小ネタ集
新旧プリンター比較
2019年春発売のプリンターを旧機種と比較する
〜同種の同価格帯のエプソン・キヤノン製品を比較〜
(2019年8月16日公開・2019年10月4日最終更新)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


モバイル・コンパクトプリンター
 
 モバイル・コンパクトプリンターといっても、大きく見ると違いがある。エプソンのPX-S06とキャノンのPIXUS iP110はA4サイズまで印刷が可能で、バッテリ駆動が可能という製品だ。つまり、一般的なA4プリンターを持ち運べるようにした機種と言える。一方エプソンのPF-71は最大サイズがA5までであり、代わりに液晶ディスプレイとメモリーカードスロットを搭載している。つまりL版や2L版の写真のダイレクト印刷を行うのがメインのプリンターと言える。価格もPX-S06が27,980円、PIXUS iP110が26,800円、PF-71が19,980円となり、価格もばらつきがある。それぞれ、どういった用途に向いているのか見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー
エプソン
エプソン
キャノン
型番
PX-S06
PF-71
PIXUS iP110
製品画像

実売価格(メーカーWeb/税込み)
27,980円
19,980円
26,800円
インク
色数
4色
4色
5色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
黒独立、カラー3色一体
全色一体
顔料黒独立、染料4色一体
顔料/染料系
顔料
(つよインク200X)
染料
(つよインク200)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番
82番
81番
19番
ノズル数
357ノズル
720ノズル
1856ノズル
カラー:各59ノズル
ブラック:180ノズル
全色:各180ノズル
C/M:各512ノズル
Y/染料BK:各256ノズル
顔料BK:320ノズル
最小インクドロップサイズ
N/A(3pl(MSDT)?)
2pl(Advanced-MSDT)
1pl
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
9600×2400dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
N/A
30秒
44秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
4.0ipm(AC電源)
4.0ipm(外付けバッテリー)
2.0ipm(内蔵バッテリー)
N/A
5.8ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
7.0ipm(AC電源)
7.0ipm(外付けバッテリー)
3.5ipm(内蔵バッテリー)
N/A
9.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
N/A
24.3円
16.2円
A4カラー文書
12.9円
N/A
12.8円
A4モノクロ文書
6.8円
N/A
N/A

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。PX-S06は4色インク構成となる。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色である。全色顔料インクを採用するため、普通紙への印刷では文字が滲んだように太くなることもなくくっきりしており、また白抜き文字などがつぶれることもなく、画像などもメリハリが出るのが特徴だ。そのため、普通紙への印刷画質はかなり高いと言える。また、耐水性も高く、ぬれた手で触ったり、マーカーを引いてもにじまないというメリットもある。反面、写真印刷は苦手で、写真用紙に印刷しても光沢感が薄くなり、ポストカードのような半光沢になってしまう他、発色もそれほどよくない。また、最小インクドロップサイズが非公表ながら、前機種とPX-S05と同じ3plと予想されるため比較的大きく、インクも4色構成であるため、粒状感がある程度感じられ、写真印刷をうたうプリンターと比べると画質面では劣る。とはいえ、この点は細かく見なければ十分に写真印刷が行えるレベルではあるため、やはり問題になるのは発色と光沢感だろう。ちなみに、インクは「つよインク200X」でありアルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年である。光沢感が薄くなることさえ気にならなければ、写真を印刷した際の色あせなどの問題はクリアしている。とはいえ、やはり普通紙印刷主体のインク構成と言えるだろう。
 一方、PF-71は同じく4色構成だが、写真印刷や年賀状印刷をメインと考えているため染料インクを採用する。最小インクドロップサイズも2plと比較的小さめだ。複合機の上位機種の6色で1.5plと比べると劣るが、印刷結果はそれほど劣るものではない。色の薄い部分で若干粒状感を感じる程度だ。また、染料インクであるため、用紙本来の光沢感が出る他、発色も良いため、写真印刷に非常に向いていると言える。また、インクも「つよインク200」を採用しており、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となるため、耐保存性も問題ない。一方で、普通紙への印刷はPX-S06と比べると高画質ではなく、耐水性もないが、あくまで顔料インクと比べた場合であり、一般的な用途であれば問題ないレベルだ。
 最後にPIXUS iP110だが、5色インクとなっている。内訳はブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色構成という点では他の3機種と同様だが、ブラックのみ染料インクと顔料インクの2種類を搭載しているため、5色という表現になっている。カラーは染料インクとなる。そのため、写真印刷時は染料インク4色の印刷となり、発色が良く、用紙本来の光沢感がでる印刷が行える。4色という点ではPF-71と同じだが、最小インクドロップサイスが1plと小さいため、より粒状感は少なくなる。仕上がりが大きく異なる物では無いが、人物の肌色などがよりなめらかに仕上がる。一方で普通紙への文書印刷は顔料ブラックインクによってメリハリがある印刷が行える。普通紙印刷でメリハリがある印刷が行えるのは純粋な黒色部分だけでグレーは染料のカラーインクで表現するし、カラーの中に混ざっている場合は顔料と染料を混ぜられないことから、染料インクが使われるなど、背景が無く完全な黒という限定がある点は注意が必要だが、文書の場合黒文字などが多いため、効果は高い。このように写真印刷、文書印刷の両方が綺麗に行えるインク構成となっている。インクは「ChromaLife100」で、アルバム保存100年となっており、アルバム保存年数でPX-S06PF-71と比べると若干劣るが、大きな問題では無いだろう。だだし、耐光性や耐オゾン性に関する記載が無く、飾った場合などに色あせの面で劣る可能性がある。とはいえ、最も写真が高画質なのはPIXUS iP110、次いでPF-71と言えるだろう。
 ちなみにインクカートリッジは、本体がコンパクトということもあり各色独立というわけにはいかない。PF-71は4色一体で、4色のうちいずれかが無くなると交換となる。黒も一体になっているが、元々写真印刷や年賀状印刷がメインの機種だけに、文書印刷ほど黒に偏るということは無いだろう。それよりも、インクが無くなった際に、どの色なのかを気にする事無く、インク切れ→インク交換という簡単さを重視していると思われる。PX-S06はブラックインクが独立、カラー3色が一体となっている。PX-S06は文書印刷の可能性も大きくブラックインクだけは独立した形となっている。PIXUS iP110は顔料黒インクだけが独立しており、染料ブラックを含む染料4色が一体となる。文書印刷時は顔料ブラックを使用するため、これだけ独立し、染料ブラックを使用するのは写真やファイン紙へのカラー文書などの印刷の可能性が高く、カラーインクも一緒に使う可能性が高いため、こちらを一体型にした形となる。3機種とも各色独立では無いが、機種の使用目的に合ったカートリッジ構成になっていると言える。
 印刷速度を見てみよう。まずは写真印刷速度である。PX-S06は写真の印刷速度は非公表だが、前機種PX-S05からプリント機能に変化は無いため、PX-S05の63秒と同等と考えられる。複合機の上位機種が13秒であることを考えると4倍以上かかる事になり遅めだ。最小インクドロップサイズは大きめではあるものの、ノズル数が少なく、特にカラーインクのノズル数が少ない事が原因だろう。また、普通紙向けのチューニングがなされているためと思われる。一方、染料インクを採用するPF-71は30秒だ。複合機の上位機種よりは遅いが、十分実用的な速度と言える。残るPIXUS iP110は44秒とちょうど中間ぐらいの速度だ。画質的やインクの種類的には写真印刷が行える機種だけに、遅めなのは残念と言える。ノズル数は1856ノズルだが、キャノンの複合機で同じインク構成のPIXUS TS6230の4096ノズルと比べると半分以下しか無く、さらに同機種より最小インクドロップサイズが小さいため、遅くなったと思われる。
 一方、A4普通紙への文書印刷速度を見てみよう。A4サイズのプリントできるPX-S06PIXUS iP110のみ、速度が公表されている。PX-S06ではカラーが4.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが7.0ipmとなっている。これはAC電源またはオプションの外付けバッテリ駆動時で、内蔵バッテリ駆動の場合はそれぞれ半分となる。据え置き型の顔料4色のプリンターPX-S740ではそれぞれ10ipmと19ipmであることを考えるとかなり遅めと言える。一方、PIXUS iP110はそれぞれ5.8ipmと9.0ipmでPX-S06よりは少し速めだが、それでも据え置き型の機種と比べると遅めだ。いずれにしても、コンパクトな機種であるため、印刷速度はある程度妥協しなければならないといえる。
 印刷コストを見てみよう。L判写真印刷を見ると、PX-S06は非公表だがPX-S05と同じだとすると26.1円、PF-71が24.3円なのに対して、PIXUS iP110が16.2円とかなり安い。PF-71は4色一体カートリッジで価格が高いため印刷コストが高く、またPX-S06は顔料インクであるため写真用紙への印刷コストは高くなってしまう。その点でPIXUS iP110は一般的な複合機並の印刷コストを実現しており、写真印刷も安心と言える。一方文書の印刷速度だが、A4カラーでPX-S06が12.9円、PIXUS iP110が12.8円と同等となっている(PF-71はA5までの対応なので印刷コストは未公表)。A4モノクロはPX-S06しか出ていないためなんとも言えないが、A4カラー文書に関しては写真印刷とは傾向が異なるのは確かだ。元々PX-S06は文書向けの顔料インクを搭載しているため、写真印刷と比べると安くなり、PIXUS iP110と同レベルになったと言える。文書印刷メインなら、印刷コストの差は無いと考えても良いだろう。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
PX-S06
PF-71
PIXUS iP110
製品画像
対応用紙サイズ
名刺〜A4
フチなし印刷はL判/KG/ハガキ/ハイビジョン/名刺のみ
カード・名刺〜A5・2L判
名刺〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(20枚・ハガキ5枚)
○(A5普通紙50枚・ハガキ20枚/0.6mm厚までの厚紙対応)
○(50枚・ハガキ20枚)
前面
その他
○(60mm幅ロール紙)
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(用紙差し込み連動)
○(用紙差し込み連動)
用紙幅チェック機能


 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は、PX-S06PIXUS iP110が最大A4サイズまでとなる。最小サイズは名刺サイズであるため、名刺サイズの用紙に直接印刷が可能で、印刷後に切り取る手間がない他、フチなしデザインもやりやすい。ただしPX-S06はフチなし印刷が行えるのはL判、KG、ハガキ、ハイビジョン、名刺サイズのみで、たとえばA4用紙にフチなし印刷はできない。フチなしデザインのポスターや背景色のあるチラシなど、大きなサイズの用紙でフチなし印刷しようと思う場合はPIXUS iP110しかできない点は注意が必要だ。用紙のセットはいずれも背面となる。PX-S06はA4普通紙で20枚、はがきは5枚と、据え置き型のプリンターと比べるとかなり少なめだ。携帯性を重視した結果と言える。一方PIXUS iP110はA4普通紙で50枚、はがきで20枚となり、据え置き型よりは少ないが、PX-S06よりはかなり多い。印刷枚数が多い場合はこちらの方が便利だ。このあたりも機種を選ぶ上での決め手の一つとなるだろう。一方PF-71は写真やハガキ印刷やがメインの機種であるが、一般的なものよりやや大きめの2L版までの写真用紙に対応する。また、普通紙への印刷も可能でA5サイズまで印刷可能なので、A4の半分だが、Webページや文書の印刷が行える。最小サイズは名刺・カードサイズなので、名刺を手軽に印刷することもできる。また、PF-71は0.6mm厚までの用紙に対応しているため、写真店に依頼した年賀状のような写真を貼り合わせたハガキや厚紙などにも対応できる。さらに、PF-71は60mm幅のロールシール用紙を後方につけることが可能で、そうするとパノラマ写真などのシールの印刷も行える。他機種には無い機能と言える。セット可能枚数はA5普通紙で50枚、はがきで20枚とPIXUS iP110並となっており、コンパクトな割には給紙枚数は多めだ。
 PX-S06PF-71は用紙登録機能を備えており、セットした用紙を登録しておくと、印刷時に設定と異なった場合に警告メッセージを表示してくれる。用紙とインクの無駄が出ないよう細かな配慮がなされている。

プリント(付加機能)
型番
PX-S06
PF-71
PIXUS iP110
製品画像
自動両面印刷
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(ブラック合成モード)
自動電源オン/オフ
−/○
○/○
−/−
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
○/−
−/−
−/−

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。コンパクトな本体であるため、自動両面印刷やCD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能は搭載していない。一方で写真印刷時に写真を自動補正する機能は3機種とも備えている。エプソンの2機種が備える「オートフォトファイン!EX」は顔を自動判別し、シーンに合った補正をするもので、逆光写真や色かぶりも自然に補正してくれる。一方PIXUS iP110の備える「自動写真補正」も顔を自動検出し、顔とそれ以外の部分の露光状態を別々に解析して、それぞれに合った明るさに補正してくれる。3機種とも高精度で自動補正が行われるのは安心である。
 インクが切れた場合の対応だが、PX-S06は「黒だけでモード」を搭載している。カラーインクが無くなってもモノクロ印刷を継続できる機能だが、あくまでカラーインクを購入するまでの間も印刷を継続できるという機能なので、5日間限定となる。プリンター本体にも負担をかけるため、あくまで緊急時に限られる。一方PIXUS iP110は、黒インクが無くなった際に、カラーインクを使って黒を表現する「ブラック合成モード」を搭載している。PX-S06の逆と言える。ただし、どちらの機能も画質は低下する。モノクロ印刷でも完全な黒以外はカラーインクを使って表現する方が綺麗であるため、PX-S06の「黒だけでモード」中は特にグレーの部分の画質が大きく低下するし、逆にiP110の場合カラーインクを使って黒を表現する方法では完全な黒にはならず、濃いグレーや濃い茶色となってしまう。
 設定した時間で自動で電源をオフにする機能はPX-S06PF-71が搭載する。またPF-71は自動電源オン機能も搭載している。無線LAN(Wi-Fi)接続に対応しているため、スマートフォンやパソコンからのワイヤレスプリントを行う場合にわざわざPF-71の置いてある場所まで電源を入れに来る手間が無く、印刷を実行すると自動で電源が入り、印刷が行われるため、あとは印刷が終わった頃に取りに行くだけという便利さだ。PX-S06の特徴的な機能といて交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)に対応している事がある。メンテナンスボックスとはクリーニング時に排出される廃インクを貯めるもので、満タンになると通常は修理に出して交換する必要があり、プリンターが使えない期間が発生し、交換費用もそれなりに掛かってしまう。しかしPX-S06はユーザー自身で簡単に交換できるようになっている。持ち出し先で突然廃インクタンクが満タンという警告が出ても、使用できない期間の発生を防ぐことができるこの機能はうれしいところだ。


ダイレクト印刷
型番
PX-S06
PF-71
PIXUS iP110
製品画像
カードスロット
対応メモリーカード
SD
USBメモリー/外付けHDD/外付けDVD対応
−/−/−
○/○/○
−/−/−
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
−/−
○/○
−/−
対応ファイル形式
JPEG
色補正機能
トリミング
フチあり/フチなし
赤目補正
シャープネス
フィルター(モノクロ/セピア)
PictBridge対応
○(USB/Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷

 ダイレクト印刷機能を見てみよう。メモリーカードからのダイレクトプリントはPF-71のみ対応している。対応メモリーカードはSDカードのみとなるが最近ではSDカードに統一されてきているので問題ないとも言える。念のため、持っているデジカメのメモリーカードは確認した方が良さそうだ。また、SDカードだけでなくUSBメモリーからの印刷にも対応している。また、各種メモリーカードからUSBメモリーへのバックアップが可能な他、USBメモリー以外に対応の外付けハードディスクにも対応し、バックアップと印刷も行える。さらに、外付けのCD/DVDドライブを接続すれば、CD/DVDからの写真印刷にも対応する。そのほか、赤外線通信による印刷に対応しているため、従来型の携帯電話からのプリントも行える。PictBridgeにも対応おり、ダイレクト印刷機能に手抜きは無い。
 ダイレクトプリント時はフチあり・フチなしの選択と赤目補正機能は当然として、一部を拡大して印刷するトリミング機能の他、シャープネスの調整や、セピア調やモノクロのフィルターにも対応しており単体でも様々な設定ができるようになっている。

スマホ/クラウド対応
型番
PX-S06
PF-71
PIXUS iP110
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 10.0以降)
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
LINEでプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
○(受信のみ)
○(受信のみ)

 スマートフォンとの連携機能は全機種とも搭載しており、iPhoneやiPod touch、iPadと、Android端末に対応している。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらに、ドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もできる便利だ。さらに、クラウドとの連携機能も搭載されており、オンラインストレージにアクセスし印刷することができる。さらに、PF-71PIXUS iP110はSNSからの印刷にも対応しており、写真をコメント付きでも印刷が可能な他、PIXUS iP110は写真共有サイトからのプリントにも対応している。
 さらにネットワークを利用したプリント機能として、PX-S06PF-71は印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動的にプリントされる「メールプリント」機能と、LINEで友達登録しトーク画面上で画像や文書ファイルを送ると自動的にプリントされる「LINEからプリント」、通常のプリント同じ操作で、離れた場所のPX-S06/PF-71で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。さらにスキャンしてリモートプリントの受信にも対応している。PX-S06PF-71はスキャナを搭載しないため、送信はできないが、同機能に対応した複合機でスキャンして離れた場所のPX-S06/PF-71で印刷する事ができる。簡易FAXのような使い方ができるわけだ。両機種ともネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番
PX-S06
PF-71
PIXUS iP110
製品画像
液晶ディスプレイ
1.44型
2.7型
(角度調整可)
操作パネル
物理ボタン式
物理ボタン式
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11ac/a/n/g/b
(5GHz帯対応)
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト印刷対応)
有線LAN
電源
AC電源
内蔵バッテリー
外付けバッテリー(別売)USB(1.5A未満は充電)
AC電源
AC電源
外付けバッテリ(別売)
バッテリ
バッテリ駆動
○(内蔵/外付け(オプション))
○(外付け(オプション))
印刷可能枚数
【内蔵バッテリー】
100枚(モノクロ)
50枚(カラー)
【外付バッテリー】
740枚(モノクロ)
360枚(カラー)
240枚(Wi-Fi)
290枚(USB)
充電時間
【内蔵バッテリー】
2.5時間(AC電源/USB 1.5A)
10時間(USB 0.5A)
【外付バッテリー】
2.5時間(AC電源)
3時間
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP1
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7/Vista SP1/XP SP3
Mac OS 10.6.8〜
耐久枚数
1.5万枚
N/A
N/A
外形寸法(横×奥×高)
309×156×61mm
(外付けバッテリー装着時:309×184×61mm)
249×176×85mm
322×185×62mm
(外付けバッテリー装着時:322×200.7×62mm)
重量
1.7kg
(外付けバッテリー装着時:2.0kg)
1.9kg
2.0kg
(外付けバッテリー装着時:2.26kg)
本体カラー
ブラック/ホワイト
ホワイト
ブラック

 操作パネルと液晶ディスプレイを見てみよう。PX-S06は1.44型の液晶ディスプレイと操作ボタンを搭載している。液晶ディスプレイは小さいが本体サイズを考えれば仕方の無いことで、エラーメッセージやインク残量、Wi-Fiダイレクトの設定などが行えるため、有ると無いとでは大違いである。PF-71は2.7型の液晶ディスプレイと操作ボタンを搭載している。コンパクトモデルにしては液晶ディスプレイが大きく、角度調整も可能であるため見やすい。メモリーカードからのダイレクト印刷時に、写真を選ぶのに使用するため大きい方が使いやすい。残るPIXUS iP110は液晶ディスプレイや操作パネルは備えていない。
 インターフェースは3機種ともUSB2.0に対応している他、無線LANにも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。屋外でもモバイルルーターを使用している場合もあるだろう。そういった場合に複数のパソコンからでもワイヤレスでプリントできるのは非常に便利だろう。またネットワーク接続をすればスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(PIXUS iP110は名称はダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ただし、PX-S06PF-71は内蔵の液晶ディスプレイでWi-Fiダイレクトの設定を行うが、PIXUS iP110は液晶ディスプレイを内蔵していない。本体の「Wi-Fiボタン」を「エラーランプ」が3回点滅するまで押し続けることでアクセスポイントモードに入れるし、「リセットボタン」を「電源ランプ」が6回点滅するまで押し続けることで、A4用紙にネットワークの設定が印刷されるので、それで確認はできるが、パスワードなどの変更は、パソコンと一度ネットワーク接続を行った上で、「Canon IJ Network Tool」から設定を行う必要がある。アクセスポイントモードを搭載していないよりはマシだが、液晶ディスプレイを内蔵している場合と比べると不便である。
 本体サイズとバッテリ駆動についてみてみよう。まずは、似たコンセプトのPX-S06PIXUS iP110である。PX-S06は309×156×61mmとかなりコンパクトで、重量も1.7kgと携帯できる重量になっている。その上、この重量でバッテリを内蔵しているため、電源の無いところでもモノクロなら100枚、カラーでも50枚の印刷が可能となる。さらに、外付けバッテリーにも対応しており、こちらを取り付けると309×184×61mmで2.0kgとなるが、内蔵バッテリーとは別にモノクロなら740枚、カラーでも360枚印刷ができるようになる。外付けバッテリーなら印刷速度も落ちないというメリットもある。一方、PIXUS iP110は322×185×62mmと横幅と奥行きは一回り大きく、重量も2.0kgとPX-S06と比べると300g重い。また、内蔵バッテリは搭載せず、バッテリ駆動する場合は、別売りの外付けバッテリーが必須となる。取り付けた場合は322×200.7×62mmで2.26kgで、PX-S06との差はそのままだ。バッテリでの印刷可能枚数はWi-Fi接続時で240枚、USB接続時で290枚と、PX-S06の外付けバッテリーよりかなり少なめだ。充電に関しては、付属のACアダプターから行うことになる。PX-S05の場合内蔵バッテリー、外付けバッテリー共に2.5時間で、PIXUS iP110は3時間となる。しかしここにも違いがあり、PIXUS iP110は本体に装着した状態での充電しか行えないが、PX-S06は本体に装着した状態だけでなく、外付けバッテリーを取り外して直接ACアダプターを接続、充電できる。外付けバッテリーが無くなった際に電源が取れない場合、PX-S06は内蔵バッテリーで使いつつ、、外付けバッテリーを電源の取れる所で充電させておくことが可能というわけだ。また、PX-S06PIXUS iP110はAC電源かバッテリーでの動作がメインとなるが、PX-S06はそれに加えてスマートフォン用のモバイルバッテリーの内、1.5A以上の出力ができるモバイルバッテリーがあれば、電源供給をして動作させることができるし、パソコンのUSBポート(0.5A出力)でも内蔵バッテリーへは充電が可能となっている。PX-S06は、様々な電源供給と充電方法を用意しており、様々な場面で使える工夫がなされていると言える。その点ではモバイルプリンターとしては使い勝手が上と言えるだろう。最後にPF-71だが、249×176×85mmと、高さはあるが横幅はPX-S06よりも小さく重量も1.9kgと軽い。バッテリは内蔵、外付け共に対応せず、USB給電も行えないが、バッテリ駆動をしないなら、持ち運びも可能だ。



 このように、モバイル・コンパクトプリンターと言っても、そのサイズやコンセプトはそれぞれ異なる。A4サイズまでのプリントが必要だったり、バッテリ駆動が必要ならPX-S06PIXUS iP110から選ぶことになる。どちらもコンパクトではあるが、よりコンパクトなPX-S06がおすすめだ。バッテリ駆動を考えなくてもPX-S06の方が軽量コンパクトで、液晶ディスプレイも内蔵している。内蔵バッテリーで不安な場合は外付けバッテリーも使用でき、PIXUS iP110の外付けバッテリーより印刷枚数は多く、取り付けた状態でも外した状態でも充電が出来る。USBからの充電や給電も行えなど、モバイル利用での利便性が考え抜かれた製品と言えるだろう。ただしインクが顔料インクというのをどう考えるかである。もちろん普通紙への文書印刷ならば顔料インクのPX-S06の方が良い。しかし写真用紙などへの印刷も考えているなら染料インクを採用したPIXUS iP110の方がおすすめだ。また印刷枚数が多い場合もセット可能枚数の多いPIXUS iP110が便利だろう。モバイルプリンターではある両者だが、モバイルがメインならPX-S06が、自宅に置いてコンパクトなプリンターとしても使うことを想定するならPIXUS iP110がオススメと言える。残るPF-71だが、自宅に置いて使うが写真印刷や年賀状印刷を行うだけなので、コンパクトなプリンターがほしいという人向けだ。SDカードからのダイレクトプリントを行いたい場合もPF-71となるだろう。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


PX-S06B
(ブラック)
PX-S06W
(ホワイト)
PF-71
PIXUS iP110