プリンター徹底比較
2019年末時点のプリンター
〜エプソンとキャノンのプリンターを比較〜
(2020年4月20日公開・8月1日更新)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


A3プリントA4スキャン複合機
 
 家庭用複合機の内、A3プリントA4スキャンに対応した複合機の4機種を比較する。このクラスの製品は、長い間エプソンしか製品を出していなかったが、2018年末にキャノンからTR9530が発売され、ようやくメーカー間での比較が可能となった。なお、エプソンの製品が3機種となるが、カラリオ V-editionに属するEP-10VA、カラリオのEP-982A3、エコタンク搭載プリンターのEW-M970A3Tと、いずれも別シリーズと言うだけあって、見た目は似ていても大きく異なる部分がある。また、価格もそれぞれ59,980円、32,980円、84,980円と大きく異なっている。TR9530は34,880円でEP-982A3と直接対抗となる機種だ。それではどのような違いがあるのだろうか。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー
エプソン
エプソン
エプソン
キャノン
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像

実売価格(メーカーWeb/税抜き)
59,980円
32,980円
84,980円
34,880円
インク
色数
6色
6色
5色
5色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
レッド
グレー
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
ブラック
フォトブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
各色独立インクタンク
(挿すだけ満タンインク方式)
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
Epson ClearChrome K2
染料
(つよインク200)
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性50年/耐オゾン性10年)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番
ヨット
80L(増量)
80(標準)
マラカス(顔料)
ハーモニカ(染料)
381XL/380XL(大容量)
380/381(標準容量)
380s/381s(小容量)
ノズル数
1080ノズル
1080ノズル
1080ノズル
4096ノズル
各色180ノズル
各色180ノズル
染料各180ノズル
顔料360ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(AdvancedMSDT)
1.5pl(AdvancedMSDT)
1.5pl(AdvancedMSDT)
N/A
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
5760×1440dpi
4800×1200dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
33秒
13秒
24秒
18秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
N/A
10.0ipm
10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
N/A
13.0ipm
15.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
12.7円
20.6円
6.0円
17.3円
A4カラー文書
6.0円
12.2円
1.3円
9.6円
A4モノクロ文書
N/A
N/A
0.5円
3.0円

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。EP-10VAEP-982A3は6色、EW-M970A3TTR9530は5色となっている。まずは6色のEP-10VAEP-982A3の写真印刷の画質を見てみよう。どちらも染料インクで6色構成、最小インクドロップサイズは1.5plであり、5760×1440dpiという解像度も同等だ。しかしインク構成は大きく異なる。EP-982A3は従来より続く6色モデルと同じインク構成で、A4複合機のEP-882Aなどと同じ構成だ。つまりブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に加えてライトシアンとライトマゼンダを採用している。カラー原稿の色の薄い部分ではライトインクを使う事で粒状感が抑えられる。最小インクドロップサイズが小さいこともあって非常に綺麗な画質で印刷ができるため、一般的な用途にはこれで十分だ。一方、EP-10VAはブラック、シアン、マゼンダ、イエローに加えてレッドとグレーインクを採用する。これを、「Epson ClearChrome K2インク」と呼んで、従来の6色と区別している。ライトインクがない分EP-982A3より悪くなる部分もありそうだが、そこは理論的色変換システム「LCCS」が力を発揮する。プロセレクション(写真のプロ向けのプリント単機能機)の製品に採用されてきたこの「LCCS」は、写真をプリントする際のインク配分を論理的に算出する色生成技術で、階調性・色再現域・粒状性などの点からベストになるように複雑に計算されて打つインクが決定される。さらに、光源によって色合いが異なる光源依存性も最適になる様に計算されるなど、かなり高度なものだ。さらに紙送りの精度も高めることで、基本4色だけでも高画質に印刷ができるという。そこにレッドインクにより、くすみがちな赤系統の表現力を高め、赤い物だけで無く夕日や肌の色などでも違いが出る。さらに従来の6色ではモノクロ写真の場合のグレーの部分はカラーインクを使って表現するため青白くなってしまうが、EP-10VAではグレーインクを搭載しているため綺麗なグレーの階調表現ができる。カラー、モノクロ両方の表現力をさらに高めた製品と言える。では、5色のEW-M970A3TTR9530はというと、5色構成だが、顔料ブラックと、染料のブラック+カラーの4色の組み合わせとなる。写真印刷は染料インクを使用するので、4色印刷となる。つまり前述の基本4色のみとなる。EW-M970A3Tは最小インクドロップサイズや印刷解像度は同じだが、LCCSなども搭載していないため、実際にライトインクが無い分だけ画質が落ちることとなる。TR9530の最小インクドロップサイズは非公表だが2pl程度と言われており、印刷解像度も若干差があるため、EW-M970A3Tよりは若干ながら劣る。とはいえ、両機種とも最小インクドロップサイズは十分に小さいため、EP-982A3と比べても、色の薄い部分で粒状感をわずかに感じる程度で、大きく劣るわけではない。よほどこだわらなければ、EW-M970A3TTR9530でも十分に高画質の写真を印刷できる。
 一方普通紙への文書印刷となると傾向は異なる。染料インクは普通紙に印刷すると、紙にしみこむときに少し広がるため、どうしても線が太くなったり、小さな文字や中抜き文字がつぶれがちになったりする。また、色のメリハリも弱くなるほか、水に濡れると滲みやすい。EP-10VAEP-982A3は染料インクのみなので、こういった弱点がある。6色インクで最小インクドロップサイズも小さいためそれほど悪くはなく、「細線強調機能」や「文字くっきり機能」を搭載し、ドライバーレベルで文書印刷画質を高めているが、やはり顔料インクと比べると劣る。その点では、EW-M970A3TTR9530は顔料ブラックインクを搭載し、黒文字や黒線などがクッキリとメリハリのある印刷が行える。カラー部分は染料インクを使用するのはもちろん、完全な黒ではないグレーはカラーインクで表現する場合があり、また背景色がある場合なども染料ブラックを使用する場合があるため、全ての黒色部分で顔料インクの恩恵が得られるわけでは無いが、文字などが顔料インクなだけでも全体の仕上がりはぐっと引き締まる。普通紙印刷画質に関してはEP-10VAEP-982A3を上回る場合も多いだろう。このように、写真と文書で傾向が異なるインク構成となっている。
 ちなみに、最小インクドロップサイズは非常に小さいが、エプソンの3機種はAdvanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で、TR9530はノズル数を多くすることで高速化と高画質化を両立している。結果、L判縁なし写真印刷で、EP-982A3は13秒と非常に高速になっており、枚数の多い印刷でもストレスのない速度となっている。TR9530も18秒も十分に高速だ。EW-M970A3Tは24秒とやや遅いが、全体で見れば十分高速な部類に入る。一方、EP-10VAは33秒と遅くなっている。LCCSなど複雑な処理も行われている上に給紙も精度を重視した画質重視の設計であるため、速度より画質を取ったという形だろう。ただし、前処理と給紙に時間をかけているため、印刷が始まってしまえば速度はそこまで変わらないため、大判プリントになるほど、差は気にならなくなると言える。
 文書の印刷速度はEW-M970A3TTR9530しか公表されていないが、A4カラー文書は両機種とも10.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、A4モノクロ文書はEW-M970A3Tが13.0ipm、TR9530は15.0ipmとなっており、十分高速だ。ちなみに、EW-M970A3Tでは、総ノズル数はEP-10VAEP-982A3と同等だが、インク色数は1色少ない。そこで顔料ブラックだけ倍のノズル数になっているため、モノクロ文書は特に高速になっている。EP-982A3はカラー文書はEW-M970A3Tに近い速度が出るだろうが、モノクロは少し劣る可能性がある。
 使用するインクは構成は違うものの、EP-10VAEP-982A3は「つよインク200」であり、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年をうたっており、EW-M970A3Tは「つよインク200」の名称こそないものの、全く同等の耐保存性を保持している。そのため、3機種とも十分な耐保存性を持っていると言える。一方TR9530は「ChromaLife100」となっており、アルバム保存100年をうたう。エプソンの3機種と比べると、アルバム保存で劣るだけで無く、耐光性や耐オゾン性の表記が無く、写真の耐保存性では劣ることになる。
 インクは4機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる。ここで大きく異なるのが、EP-10VAEP-982A3TR9530はインクカートリッジ方式、EW-M970A3Tはエコタンク方式である事だ。インクカートリッジ方式は従来同様、インクの入ったカートリッジを購入して、交換する方式だ。それに対してエコタンク方式とは、本体右側にインクを入れるタンクを搭載しており、インクボトルを購入して、ここにインクを注入する方式である。インクボトル1本でインクタンクが満タンになるが、インクカートリッジと比べると非常に大容量なので、1回の補充で印刷枚数は圧倒的に多い。その割にインクボトルの価格はEP-982A3などのインクカートリッジと変わらない価格なので、結果的に印刷コストが極端に下がることになる。また、インク補充の回数が減り手間が省けるだけ無く、インク切れで印刷が止まっていたという事態も軽減できる。インクは途中で継ぎ足しても良いし、インクボトルも一度で使い切る必要がない。EW-M970A3Tのエコタンクは、2世代目とも言うべき「挿すだけ満タンインク方式」となっており、ボトルを注入口に挿し込むだけで満タンまで入って自動的に止まるため簡単だ。また、注入口の形状が色によって異なるため、誤ったインクボトルを挿し込むこともないため安心だ。タンク自体は、少し右側に飛び出す物の、ほとんどの部分が本体に埋め込まれており、前面からインク残量も確認できるようになっている。「ボトルから注入」という点だけを聞くと難しそうだが、実際にはインクカートリッジの交換と手間や難易度は変わらない。
 一方のインクカートリッジ方式のEP-10VAEP-982A3TR9530もそれぞれ考え方が異なっている。EP-982A3TR9530は特別印刷コストにこだわった製品ではない。上位機種である分印刷コストはA4プリントの下位モデルと比べると安くなっているが、極端に安いわけでは無い。EP-982A3は増量と標準サイズ、TR9530は大容量、標準容量、小容量といった。容量が異なるインクがラインナップされているが、基本的に大容量ほど割安だ。ただしTR9530の大容量インクは5色セット販売が無く、標準容量と同じ印刷コストとなっているため、基本的には標準と小容量を二択となっている。どうしてもすぐ無くなる色だけ大容量を単品購入するという考え方だ。一方、EP-10VAは、「写真作品印刷」をうたっているだけに、大判写真を印刷する用途も考えられることから、印刷コストが抑えられるようになっている。EP-10VAのインクカートリッジはEP-982A3の増量カートリッジと比べても多く入っているにもかかわらず、価格は抑えられており、実質インクは半額程度になっている。
 結果、印刷コストはL判写真フチなしでEP-10VAが12.7円、EP-982A3が20.6円、EW-M970A3Tが6.0円、TR9530が17.3円となる。しかもこれは、写真用紙代(エプソンは500枚で2,143円、キャノンは400枚で1,705円)が込みなので、用紙代を除くインク代はEP-10VAが約8.4円、EP-982A3が約16.3円、EW-M970A3Tが約1.7円、TR9530が約13.0円となる。EP-982A3と比べると、TR9530は2割安く、EP-10VAは約半分、EW-M970A3Tは9分の1程度となっており機種によって差が大きい事がわかる。また、A4カラー文書の印刷コストも、EP-10VAが6.0円、EP-982A3が12.0円、EW-M970A3Tが1.3円、TR9530が9.6円とやはり同じ傾向となる。印刷枚数が多い人には重要な所だろう。ちなみに、EP-10VAEP-982A3TR9530はセットアップ用インクカートリッジしか付属しておらず、初期設定を済ますと大した枚数は印刷できない。それに対してEW-M970A3Tは別売りのインクボトルと同じ物が各色1本付属する。このインクボトル1本ずつで、A4カラー文書を印刷すると、カラーインクは5,000ページ、ブラックインクは8,000ページ、フォトブラックインクは11,500ページまで使用できるが、初期設定を終えた時点でも3.600枚以上のプリントが可能となっている。例えば、EP-982A3はインクカートリッジが各1,260円なので6本で7,560円、これをA4カラー文書の印刷コストで割ると630枚となる。つまりかなり雑な計算だが、全てのインクを均等に使えた場合、A4カラー文書を630枚しか印刷できないのだ。EW-M970A3Tは3,600枚までインク購入が不要なので、そのインクを使い切った頃にはEP-982A3の約6セットインクカートリッジを購入する必要があり、45,360円となる。それだけで本体価格の差は十分に元が取れる。そう考えると、EW-M970A3Tは本体価格は高いが、インクセットと考えれば十分に安いと言える。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A3
L判〜A3
L判〜A3
名刺〜A3
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(10枚/5枚/5枚)
(A3まで・0.6mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(A3まで・0.6mm厚紙対応)

(10枚/5枚/5枚)
(A3まで・0.6mm厚紙対応)

(100枚/40枚/20枚)
(A3まで)
前面
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
(A4以下)
【カセット上段】
2L/ハイビジョン以下
(−/20枚/20枚)
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
(A4以下)
【カセット上段】
2L/ハイビジョン以下
(−/20枚/20枚)
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
(A4以下)
【カセット上段】
2L/ハイビジョン以下
(−/20枚/20枚)
【カセット】
普通紙のみ
(100枚/−/−/)
(A4以下)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
○(カセット収納(前面)・給紙口カバー閉じ(背面)連動(背面)連動)
用紙幅チェック機能
○(ハガキ向き検知機能搭載)
○(ハガキ向き検知機能搭載)


 続いて給紙・排紙関連の機能を見てみよう。印刷可能な用紙は4機種とも最大サイズはA3だが、最小サイズはエプソンの3機種ははL判、TR9530はより小さな名刺サイズにも印刷が可能だ。4機種とも前面給紙カセットと背面給紙の組み合わせで、A3やB4用紙は背面給紙からしか使用できないという点は共通だ。しかし同じように見えて、それぞれの機種で微妙に異なっている。EP-10VAEP-982A3EW-M970A3Tの前面給紙カセットは上下2段となっており、下段はA4まで、上段は小型になっており2Lサイズ以下となる。下段はA4普通紙を100枚までセットでき、上段は写真用紙やハガキを20枚までセットできる。カセット式なので用紙をセットしたままでもほこりが積もりにくい安心感がある。ハガキや写真用紙が20枚では少ないように感じるが、これらの用紙は下段にもセット可能でその場合はハガキが40枚、写真用紙が20枚までセットできるため、合計でハガキは60枚、写真用紙は40枚まで用紙交換無しで印刷できる。これは家庭用プリンターとしてはかなり多い方で、年賀状や写真の大量印刷時には重宝する。この点は3機種共通だが、A3対応の背面給紙には機能差がある。EP-982A3の背面給紙は「手差し給紙」となっており、用紙のセットは1枚ずつとなる。小さな背面給紙カバーと、用紙を支える小さな「用紙サポート」を引き出せるだけの簡易的な構造で、印刷を実行して、セットする旨のメッセージが出てから用紙を差し込みスタートボタンを押す方式であるため、実際にに1枚ずつしかセットできない。大量印刷の場合は本格的なA3プリンターが必要だが、時々数枚程度であれば十分に使う事ができる。EP-10VAEW-M970A3Tはもう少し強化され、普通紙は10枚、写真用紙やハガキなどは5枚までの連続給紙が可能となった。ただしその分、背面給紙部分のサイズが大きくなっている。一方のTR9530の前面給紙はA4サイズの1段のみだ。給紙枚数は100枚までと、エプソンの3機種と同じだが、普通紙しかセットできないという制限がある。その分、背面給紙は一般的なトレイ形状で、こちらも普通紙を100枚までセットできる。ハガキや写真用紙、ファイン紙と言った普通紙以外もこちらにセットすることになる(ハガキ40枚、写真用紙20枚まで)。つまりエプソンの3機種の上段カセットが背面トレイになった形だ。そしてA3用紙もこちらにセットする。A3用紙は最大50枚までとA4用紙よりは減るが、エプソンの3機種よりも本格的に利用できる。逆に、例えばA4普通紙とL判写真用紙をセットした状態で、A3プリントをする場合は、エプソンの3機種はそのまま印刷できるが、TR9530はL判写真用紙を取り除く必要がある。また、ハガキや写真用紙は背面給紙を使用しなければならないため、用紙をセットしたままだとホコリが積もってしまうため、使用しないときは取り除くのが望ましい。その点では写真用紙等も入れたままにしておけるエプソンの3機種の方が便利だ。給紙枚数にも違いが出る。A4普通紙の場合、エプソンの3機種は前面給紙カセットに100枚だが、TR9530は前面給紙カセットと背面給紙トレイのそれぞれに100枚ずつ、計200枚セットできる。もちろん連続使用が可能だ。一方、ハガキは、TR9530は背面給紙トレイの40枚だけだが、エプソンの3機種は前面給紙カセットの下段に40枚、上段に20枚の計60枚までセットできる。L判写真用紙の場合はTR9530は20枚、エプソンの3機種は40枚までセットできる。これらの点から見ても、エプソンの3機種は写真重視、TR9530は文書重視の設計になっていることがわかる。なお、エプソンの3機種の背面給紙は、通常の倍の厚みの0.6mmまでの厚紙に対応している。特に分厚い紙や写真を貼り合わせた年賀状の宛名印刷などに便利だといえる。
 EP-10VAEP-982A3は印刷時に自動的に排紙トレイが伸張される。その際に排紙トレイに当たる操作パネル部分は少し持ち上がる。電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納され、操作パネルも閉じられる。後述の自動電源オン機能と組み合わせて非常に便利だ。
 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、エプソンの3機種と、TR9530の前面給紙カセットはカセットを挿し込むと、TR9530の背面給紙トレイは給紙口カバーを閉じると自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。また、エプソンの3機種は印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、用紙外にインクを打ってしまい、プリンター内部が汚れるのを防ぐ事ができるなど工夫がなされている。さらに、EP-10VAEW-M970A3Tにはハガキ向き検知機能が搭載されている。郵便番号枠を認識することで、ハガキの上下や裏表の間違いを検知し、印刷が止まる機能だ。前面給紙だと、どうしても用紙の裏表や向きを間違いやすいので、ハガキが無駄にならない便利な機能だ。

プリント(付加機能)
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像
自動両面印刷
○(A4まで)
○(A4まで・ファイン紙対応)
○(A4まで)
○(A4まで)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
○(ネイル印刷対応)
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX・高彩モード対応)
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
○/○
○/○
○/○
○/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時印刷継続
−/−
○/○
○/−
−/−

 その他のプリント関連機能を見てみよう。4機種とも自動両面印刷を備えている。ただし、最大サイズはA4までで、A3やB4用紙の自動両面印刷はできない。対応用紙は普通紙とハガキとなるが、EP-982A3はファイン紙への両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利だが、EP-982A3以外は手動で片面ずつ印刷するしか無い。ファイン紙への両面印刷を考えている人にはEP-982A3は便利だ。
 また、CD/DVD/BDレーベルの印刷も行える。TR9530はレーベル印刷用挿し込み口を利用したネイル印刷にも対応する。写真の自動補正機能としてはエプソンの3機種は「オートフォトファイン!EX」、TR9530は「自動写真補正」という機能を搭載しており、両機能とも逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。もちろんパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時や写真のコピー時にも利用できる。さらにPX-10VAでは「高彩モード」が選択でき、新たに採用したレッドインクの力で、くすみががちな赤系の表現をより色鮮やかに印刷できるようになっている。
 自動電源オン・オフ機能は4機種とも搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになり、EP-10VAEP-982A3は排紙トレイも自動的に出てくる。用紙はあらかじめカセットにセットしておけることから、プリンターの前に行くことなく印刷が実行できるわけである。最近はスマートフォンや離れたところに置いているパソコンから印刷する機会も増えているため、非常に便利だ。ただしEW-M970A3TTR9530は前述の排紙トレイの自動オープン機能がないため、トレイを引き出してやらないと印刷は実行されない点は注意が必要だ。
 EW-M970A3TEP-982A3が搭載しているのが、廃インクタンク(メンテナンスボックス)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、EP-10VATR9530は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、EW-M970A3TEP-982A3はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(980円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。さらに、EP-982A3Tはフチなし吸収材が満タンになったときも、便利になっている。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、EP-982A3以外の3機種はプリントが完全に止まってしまうが、EP-982A3はフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているのである。急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるため便利な機能だ。


スキャン
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像
読み取り解像度
4800dpi(4800×4800dpi)
1200dpi(1200×4800dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF
原稿セット可能枚数
20枚
原稿サイズ
A4/リーガル/レター
両面読み取り
読み取り速度
カラー
N/A
モノクロ
N/A
スキャンデーターのメモリーカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)


 続いて、スキャナー部を見てみよう。EP-10VAが4800dpi、EP-982A3EW-M970A3TTR9530が1200dpiとなる。EP-10VAの4800dpiは複合機としては最高レベルの解像度と言える。それと比べると、EP-982A3EW-M970A3TTR9530の1200dpiというのは大きく劣るように見える。しかし、実際は紙などの反射原稿しかスキャンできないため、一般的に文書なら200〜300dpi、写真でも300〜600dpiで、よほどキレイに取り込みたい場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際、L判写真を1200dpiでスキャンすると4,200×6,000ドットとなり、2500万画素相当となる。4800dpiでスキャンすると16,000×24,000ドットで3億8400万画素相当だ。パソコンで扱うには大きすぎるしファイルサイズも無駄に大きい。つまり4800dpiは一般的にはオーバスペックで、EW-M970A3TTR9530の1200dpiでも十分だとも言える。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。TR9530はADFを搭載しているのが特徴だ。A4サイズまでで片面スキャンではあるが、20枚までの原稿を連続でスキャンできる。コピー時にも重宝するだろう。
 エプソンの3機種はスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリーカードに保存する機能を搭載しているためパソコン無しで簡単にスキャンができる。一方、EP-10VAEP-982A3TR9530は原稿を取り忘れた際のアラーム機能も搭載しているなど、細かい点で工夫がなされている。

ダイレクト印刷
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像
ダイレクトプリント
メモリーカード
SD/MS Duo/CF
SD
SD
SD
USBメモリー

(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)

(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)

(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)
赤外線通信
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
JPEG
JPEG/TIFF
色補正機能
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4書類・フチ太さ4段階)
カラーフレーム
赤目補正
色調補正(RGB独立 +4〜-4)
明るさ調整(+4〜-4)
コントラスト調整(+4〜-4)
シャープネス調整(+4〜-4)
鮮やかさ(+4〜-4)
フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス)
色補正一覧印刷
編集した写真の別名保存
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4書類・フチ太さ4段階)
赤目補正
色調補正(RGB独立 +4〜-4)
明るさ調整(+4〜-4)
コントラスト調整(+4〜-4)
シャープネス調整(+4〜-4)
鮮やかさ(+4〜-4)
フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス)
編集した写真の別名保存
トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
手書き合成
○(ディスクレーベル対応)
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
○/○
○/○
○/○
−/−
PictBridge対応
○(USB/Wi-Fi)
○(USB/Wi-Fi)
○(USB/Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒)
ディスクレーベル印刷
フォトブック印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒)
ディスクレーベル印刷
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
組み込みパターンペーパー
ディスクレーベル印刷

 ダイレクト印刷は、EP-10VAはSDカード、メモリースティックDuo、コンパクトフラッシュのメモリーカードに対応している。一方EP-982A3EW-M970A3TTR9530はSDカードのみの対応となる。ただ、最近のデジタルカメラやスマートフォンは、一部の一眼レフなどを除きSDカードかその小型版のmicroSDになっており、SDカードのみでも問題はないだろう。加えて、メモリースティックDuoスロットがあれば一昔前のソニー製デジタルカメラに対応でき、コンパクトフラッシュスロットがあれば、コンパクトフラッシュの一眼レフにも対応できるといった程度だ。ちなみに、RAWデーターのダイレクト印刷は行えない。エプソンの3機種はさらにメモリーカードだけでなくUSBメモリーからの印刷にも対応している。また、各種メモリーカードからUSBメモリーへのバックアップが可能な他、USBメモリー以外も外付けハードディスクへのバックアップや印刷、さらに外付けDVDドライブからの印刷も行える。そのほか、EP-10VAEP-982A3は赤外線通信による印刷に対応している。つまり、SD、MS Duo、CF、USBメモリー、赤外線通信に対応するEP-10VA、SD、USBメモリー、赤外線通信に対応するEP-982A3、SDとUSBメモリーに対応するEW-M970A3T、SDのみ対応のTR9530となる。
 写真の編集・色補正機能にも差がある。フチあり・フチなしの選択と、一部を拡大するトリミング、赤目補正は4機種とも対応だ。TR9530はこの機能だけとなる。それに対して、EW-M970A3Tでも、明るさ、コントラスト、シャープネス、鮮やかさを5段階から調整ができる他、セピア又はモノクロのフィルターをかけることも可能だ。そして、EP-10VAEP-982A3はさらに機能が強化され選んだ写真の色補正一覧を印刷し、その中から好みの物を選ぶことができるほか、Exif情報と共に写真一覧を印刷できる。また、RGB(レッド・グリーン・ブルー)それぞれの色調補正を-4〜+4の9段階で調整可能で、明るさやコントラスト、シャープネス、鮮やかさも同じく+4〜-4の9段階に強化されている。さらに補正後の画像は別名でメモリーカードに保存できるのも便利だ。フィルターもセピアとモノクロだけでなく、レトロやハイキー、トイフォト、ポップと言った8種類を搭載している。フチあり印刷も、一般的な白フチ以外に、黒フチも可能で、画像とフチの間にフチと逆の色の枠を付けることも可能で、さらにフチの太さを4段階から選択できる。EP-10VAはカラーフレームも選択できる。プリンター単体でかなりこだわったプリントが可能となる。EP-10VAEP-982A3は基本的に機能は同じだが、EP-10VAは前述のカラーフレーム以外に、モノクロ写真の色補正にも対応している点が異なる。また、EP-10VAは液晶画面上での色調整では印刷時に異なる場合があるため、選んだ写真の色補正一覧を印刷し、その中から好みの物を選ぶことができる機能も備える。また、Exif情報と共に写真一覧を印刷できる機能も備える。EW-M970A3Tでも十分な機能を搭載しているが、EP-10VAEP-982A3は複合機の中では圧倒的な機能を搭載していると言える。これと比べるとTR9530はプリンター任せにしかできないという印象だ。
 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートも4機種とも対応している。TR9530はディスクのレーベル面も手書き合成が可能だ。PictBridgeも4機種とも対応だが、USBポートのあるエプソンの3機種はUSB方式とWi-Fi方式に両対応、TR9530はWi-Fi方式のみの対応となる。その他、単体で各種デザイン用紙を印刷する機能も搭載する。エプソンの3機種は輪郭だけを印刷して塗り絵を楽しめる「塗り絵印刷」や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカード、折り紙封筒が印刷できる「フォーム印刷機能」、写真を1枚又は複数枚並べてディスクのレーベル面に印刷できる機能も搭載する。さらにEP-982A3は、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」、複数枚の写真を使ってCDのジャケットを作成できる「CDジャケット印刷」なども搭載され、機能が豊富だ。TR9530は写真をはめ込んだ「カレンダー印刷」機能や、レポート用紙、原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳が印刷できる「定型フォーム印刷」、カラフルなパターンを印刷してスクラップブックの台紙やブックカバーなどに使える「組み込みパターンペーパー」機能、さらに写真をディスクレーベルに印刷する機能を搭載している。EP-982A3が特に多いが、4機種とも単体でも機能は豊富であるといえる。

スマートフォン/クラウド対応
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
EPSON iPrint
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
EPSON iPrint
Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 11.0以降
Android 4.4以降
(Bluetooth対応)
スマートスピーカー対応
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能
○(NFC)
○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
○(Bluetooth)
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
プリント
アプリ経由/本体
○/−
○/−
○/−
○/○
オンラインストレージ
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
○(googleフォト/image.canon)
スキャン
アプリ経由/本体
○/○
○/○
○/○
○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
メールしてプリント
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(TR9530の名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、EP-10VAはNFC、EP-982A3はQRコード、TR9530はBluetoothを利用した接続支援機能が提供される。EP-10VAの場合は、対応機種はNFC対応のAndroidに限られるが、タッチするだけでパスワード入力などが不要で接続出来る。EP-982A3はiOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から選んで、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定はより簡単になっている。TR9530のBluetooth接続は、Bluetoothで直接印刷データーを送信するのではなく、接続自体はWi-Fiだが、あらかじめBluetoothでペアリングしておけば、Wi-Fiダイレクトの設定が簡単に行えるというものだ。こちらもAndroid限定だ。使う機会は限定されるとはいえ、少しでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。
 また、4機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。TR9530はLINE Clova対応端末にも対応している。2019年12月現在でエプソンの3機種は、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどとなる。TR9530はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものと、プリンターの状態の確認が行える。
 さらに、クラウドとの連携機能も4機種とも搭載されている。プリントの場合、オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またTR9530は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、エプソンの3機種はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、TR9530はスマートフォン上だけでなくTR9530本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではTR9530が便利だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、4機種とも本体の操作でアップロードまで行うことも、スマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる(OneDriveはスマートフォン用アプリ経由)。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため便利だ。
 さらにネットワークを利用したプリント機能として、エプソンの3機種は、印刷したい写真や文書を添付してこれらの機種にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のTR9530はLINEのトーク画面から印刷する「PIXUSトークプリント」のみ対応している。リモートプリント機能はエプソンの3機種の方が豊富だと言える。

コピー機能
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
○(色あせ補正対応)
割り付け(2面/4面)
○/−
○/−
○/−
○/○
その他のコピー機能
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
濃度調整
背景除去機能
プレビュー
濃度調整
バラエティコピー
BOOK2アップコピー
BOOK両面コピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー
A3原稿二つ折りコピー
BOOK2アップコピー
BOOK両面コピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
ADF手動両面コピー
ページ順コピー
大判原稿コピー
冊子レイアウトコピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルコピーも3機種とも対応である。また原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際「退色復元」や「色あせ補正」機能を使えば、昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。4機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。さらにTR9530は4枚の原稿を1枚に縮小する4面割り付けも対応する。
 その他、濃度調整機能は4機種とも搭載する。また、プレビューはEW-M970A3Tを除く3機種が行え、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できる。その他、EP-10VAEP-982A3は、背景色を白にして見やすくする「背景除去機能」の他、コントラスト、鮮やかさ、色調、シャープネス、色相の調整が可能だ。色調調整は、レッド・グリーン・ブルーを個別に調整できる。かなり高度な色の調整が可能だ。それに対してEW-M970A3Tは濃度調整以外は「背景除去機能」のみ、TR9530はプレビューと濃度調整のみで、細かな調整はできない。
 その他のバラエティコピー機能を見てみよう。エプソンの3機種はコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、さらにA4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付コピーする「見開きコピー」又は「BOOKコピー」も搭載する。通常の2面割付と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、それが同じ方向になる。1枚に2面割り付けするのでは無く両面印刷も可能だ。さらにEP-982A3は「A3原稿二つ折りコピー」「IDコピー」「リピートコピー」機能も搭載する。「A3原稿二つ折りコピー」はA4までのスキャナーで2回スキャンすることでA3コピーを可能とする機能だ。中央部にずれや隙間が生じることもあるが、従来の「A3用紙に2アップ」の設定では、中央も周囲と同じだけ余白ができてしまっていたが、この機能ならできるだけ余白の無いようにしてくれる。「IDコピー」は免許証などのコピー時に、裏と表を2回スキャンすると、1枚の用紙に上下に並べてコピーできるという機能、「リピートコピー」同じ内容を複数枚並べて印刷する機能である。チラシや手書きメモ、名前シールなどのコピーに便利だ。一方、TR9530も、「A3原稿二つ折りコピー」と同機能の「大判原稿コピー」機能を搭載するほか、本の見開きなどの浮いてしまって影ができる部分を補正し、原稿カバーが浮いて黒くなる原稿外の部分も白くしてくれる「枠消しコピー」、「IDコピー」、A4の原稿をA3見開き冊子の形に割り付けコピーする「冊子レイアウトコピー」機能の他、コピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」も可能だ。さらに、ADFを利用した機能として、複数ページの複数部をコピーするときに1部ずつまとめてコピーする「ページ順コピー」、ADFは片面スキャンだが、片面を連続スキャンし、次に裏面を連続スキャンすることで、両面に印刷してくれる「ADF手動両面コピー」機能を搭載している。4機種ともコピー機能は便利に作られている。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番
EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530
製品画像
液晶ディスプレイ
4.3型
(90度角度調整可)
4.3型
(90度角度調整可)
2.7型
(90度角度調整可)
4.3型
(角度調整可)
操作パネル
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
ボタン式
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz帯対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP1
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
耐久枚数
N/A
N/A
5万枚
N/A
外形寸法(横×奥×高)
479×395×163mm
479×356×148mm
526×415×168mm
468×366×193mm
重量
9.5kg
8.5kg
10.5kg
9.7kg
本体カラー
ブラック
ホワイト
ブラック
ブラック/ホワイト


 操作パネルの位置は4機種とも共通だ。本体前面に取り付けられ、90度まで起こすことができるので、見やすい角度に調整できる。設置する場所によらず使いやすい。ただし、操作パネルや液晶には違いがある。EP-10VAEP-982A3TR9530は4.3型のタッチパネル液晶を搭載しており、液晶ディスプレイ内に、戻るやスタートのボタンも表示する。そのため、液晶ディスプレイ外のボタンは電源ボタンだけというシンプルな構成だ。液晶が大型なので見やすく、タッチパネル操作は直感的に操作ができるので使いやすい。一方のEW-M970A3Tはタッチパネルでない液晶を搭載し、液晶の右側に各種ボタンを用意する。液晶も2.7型とやや小さめだ。とはいえ操作性は悪くないため、慣れれば問題ないだろう。
 インターフェースは4機種とも共通で、USB2.0に加えて、有線/無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線LAN/無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。またネットワーク接続をすればスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。また前述のようにWi-Fiダイレクト(TR9530はダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通だ。ただしEP-982A3は無線LAN機能は他の3機種より強化されている。他の3機種はIEEE802.11n/g/bに対応しているが、EP-982A3はIEEE802.11ac/a/n/g/bに対応している。IEEE802.11ac対応となり通信速度が上がっただけで無く、2.4GHz帯の周波数しか利用できない他の3機種に対して、EP-982A3では5GHz帯にも対応した事が大きい。2.4GHz帯はBluetoothや無線マウス、固定電話の子機などと帯域が同じだし、電子レンジの影響を受けやすい。一方5GHz帯は、基本的に無線LANでしか使用しないため、電波干渉が起こりにくく安定する。無線LANでの接続を考えている人には、EP-982A3は通信速度と安定性の2つの面でメリットがあると言える。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンの3機種ははWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、TR9530はWindows 7 SP1/8.1/10のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSも10.10.5以降となっただけでなく、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、インク残量確認や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。  本体サイズを見てみよう。エプソンの3機種は同じ本体をベースにしているため見た目は似ているが、背面の給紙枚数やエコタンクの有無でサイズが違ってくる。EP-982A3は479×356×148mmとA3プリントができて複合機という事を考えれば非常に小さい。そして、背面給紙が強化された分だけEP-10VAはやや大きくなり、479×395×163mmとなる。奥行きの39mmに関しては実際に大きくなっているが、高さの15mmは背面給紙部分だけなので、数値の差ほど大きさに差があるようには見えない。EW-M970A3Tの場合は右側にエコタンクを搭載し、前方にもやや飛び出ていること、背面給紙はEP-10VA同様強化されていることから、516×415×168mmとやや大柄だ。高さも背面給紙部分だけでなく全体に168mmある。とはいえ十分コンパクトと言えるだろう。TR9530は468×366×193mmと横幅はEP-982A3とほぼ同等、奥行きに関してはEP-982A3EP-10VAの間くらいだ。絶対的な設置スペースでは、EP-982A3が小さく、また背面給紙もEP-982A3は簡易的な分、後方にスペースが不要だが、TR9530は後方にもスペースが必要だ。とはいえA3用紙の連続給紙に対応した機種同士で比べるなら、EP-10VAより小さく給紙枚数は多いため、かなりコンパクトとは言える。ただし高さに関してはADFがある分どうしても大きくなる。いずれにしても、サイズには決定的な差は無く、よほど設置スペースがシビアというので無ければ、4機種ともA3プリントが可能なわりにはコンパクトと言えるだろう。
 ちなみに、本体の耐久枚数は、EW-M970A3Tが5万枚となっている。他の3機種は公表していないが、家庭向けプリンターは1万〜1万5000枚程度が一般的なので、EW-M970A3Tはかなり強化されている。印刷枚数が多いプリンターらしい強化点と言える。



 EP-10VAEP-982A3EW-M970A3Tはメーカーが同じであるため見た目も似ている。TR9530だけキャノンの製品だが、ADFを搭載している以外はそれほど違いが無いように見える。それでも機能には4機種に差があるためそれぞれどういった用途に向いているかを見てみよう。まず、写真印刷をメインで考えるなら、EP-10VAEP-982A3である。特に写真画質にこだわるならEP-10VAだ。画質が綺麗なだけでなく印刷コストが安いので大量印刷や大判印刷も安心だ。A3用紙が連続給紙できるのも便利だろう。ただ印刷コストが安いだけではEP-982A3との価格差24,000円の元を取るためには、L判写真3,000枚以上となるため、このために選ぶのはおすすめできない。あくまで、レッドとグレーインク、さらにLCCSのよる高画質に惹かれたならありだ。一方、一般的なレベルで写真がきれいなら良いというならEP-982A3でも十分だ。EP-982A3は4機種の中で最も新しいこともあって、ダイレクト印刷やコピー時の機能が豊富で、廃インクタンクの交換やファイン紙の自動両面印刷、無線LANの5GHz帯対応など、他の3機種に無い便利な機能が多いのも魅力だ。一方、文書印刷やコピーがメイン、または写真印刷目的だが画質より他の点にこだわる場合は、EW-M970A3TTR9530が選択肢となる。まず、A3やB4の印刷枚数が多い人はTR9530がおすすめだ。背面給紙が一般的な背面給紙なので、A3用紙を50枚まで給紙できる。EP-10VAEW-M970A3Tは10枚、EP-982A3は1枚なので、それ以上使用したい場合は便利だ。またコピーなどでADFを利用したい場合もTR9530が便利だ。ただ、画質や写真のダイレクト印刷の機能などはエプソンの3機種に劣る他、写真用紙が背面給紙からになってしまい常時セットしておきにくいため、写真重視なら他機種が良いだろう。印刷枚数が特に多い場合はEW-M970A3Tがおすすめだ。エコタンクによる圧倒的低印刷コストは他の3機種には無い特徴で、本体価格の高さも付属のインクの事を考えれば問題ない。ただし、印刷画質や速度、排紙トレイの自動開閉、本体の操作性などでは劣る点が納得できればだ。とはいえ、廃インクタンクが交換でき、本体の耐久枚数も多いなど、とにかく印刷枚数が多い人向けの設計になっていることは確かだ。
 EP-982A3が機能が豊富で、欠点が少ないため一般的にはこの機種がおすすめだが、写真の画質を特に重視するならEP-10VA、文書主体でA3用紙をよく使うならTR9530、印刷枚数が多いならEW-M970A3Tという風に、使い方が決まっているなら、それぞれに優れた機種がおすすめだ。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


EP-10VA
EP-982A3
EW-M970A3T
TR9530BK
(ブラック)
TR9530WH
(ホワイト)