小ネタ集
2014年末時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2014年12月10日公開/2015年3月21日更新)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


4〜6万円台のA3単機能機
 
 A3単機能機の中で、4〜6万円台の機種3機種である。エプソンのPX-7V、キャノンのPIXUS PRO-10とPIXUS PRO-100がこれにあたる。それぞれ57,124円、63,000円、45,000円となる。PX-7Vははプロセレクションに属する製品で、PIXUS PRO-10とPIXUS PRO-100は型番にPROが入っているように、プロ向けの製品だ。プロ向けの製品ながら、上位機種よりは手に入りやすい価格となっている。3機種にどういった違いがあるのか、そして上位機種と比べて価格差がある分どういった違いがあるのかを見ていこう。

メーカ
エプソン
キャノン
キャノン
品番
PX-7V
PIXUS PRO-10
PIXUS PRO-100
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込み)
57,124円
63,000円
45,000円
プリンタ部
インク
色数
9色(同時使用8色)
10色
8色
インク構成
フォトブラック
マットブラック
シアン
マゼンダ
イエロー
ブルー
レッド
オレンジ
グロスオプティマイザ(マットブラックとブルーは同時使用不可)
マットブラック
フォトブラック
グレー
シアン
フォトシアン
マゼンダ
フォトマゼンダ
イエロー
レッド
クロマオプティマイザー
ブラック
グレー
ライトグレー
シアン
フォトシアン
マゼンダ
フォトマゼンダ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
各色独立
顔料/染料系
顔料
(つよインク200X)
顔料
(LUCUA)
染料
(ChromaLife100+)
ノズル数
1440ノズル
7680ノズル
6144ノズル
全色:各180ノズル
全色:各768ノズル
全色:各768ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(MSDT)
4pl
3pl
最大解像度
5760×1440dpi
4800×2400dpi
4800×2400dpi
給紙・排紙関連
対応用紙サイズ
L判〜A3ノビ
L判〜A3ノビ/半切
L判〜A3ノビ/半切
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(A3ノビ対応/120枚)
○(A3ノビ対応/150枚)
○(A3ノビ対応/150枚)
前面
その他
前面手差し(A3ノビ/1.3mm厚)
ロール紙(A3ノビ)
背面手差し(A3ノビ・半切/0.6mm厚)
背面手差し(A3ノビ・半切/0.6mm厚)
自動両面印刷
用紙種類・サイズ登録
排紙トレイ自動開閉
自動電源オン/オフ
−/−
−/○(USB接続時のみ)
−/○(USB接続時のみ)
特殊機能
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正II)
パソコンから印刷時のみ
○(自動写真補正II)
パソコンから印刷時のみ
PictBridge
○(USB)
○(USB)
○(USB)
特定インク切れ時印刷
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
37秒
65秒
28秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
N/A
N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
N/A
N/A
ネットワーク
印刷
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 5.0以降)
Android 2.2以降
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 5.1以降)
Android 1.6以降
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 5.1以降)
Android 1.6以降
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
−/−
−/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
液晶ディスプレイ
操作パネル
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
IEEE802.11n/g/b
IEEE802.11n/g/b
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
100BASE-TX
外形寸法(横×奥×高)
622×324×219mm
689×385×215mm
689×385×215mm
重量
12.3kg
20.0kg
19.7kg
 

 まずはインクを見てみよう。PX-7Vは上位モデルと同じ顔料インクながら、別の「つよインク200X」を採用する。上位モデルのK3インクとは異なる一方、複合機の低価格機種で採用される「つよインク200X」と名称は同じながら異なるインクである。以前、A4単機能機の上位モデルが顔料インクの「PX-G」、中位モデルが染料インクの「PM-G」、下位モデルが顔料インクの「PX-V」という名称で呼ばれていた時代があったが、その頃の「PX-G」インクの流れをくむ製品だ。「光沢顔料」と呼ばれており、顔料インクながら、光沢写真の印刷が可能というものだ。顔料を高密度化透明樹脂でコーティングする事で光沢感を出す一方、インクの少ない所にはグロスオプティマイザと呼ばれる高密度化透明樹脂だけを打つことでプリント表面を均一にし、その結果光の乱反射が抑えられるため美しい光沢感が出るというインクである。もちろん顔料インクのメリットである、普通紙へシャープな印刷が可能である点や、高い耐水性はそのままであり、濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まないというメリットがある。また顔料インクは色安定性が高く、染料インクのように印刷直後と乾いた後で色が変化する事が無く、印刷直後に色を確認できるため、何度も印刷して色調節をする場合にも便利である。つまり、顔料インクのメリットをそのままに、顔料インクでは光沢感が薄れポストカードのようなくすんだ光沢になってしまう写真用紙への印刷でも、光沢感のある印刷が行えるのである。アルバム保存なら200年、耐光性80年、耐オゾン性35年と、耐保存性も非常に高い。一方、PIXUS PRO-10は上位モデルと同じ顔料インク「LUCIA」を採用する。インク自体は、PX-7Vのように樹脂でコーティングしたという事はないが、顔料インクならではの色安定性と、短時間での色の定着という特徴がある。これに加えて透明の「クロマオプティマイザー」が特徴となる。紙の上に打ち出されたインクはわずかながら高さがあり、そこに光が当たることで反射光が不均一になってしまう。結果、光沢感にムラができ、色が浮き出ているような違和感を覚えたり、本来とは違う色味が見えてしまう「ブロンズ現象」が発生してしまう。透明の「クロマオプティマイザー」を打つことで、インクの段差が軽減されることで、これらの現象も改善されるという。ちなみにLUCIAインクはアルバム保存200年、耐光性60年、耐ガス性50年とこちらもかなり高くなっている。
 最後にもっとも安価なPIXUS PRO-100だが、こちらはプロ向け製品で唯一の染料インクを採用する。「ChromaLife100+」というインクは、複合機などで採用されるものと同じである。そのため、耐水性や、短時間での色の定着といった特徴はない。その代わり、染料インクであるため、写真用紙や光沢紙での紙本来の光沢感が出やすく、また対応する用紙も多いというメリットがある。耐保存性の面ではアルバム保存300年、耐光性40年、耐ガス性10年を実現しており、他の2機種と比べてそれほど劣るわけではない。
 色の構成はPX-7Vは9色搭載の8色同時使用となっている。また1色は前述のグロスオプティマイザなので、色を表現するインクは同時使用7色である。内訳はフォトブラック、マットブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ブルー、レッド、オレンジとなる。ブラックが2種類搭載されているが、上位機種のようなグレーインクは搭載しない。その代わりといっては何だが、基本のシアン、マゼンダ、イエロー以外にブルー、レッド、オレンジというインクが搭載されているのが珍しい。これにより色の表現力が格段にあがっているという。ブルーインクは青空や海などで澄み切った深い色を表現でき、オレンジインクはイエローからオレンジ周辺の色を再現する際にスムーズで色転びのない階調表現が可能になるという。ただし、マットブラックとブルーインクは排他使用であるため、より深い黒を表現したい場合はマットブラックを、青の表現力を上げたい場合はブルーインクを使用することになる。またイエローはただのイエローではなくややグリーン寄りのものを、マゼンダもややブルー寄りのものを、シアンはやや明るめとなっており、搭載するインクの色は出来るだけ色再現性が高まるよう細かく調整されている。最小インクドロップサイズは1.5plと非常に小さく、これはエプソンの複合機の最上位モデルと同等だ。インク色数が多いだけでなく、最小インクドロップサイズが小さいため粒状感は皆無といえる。一方で3つのサイズのインクを打ち分けるMSDTにも対応しており、べた塗り部分には大きなインクを打つ事で、ムラが抑えられる様にもなっている。離れてみる大判プリントだけでなく、L判サイズや年賀状などの小さなサイズでも非常にきれいに印刷できるはずだ。
 PIXUS PRO-10は10色構成である。クロマオプティマイザーを除く色を表現するインクだけでも9色ある。構成はブラック系が3色でフォトブラック、マットブラック、グレーとなっており、これにシアン、フォトシアン、マゼンダ、フォトマゼンダ、 イエロー、レッドのカラー6色となっている。最上位モデルと比べるとダークグレートライトグレーのグレー系2色がなくなっているが、PX-7Vにはないグレーインクを搭載するため、モノクロ印刷時の階調表現がよりスムーズで、色転びも起こりにくくなる、またブラックインクを粗く打つ場合と比べて、グレーインクを使うことで粒状感が押さえられると。もちろん、カラー印刷時にもその恩恵は受けられる。またカラーに関しては基本的な構成に加えて、レッドインクを搭載しており、色域の拡大に力を発揮している。一方、最小インクドロップサイズは4plとPX-7Vと比べるとかなり大きい。大判プリントで離れて見るなら問題ないレベルだし、インクの色数が多い事による粒状感の低減効果はあるが、箇所によっては粒状感を感じる場合もあるだろう。
 PIXUS PRO-100は8色構成となる。ブラック系はブラック、グレー、ライトグレーの3色で、カラーは基本的なシアン、フォトシアン、マゼンダ、フォトマゼンダ、イエローとなる。PIXUS PRO-10と比べると、グレーに加えてライトグレーがあるため、モノクロ印刷時の白から黒にかけての階調表現や、粒状感はより抑えられる。もちろんカラー印刷時にも有効だ。一方マットブラックのようにより濃いブラックがないため、黒色の中での階調表現では劣り、黒つぶれしてしまう可能性はある。とはいえ、複合機の最上位機種よりライトグレーがある分良く、さらにフォトシアンやフォトマゼンダも搭載するため、カラーの色の薄い部分での粒状感も抑えられる。最小インクドロップサイズは3plとPIXUS PRO-10よりはやや小さいが、PX-7Vの倍であり、キャノンの複合機の最上位モデルが1pl、下位モデルも2plであることを考えると大きめである。インクの色数が多いため、3plという数字からくる感覚よりは粒状感は抑えられているが、箇所によっては粒状感を感じる場合もあるだろう。
 これら3機種はインクそのものだけでなく、インクの組み合わせやその量などの制御方式も、一般的なプリンタとは一線を画すものとなっている。PX-7Vの場合、論理的色変換システム「LCCS」を搭載する。8色インクの場合、表現できる色の数は1,840,000,000,000,000,000通りになるが、その中から階調性、色再現域、粒状性、光源依存性がバランスよく制御される用に、インク配分を論理的に算出してプリントする。一方、PIXUS PRO-10も「OIG System」を使用する。一つの色を表現する際に、10色のインクの組み合わせから、色の再現性だけでなく、階調性・黒濃度・粒状性・光沢均一性・ブロンズ・メタメリズムを考慮して適正な組み合せを選択するというシステムである。さらに1200ppi入力にも対応している。一般的な600ppi入力と比べると、細部のジャギーが軽減され、解像感がより高くなる。PIXUS PRO-100も「OIG System」を使用するが、クロマオプティマイザーを搭載しないこともあり、考慮されるのは色再現性・階調性・黒濃度・粒状性・メタメリズムのみとなっている。1200ppi入力には対応しており、PIXUS PROシリーズとしては最下位機種ながら、機能的には十分なものとなっている。このように、3機種とも、プロ向けという用途に見合うだけの高度な最新技術を惜しみなく搭載していると言える。
 対応用紙にもそれぞれこだわりがある。基本的に使用する背面給紙の場合A3ノビサイズまで対応する。最小サイズはL判となる。そして、PX-7Vは前面からの手差し給紙により、1.3mm厚の用紙に印刷することが可能だ。排紙トレイを開いた内部にもう一段開けるようになっており、そこが手差し部分となる。前面からの手差しで直線的に給紙が可能であるため、厚紙印刷が可能というわけである。一般的なプリンタに対応する厚紙は0.3mm程度なので4倍以上の厚みにも対応しており、壁に掛ける場合などにも便利だろう。さらに、背面からのロール紙印刷にも対応する。純正用紙に長さが10mのロール紙があるため、幅はA3ノビの329mmとなるが、長さは3276.7mm(Windowsの場合。Macでは1117.6mm)まで対応している(アプリケーションによっては更に長い用紙にも対応できる)。そのため、パノラマ写真の印刷も可能になっている。一方PIXUS PRO-10/PIXUS PRO-100も手差し給紙に対応するが、背面からとなる。背面の給紙トレイの下に手差しトレイがあり。用紙のセットがやや不便なほか、手差しトレイが斜めになっているため、用紙が内部で曲がる必要があり、対応する厚さは0.6mmまでとなっている。一般的なプリンタの倍の厚みの用紙に対応しているとも言えるが、PX-7Vと比較すると劣るのは残念だ。しかし、手差しの場合はA3ノビ(329x483mm)より幅が広い、半切(356mm×432mm)用紙に対応しているのは大きなメリットだ。半切はA3などとは異なりアスペクト比が5:4の銀塩写真時代の印画紙のサイズであるため、そのサイズにこだわりのある人が少なからずいる他、額などの種類が多いというメリットがある。
 そのほかの機能をみてみると、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能は3機種とも備えている。自動両面印刷機能は3機種とも非対応だ。指定した時間がたつと自動的に電源がオフになる機能はPIXUS PRO-100とPIXUS PRO-10が備える。ただしUSB接続の場合のみとなる。3機種ともUSB接続のPictBridgeに対応し、顔を自動検出し、顔とそれ以外の部分の露光状態を別々に解析して、それぞれに合った明るさに補正してくれるため、高精度で自動補正が行える「自動写真補正II」機能も利用でき、プロ用とだけでなく気軽にきれいな写真印刷も可能となっている。ただしPIXUS PRO-10/PIXUS PRO-100はパソコンから印刷時のみこの機能が使える。
 印刷速度をみてみよう。L判写真フチなし印刷の場合、PX-7Vが37秒、PIXUS PRO-10が65秒、PIXUS PRO-100が28秒と大きな差となっている。複合機の最上位モデルで14〜18秒なので、PX-7VやPIXUS PRO-100の場合それほど遅くはないが、PIXUS PRO-10はかなり遅いと言える。 PX-7Vは各色180ノズルと多く、MSDTのおかげで大小のインクを打ち分けることで高速化している効果があり、最小インクドロップサイズが小さくても高速に印刷できるのだろう。一方PIXUS PRO-10とPIXUS PRO-100は共に各色768ノズルと同等で、「OIG System」を使用するのも同等、1200ppi入力も同じながら、ここまでの差となっている。むしろPIXUS PRO-10の方が最小インクドロップサイズが大きいにも関わらず遅い。違うとすれば、顔料インクと染料インクという点があり、このあたりに差が出ているとも考えられる。続いてA3ノビのフチあり写真印刷速度である。PX-7Vが2分31秒、PIXUS PRO-10が3分35秒(ただし、写真用紙・光沢プロ[プラチナゴールド]を使用する場合は5分20秒)、PIXUS PRO-100が1分30秒となる。PX-7VとPIXUS PRO-10の差が縮まり、逆にPIXUS PRO-100との差は広がった。PX-7Vが大判印刷は苦手なのか、それともPIXUSの2機種が大判印刷が得意なのかはわからないが、L判フチなし印刷速度から考えるとPX-7Vは少し遅めだ。とはいえ、PIXUS PRO-10が遅いことには代わりはなく、はやり染料インクのPIXUS PRO-100は高速だ。ただ印刷後の色安定性は顔料インクの方が上なので、色の確認をして調整することを考えるなら、印刷は遅くても顔料インクのPX-7VとPIXUS PRO-10の方が早いかもしれない。また、この価格の製品だと、印刷速度よりも画質などの方が重要性は高いので、あまり印刷速度が機種を選ぶ上での決めてにはならないだろう。

 スマートフォントの連携機能は3機種とも搭載しているが、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリントが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ただし、PIXUS PRO-10とPIXUS PRO-10は最新のアプリ「PIXUS Print」ではなく、一世代前の「 Easy-PhotoPrint」を使用するため、写真のみの印刷で、はがきサイズなども選べない。その点PX-7Vではドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、クラウドとの連携機能も搭載されており、オンラインストレージから印刷が可能だ。

 3機種ともプリント単機能機ということで、操作パネルや液晶ディスプレイは搭載していない。 インタフェースはいずれもUSB2.0に加えてネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないため便利だろう。有線LANと無線LANの両方に対応しているため、アクセスポイントとの距離が遠い、または配線が煩わしい場合は無線LAN、安定性や速度をとるなら有線LANという風に、好きな方を選択できる。
 本体サイズは、SC-PX5VIIが622×324×219なのに対して、PIXUS PRO-10とPIXUS PRO-100は689×385×215mmとなる。高さは同等だが、横幅、奥行き共にPX-7Vの方が6cm以上小さい。設置面積ではPX-7Vの圧勝となる。とはいえ、どちらにしても設置面積は大きいため、店頭で一度確認した方が良さそうだ。PIXUS PRO-10とPIXUS PRO-100はA3ノビより横幅が大きい半切用紙に対応しているために横幅が大きいのではないかと思われる。また、PX-7Vは前面からの手差しによる厚紙印刷に対応しているが、厚紙の場合は内部で曲げることが出来ないため、用紙の長さに近い長さが一度後方に飛び出すことになる点は注意が必要だ。前面給紙を行う場合は、PX-7Vでは後方に320mm以上のスペースを確保することがマニュアルに書かれている。また、PX-7Vのロール紙も本体後部に取り付けるため、スペースが必要だ。さらにファインアート紙を使用する場合、背面に「背面手差し用紙ガイド」の取り付けスペースが必要な上、斜めに用紙をセットするスペースも必要だ。一方のPIXUS PRO-10/PRO-100の厚紙は前述のように背面からの手差しである。こちらも斜めにではあるが、用紙の長さ分のスペースがないと用紙が挿し込めないためこちらも後方のスペースはかなり必要である。いずれの場合も手差し印刷を使用する場合は注意した方が良さそうだ。
 どちらの機種から選ぶかということについては非常に難しい。インク数が多く、高度な使用インクの組み合わせを制御するシステムを搭載した機種を、安価に手に入れたいならPIXUS PRO-100も悪くない。半切用紙にも対応している。しかしながら染料インクというもはプロ向け製品としては物足りない印象だ。顔料インクの早い色安定性は、色合いにこだわる人には便利だし、顔料インク+透明の組み合わせにより、飾った際の光源や見る方向によって色味が変わらないのもプロ向け製品の特権と言える。その点ではこれらの機能を搭載したPX-7VやPIXUS PRO-10がおすすめと言える。この2機種の場合、画質面では色数や色の制御などの面で、両機種ともかなり高機能であり、画質的にはプロ向けの製品としてふさわしいものとなっている。逆に言えばそこでの差は付きにくいこととなる。印刷速度の違いはあるが、クラスの製品で、印刷速度を理由に機種を選ぶのはナンセンスだろう。大きく違うのが対応用紙だ。PX-7VはA3ノビまでである代わりに、1.3mm厚の厚紙に対応しているほか、ロール紙に対応している点がメリットだ。一方、PIXUS PRO-10は厚紙は0.6mm厚までだが、半切用紙に対応している。どちらの用紙を使うかで機種が決まるだろう。また、画質はどちらも高品質なのは同じだが、表現方法に違いは出ると思われるため、実際の印刷サンプルを見て決めるのもよいかもよいかもしれない。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


PX-7V
PIXUS PRO-10
PIXUS PRO-100