小ネタ集
2018年末時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2018年1月19日公開)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


4万円以上の複合機
 
 A4複合機としては最上位に当たる4万円以上のA4複合機である。エプソンのEP-30VAEW-M770T、キヤノンのPIXUS XK70PIXUS XK80がこの価格帯の製品だ。EP-30VAは「V-edition」という1ランク上の画質と低印刷コストを売りにしたシリーズの製品であり、PIXUS XK70PIXUS XK80は、これまで以上の低印刷コストと、下位機種から進化した画質が売りの製品だ。ある意味、この3機種は似たコンセプトの製品と言える。一方のEW-M770Tはエコタンク搭載プリンターの最上位モデルで、他の3機種とは違ったコンセプトの機種と言える。EP-30VAが49,980円、EW-M770Tが59,980円、PIXUS XK70が44,880円、PIXUS XK80が40,880円と4万円以上というくくりの中でもある程度の価格差があるが、果たしてどのような違いがあるのだろうか。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー
エプソン
エプソン
キャノン
キャノン
型番
EP-30VA
EW-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像

実売価格(メーカーWeb/税抜き)
49,980円
59,880円
44,880円
40,880円
インク
色数
6色
5色
6色
6色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
レッド
グレー
ブラック(顔料)
フォトブラック(染料)
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
フォトブルー
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
グレー
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立インクタンク
(挿すだけ満タンインク方式)
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
Epson ClearChrome K2
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性50年/耐オゾン性10年)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番
ヨット
マラカス(顔料)
ハーモニカ(染料)
N10XL/N11XL(大容量)
N10/N11(標準容量)
N10XL/N11XL(大容量)
N10/N11(標準容量)
ノズル数
1080ノズル
1080ノズル
6656ノズル
6656ノズル
各色180ノズル
染料:各180ノズル
顔料:360ノズル
C/M:各1536ノズル
PB/Y/染料BK/顔料BK:各1024ノズル
C/M:各1536ノズル
PB/Y/染料BK/顔料BK:各1024ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(AdvancedMSDT)
1.5pl(AdvancedMSDT)
N/A
N/A
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
4800×1200dpi
4800×1200dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
33秒
24秒
14秒
14秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
10.0ipm
10.0ipm
10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
13.0ipm
15.0ipm
15.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
12.7円
6.0円
12.5円
12.6円
A4カラー文書
6.0円
1.3円
5.7円
5.7円
A4モノクロ文書
N/A
0.5円
N/A
N/A

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。EP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80は共に6色インクだが、その構成は大きく異なる。EP-30VAは全色染料インクで基本4色に加えてレッドとグレーインクを搭載する。従来のライトシアンとライトマゼンダを搭載する6色とは異なる構成だ。そのため「Epson ClearChrome K2インク」と呼んで、従来の6色と区別している。最小インクドロップサイズは1.5plと非常に小さく、印刷解像度も5760×1440dpiと高い。それに加えて、プロセレクション(写真のプロ向けのプリント単機能機)の製品に採用されている理論的色変換システム「LCCS」を搭載する。「LCCS」は写真をプリントする際のインク配分を論理的に算出する色生成技術で、階調性・色再現域・粒状性などの点からベストになるように複雑に計算されて打つインクが決定されるというものだ。さらに、光源によって色合いが異なる光源依存性も最適になる様に計算されるなど、かなり高度なものだ。さらに紙送りの精度も高めることで、基本4色だけでも従来の6色に相当する高画質な印刷ができる。そこにレッドインクにより、くすみがちな赤系統の表現力を高め、赤い物だけで無く夕日や肌の色などでも違いが出る。さらに従来の6色ではモノクロ写真の場合のグレーの部分はカラーインクを使って表現するため青白くなってしまうが、EP-30VAではグレーインクを搭載しているため綺麗なグレーの階調表現ができる。ライトシアン・ライトマゼンダを搭載する6色機よりさらに色鮮やかな印刷が可能となっている。一方のPIXUS XK70/PIXUS XK80は染料インクのブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に加えて、フォトブルーと顔料ブラックインクを搭載する。写真印刷時は基本4色+フォトブルーインクの5色印刷となる。フォトブルーインクにより明るい青から白にかけての粒状感が低減、一方、インクも新しくすることにより赤色の発色性が向上している。ただ、印刷解像度は4800×1200dpiとやや低く、最小インクドロップサイズは非公表となったが2pl程度では無いかと言われている。エプソンの一般的な6色インク(基本4色にライトシアンとライトマゼンダ)の機種と比べても、インクが1色少ない分、色の表現力では劣り、最小インクドロップサイズもやや大きいため粒状間でも劣ることになるため、画質面では若干差が出る。逆にEP-30VAは一般的な6色インクの機種より画質が上がっているので、EP-30VAと比べると、PIXUS XK70/PIXUS XK80の画質はやや劣ることになる。とはいえ、比較しなければ十分に綺麗と言えるだろう。残るEW-M770Tは、5色インク構成だが、顔料ブラックと、染料の4色という構成である。写真印刷は4色で行う事になる。とはいえ最小インクドロップサイズは1.5plと小さく、印刷解像度も5760×1440dpiと高めなので、4色印刷の割には画質は悪くない。EP-30VAとの差は多少あるが、PIXUS XK70/PIXUS XK80との差はほとんど無いと言える。逆に言えばEW-M770Tも十分高画質だ。よほど画質にこだわるならEP-30VAだが、残る3機種でも十分満足できる画質と言える。
 一方、普通紙への文書印刷となると、立場が逆転する。EW-M770TPIXUS XK70/PIXUS XK80は顔料ブラックインクを搭載しているためだ。顔料インクは、普通紙などへの印刷ではメリハリのある印刷結果が得られる。小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。EP-30VAも「細線強調機能」や「文字くっきり機能」を搭載し、染料インクながらドライバレベルでの改良により画質を改善しており、差は昔よりは小さくなっているが、コピーや文書印刷では、やはり顔料インクを搭載するEW-M770TPIXUS XK70/PIXUS XK80に軍配が上がる。しかし黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを使用するし、カラーの中に混ざっている場合は顔料と染料を混ぜられないことから、染料インクが使われるなど、背景が無く完全な黒という限定があるなど、必ずしも顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、そういった部分だけでも顔料インクが使えると、全体的に引き締まって見えるのは確かだ。4機種は写真も文書も十分に綺麗な画質で印刷できるが、さらにプラスでEP-30VAは写真画質を、残る3機種は文書の画質を更に上げているというイメージが良いだろう。
 最小インクドロップサイズは非常に小さいが、EP-30VAEW-M770TはAdvanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しており、PIXUS XK70/PIXUS XK80はノズル数を非常に多くすることで高速化を実現している。結果、L判縁なし写真印刷で、EP-30VAは33秒、EW-M770Tは24秒、PIXUS XK70/PIXUS XK80が14秒となっている。PIXUS XK70/PIXUS XK80が最も速いが、他の2機種も遅い方ではない。またEP-30VAは上位機種の割に遅いが、LCCSなど複雑な処理も行われている上に給紙も精度を重視した画質重視の設計であるため、速度より画質を取ったという形だろう。大量印刷する場合はPIXUS XK70/PIXUS XK80の方がストレスが無さそうだ。一方、普通紙への印刷速度はEP-30VAは公表されていないため、比較することはできないが、EW-M770TはA4カラー文書が10ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが13ipm、PIXUS XK70/PIXUS XK80はそれぞれ10ipmと15ipmとなっている。写真の印刷速度に差があるのに対して、文書はカラーは同等、モノクロも近い速度となっている。ちなみに、1分間にカラー原稿が10枚というのは家庭向けとしては非常に高速だと言えるだろう。
 インクに関しては、EW-M770Tを除く3機種がカートリッジ方式、EW-M770Tはエコタンク方式となる。従来通りのインクカートリッジ方式を採用するEP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80も、下位機種と比べて印刷コストを下げているのがポイントだ。とはいえインクカートリッジのサイズは同じなので、下位モデルの大容量・増量インクと比べても、それほど大容量という訳ではない。いずれも下位モデルの大容量インクよりやや多めといった程度だ。ただ、価格が大幅に下がっており、結果的にL判写真フチなしでEP-30VAは12.7円、PIXUS XK70は12.5円、PIXUS XK80が12.6円となっている。写真用紙代(約4.3円)を除くと、いずれも8円台でかなり安い。A4カラー文書もEP-30VAが6.0円、PIXUS XK70/PIXUS XK80が5.7円と、印刷コストが安いと言われるビジネス向けプリンターよりも安い価格だ。3機種とも写真印刷を行うことをメインに考えているだけあって、印刷コストは安いのは安心だ。とはいえ、EP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80の間にほぼ差は無いと言える。一方EW-M770Tのエコタンク方式とは、本体右側に搭載しているインクタンクに、ボトルからインクを補充する方式だ。ボトル1本でインクタンクが満タンになるが、このインクボトルがかなり大容量となっている。満タンのインクタンクでカラー文書を印刷すると、カラーインクは約5,000枚、顔料ブラックインクは8,000枚、染料ブラックインクは11,500枚まで使用できるというのは、カートリッジタイプと比べて圧倒的に多い。例えばEP-30VAのインクカートリッジは1本810円なので、6本で4,860円。これをA4カラー文書の印刷コストで割ると810枚である。PIXUS XK70/PIXUS XK80でも同じ計算をすると約1,000枚。つまり、均等にインクを使ったとして800〜1000枚くらいである事を考えると、EW-M770Tのインクボトル1本の多さが分かるだろう。しかもこのインクボトルの価格は、一般的なインクカートリッジと同等、価格の安いEP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80用のインクと比べても1.5倍程度の価格で販売されている(倍容量の顔料ブラックを除く)。結果、L判写真フチなし印刷コストは6.0円、写真用紙代を除くと1.3円程度とEP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80の6分の1以下だ。A4カラー文書も1.3円と4分の1以下である。印刷コストを考えると圧倒的にEW-M770Tが有利となる。ちなみに、ボトルから補充というと難しそうに感じるが、EW-M770Tは2世代目とも言うべきエコタンク「挿すだけ満タンインク方式」で、ボトルを注入口に挿すだけで満タンまで注入されてストップする。注入口も色によって形状が異なるため間違ったインクを注入することもない。また、ボトルに残ったインクはスクリュー式のフタがになっているので、そのまま保管できる。インクは途中で追加もできるので、大量に印刷する前にインクを補充しておく事で、インク切れで印刷が止まっていたという自体も防げる点でもEW-M770Tは便利だ。もう一点、EP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80といった一般的なプリンターに付属するインクは動作確認用で、量はかなり少ない。それに対してEW-M770Tはインクボトルが丸々1本ずつ付属する。初期充填などが終わった後でもA4カラー文書3,600枚以上印刷できるとうたっているため、EP-30VAの4.5セット、PIXUS XK70/PIXUS XK80の3.6セット相当のインクカートリッジが付属している事を考えると、それだけで本体代の差は逆転すると言えるだろう。
 使用するインクはEP-30VAが「つよインク200」で、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となる。EW-M770Tはインクに名称こそないものの、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年と同等となっている。一方、PIXUS XK70/PIXUS XK80は「ChromaLife100」でありアルバム保存100年を実現している。4機種とも十分なレベルの耐保存性を持ったインクであるが、EP-30VAEW-M770Tの方がさらに耐保存性は高く、耐光性なども書かれているなど一歩上回る印象だ。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
EP-30VA
EW-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A4
L判〜A4
名刺〜A4
名刺〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(1枚手差し/0.6mm厚まで)
○(1枚手差し/0.6mm厚まで)
○(100枚)
○(100枚)
前面
カセット下段(100枚)
カセット上段(2L/ハイビジョン以下)
カセット下段(100枚)
カセット上段(2L/ハイビジョン以下)
カセット(100枚/普通紙のみ)
カセット(100枚/普通紙のみ)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
○(カセット収納(前面)・用紙セット(背面)連動)
○(カセット収納(前面)・用紙セット(背面)連動)
用紙幅チェック機能


 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。給紙に関しては、エプソンとキヤノンで方針が異なる。EP-30VAEW-M770Tは前面給紙を基本としており、大小2段のカセットとなっている。上段にL判やハガキなどの小さな用紙を、下段にはA4やB5といった大きな用紙をセットするようになっている。完全に本体に収納可能なので、用紙をセットしたままにしてもホコリがつもる心配がないのはメリットだ。下段にA4普通紙が100枚、上段に写真用紙やハガキが20枚までセット可能だ。また、下段にもL判やハガキサイズにの用紙もセットでき、その場合、写真用紙やハガキなら40枚セット可能となるため、上下段ともに入れれば合計で60枚までセットできる。もちろん連続で使用が可能となる。下段の用紙を入れ替える手間をかければより大量給紙ができるため、写真や年賀状を大量印刷する場合に便利だろう。最小用紙サイズはL判で名刺などのより小さな用紙には対応していない。前面給紙・前面排紙と言うことで気になるのが、厚紙やラベル用紙などへの対応である。前面給紙カセットでも問題ない事になっているが、前面から給紙して前面から排紙するため、内部で180度曲げられてしまうのは少し心配だ。また封筒など二重になっている用紙への印刷も不安なほか、定型サイズでない場合前面給紙カセットのガイドをあわせにくい。そこで、簡易的ながら背面給紙も行える。従来の背面給紙に近い位置だが、用紙をセットしておけるような大型のものではなく、小さな背面給紙カバーと、用紙を支える小さな「用紙サポート」を引き出せるだけだ。印刷を実行して、用紙をセットする旨のメッセージが出てから用紙を差し込みスタートボタンを押す方式であるため、手差し給紙と呼ばれる。その分コンパクトな本体でも背面給紙を可能としているわけである。さらに、通常の給紙カセットでは0.3mm厚の用紙までの対応だが、背面手差し給紙では、倍の0.6mmの用紙に印刷ができる。今まで印刷できなかった厚紙にも印刷できる点も便利だろう。
 一方のPIXUS XK70/PIXUS XK80は前面給紙カセット+背面給紙となっている。EP-30VAEW-M770Tと似ているようだが、こちらは前面が1段で、代わりに背面は手差しでは無く一般的な背面給紙となっている。前面にA4普通紙、背面にL判写真用紙という風に入れておけばEP-30VAEW-M770Tと同じような使い方となる。注意点としては、前面給紙カセットは普通紙のみという事だ。サイズもA5〜A4サイズとなる。そのため、ハガキや写真用紙、ファイン紙などは全て背面給紙を利用することとなる。また、前面給紙カセットは一見すると本体に完全収納されているようだが、この状態ではB5未満の用紙しかセットできない。A4用紙をセットする場合は、カセットを伸ばす必要があり、そうすると本体に収納した際にカセット部がPIXUS XK70で35mm、PIXUS XK80で45mm前に飛び出る事となる。排紙トレイよりは前に飛び出ないため、利用時は気にならないが、一番利用されると思われるA4サイズで綺麗に収納できないのは残念と言える。一方で背面給紙は普通紙もセット可能で100枚まで、前面給紙カセットも100枚なので、合計200枚までセットできるのはメリットだ。もちろん連続で使用する事ができる。写真用紙やハガキは背面給紙のみで40枚となる。背面給紙は用紙のセット時に左右のガイドを合わせるだけで良く、セットしやすい。一方でデメリットもあり、用紙をセットするために上方に空間が必要なほか、トレイが後方に傾くため、本体の後方にある程度のスペースが必要になってしまう。また、用紙をセットしたままだとホコリをかぶってしまい、その用紙が給紙されると故障の原因になる場合があるため、使わないときは取り除くのが理想だ。普通紙以外の用紙も常にセットしておくという使い方の場合、前面カセットの方が便利だと言えるだろう。なお、背面給紙からの給紙の場合でも用紙厚は0.3mmまでで、EP-30VAのような厚紙には対応しない。一方でL判より小さい名刺サイズに対応するため、名刺サイズの用紙に直接印刷をすることが可能のはメリットだ。
 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込む、またはPIXUS XK70/PIXUS XK80の背面給紙は用紙をセットすると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。なお、PX-30VAとEW-M770Tはこれに加えて、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。
 一方排紙トレイで便利なのが、EW-M770T以外の機種が搭載する自動開閉機能だ。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する。後述の自動電源オン機能と組み合わせると非常に便利だ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。

プリント(付加機能)
型番
EP-30VA
EW-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像
自動両面印刷
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
○(ネイル印刷対応)
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX・高彩モード対応)
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
○/○
○/○
○/○
○/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
−/−
○/−
−/−
−/−

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。まず4機種とも自動両面印刷機能を搭載している。普通紙だけでなくハガキなどにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。また、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能も4機種とも備えている。レーベル印刷のトレイを使わない時は、EP-30VAEW-M770Tは前面給紙カセットの下に、PIXUS XK70/PIXUS XK80は排紙トレイの下に収納できる。また、PIXUS XK80はレーベル印刷用挿し込み口を利用したネイル印刷にも対応する。写真の自動補正機能としては、PX-30VAとEW-M770Tは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS XK70/PIXUS XK80は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。もちろんパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。さらにPX-30VAでは「高彩モード」が選択でき、新たに採用したレッドインクの力で、くすみががちな赤系の表現をより色鮮やかに印刷できるようになっている。
 自動電源オン/オフ機能も4機種とも搭載している。自動電源オンは、印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線/有線LAN接続ができるようになり、プリンタから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンタの電源を入れに行く手間が省ける。EW-M770Tを除く3機種は前述のように排紙トレイも自動的に伸張するため、印刷が完了した頃に取りに行くだけと非常に便利だ。EW-M770Tは排紙トレイは手動で引き出す必要があり、引き出すまで印刷は始まらないが、引き出した状態にしておけば自動的に電源が入った後、印刷が実行される。また、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになるため、電源オンのままにしてしまう事も無い。逆に自動電源オン機能があるので、電源を入れっぱなしにする必要もなくなる。
 一方EW-M770Tだけが持つ便利な機能が、ユーザーによる廃インクタンク交換機能だ。廃インクタンク(メンテナンスボックス)は、クリーニングなどの際に排出されるインクを溜めるタンクだが、これがいっぱいになるとメッセージが表示され印刷が完全に止まり、修理に出さなくてはならなかった、EW-M770Tではユーザー自身で交換ができるため、修理に出してしばらくプリンタが手元にないという事が無くなった。印刷枚数が多いと思われる機種だけにうれしい機能だ。

スキャン
型番
EP-30VA
EW-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像
読み取り解像度
2400dpi(2400×4800dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
2400dpi(2400×4800dpi)
2400dpi(2400×4800dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)

 続いて、スキャナ部を見てみよう。読み取り解像度はEP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80は共に2400dpi、EW-M770Tは1200dpiとなる。解像度に差があるが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを2400dpiで取り込むと約8,400×12,000ドットとなり1億画素相当となる事から、ファイルサイズが大きくなりすぎてパソコンでは扱いにくい。読み取り解像度が高く設定できる事にデメリットはないが、ややオーバースペックであり、実用上は4機種に差は無いと言える。ちなみに、いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。EP-30VAEW-M770Tはスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能を搭載しているためパソコン無しで簡単にスキャンができる。また、EP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80は原稿を取り忘れた際に警告してくれる機能を搭載しているのは便利だ。

ダイレクト印刷
型番
EP-30VA
EW-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像
カードスロット
対応メモリカード
SD/MS Duo/CF
SD
SD
SD
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応
○/○/○
○/○/○
−/−/−
−/−/−
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDDへバックアップ
○/○
○/○
−/−
−/−
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
JPEG/TIFF
JPEG/TIFF
色補正機能
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階)
カラーフレーム
赤目補正
色調補正(RGB独立 +4〜-4)
明るさ調整(+4〜-4)
コントラスト調整(+4〜-4)
シャープネス調整(+4〜-4)
鮮やかさ調整(+4〜-4)
フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス)
編集した写真の別名保存
トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
トリミング
ふちなし/フチあり
赤目補正
クリエイティブフィルター(明るく/ 暗く/鮮やか/温かく/セピア/モノクロ/アンティーク調/ビンテージ調/シネマ調)
トリミング
ふちなし/フチあり
赤目補正
手書き合成
○(ディスクレーベル対応)
○(ディスクレーベル対応)
PictBridge対応
○(USB/Wi-Fi)
○(USB/Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒)
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒)
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
組み込みパターンペーパー

 ダイレクト印刷を見てみよう。EW-M770TPIXUS XK70/PIXUS XK80がSDカードのみ、EP-30VAがSDカードに加えてメモリースティックDuoとコンパクトフラッシュにも対応する。最近のデジタルカメラやスマートフォンは一部の一眼レフなどを除きSDカードかその小型版のmicroSDになっているためEW-M770TPIXUS XK70/PIXUS XK80でも問題は無いが、少し前のソニーのカメラや一部の一眼レフにも対応している点でEP-30VAの方が安心感はある。なお、RAWデータのダイレクト印刷は行えない。さらにEP-30VAEW-M770TはメモリカードだけでなくUSBメモリからの印刷にも対応している。また、各種メモリカードからUSBメモリへのバックアップが可能な他、USBメモリ以外も外付けハードディスクへのバックアップや印刷、さらに外付けDVDドライブからの印刷も行える。そのほか、EP-30VAは赤外線通信による印刷に対応しているため、ガラケーからも印刷可能だ。複雑なのでまとめると、EP-30VAはSD/メモリースティック/コンパクトフラッシュ/USBメモリ/赤外線通信対応、EW-M770TがSD/USBメモリ対応、PIXUS XK70/PIXUS XK80がSDカード対応となる。 PictBridgeは4機種とも対応しているが、EP-30VAEW-M770TはUSB接続とWi-Fi接続の両方式のPictBridgeに対応しているのに対して、USBポートを省略したPIXUS XK70/PIXUS XK80ではWi-Fi接続のPictBridgeにしか対応しない点は注意が必要だ。SDカードだけに簡素化したPIXUS XK70/PIXUS XK80に対して、機能の豊富さではEP-30VAEW-M770Tに軍配が上がると言える。
 EP-30VAPIXUS XK70は下位機種に比べてダイレクト印刷時にも色調整ができるのをウリとしているが、その機能には大きな差がある。PIXUS XK70は一部を拡大印刷するトリミングや赤目補正、フチあり・フチなしの切り替えの他、「クリエイティブフィルター」と呼ぶ機能を搭載している。「明るく」「暗く」「モノクロ」「セピア」「アンティーク調」「ビンテージ調」「鮮やか」「温かく」「シネマ調」のフィルターをかけられるという機能だ。一方EP-30VAはトリミングや赤目補正他、「作品印刷機能」と呼ぶ機能を搭載しており、「明るさ」「コントラスト」「鮮やかさ」の他、レッド、グリーン、ブルーのそれぞれの色調を調整できる。PIXUS XK70と異なり、+4から-4の9段階で調整が可能だ。さらに「レトロ」「セピア」「トイフォト」「ハイキー」「ポップ」「デイドリーム」「モノクロ」「クロスプロセス」といった8種類のフィルターを適用することもできる。また、写真も一般的なフチなし、フチあり(白フチ)だけでなく、黒フチや、黒枠付きの白フチ、白枠付きの黒フチ、カラーのフチも選べる。白フチか黒フチの場合はフチの太さも4段階から選択可能だ。もちろんトリミングや赤目補正機能も搭載する。また液晶画面上での調整では印刷時に異なる場合があるため、選んだ写真の色補正一覧を印刷し、その中から好みの物を選ぶことができる機能も備える。また、Exif情報と共に写真一覧を印刷できる機能も備える。PIXUS XK70に対して、EP-30VAの自由度はかなりのものだ。また、作り込んだ写真を、別名でメモリカードに保存できるのもPIXUS XK70に対してのアドバンテージだ。一方、作品印刷をうたっていないEW-M770Tでもトリミングや赤目補正、フチあり・フチなし選択以外に、明るさ、コントラスト、シャープネス、鮮やかさが5段階から調整ができる他、やセピア調又はモノクロへの変換が可能だ。ある意味明るさやコントラストなどの調整機能はPIXUS XK70より上となる。PIXUS XK80はトリミングと赤目補正、フチあり・フチなし選択のみとなる。ダイレクト印刷時の色調整機能はEP-30VAの機能が圧倒的に豊富で、EW-M770Tは色調整機能、PIXUS XK70はフィルターがある程度高機能のものを搭載、PIXUS XK80は基本のみと言った感じだ。
 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートは4機種とも対応している。またPIXUS XK70/PIXUS XK80は写真やハガキだけでなくCD/DVD/Blu-rayレーベルの手書き合成にも対応している。その他、EP-30VAEW-M770Tは塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカード、折り紙封筒が印刷できるフォーム印刷機能を搭載している。一方のPIXUS XK70/PIXUS XK80ではカレンダー印刷機能や、原稿用紙、方眼紙、五線譜、レポート用紙、スケジュール帳、チェックリスト、漢字練習帳が印刷できる定型フォーム印刷機能を備えており、さらにPIXUS XK80は組み込みパターンペーパーの印刷機能も搭載する。4機種とも単体でも機能は豊富であるといえる。

スマホ/クラウド対応
型番
EP-30VA
EW-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
(Bluetooth対応)
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
○/○
○/○
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
○(PIXUSトークプリント/LINE使用)
○(PIXUSトークプリント/LINE使用)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能も4機種とも搭載しており、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、3機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。
 スマホとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルータを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。EP-30VAはNFCに対応しており、Wi-Fiダイレクト接続の場合に、タッチするだけで簡単に接続設定が行える。一方、PIXUS XK70はBluetooth接続機能を搭載しており、Bluetoothでお互いを認証しておけば、ダイレクト接続(Wi-Fiダイレクト)の際の接続が簡単という機能だ。とはいえNFCもBluetoothも接続設定に使うだけで、印刷操作は専用アプリ上で行い、データー転送にはWi-Fiが使用される(NFCやBluetoothで写真データを送るわけではない)。また、どちらの機能も、対応機種はAndroidに限られる上、使うのはWi-Fiダイレクトの場合のみである。無線LANルーター経由の方がより便利に使えるため、一般的にはこちらを利用すると思われるし、Wi-Fiダイレクトの場合でも、手動設定でもそれほど難しくはない。NFCはあれば便利だが、無くてもそれほど不便ではないだろう。
 また、4機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。2018年12月現在でEP-30VA/EW-M770Tでは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどが印刷出来る。PIXUS XK70/PIXUS XK80はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。今後増えていくことが予想される。
 クラウドとの連携機能も4機種とも搭載されており、オンラインストレージから印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS XK70/PIXUS XK80は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、EP-30VAEW-M770Tはスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、PIXUS XK70/PIXUS XK80はスマートフォン上だけでなく本体操作で印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではPIXUS XK70/PIXUS XK80が便利だ。
 さらにネットワークを利用したプリント機能として、EP-30VAEW-M770Tは印刷したい写真や文書をEP-30VA/EW-M770Tにメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のEP-30VA/EW-M770Tで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS XK70/PIXUS XK80はLINEを利用した「PIXUSトークプリント」に対応しており、LINE上でPIXUS XK70/PIXUS XK80と友達設定をし、トーク画面から写真を送信すると印刷される。専用アプリを使用しないという点では便利だが、印刷できるのは写真のみとなる。リモートプリント機能はEP-30VA/EW-M770Tの方が豊富だ。

コピー機能
型番
EP-30VA
EP-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
○(色あせ補正対応)
○(色あせ補正対応)
割り付け(2面/4面)
○/−
○/−
○/○
○/○
バラエティコピー
BOOKコピー
ミラーコピー
BOOK2アップ
塗り絵コピー
背景除去機能
文字くっきり機能
BOOKコピー
ミラーコピー
BOOK2アップ
塗り絵コピー
背景除去機能
枠消しコピー
IDコピー
枠消しコピー
IDコピー

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルコピーも4機種とも対応である。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、EP-30VA/EW-M770Tは「退色復元」、PIXUS XK70/PIXUS XK80では「色あせ補正」と名称は異なるが、両機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。また、4機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップにも対応する。さらにPIXUS XK70/PIXUS XK80では4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。その他、EP-30VA/EW-M770Tはコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、見開きの本を左右ページで別々にコピーする「BOOKコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、背景の色を白にして見やすくする「背景除去機能」を備えている。またコピー時には文字と写真領域を判定してそれぞれを見やすいように補正する「領域判定コピー」を行っている。一方PIXUS XK70/PIXUS XK80には厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能と、免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の紙に印刷する「IDコピー」機能を備える。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。

操作パネル/インタフェース/本体サイズ
型番
EP-30VA
EW-M770T
PIXUS XK70
PIXUS XK80
製品画像
液晶ディスプレイ
4.3型
(90度角度調整可)
2.7型
(90度角度調整可)
5.0型
(90度角度調整可)
4.3型
(90度角度調整可)
操作パネル
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
ボタン式
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/a/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
耐久枚数
N/A
5万枚
N/A
N/A
外形寸法(横×奥×高)
390×341×141mm
425×359×161mm
372×324×140mm
(前面給紙カセット伸張時372×359×140mm)
373×319×140mm
(前面給紙カセット伸張時373×364×140mm)
重量
7.0kg
8.0kg
6.7kg
6.6kg
本体カラー
ブラック
ブラック/ホワイト
グレーメタリック
メタリックシルバー

 操作パネルはEP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80はタッチパネル液晶を基本とする点では同じである。スタートや戻ると言ったボタンも液晶内に表示されるので、物理的なボタンは電源ボタンのみというのも同じだ。本体前面に配置され、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能だ。最大90度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されているのも共通だ。液晶サイズはEP-30VAが4.3型、PIXUS XK70が5.0型、PIXUS XK80が4.3型となる。PIXUS XK70が最も大きいが、4.3型でも十分大画面であるため、操作性は良好だ。一方のEW-M770Tはタッチパネル液晶とはなっておらず、ボタン操作となる。液晶サイズも2.7型と他機種より小型だ。とはいえ、平均的なサイズは確保しており視認性は悪くない。また、EP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80と同じく液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて90度まで角度調整が可能なので、設置場所によらず使いやすいように調整できるのは共通だ。
 インタフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またネットワーク接続をすればスマートフォンやタブレットからの印刷も便利になる。またWi-Fiダイレクト(PIXUS XK70/PIXUS XK80はダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルータの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も4機種共通の便利な点だ。さらに、PIXUS XK80を除く3機種は有線LAN接続にも対応する。無線LANでは不安定だったり、簡単に接続したい場合に有線LAN接続ができるとより便利だろう。一方無線LAN機能にも差があり、PIXUS XK70を除く3機種はIEEE802.11n/g/b規格に対応するが、PIXUS XK70はIEEE802.11n/a/g/bに対応する。IEEE802.11n/g/bは2.4GHz帯を使用しており、障害物には強いが電子レンジや電話の子機、無線のマウスやBluetoothなどと干渉しやすい問題がある。その点でPIXUS XK70は5GHz帯のIEEE802.11aに対応しており、電波干渉を避けられる。安定した方を選べるという点で便利と言えるだろう。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンのEP-30VAEW-M770TはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、キヤノンのPIXUS XK70PIXUS XK80はWindows 7 SP1/8.1/10のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSも10.10.5以降となっただけでなく、ドライバはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となった。
 本体サイズを見てみよう。EP-30VAが390×341×141mm、EW-M770Tが425×359×161mm、PIXUS XK70が372×324×140mm、PIXUS XK80は373×319×140mmとなる。EP-30VAPIXUS XK70/PIXUS XK80の比較では、僅かずつだが全体にPIXUS XK70/PIXUS XK80が小さい。ただしPIXUS XK70/PIXUS XK80は前述のようにA4用紙を前面給紙カセットにセットする場合は、カセットが前に飛び出る。その場合の奥行きはPIXUS XK70が359mm、PIXUS XK80は364mmとなる。ちなみに、奥行きはPIXUS XK80の方が5mm小さいが、カセットを伸張した状態では5mm大きくなる。また背面給紙を利用する場合は後方にも上方にもスペースが必要だ。EP-30VAEW-M770Tは基本的に前面給紙カセットだけで使えるし、背面手差しも後方にスペースが無く、用紙ガイドが引き出せなくても、給紙されるまで用紙を手で支えてやれば使用できる。そのため、奥行きに関しては使用時を考えるとEP-30VAEW-M770Tの方が小さい場合が多く、横幅に関してはPIXUS XK70/PIXUS XK80の方がやや小さいと言った感じだ。使用時のことも考えて検討したいところだ。EW-M770Tはエコタンクを搭載する分全体的に大きくはなっている。とはいえ一昔前の複合機と比べれば同等か、小さくなっていると言えるため、買い換えの場合はサイズが大きくなる心配はする必要はなさそうだ。
 ちなみにカラーバリエーションがあるのはEW-M770Tのみでホワイトとブラックから選べる。他はカラーバリエーションはないが、EP-30VAは一般的なブラックだが、PIXUS XK70はグレーメタリック、PIXUS XK80はメタリックシルバーと上位機種ならではの本体カラーとなっている。ちなみに同じメタリックと付いていても、PIXUS XK70は落ち着いたメタリック、PIXUS XK80は金属感の強いハデ目のメタリックだ。



 4機種の内、一番特殊なのはEW-M770Tだ。画質や機能では他の3機種と比べれば、やや劣るが、印刷コストが極端に安い。つまり、写真をできるだけ綺麗に印刷したいのでは無く、十分綺麗な画質で大量印刷したいという人には最適な機種だ。他の3機種より劣るとは言え、最小インクドロップサイズは非常に小さいため、十分高画質に印刷できる。また、書類やホームページなど文書印刷やチラシの印刷、コピーを大量にしたいという人にも最適な機種だろう。本体価格の高さも、インクボトルが1本ずつ付属していることを考えれば十分元が取れる。残る3機種は似た方向性の機種なので選びにくい。そこで、「どの程度写真をこだわって印刷するか」が重要となる。より綺麗な写真を印刷したい、または色補正などをこだわりたいという場合はEP-30VAだ。レッドインクとグレーインクを含む6色に加えてLCCSにも対応し画質は通常の6色機よりワンランク上で、PIXUS XK70/PIXUS XK80よりも画質は上だ。また、写真編集機能も豊富だ。単体でかなりこだわった写真印刷ができる。一方、写真は一般的なレベルで綺麗に印刷したいし、手軽に写真や文書を印刷したいが、印刷コストは安い方が良く、多少は色補正もしたいという人にはPIXUS XK70がおすすめだ。EP-30VAほどこだわった写真補正機能は搭載しておらず、写真の画質もEP-30VAほどではないが、基本的な機能は高いレベルで搭載している。印刷速度はEP-30VAより高速なので、枚数が多くても気軽に印刷できる。PIXUS XK80は微妙な立ち位置だ。PIXUS XK70のようなクリエイティブプリント機能を搭載しているわけではなく、大きな特徴が無い。このクラスで比較するより、下位モデルのPIXUS TS8230並みの機能で十分だが、印刷コストは抑えたいという人向けと言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


EP-30VA
EW-M770T
EW-M770TW
PIXUS XK70
PIXUS XK80