小ネタ集
新旧プリンター比較
2019年春発売のプリンターを旧機種と比較する
〜同種の同価格帯のエプソン・キヤノン製品を比較〜
(2019年8月16日公開・2019年10月4日最終更新)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


4万円前後のエコタンク/ギガタンク搭載複合機
 
 エプソンのエコタンク搭載プリンターと、キャノンのギガタンク搭載プリンターは共に大容量インクタンクを搭載し、印刷コストを大幅に下げた製品だ。去年までキャノンの複合機はG3310の1機種のみで、エプソンの最下位モデルEW-M571Tと同価格帯であった。今回、キャノンがG6030という上位機種を追加し、これはEW-M630Tと同価格帯の製品であるため、こちらの比較をしてみたいと思う。価格的にはEW-M630Tが41,980円、G6030が39,880円だが、EW-M630Tの方が発売が古いため、店頭での価格はほぼ同価格となる。

プリント(画質・速度・コスト)
型番
エプソン
キャノン
型番
EW-M630T
G6030
製品画像

実売価格(メーカーWeb/税抜き)
41,980円
39,880円
インク
色数
4色
4色
インク構成
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式)
ギガタンク
(挿して注入・満タン自動ストップ)
顔料/染料系
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年)
染料(カラー)/顔料(黒)
(新顔料ブラック)
インク型番
ヤドカリ(顔料)
ハリネズミ(染料)
30番
付属インクボトル
インクボトル各色1本
インクボトル(カラー)各色1本
インクボトル(ブラック)2本
ノズル数
784ノズル
1792ノズル
カラー:各128ノズル
黒:400ノズル
カラー:各384ノズル
黒:640ノズル
最小インクドロップサイズ
3.3pl(MSDT)
N/A(2pl?)
最大解像度
4800×1200dpi
4800×1200dpi
PrecisionCoreプリントヘッド
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
75秒
37秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
8.0ipm
6.8ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
15.0ipm
13.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
5.9円
N/A
A4カラー文書
0.9円
0.9円
A4モノクロ文書
0.4円
0.4円

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。EW-M630TG6030はインク構成は同等で、顔料ブラックと染料のカラー3色(シアン、マゼンダ、イエロー)を採用している。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。とはいえ全色を顔料インクとすると写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れポストカードのようになってしまう。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。EW-M630TG6030は顔料ブラックを搭載してるため普通紙への黒の印刷はメリハリがある印刷が行える。ただ顔料インクはブラックだけなので、黒色部分しかこの恩恵は得られない。また、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを混ぜて作り出すし、背景色があるなど、カラーの中に黒が混ざっている場合は顔料と染料を混ぜられないことから、染料インクとなる。背景が無く完全な黒という限定があるなど、必ずしも顔料インクの恩恵を受けられるわけではない点は注意が必要だ。とはいえ、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。
 一方、写真印刷や年賀状の通信面印刷時には、染料インクが力を発揮する。ただ、EW-M630TG6030は染料ブラックを搭載していないため、カラー3色での印刷となる。黒色はカラーを混ぜて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒の髪の毛や影の部分などを見れば一目瞭然だ。その点では、普通紙も写真用紙もどちらにもそれなりに綺麗に印刷できるが、特化した機種よりは劣るというイメージである。
 最小インクドロップサイズはEW-M630Tが3.3pl、G6030は非公表だが、同機能の海外モデルでは2plとなっているため、おそらく2plだろう。最小インクドロップサイズの面ではG6030の方が粒状感は少なめと言える。ちなみに、写真の耐保存性だが、EW-M630Tはアルバム保存300年 耐光性7年、耐オゾン性2年となっている。これはエコタンクの上位モデルや、家庭用のカートリッジタイプのプリンターがアルバム保存300年、耐光性30年、耐オゾン性10年であることを考えると、耐光性と耐オゾン性で劣ることになる。飾っておいた場合の色あせが速い可能性がある。G6030は耐保存性について書かれていないが、アルバム保存100年のChromaLife100には準拠しないということなので、EW-M630Tより更に劣る可能性がある。
 一方、普通紙印刷の場合、EW-M630TはPrecisionCoreプリントヘッドを採用しており、普通紙印刷時の解像度を高めているため、小さな文字や細線がよりくっきりと、潰れること無く印刷できる。G6030は顔料の黒インクを新顔料ブラックとすることで、より引き締まった黒が表現できるという。
 ちなみにEW-M630Tはエコタンク方式、G6030はギガタンク方式なので、インクカートリッジを購入して交換するのでは無く、インクボトルを購入して、本体内蔵のインクタンクに補充して使う事になる。こう聞くと難しそうだが、両機種とも初代の製品より使いやすくなっており、EW-M630Tは「挿すだけ満タンインク方式」、キャノンは名称こそ無いか改良されている。まず、エコタンク/ギガタンク部の全体のフタを開け、さらに各色のフタを開ける。ただのゴムキャップではなく、スイング式のプラスチックの先にゴム栓が付いているので、簡単だ。ここにインクボトルからインクを注入するのだが、挿し込むまでインクが出にくい構造になっているため、こぼす心配が少なく、挿し込むとインク注入が始まる。さらに満タンまで入って自動的に止まる仕組みになったため、入れすぎる心配も無い。EW-M630Tは注入口の形状が色によって異なるため、誤ったインクボトルを挿し込むこともないように工夫されている。G6030はそういったことは無いため、使い勝手ではやや劣る。タンク自体も、EW-M630Tでは大部分が本体に埋め込まれ、飛び出ている部分はわずか、G6030は完全に本体に内蔵されている。また、前面からインク残量も確認できるようになっている。このように、インクカートリッジの交換と大して変わらない手間になっている。さらに、インクは途中で補充することもできるため、大量印刷前に補充しておけば、途中でインク切れで止まっていたという事も無くなるメリットもある。
 ちなみに、印刷速度には両機種に特色がある。EW-M630Tは普通紙印刷を重視しているため、L判写真フチなし印刷は75秒とかなり遅めだ。それに対してG6030は37秒と、倍の速度となっている。写真印刷をメインで考えているなら(画質はともかく)G6030の方が大量印刷時にストレスが少なそうだ。一方、文書印刷を見ると、EW-M630TはA4カラーが8.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが15.0ipmであり十分高速だ。一方G6030はA4カラーが6.8ipm、A4モノクロが13.0ipmと少し劣る。写真印刷とは逆の傾向である。とはいえこちらは大きな差では無く、よほど大量に印刷するので無ければ問題ない速度となっている。
 印刷コストだが、EW-M630TG6030はいずれも、A4カラー文書が0.9円、A4モノクロ文書が0.4円と同等だ。一般的な家庭用プリンターではA4カラー文書が8〜15円程度である事を考えると圧倒的に安い。また、EW-M630Tは写真の印刷コストも公表しており5.9円となる。写真用紙代約4.3円が込みなので、これを除くと1.6円となる。インクカートリッジ方式の6色プリンターEP-881Aが20.6円、用紙代を除くと16.3円であるとこと考えると約10分の1となる。ボトル1本での印刷枚数は、A4カラー文書を印刷した場合、EW-M630Tはブラックインクが7,500枚、カラーインクが6,000枚まで印刷ができ、G6030はブラックインクが6,000枚、カラーインクが7,700枚まで印刷ができる。インクボトルは、EW-M630Tのブラック(ヤドカリ)が2.150円、カラー(ハリネズミ)が各1,150円で、G6030の30番インクはブラックが2,100円、カラーが各1.400円であるため、ブラックインクはEW-M630Tの方が、カラーインクはG6030の方が印刷できる枚数が多いがその分価格が高いため、結果的に印刷コストは同等となっている。
 ちなみに、エコタンク・ギガタンク搭載プリンタは本体価格が高い傾向があるが、これは付属のインクで元が取れるという考え方がある。一般的なカートリッジタイプのプリンターではセットアップ用、動作確認用のインクカートリッジしか付属せず、初期設定を済ませると残りはかなり少なくなる。一方、EW-M630Tの場合はインクボトルが各1本、G6030の場合はブラックが2本とカラーが各1本付属する。付属のインクボトルも別売りのインクボトルも全く同じ物で、1本でタンクが満タンになるため、購入時に付属するインクでタンクを満タンの状態にできる(G6030はブラックは2回満タンにできる)。ただ、ここから初期充填を行うため、インクを消費してしまうが、それでも例えば、EW-M630Tの場合3,600枚以上の印刷が可能となっている。この間インクを購入する必要が無いのだ。インクカートリッジ方式のEP-881Aの場合、増量インクでもブラックインクは915枚、カラーインクは各395枚となるため、3,600枚印刷しようとするとブラックインクが約4本、カラーインクは各色約9本が必要となる。各1,200円なので、49本で58,800円となる。つまり3,600枚印刷した時点で考えるとEW-M630Tは付属のインクだけで印刷できるが、EP-881Aは約58,800円分もインクを購入している計算となる。また、EW-M630Tは「同梱インクで3,600枚以上プリント可能」という表現なので、実際には5色の内で最も最初に無くなるインクでも3,600枚の印刷が可能という事だと思われるので、実際には58,800円以上のインクが付属することになる。こう考えれば本体代の高さは、付属のインクを使い切った時には実質逆転している事になる。G6030は初期設定完了後の印刷可能枚数は公表しておらず、EW-M630Tとは設計の違いによる差は出ると思われるが、それでもかなりの枚数が印刷できると思われる。少なくともブラックインクはもう1本付属するため、残った分+6,000枚は印刷が可能となる。ただ、これらの話はインクカートリッジの機種との比較なので、EW-M630TG6030の比較では、機種を選ぶ要素にはなりにくい。G6030の方がブラックインクが1本多いとはいえ、2,100円なので、それだけで決め手になるほどでは無いだろう。


プリント(給紙・排紙関連)
型番
EW-M630T
G6030
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A4
名刺〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(100枚)
前面
カセット(150枚)
カセット(250枚/普通紙のみ)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、EW-M630TはL判〜A4、G6030が名刺〜A4サイズとなる。名刺サイズの用紙に直接印刷できれば、印刷後に切り取る必要が無く、フチなしデザインも作りやすい。名刺の印刷を考えている人にはG6030は便利だ。給紙に関しては、EW-M630Tは前面給紙カセットのみとなる。A4普通紙が150枚、ハガキは30枚までセットできるため問題は無いが、カセットは1段なので別の用紙を使用する場合はその都度入れ替える必要がある。G6030は前面給紙カセットと背面給紙の2方向給紙となる。前面給紙カセットはA普通紙を250枚までセットできEW-M630Tより多い。ただしこちらは普通紙専用だ。ハガキや写真用紙、ファイン紙などは背面給紙からとなる。こちらはA4普通紙で100枚、ハガキで40枚までセットできる。両方に普通紙をセットすれば350枚まで連続給紙ができるし、前面に普通紙を常時セットしておき、それ以外の用紙を使うときも入れ替える必要が無くて便利だ。唯一EW-M630Tに劣る場合があるとすると、普通紙以外の用紙を常時セットしておきたい場合だ。ハガキや写真用紙、ファイン紙などはEW-M630Tは前面給紙カセットに入れておけるので、入れたままでもホコリが積もらない。一方、G6030では背面給紙になってしまうので、セットしたままだとホコリが積もってしまう。使用する用紙によって使い勝手は変わってくるだろう。
 ちなみに、両機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込む、またはG6030の背面給紙の場合は給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。これに加えて、EW-M630Tは印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、設定よりも用紙幅が小さかった場合にプリンタ内部を汚さないようになっている。

プリント(付加機能)
型番
EW-M630T
G6030
製品画像
自動両面印刷
○(普通紙のみ)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ
−/○
○/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
○/−
−/−

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は両機種とも搭載している。ただし、ハガキの自動両面印刷が可能なのはEW-M630Tだけで、G6030は普通紙のみとなる。ハガキの両面印刷を考えている人には注意が必要だ。写真の自動補正機能としては、EW-M630Tは「オートフォトファイン!EX」、G6030は「自動写真補正」機能を搭載する。名称は異なるが、どちらも逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われるため、手軽に写真印刷が行える。
 自動電源オン機能はG6030のみ対応だ。最近は無線LANや有線LANでのネットワーク接続ができるようになり、プリンタから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンタの電源を入れに行く手間が省けるため重宝する。ただし、操作パネルを開いておかないと印刷が実行されない事と、排紙トレイを引き出して置かないと、用紙が落ちてしまう点は注意が必要だ。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能は両機種とも搭載している。
 EW-M630Tは交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)にも対応している。メンテナンスボックスとはクリーニング時に排出される廃インクを貯めるもので、満タンになると通常は修理に出して交換する必要があり、プリンターが手元に無い期間が発生し、交換費用もそれなりに掛かるが、EW-M630Tではユーザー自身で簡単に交換できるようになっている。印刷枚数が多いと思われるプリンターだけに、この機能はうれしいところだ。

スキャン
型番
EW-M630T
G6030
製品画像
読み取り解像度
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF
原稿セット可能枚数
原稿サイズ
両面読み取り
読み取り速度
カラー
モノクロ
スキャンデーターのメモリカード保存

 続いて、スキャナ部を見てみよう。両機種もA4までだが、スキャン解像度も最大1200dpiで、CIS方式という点も同じだ。この機能は特別高性能というわけでは無いが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、L判サイズに印刷したり、スマホの画面で見る分には600dpiでも十分きれいだといえる。逆にスキャナ解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。
 G6030だけの機能として、原稿取り忘れアラームを搭載している。スキャンやコピー後、一定時間原稿カバーが開けられないと、原稿を取り忘れているとしてアラームが鳴るため、取り忘れのミスを減らせて便利だ。

ダイレクト印刷
型番
EW-M630T
G6030
製品画像
カードスロット
対応メモリカード
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応
−/−/−
−/−/−
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDDへバックアップ
−/−
−/−
対応ファイル形式
色補正機能
手書き合成
PictBridge対応
○(Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷

 ダイレクト印刷を見てみよう。とはいえ、両機種ともSDカードスロットなどは搭載しないため、プリンター本体で写真のダイレクト印刷は行えない。G6030はPictBridgeのWi-Fi方式に対応ているが、PictBridgeはUSB方式とWi-Fi方式があり、Wi-Fi方式は対応機種も少ないため、それほど大きな差では無い。

スマホ/クラウド対応
型番
EW-M630T
G6030
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
LINEでプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能は両機種とも搭載している。iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応しており、いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。出かける前に紙の情報をさっとスマートフォンに転送するといった使い方ができるため便利だろう。スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルータを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(G6030での名称はダイレクト接続)の両方に対応している。
 また、両機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。現時点ででEW-M630Tは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。G6030はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のもの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。
 クラウドとの連携機能も両機種とも搭載しており、オンラインストレージから印刷に対応している。また、SNSの写真を印刷にも対応しており、コメント付きでも印刷が可能だ。さらにEW-M630Tはネットワークを利用したプリント機能として、印刷したい写真や文書をEW-M630Tにメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、同じくLINE上でEW-M630Tと友達設定をし、トーク画面からファイルを送ると自動で印刷される「LINEでプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所の同機能を搭載したプリンターで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。G6030はこういった機能は搭載しておらず、ネットワークプリントの機能はEW-M630Tが便利と言える。

コピー機能
型番
EW-M630T
G6030
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面)
○/−
○/○
バラエティコピー
IDコピー
枠消しコピー
IDコピー

 コピー機能はを見てみよう。単純なコピー機能としては、両機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。また、2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。さらにG6030は4枚の原稿を1枚に縮小する4面割り付けにも対応している。その他、EW-M630Tは、免許証などの裏表を2回スキャンする事で、1枚の用紙に並べてコピーできる「IDコピー」機能を備えている。G6030もIDコピー機能を備えているほか、厚手の原稿の場合の原稿の周囲や、本のとじ目の部分など黒くなる部分を白くできる「枠消しコピー」機能を搭載している。両機種とも機能は似ているが、G6030の方が若干高性能だ。


操作パネル/インタフェース/本体サイズ
型番
EW-M630T
G6030
製品画像
液晶ディスプレイ
2.4型
(角度調整可)
2行モノクロ
(90度角度調整可)
操作パネル
ボタン式
(角度調整可)
ボタン式
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-T
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜
(AirPrint利用)
耐久枚数
5万枚
N/A
外形寸法(横×奥×高)
375×347×187mm
403×369×195mm
重量
5.8kg
8.1kg
本体カラー
ブラック/ホワイト
ブラック

 操作パネルと液晶ディスプレイを見ていこう。EW-M630TG6030は、両機種とも液晶ディスプレイと操作パネルは本体前面に取り付けられている。そして持ち上げて角度調整が可能だ。G6030は90度、つまり水平まで持ち上げることができ、EW-M630Tは90度まではいかないが、かなり上向きにする事ができる。設置する位置にかかわらず操作しやすいように工夫されている。一方液晶に関しては大きく異なり、EW-M630Tが2.4型のカラー液晶、G6030は2行文字表示のモノクロ液晶だ。G6030でも漢字表示はできるが、EW-M630Tの方がカラーでグラフィカルな表示ができるため、一目でわかりやすい。またEW-M630Tはバックライトも搭載しているため、暗いところでも見やすいというメリットもある。操作パネルはどちらもボタン式だが、G6030は液晶が小さい分、機能を選択するトップ画面が無く、「コピー」「スキャン」「セットアップ」「ネットワークコネクト」といった各機能にダイレクトに入れるボタンが並んでいる。代わりに液晶内の操作は、設定画面を表示する「メニュー」ボタンの他、「左右カーソル」と「OK」「戻る」と最低限のボタン数となっており、あとは「カラースタート」「モノクロスタート」と「ストップ」となっている。カーソルが左右しかないため、操作がわかりにくく、液晶が文字だけのモノクロ表示というところが操作性に影響している。一方EW-M630Tはホームメニューがあるため、そこで機能を選んで進んでいくという一般的な操作性だ。カーソルも上下左右が十字型に並び、その中心に「OK」ボタン、右上と左上に「+」と「−」ボタン、左下に「戻る」、右下に状況に応じて変化するボタンが並ぶなど、直感的に操作しやすい配置だ。あとは「スタート」「ストップ」ボタンの他、ホームメニューに戻る「ホーム」ボタン、ヘルプを表示できる「ヘルプ」ボタンがある。操作性は液晶と操作パネルの両面からEW-M630Tが良好だと言える。
 インタフェースは両機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続にも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルータで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターも無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクトに対応しているため、無線LANルータの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。両機種とも無線LANに加えて有線LANにも対応するのも同じだ。無線LANはケーブルが不要ではあるが、安定性に欠けるほか、初期設定も多少複雑だ。ルーターが近い場合や、壁にLANコネクタが用意されている場合、無線LANでは不安定な場合などに有線LANは重宝するため、どちらも選択できるのンは便利だ。
 対応OSは大きな差がある。EW-M630TはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、G6030はWindows 10/8.1/7 SP1のみ対応だ。Windows XPやVistaだけでなくWindows 8にも非対応(8.1は対応)なのは注意が必要だ。またMacOSも10.10.5以降となる他、専用ドライバが用意されずAirPrintを利用してのプリントとなる。持っているパソコンのOSで使えるか要確認といえる。
 本体サイズを見てみよう。EW-M630Tは375×347×187mmで、G6030の403×369×195mmと比べると幅、奥行き、高さ共に一回り小さい。またG6030は背面給紙を利用する場合、トレイが後方に傾くことと用紙をセットするスペースが必要なので、後方と上方にさらにスペースが必要な点は注意したい。設置スペースではEW-M630Tが有利だ。本体カラーはEW-M630Tがブラック、ホワイトから選べ、G6030はブラックとなる。最後に本体の耐久枚数だが、EW-M630Tは5万枚となる。一般的に家庭向けの機種は1万〜1万5000枚程度と言われているため、それと比べれば強く作られており、印刷枚数が多くなる機種だけに安心感が高い。G6030に関しては耐久枚数に関しては書かれておらず、家庭向けと同等レベルの可能性もある。



 両機種とも非常に低印刷コストな製品という点では共通だ。印刷コストは全く同じで、G6030の方がブラックが1本多いとはいえ、インクが大量に付属する点も同じだ。印刷スピードや画質に若干の違いはあるだろうが、大きな差ではない。では両機種大きな違いはというと、給紙方式と操作性だろう。基本的に給紙機能が便利なのはG6030だ。前面給紙カセットに普通紙を常時セットしておき、それ以外の用紙は背面給紙という使い方は便利だ。前面給紙カセットにハガキや写真用紙をセットしておきたいというならEW-M630Tが便利だし、普通紙1種類しか使わないというなら両機種に大きな違いは無いが、それでも普通紙の給紙枚数はG6030の方が多いし、いざといとき便利だろう。一方、本体の操作性はEW-M630Tが便利だ。モノクロの文字だけの表示でバックライトも無く、ボタン数も少ないG6030より、カラー液晶でグラフィカルな表示ができ、ボタンもわかりやすい配置のEW-M630Tの方が使いやすいはずだ。コピー操作などが多いならEW-M630Tが良いだろう。この2点のどちらを重視するかで機種を決めるのはわかりやすい。もちろんこれ以外にも、それぞれの機種しか持たない機能がある。EW-M630Tなら廃インクタンクの交換が可能である点や自動両面印刷がハガキ対応である点、メールプリントやリモートプリントなどのネットワークを利用したプリント機能だ。一方G6030なら、自動電源オンや4面割り付けコピーがある。これらの機能に惹かれるなら、その機種というのもありだ。インクの補充方式も両社で似ているが、微妙にEW-M630Tの方が安全だ。その点で言うと、2方向給紙にこだわらなければ、インク補充や印刷速度、その他独自機能で少しずつだが勝る点が多いEW-M630Tがおすすめしやすい製品だ。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


EW-M630TB
(ブラック)
EW-M630TW
(ホワイト)
G6030