2019年末時点のプリンター 〜エプソンとキャノンのプリンターを比較〜 (2020年8月15日公開)
モノクロ専用というのは、インクジェットプリンターでは珍しい分類に入るだろう。インクジェットプリンターと言えばカラープリントができるというのが一般的だが、カラープリントは一切しないというユーザーもおり、特にビジネス利用の人にはこの傾向がある。最近ではインクジェットプリンターの印刷速度や耐久性が向上し、印刷コストや電気代の面でレーザープリンターに対してメリットがある一方で、顔料インクを採用し普通紙印刷の画質と耐水性なども問題が無くなってきている。そのため、企業でもレーザープリンターからインクジェットプリンターへの置き換えが進んでいる。そんな中、レーザープリンターでは当たり前に存在しているモノクロ専用機に関してもインクジェットプリンターの存在感が増してきている。今回は、そんな中から複合機を比較する。機種数がまだまだ少ないので、5機種まとめての比較で、PX-M380F |
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【カラーのインクカートリッジを装着時】 シアン マゼンタ イエロー |
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(各色独立) |
(「挿すだけ満タン」方式・ オフキャリッジ) |
(「挿すだけ満タン」方式・ オフキャリッジ) |
(オフキャリッジ) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・ オフキャリッジ) 一体型カートリッジ(カラー) |
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新顔料ブラック/染料(カラー) |
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IP03KA(標準容量) |
341XL(カラー・大容量)/341(カラー・標準容量) |
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カラーインク未装着時は640ノズル |
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カラー:各384ノズル |
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(最速34枚/分) |
(最速39枚/分) |
(最速39枚/分) |
(最速34枚/分) |
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11.1円(標準容量) |
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5,000ページ(標準容量) |
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5,000ページ(標準容量) |
まずはインク構成であるが、モノクロプリンターなのでブラックインクのみ搭載というのが基本だ。いずれも顔料インクを採用している。家庭用カラープリンターが採用する染料インクと比べて、顔料インクは普通紙に印刷した際に、紙に染みこみにくいため、インクが広がりにくく、クッキリとした印刷が行えるというメリットがある。小さな文字や中抜き文字、細かい図面などでも潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。顔料インクは写真用紙に印刷した際に発色が悪かったり、紙の光沢感が薄れてしまうデメリットもあるが、モノクロ専用機で写真印刷をするという人もいないだろう(そもそも写真用紙には対応していない)。また、一部インクジェット用の用紙で染料インク専用のものもあるが、アイロンプリント紙やフィルム用紙と言った特殊な用紙が多いため、特に問題は無いだろう。それよりも、普通紙印刷がメインと思われるため、普通紙の印刷画質の高さと高耐水性の方がメリットが大きいハズだ。さて、5機種の中で特殊な機種があり、それがGM4030 印刷画質を見てみよう。最大解像度はPX-M380F 印刷速度を見てみよう。エプソンは最速値も同時に公表しているが、一般的にはipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)が比較しやすい。PX-M380F また、ipm値は印刷が連続で行われた場合の速度だが、少量の印刷をする場合に、1枚目の印刷時間も気になるところだ。エプソンはファーストプリントの速度として公表している。PX-M380F 印刷コストに関係する、インクの方式を見てみよう。PX-M380F 残るPX-M380F ちなみにPX-M270FT |
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(用紙幅64mmまで対応) |
(最小サイズ54×86mm) |
(最小サイズ54×86mm) |
(最小サイズ89×127mm) |
(対応用紙は普通紙・ハガキ(光沢タイプでないもの)、封筒のみ) |
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(セット可能枚数(普通紙/ハガキ)) |
(80枚/30枚) |
(1枚/1枚) |
(1枚/1枚) |
(100枚/30枚) |
(100枚/40枚) |
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(250枚/50枚) 【増設カセット(オプション)】 普通紙のみ (550枚/−) |
89×127mm以上 (250枚/30枚) |
89×127mm以上 (250枚/30枚) |
普通紙のみ (250枚/−) |
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続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は最大サイズは5機種ともA4だが、最小サイズには違いがある。PX-M380F 対応用紙にも差がある。普通紙や郵便はがき、インクジェット郵便はがき、封筒に対応するのは5機種共通だ。ただ、GM4030 給紙に関しても、それぞれに特徴がある。一番シンプルなのはPX-M160T もう一つ、排紙方向についても違いがある。インクジェットプリンターの場合、ほとんどの機種は前面排紙だ。PX-M380F ちなみに、排紙トレイは、PX-M160T PX-M380F |
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その他、プリントの付加機能を見てみよう。まず自動両面印刷機能に関してはPX-M160T PX-M380F |
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続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は5機種とも1200dpiのCISスキャナーを搭載しており同等だ。家庭向けのカラープリント対応機種にはもっと高解像度の機種があるが、紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分といえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる。なお、5機種ともCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。PX-M380F また、PX-M270T |
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ダイレクト印刷機能を見てみよう。とはいえ5機種ともメモリーカードスロットは搭載せず、PX-M380F |
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Android 5.0以降 |
Android 5.0以降 |
Android 5.0以降 |
Android 5.0以降 |
Android 4.4以降 |
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(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
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スマートフォンとの連携機能も5機種とも搭載しており、iOSと、Android端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、5機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、PX-M160T また、GM4030 クラウドとの連携機能も全機種とも搭載されている。プリントの場合、オンラインストレージのファイルにアクセスし印刷する事ができる。またGM4030 さらにネットワークを利用したプリント機能として、エプソンの4機種は、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれら機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。さらに、PX-M380F |
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濃度調整 背景除去機能 コントラスト調整 シャープネス調整 |
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影消しコピー パンチ穴消しコピー ソート(1部ごと)コピー |
影消しコピー パンチ穴消しコピー ソート(1部ごと)コピー |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、5機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。PX-M380F また、PX-M160T バラエティコピー機能を見てみよう。PX-M380F もちろん、ADFを搭載するPX-M270T |
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8dot/mm×7.7本/mm(精細) 8dot/mm×15.4本/mm(高精細) 16dot/mm×15.4本/mm(超高精細) |
8dot/mm×7.7本/mm(精細) 8dot/mm×15.4本/mm(高精細) 16dot/mm×15.4本/mm(超高精細) |
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ファクス機能はPX-M380F ダイヤル機能としては、両機種ともアドレス帳機能を搭載、PX-M380F このように両機種は基本的な機能は似ているが、PX-M380F |
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(75度角度調整可) |
(90度角度調整可) |
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(75度角度調整可) |
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5GHz対応 (Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(ダイレクト接続対応) |
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MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
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操作パネルは機種によって位置や液晶の大きさ、操作性に大きな違いがある。それでは、それぞれグループ分けして見ていこう。PX-M380F 続いて取り付け位置だが、PX-M380F 操作方式にも違いがある。PX-M380F このように、操作パネルには大きな差があるが、やはり大型液晶でタッチパネル、角度調整が可能なPX-M380F インターフェースは5機種ともUSB2.0に加えて、有線LANと無線LANに対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には有線・無線LANによりどのパソコンでもプリントできるのは非常に便利だろう。無線LANだけでなく有線LANにも対応しているため、ルーターが近い場合や、壁にLANコネクタが用意されている場合、無線LANでは不安定な場合などに重宝する。一方無線LANはPX-M160T 対応OSはエプソンの4機種はWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。Windows 10などの最新OSだけでなく、マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、GM4030 本体サイズを見てみよう。PX-M380F 最後に、耐久枚数を見てみよう。PX-M380F 5機種はモノクロ複合機という点では同じだが、それ以外の部分では独自性が多く、それが選ぶ上での決め手となるだろう。まず、モノクロがメインだが、いざという時カラープリントをする可能性があるというのであればGM4030 では、カラープリントやファクス機能が不要な場合を考えてみよう。GM4030 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ |
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