小ネタ集
2016年春時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2016年5月28日公開)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


A3対応FAX機能付き複合機
 
 A3ノビのプリントとA3のスキャンに対応したFAX機能付き複合機である。キャノンに該当する機種がないため、エプソンの3機種「PX-M5041F」と「PX-M5040F」「PX-1700F」の比較となる。なお、PX-1700Fは給紙トレイが1段のPX-1600Fと同時に発表され、その後、それぞれ後継機種PX-M5041FとPX-M5040Fに移行した。しかしPX-1700Fに関しては継続販売され、下位モデルの位置づけで販売されている。そのため、このような形となっている。

メーカ
エプソン
エプソン
エプソン
品番
PX-M5041F
PX-M5040F
PX-1700F
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込み)
49,980円
39,980円
29,980円
プリンタ部
インク
色数
4色
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
各色独立
顔料/染料系
顔料
(つよインク200X)
顔料
(つよインク200X)
顔料
(つよインク200X)
ノズル数
1568ノズル
1568ノズル
768ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
カラー:各128ノズル
黒:384ノズル
最小インクドロップサイズ
2.8pl(MSDT)
2.8pl(MSDT)
2pl(MSDT)
最大解像度
4800×2400dpi
4800×2400dpi
5760×1440dpi
給紙・排紙関連
対応用紙サイズ
L判〜A3ノビ/TD>
L判〜A3ノビ
L判〜A3ノビ
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(A3対応/1枚手差し)
○(A3対応/1枚手差し)
前面
○(250枚・L判〜A3ノビ)
○(250枚・普通紙B5以上)
○(250枚・L判〜A3ノビ)
○(250枚・L判〜A3ノビ)
○(250枚・B5以上)
その他
自動両面印刷
○(A3対応)
○(A3対応)
○(A4まで)
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
排紙トレイ自動開閉
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
−/○
特殊機能
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
45秒
45秒
60秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
10.0imp
10.0ipm
8.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
18.0ipm
18.0ipm
15.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
19.2円
19.2円
21.4円
A4カラー文書
7.6円
7.6円
7.3円
A4モノクロ文書
2.5円
2.5円
2.5円
スキャナ部
読み取り解像度
1200dpi
1200dpi
1200dpi
センサータイプ
CIS
CIS
CIS
ADF
○(両面A3まで・35枚)
○(両面A3まで・35枚)
○(A4両面・A3片面・30枚)
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF/TIFF)
○(JPEG/PDF/TIFF)
○(JPEG/PDF)
ダイレクト
印刷部
カードスロット
対応メモリカード
SD/MS Duo
SD/MS Duo
SD/MS/xD/CF
PCからドライブとして利用
外付けHDD/外付けDVD/USBメモリへ保存
N/A(外部機器共有対応)/−/N/A
N/A(外部機器共有対応)/−/N/A
○(外部機器共有対応)/−/○
外付けHDD/外付けDVD/USBメモリから印刷
○/−/○
○/−/○
○/−/○
手書き合成シート
PictBridge対応
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷
ノート罫線印刷(罫線・マス目・便箋)
ネットワーク
印刷
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 7.0以降)
Android 4.0以降
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 7.0以降)
Android 4.0以降
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 7.0以降)
Android 4.0以降
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
コピー部
倍率指定/自動変倍/オートフィット
○(25〜400%)/○/○
○(25〜400%)/○/○
○(25〜400%)/○/○
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
2アップ/4アップ
○/○
○/○
○/−
バラエティコピー
IDコピー/影消しコピー/パンチ穴消しコピー/ブック分割コピー
IDコピー/影消しコピー/パンチ穴消しコピー/ブック分割コピー
FAX部
受信ファックス最大保存ページ数
550枚
550枚
180枚/100件
データ保持(電源オフ/停電)
○/○
○/○
○/○
ワンタッチ/短縮ダイヤル
10件/200件
10件/200件
−/60件
グループダイヤル/順次同報送信
199宛先/200宛先
199宛先/200宛先
30宛先/30宛先
自動リダイヤル
PCファクス
送受信
送受信
送受信
液晶ディスプレイ
4.3型
4.3型
2.5型(角度調整可)
操作パネル
タッチパネル+ボタン式
タッチパネル+ボタン式
ボタン式
(角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
有線LAN
100BASE-T
100BASE-T
100BASE-T
外形寸法(横×奥×高)
567×486×418mm
567×486×340mm
559×418×365mm
重量
21.8kg
18.6kg
18.9kg
 

 プリンタ部を見てみよう。3機種ともビジネス向けのプリンタと言うことから、4色の顔料インクを採用している。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色構成で、最小インクドロップサイズもPX-M5041FとPX-M5040Fが2.8pl、PX-1700Fが2plとなる。家庭向け複合機の上位モデルでは6色インク構成で、最小インクドロップサイズが1.5plなので、写真印刷画質は劣ってしまう。最小インクドロップサイズが大きいので粒状感がある上、ライトシアンやライトマゼンダが無いため、薄い色の箇所での粒状感も強くなる。とはいえ、2.8plや2plというのはそこまで大きいわけでは無く、また写真専用コンパクトプリンタPF-70が4色で2plなので、PX-1700Fはそれと同等だ。問題は顔料インクを採用していることで、写真用紙に印刷すると、発色はあまり良くなく、また表面の光沢も薄れポストカードのような鈍い光り方になってしまう。写真印刷ができないわけではないが、画質や発色、光沢感の面で写真印刷向けとは言いがたい。ただし、その点さえ気にならなければインクは「つよインク200X」を採用しており、PX-M5041FとPX-M5040Fはアルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年、PX-1700Fもアルバム保存200年、耐光性45年、耐オゾン性30年となっており耐保存性は高い。
 一方、写真印刷はやや苦手な3機種だが、普通紙への印刷時は状況が異なる。染料インクの機種では普通紙に印刷すると多少にじんでしまい、文字が太く見えたり、白抜き文字がつぶれやすくなるなど、メリハリが弱くなる。一方、顔料インクのこれら3機種はにじみの少ないくっきりとした印刷が行えるメリットがある。細かな線や小さな文字、中抜き文字も綺麗に印刷できる。ブラックインクもカラーインクも顔料インクであるため、カラー、モノクロ問わず綺麗に印刷できる。PX-M5041FとPX-5040Fは新ノズル「PrecisionCore」の採用により、普通紙への印刷解像度がPX-1700Fの360dpiから600dpiに上がってい他、より色鮮やかな発色で印刷できるようになっており、普通紙への印刷時に特有の沈んだ色ではなくなっている。PX-1700Fの方が最小インクドロップサイズでは上回っており十分高画質に印刷できるが、普通紙への印刷画質はPX-M5041F、PX-M5040Fがさらに上となる。また、顔料インクは耐水性も高いというメリットもあり、濡れた手で触ったりマーカーで線を引いても滲まない点も便利である。そのため、パソコンから普通紙への印刷や、普通紙コピー、年賀状印刷に向いている他、FAX機能を使う時も、受信したFAXを普通紙に印刷する際に高画質、高耐水で印刷が出来る。
 印刷速度を見てみよう。PX-1700Fではカラー各128ノズル、ブラック384ノズルと比較的多く、PX-M5041FとPX-5040Fではカラーが各256ノズル、黒に至っては800ノズルとノズル数が非常に多くなっている。しかしL判写真印刷速度は、PX-M5041F/PX-M5040Fでも45秒、PX-1700Fで60秒と遅めだ。3つのサイズのインクを打ち分ける事で画質と速度を両立させる技術「MSDT」を搭載するものの、写真印刷に向いた機種では5つのサイズのインクを打ち分ける「Advanced-MSDT」なので、この点で劣るのもあるが、ノズル数が多い割には遅い。エプソンのプリンタは顔料インクの機種で軒並み写真印刷が遅いので、顔料インクと言うことと何か関係があると思われる。一方、普通紙への印刷速度は、A4普通紙カラーがPX-1700Fで8.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、PX-M5041F/PX-M5040Fは10ipmとなっており、ノズル数の多いモノクロ印刷に至ってはそれぞれ15ipmと18ipmとなっている。PX-1700FとPX-M5041F/PX5040Fでは若干印刷速度に差があるが、いずれもインクジェットプリンタとしては非常に高速な部類となり、大きな差では無いだろう。文書の印刷やコピー、受信したFAXの印刷がストレスのない速度で印刷ができると言える。
 給紙に関しては3機種で違いがある。いずれも、対応用紙はL判からA3ノビまでという点は共通である。そのため、名刺サイズなどL判より小さな用紙に印刷することは出来ない。給紙は前面給紙がメインで、いずれもカセット式となっており、A3ノビまでの用紙をセットできるようになっている。前面給紙とすることで、後方に背面給紙用のスペースが必要ない他、前面からカセットごと取り外して用紙が交換できるので、置き場所によっては背面給紙より使いやすい。ビジネス向けと言うことでカセットにセット可能な枚数も多くなっており、1段に普通紙を250枚までセット可能だ。PX-M5041Fはこのカセットを2段搭載する。家庭向けの複合機のように上段は小さな用紙のみと言うことも無く、上下段共にA3ノビまでセットが可能だ。上下共に同じサイズの用紙をセットして500枚の給紙に対応することもできるし、A3とA4の様に別のサイズをセットすることも可能だ。ただし、下段はB5サイズ以上で普通紙のみとなる。PX-M5040Fは給紙カセットが1段のモデルである。純粋にPX-M5041Fの下段トレイを削ったようなものなので、別の大きさの用紙をセットする場合は入れ替えが必要になる他、一度にセットできるのは250枚までとなる。PX-1700FはPX-M5041Fの前モデルなので、同じく2段給紙となる。各段250枚までセット可能で、同じ用紙を500枚セットする事も、2種類の用紙をセットする事もできる。下段はB5以上という制限も同じだが、普通紙以外もセットできるという違いがある。ちなみに、A4用紙以下のサイズの場合は本体に完全収納できるが、B4やA3、A3ノビの場合は給紙カセットを伸ばす必要があり、本体から前に飛び出す形になるのは3機種共通だ。排紙トレイよりは飛び出ていないので、使用時は気にならないだろうが、排紙トレイを収納した際には飛び出しが気になる場合もあるだろう。
 ところで、前面給紙・全面排紙だと用紙がプリンタ内部で曲げられるため厚紙や封筒などの印刷が少し心配だ。そこで、PX-M5041FとPX-M5040Fは1枚ずつの手差しではあるが背面からの給紙にも対応している。構造が簡易的なものであるため、複数枚セットしても一度に吸い込まれてしまうが、セットしている用紙以外の用紙を一時的に使いたい場合や、封筒などのサイズが特殊なもの、さらにローラー跡が付きやすい厚紙などを使用する際に便利だ。
 なお、写真印刷には向かないこれらの機種だが、写真印刷時の自動補正機能は搭載している。3機種とも「オートフォトファイン!EX」に対応しており。逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。それ以外の機能として、自動両面印刷機能も搭載しているが、対応用紙が異なる。PX-M5041FとPX-M5040FはA3用紙まで自動両面印刷が可能だが、PX-1700FはA4サイズまでとなる。A3やB4サイズの自動両面印刷を行いたい場合はPX-M5041FかPX-M5040Fとなる。ちなみに3機種とも普通紙だけでなくハガキにも対応している。

 続いて、スキャナ部を見てみよう。3機種ともA3ノビサイズのプリントに対応しているだけでなく、A3サイズの原稿のスキャンに対応しているのがメリットだ。3機種とも解像度は1200dpiでCIS方式となる。紙原稿のみのスキャンであることを考えると、1200dpiは十分な性能と言える。なおCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう。3機種ともスキャンしたデータをパソコンを使わずにメモリカードにJPEG/PDF形式で保存できる機能を搭載しており便利である(PX-M5041F/PX-M5040FはTIFF形式の保存にも対応)。また、FAX機能付きなのでADFを搭載している点でも共通する。このADFもA3用紙に対応しており、PX-M5041F/PX-M5040Fでは35枚、PX-1700Fでは30枚までの原稿を連続でスキャンできる。自動両面スキャンが行えるため便利だが、ここでも機能差があり、PX-M5041F/PX-M5040FはA3サイズまで自動両面スキャンできるが、PX-1700FはA4サイズまでとなる。ちなみに「同時」ではないので、片面をスキャンした後もう一度給紙し、裏面をスキャンするという方式だ。とはいえ、両面原稿のコピーやFAXの時に重宝するはずだ。

 ダイレクト印刷は、PX-M5041F/PX-M5040FはSDカード/メモリースティック Duoに対応しており、PX-1700FはSDカード/メモリースティック(標準サイズ)/xDピクチャーカード/コンパクトフラッシュに対応する。PX-1700Fならば、かなり昔に使われていたスマートメディアを除くメモリカードに全対応していることとなる。さらにUSB端子を備え、外付けハードディスクやUSBメモリにも対応している。また、外部機器共有機能も搭載し、プリンタをネットワーク接続した場合、USB端子に接続したハードディスクを同じネットワーク内のパソコンから読み書きできる。簡易NASとして使用できる機能である。その他PX-1700Fは、ノート罫線印刷機能を備え、罫線やマス目、便箋をPX-1700F単体でプリント可能だ。
 スマートフォンとの連携機能も両機種とも搭載している。いずれもiPhone/iPod touch/iPad/Androidに対応しており、専用アプリ「EPSON iPrint」を用意する。撮影した写真をスマートフォンからの操作で手軽に印刷でき、その際、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、パソコンから印刷するのと変わらないレベルで印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応しており、Webページの印刷もできるまたスマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。またクラウドとの連携機能にも対応しており、「EPSON iPrint」上でクラウドにアクセスし、そのファイルを印刷できる。
 さらにネットワークを利用したプリント機能として、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、3機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行える「自動変倍」機能に加え、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える高性能な物だ。また、2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップ、さらにPX-M5041F/PX-M5040Fは4枚の原稿を1枚に縮小コピーする4アップにも対応する。基本的なコピー機能は3機種とも不満はない。また、コピー時には文字領域と画像領域を認識し、それぞれが見やすくなるよう別々の画像処理を行う「領域判定コピー」という機能を備え、より見やすいコピーが行える。さらに、PX-M5041F/PX-M5040Fは免許証などの両面の小さな原稿を、1枚の用紙に裏表並べてコピーできる「IDコピー」機能や、原稿サイズが出力サイズより小さい際に出来る余白の影を消す「影消しコピー」、パンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能も備えている。またA3スキャンに対応しているこれらの機種ならではの機能として、本などを見開きで原稿台に置いた原稿を、1ページごと用紙にコピーする「ブック分割コピー」機能を搭載している

 それでは肝心のFAX機能を見てみよう。3機種ともスーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーFAXを行う事が出来る。3機種ともADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。もちろん両面スキャンしFAXできるため便利だ(PX-1700FはA4サイズまでだが)。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒というのも共通だ。また読取走査線密度はモノクロで8pels/mm×3.85line/mm、8pels/mm×7.7line/mm、PX-M5041F/PX-M5040Fはさらに高画質な8pels/mm×15.4line/mm、16pels/mm×15.4line/mmが設定できる。カラーは200×200dpiで共通である。ダイヤル機能でも3機種とも短縮ダイヤルを備え、PX-M5041F/PX-M5040Fが200件、PX-1700Fが60件登録できる。さらに、PX-M5041F/PX-M5040Fはワンタッチダイヤルボタンも備え、ボタンは5つとシフトボタンとの組み合わせで、10件まで登録できる。受信したファクスの最大保存ページ数はPX-M5041F/PX-M5040F550枚、PX-1700Fが180枚又は100件となっている。もちろん、電源オフだけでなく、停電時やコンセントが抜けた場合でも受信した内容が保持されるのは安心である。また3機種ともグループダイヤル、順次同報送信、手動送信、自動リダイヤル機能を備えているため、一般的な家庭用FAX電話以上の事が可能だ。ただ、ここでも件数はPX-M5041F/PX-M5040Fの方が多い。このように、搭載している機能はほぼ同じだが、PX-M5041F/PX-M5040Fの方がメモリー容量が強化されているのか、保存件数や宛先数に違いがある。使用頻度に合わせて選ぶと良さそうだ。また、パソコン内のデータを直接FAXできる「PCファクス」機能を備えているのも便利である。送信(パソコン上のデータを画像として送信)だけでなく、受信(パソコン上にFAXのデータを受信)することもできる。なお、PX-M5041F/PX-M5040FもPX-1700Fも、FAX機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際PX-M5041F/PX-M5040Fでは無鳴動受信(TEL/ファクス自動切替え)に対応するが、PX-1700Fは対応しない点は注意が必要だ。


 操作パネルを見てみよう。PX-1700Fは前面に操作パネルと液晶ディスプレイが配置されるが、操作パネルごと持ち上げて角度調整が可能で、見やすい角度で操作ができる。一方PX-M5041F/PX-M5040Fは本体前面に斜めに飛び出した状態で固定されている。斜めになっているのでどの角度からでもある程度使いやすいが、角度調整できないのは堅牢性を重視したためと思われる。
 PX-M5041F/PX-M5040Fは4.3型の大型液晶を備えタッチパネル対応となっており、直感的にモード切替や設定が行えるほか、カーソルキーや枚数の「+」「−」ボタンをなくすことができ、ボタン数が減り分かりやすくなっている。ただし電話番号や文字入力に使用するテンキーに関しては液晶ディスプレイ内に表示するのではなく、独立したボタンとなっている。見栄えよりも押しやすさを優先して物理ボタンになったと思われる。一方PX-1700Fは2.5型の液晶を備えている。タッチパネルにはなっておらず、全てボタン操作だ。また、カーソルキーを使って画面内でモード切替を行うのでは無く、「写真」「コピー」「FAX」「スキャン」それぞれの機能で使用するキーが縦に区切られて独立して並んでおり、スタートボタンもそれぞれ用意される。そのため、スタートボタンだけでもダイレクトプリントのスタート、コピーのモノクロスタート、カラースタート、FAXのモノクロスタート、カラースタート、スキャンのカラースタートと6つもある。その他、カーソルキーや設定、FAX用のテンキーなどが並び、かなりのボタン数となっている。またボタン一つ一つも小さい。慣れるまでは戸惑うこともあるだろう。角度調整はできないものの、PX-M5041F/PX-M5040Fの方が圧倒的に使いやすいと言える。

 インタフェースは3機種ともUSB2.0と有線/無線LANの接続に対応している。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線LAN/無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。無線LANは、IEEE802.11n接続に対応しており、無線LANで接続した場合でもプリントやスキャンで待たされることが無いようになっている。また無線LANの電波が届きにくい場合や、壁にLANのコネクタがある家などにも対応できるよう有線LANも搭載しているのも便利だ。ちなみに、アクセスポイントがない状態で、直接スマートフォンやタブレットとプリンタを接続できる「Wi-Fiダイレクト」機能はPX-M5041FとPX-M5040Fが対応している。

 本体サイズはPX-M5040Fは567×486×340mmとA3対応機だけあってかなり大きい。そしてカセットが2段のPX-M5041Fは567×486×418mmと高さが純粋に78mm大きくなり圧迫感もさらに高まっている。PX-1700Fは559×418×365mmと、横幅はほぼ同じだが、同じカセットが2段のPX-M5041Fと比べて奥行き、高さ共にやや小さい。とはいえ、大きいことに変わりは無く、ほぼ同じ機能のA4プリントA4スキャン対応のPX-M740Fは449×417×243mmである事を考えると、設置場所をは検討の上で購入した補遺が良さそうだ。

 結局PX-M5041FとPX-M5040Fの違いは給紙トレイが1段か2段かという点だけである。そこで、まず、PX-M5041F/PM-M5040FかPX-1700Fかという事で決めていきたい。結論から言えば、プリント、コピー、スキャン、FAX機能を全て使うのであればPX-M5041F/PX-M5040Fが絶対的におすすめだ。プリントの画質がさらに良く、高速で、背面手差し給紙もでき、両面プリント、両面スキャンもA3まで対応だ。またFAX機能も全体的に強化されている。何より操作性が全く違う。PX-M5041Fとは2万円の差があるが、もしカセットが1段で良いなら、PX-M5040Fとの差は1万円である。PX-M5041F/PX-M5040FはPX-1700Fの弱点をことごとく改良した感のある製品で、やはりこちらをおすすめする。PX-M5041FかPX-M5040Fから、給紙カセットが2段か1段か、使い方によって自然と決まるだろう。
 では、PX-1700Fが全く駄目かといわれるとそうでもない。A3のスキャナーやA3コピー、A3プリントのためと考えているなら、悪くはない。確かにセンサーがCCDとCISの違いはあり、耐久性などの違いもあるが、エプソンのA3スキャナは安価なDS-D50000ですら128,891円(メーカーWeb)である。より低速なA3ノビ対応4色顔料プリンタも28,553円だ。安価なA3スキャナやコピー機として考えているなら、ADFや両面プリントがA4まででも、使い方によっては問題が無い場合もあるだろう。なによ29,980円で、A3スキャンとA3プリント、A3コピーが可能という点に魅力を感じればPX-1700Fも十分有りと言える。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


PX-M5041F
PX-M5040F
PX-1700F