2020年春・夏時点のプリンター 〜エプソンとキャノンのプリンターを比較〜 (2020年11月27日公開)
ファクス機能付きA4複合機の中で、インクカートリッジ方式では無く、大容量タンクを搭載した複合機である。A3スキャン・A3プリント対応、A4スキャンA3プリント対応、A4スキャンA4プリント対応の機種が存在するが、今回は後者2つを同時に比較する。エプソンからは、A4スキャンA3プリント対応のEW-M5610FT |
![]() |
![]() |
![]() ![]() |
![]() |
|||
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
|||
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
|||
(DURABrite ET) |
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年) |
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年) |
新顔料ブラック |
|||
ハリネズミ(染料) |
ハリネズミ(染料) |
|||||
インクボトル(ブラック)2本 |
||||||
黒:400ノズル |
黒:400ノズル |
黒:640ノズル |
||||
(MSDT) |
||||||
(ノズル自己診断システム搭載) |
||||||
まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。4機種ともブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色構成である点は同じだ。しかし染料インクか顔料インクかという点で異なっている。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。とは言え、全色を顔料インクとすると写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れポストカードのようになってしまったり、一部使用できない用紙もある。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。 PX-M791FT 一方、普通紙印刷に特化したのがPX-M791FT 写真の画質を左右する要因の一つとして、最小インクドロップサイズがある。これはドットの大きさで、大きいと全体にザラザラした感じの粒状感が出てしまう。EW-M670FT もう一つ、インクの種類にも違いがある。もちろん発色などの面でも違いがある可能性はあるが、この点ははっきりと示されているわけではない。ただ、インクの耐保存性に違いがある。家庭用の6色プリンターの場合、エプソンは「つよインク200」という名称で、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年をうたっており、キャノンも「ChromaLife 100」という名称で、アルバム保存100年をうたっている。しかしEW-M5610FT ちなみに、印刷速度にも特色がある。まず写真印刷速度を見てみると、EW-M670FT 一方、文書の印刷速度は傾向が異なる。PX-M791FT エコタンク・ギガタンクだが、いずれも2世代目のインク補充方式となっており従来より便利になっている。1世代目の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。それに対して2世代目では、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらにエプソンの3機種は「挿すだけ満タンインク方式」という名称になっており、先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無く、より安心感が増している。G7030 ちなみに印刷コストだが、4機種ともエコタンク・ギガタンク方式と言うこともあって印刷コストは非常に安い。ただしPX-M791FT ちなみにインクボトル1本でインクタンクが満タンになる。満タン状態からカラー文書を印刷した場合、エプソンの3機種はカラーインクが6,000ページ、ブラックインクが7,500ページ、G7030 ちなみに、同梱のインクボトルは、4機種とも別売りのインクボトルと同じものが1セット付属するため、購入時はまずインクタンクを満タンの状態にする事が出来る。G7030 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
(用紙幅64mmまで対応) |
||||||
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
L判・64mm幅〜A4 (50枚・20枚・20枚) |
名刺〜A3ノビ (20枚・1枚・1枚) |
名刺〜A4 (100枚/40枚/20枚) |
|||
L判〜A4 (250枚/65枚/50枚) 【カセット下段】 A5〜A4 普通紙のみ (250枚/−/−) |
L判〜A4 (250枚/30枚/20枚) |
L判〜A4 (250枚/30枚/20枚) |
A5〜A4 普通紙のみ (250枚/−/−)( |
|||
用紙サイズ自動検知機能搭載 |
||||||
続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、最大サイズはEW-M5610FT 給紙に関しても違いがある。EW-M670FT 背面給紙はEW-M670FT 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットの場合は用紙を挿し込んだ際に、背面給紙の場合は、PX-M791FT |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
印刷速度 |
||||||
その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は4機種とも搭載している。EW-M5610FT 一方、BD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能などは4機種とも搭載しない。写真の自動補正機能としては、エプソンの3機種はは「オートフォトファイン!EX」、G7030 自動電源オン機能はG7030 エプソンの3機種が持つ便利な機能が、廃インクタンク(メンテナンスボックス)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、G7030 |
|
||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は4機種とも1200dpiとなっており差は無い。インクカートリッジ方式の上位機種にはもっと高解像度の機種があるが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点も共通だ。 4機種ともファクス機能を搭載してる事もあって、ADFを搭載している。ADFは原稿を複数枚セットすると、順番にスキャンしてくれる機能で、複数原稿のコピーやファクス時に重宝する。このうちPX-M791FT |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
(外付けHDD対応) |
||||||
赤目補正 |
||||||
ダイレクト印刷を見てみよう。とはいえ、機能を搭載しているのはPX-M791FT |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
EPSON Smart Panel |
EPSON Smart Panel |
|||||
Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) Android 5.0以降 Android 4.4以降 | ||||||
(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
||||
スマートフォンとの連携機能も4機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、両機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、EW-M670FT また、4機種ともスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。2020年7月現在でエプソンの3機種は、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。G7030 クラウドとの連携機能も4機種とも搭載している。クラウドからのプリントは4機種とも対応だ。オンラインストレージのファイルを印刷したり、SNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またG7030 さらにネットワークを利用したプリント機能として、エプソンの3機種は、印刷したい写真や文書を本機にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンした画像を離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれら機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。一方のG7030 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
濃度調整 背景除去機能 コントラスト調整 鮮やかさ調整 色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別) シャープネス調整 色相調整 |
||||||
影消しコピー パンチ穴消しコピー ソート(1部ごと)コピー |
影消しコピー パンチ穴消しコピー |
影消しコピー パンチ穴消しコピー |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
コピー機能を見てみよう。4機種とも単純な等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物を搭載している。さらに、2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。PX-M791FT バラエティコピー機能を見てみよう。エプソンの3機種は、免許証などのコピー時に、裏と表を2回スキャンすると、1枚の用紙に上下に並べてコピーできる「IDコピー」、本などをコピーした際の中央部の浮いてしまう部分や、分厚い原稿の周囲に出来る影を消してくれる「影消しコピー」と、パンチ穴を消してコピーする「パンチ穴消しコピー」など文書コピーに便利な機能を備える。それに加えて、PX-M791FT ちなみにADFを利用して複数枚の原稿をコピーする場合、その速度には大きな差がある。PX-M791FT |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
8dot/mm×7.7本/mm(精細) 8dot/mm×15.4本/mm(高精細) 16dot/mm×15.4本/mm(超高精細) |
8dot/mm×7.7line/mm(精細) 8dot/mm×7.7line/mm(写真) |
8dot/mm×7.7line/mm(精細) 8dot/mm×7.7line/mm(写真) |
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン) 8dot/mm×7.7本/mm(写真) 300×300dpi(ファインEX) |
|||
ファクス機能は搭載している機能はほぼ同等だが、細かなところで違いが出ている。4機種ともスーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85本/mmの標準モード、8dot/mm×7.7本/mmの精細モード/ファインモードは4機種共通だ。PX-M791FT 受信したファクスはPX-M791FT ダイヤル機能としては、4機種ともアドレス帳機能を搭載、PX-M791FT さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能自体は4機種とも搭載しているものの、G7030 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
(角度調整可) |
(80度角度調整可) |
(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
|||
(角度調整可) |
(80度角度調整可) |
(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
|||
5GHz対応 (Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(ダイレクト接続対応) |
|||
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
Mac OS 10.11.6〜(AirPrint利用) |
|||
液晶ディスプレイと操作パネルを見てみよう。4機種とも本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。G7030 しかし、操作パネルと液晶ディスプレイには大きな差がある。PX-M791FT インターフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンは名称はダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、壁にLANコネクターがある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。さらに、PX-M791FT 対応OSは差が大きい。エプソンの3機種はWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、G7030 本体サイズを見てみよう。PX-M791FT 4機種は同じエコタンク・ギガタンク方式でFAX機能を搭載した複合機ではあるが、3つに分類される。まずとにかく高性能なPX-M791FT (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
|
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |