAXIFY MB2030は印刷速度が他の機種より遅くモノクロ16ipm、カラー11ipmとなる。また給紙カセットは1段で、液晶も2.5型でタッチパネルではなく、有線LANも非対応で無線LANのみとなる。 A3ノビ対応単機能プリンタの5機種はそのまま継続販売となる。A4単機能プリンタはPIXUS iP7230とPIXUS iP2700は継続販売だが、ビジネス用のMAXIFYシリーズの単機能プリンタが登場している。MAXIFY iB4030でモノクロ文書23ipm、カラー文書15ipmの高速印刷や、用紙カセットが2段である点、対応インクカートリッジがPGI-2300シリーズである点など、MAXIFY の複合機のMAXIFY MB5330のプリント機能部分だけと言った機種である。液晶ディスプレイは2行のモノクロ表示でFAX機能も搭載されないが、有線LANと無線LAN接続機能は搭載している。 モバイルプリンタは久々に新機種となり、PIXUS iP110となった。本体デザインや印刷画質、印刷速度に違いはなく、デザイン上は本体カラーがシルバーからブラックになったくらいだ。機能面では赤外線通信とBluetoothのオプション対応が無くなり、無線LANが搭載された。スマホからのプリントに対応し、アクセスポイントモードも搭載している。
各機種を詳しく見てみよう。価格帯別の比較、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。なお価格は、このページの作成時点(2014年10月)でのメーカーのオンラインショップの価格(税別)としている。家電量販店やパソコンショップなどの実際の価格とは異なる場合があるのでご了承いただきたい。 (H.Intel) 今回の関連メーカー エプソンホームページ http://www.epson.jp/ キャノンホームページ http://canon.jp/ |
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(コンパクト) |
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