2020年末時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2021年3月5日公開)
タンク方式や大容量カートリッジの複合機の中で、ファクス機能が搭載されていない機種を比較する。一度に6機種となり複雑になっているが、こういった方式が登場した当初と異なり、バリエーションが豊富になり、価格も60,000円から26,500円とバラバラだ。価格帯で分けると、60,000円以上の機種と3万円以下の機種は1機種しかない。インクが5色以上と4色で分ける方法もあるが、そもそもそこを決めるために比較するのであれば、最初から分けてしまうわけにはいかない。結果、全機種まとめて比較することとした。 エプソンからはタンク方式のエコタンク搭載モデル3機種で、6色インクのEW-M873T(60,000円)、小型のタンクを搭載する5色インクのEW-M752T(39,980円)、4色インクのEW-M630T(41,980円)となる。それに対してキャノンもタンク方式のギガタンク搭載の2機種で、EW-M630Tの直接のライバルとなるG6030(39,980円)と、下位モデルのG3360(26,500円)である。ブラザーはカートリッジ方式だが、大容量カートリッジで、タンク方式と似たコンセプトとなるファーストタンク方式のDCP-J988N(33,500円)となる。価格もインク色数も大きな違いがあるが、どのような違いがあるのか細かく見ていこう。 |
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フォトブラック シアン マゼンタ イエロー グレー |
フォトブラック(染料) シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
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(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿すだけ満タンインク方式・オンキャリッジ式) |
(挿すだけ満タンインク方式・オフキャリッジ式) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式) |
(カートリッジ方式・各色独立) |
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(つよインク) ClearChrome K2 Plus |
(つよインク) |
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性2年) |
新顔料ブラック |
(アルバム保存100年/耐光性50年) |
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タケトンボ(染料) (増量/使い切りサイズ) |
ハリネズミ(染料) |
3133(大容量) |
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インクボトル(ブラック)2本 |
インクボトル(ブラック)2本 |
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黒:400ノズル |
黒:640ノズル |
黒:640ノズル |
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(AdvancedMSDT) |
(AdvancedMSDT) |
(MSDT) |
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(税別) |
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増量4,000ページ |
大容量3,000ページ |
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増量4,000ページ |
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増量3,700ページ |
大容量1,500ページ |
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(税別) |
増量2,000円 |
大容量3,000円 |
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増量2,000円 |
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増量2,000円 |
大容量2,500円 |
まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。エコタンク・ギガタンク・ファーストタンク搭載プリンターは基本が似ており、顔料ブラックと染料のカラー3色(シアン、マゼンダ、イエロー)を採用するのは全機種共通だ。これに染料ブラックを搭載するかどうかで4色構成か5色構成か、さらにグレーインクを採用すると6色構成となる。EW-M873Tが6色構成、EW-M752Tが5色構成、EW-M630TとG6030、G3360、DCP-J988Nが4色構成だ。ちなみに、エプソンは染料ブラックを「フォトブラック」、顔料ブラックを「マットブラック」という名称としているが、ブラックが顔料しかないEW-M630Tに関しては、ただの「ブラック」となっている。顔料と染料をより区別しやすくしているだけで、特に違いがあるわけでは無い。 ここで、染料インクと顔料インクの話が出てきたが、それぞれに得手・不得手がある。染料インクは様々な用紙に対応でき、写真用紙等に印刷した際に発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため、写真印刷に向いている。一方で普通紙に印刷すると紙にしみこんで広がってしまうため、メリハリが弱くなる。その点で顔料インクならメリハリのある印刷が行え、小さな文字や中抜き文字も潰れずに印刷が可能なほか、耐水性も高いため濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まない。とは言え全色を顔料インクとすると写真用紙などに印刷した際に発色が悪いほか、用紙の光沢感が薄れ半光沢のようになってしまう上に、光沢した年賀状や光沢フィルムなど一部に顔料インク非対応の用紙もある。つまりは染料インクと顔料インクは、用紙によって向き不向きがあるわけである。エコタンク・ギガタンク搭載プリンターは顔料ブラックを搭載してるため普通紙への黒の印刷はメリハリがある印刷が行える。ただ顔料インクはブラックだけなので、黒色部分しかこの恩恵は得られない。また、黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のグレーインクを使ったりカラーインクを重ねて作り出す場合があり、背景色があるなど、カラーの中に黒が混ざっている場合も染料インクを使う場合があり、必ずしも全ての黒色部分で顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、コピーや文書印刷でそういった部分は結構多く、一部だけでも全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。 一方、写真印刷や年賀状の通信面印刷時には、染料インクが力を発揮する。ここで、4色構成と5色・6色構成で大きな差が出ることになる。5色・6色の機種は顔料ブラックと別に染料ブラックを搭載しているため、写真印刷時も黒インクを使用でき、しっかりとした黒を表現できるため、綺麗な写真が印刷できる。一方で4色構成の機種は染料ブラックを搭載していないため、カラー3色での印刷となる。黒色はカラーを重ねて作るが、どうしても非常に濃い茶色やグレーにしかならず、全体にコントラストが弱くなってしまう。これは黒髪や影、夜景などの色を見れば一目瞭然な他、影や夜景などの黒の中の微妙な表現力が劣ってしまう。その点で5色・6色インクを搭載したEW-M873TとEW-M752Tは写真印刷に向いていると言える。また、EW-M873Tはさらにグレーインクを搭載しており、グレーをベースにすることで、より粒状感を低減できる。またEW-M752Tでは、モノクロ印刷やカラーでもグレーの部分はカラーインクを重ねて表現するが、どうしても青白くなるなど綺麗なグレーにならない。その点でEW-M873Tではグレーインクが使えるため、綺麗なグレーとなり、全体的に色合いが崩れずに印刷できる。また、写真作品印刷時に使用されるアート紙に印刷する際に、顔料ブラックを使用する事で、よりクッキリした印刷が行えるのもEW-M873Tのメリットだ。スナップ写真だけで無く写真作品印刷にまで適した画質と言える。ただ、EW-M752TとEW-M873Tの間に大きな差があるかと言われると、そこまでの差ではない。写真印刷なら、とりあえずEW-M873TかEW-M752Tであれば問題ないだろう。 最小インクドロップサイズの面でもこれら2機種は写真印刷に向いている。ハッキリと明言されているわけではないが、最小インクドロップサイズは1.5plと予想され、これはインクカートリッジ方式の家庭向けの機種と同じサイズとなっており、非常に粒状感の少ない印刷が可能となっている。一方、4色インク構成のEW-M630Tは3.3pl、G6030とG3360は非公開ながら海外の同機能のモデルから2plと予測される。黒インクが使えないことに加えて粒状感の面でも、写真印刷向けとは言いがたい。DCP-J988Nは1.5plとEW-M873T/EW-M752Tと同等になっており、粒状感の面では問題ないが、やはり染料ブラックがないのは厳しいところだ。 もう一つ、インクの種類にも違いがある。もちろん発色などの面でもEW-M873TとEW-M752Tが使うインクは優秀な可能性があるが、この点ははっきりと示されているわけではない。ただ、インクの耐保存性に違いがある。家庭用の6色プリンターの場合、エプソンは「つよインク200」という名称で、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年をうたっており、キャノンも「ChromaLife 100」という名称で、アルバム保存100年をうたっている。EW-M873T/EW-M752Tは「つよインク」という名称で全く同じ耐保存性となっており、色あせには非常に強くなっている。一方、EW-M630Tが採用するインクはアルバム保存300年、耐光性7年、耐オゾン性2年となっており、耐光性と耐オゾン性で大きく劣る。飾っておいた場合などの色あせに大きな違いがあるだろう。G6030、G3360に関しては耐保存性は非公開だが、ChromaLife 100には準拠しないという事なので、100年より短い可能性が高い。DCP-J988Nはアルバム保存100年、耐光性50年となっており、比較的高めなので、耐保存性の面では問題ないことになる。 一方普通紙の印刷画質は、6機種とも顔料ブラック+染料カラーの組み合わせで大差が無いように見える。しかし、EW-M630TはPrecision Coreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度を360dpiから600dpiへアップしている。そのため、小さな文字や線などがつぶれずにより綺麗に印刷できる様になっている。そのため、グラフなどべた塗り部分は最小インクドロップサイズの小さいEW-M873TとEW-M752Tの方が滑らかだが、文字や線のクッキリさではEW-M630Tが上回る。G6030は印刷解像度などに特に明言はしていないが、ブラックインクが新顔料ブラックとなっているため、やはり普通紙の画質を中心に考えている事が分かる。EW-M873TとEW-M752Tは写真も文書もオールマイティーに、EW-M630TとG6030は普通紙に特化した構成となっている事になる。G3360とDCP-J988Nは価格が安いため、写真向きとは到底言えないが、かといって普通紙印刷に特化した機能を搭載しているわけでもない。 ちなみに、印刷速度にも特色がある。まず写真印刷速度を見てみると、EW-M873TがL判写真フチなしが19秒で非常に高速、EW-M752Tも25秒と大きくは変わらない。インクカートリッジ方式の6色プリンターは最速で13秒なのでやや遅いが、十分高速と言える。最小インクドロップサイズは小さいが、Advanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立している。また、全色180ノズルとなっており、ノズル数も多い事から、印刷速度が高速になっている。さすがに写真印刷向きの機種と言える。一方、EW-M630Tは75秒と4倍遅くなる。Advanced-MSDTより劣る、3つのインクサイズのインクを打ち分けるMSDTになってはいる事や、写真印刷に使う染料カラーのノズル数が128ノズルと3分の2になっている事も影響していると思われるが、3倍もの差が出るほどとは考えにくい。EW-M630Tは文書向けに速度が出る設計なのではないかと思われる。G6030とG3360は37秒と、EW-M873T/EW-M752Tの2倍程度となっている。染料カラーが384ノズルいうのは、キャノンとしては少なめで、その点が印刷速度に影響したと思われる。それに対してDCP-J988Nは14秒と、実は6機種中最も高速となっている。ブラザーは写真や文書のどちらかに特化した構成では無く、写真印刷も高速だ。 一方、文書の印刷速度は傾向が異なる。EW-M873TはA4カラーが12.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが16.0ipmであり、6機種中最も高速だ。家庭用の機種としても非常に高速な部類になり、写真も文書もストレス無く印刷できる。EW-M752Tはカラーが8.0ipm、モノクロが12.0ipmで、カラーは3分の2、モノクロは4分の3の速度となるが、これでも十分高速な機種と言える。EW-M630Tはカラーが8.0ipmというのはカラーのノズル数の少なさが影響したといえるが、モノクロは15.0ipmとEW-M873Tに近い速度となっている。ブラックインクは400ノズルと、カラーインクに比べて多くなっているためだ。写真印刷では遅さの目立つEW-M630Tだが、文書印刷に限っては問題が無いレベルだ。G6030はカラーが6.8ipm、モノクロは13.0ipmとカラーがやや遅め、G3360はカラーが6.0ipm、モノクロ10.8ipmで、さらに遅くなる。EW-M873A3Tと比べると、カラーは半分、モノクロも3分の2程度の速度となる。DCP-J988Nはカラー10.0ipm、モノクロ12.0ipmで、カラーは比較的高速、モノクロもそれほど遅くはない。このように印刷速度にも大きな差があるので、印刷枚数が多いなら注目すべきポイントと言える。 ちなみに、インクの方式だが、前述のようにエプソンとキャノンはタンク方式のエコタンク・ギガタンク、ブラザーは大容量カートリッジ方式のファーストタンクとなる。エコタンク・ギガタンク方式はインクボトルを購入し、プリンター本体内蔵のインクタンクにインクを補充する形となる。基本的にインクボトル1本が、まるまるインクタンクに補充できる。いずれも2世代目のインク補充方式となっており従来より便利になっている。1世代目の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。それに対して2世代目では、ボトルの先端を注入口に挿し込むと、注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。ボトルの先端からインクをこぼす心配や、インクをあふれさせる心配が無く、非常に手軽になった。さらにエプソンの3機種では「挿すだけ満タンインク方式」としており、先端の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無く、より安心感が増している。G3360も同様の方式を採用しており入れ間違いの危険性はないが、上位機種のG6030はこの機能はなく、先端の形状はすべて同じだ。その点でG6030はは一歩劣ることになる。このようにボトルから補充と言うと難しそうに感じるが、そう難しくは無い事が分かる。さらに、メリットもあり、インク切れ前でもインクを補充する事が出来るため、大量印刷前や時間に余裕のある時にインクを補充しておけば、印刷途中でインク切れで印刷が止まっていたという事態が防ぐ事が出来る。 一方ファーストタンクのDCP-J988Nはカートリッジ方式だが、名称に「タンク」が付いている。これは内部にサブタンクを搭載しているためで、こちらに約200枚分の常に確保している。カートリッジからインクが無くなった時点で交換できるため、インクを買い忘れても少し余裕がある事や、大量印刷前にインク残量が少なくなっていても、カートリッジが空になってれば事前に交換できるというメリットがある。カートリッジ方式ながら、できるだけタンク方式のメリットも取り入れたのがファーストタンク方式となる。 ちなみに、エプソンのエコタンク方式だが、「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の2種類がある。印刷時に左右に動くヘッドの上にタンクが乗っている「オンキャリッジ式」を採用するのがEW-M752T、タンクは別の場所に固定されておりタンクとヘッドはチューブでつながれている「オフキャリッジ式」を採用するのがEW-M873T/EW-M630Tだ。「オンキャリッジ式」の方がスペースを有効活用でき、長いチューブでつなぐ必要も無いが、動くパーツ上であるため重量の問題もあり、あまり大型のタンクに出来ない。一方「オフキャリッジ式」は、別にタンクのスペースが必要な上にチューブも必要だが、タンクを大型化できるメリットがある。ちなみに、ギガタンクは今のところ「オフキャリッジ式」しかないためG6030やG3360も「オフキャリッジ式」となる。インクカートリッジにもこの区別はあり、DCP-J988Nは本体前面からカートリッジを交換できる構造のため「オフキャリッジ式」だ。 この「オフキャリッジ式」と「オンキャリッジ式」の違いが印刷コストに影響している。写真の印刷コストを見てみると、「オフキャリッジ式」のEW-M873Tは6.9円、EW-M630Tが5.9円、G6030/G3360が5.6円で、写真用紙代として約4.3円が含まれているので、純粋なインク代だと、1.3〜2.6円になる。一方「オンキャリッジ式」のEW-M752Tは8.6円で、写真用紙代を除いても4.3円と1.5〜3倍以上の印刷コストになる。A4カラー文書も、EW-M873Tは1.6円、EW-M630Tが0.9円、G6030/G3360も0.9円なのに対して、EW-M752Tは2.7円、A4モノクロ文書もEW-M873Tは0.7円、EW-M630Tが0.4円、G6030/G3360も0.4円なのに対して、EW-M752Tは1.2円とやはり1.5〜3倍近くなっている。同じエコタンク・ギガタンクでも、タンクが大型で一度に大量購入する「オフキャリッジ式」の方が割安になるため、印刷コストに差が出る点は注意が必要だ。ただし、インクカートリッジの機種の場合、エプソンのEP-883Aでは写真が20.6円、A4カラー文書が12.0円、キャノンのPIXUS TS8430はそれぞれ18.1円と9.9円なので、EW-M752Tでもこれらと比べれば圧倒的に印刷コストは安い事になる。残るファーストタンク方式のDCP-J988Nだが、L判写真が10.0円(写真用紙代は約3.8円計算なので、インク代だけでは6.2円)、A4カラーが3.7円、A4モノクロが1.0円と他機種に比べれば高めだ。オフキャリッジ式の4機種とは比べるまでも無く、オンキャリッジ式のEW-M752Tとの比較でも、モノクロ文書はかろうじて安いが、カラー文書は37%、L判写真は44%高くなる。印刷コスト面では、DCP-J988Nは一般的なカートリッジ方式と比べれば十分安いとはいえ、エコタンク・ギガタンク方式よりは不利となる。 インクタンクのサイズに違いがあるため、1回の補充で印刷可能な枚数にも違いがある。インクボトル1本でインクタンクが満タンになるのは共通だ。いずれもA4カラー文書を印刷した場合、EW-M873Tはカラーインクは6,200枚、フォトブラックが7,300枚、マットブラックは6,700枚、EW-M630Tはカラーインクは6,000枚、ブラックは7,500枚まで印刷できる。G6030とG3360はカラーインクが7,700枚、ブラックインクが6,000枚まで印刷できる。若干の違いはあるとは言え、いずれも1回のインク補充で6,000〜7,000枚以上の印刷が可能となる。それに対してEW-M752Tはカラーが1,000枚、フォトブラック・マットブラックが1,100枚となる。これは「使いきりサイズ」と呼ばれるサイズで、「増量」サイズならそれぞれ3,700枚と4,000枚印刷できるが、インクタンクには「使いきりサイズ」分しか入らないため、4回弱の補充が出来るだけで、手間は変わらない。印刷コストもほとんど変わらない事からも、一般的には「使いきりサイズ」を使うことになるだろう。オフキャリッジ式とオンキャリッジ式では6〜7倍程度もタンクの容量が異なる事になり、インク補充の手間のは大きな違いがある。印刷枚数が多いならオフキャリッジ式の方が便利だろう。残るDCP-J988Nはカラーが5,000枚、ブラックが6,000枚となる。エコタンク・ギガタンク方式よりは若干少ないが、一般的な家庭向けのカートリッジ方式は300〜600枚程度である事を考えると、かなり大型である事が分かる。印刷枚数の面では、エコタンク・ギガタンク方式と変わらず使えるだろう。 インク自体の価格にも特徴がある。EW-M873Tは各1,860円で、6色必要である事もあって、1セット11,160円となる。EW-M630Tはブラックが2,150円、カラーが各1,150円で、4色で5,600円、G6030とG3360はブラックが2,100円、カラーが各1,400円で、4本で6,300円となる。同じ4色構成でオフキャリッジ式のEW-M630T、G6030、G3360はインクボトルの価格も似ており、またインクカートリッジの4色セット3,500円〜5,000円程度である事を考えると、1回購入した場合の印刷可能枚数は圧倒的に多いとはいえ、購入時に支払う金額は同等かやや大きくなる。EW-M873Tも1本あたりの価格は変わらないが、6色必要と言うことで1セット1万円超えとなってしまう。カートリッジ方式では6,000〜7,000円程度なので、やはり印刷可能枚数は多いとはいえ、いざ購入する際の負担は大きい。それに対して、オンキャリッジ式のEW-M752Tは使いきりサイズなら1本600円で、5色セットでも3,000円となる。印刷可能枚数はオフキャリッジ式の機種に比べて少ないが、インクを購入する時に600円というのはカートリッジ方式に比べて負担が小さい。印刷コストも安く、それでいてインクが無くなった際も、一度に大きな金額を出す必要が無いというのは、EW-M752Tのメリットと言える。残るDCP-J988Nだが、超・大容量でブラックが5,000円、カラーが各4,000円で、4色購入すると19,000円とかなり高い。印刷可能枚数はEW-M630TやG6030/G3360よりやや少ない程度だが、価格がここまで高いため、印刷コストが高くなってしまう。大容量タイプならブラック3,000円、カラー各2,750円で計11,250円だが、印刷可能枚数は価格差以上に少なくなるため、印刷コストがさらに上がってしまう。印刷コスト面だけで無く、いざインクを購入する時の負担という面でも注意が必要だ。 ちなみにエコタンク・ギガタンク方式の機種が同梱するインクボトルは、セットアップ用の表記が付いていたり付いていなかったりするが、とりあえず別売りのインクボトルと同じで、インクタンクが満タンになるものが1セット同梱する。G6030とG3360はこれに加えてブラックがもう1本同梱される。EW-M752Tはタンクの容量が少ないため、初期セットアップ時の充填で大量のインクを使うため、大半を使ってしまう事から、セットアップ用の表記が付けられているものと思われる。一方、他の機種も充填で大量のインクを消費するが、タンクが大容量であるため、ある程度の量が残る。EW-M630Tはその量を公表しており、3,600枚以上の印刷が可能としている。一方のDCP-J988Nに同梱するセットアップ用インクカートリッジは超・大容量タイプでは無く、大容量タイプとなる。ブラックが3,000枚、カラーが各1,500枚印刷できるカートリッジから、さらに充填を行うので減ってしまう。公表はされていないが、ブラックが2,200〜2,300枚程度、カラーが1,000枚程度印刷できると言われている。EW-M630Tと比べると少なめだ。同梱インクで印刷できる分は印刷コストがかからないわけで、その分は本体価格がお得とも考えられる。EW-M873T、EW-M630T、G6030、G3360は他機種より、本体の価格を少し安く見ても良いかもしれない。 |
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(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
(50枚/20枚/20枚) (0.6mm厚紙対応) |
(1枚/1枚/1枚) (0.6mm厚紙対応) |
(100枚/40枚/20枚) |
(100枚/40枚/20枚) |
(1枚/1枚/1枚) (0.52mm厚紙対応) |
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(100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 2L/B6以下 (20枚/20枚/20枚) |
(100枚/40枚/20枚) |
(150枚/30枚/20枚) |
普通紙のみ (250枚/−/−) |
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手差しストレート給紙 (1枚/1枚/1枚) (1.3mm厚紙対応) |
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続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。使用できる用紙は、最大はA4までで共通だが、最小サイズはEW-M752T、EW-M630T、DCP-J988NがL判、EW-M873T、G6030、G3360はより小さい名刺サイズに対応している。 給紙に関しては各機種に特色があり、前面給紙だけの機種、背面給紙だけの機種、前面+背面給紙の機種など様々だ。G3360以外の5機種は前面給紙に対応する。5機種ともカセット式だ。用紙をセットしたままでもホコリが積もりにくく、常時セットしておくのに向いている。EW-M873Tはカセットが2段となっており、上段が2L/B6以下の用紙、下段はA4以下となる。上段にL判写真用紙やハガキ、下段にA4普通紙と言った風に2種類の用紙を同時にセットして使い分けが出来るため便利だ。上段はハガキ、写真用紙なら20枚まで、下段は普通紙を100枚までセットできるが、下段にハガキや写真用紙をセットする事も可能だ。その場合ハガキは40枚、写真用紙は20枚までセットでき、上下段を連続で使用する事もできるので、ハガキは60枚、写真用紙は40枚まで交換無しで印刷できる。大量印刷の際に便利だろう。EW-M752T、EW-M630T、G6030、DCP-J988Nの前面給紙カセットは1段のみだ。EW-M752Tは普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットでき、EW-M873Tの下段だけと考えればよい。コピーや文書印刷と写真印刷時のように違う用紙を使用する場合に交換が必要になる点で不便だ。一方、EW-M630TとDCP-J988Nは普通紙150枚、G6030は250枚と給紙枚数が多くなっている。プリンターの性質上、普通紙印刷がメインになると思われるため、普通紙が大量にセットできるのは便利だ。ちなみに、ハガキはEW-M630Tで30枚、DCP-J988Nで50枚、写真用紙は両機種とも20枚となる。またG6030はセットできる用紙は普通紙のみとなる。普通紙以外のハガキや写真用紙、ファイン紙などはすべて背面給紙となる。普通紙以外を常時セットしておきたい場合は、不便と言える。 では、背面給紙というと、EW-M630T以外が対応する。EW-M873T、G6030、G3360はトレイ式、EW-M752TとDCP-J988Nは手差し給紙となっている。トレイ式は複数枚の用紙をセットできるため便利だ。G6030とG3360は普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットでき、一般的な枚数だ。EW-M873Tはそれぞれ50枚、20枚、20枚とやや少なめだが、十分に実用的だ。それに対して、EW-M752TとDCP-J988Nは1枚ずつしかセットできず、複数枚セットするとエラーとなる。前面給紙カセットにセットした用紙以外を数枚印刷したい場合や、前面給紙からでは扱いにくい厚紙や封筒などの印刷に利用する形となるだろう。ちなみに、厚みに関しては、前面給紙でも、通常の写真用紙やハガキに用いられる0.3mm厚程度までは対応できる。G6030/G3360の背面給紙も0.3mm厚程度までとなる。一方、EW-M873T、EW-M752Tの背面給紙は、倍の0.6mm厚まで対応できる。写真店に依頼した写真貼り合わせの年賀状や、アート紙(例えばエプソンのVelvet Fine ArtPaperは0.48mm)の印刷に重宝する。DCP-J988Nも0.52mmまで対応で、写真貼り合わせの年賀状には非対応だが、厚めの封筒や用紙にも印刷できて便利だ。さらに、EW-M873Tは手差しストレート給紙にも対応する。レーベル印刷用のトレイの通り道を、背面から挿し込んで利用できるようにしたもので、1.3mm厚の用紙まで対応できる。背面ユニットを取り外し、そこに取り付けられている手差しユニットを外して本体にセットする必要があり、また背面から用紙をまっすぐに挿し込めるスペースがいるなど、手間はかかるが、従来の一般的なプリンターでは不可能な厚さに対応できるのは、いざという時便利だろう。 複雑なのでまとめると、EW-M873Tは前面2段+背面トレイ+手差しストレート、EW-M752Tは前面1段+背面手差し、EW-M630Tは前面1段のみ、G6030は前面1段(普通紙のみ)+背面トレイ、G3360は背面トレイのみ、DCP-J988Nは前面1段+背面手差しとなる。一度にセット可能な枚数で見ると、普通紙はEW-M873Tが150枚(前面下段100枚+背面50枚)、EW-M752Tが100枚(前面100枚のみ)、EW-M630Tが150枚(前面150枚のみ)、G6030が350枚(前面250枚+背面100枚)、G3360が100枚(背面100枚のみ)、DCP-J988Nが150枚(前面150枚のみ)となり、G6030有利だ。もちろん前面と背面を連続で利用できる。ハガキはEW-M873Tが80枚(前面上段20枚+下段40枚+背面20枚)、EW-M752Tが40枚(前面40枚のみ)、EW-M630Tが30枚(前面30枚のみ)、G6030とG3360が40枚(背面40枚のみ)、DCP-J988Nが50枚(前面50枚のみ)と、こちらはEW-M873Tが最も多く、DCP-J988Nも多めだ。写真用紙もEW-M873Tが60枚、それ以外の5機種は20枚と、やはりEW-M873Tが多い。普通紙への印刷が多いならG6030が、ハガキや写真用紙への印刷が多いならEW-M873Tが便利だ。 ちなみにEW-M873Tは 排紙トレイの自動伸縮機能を搭載している。。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する。後述の自動電源オン機能と組み合わせると非常に便利だ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。 6機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込む、または背面給紙の場合はEW-M873Tは用紙を挿し込むと、G6030とG3360は給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。 |
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印刷速度 |
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その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能はG3360を除く5機種が搭載している。ただし、G6030は普通紙のみ対応だが、G6030以外の4機種は普通紙だけでなくハガキにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。さらに、EW-M873T、EW-M752Tはファイン紙への両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利だが、これら2機種以外は手動で片面ずつ印刷するしか無い。ファイン紙への両面印刷を考えている人には便利な機能だろう。また、自動両面印刷時の速度も一部の機種で公開されている。EW-M630Tはカラーで4.5ipm、モノクロで6.5ipmとなる。ipmは「1枚」あたりの速度ではなく、「1面」あたりの速度なので、片面を印刷する速度がここまで低下する。片面印刷時のそれぞれ56%と43%の速度となる。一方、G6030はカラーが2.8ipm、モノクロが2.9ipm、DCP-J988Nはカラー、モノクロ共に3.0ipmと、EW-M630Tよりかなり遅い。片面印刷との比較でも、G6030はカラーが41%、モノクロが22%、DCP-J988Nはそれぞれ30%と25%と低下率が大きい。EW-M873T、EW-M752Tは家庭向けの機種であるため速度は公表されていないが、他機種でもキャノンとブラザーに比べてエプソンは比較的低下率が小さいことを考えると、EW-M630T程度の片面印刷の速度との比率にはなるだろう。両面印刷を多用するなら、エプソンの機種の方がストレスが少ないだろう。 一方、BD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能はEW-M873Tのみ搭載する。レーベル印刷のトレイを使わない時は、前面給紙カセットの裏側に収納できるようになっている。写真の自動補正機能としては、エプソンの3機種は「オートフォトファイン!EX」、キャノンの2機種は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる高性能なものを搭載している。ダイレクト印刷に対応した機種(後述)はパソコンからの印刷時だけでなく、ダイレクト印刷時にも利用できる。 自動電源オン機能はEW-M630TとDCP-J988Nを除く4機種が搭載している。印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LANや有線LAN(対応機種のみ)でのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、EW-M752Tは排紙トレイが引き出された状態でないと、G6030は操作パネルを開いた(持ち上げた)状態でないと印刷は実行されないため、排紙トレイや操作パネルを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。G3360は印刷は実行されるが、プリンターの置き場所によっては印刷した用紙が落ちてしまう。それに対して、EW-M873Tは排紙トレイが自動的に伸張するため、印刷が完了した頃に取りに行くだけと非常に便利だ。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能は6機種とも搭載している。 エプソンの3機種とG3360の搭載する便利な機能が、廃インクタンク(エプソンはメンテナンスボックス、G3360はメンテナンスカートリッジ)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、この4機種はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(EW-M873T用は2,380円、EW-M752T用は980円、EW-M630T用は1,800円、G3360用は1,200円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。さらに、この4機種はフチなし吸収材が満タンになったときも、便利になっている。フチなし印刷時は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまうため、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、多くの機種はプリントが完全に止まってしまう。しかし、エプソンの3機種はフチあり印刷に関しては継続ができるようになっているため、急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるようになっている。G3360は、前述のメンテナンスカートリッジを交換すると、廃インクタンクと共にフチなし吸収材も交換できるので、修理に出す必要すらなく、より便利だ。ちなみにG3360の上位モデルG6030はメンテナンスカートリッジの交換には対応しないという逆転現象が起きている。 |
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(216×297mm) |
(216×297mm) |
(216×297mm) |
(216×297mm) |
(216×297mm) |
(215.9×297mm) |
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ADF使用時は1200×600dpi |
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続いて、スキャナー部を見てみよう。スキャンサイズは6機種ともA4(216×297mm)までとなる。解像度も全機種が1200dpiとなっており差は無い。カートリッジ方式の上位機種にはもっと高解像度の機種があるが、実際には紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。というのも、一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合や拡大して印刷する場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際、L判写真を1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分で、600dpiでも2,100×3,000ドットなので、L判サイズに印刷したり、スマートフォンの画面で見る分には十分きれいだといえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiや600dpiとしていると思われる(もちろんコストの関係もあると考えられるが)。なお、CISセンサーであるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点も共通だ。 DCP-J988Nだけの機能としてADFを搭載していることが挙げられる。複数の原稿を連続でスキャンできる機能である。20枚までで片面のみのスキャンと最低限の機能だが、スキャンやコピーの際に重宝するだろう。また、ADFを使用した場合、長さ355.6mmまでスキャンが出来るので、A4用紙より少し長い原稿もスキャンできる。ただし、ADF使用時の読み取り解像度は1200×600dpiとなる。CISセンサーは1200dpiの機能を持っているので、A4の短辺方向には1200dpiでスキャンできるが、ADFではセンサーは固定され原稿の方が移動する形となるため、そちらの精度が600dpiまでしか対応していないという事になる。こちらも問題にはならないだろう。 メモリーカードに対応しているEW-M873T、EW-M752T、DCP-J988Nはスキャンした原稿をパソコンを使わずメモリーカード又はUSBメモリーに保存する機能を搭載している。パソコンが起動していなくても、本体の操作だけでサッとスキャンしてメモリーカードやUSBメモリーに保存できるので便利だ。一方G6030は、原稿を取り忘れた際の警告機能が付いているのは便利だ。 |
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メモリーカードリーダー対応 |
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(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) |
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フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ3〜39mm) 赤目補正 明るさ調整(+4〜-4) コントラスト調整(+4〜-4) シャープネス調整(3段階) 鮮やかさ調整(+4〜-4) 色調補正(RGB独立・+4〜-4) フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス) 色補正一覧印刷 編集した写真の別名保存 |
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階) 赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) |
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フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 |
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 |
ダイレクト印刷を見てみよう。対応しているのは写真印刷向きのインク構成であるEW-M873T/EW-M752TとDCP-J988Nである。EW-M873TはSDカードリーダーとUSBポートを搭載しているため、SDカードやUSBメモリーからの写真印刷に対応している。またこのUSBポートは、外付けハードディスクや外付けDVDドライブにも対応しているため、これらからの印刷が行える。さらにメモリカードリーダーにも対応しているので、SDカード以外のメモリカードを利用したい場合でも、パソコン用のカードリーダーを用意すれば可能だ。一方のEW-M752TはUSBポートのみ搭載している。USBメモリーのみの対応で、外付けハードディスクや外付けDVDドライブには非対応だが、メモリカードリーダーには対応するので、SDカードをはじめ、各種メモリカードにも対応できる。DCP-J988NもSDカードリーダーとUSBポートを搭載しており、SDカードとUSBメモリーに対応している。ただし、外付けハードディスクや外付けDVDドライブには非対応だ。対応形式は3機種ともJPEGのみで、PDFファイルなどの印刷は出来ない。あくまで写真印刷用となる。 ダイレクト印刷時にフチあり、フチなしなどを選べる点は3機種とも同じだが、それ以外の色補正機能には大きな違いがある。最も機能が少ないのはDCP-J988Nだ。明るさ調整(5段階)とコントラスト調整(5段階)のみと最小限で、写真の一部を拡大するトリミング機能にも対応しない。次がEW-M752Tだ。フチあり、フチなしについては一般的なフチなし、フチあり(白フチ)だけでなく黒フチも選べる他、写真の周囲にフチの色とは逆の細い枠線の入った黒枠付きの白フチ、白枠付きの黒フチも選べる。フチの太さも4段階から選択できる。写真の一部を拡大するトリミングや赤目補正の他、明るさ調整、コントラスト調整、シャープネス調整、鮮やかさ調整が各5段階から行え、モノクロとセピア調のフィルターもかけられる。EW-M752Tはオートフォトファイン!EXも搭載するため自動でもかなり高精度に補正されるが、手動でかなり好みの色に調整が可能だ。そして、これを上回るのがEW-M873Tだ。フチはEW-M752T同様4種類から選べるが、フチの太さも3〜39mmの間で1mm単位で調整が可能となり、さらに細かく設定できる。トリミングや赤目補正の他、「作品印刷機能」と呼ぶ機能を搭載しており、「明るさ」「コントラスト」「シャープネス」「鮮やかさ」の他、レッド、グリーン、ブルーのそれぞれの色調を調整できる。EW-M752Tよりさらに細かく、+4から-4の9段階で調整が可能だ(シャープネスは3段階)。さらにフィルターも「レトロ」「セピア」「トイフォト」「ハイキー」「ポップ」「デイドリーム」「モノクロ」「クロスプロセス」といった8種類を用意している。また、液晶画面上での調整では印刷時に異なる場合があるため、選んだ写真の色補正一覧を印刷し、その中から好みの物を選ぶことができる機能も備える。また、作り込んだ写真を、別名でメモリーカードに保存できるのもアドバンテージだ。また、EW-M873TはSDカードからUSBメモリーや外付けハードディスクへ写真をバックアップすることも可能だ。SDカードから写真印刷、そして写真のバックアップ、バックアップ先からの写真印刷、写真の色補正までがパソコン無しで行える事になる。 ダイレクト印刷時の機能として代表的な手書き合成シートはEW-M873TとEW-M752Tが対応している。その他、この2機種はは塗り絵風の輪郭だけの印刷や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカードなどが印刷できるフォーム印刷機能、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」機能、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、写真を1〜数枚並べたフォトブックを印刷する機能、背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」機能の他、写真を1枚又は複数枚並べてディスクのレーベル面に印刷できる機能やCDジャケットを作成できる機能搭載する。単体で様々な印刷が可能だ。一方、ダイレクト印刷機能を持たないG6030とG3360も「定型フォーム印刷」機能は搭載しており、レポート用紙、原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳が印刷できる。 以上から、ダイレクト印刷機能はEW-M873Tが圧倒的に豊富で、EW-M752Tでもスナップ写真の印刷には十分な機能を備えている。一方DCP-J988Nは基本的な機能のみ搭載と言った感じだ。 |
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Epson Smart Panel Epson Print Layout |
EPSON Smart Panel |
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Android 5.0以降 (Epson Smart Panel使用時のiOSは11.0以降/Epson Print Layout使用時はiOS 13.0以降・Android非対応) |
Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) |
Android 5.0以降 |
Android 4.4以降 |
Android 4.4以降 |
Android 4.03以降 |
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(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
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本体でのプリント操作必要 |
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スマートフォン・クラウド対応機能を見てみよう。6機種ともiOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、スマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。EW-M873Tは、通常のEpson Smart Panelの他、プロ向けのプリンター用に提供される、より高度な写真印刷が行えるアプリ「Epson Print Layout」も利用可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キャノンの名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、EW-M873T、EW-M752T、DCP-J988Nの3機種では、接続支援機能が提供される。iOSの場合、EW-M873TとEW-M752TはQRコードを利用する。本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無い。DCP-J988Nは従来通りWi-Fi設定からSSIDを選択し、セキュリティーキーの入力が必要だ。Androidの場合、EW-M873TとEW-M752Tはアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で非常に簡単だ。DCP-J988NはNFCを利用する。NFCに対応したスマートフォンを液晶左にあるNFCロゴの上にタッチすれば自動的に接続されるため、こちらも非常に簡単だ。ただし、スマートフォンがNFCに対応している必要があるなど、対応機種がやや限定される。iOS、Android問わず、幅広い機種で便利なのはEW-M873T/EW-M752Tだろう。 さらに、EW-M873Tにはスマホからプリンターの初期設定を簡単に行える機能も搭載する。アプリ上で「新規セットアップ」を選択し、初期設定を行っていないEW-M873Tの電源をオンにすると、EW-M873Tが一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用してEW-M873Tに自動接続される。そして、設置からインクの補充方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にEW-M873Tをスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。インクの補充などの手順が非常に分かりやすいほか、自動的にネットワークの設定まで行われるので、初期設定のハードルは6機種中最も低いと言える。 クラウドとの連携機能も6機種とも搭載している。プリントの場合、各種オンラインストレージにアクセスして、ファイルを印刷するKとが可能だ。ここで大きな違いは、DCP-J988N以外の5機種はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、DCP-J988Nはスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではDCP-J988Nは便利だ。一方、DCP-J988N以外の5機種はSNSの写真を印刷する事ができる。SNSの写真はコメント付きでも印刷が可能だ。またG6030とG3360は写真共有サイトからの印刷も可能だ。 スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、DCP-J988Nに加えて、エプソンの3機種も本体の操作でアップロードまで行うことができる(もちろんスマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる)。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため便利だ。G6030とG3360は、スキャンしてクラウドにアップロードする機能自体を搭載していない。 さらにネットワークを利用したプリント機能として、エプソンの3機種は、印刷したい写真や文書を添付してこれらの機種にメールすると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷できる「メールdeリモート印刷」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。DCP-J988Nもエプソンのメールプリントに似た「メール添付印刷」機能を搭載するが、メール本文のプリントには対応していない他、エプソンの3機種はメールが届くと自動的にプリントされるのに対して、DCP-J988Nは本体操作で送信元を選択しないとプリントされない点では手間がかかる。一方のG3360はLINEのトーク画面から印刷する「PIXUSトークプリント」のみ対応している(上位モデルのG6030は非対応)。ネットワークを利用した各種プリント機能はエプソンの3機種が圧倒的に豊富だと言える。 |
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濃度調整 背景除去機能 鮮やかさ調整 色調調整(レッド・グリーン・ブルー個別) 色相調整 |
濃度調整 背景除去機能 |
地色除去コピー 裏写り除去コピー インク節約モードコピー |
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IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
影消しコピー パンチ穴消しコピー |
IDコピー コピー予約 |
IDコピー コピー予約 |
ブックコピー 透かしコピー ソートコピー ポスターコピー(3×3/2×2/1×2) |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、6機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物だ。またCD/DVD/Blu-rayレーベルプリントに対応したEW-M873Tは、レーベルコピーにも対応する。さらに、写真印刷向きのインク構成のEW-M873TとEW-752Tは原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来る。この際「退色復元」という、昔の色あせした写真も自動で補正してくれる機能も備えている。6機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。さらにG6030、G3360、DCP-J988Nは4枚の原稿を1枚に縮小する4面割り付けにも対応している。 その他、濃度調整機能は6機種とも搭載する。EW-M873T、EW-M752T、DCP-J988Nは背景色を消すことで見やすくし、インクも節約できる「背景除去機能」又は「地色除去コピー」も行える。EW-M873TとEW-M752Tは加えて、コピー前にプレビューを行うことで、原稿のセットミスの確認が行える他、プレビューを元に拡大縮小を調整できる。EW-M873Tは鮮やかさ、色調、色相の調整も可能である。色相はレッド、グリーン、ブルーを個別に調整できるため、元の原稿に近い色や読みやすい色など、好みの色に調整が出来る。一方、DCP-J988Nは、裏面が透けて写るのを除去する「裏写り除去コピー」、インクを節約できる「インク節約モードコピー」に対応する。「インク節約モード」は全体に色を薄くするのでは無く、文書の文字はそのまま残しつつ、見出しなどの大きな文字や、グラフ、色囲みなどは、輪郭だけを残して内側の色を薄くすることで、見やすさを落とさずにインク使用量を減らすことができる。 それぞれ、様々な特殊コピーを行える機能を搭載する。EW-M873TとEW-M752Tは、A4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付又は両面コピーする「見開きコピー」、免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、メモリーカードからのダイレクト印刷時と同じく輪郭だけの塗り絵風に変換してコピーする「塗り絵印刷」が行える他、同じ内容を2面、4面、または用紙サイズに合わせて自動的に割り付ける「リピートコピー」機能を搭載する。「見開きコピー」は通常の2面割付又は両面印刷と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。「リピートコピー」は手書きメモやネームシールなどをコピーするのに便利だ。EW-M630Tも「IDコピー」機能を搭載する他、本のとじ目部分や周囲に出来る影を消す「影消しコピー」、パンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載する。G6030とG3360も、綴じ目や周囲の黒くなる部分を消す「枠消しコピー」機能と「IDコピー」機能の他、コピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」も可能だ。DCP-J988Nも「2in1IDカードコピー」が行える他、見開きの本をコピーする際に本の傾きを自動補正し、綴じ目や周囲の影を除去する「ブックコピー」、コピー文書に透かし文字を入れられる「透かしコピー」、ADFを使用して、複数部のコピーを行う場合に1部ずつプリントする「ソートコピー」、さらに1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割してプリントし、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能を搭載する。「透かしコピー」は「重要」「COPY」「社外秘」といった5種類から選べ、位置やサイズ、回転角度や透過度、文字の色も指定できる。 これを見ると、機能は異なるが、それぞれ便利な機能を搭載している。 |
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(70度角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(角度調整可) |
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(70度角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
(度角度調整可) |
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5GHz帯対応 (Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(ダイレクト接続対応) |
(ダイレクト接続対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
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MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用) |
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用) |
Mac OS 10.11.6〜 |
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液晶ディスプレイと操作パネルはG3360以外の6機種とも本体前面に取り付けられ、液晶ディスプレイだけでなく操作パネル全体を持ち上げて角度調整が可能となっている。EW-M752TとG6030は最大90度(水平)まで。EW-M873T、EW-M630Tもかなりの角度まで、DCP-J988Nは他の4機種よりは小さいがある程度の角度まで起こすことができるので、垂直から水平まで見やすい角度で操作ができるよう工夫されている。低い位置に設置しても高い位置に設置しても使いやすいだろう。一方のG3360は本体上面の左側に縦に並んでいる。液晶は微妙に前に向いているが、ほぼ真上なので、高い位置に設置すると操作しにくそうだ。 操作パネルと液晶ディスプレイにも大きな差がある。一番操作しやすいのはEW-M873TとEW-M752Tだ。4.3型と6機種中最大のサイズで、しかもタッチパネル液晶となっている。スタートやストップなども全て本体内に表示されるので、電源ボタン以外は物理的なボタンが一切無くすっきりしている。メニューや設定項目、各種ボタンが液晶内に表示されるので、直に項目をタッチして操作ができるため分かりやすく、またバックライトのある液晶内なので、暗いところでも操作しやすい。次に便利なのは、DCP-J988Nで、液晶サイズは2.7型と小さくなるが、タッチパネルとなっている。物理ボタンは、「戻る」「ホーム」「キャンセル」のよく使う3つだけで、後はタッチパネル液晶での操作となるため、EW-M873TやEW-M752T同様、直感的な操作ができる。ただし液晶の輝度と視野角はやや低めだ。EW-M630Tは2.4型とDCP-J988Nより微妙に小さく、タッチパネルではなくボタン操作となっている点で操作性は劣る。とはいえ、バックライトも搭載しグラフィカルな表示で分かりやすく、輝度と視野角はDCP-J988Nより高いため視認性は上だ。ホームメニューがあり、そこで機能を選んで進んでいくという一般的な操作性だ。カーソルボタンも上下左右が十字型に並び、その中心に「OK」ボタン、右上と左上に「+」と「−」ボタン、左下に「戻る」ボタンという配置は分かりやすく、直感的に操作しやすい。あとは「スタート」「ストップ」ボタンの他、ホームメニューに戻る「ホーム」ボタン、状況に応じて様々な用途に使う汎用ボタンと、ヘルプを表示できる「ヘルプ」ボタンがある。一方、G6030とG3360はこれらとはかなり劣る。液晶は2行文字表示のモノクロ液晶だ。サイズは実測値でEW-M873TやEW-M752Tの液晶と比べて幅が半分、高さが5分の1ほどで、かなり小さい。漢字表示はできるが、文字情報だけなので分かりにくくなってしまう。その上、バックライトを搭載していないため、暗いところでの操作ができないのもデメリットだ。操作パネルを見てみると、液晶が小さいこともあって機能を選択するトップ画面が無いため、「コピー」「スキャン」「セットアップ」「ネットワークコネクト」といった各機能にダイレクトに入れるボタンが並んでいる。代わりに液晶内の操作は、設定画面を表示する「メニュー」ボタンの他、「左右カーソル」と「OK」「戻る」と最低限のボタン数となっており、あとは「カラースタート」「モノクロスタート」と「ストップ」となっている。カーソルが左右しかないため、操作がわかりにくく、階層も深くなってしまい、操作が煩雑になってしまう。操作性の面ではかなり劣ることになる。 インターフェースは6機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンはダイレクト接続)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、EW-M752TとG3360以外の4機種は有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、壁にLANコネクターがある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。一方、無線LAN機能にも差があり、EW-M873T以外はIEEE802.11n/g/b規格にのみ対応するが、これは2.4GHz帯を使用しており、障害物には強いが電子レンジや電話の子機、無線のマウスやBluetoothなどと干渉しやすい問題がある。その点でEW-M873Tは5GHz帯のIEEE802.11ac/n/aにも対応しており、電波干渉を避けられる。さらにIEEE802.11acはIEEE802.11nと比べて圧倒的に高速なので、安定性と転送待ちの軽減の両方を実現している。Wi-Fi接続を考えている人には、この機能差は重要だ。 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンの3機種はWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、G6030、G3360、DCP-J988NははWindows 7 SP1以降の対応で、Windows XPやVistaには非対応だ。さらに、G6030とG3360はWindows 8も非対応である点は注意が必要だ(Windows 8.1には対応)。MacOSも、G6030は10.10.5以降、G3360は10.12.6以降、DCP-J988Nは10.11.6以降と比較的新しいバージョンのみ対応だ。また、キャノンの場合、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、インク残量確認や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。 本体サイズを見てみよう。EW-M752Tは390×339×166mmで、インクカートリッジ方式の機種と比べても高さが25mmほど大きいだけで幅と奥行きは変わらない、かなりコンパクトなサイズとなっている。これを基準に見ていこう。EW-M873Tは403×369×162mmで、幅は13mmほど、奥行きは30mmほど大きいが、エコタンクが大きく、1色多い事を考えると十分コンパクトだ。数年前の機種との比較なら十分コンパクトだろう。EW-M630Tは375×347×187mmで、高さは21mm大きくなっているが、幅は15mm小さいため、設置面積だけで見ると最もコンパクトだ。奥行きも8mm大きいとはいえ、エコタンクと前面給紙カセット部分だけが出ているデザインなので、全体的には数値よりも小さく見える。G6030は403×369×195mmで、幅が13mm、奥行きが30mm、高さが29mm大きく、全体に一回り大きいという印象だ。G3360は445×330×167mmでやや大きめといえる。DCP-J988Nも435×341×195mmと大きめだが、全体は400mm程度で、カートリッジ部分のみ35mmほど大きくなっているので、数値よりは小さく見える。高さは6機種で唯一ADFが搭載されているため仕方がないだろう。サイズ面では大きな差ではないが、設置スペースに制限がある場合は注意が必要だ。 ちなみに本体のカラーバリエーションは、EW-M752TとEW-M630T、G6030はブラックとホワイトの2色から選べ、EW-M873Tはブラックのみ、G3360はブラック&シルバーのみ、DCP-J988Nはホワイト系(グレー)のみとなる。 6機種の内、どの機種がオススメかを見てみよう。まず写真印刷を行うならEW-873TかEW-M752Tしか選択肢がない。4色構成の他機種では、写真印刷時にブラックインクが使用できず画質がかなり劣る事や、耐保存性が劣る機種が多い。印刷枚数がそれほど多くないが、カートリッジ方式では印刷コストが気になるという程度ならEW-M752T、印刷枚数が多いならEW-M873Tがオススメだ。また、少しでも画質が高い方が良いという場合や、給紙機能の豊富さ、ディスクレーベル印刷、厚紙印刷、写真作品印刷機能などに魅力を感じるならEW-M873Tが良いだろう。 では文書印刷だけというなら残る4機種から選ぶ事になる。この中でDCP-J988Nは印刷コストが高いため、印刷コストを重視するなら他の3機種がオススメだ。その3機種のEW-M630T、G6330、G3360は印刷コストは全く同じだ。印刷スピードや画質に若干の違いはあるが、大きな差ではない。では3機種大きな違いはというと、給紙方式と操作性だろう。基本的に給紙機能が便利なのはG6030だ。前面給紙カセットに普通紙を常時セットしておき、それ以外の用紙は背面給紙という使い方は便利だし、普通紙の給紙枚数もG6030の方が多い。一方、本体の操作性はEW-M630Tが便利だ。モノクロの文字だけの表示でバックライトも無く、ボタン数も少ないG6030やG3360より、カラー液晶でグラフィカルな表示ができ、ボタンもわかりやすい配置のEW-M630Tの方が使いやすいはずだ。コピー操作などが多いならEW-M630Tが良いだろう。また、両面印刷速度やメンテナンスボックスの交換、ネットワークプリントなどの機能が気になる場合もEW-M630Tがオススメだ。G3360は背面給紙のみで、操作性も悪く、自動両面印刷機能も非搭載と機能では劣るが、本体価格が安いため、機能は求めないので印刷コストが安くて、印刷だけが出来れば良いというなら割り切ってG3360も有りだろう。では、印刷コストの高いDCP-J988Nは選ぶ理由がないかと言われると、そうでもない。本体価格はG3360の次に安価ながら、印刷速度も比較的速く、自動両面印刷もメモリカードからのダイレクト印刷も、タッチパネル液晶も有線LANも搭載しており、コピー時の機能も豊富で、全体的には秀でた機能はないが一通り搭載している。その上他機種にないADFを搭載しているのもメリットだ。一通りの機能を安価に手に入れたい場合や、コピーを重視したい場合は、印刷コストをやや妥協してもDCP-J988Nもありだ。ただ印刷コストを妥協した場合、文書印刷専用でもEW-M752Tという選択肢もある。本体での操作性や、タンク方式ならではの利便性、さらにインク購入時の負担の小ささに魅力を感じるならEW-M752Tがオススメだ。文書印刷専用と考えていても、いざという時写真や年賀状も綺麗な画質で印刷できるというのも安心感がある。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ ブラザーhttps://www.brother.co.jp/
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