小ネタ集
2018年末時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2019年1月19日公開)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


1万円前後の機種
 
 1万円台というこのクラスは、複合機としては最下位モデルとなる。エプソンのPX-049AとキャノンのPIXUS TS3130Sがこの価格帯の製品となる。それぞれ10,980円と8,880円だが、PIXUS TS3130Sが新製品なのに対して。PX-049Aは1年前の製品なので、店頭ではPX-049Aの方が安い価格を付けている場合が多い。この価格帯の製品となると、かなりの機能が省かれ、最低限の機能だけと言った感じだが、両機種で搭載している機能は異なる。 どちらの機種がおすすめなのか、そして上位機種との価格差も小さいため、それらも考えて見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー
エプソン
キャノン
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像

実売価格(メーカーWeb/税抜き)
10,980円
8,880円
インク
色数
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
黒独立、カラー3色一体
顔料/染料系
顔料
(つよインク200X)
染料(カラー)/顔料(黒)
インク型番
リコーダー
リコーダーL(増量・黒のみ)
345XL/346XL(大容量)
345/346(標準容量)
ノズル数
357ノズル
1280ノズル
カラー:各59ノズル
黒:180ノズル
各色320ノズル
最小インクドロップサイズ
3pl(MSDT)
N/A
最大解像度
5760×1440dpi
4800×1200dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
74秒
52秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
4.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
7.7ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
27.5円
21.7円
A4カラー文書
13.8円
14.1円
A4モノクロ文書
N/A
N/A

 まずプリンタ部から見てみよう。PX-049Aはブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色構成となる。最小インクドロップサイズも3plと最近の機種としては大きめであるため、上位機種と比べると画質は劣り、粒状感を感じるだろう。ただし、写真印刷に耐えないほどではないため、若干ザラザラした感じを受けるのに目をつぶれば写真印刷も可能だ。しかし、4色全てが顔料インクであるため、写真用紙での発色はあまり良くなく、また表面の光沢も薄れポストカードのような鈍い光り方になってしまう。画質的には写真印刷ができないわけではないが、インク的には向いていない。一方で普通紙への印刷では顔料インクの特色であるコントラストが高く、滲みのないメリハリのある印刷が行える。文書印刷やコピーが非常に高画質に印刷ができる。また、耐水性も高いため、濡れた手で触ったり、マーカーを引いても滲まないのも便利だ。一方、PIXUS TS3130Sもブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色構成で、一見するとPX-049Aと同じ構成に見える。しかし、PIXUS TS3130Sはカラー3色が染料インク、ブラックは顔料インクとなる。そのため、写真印刷時はブラックインクが使えず、3色を混ぜて黒に近い色を表現する事となる。そのために、黒色の部分が非常に濃い茶色のようになり、コントラストが若干弱くなってしまう問題がある。ブラックインクが使える機種の印刷結果と比べると分かるが、PIXUS TS3130Sの印刷結果単体で見ると大して分からないというレベルであるが、PX-049Aよりは劣る点だ。一方最小インクドロップサイズは非公表となっているが、過去の例からすると2plと予想され、PX-049Aより小さいため、粒状感はおさえられる。画質の評価ではPIXUS TS3130SPX-049Aと比べて最小インクドロップサイズは小さいがブラックインクが使えないため、総合的には同レベルと言えるだろう。ただし、PIXUS TS3130Sは染料インクで写真印刷が行えるため、写真用紙本来の光沢感が失われないという点で、写真印刷に向いていると言えるだろう。一方顔料ブラックのおかげで、コピーや文書印刷のモノクロ部分はコントラストが高く滲まずメリハリのある印刷が行える。PX-049Aのようにカラー・モノクロ問わずと言うわけにはいかない。例えば、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを混ぜて作り出すし、背景色があるなど、カラーの中に黒が混ざっている場合は顔料と染料を混ぜられないことから、染料カラー3色で黒を表現するため逆に黒のコントラストが弱くなる。とはいえ、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。写真は苦手だが文書印刷に特化したPX-049Aと、写真も文書もそれなりの高画質で印刷できるPIXUS TS3130Sというイメージだ。
 ちなみにPX-049Aは4色ともインクカートリッジが独立しており無くなった色だけ交換ができるが、PIXUS TS3130Sは黒とカラーの2タンク構成で、カラー3色は一体であるため、1色でもなくなると全体を交換する必要がある。コスト面では不利である。L判写真1枚の印刷コストで見ると、PX-049Aが27.5円に対してPIXUS TS3130Sは21.7円と比較的安めなので心配いらないようにも見える。しかし、顔料インクのPX-049Aは写真印刷に印刷する際に印刷コストが高くなる傾向がある一方、写真印刷の場合、各色は比較的均等に使われるので、一体型インクでもそれほど問題になりにくいとは言える。そのため、文書の印刷コストはPX-049Aが13.8円に対して、PIXUS TS3130Sでは14.1円と逆転されている。例えば、使用する色が偏りがちの年賀状印刷、同じ色の背景色を使った文書、強調部分を赤文字にした文書など、より使用する色が偏る場合は、この差は更に広がってしまう。印刷コスト面ではPX-049Aの方が安心だろう。
 使用するインクはPX-049Aは「つよインク200X」であり、アルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年となる。耐保存性の面では写真印刷も問題ない。一方、PIXUS TS3130Sは、上位機種の「ChromaLife100」のような名称を持たない。「ChromaLife100」はアルバム保存100年となっているが、PIXUS TS3130Sはこの条件を満たしていないと言うことなので、少なくともこれよりは下回るはずだ。写真の耐保存性という点ではPX-049Aの方が優秀だ。
 印刷速度はL判写真用紙フチなし印刷でPX-049Aが74秒、PIXUS TS3130Sが52秒となっており、上位モデルと比べるとかなり遅くなっている。もともと写真印刷に向いているプリンタではないとはいえ、1分前後というのはかなり遅い。これはノズル数が上位機種と比べて少なく、特にPX-049Aはカラーインクのノズル数が極端に少ない事が影響していると思われる。また、エプソンの顔料インクのプリンターは写真の印刷速度が遅くなる傾向があるため、何か影響している点があると思われる。一方、A4文書の印刷速度を見てみよう。PIXUS TS3130Sはカラーが4.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが7.7ipmとなっており、最上位機種の10ipmと15ipmと比べると半分以下だが、写真印刷速度の差に比べると差は小さくなっている。ちなみにPX-049Aの文書印刷速度は公表されていないが、PX-049Aと同じノズル数で写真印刷速度がほぼ同じEW-M571Tが5.0ipmと10.5ipmとなっているため、これに近い速度になると思われる。文書印刷速度はPX-049Aの方が高速な可能性が高い。いずれにしても上位機種よりは多少遅いが、この価格帯の機種としては実用的な範囲だろう。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A4
L判〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(50枚)
○(60枚)
前面
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
用紙幅チェック機能

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。この価格帯になると非常にシンプルになっており、PX-049APIXUS TS3130Sのどちらも背面給紙のみとなっている。また、A4普通紙のセット可能枚数も、上位機種では100枚程度であるのに対して、PX-049Aは50枚、PIXUS TS3130Sは60枚と少なくなっている。ハガキも両機種とも20枚となっており、年賀状印刷で枚数が多い場合などは上位機種より手間が掛かることになる。ただ、両機種に大きな差は無い。

プリント(付加機能)
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像
自動両面印刷
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正II)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
○/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
−/−
−/−

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。この価格帯では自動両面印刷機能やディスクレーベル印刷機能は搭載されていない。写真の自動補正機能はソフトウェアレベルの話なので搭載しており、PX-049Aは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS TS3130Sは「自動写真補正II」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。自動電源オン機能はPIXUS TS3130Sだけが搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LAN接続ができるようになり、プリンタから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンタの電源を入れに行く手間が省ける。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能は両機種とも搭載している。

スキャン
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像
読み取り解像度
1200dpi(1200×2400dpi)
600dpi(600×1200dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存

 続いて、スキャナ部を見てみよう。解像度はPX-049Aが1200dpi、PIXUS TS3130Sが600dpiだ。解像度に大きな差があるように感じるが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、それほど問題ではない。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、コピーもせいぜい300dpiといったところだ。よほど詳細にスキャンする場合にPX-049Aの1200dpiが効果を発揮すると言ったレベルだろう。確かに実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当となるため、綺麗に保存したい場合は1200dpiでスキャンができるPX-049Aの方が良さそうだが、そうで無ければ両機種に実用上の差はあまりない。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。

ダイレクト印刷
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像
カードスロット
対応メモリカード
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応
−/−/−
−/−/−
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDDへバックアップ
−/−
−/−
対応ファイル形式
色補正機能
手書き合成
PictBridge対応
○(Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷

 ダイレクト印刷を見てみよう。とは言っても、ダイレクト印刷機能は搭載していない。この価格帯では液晶も搭載されておらず仕方の無い所だ。PIXUS TS3130SはPictBridgeのWi-Fi方式に対応しているが、対応機種も少なく、どこまで実用性があるかは疑問だ。

スマホ/クラウド対応
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 9.0以降)
Android 4.1以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 9.0以降)
Android 4.1以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
○(受信のみ)

 スマートフォンとの連携機能は上位機種同様、両機種とも搭載しており、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、両機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、上位機種の場合、無線LANルータを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。しかしPX-049Aは、無線LANルータを経由する方式でしか接続ができない。Wi-Fiダイレクトの設定を本体で行うためには液晶ディスプレイが必要なためと思われる。一方PIXUS TS3130Sはダイレクト接続も行えるが、固定内容の表示しか行えない液晶しか搭載していないため、細かな設定はできない。ダイレクトボタンを押すと液晶にダイレクト接続のアイコンが表示される。後はスマートフォンなどから「TS3100 series」の文字列の入った機器に接続をする事になる。接続パスワードはプリンターのシリアル番号になっているが、本体のインフォメーションボタンを押す事で印刷して確認ができる。このように、液晶を搭載した上位機種と比べると使いにくいと言えるが、無線LANルータがあれば、とりあえず両機種ともスマートフォンからの印刷、スキャンには対応できる。一方で、無線LANルーターがない場合は、ダイレクト接続機能を持つPIXUS TS3130Sしか選択肢がなくなる。
 また、両機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。2018年12月現在でPX-049Aは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどとなる。PIXUS TS3130Sはナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものと、プリンターの状態の確認が行える。今後増えていくことが予想される。
 クラウドとの連携機能も両機種とも搭載されており、オンラインストレージから印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS TS5130は写真共有サイトからの印刷も可能だ。スマートフォンのアプリから利用する形となる。さらにネットワークを利用したプリント機能として、PX-049Aは、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のPX-049Aで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。また、「メールdeリモート印刷」は送信には非対応だが、同機能を搭載したプリンターでスキャンした画像を、離れた場所のPX-049Aで印刷できる「受信」機能には対応している。いずれもネットワークに接続している必要があるが、ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のPIXUS TS3130Sはこれらの機能は搭載しない。リモートプリント機能はPX-049Aの圧勝だ。

コピー機能
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像
等倍コピー
○(A4普通紙フチありのみ)
○(一部用紙)
拡大縮小
倍率指定
オートフィット
○(一部用紙)
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面)
−/−
−/−
バラエティコピー

 コピー機能も液晶ディスプレイを搭載しない、又は固定内容の液晶ディスプレイである事から、非常に簡易的なものとなっている。PX-049Aの場合、「モノクロコピーボタン」「カラーコピーボタン」を押す事でコピーが行えるが、A4普通紙への等倍コピーのみとなり、他の用紙や拡大縮小、フチなし印刷などは一切行えない。コピーボタンを押した回数だけコピーが行われる(最大20枚)ため、自由な枚数が指定できる。また、ストップボタンと同時に押す事でインク量を抑えた「試し印刷」になる。一方、PIXUS TS3130Sの場合、セグメント表示の2桁の数字がある。また液晶には用紙種類とサイズが並んでおり、使用する用紙だけ点灯する方式になっている。「カラーボタン」と「モノクロボタン」があり、そのボタンを押すと「1」が点滅をする。点滅中に繰り返し押す事で枚数を指定できる。点灯に変わるとコピーが開始される。ボタンを押す際に2秒以上長押しすると、下書きモードでのコピーとなる。使用できる用紙は、A4、B5、A5の普通紙、L判、2L判、スクエアの写真用紙、ハガキが使用できる。普通紙の場合は等倍でフチあり、写真用紙とハガキは自動で拡大縮小され、フチなし印刷となる。用紙との組み合わせで拡大縮小やフチあり・フチなしが固定なのではなく、それらも個別に設定できればより便利だったと言えるが、PX-049Aと比べると使える用紙が圧倒的に多く、便利だと言えるだろう。とはいえ、2面割り付けはおろか、濃度調整もできないシンプルなコピー機能しか持っていないため、より高機能なコピー機能が必要なら、上位機種を検討することになるだろう。

操作パネル/インタフェース/本体サイズ
型番
PX-049A
PIXUS TS3130S
製品画像
液晶ディスプレイ
1.5型モノクロセグメント
操作パネル
物理ボタン式
物理ボタン
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト印刷対応)
有線LAN
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
外形寸法(横×奥×高)
390×300×145mm
435×316×145mm
重量
3.9kg
5.4kg
本体カラー
ホワイト
ブラック/ホワイト

 先にインタフェースを見ていこう。PX-049APIXUS TS3130Sは共にUSB2.0接続に加えて、無線LAN(Wi-Fi)接続にも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターも無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。
 操作パネルを見ていこう。PX-049Aは前述のように液晶は搭載しておらず、操作ボタンのみが並ぶ。本体前面に角度固定で取り付けられている形となる。微妙に上を向いているが、ほぼ垂直と言えるだろう。「電源ボタン」「Wi-Fiボタン」「NWステータスシートボタン」「モノクロコピーボタン」「カラーコピーボタン」「ストップボタン」のみとなる。それに「ネットワーク」「用紙」「インク」のそれぞれの状態を示すLEDランプとなる。コピー操作に関してはコピー機能の項目で説明したが、それ以外に組み合わせとして、「ストップボタン」を押したまま電源を入れると、ノズルチェックパターンが印刷される。その後、「ストップボタン」を3秒以上押すとクリーニングが実行される。また、インク切れの状態で「ストップボタン」を押すと、インクカートリッジが交換可能な位置に移動する。インク切れ以外の状態の場合は「ストップボタン」の長押しで、同じく交換可能位置に移動する。ネットワークのワンタッチボタンによる接続はAOSSとWPSに対応している。「Wi-Fiボタン」を「Wi-Fiランプ」の左右が交互に点滅するまで押し、その後、無線LANルータの対応ボタンを押すだけである。また、「NWステータスシートボタン」を押す事で、ネットワーク設定情報が印刷される。一方手動でセキュリティーキーを入力しなければ設定できない環境の場合は、一度USB接続する必要がある。
 一方、PIXUS TS3130Sの操作パネルは、本体正面のスキャナ部の左側に縦に並んでいる。液晶は1.5型となっているが、数字以外は固定内容の点灯・非点灯のみでバックライトもない簡易的なものだ(数字は7セグメントで1〜9が表示できる1の位と、1だけが表示できる2セグメントの10の位の組み合わせ)。ボタンは、上から「電源ボタン」「LANボタン」「ダイレクトボタン」「インフォメーションボタン」セットアップボタン」「用紙選択ボタン」「OKボタン」「ストップボタン」「カラーボタン」「モノクロボタン」となっており、PX-049Aより多くなっている。前述の液晶に加えて「電源」「エラー」「インク」の各LEDランプにより状態を表示する。コピー操作以外の設定は、「セットアップボタン」を利用して行う。例えば「セットアップボタン」を押して液晶に「1」と表示させた状態で、「カラーボタン」か「モノクロボタン」を押すと、ノズルチェックパターンが印刷される。「2」を表示させて同様の操作をすると、ヘッドクリーニングが実行される。「3」が強力ヘッドクリーニング、「4」がプリントヘッド位置調整、「7」が給紙ローラークリーニング、「8」がインク拭き取りクリーニング、「12」が夜間利用モードのオン・オフという風にそれぞれ割り当てられている。また、ネットワークのワンタッチボタンによる接続はAOSSとWPS、らくらく無線スタートに対応している。「LANボタン」を長押しし、液晶の電波強度を表すマークが点滅させた状態で、無線LANルータの対応ボタンを押すだけとなる。「インフォメーションボタン」を押すと、ネットワーク設定の一覧が印刷される。手動でセキュリティーキーを入力する環境の場合は、一度USB接続しなければならないのはPX-049Aと同様だ。スマホ/クラウド対応の項目で書いたように、スマートフォンなどとはダイレクト接続も可能となっている。このようにそれぞれ、液晶ディスプレイが無い、もしくは簡易的なものの中で、工夫されていることはわかる。一方で、上位機種のように液晶の表示内容を見て選択肢を選ぶことができず、ボタンの押し方や、TS3130の場合は何番がどのメンテナンスなのか覚えておかなければならない点では使いにくいとは言えるだろう。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。PX-049AはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、PIXUS TS3130SはWindows 7 SP1/8.1/10のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSも10.10.5以降となっただけでなく、ドライバはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となった。
 本体サイズを見てみよう。PX-049Aが390×300×145mm、PIXUS TS3130Sが435×316×145mmとなる。いずれも背面給紙であるため、用紙セット時は後方と上方にスペースが必要な点は同じなので、実質的に本体サイズの差がそのまま設置スペースの差になると考えて良いだろう。PX-049Aは下位モデルと同じ横幅を維持しているのに対して、PIXUS TS3130Sは上位機種より大きく、PX-049Aとの比較で、横幅が45mm、奥行きが16mm大きくなる。それほど大きな差ではないが、やはりPX-049Aの方がコンパクトに見える。ちなみに本体カラーは、PX-049Aはホワイトのみ、PIXUS TS3130Sはブラックとホワイトのカラーバリエーションを用意している。



 両機種とも最下位モデルだけあり最低限の機能をまとめた印象で、印刷速度や画質だけでなく操作性にも影響が出ている。一方で画質面では上位機種よりは劣るものの、使えないほど悪いわけではなく、価格を考えれば十分に高画質だ。どちらがおすすめかとなると、難しいところだ。まず文書主体ならPX-049Aがおすすめだ。全色顔料に加えて、色が偏りがちの文書印刷でも安心の各色独立インクカートリッジとなる。印刷速度も普通紙なら実用的なスピードだ。一方、コピー機能を重視するなら、様々な用紙が使えるPIXUS TS3130Sがおすすめだ。拡大縮小は用紙によって固定とはいえ、A4普通紙以外が使えるのは大きい。では写真も印刷するならとなると難しい。本来なら染料インクのPIXUS TS3130Sがおすすめといいたいところだが、黒インクが使えない上に耐保存性もPX-049Aに大きく劣る。かといってPX-049Aは顔料インクなので写真用紙での発色が良いとは言えないが黒インクが使えるし耐保存性も高い。この価格帯で写真印刷というのがそもそも向いていないといってしまえばそれまでだが、店頭で印刷サンプルを見て、PX-049Aを見て問題ないと感じるなら耐保存性が高いPX-049Aを、やはりPIXUS TS3130Sの方が光沢感もあってきれいだという場合は、耐保存性に目をつむってPIXUS TS3130Sとなるだろう。画質も耐保存性も重視したい場合は、やはり1ランク上位機種がおすすめだ。例えばエプソンの上位機種EP-711Aは17,980円だが、染料6色で画質は圧倒的に良く耐保存性も高く、印刷もL判写真1枚17秒と高速だ。液晶も搭載しコピー機能が豊富なだけでなく、メモリカードからのダイレクト印刷やディスクのレーベル印刷もできる。価格差も7,000〜8,000円なので、PX-049APIXUS TS3130Sのどちらも不満点があるという場合は、こちらも併せて検討したいところだ。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


PX-049A
PIXUS TS3130SBK
(ブラック)
PIXUS TS3130SWH
(ホワイト)