プリンター徹底比較
2019年末時点のプリンター
〜エプソンとキャノンのプリンターを比較〜
(2020年4月20日公開・8月1日更新)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


ファクス付きA4複合機(カートリッジ方式・1万円中盤)
 
 ファクス機能付き複合機の中で下位機種に当たる1万円台中盤の機種である。エプソンからPX-M650F(15,980円)と、キャノンからTR4530(14,880円)、MAXIFY MB2130(16,880円)となる。価格は比較的近いが、PX-M650FMAXIFY MB2130はビジネス向けの製品、TR4530は家庭向けとも言える機種だ。そのあたりが機能面でどういった差になってくるのか詳しく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
型番
エプソン
キャノン
キャノン
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税抜き)
15,980円
14,880円
16,880円
インク
色数
4色
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
黒独立、カラー3色一体
各色独立
顔料/染料系
顔料
(つよインク200X)
染料(カラー)/顔料(黒)
顔料
(MAXIFY用新顔料インク)
インク型番
78番(大容量ブラック・カラー)
77番(標準容量ブラック)
345XL/346XL(大容量)
345/346(標準容量)
1300XL番(大容量)
1300番(標準容量)
ノズル数
1080ノズル
1280ノズル
4352ノズル
カラー:各128ノズル
黒:400ノズル
全色:各320ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
最小インクドロップサイズ
3.3pl(MSDT)
N/A(2pl?)
N/A(カラー5pl/ブラック11pl?)
最大解像度
4800×1200dpi
4800×1200dpi
600×1200dpi
PrecisionCoreプリントヘッド
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
70秒
52秒
N/A
A4普通紙カラー(ISO基準)
7.3ipm
4.4ipm
13.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
13.0ipm
8.8ipm
19.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
27.8円
N/A
N/A
A4カラー文書
13.5円
14.1円
8.9円
A4モノクロ文書
4.1円
N/A
3.1円

 それでは、プリントの画質・速度・コスト面を見てみよう。3機種ともブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色構成である。しかし、PX-M650FMAXIFY MB2130は全色顔料インク、TR4530はブラックが顔料インク、カラーが染料インクを採用しており、異なる。顔料インクは普通紙への印刷時に染料インクのような用紙へのしみこみが少なく、インクが広がりにくいので、クッキリとしたメリハリのある印刷が行えるというメリットがある。そのため、細かな線や小さな文字、中抜き文字もつぶれず綺麗に印刷できる。また、耐水性も高いというメリットもあり、濡れた手で触ったりマーカーで線を引いても滲まない点も便利である。そのため、パソコンから普通紙への印刷や、普通紙コピー、年賀状印刷に向いている他、ファクス機能を使う時も、受信したファクスを普通紙に印刷する際に高画質、高耐水で印刷が出来る。PX-M650FMAXIFY MB2130の様に全色顔料インクの場合、カラー、モノクロ問わず、これらのメリットがある事になる。さらに、PX-M650FはPrecisionCoreプリントヘッドの採用により普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiへアップしているため、普通紙印刷の画質は非常に高くなっている。一方MAXIFY MB2130も特に黒の濃度が高くなっているという事で、印刷画質は高い。一方のTR4530はカラーインクは染料インクなので、顔料インクのメリットは黒色の部分でしか発揮されない。しかも黒と言っても、完全な黒では無いグレーの部分はカラーインクで表現する場合があり、また背景色がある場合なども顔料ブラックが使えない可能性がある。そのため、黒だけでも顔料インクなので全体の印象は良くなるとは言え、PX-M650FMAXIFY MB2130と比べると劣ると言える。
 ただし、顔料インクにはデメリットもあり、写真用紙に印刷すると、発色はあまり良くなく、また写真用紙本来の光沢感も薄れポストカードのような鈍い光り方になってしまう。写真用紙以外でも、ファイン紙やインクジェットハガキなども染料インクの方が綺麗に印刷できる。また、インクジェット用の用紙でも顔料インクに非対応のものがある。その点では、TR4530のカラーインクは染料インクであるため、発色が良い印刷が行える。ただしTR4530も完璧とは言えない。ブラックインクが顔料インクであるためだ。染料インクと顔料インクを同じ箇所には使えないため、写真印刷や年賀状印刷ではブラックインクを使用できず、カラーインクを重ねて黒を表現している。とはいえ完全な黒にはならず、濃いグレーや濃い茶色になってしまうほか、影などの黒色の中の階調表現は苦手な傾向がある。上位モデルPIXUS TR7530などの様に、ブランクインクを染料と顔料の2種類搭載し、写真印刷時にも黒インクが使える機種と比べると、全体にメリハリが弱く感じてしまう。光沢感の面ではPX-M650FMAXIFY MB2130よりは良いと言えるが、発色面では顔料インクだがブラックインクが使えるPX-M650FMAXIFY MB2130と、染料インクだがブラックインクが使えないTR4530では大きな差にはならないだろう。
 ちなみに写真や年賀状などを印刷する上で重要なのが、ドットの大きさを示す「最小インクドロップサイズ」である。PX-M650Fは3.3plとやや大きく、同じエプソンの家庭用複合機の上位モデルは6色で1.5plである事と比べると、ある程度粒状感が有るといえる。TR4530は非公表ながら、海外の同機能のモデルでは2plとなっており、TR4530も2plではないかと予想される。PX-M650Fより小さいため、粒状感の面では悪くは無い。MAXIFY MB2130も同じく非公表で、海外モデルよりカラー5pl、ブラック11plと予想される。最小インクドロップサイズが特に大きいことに加えて印刷解像度も600×1200dpiと低く、さらにフチなし印刷も行えない(後述)ため、そもそも写真印刷は考えられていないと言えるだろう。また、最小インクドロップサイズがここまで大きいと、普通紙印刷でも文字以外の写真やグラフなどでは粒状感が他機種より目立つ可能性がある。以上から、普通紙への印刷画質は、PX-M650Fが最も良く、次いでMAXIFY MB2130TR4530は特にカラー印刷では劣ることになる。一方写真印刷や年賀状印刷は、カラーのみだが染料インクが使え最小インクドロップサイズが小さいTR4530が最も高画質、次いでPX-M650Fで、MAXIFY MB2130はかなり劣ることになる。このインクの特徴は、TR4530が家庭向けであるため、文書も写真もどちらもそれなりに綺麗に印刷できる構成が便利であり、PX-M650FMAXIFY MB2130はビジネス向けであるため、文書やコピーが綺麗に印刷できる事が便利だという事だろう。
 印刷速度を見てみよう。写真の印刷速度はPX-M650Fが70秒、TR4530が52秒と多少の差はあるが、家庭用の写真向け複合機の上位機種では13秒といった機種も存在する事を考えれば、両機種ともかなり遅めだ。TR4530は上位モデルよりノズル数がかなり少なく、その点が影響したと言える。PX-M650Fのノズル数は家庭用の機種と比べるとブラックが倍以上、カラーがやや少ないため、カラーの写真は多少不利である点や、家庭向けの5つのサイズのドットを打ち分ける事で画質と速度を両立するAdvanced-MSDTではなく3つのサイズを打ち分けるMSDTである事も影響しているとも言えるが、その割には差が大きい。ビジネス向けの機種と言うことで文書印刷用にチューニングされているためと考えられる。MAXIFY MB2130は写真印刷速度を公表していない。
 一方、文書の印刷速度は傾向が異なる。PX-M650はA4カラー文章が7.3ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが13.0ipmとなっており、価格が安い割には高速だ。上位モデルではカラーモノクロ共に24ipmという機種もあるが、十分実用的な速度と言えるだろう。一方TR4530はカラーが4.4ipm、モノクロが8.8ipmとかなり遅い。印刷枚数が多いとストレスを感じるだろう。逆にMAXIFY MB2130はカラーが13.0ipm、モノクロが19.0ipmと非常に高速である。MAXIFYシリーズの上位モデルの搭載する、重ね連送(1枚目の印字中に2枚目を重ねて搬送させる)に非対応なのでやや劣るが、印刷枚数が多くても素早く印刷が出来るだろう。
 ちなみに使用するインクはPX-M650Fは「つよインク200X」であり、アルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年と、染料インクの家庭用プリンターに劣らない耐保存性である。それに対して、TR4530はインクの耐保存性に関しての記載は無いが、アルバム保存100年に対応したChromaLife 100に準拠していないということなので、100年より短い可能性が高い。MAXIFY MB2130は「MAXIFY用新顔料インク」となっており、こちらも耐保存性は不明であるが文書向けインクなので、写真の耐保存性はそれほど高くないと思われる。その点では、発色の面を除けば、PX-M650Fは写真印刷時にブラックインクが使え、最小インクドロップサイズもある程度は小さく、耐保存性も高いため、写真印刷にも耐えられるインクになっているといえる。
 印刷コストを見てみよう。写真の印刷コストはPX-M650Fしか公表しておらず比較できないため、文書の印刷コストを比較してみよう。PX-M650Fは各色独立インクカートリッジで無くなった色だけ交換できる。ブラックインクのみ大容量の78番と標準容量の77番があり、カラーは78番のみとなる。78番インクで、ブラックインクは850ページ、カラーインクは450ページ印刷が可能だ。価格はブラックが3,780円、カラーが各1,350円となる。上位モデルと比べると印刷できる枚数が少ないため割高になっており、印刷コストは、A4カラー文書で13.5円、A4モノクロ文書で4.1円となる。一方、MAXIFY MB2130も各色独立インクカートリッジだ。上位モデルのMAXIFY 5000番台の製品とは異なるインクカートリッジとなっており、大容量の1300XLインクで、ブラックは1,200枚、シアン1,020枚、マゼンダ780枚、イエロー935枚と上位機種より少なくなっている。ブラックが3,500円、カラーが1,790円となる。PX-M650Fに近い価格ながら印刷枚数がかなり多いので、印刷コストはA4カラー文書で8.9円、A4モノクロ文書で3.1円とかなり安くなる。レーザープリンターなどと比べても安い印刷コストだ。最期にTR4530だが、カラー3色が一体型のカートリッジとなっており、ブラックカートリッジだけ独立している。カラーの内1色でも無くなると交換となるため、印刷コスト面では不利だ。大容量と標準容量があり、大容量の345XL/346XLインクの場合 ブラックインクは400ページ、カラーインクは300ページ印刷が可能だ。家庭向けと言うとこで枚数は少なめだ。価格はブラックが2,520円、カラーが各2,320円となる。印刷コストは、A4カラー文書で14.1円(モノクロ文書は非公表)となる。文章で黒と赤の2色という場合など、色の使用が偏ると、さらに高くなってしまう。印刷コストを考えるとMAXIFY MB2130がオススメだ。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A4
L判〜A4
L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面
前面
【カセット】
(150枚/30枚/20枚)
【トレイ】
(100枚/20枚/20枚)
【カセット】
(250枚/40枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(トレイ収納連動)
○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙はいずれもL判からA4までとなる。ただし、MAXIFY MB2130は前述のようにフチなし印刷を行う事ができない点は注意が必要だ。給紙に関しては、3機種とも前面給紙となる。ただし、その機能は異なっている。PX-M650Fはカセット式でA4普通紙で150枚までセットできる。カセット式なので、用紙をセットしたままでもホコリが積もらず安心だ。家庭用の機種は100枚という機種が多いのでそれよりは多いが、上位モデルはカセット1段に250枚なので、それよりは少ないといえる。MAXIFY MB2130もカセット式だが、250枚までセット可能で、その点では大量印刷でも安心だ。ただし、MAXIFY MB2130の前面給紙カセットはカタログなどでは本体に収まっているように見えるが、実際にはこの状態では、たとえ小さな用紙であってもセットでする事はできない。使用時にはカセットを伸ばして使う事になるため、本体から飛び出てした状態が標準と考えた方が良いだろう。残るTR4530だが、トレイ方式となる。前面給紙なのは同じだが、「トレイ」なので、前面のカバーを開けた上に乗せるというイメージだ。そのため用紙をセットしたままではカバーを閉じることができず、かといって他機種のように用紙のカバーがあるわけでは無いので、ホコリが積もってしまう。この状態の用紙がプリンターに入ると故障の原因にもなるため、できれば使い終えたら用紙を取り除くことが望ましい。その点ではTR4530は不便と言える。給紙枚数も100枚と少ないため、大量印刷や常時電源を付けておき、プリントやファクス受信を頻繁に行うような使い方には向いていないだろう。ハガキの給紙枚数にも差があり、PX-M650Fが30枚、TR4530が20枚、MAXIFY MB2130が40枚となる。ハガキ印刷をメインに考えている人は、手間に大きな差があるといえる。
 ちなみに、3機種とも用紙種類とサイズの登録機能を搭載している。PX-M650FMAXIFY MB2130は前面給紙カセットを挿し込むと、TR4530は用紙をセットしやすいように引き出したトレイを元に戻すと自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。そして、この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。また、液晶ディスプレイでメニューから手動で登録も可能である。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。さらにPX-M650Fは、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックし、用紙サイズが印刷設定より小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部を汚さないように工夫がなされている。

プリント(付加機能)
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
自動両面印刷
○(普通紙のみ)
○(普通紙のみ)
○(普通紙のみ)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
○/○
○(時刻指定)/○(時刻指定)
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
−/−
−/−
−/−

 自動両面印刷機能も3機種とも対応している。3機種とも普通紙のみ対応で、ハガキの自動両面印刷には非対応なのも同じだ。PX-M650Fは「オートフォトファイン!EX」、TR4530は「自動写真補正」という写真の画質補正機能も搭載している。逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われるため、気楽に写真印刷が行えるようになっている。PX-M650Fは写真向けプリンターとは言えないが、写真の補正機能や耐保存性などの面でできる限り高画質に印刷できるよう工夫されているといえる。ちなみに、MAXIFY MB2130はこういった機能は搭載していない。
 印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能と、指定した時間操作がないと自動で電源がオフになる機能だが、機種によって異なる。PX-M650Fは自動電源オフのみ搭載している。TR4530は自動電源オンとオフの両方を備えているため、離れた場所から印刷を実行しても自動的に電源が入るため便利だ。ただ、前述のように常時用紙をセットしておきにくく、前面カバーも手動で開く必要があるため、印刷時は自動で電源がオンになっても結局は用紙をセットしにプリンターの所まで行かなければならないとも言える。そしてMAXIFY MB2130は自動電源オン・オフというよりは、時間指定による電源オン・オフが設定できる。オフィスの就業時間や、商店の営業時間などに合わせて決まった時間に電源を入れ、決まった時間に電源が切れるというものである。ある意味オフィス向けという機種では、この機能は便利な場合もあるだろう。

スキャン
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
読み取り解像度
1200dpi
600dpi
1200dpi
センサータイプ
CIS
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF
原稿セット可能枚数
30枚
20枚
50枚
原稿サイズ
A4/レター/リーガル
A4/レター/リーガル
216×356mm〜148×148mm
両面読み取り
読み取り速度
カラー
3.0ipm
N/A
N/A
モノクロ
3.0ipm
N/A
N/A
スキャンデーターのメモリーカード保存
○(JPEG/PDF・USBメモリーのみ)

 続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度はPX-M650FMAXIFY MB2130が1200dpi、TR4530が600dpiとなる。TR4530PX-M650F/MAXIFY MB2130の間に差があり、さらに家庭向けにはもっと高解像度の機種があるが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分で、600dpiでも大きな問題にはならない。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分といえる。また、写真を同じサイズで印刷すると言った場合は、600dpiでも1200dpiでも印刷結果にほとんど差は無いし、スキャンしてスマートフォンやパソコンで見る程度なら600dpiでも十分綺麗にスキャンできる。。その点ではTR4530でも実用上は問題にならないし、PX-M650FMAXIFY MB2130なら、いざというときに便利という程度だろう。なお、3機種ともCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。
 MAXIFY MB2130はスキャンした原稿をパソコンを使わずにUSBメモリーに保存する機能を搭載している。パソコン無しで簡単にスキャンが行えるできるため便利だ。JPEG又はPDF形式での保存に対応している。そしてファクス付きモデルと言うことで3機種ともADFを搭載している。上位機種と異なり両面スキャンには対応しないが、複数枚の原稿のコピーやファクス送信時に重宝するだろう。ちなみにセット可能枚数はPX-M650Fが30枚、TR4530が20枚、MAXIFY MB2130が50枚までと差がある。このPX-M650FはADFは速度も公表されており、カラー、モノクロ共に3ipm(image per minute:1分間にスキャン可能な面数)だ。上位モデルでは7ipmや12ipm、24ipmという機種もあるため、かなり遅く、ADFを利用した連続コピーも、ADFの速度がボトルネックになってしまう。ちなみに他の2機種は速度を公表していない。

ダイレクト印刷
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
ダイレクトプリント
メモリーカード
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式
JPEG/TIFF/PDF(本機でスキャンしてUSBメモリーに保存したPDFのみ)
色補正機能
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
−/−
−/−
−/−
PictBridge対応
各種デザイン用紙印刷

 ダイレクト印刷機能を見てみよう。とはいえMAXIFY MB2130のみUSBメモリーからのダイレクト印刷に対応しているだけだ。MAXIFY MB2130に関しても、画質やフチなし印刷が出来ない点から、写真印刷向けと言うよりは、スキャンしてUSBメモリーに保存したデーターを再度印刷する用途が考えられるだろう。対応ファイル形式も一般的なJPEGとTIFFに加えて、USBメモリーに保存する際にPDF形式で作成したファイルからの印刷にも対応しているのも、こういった使い方が想定されているからだろう。

スマートフォン/クラウド対応
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
EPSON iPrint
Canon PRINT Inkjet/SELPHY
Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 11.0以降
Android 4.4以降
iOS 11.0以降
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
プリント
アプリ経由/本体
○/−
○/−
○/○
オンラインストレージ
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
N/A
写真共有サイト
○(googleフォト/image.canon)
N/A
スキャン
アプリ経由/本体
○/○
○/−
○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
メールしてプリント
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンとの連携機能も3機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定(MAXIFY MB2130を除く)まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、5機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。
 また、3機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。2019年12月現在でPX-M650Fは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。TR4530/MAXIFY MB2130はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のものの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。
 さらに、クラウドとの連携機能も3機種とも搭載されている。プリントの場合、オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またTR4530は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ただし、MAXIFY MB2130はSNSおよび写真共有サイトからのプリントの対応は不明だ。ここで大きな違いは、PX-M650FTR4530はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、MAXIFY MB2130はスマートフォン上だけでなくMAXIFY MB2130本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではMAXIFY MB2130が便利だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、TR4530はスマートフォンのアプリからのみなのに対して、PX-M650FMAXIFY MB2130は本体の操作でアップロードまで行うことも、スマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる(OneDriveはスマートフォン用アプリ経由)。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため便利だ。
 さらにネットワークを利用したプリント機能として、PX-M650Fは印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれら機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のTR4530MAXIFY MB2130こういった機能は一体搭載していない。リモートプリント機能はPX-M650Fが圧倒的だ。

コピー機能
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面)
○/−
○/○
○/○
その他のコピー機能
プレビュー
濃度調整
濃度調整
プレビュー
濃度調整
バラエティコピー
IDコピー
ページ順コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
ページ順コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約

 コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、3機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。また、3機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする機能にも対応する。さらにTR4530MAXIFY MB2130は4枚の原稿を1枚に縮小する事も可能だ。
 その他、濃度調整機能は3機種とも搭載する。また、プレビューはPX-M650FMAXIFY MB2130が行え、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できる。
 バラエティコピー機能を見てみよう。PX-M650Fは免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」に対応する。一方、TR4530MAXIFY MB2130は複数ページの原稿を、1部ずつコピーする「ページ順コピー」、原稿の周囲や、冊子のとじ目部分などの影を消してくれる「枠消しコピー」、「IDコピー」の他、コピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」も可能だ。それぞれ機能は異なるが、複合機単独で様々なコピーが行えるよう工夫されている。

ファクス機能
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
通信速度
33.6kbps
33.6kbps
33.6kbps
画質設定
モノクロ
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(精細)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
300×300dpi(ファインEX)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
300×300dpi(ファインEX)
カラー
200×200dpi
200×200dpi
200×200dpi
送信原稿サイズ
A4/B5/A5
N/A
N/A
記録紙サイズ
A4/リーガル/レター
A4/リーガル/レター
A4/リーガル/レター
受信ファクス最大保存ページ数
100枚/100件
50枚/20件
250枚/30件
データー保持(電源オフ/停電)
○/○
○/−
○/−
ワンタッチ
アドレス帳
60件
20件
100件
グループダイヤル
59宛先
19宛先
99宛先
順次同報送信
60宛先
21宛先
101宛先
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信/予約
○/−/−
−/−/−
−/−/−
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
受信ファクスを
メール送信
共有フォルダ保存
外部メモリー保存
○(USBメモリー)
PCファクス
送受信
送信のみ
送信のみ

 ファクス機能も基本はほぼ同等だが、細かなところで違いが出ている。3機種ともスーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85本/mmの標準モード、8dot/mm×7.7本/mmの精細モード・ファインモードが3機種とも選べる。加えてPX-M650Fは解像度は精細と変わらないが写真が含まれた原稿に適した写真モードを、TR4530もファインと同じ解像度だが写真向けの写真モードと、300dpi×300dpiのファインEXモード、MAXIFY MB2130もファインEXを選択できる。多少の違いはあるが大きな差ではないだろう。カラーは200×200dpiだ。受信したファクスの印刷は3機種ともA4/リーガル/レターサイズとなり、B5用紙などに印刷できないが問題ないだろう。受信したファクスはPX-M650Fが100枚又は100件分、TR4530が50枚または20件、MAXIFY MB2130が250枚又は30件分となる。保存できる件数はPX-M650Fが、保存できる枚数はMAXIFY MB2130が多いという事で、この2機種は優劣付けがたいが、TR4530は少なめだ。ファクスをよく使う人は注意したい。ここで大きな違いは、TR4530/MAXIFY MB2130は電源オフ時は受信したファクスが保持されるが、停電時やコンセントが抜けた場合には保持されないのに対して、PX-M650Fはそういった場合でも受信した内容が保持される。使い方によっては、電気が供給されなくても受信内容が保持される方が便利だろう。ダイヤル機能としては、3機種とも電話帳に登録できる他、グループダイヤル、順次同報送信、自動リダイヤルなどの基本的な機能を搭載している。ただし、電話帳の件数はPX-M650Fは60件、TR4530は20件、MAXIFY MB2130は100件と差がある。その他の機能として、PX-M650Fボーリング受信に対応しているほか、送信するファクスを液晶で確認してから送信する「見てから送信」と、受信したファクスの内容を液晶で確認した上で印刷するか決めることで用紙を節約できる「見てから印刷」機能も備える。一方、MAXIFY MB2130は受信したファクスをUSBメモリーや共有フォルダに保存する機能を搭載しており、情報共有が行いやすい。さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能自体は3機種とも搭載しているものの、TR4530/MAXIFY MB2130は送信(パソコン上のデーターを画像として送信)のみ対応だが、PX-M650Fは送信だけでなく受信(パソコン上にファクスのデーターを受信)することもできる。なお、3機種ともファクス機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際、PX-M650Fはファクス/電話自動切り替え機能にも対応しているのも便利だ。このように3機種は基本的な機能は似ているが、TR4530はメモリー量が少なく、その他の機能面でも劣ることが分かる。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番
PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130
製品画像
液晶ディスプレイ
2.7型
2行モノクロ
2.5型
操作パネル
タッチパネル液晶+物理ボタン
物理ボタン
物理ボタン
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP1
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
Windows 10/8.1/8/7/Vista SP2
MacOS 10.8.5〜
耐久枚数
5万枚
N/A
N/A
外形寸法(横×奥×高)
425×360×230mm
435×295×189mm
463×389×260mm
重量
6.8kg
5.9kg
10.6kg
本体カラー
ホワイト
ブラック
ブラック

 操作パネルを見てみよう。PX-M650Fは2.7型カラー液晶を搭載しており、操作パネル全体は本体前面から斜めに飛び出す形で固定されている。角度調整はできないが、斜めになっており、それほど高い位置でも無いため、ある程度どの方向からでも見やすいだろう。液晶はタッチパネル式となっているため、ホーム画面で機能を選んだり、各種設定は基本的にはタッチパネル液晶で操作する。一方、液晶すぐ右にはタッチセンサー式の上下ボタン、さらに「ホーム」「戻る」「リセット」「ストップ」「クリア」「モノクロスタート」「カラースタート」と言ったよく使うボタンを物理ボタンで搭載しており、さらにファクス等で利用するテンキーも物理ボタンで用意する。タッチパネル液晶としてはやや小さめと言う事もあり、タッチパネルと物理ボタンの併用としており、使い勝手は上々だ。テンキーの関しては下位モデルほどタッチパネル液晶内に表示する方式が増えるが、物理ボタンの方が押した感触があるため使いやすい。ファクスをよく使うのであれば、この方が便利とも言える。価格が安い割に操作性は良好だ。
 MAXIFY MB2130は2.5型のカラー液晶を搭載しており、本体の前面から上面に掛けて大きく面取りされた部分に操作パネルと共に並んでいる。PX-M650Fと同じく角度調整はできないが、斜めに固定されているためどの方向からでも見えるようになっている。ただしPX-M650Fに比べて本体の高さが高い上に、その一番高い位置になるため、高い位置に設置したり、机の上に置いた場合に座ったまま操作するなどはPX-M650Fよりは不便な場合もあるだろう。液晶はタッチパネル式にはなっておらず、全てボタン操作となる。「ホーム」や「戻る」「OK」「モノクロスタート」「カラースタート」「ストップ」などの基本的なボタンの他、4方向のカーソルボタンとテンキーも搭載する。さらに液晶のすぐ下に3つの「ファンクションボタン」があり、液晶内の下部に表示されるメニューを選ぶことが出来る。ボタン操作ではあるが、ファンクションボタンをはじめ、基本的なキーが過不足無く配置され、比較的使いやすい。またタッチパネル液晶で無いため必然的にテンキーが物理キーとなるため、ファクスを多用する場合は使いやすいだろう。
 TR4530は2行のモノクロ液晶と操作パネルを、本体上面の右側に、縦長に配置される。液晶はわずかに角度が付けられているが、ボタン類を含めてほぼ真上を向いており、低い位置からでは操作が難しいといえる。液晶もモノクロというだけでなく、バックライトが無いため、暗い場所では見づらく、また漢字は表示できるものの、2行の文字表示は、PX-M650FMAXIFY MB2130のカラー液晶にグラフィカルな表示が行われるものと比べるとかなり劣ると言える。操作ボタンは液晶下に「戻る」「左右カーソル」「OK」ボタンが並び、その下に、「ファクス」「コピー」「スキャン」「セットアップ」の各モードボタンと、「メニュー/ワイヤレスコネクト」ボタン、その下にテンキーが並び、再下段に「モノクロスタート」「カラースタート」「ストップ」が並ぶ。液晶が小さいため、ホーム画面を持たず、各モードを選ぶボタンを用意しているのは分かりやすい反面、ボタン数が多くなると言う問題がある。また、カーソルキーが左右しかなく、表示できる文字数も少ないため、どうしても設定の階層が深くなってしまい、操作が煩雑になってしまう。操作性ではPX-M650Fが最も使いやすく、次いでMAXIFY MB2130で、ここまでは使い勝手は良好だが、TR4530はかなり使いづらいと言えるだろう。
 インターフェースは3機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人にはネットワーク接続機能によりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。ただし、PX-M650Fは無線LANと有線LANに対応するが、TR4530MAXIFY MB2130は無線LANだけの対応となる。ルーターが近い場合や、壁にLANコネクタが用意されている場合、無線LANでは不安定な場合などに有線LANは重宝するため、そういった使い方を考えている人はPX-M650Fが便利だ。一方無線LANはWi-Fiダイレクト(キャノンでは名称はダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっているのも便利な点だ。なお、ファクス用に電話回線は別途接続する必要がある。
 対応OSはPX-M650FがWindows 10/8.1/8/7/Vista/XPに対応しているのに対して、MAXIFY MB2130はWindows XPには非対応となる。MacOSの対応も、PX-M650Fは10.6.8以降、MAXIFY MB2130は10.8.5以降と違いがある。さらに、TR4530はWinodws 7のSP1以降のみ対応で、Windows 8にも非対応(Windows 8.1には対応)、MacOSも10.10.5以降で、しかも専用ドライバーが用意されずAirPrintを利用する。インク残量確認や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。使用するパソコンのOSには注意したいところだ。耐久枚数はPX-M650Fが5万枚をうたっており、一般的な家庭用プリンターが1万〜1万5000枚である事を考えるとかなり高耐久に作られている安心感がある。MAXIFY MB2130もビジネス向けをうたっているため、ある程度高耐久である事は予想されるが具体的な数値は出ていない。TR4530は家庭用の機種をベースにしているため、それほど高耐久で無いことが予想される。
 本体サイズを見てみよう。コンパクトさが追求される家庭向けプリンターと比べて、ビジネスプリンターは速度や給紙枚数の多さ、高耐久性が求められるため、大型になりがちだ。家庭用複合機の上位機種EP-882Aの場合349×340×142mmとなっており、これと比較してみよう。PX-M650Fは425×360×230mmと全体的に大きい。とはいえ、、設置面積は意外と大きくはなく、横幅は一昔前の家庭用複合機より小さく、奥行きもEP-882Aより2cm大きいが、前面給紙カセットと操作パネル部だけが飛び出ており、見た目はそれほど大きくない。高さはADFを搭載していることもあって仕方が無いが、それでも230mmというのは小さめな方だ。TR4530は435×295×189mmと横幅はPX-M650Fよりやや大きいが、奥行きはEP-882Aよりも小さい。ただし、用紙の給紙方法がカセット式では無くトレイ式なので、用紙をセットする場合はトレイが前に飛び出すため、奥行きは411mmになる。またADFのトレイが開閉式で、使用時は231mmになるため、使用時はPX-M650Fよりやや大きくなる。残るMAXIFY M\B2130はかなり大柄だ。463×389×260mmとPX-M650Fと比べても一回り大きい印象だ。しかも、このサイズは前面給紙カセット縮めた状態で用紙をセットする事ができない。A4用紙をセットした状態で置いておくとすると、奥行きは459mmになってしまう。こちらもADFは開閉式なので、A4用紙をセットしADFを展開すると、463×459×298mmとなる。PX-M650Fと違い、前面に液晶などが搭載されておらず完全な「面」なのも圧迫感がある。そMAXIFY MB2130は設置面積はPX-M650Fと比べて63%も大きく、かなり不利だと言えるだろう。



 この3機種から選ぶに当たって、まず何を重視するかによって機種が決まってくる。例えば写真印刷もしたいというなら、染料インクを使うTR4530がオススメだ。ただし操作性や印刷速度、インクカートリッジがカラー一体形であるなど、他の2機種より劣る部分は多い。印刷枚数は少ないが、とりあえず、写真も文書もファクスも使えるプリンターを安く手に入れたいなら、TR4530もありだろう。文書メインならPX-M650FMAXIFY MB2130から選ぶことになる。印刷枚数が多い、つまり印刷速度や印刷コストを重視するならMAXIFY MB2130がオススメだ。どちらもPX-M650Fと比べて圧倒的に優れている。ただし、本体が大きく、フチなし印刷が出来ない点や、普通紙以外への画質はかなり劣る点など、クセの強い機種と言える。設置スペースに問題が無く、普通紙印刷だけというのであれば良いだろう。逆にそこまで印刷速度や印刷コストは求めないが、とりあえずファクス付きで文書印刷メインのプリンターと言うことであればPX-M650Fが万人にお勧めできる。印刷速度やコストはMAXIFY MB2130ほどではないが実用的な範囲で、ファクス機能も充実、フチなし印刷も出来て、画質は劣るが写真印刷もでき、操作性は良く、本体の耐久性も高く、コンパクトと、秀でた部分は少ないが、欠点も少ない機種と言える。TR4530MAXIFY MB2130の特徴的な機能が、必要条件に合うというならそちらの機種を、そうで無いなら一般的なPX-M650Fをオススメとしたい。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


PX-M650F
TR4530
MAXIFY MB2130