2020年末時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2021年3月5日公開)
2万円前後のこのクラスは、上位モデルと比べると多少機能が省かれる物の、まだまだ高性能な一方、購入しやすい価格になっている。エプソンはEP-813A、キヤノンはPIXUS TS7430がこの価格帯となるが、価格はそれぞれ24,500円と19,580円となっている。さらにブラザーで唯一のファクス機能非搭載の複合機(ファーストタンク方式は除く)であるDCP-J987Nもこの価格帯で19,500円となる。コレを見るとEP-813Aの価格が高く見えるが、この価格の他社製品が無く、比較的近いこのクラスで比較するしかないという事に加え、元々は同じクラスの製品であるため店頭ではもう少し近い価格設定が予想されるためだ。EP-813AとPIXUS TS7430は上位モデルからどの機能を省くかという選択がメーカーによって異なっており、DCP-J987Nはブラザーという事で搭載する機能に特徴がある。結果的に3機種は、上位モデルよりも個性が強く出ており様々な点で違いが出ている。どういった違いがあるのか見ていこう。 |
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シアン ライトシアン マゼンタ ライトマゼンダ イエロー |
染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
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(つよインク200) |
(ChromaLife100) |
(アルバム保存100年/耐光性50年) |
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380/381(標準容量) 380s/381s(小容量) |
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Y/染料BK:各512ノズル |
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(税別) |
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まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。写真の印刷画質を見てみると、EP-813Aは6色インクで最小インクドロップサイズは1.5pl、印刷解像度は5760×1440dpiであり、非常に高画質な印刷が可能だ。これは上位モデルEP-883Aと同等であり、EP-883Aの方がインクが改良された分の僅かな差があるだけで、ほぼ同等画質と言える。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に、ライトシアンとライトマゼンダを搭載しており、いずれも写真印刷向けの染料インクとなる。染料インクは写真印刷時の発色が良く、写真用紙本来の光沢感も素直に出るため、写真印刷に向いている。さらにライトインクを使う事で、カラー原稿の色の薄い部分での粒状感が抑えられる。一方、PIXUS TS7430は5色インクとなる。染料インクのブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色と顔料ブラックインクを搭載する。写真印刷時は基本の4色だけでの印刷となるため、6色印刷のEP-813Aと比べると一歩劣る事になる。また、印刷解像度は4800×1200dpiとやや低く、最小インクドロップサイズも非公開ながら2pl程度と言われているため、粒状感の面でもやや劣ることとなる。DCP-J987Nは4色インクでブラック、シアン、マゼンダ、イエローとなる。PIXUS TS7430と似ているように思えるが、こちらはブラックが顔料インク、カラー3色が染料インクとなり、染料インクのブラックが搭載されない。そのため写真印刷はカラー3色で行うことになり、ブラックインクが使えない。黒色はカラー3色を重ねて表現するが、完全な黒にはならず濃い茶色や濃いグレーにしかならない。全体にコントラストが低く感じられる他、影部分の表現など、暗い色の中の表現力で劣る。最小インクドロップサイズは1.5plで、印刷解像度も1200×6000dpiとPIXUS TS7430を上回るが、ブラックインクが使えないという影響が大きく、3機種中最も画質が劣る。EP-813Aは非常に綺麗で、PIXUS TS7430でも十分綺麗に印刷できるが、DCP-J987Nはあまり写真印刷向けとは言えない。またこれは年賀状の通信面の印刷画質にも共通するため、年賀状を綺麗に印刷したいなら、EP-813Aか、せめてPIXUS TS7430の方が良いだろう。 一方、文書の印刷画質では傾向が大きく異なる。写真印刷に向いている染料インクは、普通紙に印刷すると用紙上でインクが広がり、文字や線などが太くなる他、小さな文字や中抜き文字が潰れてしまうことがある。発色も弱くなり、水に濡れると滲んでしまうというデメリットがある。その点、顔料インクなら普通紙にもメリハリのある印刷が行える他、耐水性も高い。EP-813Aは全色染料インクであるため、普通紙印刷の画質は並だ。それに対して、PIXUS TS7430とDCP-J987Nは顔料ブラックを搭載しているため、ブラックインクを使用する部分に限ってだが、普通紙に高画質印刷が行える。黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを混ぜて作る場合があるし、背景色があるなどカラーの中に混ざっている場合も染料ブラックや染料カラーが使われる場合もあるなど、必ずしも顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、コピーや文書印刷では全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。一方、EP-813Aも、細線強調機能や文字くっきり機能を搭載し、普通紙では苦手な写真も色鮮やかになるようドライバーレベルで文書印刷画質を高めているため、染料インクとしては高画質で、PIXUS TS7430やDCP-J987Nとの差は縮まっているが、やはりPIXUS TS7430やDCP-J987Nの方が高画質だ。ちなみにPIXUS TS7430とDCP-J987Nの比較では大きな差は無い。DCP-J987Nの方が最小インクドロップサイズが小さい(と予想される)が、染料ブラックを使う箇所ではPIXUS TS7430の方が有利であるためだ。 最小インクドロップサイズは非常に小さいが、EP-813AはAdvanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しており、一方PIXUS TS7430もノズル数を多くすることで高速化を図っているため、L判写真フチなし印刷速度はEP-813Aが13秒、PIXUS TS7430が18秒と、上位モデルと同等となっている。DCP-J987Nはノズル数などは非公開ながら、L版フチなしが14秒と、同等クラスとなっている。一方、普通紙への印刷速度はEP-813Aでは公表されていないため比較することはできないが、PIXUS TS7430はカラーが10ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが15ipmとなっており、こちらも上位モデルと同等だ。DCP-J987Nはカラーが10ipm、モノクロが12ipmと、カラーは同等、モノクロはやや劣るが十分高速だ。両機種とも家庭用プリンターとしては非常に高速な部類に入る。 使用するインクはEP-813Aは「つよインク200」である。アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となる。一方、PIXUS TS7430は「ChromaLife100」でありアルバム保存100年、DCP-J987Nは名称はないがアルバム保存100年、耐光性50年を実現している。3機種とも十分なレベルの耐保存性を持ったインクであるが、EP-813Aはアルバム保存の年数が最も長く、耐オゾン性なども明言されており、一歩上回る印象だ。一方PIXUS TS7430は耐光性の表記も無く、飾った場合などの色あせが気になるところだ。ちなみに、3機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる。 印刷する上で、印刷コストも気になるはずだ。EP-813AはL判写真1枚29.5円、PIXUS TS7430が17.3円、DCP-J987Nが18.6円と大きな差がある。EP-813Aは上位モデルと異なり割安な大容量インクがないだけで無く、標準容量と比べても割高となっており、EP-883Aと比べて印刷コストは9円近く上がっている。一方、PIXUS TS7430は上位モデルと同じ大容量・標準容量・小容量の3種類の容量が用意される事に加え、上位モデルと比べてインクが1色減っていることもあって印刷コストはやや下がっている。DCP-J987Nもインクカートリッジが安価なこともあって印刷コストや低めだ。結果的に、PIXUS TS7430とDCP-J987Nは近いのに対して、EP-813Aだけ10円以上の差となっている。ちなみに、写真の印刷コストには、写真用紙代が含まれているが、これは各社の純正用紙の価格となっている。EP-813AとPIXUS TS7430は約4.3円、DCP-J987Nは約3.8円となっている。インク代を除くと、EP-813AはL判写真1枚25.2円、PIXUS TS7430が13.0円、DCP-J987Nが14.8円となる。A4カラー文書の印刷速度もEP-813Aの17.1円に対してPIXUS TS7430が9.6円、DCP-J987Nが8.4円と開きがある。印刷枚数が多い場合はPIXUS TS7430やDCP-J987Nの方がコストを気にせず使えるだろう。ちなみに、PIXUS TS7430の大容量に関しては5色セットはなく、印刷コストも標準容量と変わらない事から、一般的には標準と小容量を使うこととなる。L判写真は標準は17.3円だが、小容量で23.7円であり、これでもEP-813Aよりはかなり安い。 |
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(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
(1枚/1枚/1枚) (0.6mm厚紙対応) |
(100枚/40枚/20枚) |
(1枚/1枚/1枚) (0.52mm厚紙対応) |
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(100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 2L/B6以下 (−/20枚/20枚) |
普通紙のみ (100枚/−/−) |
(100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 L判/ハガキ/ポストカードのみ (−/20枚/20枚) 手動切り替え |
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続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。給紙に関しては、EP-813AとDCP-J987Nが似ており、PIXUS TS7430が異なっている。EP-813AとDCP-J987Nは前面給紙を基本としており、大小2段のカセットとなっている。上段にL判やハガキサイズなどの小さな用紙を、下段にはA4やB5といった大きな用紙をセットするようになっている。完全に本体に収納可能なので、用紙をセットしたままにしてもホコリがかかるなどの心配がないのはメリットだ。下段にA4普通紙が100枚、上段に写真用紙やハガキなら20枚までセット可能だ。また、前面給紙・前面排紙と言うことで気になるのが、厚紙やラベル用紙、封筒などの2重になった紙への対応である。前面給紙カセットでも問題ない事になっているが、前面から給紙して前面から排紙するため、内部で180度曲げられてしまうのは少し心配だ。そこで、簡易的ながら背面給紙も行える。用紙をセットしておけるような大型のものではなく、1枚ずつの「手差し」という形となるが、いざという時に役に立つ。EP-813Aは上面の最も奥、DCP-J987Nは背面にある小さなカバーを開けて、用紙を支える小さな「用紙サポート」又は「用紙サポーター」を引き出せるだけだ。前面給紙では上手く給紙出来ない用紙の場合だけで無く、前面給紙カセットにセットした用紙と異なる用紙を数枚だけ印刷したい場合に、わざわざ入れ替える手間無く印刷することが出来る。また、通常の給紙カセットや背面給紙では0.3mm厚の用紙までの対応だが、背面手差し給紙では、EP-813Aは倍の0.6mm厚、DCP-J987Nも0.52mm厚まで対応しており、通常より厚い紙でも印刷できる。ちなみに、写真店に依頼した場合のような写真貼り合わせの年賀状の宛名面印刷はEP-813Aのみ正式対応している。非常に似ている両者だが、異なる点もある。まず前面給紙カセットの上下段の切り替えだが、EP-813Aは自動切り替えだ。使用する用紙やサイズによって自動的に切り替えられる。印刷設定から使用するトレイを指定することも出来る。自動切り替えであるため、ハガキや写真用紙などを上下段とも入れて大量給紙に対応することも出来る。下段はハガキなら40枚、写真用紙なら20枚なので、上下段合わせてハガキなら60枚、写真用紙なら40枚まで、入れ替え無しで印刷が可能なのは便利だろう。一方、DCP-J987Nの切り替えは、手動だ。上段のトレイを奥にスライドさせると上段から、手前にしておくと下段から給紙される。目視で確認するしか無いため、間違えてしまうと、異なった用紙に印刷をしてしまうのは不便だ。また、EP-813Aと同じく下段にもハガキや写真用紙をセット可能で、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までとなるが、上下段の切り替えは手動なので、上下段を連続で使用する事はできず、ハガキなら最大40枚となる。また、下段は写真用紙の場合、EP-813AはL判にも対応するが、DCP-J987Nは対応せずハガキ/2L判以上となる(KGサイズには元々非対応)。逆に上段はEP-813Aは2L判もセットできるが、DCP-J987Nはハガキ/L判、ポストカードサイズのみとなる。このようにDCP-J987Nの方が制限が多く、EP-813Aの方が細かな点で使いやすいだろう。背面の手差し給紙も、上面奥側にあるEP-813では用紙がセットしやすい他、背面にスペースが無くても用紙を手で支えれば使用可能だが、DCP-J987Nでは背面をのぞき込む必要があり、トレイを開くスペースも必要となるなど、こちらも使い勝手に差があるといえる。 一方のPIXUS TS7430は前面給紙カセット+背面給紙となっている。EP-813AやDCP-J987Nと似ているようだが、こちらは前面が1段で、代わりに背面は手差しでは無く一般的な背面給紙となっている。前面にA4普通紙、背面にL判写真用紙という風に入れておけばEP-813AやDCP-J987Nと同じような使い方となる。注意点としては、前面給紙カセットは普通紙のみという事だ。そのため、ハガキや写真用紙、ファイン紙など普通紙以外の用紙は全て背面給紙を利用することとなる。一方で背面給紙は普通紙もセット可能で100枚まで、前面給紙カセットも100枚なので、合計200枚までセットできるのはメリットだ。もちろん連続で使用する事ができる。写真用紙やハガキは背面給紙のみで、ハガキは40枚、写真用紙は20枚となる。背面給紙は用紙のセット時に左右のガイドを合わせるだけで良く、セットしやすい。一方でデメリットもあり、用紙をセットするために上方に空間が必要なほか、トレイが後方に傾くため、本体の後方にある程度のスペースが必要になってしまう。また、用紙をセットしたままだとホコリをかぶってしまい、その用紙が給紙されると故障の原因になる場合があるため、使わないときは取り除くのが理想だ。普通紙以外の用紙も常にセットしておくという使い方の場合、前面カセットにセットできるEP-813AとDCP-J987Nの方が便利でだと言えるだろう。なお、背面給紙からの給紙の場合でも用紙厚は0.3mmまでで、EP-813AやDCP-J987Nのような厚紙には対応しない。逆にPIXUS TS7430はL判より小さな名刺サイズの用紙に対応する。 3機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、EP-813AやDCP-J987Nは前面給紙カセットを挿し込むと、PIXUS TS7430の背面給紙は給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。さらにEP-813AとPIXUS TS7430は用紙幅をチェックするセンサーも搭載されている。しかし、エプソンとキャノンで使い方が異なる。EP-813Aは印刷時に用紙幅をチェックし、用紙サイズが小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部が汚れるのを防ぐ機能である。一方、PIXUS TS7430は用紙セット時に用紙幅をチェックし、用紙の登録に活用する。前面給紙カセットの場合は、普通紙のみであるため、用紙種類は普通紙で確定でき、センサーによって横幅から用紙サイズが推定できるので、用紙の登録画面自体が表示されず、センサーで認識した用紙サイズを自動登録することで手間を省いている(PIXUS TS7430の用紙登録画面の自動表示の説明が背面給紙しか無かったのはこのため)。背面給紙の場合は、予測されるサイズが表示されるが、用紙の種類は認識できない事や、サイズも様々な用紙では横幅が似ている用紙の場合もあるため、登録画面が表示される。このように、用紙のセット一つでも、様々な便利機能が搭載されている。一方、DCP-J987Nで登録できるのは下段のみで、上段の用紙は登録できない。また前述のように上下段の切り替えは認識しないので、印刷設定と下段として登録した用紙が一致していれば、上段給紙になっていても、エラーとはならない点は不便だ。 一方、排紙トレイで便利なのが、PIXUS TS7430の搭載する自動開閉機能だ。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する。後述の自動電源オン機能と組み合わせると非常に便利だ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。 |
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印刷速度 |
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その他、プリントの付加機能を見てみよう。まず3機種とも自動両面印刷機能を搭載している。ただし、3機種で機能が異なる。EP-813Aが最も高性能で、普通紙だけでなくハガキやにも対応する。年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できる。それに加えて、ファイン紙の自動両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利だが、他の2機種の場合は自動両面印刷が行えなくなる。EP-813Aはファイン紙設定でも自動両面印刷が行えるため、高画質に両面印刷を考えている人には便利だ。続いて高性能なのはDCP-J987Nで普通紙とハガキに対応している。PIXUS TS7430は普通紙のみの対応でハガキには非対応だ。ハガキの両面印刷を希望する人はEP-813AかDCP-J987Nを選ぶ必要がある。 EP-813AとDCP-J987NはCD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能も搭載する。レーベル印刷のトレイを使わない時は、EP-813Aは前面給紙カセットの下、DCP-J987Nはスキャナの原稿押さえのすき間に収納できるようになっている。ただしDCP-J987Nはレーベル印刷時は背面にトレイが一端飛び出るため、10cm以上のスペースが必要となる。写真の自動補正機能はEP-813AとPIXUS TS7430が搭載しており、EP-813Aは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS TS7430は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。EP-813Aはパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。 自動電源オン機能もEP-813AとPIXUS TS7430が搭載している。自動電源オンは、印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LAN(Wi-Fi)接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、両機種とも排紙トレイが引き出された状態でないと印刷は実行されない。EP-813Aでは、排紙トレイを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。排紙トレイを出したままにしておけば自動的に印刷が行われるが、いささか不便だ。この点はPIXUS TS7430は排紙トレイが自動で伸張されるので、完全に印刷まで自動化されている。離れた場所からのプリントがメインならPIXUS TS7430は便利だろう。指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる「自動電源オフ」は3機種とも搭載しているため、電源オンのままにしてしまう事も無い。特にEP-813AとPIXUS TS7430は自動電源オン機能があるので、自動で電源が切れても、印刷時に自動で電源がオンになるため、入れっぱなしにする必要が無いといえる。 EP-813Aの便利な機能が、フチなし吸収材エラー時の印刷継続機能だ。インクジェットプリンターのインクの吸収材は2種類あり、1つはクリーニングの際などに排出されるインクを貯める廃インクタンク(メンテナンスボックス)だが、こちらは上位モデルと異なり、満タンになると印刷が完全に止まってしまい修理対応となる。この点は3機種とも同じだ。もう一つは、フチなし吸収材だ。フチなし印刷は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまう事から、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、PIXUS TS7430やDCP-J987Nはプリントが完全に止まってしまうが、EP-813Aはフチあり印刷に関しては継続ができるようになっている。急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるため便利な機能だ。 |
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(216×297mm) |
(216×297mm) |
(215.9×297mm) |
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ADF使用時は1200×600dpi |
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続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は3機種とも1200dpiで同等だ。上位モデルより解像度が下がっているが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当となる点から見ても、十分だと言えるだろう。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。 DCP-J987Nだけの機能としてADFを搭載していることが挙げられる。複数の原稿を連続でスキャンできる機能である。20枚までで片面のみのスキャンと最低限の機能だが、スキャンやコピーの際に重宝するだろう。また、ADFを使用した場合、長さ355.6mmまでスキャンが出来るので、A4用紙より少し長い原稿もスキャンできる。ただし、ADF使用時の読み取り解像度は1200×600dpiとなる。CISセンサーは1200dpiの機能を持っているので、A4の短辺方向には1200dpiでスキャンできるが、ADFではセンサーは固定され原稿の方が移動する形となるため、そちらの精度が600dpiまでしか対応していないという事になる。こちらも問題にはならないだろう。 逆にEP-813AとPIXUS TS7430が搭載しているのは原稿取り忘れアラームだ。コピーやスキャン後に原稿を取り忘れることはよくあるが、その場合に音とメッセージで警告してくれる。また、EP-813AとDCP-J987Nはスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリーカードに保存する機能を搭載しているためパソコン無しで簡単にスキャンができる。 |
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(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) |
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フチあり/フチなし 赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) |
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フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 |
ダイレクト印刷を見てみよう。これはEP-813AとDCP-J987Nが対応している。対応メモリーカードはSDカードのみとシンプルだが、最近のデジタルカメラやスマートフォンは一部の一眼レフなどを除きSDカードかその小型版のmicroSDになっており、問題はないだろう。また両機種ともSDカードだけでなくUSBポートを備えておりUSBメモリーからの印刷にも対応しているのも便利だ。さらにEP-813AはUSBポートには外付けハードディスクや、外付けDVDドライブなども接続可能で、これらからの写真印刷も行える。また、USBポートにパソコン用のメモリカードリーダーを接続すればSDカード以外のメモリカードにも対応できるなど、対応は幅広い。EP-813AはSDカードからUSBメモリーや外付けハードディスクへのバックアップ機能も搭載しており、パソコン無しでデジカメの写真の印刷からバックアップ、そしてバックアップした写真の印刷までが行える訳である。 写真印刷時の機能にも違いがある。EP-813AとDCP-J987Nで共通しているのは、フチあり、フチなしの選択と、明るさ調整、コントラスト調整である。EP-813Aはそれに加えて、一部を拡大して印刷するトリミング機能や、赤目補正、シャープネス調整、鮮やかさ調整、さらいモノクロとセピアのフィルターも搭載される。EP-813Aは前述の自動写真補正機能「オートフォトファイン!EX」も使用できるため、自動でかなり高精度に補正されるが、さらに好みの色合いに調整することが可能だ。また、EP-813Aは手書き文字や絵と写真を合成して印刷できる「手書き合成シート」にも対応している。手書き文字やイラストと写真を組み合わせた写真や年賀状などが作成できる。このようにダイレクト印刷機能はEP-813AとDCP-J987Nの両機種が対応しているが、画質面でだけでなく、各種機能面でもEP-813Aは使いやすくなっている。 ちなみに、デジタルカメラからの操作で写真印刷を行うPictBridgeはEP-813AとPIXUS TS7430が対応しているが、EP-883AはUSB接続とWi-Fi接続の両方式のPictBridgeに対応しているのに対して、USBポートを省略したPIXUS TS7430ではWi-Fi接続のPictBridgeにしか対応しない点は注意が必要だ。 EP-813Aはその他にも単体で様々なプリントが行える。塗り絵風の輪郭だけの「塗り絵印刷」機能や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカードなどが印刷できる「フォーム印刷」機能、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」機能、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、写真を1〜数枚並べたフォトブックを印刷する機能を搭載する。背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」も行えるほか、写真を1枚又は複数枚並べて、「ディスクのレーベル面」と「CDジャケット」を印刷する事も可能だ。PIXUS TS7430やDCP-J987Nにはこういったプリンター単体で印刷する機能も一切搭載していない。ダイレクト印刷機能はEP-813Aの圧勝と言えるだろう。 |
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EPSON Smart Panel |
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Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) |
Android 4.4以降 |
Android 4.03以降 |
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(OneDriveはアプリからのみ) |
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スマートフォンとの連携機能も3機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、両機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、3機種とも手軽に接続出来る工夫がなされている。iOSの場合はEP-813AとPIXUS TS7430が簡単設定に対応する。両機種とも本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了するという方式だ。セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無いため非常に簡単だ。一方、Androidの場合は3機種とも簡単設定が行えるがそれぞれ方法が異なる。EP-813Aはアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、プリンター本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で、iOS同様に非常に簡単だ。PIXUS TS7430はBluetoothを利用するが、Bluetoothで直接印刷データーを送信するのではなく、接続自体はWi-Fiだが、あらかじめBluetoothでペアリングしておけば、Wi-Fiダイレクトの設定が簡単に行えるというものだ。ただし、EP-813Aと比べると事前にペアリング設定が必要で、Bluetoothの接続設定とWi-Fiの接続設定の2段階となり使い勝手は劣るためか、本体とスマホ用アプリ上の両方で設定メニューはかなり奥にあり、メーカー側でも積極的に機能を薦めているわけではないようだ。DCP-J987NはNFCを利用する。NFCに対応したスマートフォンを液晶左にあるNFCロゴの上にタッチすれば自動的に接続されるため、こちらも非常に簡単だ。ただし、スマートフォンがNFCに対応している必要があるなど、対応機種がやや限定される。この点で見ると、iOSはEP-813AとPIXUS TS7430が便利、Androidは機種が限定されず手軽なEP-813Aが便利だろう。 さらに、EP-813Aにはスマホからプリンターの初期設定を簡単に行える機能も搭載する。アプリ上で「新規セットアップ」を選択し、初期設定を行っていないEP-813Aの電源をオンにすると、EP-813Aが一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用してEP-813Aに自動接続される。そして、設置からインクの取り付け方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にEP-813Aをスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。ユーザーが行わなければならないインクの取り付けなどの手順が非常に分かりやすいほか、自動的にネットワークの設定まで行われるので、初期設定のハードルは非常に低いと言える。 EP-813AとPIXUS TS7430はスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。PIXUS TS7430はLINE Clova対応端末にも対応している。2020年12月現在でEP-813Aは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。PIXUS TS7430はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のもの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。 クラウドとの連携機能は3機種とも搭載している。プリントの場合、各種オンラインストレージにアクセスしてファイルを印刷する事ができる。またEP-813AとPIXUS TS7430はSNSの写真を印刷する事ができ、その際コメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS TS7430は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、EP-813AとPIXUS TS7430はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、DCP-J987Nはスマートフォン上だけでなくDCP-J987N本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではDCP-J987Nが便利だ。 一方、スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。ここでもアプリ上のみか、プリンター本体でも行えるかという違いがあるが、プリントと異なりEP-813AとDCP-J987Nが両対応、PIXUS TS7430はスマートフォン上でのみ対応する。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため、スキャンした内容をクラウドにアップするのがメインの使い方なら、EP-813AかDCP-J987Nの方が便利だ。 さらにネットワークを利用したプリント機能も各種搭載している。まず、印刷したい写真や文書を添付したメールをプリンターのメールアドレスに送信すると自動で印刷できる機能はEP-813A(メールプリント)とDCP-J987N(Eメールプリント)が対応している。各種画像ファイル、PDF、オフィス文書ファイルとメール本文のプリントに対応している。一方、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真や文書を送信すると印刷される機能はEP-813A(LINEアプリからのプリント)とPIXUS TS7430(PIXUSトークプリント)が対応している。こちらも、画像ファイル、PDF、オフィス文書に対応している。さらにパソコンからのリモートプリントにはEP-813A(リモートプリントドライバー)とPIXUS TS7430(PIXUSでリモートプリント)が対応している。しかしこの2機種では機能に大きな違いがある。EP-813Aの「リモートプリントドライバー」は、通常のプリント操作と同じ手順で、ただプリンターの選択画面でリモートプリントの方を選ぶだけだ。プリントできるソフトであれば形式を問わないし、ソフト上からプリント操作が行えるため便利だ。それに対してPIXUS TS7430の「PIXUSでリモートプリント」は一度保存したファイルを、ブラウザ上からアップロードする形となる。Windows 10でInternet Explorerからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPintに限定される。どちらかと言えば、LINEからプリントする「PIXUSトークプリント」を、LINE上で送るのでは無く、ブラウザ上から送る形にしただけと言える。普通のプリント操作のままで、ファイル形式も問わないEP-813Aの方が圧倒的に使いやすいだろう。さらにEP-813Aだけの機能として、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」にも対応する。プリンターの操作だけで紙原稿を相手に送ることが出来、簡易FAXのような使い方が可能だ。コレを見ると、リモートプリント機能に関してはEP-813Aが圧倒的に機能が豊富だといえる。 |
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濃度調整 背景除去機能 |
地色除去コピー 裏写り除去コピー インク節約モードコピー |
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IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
ブックコピー 透かしコピー ソートコピー ポスターコピー(3×3/2×2/1×2) |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、3機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。EP-813AとDCP-J987Nは原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能も搭載している。またEP-813AはCD/DVD/Blu-rayレーベルコピーにも対応する。さらに、EP-813Aは原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来、昔の色あせした写真も自動で補正してくれる「退色復元」機能も備えている。 3機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。DCP-J987Nは4枚の原稿を1枚に並べる4面割り付けも行える。コピー時には3機種とも濃度調整が行える他、EP-813AとDCP-J987Nは背景色を消すことで見やすくし、インクも節約できる「背景除去機能」又は「地色除去コピー」も行える。EP-813Aは加えて、コピー前にプレビューを行うことで、原稿のセットミスの確認が行える他、プレビューを元に拡大縮小を調整できる。一方DCP-J987Nは、裏面が透けて写るのを除去する「裏写り除去コピー」、インクを節約できる「インク節約モードコピー」に対応する。「インク節約モード」は全体に色を薄くするのでは無く、文書の文字はそのまま残しつつ、見出しなどの大きな文字や、グラフ、色囲みなどは、輪郭だけを残して内側の色を薄くすることで、見やすさを落とさずにインク使用量を減らすことができる。 その他、EP-813AはA4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付コピーする「見開きコピー」、免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、メモリーカードからのダイレクト印刷時と同じく輪郭だけの塗り絵風に変換してコピーする「塗り絵印刷」が行える他、同じ内容を2面、4面、または用紙サイズに合わせて自動的に割り付ける「リピートコピー」機能を搭載する。「見開きコピー」は通常の2面割付と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。「リピートコピー」は手書きメモやネームシールなどをコピーするのに便利だ。一方、DCP-J987NもEP-813Aの「IDコピー」と同じく「2in1IDカードコピー」が行える他、見開きの本をコピーする際に本の傾きを自動補正し、綴じ目や周囲の影を除去する「ブックコピー」、コピー文書に透かし文字を入れられる「透かしコピー」、ADFを使用して、複数部のコピーを行う場合に1部ずつプリントする「ソートコピー」、さらに1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割し、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能を搭載する。「透かしコピー」は「重要」「COPY」「社外秘」といった5種類から選べ、位置やサイズ、回転角度や透過度、文字の色も指定できる。 これを見ると、EP-813AとDCP-J987Nは機能は異なるが、様々な機能を搭載しており便利に使えるだろう。それに対して、PIXUS TS7430は基本的な拡大縮小と2面割付、濃度調整のみで、機能面ではかなり劣ると言える。 |
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(90度角度調整可) |
モノクロ有機EL |
(角度調整可) |
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(90度角度調整可) |
(度角度調整可) |
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(Wi-Fiダイレクト対応) |
(ダイレクト接続対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
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MacOS 10.6.8〜 |
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用) |
Mac OS 10.13.6〜 |
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レーベル印刷時は後方に10cm以上のスペースが必要 |
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操作パネルと液晶ディスプレイは3機種とも本体前面に取り付けられているが、3機種で大きく異なる。EP-813Aは液晶が中央に配置され、その右にタッチセンサー式のボタンが並ぶ。液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっており、最大90度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。液晶は2.7型と比較的大きめのカラー液晶で、ボタンも4方向カーソルや「+」「−」、「OK」、「戻る」と言った主要なキーを一通り備えており、操作性は悪くない。DCP-J987NもEP-813Aと同じく、前面中央に液晶が配置され、操作パネル全体を持ち上げて角度調整が出来る。水平までは調整できないが、ある程度の角度まで調整可能なので問題ないだろう。液晶サイズは2.7型とEP-813Aと同サイズながら、タッチパネルとなっている。物理ボタンは、「戻る」「ホーム」「キャンセル」のよく使う3つだけで、後はタッチパネル液晶での操作となる。EP-813Aに比べて、液晶に表示されるボタンを直接タッチして操作できるため、直感的で分かりやすい。ただし液晶の輝度と視野角はやや低めだ。一方、PIXUS TS7430は本体右に寄せて液晶が配置され、その左と下に物理ボタンが並ぶ縦長の配置だ。液晶や操作パネルは固定式で角度調整はできない。本体前面が軽く斜めになっており、前方だけで無く上の方からでも操作は可能だが、やはり角度調整できるEP-813AやDCP-J987Nと比べると見にくいと言える。また、液晶は、1.44型のモノクロ液晶である。有機ELとなっているため黒地にクッキリとした白字でコントラストは高いが、液晶が小さいことに加えてモノクロでは視認性は悪い。また、ボタンも、4方向カーソルではなく上下カーソルのみで、「+」「−」ボタンも無いなど、ボタン数が非常に少なくなっている。液晶が小さいこともあって、各種メニューの階層が深くなっており、この点でも操作性は悪くなっている。PIXUS TS7430はスマートフォンからの操作を基本としているという事で、本体から離れた場所で操作しても状態が分かるように、前面パネルの下の角、排紙トレイ部分のへこみの角の部分にライン状の「LEDのステータスバー」を搭載し、給紙中やエラー、プリント完了などが分かるようになっているが、やはり本体の操作性はEP-813AやDCP-J987Nが圧倒的に良い。 インターフェースは3機種ともUSB2.0に加えて、無線LAN(Wi-Fi)接続にも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンはダイレクト接続という名称)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。これに加えて、DCP-J987Nは有線LAN接続にも対応する。環境や距離の面で無線LANでは不安定だったり、壁にLANのコネクターがある場合、接続設定などなく簡単に接続したい場合など、有線LAN接続も選べるのは便利だろう。 対応OSはメーカーによる差が大きい。EP-813AはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、PIXUS TS7430とDCP-J987NはWindows 7 SP1/8.1/10のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSもPIXUS TS7430は10.12.6以降、DCP-J987Nは10.13.6移行と比較的新しいバージョンのみ対応する。さらにPIXUS TS7430はMacOSの場合、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、インク残量確認や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。 本体サイズを見てみよう。EP-813Aが390×339×141mm、PIXUS TS7430が376×359×141mm、DCP-J987Nが400×341×172mmとなる。DCP-J987Nの高さはADFの分だけ高くなっているとはいえ、設置面積で大きな差は無く、3機種ともコンパクトになっている。また、PIXUS TS7430は下部の方が前面給紙カセットに合わせて奥行きが大きくなっているだめ、上部の奥行きは359mmより小さくなってるため、数値よりは小さく見える。ただし、背面給紙を使用する場合、EP-813Aでは手差しであるため給紙するまで手支えてやれば、壁ギリギリでも使えるが、PIXUS TS7430は背面給紙が斜めに開く分、後方にスペースが必要だ。DCP-J987Nも背面手差し給紙は背面にあるためスペースが必要な他、レーベル印刷を行う場合は後方に10cmのスペースが必要となる。その点で見れば、実際の使用時のことを考えて設置するとなると、EP-813Aのが最も小さくて済むだろう。ちなみに本体のカラーバリエーションはEP-813AとDCP-J987Nはホワイトのみだが、PIXUS TS7430はホワイトとブラック、ネイビーの3色を用意している。 これら3機種は方向性が大きく異なるため、選びやすいと言える。この中でEP-813Aだけ価格が高いが、それだけあってさすがに機能面では一歩リードする。EP-813Aを購入すれば、大半のことでは、機能が搭載されずに困ることはないし、様々な面で高いレベルとなっている。写真や年賀状の印刷画質は非常に良く印刷も高速、用紙もセットしやすく、自動両面印刷機能も抜かりない。コピーやダイレクトプリントもただ搭載しているだけで無く、機能が他の2機種より豊富で使いやすい。ネットワークを利用したプリントも、PIXUS TS7430とDCP-J987Nの両方の機能を網羅している。操作性も悪くなく設置スペースも小さい。非常にオススメと言えるだろう。ただしEP-813Aにもいくつか弱点があるため、その部分がメインなら他の2機種となる。まず、価格面で安い方が良いという場合は、PIXUS TS7430とDCP-J987Nの方が安い。また、全色染料であるため文書印刷やコピーの画質は並であるため、そちらを重視するなら他の2機種の方がオススメだ。写真も文書も両方ならPIXUS TS7430、文書だけならDCP-J987Nがオススメだ。また、EP-813Aは印刷コストも高いため、印刷枚数が多いならPIXUS TS7430かDCP-J987Nの方が安心だ。PIXUS TS7430は液晶や操作パネルが大きく劣り、コピー機能やクラウド関係の機能でも劣るため、本体での操作をあまりせず、パソコンやスマホから使うという人にはお勧めだ。一方DCP-J987Nは本体の操作性はタッチパネル液晶なので良く、コピーやネットワークプリント、ダイレクトプリントはEP-813Aよりは細かい点で劣るとは言え一通り搭載している。問題は4色インクである事と前面給紙カセットが手動切り替えである点だろう。コピーや文書印刷がメインという人にはお勧めできる。またADFが便利に感じた場合もDCP-J987Nが良いだろう。 以上から、一般的にオススメできるのはEP-813Aだが、写真も文書も綺麗に印刷したい、印刷枚数がある程度多い、本体での機能は余り気にしないならPIXUS TS7430、文書印刷がメイン、印刷枚数がある程度多い、ADFが便利に感じるというならDCP-J987Nという選択肢もありだ。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ブラザーhttps://www.brother.co.jp/
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