小ネタ集
2018年末時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2019年1月19日公開)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


1万5千円前後の機種+EW-M571T
 
 1万5千円前後というこのクラスは、特殊なモデルを除いた最上位機種のほぼ半額となる。機能面では様々な面で非搭載だったり、機能が低かったりするが、かろうじて「使える」レベルを維持している価格帯とも言える。このクラスは、エプソンのEP-711AとキヤノンのPIXUS TS5130SS、PIXUS TS5030Sがラインナップされており、価格はそれぞれ17,980円、18,880円、12,880円となる。方向性としてはEP-711APIXUS TS5030Sが似ており、PIXUS TS5130Sだけが異なるとも言える3製品だが、比較することでどういった用途に向いているかが分かるだろう。これら3機種に加えて、EW-M571Tも比較したい。EW-M571の価格は34.980円となっているが、機能的にはこの価格帯の製品と比較するのがわかりやすいため、ここで比較している。価格が高いのも、印刷コストの安さだけでなく、付属のインクでかなりの枚数ができるため、インクセットだと考えればEP-711APIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sより高いとも言えない。どういった違いがあるのか見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー
エプソン
エプソン
キャノン
キャノン
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像




実売価格(メーカーWeb/税抜き)
17,980円
34,980円
12,880円
18,880円
インク
色数
6色
4色
4色
5色
インク構成
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立インクタンク
(挿すだけ満タンインク方式)
黒独立、カラー3色一体
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
顔料(黒)/染料(カラー)
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年)
染料(カラー)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料(カラー・黒)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番
イチョウ
ヤドカリ(顔料)
ハリネズミ(染料)
340XL/341XL(大容量)
340/341(標準容量)
370XL/371XL(大容量)
370/371(標準容量)
ノズル数
1080ノズル
357ノズル
1792ノズル
4096ノズル
各色180ノズル
カラー:各59ノズル
黒:180ノズル
C/M/Y:各384ノズル
顔料BK:各640ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(AdvancedMSDT)
3pl(MSDT)
N/A
N/A
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
4800×1200dpi
4800×1200dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
17秒
76秒
36秒
33秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
5.0ipm
6.8ipm
9.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
10.5ipm
13.0ipm
12.6ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
26.5円
5.9円
19.5円
15.8円
A4カラー文書
15.0円
0.9円
13.1円
9.0円
A4モノクロ文書
N/A
0.4円
N/A
N/A

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。EP-711Aは6色インクで最小インクドロップサイズは1.5pl、印刷解像度は5760×1440dpiであり、非常に高画質な印刷が可能だ。これは上位機種EP-881Aと同等であり、EP-881Aの方がインクが改良された分の僅かな差があるだけで、ほぼ同等画質と言える。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に、ライトシアンとライトマゼンダを搭載しており、いずれも染料インクとなる。カラー原稿の色の薄い部分ではライトインクを使う事で粒状感が抑えられる。次に画質がきれいなのはPIXUS TS5030Sだ。染料のシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックに、顔料のブラックを加えた5色構成で、写真印刷は4色で行う。印刷解像度は4800×1200dpiで、最小インクドロップサイズも2plと予想されるので、EP-711Aと比べると粒状感などの面で劣ることになる。とはいえ、十分に写真画質で印刷することができる。一方、EW-M571TPIXUS TS5130Sは4色インクとなる。顔料インクのブラックと、染料インクのシアン、マゼンダ、イエローの4色構成となる。PIXUS TS5030Sと似ているが、染料ブラックインクを搭載していないため、写真印刷時はカラーの3色での印刷となる。黒色はカラーを混ぜて作るが、どうしても非常に濃い茶色にしかならず、全体にコントラストが弱くなる。また、EW-M571Tは印刷解像度は5760×1440dpiだが、最小インクドロップサイズは3plと大きく、PIXUS TS5130Sは印刷解像度が4800×1200dpiとやや低く、最小インクドロップサイズは2plと予想されているため、粒状感の面でも不利だ。写真印刷ができないわけではないが、EP-711Aと比べると差は大きく、黒インクが使えないため全体にメリハリの無い写真になってしまう。写真印刷を考えているならEP-711Aか、せめてPIXUS TS5030Sにしておくべきだろう。
 一方、EW-M571TPIXUS TS5130SPIXUS TS5030Sの3機種は顔料ブラックを搭載しているため、ブラックインクを使用する部分に限ってだが、普通紙などへの印刷ではメリハリのある印刷結果が得られるというメリットがある。小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。EP-711Aは染料ブラックしか搭載していないため、この点ではEW-M571TPIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sの画質が上だ。ただし、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを混ぜて作り出すし、背景色があるなど、カラーの中に黒が混ざっている場合は顔料と染料を混ぜられないことから、同じく染料インクを使う。PIXUS TS5030Sはともかく、染料ブラックのないEW-M571TPIXUS TS5130Sではカラー3色で黒を表現するため、逆にコントラストが弱くなる場合もある。背景が無く完全な黒という限定があるなど、必ずしも顔料インクの恩恵を受けられるわけではない点は注意が必要だ。とはいえ、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。一方、EP-711Aも、細線強調機能や文字くっきり機能を搭載し、普通紙では苦手な写真も色鮮やかになるようドライバレベルで文書印刷画質を高めている。あくまで、染料インクのままでの改良となるが、画質は改善され、EW-M571TPIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sとの差はある程度縮まっている。
 EP-711Aは最小インクドロップサイズは非常に小さいが、Advanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しており、L判写真フチなし印刷速度は1枚17秒と非常に高速だ。一方、EW-M571Tは3つのインクサイズのインクを打ち分けるMSDTに機能が落とされているだけでなく、カラーのノズル数が極端に少ないため、L判写真フチなし印刷速度は76秒とかなり遅くなる。PIXUS TS5130SPIXUS TS5030Sもノズル数を多くすることで高速化を図っているが、上位機種と比べるとノズル数が減っているため、L判写真フチなし印刷速度はそれぞれ36秒と33秒となっており、EP-711Aの半分程度になっている。大量印刷する場合はEP-711Aの方がストレスがないだろう。一方、普通紙への印刷速度はEP-711Aでは公表されていないため比較することはできないが、EW-M571Tはカラーが5.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが10.5ipm、PIXUS TS5130Sは6.8ipmと13.0ipm、PIXUS TS5030Sは9.0ipmと12.6ipmとなっており、比較的高速だ。また、EW-M571Tは普通紙向けの設計なのか、写真印刷に比べて差は小さくなっており、このくらいの差なら実用上は気にならないだろう。
 ちなみにインクに関しては、EP-711APIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sが従来通りがのインクカートリッジ方式なのに対して、EW-M571Tはエコタンク方式となる。まず、インクカートリッジ方式のEP-711APIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sだが、この3機種にも違いがある。EP-711APIXUS TS5030Sは各色独立インクカートリッジで、無くなった色だけ交換できる。一方PIXUS TS5130Sは顔料ブラックは独立しているが、染料カラーインク3色は一体型となる。いずれか1色でもなくなった時点で全て交換となってしまう。その点では印刷コスト面では不利となる。では実際の印刷コストを見てみると、EP-711AがL判フチなし写真が26.5円、A4カラー文書が15.0円、PIXUS TS5030Sは15.8円と9.0円なのに対して、PIXUS TS5130Sはそれぞれ19.5円と13.1円となる。EP-711Aは標準容量のインクしか無いのに対して、PIXUS TS5030SPIXUS TS5130Sは大容量インクを用意しているのが功を奏してか、同じ独立インクのPIXUS TS5030Sはかなり印刷コストが安く、一体型インクのPIXUS TS5030Sでも印刷コスト面EP-711Aより安い。とはいえ、特定の色をよく使う場合などでは、PIXUS TS5130Sが不利で、場合によってはEP-711Aと印刷コストが逆転する場合もあるだろう。この3機種で印刷コストを重視するならPIXUS TS5030Sが圧倒的だ。
 一方、EW-M571Tのエコタンク方式とは、本体右側にあるインクタンクに、ボトルからインクを補充して印刷する方式だ。ボトル1本でインクタンクが満タンになるが、かなり大容量となっている。満タンのインクタンクでカラー文書を印刷すると、カラーインクは約6,000枚、顔料ブラックインクは7,500枚まで使用できるいうのは、カートリッジタイプと比べて圧倒的に多い。例えばEP-711Aのインクカートリッジは1本930円なので、6本で5,580円。これをA4カラー文書の印刷コストで割ると372枚である。PIXUS TS5130Sでも同じ計算をすると、カラー2,720円とブラック2,520円の合計5,240円を印刷コストで割ると400枚、PIXUS TS5030Sは顔料ブラックは1,440円、染料4色が各1,310円なので、合計6,760円で印刷コストで割ると約750枚である。これを見ると、EW-M571Tは1本で10〜15本分以上の量が入っていることになる。それでいて、カラーは各1.150円、ブラック2,150円で、4本買っても5,600円で、EP-711APIXUS TS5130Sと変わらずPIXUS TS5030Sより安いのである。結果印刷コストは、L判フチなし写真が5.9円、A4カラー文書が0.9円と圧倒的に安くなる。L判フチなし写真に関しては写真用紙代込みなので、これを除くと1.6円程度で、EP-711Aは22.2円、PIXUS TS5130Sは15.2円、PIXUS TS5030Sが11.5円となる事を考えると、カラー文書と同じような差になる。このように圧倒的な低印刷コストなのが特徴だ。ちなみに、ボトルから補充というと難しそうに感じるが、EW-M571Tは2世代目とも言うべきエコタンク「挿すだけ満タンインク方式」で、ボトルを注入口に挿すだけで満タンまで注入されてストップする。注入口も色によって形状が異なるため間違ったインクを注入することもない。また、ボトルに残ったインクはスクリュー式のフタがになっているので、そのまま保管できる。インクは途中で追加もできるので、大量に印刷する前にインクを補充しておく事で、インク切れで印刷が止まっていたという自体も防げる点でもEW-M571Tは便利だ。もう一点、EP-711APIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sといった一般的なプリンターに付属するインクは動作確認用で、初期充填を済ませると残る量はかなり少ない。それに対してEW-M571Tはインクボトルが丸々1本ずつ付属する。初期充填を済ませてもA4カラー文書3,600枚以上印刷が可能で、EP-711APIXUS TS5130Sの9セット分以上、PIXUS TS5030Sの5セット弱以上のインクが付属していると考えると、付属のインクを使い切った頃には本体代の差は逆転すると言えるだろう。
 使用するインクはEP-711Aが「つよインク200」で、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となる。EW-M571Tはインクに名称がないが、アルバム保存300年、耐光性7年、耐オゾン性2年を有している。アルバム保存は同等だが、耐光性や耐オゾン性ではEP-711Aに劣る。PIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは「ChromaLife100」でありアルバム保存100年を実現している。3機種とも十分なレベルの耐保存性を持ったインクであるが、EP-711Aが最も耐保存性が高く、次いでEW-M571Tとなる。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A4
カード・名刺〜A4
名刺〜A4
L判〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(100枚)
○(100枚)
○(100枚)
前面
カセット(100枚)
カセット(100枚/普通紙のみ)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(用紙セット連動)
○(カセット収納(前面)・用紙セット(背面)連動)
○(用紙セット連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。給紙に関しては、EP-711Aは前面給紙のみで、カセットは1段となる。上位機種のように2種類の用紙をセットしておくことはできないため、例えばA4用紙をセットしていて、L判写真を印刷したいときなどは用紙を入れ替える必要がある。カセットは完全に本体に収納可能なので、用紙をセットしたままにしてもホコリが積もるなどの心配がないのはメリットだ。A4普通紙なら100枚、写真用紙やハガキなら40枚までセット可能だ。一方のEW-M571Tは背面給紙のみとなる。前面給紙のみのEP-711Aと同じく、違う用紙にセットするときは入れ替える必要があるが、背面給紙は用紙のセット時に左右のガイドを合わせるだけで良く、用紙のセットがしやすいというメリットがある。またEP-711Aのような前面給紙・前面排紙は厚紙やラベル用紙などへの対応が心配だ。前面給紙カセットでも問題ない事になっているが、内部で180度方向転換しなければならないEP-711Aに対して、背面給紙のEW-M571Tはこの心配は少なくなる(内部が完全に直線ではないため、心配はゼロにはならないが)。一方でデメリットもあり、用紙をセットするために上方に空間が必要なほか、トレイが後方に傾くため、本体の後方にある程度のスペースが必要になってしまう。また、用紙紙をセットしたままだとホコリをかぶってしまい、その用紙が給紙されると故障の原因になる場合があるため、使わないときは取り除くのが理想だ。A4普通紙で100枚、写真用紙やハガキで30枚となる。PIXUS TS5030SもEW-571Tと同じで背面給紙のみとなるため同じメリット、デメリットがある。給紙枚数はA4普通紙で100枚、写真用紙やハガキ40枚とハガキはやや多い。最後にPIXUS TS5130Sだが、前面給紙カセット1段+背面給紙の2方向給紙となる。前面にA4普通紙、背面にL判写真用紙という風に入れておけば入れ替える手間無く2種類の用紙を使い分けることができ、他の3機種より便利だ。A4普通紙は前面給紙カセットに100枚、背面給紙も100枚セット可能なので、合計200枚までセットできるのはメリットだ。もちろん連続で使用する事ができる。写真用紙やハガキは背面給紙のみで40枚となる。最も便利なのは、このPIXUS TS5130Sだろう。ただ完璧ではない。まず、注意点としては、前面給紙カセットは普通紙のみという事だ。そのため、ハガキや写真用紙、ファイン紙などは全て背面給紙を利用することとなる。もちろん背面給紙はEW-M571Tと同じく上方と後方にスペースが必要で、ホコリも積もるため余った用紙は取り除く方が良い。となると、写真用紙などを常時セットしておくという使い方の場合EP-711Aでは前面給紙カセットにセットしたままにしておけるが、PIXUS TS5130Sでは写真用紙は背面のみになるため、スペースも取り不便でもある。また、前面給紙カセットは一見すると本体に完全収納されているようだが、この状態ではB5以下の用紙しかセットできない。A4用紙をセットする場合は、カセットを伸ばす必要があり、そうすると本体に収納した際にカセット部が44mm前に飛び出る事となる。排紙トレイよりは前に飛び出ないため、利用時は気にならないが、一番利用されると思われるA4サイズで綺麗に収納できないのは残念と言える。これを見ると、A4普通紙と、もう一種類の用紙を使うという人はPIXUS TS5130Sが、1種類の用紙を常時セットしておきたい人はEP-711Aが便利だと言える。
 ちなみに4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットの機種はカセットを挿し込む、背面給紙の機種は用紙をセットした際に、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。なお、EP-711AEW-M571Tはこれに加えて、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。

プリント(付加機能)
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像
自動両面印刷
○(普通紙のみ)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
○/○
○/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
−/○
−/−
−/−
−/−

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。両面印刷機能はEW-M571TPIXUS TS5130Sが搭載する。ただし、PIXUS TS5130Sは普通紙のみの対応なので、ハガキの両面印刷を行いたい場合はEW-M571Tのみとなる。一方、BD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能はEP-711Aのみ搭載する。レーベル印刷のトレイを使わない時は、前面給紙カセットの下に収納できるようになっている。写真の自動補正機能としては、EP-711AEW-M571Tは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。EP-711AEW-M571TPIXUS TS5030Sはパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。このように、この価格帯になると付加機能は限定されており、どの機能を搭載するかが、それぞれの機種の特徴となっている。
 自動電源オン機能はPIXUS TS5130SPIXUS TS5030Sが搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LAN接続ができるようになり、プリンタから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンタの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、排紙トレイが引き出された状態でないと印刷は実行されないため、排紙トレイを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能は4機種とも搭載している。
 EP-711Aの便利な機能が、フチなし吸収材エラー時の印刷継続機能だ。インクジェットプリンターのインクの吸収材は、2種類あり、1つはクリーニングの際などに排出されるインクを貯める廃インクタンク(メンテナンスボックス)、もう一つはフチなし印刷時に、用紙外にはみ出すインクを吸収させるフチなし吸収材 (用紙が通る部分のプラスチックが一部欠けておりその下にクッションのような吸収材)である。いずれも一杯になるとプリンターは停止してしまい修理に出して交換する必要があった。廃インクタンクは上位機種EP-881Aでは交換できるが、EP-711Aでは他機種同様修理対応となるが、フチなし吸収材に関しては、これを使用しないフチあり印刷に限っては印刷か継続できる機能と備える。フチなし印刷はできないとはいえ、フチなし印刷はとりあえず置いておいて、急を要するフチあり印刷を行い、余裕のあるときに修理に出すという事ができるわけだ。どちらも、長く使う事を考えた安心の機能だ。

スキャン
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像
読み取り解像度
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)

 続いて、スキャナ部を見てみよう。解像度は4機種とも1200dpiで同等だ。上位機種より解像度が下がっているが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当となる点から見ても、十分だと言えるだろう。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。EP-711AEW-M571Tはスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリカードに保存する機能を搭載しているためパソコン無しで簡単にスキャンができる。一方、PIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは原稿を取り忘れた際の警告機能が付いているのは便利だ。

ダイレクト印刷
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像
カードスロット
対応メモリカード
SD
SD
SD
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応
−/−/−
−/−/−
−/−/−
−/−/−
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDDへバックアップ
−/−
−/−
−/−
−/−
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
JPEG/TIFF
色補正機能
トリミング
フチあり/フチなし
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト(5段階)
シャープネス(5段階)
鮮やかさ(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
トリミング
フチあり/フチなし
赤目補正
トリミング
フチあり/フチなし
赤目補正
手書き合成
PictBridge対応
○(Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜)
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜)
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)

 ダイレクト印刷を見てみよう。これはPIXUS TS5130Sを除く3機種が対応している。いずれも、対応メモリカードはSDカードのみでUSBメモリなどにも対応しないなどシンプルだが、最近のデジタルカメラやスマートフォンは一部の一眼レフなどを除きSDカードかその小型版のmicroSDになっており、問題はないだろう。いずれも液晶画面で写真を選んで印刷ができるが、その際に写真の一部だけを拡大して印刷できる「トリミング」や「赤目補正」機能を備えるほか、フチあり、フチなしを選ぶことができる。ここまでは3機種とも搭載するが、EP-711Aはより高性能だ。EP-711Aは色補正機能を備えており、明るさ、コントラスト、シャープネス、鮮やかさを5段階から調整できるほか、セピア調やモノクロへの変換が可能だ。好みの色に調節して印刷が可能だ。このEP-711Aに加えてPIXUS TS5030Sは写真と手書きを合成して印刷できる「手書き合成シート」も対応している。PictBridgeはEP-711APIXUS TS5130S/PIXUS TS5130Sが対応しているが、3機種ともUSBポートがないため、Wi-Fi接続のPictBridgeにしか対応せず、対応機種は少なめだ。その他、EP-711Aは塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜が印刷できるフォーム印刷機能を搭載している。EW-M571Tは塗り絵印刷には非対応だが、フォーム印刷機能は搭載している。一方のPIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは原稿用紙、方眼紙、五線譜、レポート用紙、スケジュール帳、チェックリスト、漢字練習帳が印刷できる定型フォーム印刷機能を備えている。さらにPIXUS TS5030Sは写真を利用したカレンダー印刷機能も搭載する。いずれも、単体でいろいろなフォーム用紙を印刷可能となっており便利だ。

スマホ/クラウド対応
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
○(受信のみ)
○(受信のみ)

 スマートフォンとの連携機能は4機種とも搭載しており、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、両機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルータを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーター経由の方がより便利に使えるため、一般的にはこちらを利用すると思われるが、Wi-Fiダイレクトの場合でもそれほど難しくは無い。特にEP-711AはiOSの場合は液晶に表示されるQRコードを読み込み、Androidの場合は一覧に自動的に表示されるようになり、設定はより簡単になった。
 また、両機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。2018年12月現在でEP-711A/EW-M571Tは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。PIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sはナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。今後増えていくことが予想される。
 クラウドとの連携機能も4機種とも搭載されており、オンラインストレージから印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは写真共有サイトからの印刷も可能だ。さらにネットワークを利用したプリント機能として、EP-711AEW-M571Tは、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のEP-711AEW-M571Tで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。さらに、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷でき、簡易FAXの様な使い方が出来る「メールdeリモート印刷」は、送信(EP-711A/EW-M571Tでスキャンして他機種で印刷)には非対応だが、受信(他機種で印刷してEP-711A/EW-M571Tで印刷)には対応する。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sはこのような機能は搭載されない。リモートプリント機能はEP-711A/EW-M571Tの方が圧倒的に便利だと言える。

コピー機能
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(色あせ補正対応)
○(色あせ補正対応)
割り付け(2面/4面)
○/−
○/−
○/○
○/−
バラエティコピー
BOOKコピー
ミラーコピー
BOOK2アップ
塗り絵コピー
背景除去機能
文字くっきり機能
IDコピー
枠消しコピー
IDコピー
IDコピー

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。EW-M571Tを除く3機種は原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能も搭載している。さらにCD/DVD/Blu-rayレーベル印刷に対応したEP-711Aは、レーベルコピーにも対応する。EP-711APIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際、EP-711Aは「退色復元」、PIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは「色あせ補正」と名称は異なるが、3機種とも昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。4機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2アップにも対応する。さらにPIXUS TS5130Sは4枚の原稿を1枚に縮小する4アップにも対応している。その他、EP-711Aはコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、本をコピーする際に片面ずつスキャンして両面もしくは左右に割り付ける「BOOKコピー」「BOOK2アップ」、背景の色を白にして見やすくする「背景除去機能」を備えている。一方、PIXUS TS5130Sは厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能と、免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」機能を備える。EW-M571TPIXUS TS5030Sは「IDコピー」のみ搭載する。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。

操作パネル/インタフェース/本体サイズ
型番
EP-711A
EW-M571T
PIXUS TS5130S
PIXUS TS5030S
製品画像
液晶ディスプレイ
1.44型
1.44型
(角度調整可)
2.5型
(90度角度調整可)
3.0型
(90度角度調整可)
操作パネル
ボタン式
ボタン式
(角度調整可)
物理ボタン
(90度角度調整可)
物理ボタン
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
Windows 10/8.1/8/7 SP1/Vista SP2
Mac OS 10.8.5〜
耐久枚数
N/A
3万枚
N/A
N/A
外形寸法(横×奥×高)
390×338×163mm
375×347×187mm
425×315×147mm
(前面給紙カセット伸張時425×359×147mm)
372×315×126mm
重量
5.9kg
5.5kg
6.5kg
5.5kg
本体カラー
ホワイト
ブラック/ホワイト
ブラック/ホワイト
ブラック/ホワイト/グレー(限定カラー)

 操作パネルと液晶ディスプレイを見ていこう。一番使いやすいのはPIXUS TS5030Sだ。液晶ディスプレイと操作パネルは本体前面に搭載しているが、操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。最大90度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。液晶も3.0型と、この価格帯としては大きめで視認性は高い。続いてPIXUS TS5130Sが続く。基本はPIXUS TS5030Sと同じで、液晶サイズが2.5型に小型化されているが十分な大きさだ。ボタンの違いとしては、PIXUS TS5130Sにはモノクロスタートボタンが用意されており、コピー時スタートボタンによってカラーとモノクロを切り替えられる。EW-M571Tも本体前面に液晶ディスプレイと操作パネルを搭載し。角度調整が可能だが、90度までは持ち上がらない。また液晶ディスプレイが1.44型と小さく、視認性やメニューの一覧性はかなり劣る。視認性はさておき、液晶を搭載しているだけでコピーの詳細設定やWi-Fi接続設定、ダイレクト印刷時の写真選択などができるため、とりあえず小さくても搭載したといった感じだ。EP-711Aも1.44型の液晶という点ではEW-M571Tと同じだが、本体の前面から上面にかけて斜めになった部分に搭載されており角度調整はできない。斜めになっているので、比較的使いやすいが、置き場所によってはやや視認性は落ちる可能性がある。本体での操作が多いならPIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sが使いやすいだろう。
 インタフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、無線LAN(Wi-Fi)接続にも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターも無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンはダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルータの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。EP-711AEW-M571TはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、PIXUS TS5130SはWindows 7 SP1/8.1/10のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSも10.10.5以降となっただけでなく、ドライバはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となった。PIXUS TS5030Sはベースとなる製品が2年前の機種なので対応OSはキャノンとしては多少広く、Windows Vista SP2以降となった。Mac用ドライバもMacOS 10.8,5以降で、ダウンロード対応ながら用意されている。
 本体サイズを見てみよう。EP-711Aが390×338×163mm、EW-M571Tが375×347×187mm、PIXUS TS5130Sが425×315×147mm、PIXUS TS5030Sが372×315×126mmとなる。このサイズだけで見るとPIXUS TS5030Sが設置面積が最も小さく、高さも抑えられている。次に設置面積が小さいのは意外にも本体右側にエコタンクを搭載するEW-M571Tで、PIXUS TS5030Sと比べても奥行きが3cmほど大きい程度だ。ただし高さに関してはかなり大きいため、ずんぐりと言ったイメージだ。ただ、この2機種は給紙が背面給紙のみとなっており、その点では後方と上方にスペースが必要となる。その点では奥行きの設置面積はもう少し必要だ。前面給紙のEP-711APIXUS TS5130Sでは、EP-711Aが小さい。横幅はEP-M571Tと15mmしか変わらず、奥行きは9mm、高さは24mm小さいため、全体的に小さく見える。それでいて前面給紙なので後方にスペースが必要ない点で必要なスペースは最も小さいと言える。PIXUS TS5130は横幅が425mmと最近の機種にしては大きい。奥行きは315mmに抑えられているが、前述のようにA4用紙をセットすると前面給紙カセットが44mm飛び出す事を考えると奥行きは359mmとなり最も大きくなる。その上に普通紙以外は背面給紙となるため、後方と上方にもさらにスペースが必要だ。必要なスペースはPIXUS TS5130Sが圧倒的に大きくなる。
 ちなみに本体の耐久性は、EP-711APIXUS TS5130S/PIXUS TS5030Sは公開はしていないが、一般的に家庭向けの機種は1万〜1万5000枚程度と言われている。それに対してEW-M571Tは3万枚と2〜3倍となっている。印刷枚数が多い人向けの機種だけに、耐久性も高めているのはうれしいところだ。本体カラーは、EP-711Aはホワイトのみ、EW-M571TPIXUS TS5130Sはホワイトとブラック、PIXUS TS5030Sはブラック、ホワイト、グレーのカラーバリエーションを用意している。



 4機種は方向性が異なるので選びやすいはずだ。まずは写真や年賀状の印刷をメインで考えているならEP-711Aだろう。唯一の6色印刷に加えて印刷も高速だ。また、SDカードからのダイレクト印刷やレーベル印刷機能も備える。唯一写真用紙を前面給紙カセットにセットできるため、セットしたままにしておくという使い方にも向いている。ただし本体の操作性はそれほど良くなく、また印刷コストも高いため、印刷枚数はそれほど多くない人向けと言えるだろう。写真印刷もしたいが、少し印刷画質を落としても印刷コストを優先したい場合はPIXUS TS5030Sがおすすめだ。写真印刷は4色で行うがブラックインクが使えるだけ画質は良く、SDカードからのダイレクト印刷も可能で、液晶も大きいため写真の選択もしやすいだろう。印刷速度では劣るが、印刷コストはL判写真1枚で10円以上安くなる。逆に、コピーや文書印刷に限定して考えるならPIXUS TS5130Sがおすすめだ。液晶も大きいためコピーなどの操作がしやすく、また顔料ブラックを搭載しているのでコピーや文書の印刷が綺麗だ。普通紙のみだが両面印刷にも対応し、用紙も前面給紙カセットと背面給紙の両方にセットできる点も便利だ。その割に本体価格は最も安いため、用途を限定すれば安くて機能が豊富だと言える。ただし、インクカートリッジがカラー3色一体なので、印刷コスト面ではあまり良いとは言えない。写真は印刷せず、文書やコピーのみで印刷枚数があまり多くない人向けだ。一方、画質はあまり求めないが印刷コストを追求するならEW-M571Tだろう。本体価格は高いが、前述のようにインクボトルが各色1本ずつ付いている事を考えればおつりが来るだろう。画質や印刷速度、操作性、用紙のセット機能などでは劣る物の、最低限必要な機能は搭載しているし、画質にこだわらなければSDカードからのダイレクト印刷にも対応する。なにより、この印刷コストの圧倒的な安さは、これまでのプリンターの使い方を変える可能性がある。より気軽に印刷して楽しめる様になるだろう。
 

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


EP-711A
EW-M571T
(ブラック)
EW-M571TW
(ホワイト)
PIXUS TS5130SBK
(ブラック)
PIXUS TS5130SWH
(ホワイト)
PIXUS TS5030SBK
(ブラック)
PIXUS TS5030SWH
(ブラック)
PIXUS TS5030SGY
(ブラック)