2019年末時点のプリンター 〜エプソンとキャノンのプリンターを比較〜 (2020年4月20日公・8月1日更新開)
タンク方式の複合機の中で、ファクス機能が搭載されていない4万円以上の機種5機種を比較する。エプソンはエコタンク、キャノンはギガタンクという名称だが、いずれも本体内蔵のインクタンクにインクボトルからインクを補充して使用する。インカートリッジタイプに比べて印刷コストが圧倒的に安い一方、本体価格はやや高めに設定されている。今回は4万円以上という括りだが、エプソンから4機種EW-M970A3T |
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フォトブラック シアン マゼンタ イエロー |
フォトブラック シアン マゼンタ イエロー |
フォトブラック(染料) シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
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(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿すだけ満タンインク方式・オンキャリッジ式) |
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
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(アルバム保存300年/耐光性50年/耐オゾン性10年) |
(アルバム保存300年/耐光性50年/耐オゾン性10年) |
(つよインク) |
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年) |
新顔料ブラック |
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ハーモニカ(染料) |
ハーモニカ(染料) |
タケトンボ(染料) (増量/使い切りサイズ) |
ハリネズミ(染料) |
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インクボトル(ブラック)2本 |
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顔料:360ノズル |
顔料:360ノズル |
黒:400ノズル |
黒:640ノズル |
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(AdvancedMSDT) |
(AdvancedMSDT) |
(AdvancedMSDT) |
(MSDT) |
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まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。エコタンク・ギガタンク搭載プリンターは基本が似ており、顔料ブラックと染料のカラー3色(シアン、マゼンダ、イエロー)を採用するのは全機種共通だ。これに染料ブラックを搭載するかどうかで4色構成か5色構成かの違いがある。EW-M970A3T 一方、写真印刷や年賀状の通信面印刷時には、染料インクが力を発揮する。ここで、4色構成と5色構成で大きな差が出ることになる。5色の機種は顔料ブラックと別に染料ブラックを搭載しているため、写真印刷時も黒インクを使用でき、しっかりとした黒を表現できるため、綺麗な写真が印刷できる。一方で4色構成の機種は染料ブラックを搭載していないため、カラー3色での印刷となる。黒色はカラーを重ねて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒髪や影、夜景などの色を見れば一目瞭然な他、影や夜景などの黒の中の微妙な表現力が劣ってしまう。その点で5色インクを搭載したEW-M970A3T 最小インクドロップサイズの面でもこれら3機種は写真印刷に向いている。最小インクドロップサイズは1.5plというのは、インクカートリッジ方式の家庭向けの機種と同じサイズとなっており、非常に粒状感の少ない印刷が可能となっている。家庭向けの機種は6色インク構成であるため、その点で画質は劣るが、見比べないと分からないレベルにまで迫っている。一方、4色インク構成のEW-M630T もう一つ、インクの種類にも違いがある。もちろん発色などの面でもEW-M970A3T 一方普通紙の印刷画質は、5機種とも顔料ブラック+染料カラーの組み合わせで大差が無いように見える。しかし、EW-M630T ちなみに、印刷速度にも特色がある。まず写真印刷速度を見てみると、最も速いのはEW-M770T 一方文書の印刷速度は傾向が異なる。EW-M970A3T エコタンク・ギガタンクだが、いずれも2世代目のインク補充方式となっており従来より便利になっている。1世代目の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。それに対して2世代目では、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらにエプソンでは「挿すだけ満タンインク方式」としており、先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無く、より安心感が増している。キャノンはその点では一歩劣ることになる。 このエコタンクだが、「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の2種類があり、EW-M752T この「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の違いが印刷コストに影響している。写真の印刷コストを見てみると、「オフキャリッジ式」のEW-M970A3T インクタンクのサイズに違いがあるため、1回の補充で印刷可能な枚数にも違いがある。インクボトル1本でインクタンクを満タンまで補充できる。いずれもA4カラー文書を印刷した場合、EW-M970A3T ちなみに、付属のインクボトルは、EW-M752T ここで同じ5色構成のEW-M752T これを見ると、やはりEW-M752T |
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(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
(10枚/5枚/5枚) (A3まで・0.6mm厚紙対応) |
(1枚/1枚/1枚) (0.6mm厚紙対応) |
(1枚/1枚/1枚) (0.6mm厚紙対応) |
(100枚/40枚/20枚) |
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(100枚/40枚/20枚) (A4以下) 【カセット上段】 2L/ハイビジョン以下 (−/20枚/20枚) |
(100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 2L/ハイビジョン以下 (−/20枚/20枚) |
(100枚/40枚/20枚) |
(150枚/30枚/20枚) |
普通紙のみ (250枚/−/−) |
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続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、EW-M970A3T 給紙に関しては各機種に特色がある。エプソンは基本は前面給紙カセットからの給紙となる。EW-M970A3T EW-M630T G6030 5機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込む、またはG6030 |
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その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は5機種とも搭載している。ただし、G6030 自動電源オン機能はEW-M630T G6030 |
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続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は全機種が1200dpiとなっており差は無い。インクカートリッジ方式の上位機種にはもっと高解像度の機種があるが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiや600dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点も共通だ。 メモリーカードに対応しているEW-M970A3T |
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(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) |
(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) |
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フチなし/フチあり 赤目補正 明るるさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
フチなし/フチあり 赤目補正 明るるさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階) 赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
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フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒) ディスクレーベル印刷 フォトブック印刷 |
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒) ディスクレーベル印刷 フォトブック印刷 |
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 |
ダイレクト印刷を見てみよう。対応しているのは写真印刷向きのインク構成であるEW-M970A3T 3機種とも、ただ写真を印刷するだけでは無く、色補正などの機能も充実している。3機種とも一部を拡大して印刷するトリミング機能と、フチあり・フチなしの選択と赤目補正機能は当然として明るさやコントラスト、シャープネス、鮮やかさも5段階から調整可能で、セピア調やモノクロに変換も出来る。自動写真補正機能「オートフォトファイン!EX」任せでも、自動で綺麗に補正されるが、好みの色合いで印刷ができるため便利だ。EW-M752T |
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EPSON Smart Panel |
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Android 5.0以降 |
Android 5.0以降 |
Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) |
Android 5.0以降 |
Android 4.4以降 |
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(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
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スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。5機種ともiOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、EW-M752T また、5機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。2019年12月現在でエプソンの4機種は、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。G6030 クラウドとの連携機能も5機種とも搭載されている。クラウドからのプリントは全機種が対応だ。オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またG6030 さらにネットワークを利用したプリント機能として、エプソンの4機種は、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメ真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれら機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のG6030 |
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背景除去機能 |
背景除去機能 |
濃度調整 背景除去機能 |
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BOOK両面コピー ミラーコピー 塗り絵コピー |
BOOK両面コピー ミラーコピー 塗り絵コピー |
IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
影消しコピー パンチ穴消しコピー |
IDコピー コピー予約 |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、5機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルプリントに対応したEW-M970A3T その他、濃度調整機能は5機種とも搭載する。一方、プレビュー機能はEW-M752T バラエティコピー機能を見てみよう。、EW-M970A3T |
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(90度角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
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(90度角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
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(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
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MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用) |
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液晶ディスプレイと操作パネルは5機種とも本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。EW-M630T しかし、操作パネルと液晶ディスプレイには大きな差がある。一番操作しやすいのはEW-M752T インターフェースは5機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンはダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、EW-M752T 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンの4機種はWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、G6030 本体サイズを見てみよう。EW-M752T ちなみに本体のカラーバリエーションは、EW-M770T 5機種の内、どの機種がオススメかを見てみよう。まず、A3やB4プリントを行うなら、EW-M970A3T 逆に、文書印刷やコピーのみならEW-M630T (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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