プリンター徹底比較
2019年末時点のプリンター
〜エプソンとキャノンのプリンターを比較〜
(2020年4月20日公・8月1日更新開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


カラー複合機(タンク方式・4万円以上)
 
 タンク方式の複合機の中で、ファクス機能が搭載されていない4万円以上の機種5機種を比較する。エプソンはエコタンク、キャノンはギガタンクという名称だが、いずれも本体内蔵のインクタンクにインクボトルからインクを補充して使用する。インカートリッジタイプに比べて印刷コストが圧倒的に安い一方、本体価格はやや高めに設定されている。今回は4万円以上という括りだが、エプソンから4機種EW-M970A3T(84,980円)、EW-M770T(59,980円)、EW-M752T(39.980円)、EW-M630T(41,980円)、キャノンから1機種G6030(39,980円)となる。EW-M752TEW-M630TG6030は、ほぼ同価格であるため直接比較できる。一方、EW-M970A3TEW-M770Tは価格が高くなるが、直接比較できる製品が無いため、この4万円以上という括りで比較することとした。4万円前後の3機種に比べて2〜4万円以上高い価値があるのか共に見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー
エプソン
エプソン
エプソン
エプソン
キャノン
型番
EW-M970A3T
EW-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像


実売価格(メーカーWeb/税抜き)
84,980円
59,980円
39,980円
41,980円
39,980円
インク
色数
5色
5色
5色
4色
4色
インク構成
ブラック(顔料)
フォトブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
フォトブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
マットブラック(顔料)
フォトブラック(染料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック(顔料)
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式)
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式)
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オンキャリッジ式)
エコタンク方式
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式)
顔料/染料系
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性50年/耐オゾン性10年)
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性50年/耐オゾン性10年)
染料/顔料(黒)
(つよインク)
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年)
染料(カラー)/顔料(黒)
新顔料ブラック
インク型番
マラカス(顔料)
ハーモニカ(染料)
マラカス(顔料)
ハーモニカ(染料)
ケンダマ(顔料)
タケトンボ(染料)
(増量/使い切りサイズ)
ヤドカリ(顔料)
ハリネズミ(染料)
30番
付属インクボトル
インクボトル各色1本
インクボトル各色1本
セットアップ用インクボトル各色1本
インクボトル各色1本
インクボトル(カラー)各色1本
インクボトル(ブラック)2本
ノズル数
1080ノズル
1080ノズル
900ノズル
784ノズル
1792ノズル
染料:各180ノズル
顔料:360ノズル
染料:各180ノズル
顔料:360ノズル
各色180ノズル
カラー:各128ノズル
黒:400ノズル
カラー:各384ノズル
黒:640ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl
(AdvancedMSDT)
1.5pl
(AdvancedMSDT)
N/A(1.5pl?)
(AdvancedMSDT)
3.3pl
(MSDT)
N/A(2pl?)
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
5760×1440dpi
4800×1200dpi
4800×1200dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
24秒
24秒
25秒
75秒
37秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
10.0ipm
10.0ipm
9.0ipm
8.0ipm
6.8ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
13.0ipm
13.0ipm
12.0ipm
15.0ipm
13.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
6.0円
6.0円
8.6円
5.9円
5.6円
A4カラー文書
1.3円
1.3円
2.7円
0.9円
0.9円
A4モノクロ文書
0.5円
0.5円
1.2円
0.4円
0.4円

 まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。エコタンク・ギガタンク搭載プリンターは基本が似ており、顔料ブラックと染料のカラー3色(シアン、マゼンダ、イエロー)を採用するのは全機種共通だ。これに染料ブラックを搭載するかどうかで4色構成か5色構成かの違いがある。EW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tが5色構成、EW-M630TG6030が4色構成だ。ちなみに、エプソンは染料ブラックを「フォトブラック」という名称で統一しているが、顔料インクに関してはEW-M752T以外はブラック、EW-M752Tはマットブラックという名称になっている。EW-M752Tでは顔料と染料をより区別しやすくしているだけで、特に違いがあるわけでは無い。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。とは言え全色を顔料インクとすると写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れポストカードのようになってしまう他、一部の用紙が使用できない。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。エコタンク・ギガタンク搭載プリンターは顔料ブラックを搭載してるため普通紙への黒の印刷はメリハリがある印刷が行える。ただ顔料インクはブラックだけなので、黒色部分しかこの恩恵は得られない。また、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを重ねて作り出す場合があり、背景色があるなど、カラーの中に黒が混ざっている場合も染料インクを使う場合があり、必ずしも全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。
 一方、写真印刷や年賀状の通信面印刷時には、染料インクが力を発揮する。ここで、4色構成と5色構成で大きな差が出ることになる。5色の機種は顔料ブラックと別に染料ブラックを搭載しているため、写真印刷時も黒インクを使用でき、しっかりとした黒を表現できるため、綺麗な写真が印刷できる。一方で4色構成の機種は染料ブラックを搭載していないため、カラー3色での印刷となる。黒色はカラーを重ねて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒髪や影、夜景などの色を見れば一目瞭然な他、影や夜景などの黒の中の微妙な表現力が劣ってしまう。その点で5色インクを搭載したEW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tは写真印刷に向いていると言える。
 最小インクドロップサイズの面でもこれら3機種は写真印刷に向いている。最小インクドロップサイズは1.5plというのは、インクカートリッジ方式の家庭向けの機種と同じサイズとなっており、非常に粒状感の少ない印刷が可能となっている。家庭向けの機種は6色インク構成であるため、その点で画質は劣るが、見比べないと分からないレベルにまで迫っている。一方、4色インク構成のEW-M630Tは3.3pl、G6030は非公開ながら海外の同機能のモデルでは2plとなっており、おそらく2plとなる。黒インクが使えないことに加えて粒状感の面でも、写真印刷向けとは言いがたい。
 もう一つ、インクの種類にも違いがある。もちろん発色などの面でもEW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tが使うインクは優秀な可能性があるが、この点ははっきりと示されているわけではない。ただ、インクの耐保存性に違いがある。家庭用の6色プリンターの場合、エプソンは「つよインク200」という名称で、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年をうたっており、キャノンも「ChromaLife 100」という名称で、アルバム保存100年をうたっている。EW-M752Tは「つよインク」という名称で全く同じ耐保存性、EW-M970A3TEW-M770Tもインクに名称こそ付けられていないが、同じ耐保存性となっており、色あせには非常に強くなっている。一方、EW-M630Tが採用するインクはアルバム保存300年、耐光性7年、耐オゾン性2年となっており、耐光性と耐オゾン性で大きく劣る。飾っておいた場合などの色あせに大きな違いがあるだろう。G6030に関しては耐保存性は非公開だが、ChromaLife 100には準拠しないという事なので、100年より短い可能性が高い。
 一方普通紙の印刷画質は、5機種とも顔料ブラック+染料カラーの組み合わせで大差が無いように見える。しかし、EW-M630TはPrecision Coreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiへアップしている。そのため、小さな文字や線などがつぶれずにより綺麗に印刷できる様になっている。そのため、グラフなどべた塗り部分は最小インクドロップサイズの小さいEW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tの方が滑らかだが、文字や線のクッキリさではEW-M630Tが上回る。G6030は印刷解像度などに特に明言はしていないが、ブラックインクが新顔料ブラックとなっているため、やはり普通紙の画質を中心に考えている事が分かる。EW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tは写真も文書もオールマイティーに、EW-M630TG6030は普通紙に特化したインク構成となっている事になる。
 ちなみに、印刷速度にも特色がある。まず写真印刷速度を見てみると、最も速いのはEW-M770TEW-M970A3Tの2機種で、L判写真フチなしが24秒となる。EW-M752Tも25秒とほぼ同じだ。インクカートリッジ方式の6色プリンターは最速で13秒なのでやや遅いが、十分高速と言える。最小インクドロップサイズは小さいが、Advanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立している。また、染料インクは全色180ノズルとなっており、ノズル数も多い事から、印刷速度が高速になっている。一方、EW-M630Tは75秒と3倍以上遅くなる。Advanced-MSDTより劣る、3つのインクサイズのインクを打ち分けるMSDTになってはいる事や、写真印刷に使う染料カラーのノズル数が128ノズルと3分の2になっている事も影響していると思われるが、3倍もの差が出るほどとは考えにくい。EW-M970A3T/EW-M770T/EW-M752Tが写真印刷向けに、EW-M630Tは文書向けに速度が出る設計なのではないかと思われる。G6030は37秒と、EW-M970A3T/EW-M770T/EW-M752Tの1.5倍程度となっている。染料カラーが384ノズルいうのは、キャノンとしては少なめで、その点が印刷速度に影響したと思われる。
 一方文書の印刷速度は傾向が異なる。EW-M970A3T/EW-M770Tは、A4カラーが10.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが13.0ipmであり十分高速だ。染料インクのノズル数が多いことに加えて顔料ブラックは倍の360ノズルであるため、特にモノクロ印刷は高速だ。EW-M752Tは顔料ブラックも染料インクと同じ180ノズルである事が影響したのか、カラー9.0ipm、モノクロ12.0ipmとやや劣る。それでも十分高速な機種と言える。EW-M630Tはカラーが8.0ipmというのはカラーのノズル数の少なさが影響したといえるが、モノクロは15.0ipmとEW-M970A3T/EW-M770Tはよりも高速だ。ブラックインクは400ノズルと、カラーインクに比べて多くなっているためだ。写真印刷では遅さの目立つEW-M630Tだが、文書印刷に限っては問題が無いレベルだ。G6030はカラーが6.8ipmと5機種中最も遅いが、モノクロは13.0ipmと高速だ。こちらもブラックインクは640ノズルとカラーに比べて多くなってはいるためと思われる。これを見ると、写真の印刷速度は、画質面でも写真印刷に向いている5色インクの機種が圧倒的に便利だが、文書印刷に限っては機種間に多少の差はあるものの大きな差では無く、いずれも実用的な速度となっていると言える。
 エコタンク・ギガタンクだが、いずれも2世代目のインク補充方式となっており従来より便利になっている。1世代目の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。それに対して2世代目では、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらにエプソンでは「挿すだけ満タンインク方式」としており、先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無く、より安心感が増している。キャノンはその点では一歩劣ることになる。
 このエコタンクだが、「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の2種類があり、EW-M752Tが「オンキャリッジ式」、他の3機種は「オフキャリッジ式」となる。ギガタンクは今のところ「オフキャリッジ式」しかないためG6030も「オフキャリッジ式」だ。「オフキャリッジ式」は、プリントヘッド(印刷時に左右に動く部分)とは別の所にインクタンクが固定されており、プリントヘッドとはチューブでつながれている方式である。「オンキャリッジ式」とは、プリントヘッドの上にインクタンクがある方式だ。「オンキャリッジ式」は、動くパーツにインクがタンク載せられているため、重量をあまり重くする事ができず、小型のタンクとなってしまう一方、「オフキャリッジ式」はインクタンクが固定されているため大型化できる。その分、「オフキャリッジ式」ではインクタンクの分だけ本体が大型化する傾向がある。また、長いチューブでつなぐために初期充填時のインク消費が多いことと、やや詰まりやすいのもデメリットだ。逆に言うと、小型のインクタンクを採用した場合は、「オンキャリッジ式」とすることで、本体の小型化と、インク詰まりなどの問題を解消できる事になる。
 この「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の違いが印刷コストに影響している。写真の印刷コストを見てみると、「オフキャリッジ式」のEW-M970A3T/EW-M770Tは6.0円、EW-M630Tが5.9円、G6030が5.6円で、写真用紙代として約4.3円が含まれているので、純粋なインク代だと、1.3〜1.7円になる。一方「オンキャリッジ式」のEW-M752Tは8.6円で、写真用紙代を除いても4.3円と3倍以上の印刷コストになる。A4カラー文書も、EW-M970A3T/EW-M770Tは1.3円、EW-M630Tが0.9円、G6030も0.9円なのに対して、EW-M752Tは2.7円、A4モノクロ文書もEW-M970A3T/EW-M770Tは0.5円、EW-M630Tが0.4円、G6030も0.4円なのに対して、EW-M752Tは1.2円とやはり3倍近くなっている。同じエコタンク・ギガタンクでも、方式によって印刷コストに大きな差が出る点は注意が必要だ。ただし、インクカートリッジの機種の場合、エプソンのEP-882Aでは写真が20.6円、A4カラー文書が12.0円、キャノンのPIXUS TS8330はそれぞれ19.4円と9.9円なので、EW-M752Tでもこれらと比べれば圧倒的に印刷コストは安い事になる。
 インクタンクのサイズに違いがあるため、1回の補充で印刷可能な枚数にも違いがある。インクボトル1本でインクタンクを満タンまで補充できる。いずれもA4カラー文書を印刷した場合、EW-M970A3T/EW-M770Tはカラーインクが5,000枚、顔料ブラックインクが8,000枚、染料ブラックインクが11,500枚まで印刷ができる。EW-M630Tはカラーインクは6,000枚、ブラックインクは7.500枚まで印刷できる。G6030はカラーが7,700枚、ブラックが6,000枚まで印刷できる。それに対してEW-M752Tはカラーが1,000枚、染料・顔料ブラックが1,100枚となる。これは「使いきりサイズ」と呼ばれるサイズで、「増量」サイズならそれぞれ3,700枚と4,000枚印刷できるが、インクタンクには「使いきりサイズ」分しか入らないため、4回弱の補充が出来る形となる。印刷コストもほとんど変わらないため、一般的には「使いきりサイズ」を使うことになるだろう。とはいえ、EW-M970A3T/EW-M770Tは5本購入すると7,200円、EW-M630Tは4本購入すると5,600円、G6030は4本購入すると6,930円なのに対して、EW-M752Tは5本購入しても3,000円と低価格だ。1枚当りは割高でも、インクを購入する時の金銭的負担は小さい。6,000枚も印刷出来ると言っても多すぎるというユーザーには、ちょうど良い大きさとも言える。
 ちなみに、付属のインクボトルは、EW-M752Tはセットアップ用インクボトル、その他は別売りのインクボトルと同じものを付属する。とはいえ、EW-M752Tでもインクタンクが満タンになるため、5機種とも付属のインクボトルで、インクタンク1回分の補充が可能である。しかし、そこから初期充填を行うと大量のインクを消費する。それでもEW-M970A3T/EW-M770T/EW-M630Tは3,600枚以上の印刷が可能となっている。インクカートリッジ方式のEP-882Aは、6,980円の増量インクで、概算で630枚ほどしか印刷できないため、6回分・約42,000円相当のインクが付属すると考えると、エコタンク・ギガタンク搭載プリンターは本体価格が高めと言っても、付属のインクを使い切った頃には元が取れる計算になる。G6030は初期充填後の印刷可能枚数を公表していないが、EW-M630Tとタンク容量は似ているため、ある程度は印刷できるだろう。さらにG6030はブラックインクボトルがもう1本付属するので、残った分+6,000枚は必ず印刷できる。EW-M752Tは、インクタンクが小さいため初期充填で大半を使い切ってしまうようで、何枚印刷できるか公表されていない。この点ではインクカートリッジ方式と同じで、すぐに次のインクが必要になる。

 ここで同じ5色構成のEW-M752TEW-M770Tで、本体価格とインクの価格のトータルコストをグラフにしてみた。EW-M752Tは一般的に使われる「使い切りサイズ」を使った場合としている。セットアップ用インクボトルでどの程度印刷できるか公表されていないため、100枚としている。一方、EW-M770Tは同梱のインクボトルで3.600枚以上となっているが、おそらく最も印刷枚数が少ないカラーインクが3,600枚分残るという事だろう。つまり、72%のインクが残ると考えられる。印刷時に使用するインク料は色によって異なるので差が出ているが、初期充填で使用するインク量はほぼ同じと予想されるため、それぞれ72%である、顔料ブラックは5,760枚、染料ブラックは8,280枚の印刷が可能としてグラフにしている。

EW-M752T_pic1.jpg">

 これを見ると、やはりEW-M752Tの方がインクを頻繁に購入する事となり、EW-M770Tとの本体価格の差である20,000円がどんどんと詰まっていく事が分かる。ちょうど1万枚のあたりで逆転しており、2万枚印刷すると20,000円の差が付くことになる。この事から、1万枚を大きく超えると分かっているのであればEW-M770Tの方がお得となる。プリンターの寿命を5年とした場合、年間2,000枚、月に167枚以上印刷するかが分かれ目となる。


プリント(給紙・排紙関連)
型番
EW-M970A3T
EW-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A3
L判〜A4
L判〜A4
L判〜A4
名刺〜A4
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(10枚/5枚/5枚)
(A3まで・0.6mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.6mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.6mm厚紙対応)

(100枚/40枚/20枚)
前面
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
(A4以下)
【カセット上段】
2L/ハイビジョン以下
(−/20枚/20枚)
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
2L/ハイビジョン以下
(−/20枚/20枚)
【カセット】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット】
(150枚/30枚/20枚)
【カセット】
普通紙のみ
(250枚/−/−)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動)
用紙幅チェック機能
○(印刷時・ハガキ向き検知機能搭載)
○(印刷時)
○(印刷時)
○(印刷時)

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、EW-M970A3TがA3まで、残る4機種はA4までとなる。最小サイズはG6030のみが名刺サイズに対応、他の機種はL判が最小となる。
 給紙に関しては各機種に特色がある。エプソンは基本は前面給紙カセットからの給紙となる。EW-M970A3TEW-M770Tの前面給紙カセットは大小2段となっており、上段にL判やハガキなどの小さな用紙を、下段にはA4やB5といった大きな用紙をセットする形となる。下段にA4普通紙が100枚、上段に写真用紙やハガキが20枚までセット可能だ。また、下段にもL判やハガキサイズにの用紙もセットでき、その場合、ハガキは40枚、写真用紙は20枚セット可能となるため、上下段ともに入れれば合計でハガキは60枚、写真用紙は40枚までセットできる。もちろん連続で使用できる。下段の用紙を入れ替える手間をかければより大量給紙ができるため、写真や年賀状を大量印刷する場合に便利だろう。EW-M752Tはカセットは1段のみとなっており、上段の小型のカセットが無いため、2種類の用紙を同時にはセットできない。セット可能枚数は普通紙で100枚、ハガキは40枚、写真用紙は20枚となる。前面給紙・前面排紙と言うことで気になるのが、厚紙やラベル用紙などへの対応である。前面給紙カセットでも問題ない事になっているが、前面から給紙して前面から排紙するため、内部で180度曲げられてしまうのは少し心配だ。そこでこれら3機種では簡易的は背面給紙も利用できるようになっている。EW-M770T/EW-M752Tでは背面手差し給紙となっており、従来の背面給紙に近い位置だが、用紙をセットしておけるような大型のものではなく、1枚だけセットできる簡易的な物だ。その分コンパクトな本体でも背面給紙を可能としているわけである。EW-M970A3Tはもう少し強化されているが、普通紙は10枚、ハガキや写真用紙などは5枚までで、比較的コンパクトになっている。さらに、通常の給紙カセットでは0.3mm厚の用紙までの対応だが、この2機種背面給紙では、倍の0.6mmの用紙に印刷ができる。今まで印刷できなかった厚紙にも印刷できる点も便利だろう。また、前面給紙カセットにセットした用紙と異なる用紙に数枚だけ印刷する場合に、わざわざ入れ替えずに背面手差し給紙を利用する事も可能だ。ちなみにA3対応のEW-M970A3Tだが、前面給紙カセットはA4までで、この背面給紙がA3まで対応している。
 EW-M630Tは前面給紙カセット1段のみで、背面手差しも無い。文書印刷専用と考えられ、A4普通紙とL判写真用紙のように2種類の用紙をセットする使い方が想定されていないためだろう。逆に給紙可能枚数はA4普通紙が150枚と、エプソンの他の3機種より多くなっている。ただし、ハガキは30枚、写真用紙は20枚と、EW-M970A3tやEW-M770Tの下段や、EW-M752Tよりもハガキは少なくなっている。
 G6030は前面給紙カセット+背面給紙となっている。前面給紙カセットは1段だが、代わりに背面給紙は手差しでは無く一般的な背面給紙トレイとなっている。前面にA4普通紙、背面にL判写真用紙という風に入れておけばEW-M970A3T/EW-M770Tと同じような使い方ができる。ただし、前面給紙カセットは普通紙のみセットが可能だ。そのため、ハガキや写真用紙、ファイン紙などは全て背面給紙を利用することとなる。背面給紙は用紙のセット時に左右のガイドを合わせるだけで良く、セットしやすい。一方でデメリットもあり、用紙をセットするために上方に空間が必要なほか、トレイが後方に傾くため、本体の後方にある程度のスペースが必要になってしまう。また、用紙をセットしたままだとホコリをかぶってしまい、その用紙が給紙されると故障の原因になる場合があるため、使わないときは取り除くのが理想だ。普通紙以外の用紙も常にセットしておくという使い方の場合、前面給紙カセットにセットできるEW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tの方が便利だと言えるだろう。一方で前面給紙カセットは250枚までセット可能で、背面給紙にも普通紙がセット可能(100枚)なので、合計350枚までセットできるのはメリットだ。もちろん連続で使用する事ができる。写真用紙やハガキは背面給紙のみなのでハガキは40枚、写真用紙は20枚となる。なお、背面給紙からの給紙の場合でも用紙厚は0.3mmまでで、エプソンの背面手差しのような厚紙には対応しない。一方でL判より小さい名刺サイズに対応するため、名刺サイズの用紙に直接印刷をすることが可能のはメリットだ。
 5機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込む、またはG6030は給紙口カバーを閉じた際に、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。これに加えて、エプソンの4機種は印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、設定よりも用紙幅が小さかった場合に用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部を汚さないようになっている。さらにEW-M970A3Tのみの機能として、ハガキの向きを検知する機能を備えている。郵便番号枠を検知するため、裏表の間違いや上下の間違いを検知できる。前面給紙の場合、向きや裏表がややこしくなるため、こちらも便利な機能だ。


プリント(付加機能)
型番
EW-M970A3T
EW-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像
自動両面印刷
○(A4まで)
○(ファイン紙対応)
○(普通紙のみ)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ
○/○
○/○
○/○
−/○
○/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
○/−
○/−
○/○
○/−
−/−

 その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は5機種とも搭載している。ただし、G6030は普通紙のみ対応だが、G6030以外の4機種は普通紙だけでなくハガキにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。さらに、EW-M752Tはファイン紙への両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利だが、EW-M752T以外は手動で片面ずつ印刷するしか無い。ファイン紙への両面印刷を考えている人にはEW-M752Tは便利だ。 ちなみに、EW-M970A3TはA4までの対応(というより背面給紙からの両面印刷はできない)となるため注意が必要だ。一方、BD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能はEW-M970A3TEW-M770Tのみ搭載する。レーベル印刷のトレイを使わない時は、前面給紙カセットの下に収納できるようになっている。写真の自動補正機能としては、エプソンの4機種は「オートフォトファイン!EX」、G6030は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる高性能なものを搭載している。ダイレクト印刷に対応した機種(後述)はパソコンからの印刷時だけでなく、ダイレクト印刷時にも利用できる。
 自動電源オン機能はEW-M630Tを除く4機種が搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LANや有線LAN(対応機種のみ)でのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、EW-M970A3T/EW-M770T/EW-M752Tは排紙トレイが引き出された状態でないと、G6030は操作パネルを開いた(持ち上げた)状態でないと印刷は実行されないため、排紙トレイや操作パネルを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能は5機種とも搭載している。
 G6030以外の4機種が持つ便利な機能が、廃インクタンク(メンテナンスボックス)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、他のG6030を含む多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、EW-M970A3TEW-M770TEW-M752TEW-M630Tの4機種はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(EW-M630T以外は980円、EW-M630Tは1,800円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。さらに、EW-M752Tはフチなし吸収材が満タンになったときも、便利になっている。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、EW-M752T以外の4機種はプリントが完全に止まってしまうが、EW-M752Tはフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているのである。急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるため便利な機能だ。

スキャン
型番
EW-M970A3T
EW-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像
読み取り解像度
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
CIS
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリーカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は全機種が1200dpiとなっており差は無い。インクカートリッジ方式の上位機種にはもっと高解像度の機種があるが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiや600dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点も共通だ。
 メモリーカードに対応しているEW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tはスキャンした原稿をパソコンを使わずメモリーカード又はUSBメモリーに保存する機能を搭載している。パソコンが起動していなくても、本体の操作だけでサッとスキャンしてメモリーカードやUSBメモリーに保存できるので便利だ。一方G6030は、原稿を取り忘れた際の警告機能が付いているのは便利だ。


ダイレクト印刷
型番
EW-M970A3T
EW-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像
ダイレクトプリント
メモリーカード
SD
SD
メモリーカードリーダー接続
USBメモリー

(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)

(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)
赤外線通信
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
JPEG
色補正機能
トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
明るるさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
明るるさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階)
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
○/○
○/○
−/−
−/−
−/−
PictBridge対応
○(USB/Wi-Fi)
○(USB/Wi-Fi)
○(USB/Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒)
ディスクレーベル印刷
フォトブック印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード・折り紙封筒)
ディスクレーベル印刷
フォトブック印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷

 ダイレクト印刷を見てみよう。対応しているのは写真印刷向きのインク構成であるEW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tである。EW-M970A3T/EW-M770TはSDカードスロットの他、USBポートを搭載しており、USBメモリーからの印刷にも対応している。また、メモリーカードからUSBメモリーへのバックアップが可能な他、USBメモリー以外も外付けハードディスクへのバックアップや印刷、さらに外付けDVDドライブからの印刷も行える。メモリーカードはSDカードのみとシンプルだが、最近のデジタルカメラやスマートフォンは一部の一眼レフなどを除きSDカードかその小型版のmicroSDになっているため、大きな問題では無いだろう。EW-M752Tはメモリーカードリーダーを内蔵はしていないが、USBポートを搭載する。ここにはUSBメモリーはもちろん、パソコン用のUSB接続のメモリーカードリーダーを接続することで、SDカードをはじめ各種メモリーカードに対応できる。別途購入する必要はあるが、EW-M752Tもメモリーカードからのダイレクト印刷に対応していると言える。ただしUSBポートは外付けHDDやDVDドライブには非対応である。
 3機種とも、ただ写真を印刷するだけでは無く、色補正などの機能も充実している。3機種とも一部を拡大して印刷するトリミング機能と、フチあり・フチなしの選択と赤目補正機能は当然として明るさやコントラスト、シャープネス、鮮やかさも5段階から調整可能で、セピア調やモノクロに変換も出来る。自動写真補正機能「オートフォトファイン!EX」任せでも、自動で綺麗に補正されるが、好みの色合いで印刷ができるため便利だ。EW-M752Tだけの機能として、EW-M970A3T/EW-M770Tが搭載する一般的なフチなし、フチあり(白フチ)だけでなく、黒フチや、黒枠付きの白フチ、白枠付きの黒フチも選べる。その際フチの太さも4段階から選択可能で、引き締まった黒フチや、額に合わせた太さにするなど、いざというとき便利だろう。また、3機種とも手書き合成シートに対応しているため、手書き文字と写真を組み合わせたハガキなどを作成可能だ。その他、塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカードなどが印刷できるフォーム印刷機能を搭載する。フォーム印刷機能には若干の機能の違いがあり、EW-M970A3T/EW-M770Tはこれらに加えて、折ることで封筒型に出来る「折り紙封筒」、EW-M752Tは写真と組み合わせたカレンダーの印刷機能も搭載する。これら3機種は、写真を1〜数枚並べたフォトブックを印刷する機能や、写真を1枚又は複数枚並べてディスクのレーベル面に印刷できる機能も搭載する。さらにEW-M752Tは、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」、複数枚の写真を使ってCDのジャケットを作成できる「CDジャケット印刷」なども搭載され、機能が豊富だ。EW-M630TG6030はこういったプリンター単体で印刷できる機能は搭載していない。

スマートフォン/クラウド対応
型番
EW-M970A3T
EW-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
EPSON iPrint
EPSON iPrint
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
EPSON iPrint
Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 11.0以降
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能
○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
○(Bluetooth)
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
プリント
アプリ経由/本体
○/−
○/−
○/−
○/−
○/−
オンラインストレージ
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
○(googleフォト/image.canon)
スキャン
アプリ経由/本体
○/○
○/○
○/○
○/○
−/−
スキャンしてオンラインストレージにアップロード
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box)
(OneDriveはアプリからのみ)
メールしてプリント
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。5機種ともiOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、EW-M752TG6030の2機種は手軽に接続出来る工夫がなされている。EW-M752Tは、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から選んで、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定はより簡単になっている。一方のG6030はBluetoothを利用した接続支援機能が提供される。Bluetoothで直接印刷データーを送信するのではなく、接続自体はWi-Fiだが、あらかじめBluetoothでペアリングしておけば、Wi-Fiダイレクトの設定が簡単に行えるというものだ。こちらはAndroid限定だ。使う機会は限定されるとはいえ、少しでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。

 また、5機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。2019年12月現在でエプソンの4機種は、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。G6030はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のもの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。
 クラウドとの連携機能も5機種とも搭載されている。クラウドからのプリントは全機種が対応だ。オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またG6030は写真共有サイトからの印刷も可能だ。全機種ともスマートフォン上のアプリからアクセスする形となり、プリンター本体にはアクセス機能は無い。一方、スキャンしてオンラインストレージへアップロードする機能はG6030を除く4機種が対応している。こちらは、4機種ともスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でもスキャンからアップロードまで完了する事ができる(OneDriveはスマートフォン用アプリ経由のみ)。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるのは便利だ。
さらにネットワークを利用したプリント機能として、エプソンの4機種は、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメ真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれら機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のG6030はこういった機能は一体搭載していない。リモートプリント機能はエプソンの4機種が圧倒的だ。

コピー機能
型番
EW-M970A3T
EP-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
割り付け(2面/4面)
○/−
○/−
○/−
○/−
○/○
その他のコピー機能
濃度調整
背景除去機能
濃度調整
背景除去機能
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
濃度調整
濃度調整
バラエティコピー
BOOK2アップコピー
BOOK両面コピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
BOOK2アップコピー
BOOK両面コピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、5機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルプリントに対応したEW-M970A3T/EW-M770Tは、レーベルコピーにも対応する。さらに、写真印刷向きのインク構成のEW-M970A3T/EW-M770T/EW-752Tは原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際「退色復元」という、昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。5機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。さらにG6030は4枚の原稿を1枚に縮小する4面割り付けにも対応している。
 その他、濃度調整機能は5機種とも搭載する。一方、プレビュー機能はEW-M752Tのみ搭載しており、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できる。その他、EW-M970A3TEW-M770TEW-M752Tは、背景色を白にして見やすくする「背景除去機能」も搭載する。
 バラエティコピー機能を見てみよう。、EW-M970A3T/EW-M770T/EW-752Tはコピー時にも「塗り絵印刷」が行える他、見開きの本を左右ページで別々にコピーする「見開きコピー」又は「BOOKコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、背景の色を白にして見やすくする「背景除去機能」を備えている。「見開きコピー」は通常の2面割付と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。さらにEW-M752Tは「IDコピー」「リピートコピー」機能も搭載する。「IDコピー」は免許証などのコピー時に、裏と表を2回スキャンすると、1枚の用紙に上下に並べてコピーできるという機能、「リピートコピー」同じ内容を複数枚並べて印刷する機能である。チラシや手書きメモ、名前シールなどのコピーに便利だ。EW-M630Tも「IDコピー」機能を搭載するほか、本などをコピーした際の中央部の浮いてしまう部分や、分厚い原稿の周囲に出来る影を消してくれる「影消しコピー」と、パンチ穴を消してコピーする「パンチ穴消しコピー」など文書コピーに便利な機能を備える。一方、G6030はも、厚手の原稿など原稿台のカバーが浮いてしまう場合に黒くなる部分を消去する「枠消しコピー」機能と「IDコピー」機能の他、コピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」も可能だ。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番
EW-M970A3T
EW-M770T
EW-M752T
EW-M630T
G6030
製品画像
液晶ディスプレイ
2.7型
(90度角度調整可)
2.7型
(90度角度調整可)
4.3型
(90度角度調整可)
2.4型
(角度調整可)
2行モノクロ
(90度角度調整可)
操作パネル
ボタン式
(90度角度調整可)
ボタン式
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(角度調整可)
ボタン式
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
耐久枚数
5万枚
5万枚
5万枚
5万枚
6万枚
外形寸法(横×奥×高)
526×415×168mm
425×359×161mm
390×339×166mm
375×347×187mm
403×369×195mm
重量
10.5kg
8.0kg
6.3kg
5.8kg
8.1kg
本体カラー
ブラック
ブラック/ホワイト
ホワイト
ブラック/ホワイト
ブラック

 液晶ディスプレイと操作パネルは5機種とも本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。EW-M630T以外は最大90度まで。EW-M630Tもかなりの角度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。低い位置に設置しても高い位置に設置しても使いやすいだろう。
 しかし、操作パネルと液晶ディスプレイには大きな差がある。一番操作しやすいのはEW-M752Tだ。4.3型と5機種中最大のサイズで、しかもタッチパネル液晶となっている。スタートやストップなども全て本体内に表示されるので、電源ボタン以外は物理的なボタンが一切無くすっきりしている。メニューや設定項目、各種ボタンが液晶内に表示されるので、直に項目をタッチして操作ができるため分かりやすく、またバックライトのある液晶内なので、暗いところでも操作しやすい。次に便利なのは、EW-M970A3TEW-M770Tだが、EW-M630Tもほとんど変わらない。EW-M970A3T/EW-M770Tは2.7型、EW-M630Tは2.4型のカラー液晶を搭載する。タッチパネル式では無いが、バックライトも搭載しグラフィカルな表示で分かりやすい。ホームメニューがあり、そこで機能を選んで進んでいくという一般的な操作性だ。カーソルボタンも上下左右が十字型に並び、その中心に「OK」ボタン、右上と左上に「+」と「−」ボタン、左下に「戻る」ボタンという配置は分かりやすく、直感的に操作しやすい。あとは「スタート」「ストップ」ボタンの他、ホームメニューに戻る「ホーム」ボタンがある。EW-M970A3T/EW-M770Tはこれらに加えて、レーベル印刷やコピー時のメニュー表示に使う「レーベル」ボタン、EW-M630Tは状況に応じて様々な用途に使う汎用ボタンと、ヘルプを表示できる「ヘルプ」ボタンがある。これら3機種は、タッチパネル操作のEW-M752Tには劣るが、十分に使いやすいと言えるだろう。一方G6030はこれらとはかなり劣る。液晶は2行文字表示のモノクロ液晶だ。サイズは実測値でEW-M752Tの幅が半分、高さが5分の1ほどで、かなり小さい。漢字表示はできるが、文字情報だけなので分かりにくくなってしまう。その上、バックライトを搭載していないため、暗いところでの操作ができないのもデメリットだ。操作パネルを見てみると、液晶が小さいこともあって機能を選択するトップ画面が無いため、「コピー」「スキャン」「セットアップ」「ネットワークコネクト」といった各機能にダイレクトに入れるボタンが並んでいる。代わりに液晶内の操作は、設定画面を表示する「メニュー」ボタンの他、「左右カーソル」と「OK」「戻る」と最低限のボタン数となっており、あとは「カラースタート」「モノクロスタート」と「ストップ」となっている。カーソルが左右しかないため、操作がわかりにくく、階層も深くなってしまい、操作が煩雑になってしまう。操作性の面ではかなり劣ることになる。
 インターフェースは5機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンはダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、EW-M752T以外の4機種は有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、壁にLANコネクターがある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。
 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンの4機種はWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、G6030はWindows 7 SP1/8.1/10のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSも10.10.5以降となっているだけでなく、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、インク残量確認や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。
 本体サイズを見てみよう。EW-M752Tは390×339×166mmで、インクカートリッジ方式の機種と比べても高さが25mmほど大きいだけで幅と奥行きは変わらない、かなりコンパクトなサイズとなっている。これを基準に見ていこう。EW-M770Tは425×359×161mmで、高さは5mm小さいとはいえ、幅が35mm、奥行きが20mm大きくなる。エコタンクが大型であるため、本体右側にタンクスペースが必要になり、その分幅が大きくなっている。とはいえ、数年前の機種と比べると十分コンパクトだ。EW-M970A3TはA3プリント対応であるため、526×415×168mmと、幅が136mm、奥行きが76mmも大きくなっている。とはいえ、A3プリント対応である事を考えると十分コンパクトだ。EW-M630Tは375×347×187mmで、高さは21mm大きくなっているが、幅は15mm小さいため、設置面積だけで見ると最もコンパクトだ。奥行きも8mm大きいとはいえ、エコタンクと前面給紙カセット部分だけが出ているデザインなので、全体的には小さく見える。G6030は403×369×195mmで、幅が13mm、奥行きが30mm、高さが29mm大きく、全体に一回り大きいという印象だ。とはいえEW-M770Tよりは小さく見えるため、大きな差ではないだろう。
 ちなみに本体のカラーバリエーションは、EW-M770TEW-M630Tはブラックとホワイトの2色から選べ、EW-M970A3TG6030はブラックのみ、EW-M752Tはホワイトのみとなる。



 5機種の内、どの機種がオススメかを見てみよう。まず、A3やB4プリントを行うなら、EW-M970A3Tしか選択肢がない。ではA4までで十分という場合は残り4機種から選ぶことになるが、分かりやすいのは写真印刷を行う(写真用紙やファイン紙への印刷を行う)か、文書印刷やコピーだけ(普通紙への印刷だけ)かどうかだ。写真印刷を行うなら、EW-M770TEW-M752Tの2機種から選ぶのがオススメである。ではこの2機種のどちらかと言うことは、結局本体価格が高いが印刷コストが安いEW-M770Tか、本体価格が2万円安いが、印刷コストがやや高くなるEW-M752Tのどちらを選ぶかという事になる。プリント(画質・速度・コスト)の項目で見たように1万枚、月に167枚というのが分岐点となる。また、レーベル印刷や2段給紙が便利だと思うならEW-M770T、タッチパネル操作やコンパクトですっきりしたデザインが良いと思うならEW-M752Tという選択方法もある。つまり印刷コストを特に重視するならEW-M770Tが、インクカートリッジ方式に近いサイズとデザイン、使い勝手で、印刷コストも安い方が良いという人はEW-M752Tがオススメとなるだろう。
 逆に、文書印刷やコピーのみならEW-M630TG6030がおすすめだ。印刷コストは全く同じで、印刷スピードや画質に若干の違いはあるだろうが、大きな差ではない。では両機種大きな違いはというと、給紙方式と操作性だろう。基本的に給紙機能が便利なのはG6030だ。前面給紙カセットに普通紙を常時セットしておき、それ以外の用紙は背面給紙という使い方は便利だし、普通紙の給紙枚数もG6030の方が多い。一方、本体の操作性はEW-M630Tが便利だ。モノクロの文字だけの表示でバックライトも無く、ボタン数も少ないG6030より、カラー液晶でグラフィカルな表示ができ、ボタンもわかりやすい配置のEW-M630Tの方が使いやすいはずだ。コピー操作などが多いならEW-M630Tが良いだろう。また。EW-M630Tなら廃インクタンクの交換が可能である点や自動両面印刷がハガキ対応である点、メールプリントやリモートプリントなどのネットワークを利用したプリント機能などにメリットを感じる人もいるだろう。一方G6030なら、自動電源オンや4面割り付けコピーがある。これらの機能に惹かれるなら、その機種というのもありだ。インクの補充方式も両社で似ているが、微妙にEW-M630Tの方が安全だ。その点で言うと、2方向給紙にこだわらなければ、インク補充や印刷速度、その他独自機能で少しずつだが勝る点が多いEW-M630Tがおすすめしやすい製品だ。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


EW-M970A3T
EW-M770T
(ブラック)
EW-M770TW
(ホワイト)
EW-M752T
EW-M630TB
(ブラック)
EW-M630TW
(ホワイト)
G6030