2020年末時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2020年5月28日公開)
A3ノビ/A3のプリントとA3のスキャンに対応したファクス機能付き複合機である。その中でカートリッジ方式の4機種を比較する。エプソンからはPX-M6011F(40.500円)とPX-M6010F(32,500円)が、ブラザーからはMFC-J6983CDW(45,500円)とMFC-J6583CDW(34,000円)が該当する。PX-M6011FとMFC-J6983CDWが前面給紙カセットが2段で、PX-M6010FとMFC-J6583CDWはそれぞれの前面給紙カセット1段タイプとなる。そのため、エプソンとブラザーのそれぞれでの違いを詳しく見ていく形となるが、MFC-J6983CDWとMFC-J6583CDWはカセット段数以外の違いもある。細かく検証していこう。 |
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シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
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(文書キャビネット保存400年) |
(文書キャビネット保存400年) |
(マゼンダに一部染料が含まれる) |
(マゼンダに一部染料が含まれる) |
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IB07A(標準容量) |
IB07A(標準容量) |
LC3117(標準容量) |
LC3117(標準容量) |
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黒:800ノズル |
黒:800ノズル |
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(税別) |
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カラー:1,100ページ |
カラー:1,100ページ |
カラー:1,500ページ |
カラー:1,500ページ |
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(税別) |
カラー:2,120円 |
カラー:2,120円 |
カラー:2,200円 |
カラー:2,200円 |
それでは、プリントの画質・速度・コスト面を見てみよう。4機種とも4色インク構成というのは同等だ。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色だけで、顔料インクを採用している。顔料インクは普通紙への印刷時に染料インクのような用紙へのしみこみが少なく、インクが広がりにくいので、クッキリとしたメリハリのある印刷が行えるというメリットがある。そのため、細かな線や小さな文字、中抜き文字もつぶれず綺麗に印刷できる。また、耐水性も高いというメリットもあり、濡れた手で触ったりマーカーで線を引いても滲まない点も便利である。そのため、パソコンから普通紙への印刷や、普通紙コピー、年賀状印刷に向いている他、ファクス機能を使う時も、受信したファクスを普通紙に印刷する際に高画質、高耐水で印刷が出来る。ただし、顔料インクにはデメリットもあり、写真用紙に印刷すると、発色はあまり良くなく、また写真用紙本来の光沢感も薄れポストカードのような鈍い光り方になってしまう。光沢年賀状やフィルム用紙など一部に顔料インク非対応の用紙もある。そのため、これら4機種は普通紙印刷をメインにした機種を言える。 顔料インクである点や4色インクである点から、写真印刷に向いているとは言いがたいが、4機種に差がある。PX-M6011F/PX-M6010Fは、最小インクドロップサイズは非公開ながら海外の同モデルから予想すると3.8plと思われる。家庭用複合機の写真印刷向けの機種では1.5plなので、ドットはかなり大きい、一方、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは1.5plとかなりドットが小さい。写真印刷や年賀状印刷だけでなく、普通紙に印刷した文書中の写真やグラフなどで粒状感がMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWの方が少ないと言えるだろう。では画質はMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWが全てにおいて上かと言われると、そうでもない。PX-M6011F/PX-M6010FはPrecisionCoreプリントヘッドを採用しており、普通紙への印刷解像度が600dpiと高くなっている。文字の輪郭や細い線もより鮮明になっている他、より色鮮やかな発色で印刷できるようになっており、普通紙への印刷時に特有の沈んだ色ではなくなっている。逆にMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは、全色顔料インクと言いながら、マゼンダに一部染料が含まれている。そのため、マゼンダを使用する部分でも画質や耐水性が劣るという注意点が書かれており、通常の顔料4色より若干劣ることになる。粒状感の面ではMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWに軍配が上がるが、文字や図面などの鮮明さという点ではPX-M6011F/PX-M6010Fの方が良いと言えるだろう。 印刷速度を見てみると、カラー文書の印刷速度はPX-M6011F/PX-M6010Fが12.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWが20.0ipmであるため、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWが圧倒的に高速だ。20ipmというのはインクジェットプリンターとしてはかなり高速な部類に入り、卓上レーザープリンターの下位モデル並みの速度になる。PX-M6011F/PX-M6010Fの12ipmでも十分高速で、よほど印刷枚数が多くなければ問題ないだろう。一方モノクロ文書の印刷速度はPX-M6011F/PX-M6010Fが25.0ipm、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWが22.0ipmと逆転するが、大きな差ではない。またこの速度はインクジェットプリンターとしては高速で、卓上のレーザープリンターの下位モデルを超える速度である。PX-M6011F/PX-M6010Fがカラーが大きく劣るのは、ブラックが800ノズル、カラーが各256ノズルと、カラーのノズル数が大幅に少ないためだ。一方のMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは全色420ノズルであるため、カラーもモノクロも速度があまり変わらない。どちらも十分に高速だと言えるが、モノクロ印刷をメインならPX-M6011F/PX-M6010Fが、カラー印刷がメインならMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWがよりストレス無く使えるだろう。 印刷コストを見てみよう。PX-M6011F/PX-M6711FはA4カラー文書が8.5円、A4モノクロ文書が2.6円である。対してMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはカラーが6.0円、モノクロは1.3円となっている。MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWの方が、カラーは30%、モノクロは50%安く、印刷枚数が多いなら無視できない差である。これは、インクカートリッジ1セットでの印刷枚数が差となっている。インクカートリッジの価格はPX-M6011F/PX-M6711Fはブラックが5,680円、カラーが各2,120円で、4色買うと12,040円である。一方MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはブラックが4,950円、カラーが各2,420円で、4色買うと12,210年である。インク1セットの価格はほぼ同等だが、印刷可能枚数はA4カラー文書を印刷した場合、PX-M6011F/PX-M6711Fはブラックインクが2,200ページ、カラーインクが1,100ページなのに対して、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはブラックインクが3,300ページ、カラーインクが1,500ページと、どちらも1.5倍近い枚数が印刷可能だ。そのため1枚あたりに換算すると、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWの方が安くなるわけである。より印刷コストを安くするなら、エプソンならエコタンクのPX-M6711FT(カラー2.0円、モノクロ0.8円)や、ブラザーならファーストタンクのMFC-J6997CDW(カラー3.7円、モノクロ0.7円)という選択肢もあるが、本体価格は圧倒的に高くなる(109,980円と84,000円)。そこまでではないが、少しでも印刷コストが安い方がという場合はMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWがオススメだ。 |
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(用紙幅64mmまで対応) |
(用紙幅64mmまで対応) |
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(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
(50枚/20枚/20枚) |
(50枚/20枚/20枚) |
(100枚/50枚/20枚) 0.52mm厚対応 |
(100枚/50枚/20枚) 0.52mm厚対応 |
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A3以下 (250枚/65枚/50枚) 【カセット下段】 普通紙A3〜B5 (250枚/−/−) |
A3以下 (250枚/65枚/50枚) |
(250枚/30枚/20枚) 【カセット下段】 普通紙のみ・A4以上 (250/−/−) |
(250枚/30枚/20枚) |
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続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応用紙は、PX-M6011FとPX-M6010Fは最大サイズがA3ノビ、MFC-J6983CDWとMFC-J6583CDWはA3までとなる。A3は297×420mmなのに対して、A3ノビは329×483mmであり、PX-M6011F/PX-M6010Fの方が一回り大きなサイズまで印刷が出来る。普通紙ではA3ノビはあまり見かけないが、それ以外の用紙ではA3ノビを使用する事もできるほか、非定型のサイズの用紙や封筒などに印刷する場合に重宝するかもしれない。また、最小サイズは4機種ともL判(89×127mm)だが、PX-M6011F/PX-M6010Fは用紙幅64mmまでは対応している。B6ハーフサイズのプライスカードなどに用いられるサイズで、小売店などで重宝されそうだ。一方、長尺印刷もMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWが長さ431.8mmまでと、ほぼA3サイズまでしか使用できないのに対して、PX-M6011F/PX-M6010Fは1,200mm(1.2m)まで対応する。垂れ幕や横断幕の印刷に便利そうだ。対応用紙は似ている様で、PX-M6011F/PX-M6010Fの方が幅広く使用できる。 給紙に関して4機種とも前面給紙カセット+背面給紙の2方向給紙となっている。4機種とも前面給紙カセットにA3の用紙までセットできるが、A4用紙以下のサイズの場合は本体に完全収納できるが、B4やA3の場合は給紙カセットを伸ばす必要があり、本体から前に飛び出す形になる。排紙トレイよりは飛び出ていないので、使用時は気にならないだろうが、排紙トレイを収納した際には飛び出しが気になる場合もあるだろう。ちなみにPX-M6011FとPX-M6010FはA3ノビプリントに対応しているが、前面給紙カセットはA3までとなる。カセット1段にA4普通紙で250枚までセットできるので、大量給紙が可能だ。この前面給紙カセットがPX-M6011FとMFC-J6983CDWは2段、PX-M6010FとMFC-J6583CDWは1段搭載しているのが大きな違いだ。PX-M6010FとMFC-J6583CDWは前面給紙カセットには1種類の用紙しかセットできず250枚までとなるが、PX-M6011FとMFC-J6983CDWはそれぞれのカセットに、A3とA4や、普通紙と両面普通紙といった違う用紙をセットして使い分けることも出来るし、2段とも同じ用紙をセットすれば500枚まで使えるという点で便利だ。ただし、PX-M6011FもMFC-J6983CDWも下段は普通紙に限定され、PX-M6011FはB5以上、MFC-J6983CDWはA4以上となる。 一方の背面給紙は、PX-M6011F/PX-M6010Fは普通紙を50枚までセットできる。A3ノビサイズもこちらからとなる。MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは普通紙を100枚までセットできる他、0.52mm厚の厚紙まで対応する。通常のプリンターでは0.3mm前後が限界なので、やや分厚い紙でもプリント可能だ。背面給紙はMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWの方が機能は豊富だ。ちなみに、ハガキのセット枚数で見てみると、PX-M6011F/PX-M6010Fは前面給紙カセットに65枚、背面給紙に20枚の計85枚、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはそれぞれ30枚と50枚で計80枚となり、ほぼ同等である。ただし、前面給紙カセットでのセット枚数に大きな差があるため、常時セットしておく場合は前面給紙カセットの方がホコリが積もらず良いので、ハガキを印刷する場合はPX-M6011F/PX-M6010Fの方が便利そうだ。 それ以外の機能として、PX-M6011F/PX-M6010Fは排紙トレイの自動伸縮機能が搭載されている。印刷時に排紙トレイが自動的に伸張されるので、排紙トレイを出し忘れて印刷物が床に散らばってしまったう心配が無い。またA4とA3で伸張量を調整するため、A4プリントなのに無駄に最大まで伸張して邪魔になるという事も無い。 4機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙の場合はカセットを挿し込むと、背面給紙の場合は用紙をセットすると自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。さらに、PX-M6011F/PX-M6010Fは、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能も搭載しており、用紙サイズが印刷設定より小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部を汚さないように工夫がなされている。 |
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印刷速度 |
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その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能は4機種とも搭載しており、いずれもA3まで対応している。4機種ともハガキにも対応するため、年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できるなど、便利である。なお、自動両面印刷の場合、表を印刷した後、そのままもう一度プリンター内に吸い込まれ、前面給紙の場合と同じくプリンター後方で180度方向転換することで、裏返しているわけだが、これに時間がかかってしまい、両面印刷時は片面印刷に比べると印刷速度が低下してしまう。PX-M6011F/PX-M6010Fはの自動両面印刷時の速度は、カラーが9.0ipm、モノクロが16.0ipmとなる。一方MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはカラーが11.0ipm、モノクロが12.0ipmとなる。片面印刷と比べると、PX-M6011F/PX-M6010Fはカラーが75%、モノクロが64%の速度となり、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはカラー、モノクロ共に54.5%の速度で、PX-M6011F/PX-M6010Fの方が速度が落ちにくい。結果、差が大きかったカラーでの差が小さくなり、モノクロでの差は広がっている。両面印刷をメインに考えるならPX-M6011F/PX-M6010Fの方が便利と言える。ちなみに、ipmは1分間の「面」数なので、両面印刷は1枚に2面となるため、枚数で言うとipmの半分となる。 画質的には写真印刷には向かないが、PX-M6011F/PX-M6010Fは写真自動補正機能「オートフォトファイン!EX」に対応している。逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。 カラーインクが切れた時でも、モノクロ印刷が継続できる機能は4機種とも搭載している。エプソンは「黒だけでモード」、ブラザーは「クロだけ印刷」という機能である。エプソンは最大5日、ブラザーは最大30日かつコンセントを抜くなど電源供給が無くなると終了となる制限があるが、新しいインクカートリッジを買いに行くまでの緊急対応が行える。 その他、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能はPX-M6011FとPX-M6010Fのみ搭載している。さらに、PX-M6011FとPX-M6010Fは交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)にも対応している。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、多くの機種は満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、これら2機種は、インクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスボックスが売られており(2,380円)、交換すれば印刷が再開できる。安くすむだけでなく、プリンターが手元に無い期間が無くなるため便利だ。一方、フチなし吸収材(フチなし印刷時は用紙サイズより少し大きめにプリントする事で実現しており、そのはみ出したインクを吸収させるもの)が満タンになった場合は修理対応となるが、こちらも「フチあり」印刷に限っては印刷が継続できる機能を搭載する。とりあえず、急ぐ印刷だけを行っておき、時間に余裕のある時に修理に出すことが可能だ。MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは通常の使用では廃インクパッドの交換が必要ない事をウリにしているが、そもそも廃インクパッドとは、どのインクジェットプリンターでもそういうものであり、交換が必要になる事は多くは無い。それでも印刷枚数やクリーニング回数が多かったり、使い方によっては満タンになる事があり、その際にユーザーによる交換が可能か、修理対応となってしまうかは安心感に大きな違いがある。 |
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(ADFは600×600dpi) |
(ADFは600×600dpi) |
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長尺900mmm対応 |
長尺900mmm対応 |
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続いて、スキャナー部を見てみよう。4機種ともA3対応のスキャナーを搭載しており、読み取り解像度は最大1200×2400dpi、CIS方式という点も同等だ。家庭向けの機種ではもっと高解像度の機種があるが、紙などの反射原稿しかスキャンできないことを考えると1200dpiでも十分だ。一般的には文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpi程度で、よほど綺麗に保存したい場合に1200dpiでスキャンすると言った程度だ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当なので十分といえる。逆にスキャナー解像度が高いセンサーでは1ドットあたりの光の取り込み量が減り、スキャン速度が低下したりノイズが発生したりするため、バランスを取って1200dpiとしていると思われる。なお、4機種ともCIS方式であるため、分厚い本など浮いてしまう原稿は苦手で、ピントが合わずぼけたような画像となってしまう点は共通だ。 また、4機種ともADFを搭載している。MFC-J6583CDWを除く3機種は50枚まで、MFC-J6583CDWは30枚までの原稿を重ねてセットすれば順に給紙してスキャンしてくれるため、複数の原稿のスキャンやコピー、ファクス時に重宝する。また、MFC-J6583CDW以外の3機種のADFは両面スキャンにも対応しているため、両面原稿でも安心だ。しかし、同じ両面スキャン対応でも機能差がある。PX-M6011F/PX-M6010Fは、フラットベッドスキャナと共通のCISセンサーを使うため、片面ずつしかスキャンできない。そのため一度片面をスキャンした後、自動的にもう一度給紙して裏面をスキャンするという方式である。両面原稿の場合、1枚に倍以上の時間がかかってしまう。一方MFC-J6983CDWは、フラットベッドと共通のCISセンサーとは別に、反対面にADF用のCISセンサーも搭載する。そのため、一度で両面をスキャンできるため、理論上は両面でも1枚当りのスキャン時間は片面と変わらないというメリットがある。両面スキャンを多用する場合はMFC-J6983CDWの方が便利だ。MFC-J6583CDWはフラットベッドスキャナ兼用のCISセンサーのみで、裏返す機能も省略されているため、片面スキャンのみとなる。 ちなみに対応サイズは、最大は4機種ともA3だが、最小サイズはPX-M6011F/PX-M6010FがA5サイズなのに対して、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはハガキサイズまで対応する。より小さい用紙まで使えるのは便利だろう。ただし、ハガキ「サイズ」であって、ハガキのスキャンには対応できない。というのも対応する用紙は、PX-M6011F/PX-M6010Fが坪量95g/uまで、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは坪量90g/uまでと変わらない。郵便ハガキは230g/u程度と言われているため、厚すぎるのである。4機種とも、給紙後にすぐに方向転換のためかなり急に曲げられてしまうため、厚めの紙や硬めの紙はADFでは使用できない。なお、ADFを使用した場合MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは長尺読み取りに設定すると、A3サイズ(長さ420mm)を超える900mmまでスキャンできるのはメリットだ。 ADF使用時の読み取り速度も重要だ。PX-M6011F/PX-M6010Fはカラーが9.0ipm(ipm=image per minute:1分間に何面をスキャンできるか)、モノクロが26.0ipmとモノクロが特に高速だ。モノクロスキャンの速度はモノクロプリントの速度を超えているため、ADFを利用して複数枚の原稿をコピーする際に、理論上はスキャン速度がボトルネックにならない点で非常に便利だ。一方MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはipm値を公表していない。 なお、4機種ともスキャンした原稿をパソコンを使わずメモリーカード又はUSBメモリー(MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはUSBメモリーのみ)に保存する機能を搭載している。 |
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(外付けHDD対応) |
(外付けHDD対応) |
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赤目補正 |
赤目補正 |
明るさ補正(5段階) コントラスト補正(5段階) |
明るさ補正(5段階) コントラスト補正(5段階) |
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ダイレクト印刷機能は、4機種とも対応しているが、いずれもメモリカードリーダーは搭載しておらず、USBポートだけである。そのためUSBメモリー内のデーターの印刷がメインとなる。ただし、PX-M6011F/PX-M6010FはUSBポートにパソコン用のメモリカードリーダーを接続する事により、SDカードやメモリースティックなど各種メモリカードに対応できる。またUSBメモリーだけで無くUSB接続の外付けハードディスクにも対応しているなど、対応は豊富だ。一方、対応するファイル形式は、PX-M6011F/PX-M6010FはJPEG、TIFF、PDF、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはJPEGのみとなる。画質的に写真印刷向きの機種では無い事から、文書の印刷がメインとなると思われるため、スキャンしてメモリカードに保存したデーターを再度印刷するという用途が考えられるだろう。その点でPX-M6011F/PX-M6010Fは、同機能を利用してメモリーカードに保存したPDFファイルのみという制限はあるが、PDF形式に対応するのは便利だ。MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはJPEGのみであるため、スキャン時にPDF形式で保存してしまうと、印刷できないし、JPEG形式だと複数ページの場合に1ページずつ別のファイルとなり不便だ。 ちなみに、写真印刷向きでは無いとは言え、写真の印刷ももちろん可能だ。液晶内に表示される一覧から写真を選んで印刷できる。その際、フチあり、フチなしの選択も可能だ。その際、撮影日を入れることも可能で、一通りの機能は備えている。その他、PX-M6011F/PX-M6010Fは赤目補正を、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは明るさとコントラスト補正を行うことも可能だ。PX-M6011F/PX-M6010Fは自動写真補正機能である「オートフォトファイン!EX」も利用可能だ。 |
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EPSON Smart Panel |
EPSON Smart Panel |
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Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) |
Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) |
Android 4.0.3以降 |
Android 4.0.3以降 |
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(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
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本体でプリント操作が必要 |
本体でプリント操作が必要 |
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スマートフォンとの連携機能も4機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。写真とドキュメント印刷、スキャンに対応しており、様々な内容をプリント可能だ。写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。ドキュメント印刷は、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、4機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、また、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、MFC-J6583CDWを除く3機種は手軽に接続出来る工夫がなされている。PX-M6011F/PX-M6010Fは、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定はより簡単になっている。一方のMFC-J6983CDWはNFCに対応しており、タッチするだけで接続が完了する。ただし、こちらは端末がAndroid限定で、NFCに対応している必要がある。MFC-J6983CDWでiOSから接続する場合と、MFC-J6583CDWの場合は、Wi-Fi設定からセキュリティーキーなどを入力して手動で接続する必要がある。PX-M6011F/PX-M6010Fは、使う機会は限定されるとはいえ、iOSでもAndroidでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。 また、PX-M6011F/PX-M6010Fはスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどとの印刷に対応している。 さらに、クラウドとの連携機能も4機種とも搭載している。プリントの場合、オンラインストレージのファイルを印刷する事が可能で、主要なクラウドサービスに対応してる。PX-M6011F/PX-M6010FはSNSの写真をコメント付きでも印刷する事も可能だ。ここで大きな違いは、PX-M6011F/PX-M6010Fはスマートフォンのアプリからアクセスするのに対して、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはスマートフォン上だけでなくMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDW本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、選択肢が広いという点ではMFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWが便利だ。スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。こちらはプリントとは異なり、4機種とも本体の操作でアップロードまで行うことも、スマートフォンからスキャンしてアップロードすることもできる。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるのは便利だ。 さらにネットワークを利用した遠隔地からのプリント機能も4機種とも搭載している。まず、印刷したい写真や文書を本機にメールするだけで印刷できる「メールプリント」(PX-M6011F/PX-M6010F)または「メール添付印刷」(MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDW)機能を搭載する。ただし、PX-M6011F/PX-M6010Fはメールを受信すると自動的にプリントされるが、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは受信後24時間以内に、本体操作で送信元を選んでプリントを実行する必要があるため、PX-M6011F/PX-M6010Fの方が手間がかからない。さらに、PX-M6011F/PX-M6010Fは、スキャンしてを離れた場所の対応複合機で印刷、またはその逆が行え簡易ファクスのように使える「メールdeリモート印刷」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のPX-M6011F/PX-M6010Fで印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。ネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。 |
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濃度調整 背景除去機能 コントラスト調整 鮮やかさ調整 色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別) シャープネス調整 色相調整 |
濃度調整 背景除去機能 コントラスト調整 鮮やかさ調整 色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別) シャープネス調整 色相調整 |
地色除去コピー 裏写り除去コピー インク節約モードコピー |
地色除去コピー 裏写り除去コピー インク節約モードコピー |
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影消しコピー パンチ穴消しコピー 見開き→2ページコピー ソート(1部ごと)コピー |
影消しコピー パンチ穴消しコピー 見開き→2ページコピー ソート(1部ごと)コピー |
ブックコピー 透かしコピー 2枚に分割 ソートコピー ポスターコピー(3×3/2×2/1×2) |
ブックコピー 透かしコピー 2枚に分割 ソートコピー ポスターコピー(3×3/2×2/1×2) |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、4機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能や、原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行える「定型変倍」機能に加え、25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える高性能な物を搭載している。また、2枚又は4枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付け、4面割り付けにも対応する。 その他、濃度調整機能は4機種とも搭載する。また、背景色を除去する機能も「背景除去機能」「地色除去機能」として搭載している。それ以外の違いとしては、PX-M6011F/PX-M6010Fはプレビューが行え、コピー前に原稿を確認できるため失敗が少なくなるほか、プレビュー画像を見て拡大・縮小率を調整できるのも便利だ。また、コントラスト、鮮やかさ、色調、シャープネス、色相の調整も可能だ。色調調整は、レッド・グリーン・ブルーを個別に調整できる。かなり高度な色の調整が可能で、好みの色や、原稿の色に近づけたコピーが可能だ。一方、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは「裏写り除去コピー」が行える他「インク節約モード」も搭載する。「インク節約モード」は全体に色を薄くするのでは無く、文書の文字はそのまま残しつつ、見出しなどの大きな文字や、グラフ、色囲みなどは、輪郭だけを残して内側の色を薄くすることで、見やすさを落とさずにインク使用量を減らすことができる。 4機種とも様々なバラエティーコピー機能も搭載している。免許証などの両面の小さな原稿を、1枚の用紙に裏表並べてコピーできる「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能、周囲や綴じ目部分にできる影を消す「影消しコピー」又は「ブックコピー」、本などを見開きでスキャンし左右に分割して1ページごと用紙にコピーする「見開き→2ページコピー」又は「2枚に分割コピー」、ADFを利用した機能として、複数ページの複数部をコピーするときに1部ずつまとめてコピーする「ソート(1部ごと)コピー」又は「ソートコピー」といった機能は4機種とも共通で搭載している。これに加えて、PX-M6011F/PX-M6010Fはパンチ穴を消す「パンチ穴消しコピー」機能を搭載している。MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはすかし文字を入れてコピー出来る「透かしコピー」と、1枚の原稿を複数枚に拡大コピーすることで、貼り合わせてA3を超えるサイズにできる「ポスターコピー」機能を搭載する。「ポスターコピー」は1×2、2×2、3×3が選べる。エプソンとブラザーで一部機能は異なるが、豊富な機能を搭載し、様々な場面で便利に使えるだろう。 |
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8dot/mm×7.7line/mm(精細) 8dot/mm×15.4line/mm(高精細) 16dot/mm×15.4line/mm(超高精細) 全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可 |
8dot/mm×7.7line/mm(精細) 8dot/mm×15.4line/mm(高精細) 16dot/mm×15.4line/mm(超高精細) 全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択可 |
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン) 8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン) 8dot/mm×7.7line/mm(写真) |
8dot/mm×7.7line/mm(ファイン) 8dot/mm×15.4line/mm(スーパーファイン) 8dot/mm×7.7line/mm(写真) |
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(電話帳200宛先+手入力50宛先) |
(電話帳200宛先+手入力50宛先) |
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ファクス機能は4機種はほぼ同等のもの搭載する。スーパーG3に対応しており、モノクロ、カラーファクスを行う事が出来る。ADFを搭載しているため、複数枚の原稿の送信も便利である。もちろん両面スキャンしファクスできるため便利だ。33.6Kbpsで通信可能であり、その場合の伝送速度はモノクロで約3秒となる。また読取走査線密度はモノクロで8dot/mm×3.85line/mmの標準モード、8dot/mm×7.7line/mmの精細又はファインモード、8dot/mm×15.4line/mmの高精細又はスーパーファインモードに設定できる。加えて、PX-M6011F/PX-M6010Fはさらに高精細な、16dot/mm×15.4line/mmの超高精細モードが設定できる。MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはファインモードと読取操作線密度は同じだが、写真を含む原稿に向いている写真モードも選択できるが、PX-M6011F/PX-M6010Fは全モードで原稿種類を「文字」「文字・写真」「写真」から選択が可能であり、自由度はPX-M6011F/PX-M6010Fの方が高い。とはいえ4機種で多少の違いはあるが大きな差はないだろう。カラーはPX-M6011F/PX-M6010Fが200×200dpi、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは203×196dpiだ。送信原稿サイズはPX-M6011F/PX-M6010FがA3〜A5サイズ、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはA3/B4/A4で、PX-M6011F/PX-M6010FはB5とA5サイズに対応しているのは便利だ。受信したファクスの印刷も様々なサイズに対応している。受信したファクスはPX-M6011F/PX-M6010Fが550枚又は100件分、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは400枚(件数は不明)まで保存でき、電源オフだけでなく、停電時やコンセントが抜けた場合でも受信した内容が保持されるのは安心である。ただし、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWは電源供給がない場合に保持できるのはは2〜3日のみである。 ダイヤル機能としてはアドレス帳に200件登録できるが、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはこれに加えて8件のワンタッチダイヤルも登録できる。正確には1〜4までのボタンとシフトボタンの組み合わせで8件となっており、より簡単にダイヤルできる。ただし、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWのアドレス帳は1番号あたり100件なのは注意が必要だ。一方、PX-M6011F/PX-M6010Fはクイックダイヤルボタンが用意され、このボタン+アドレス帳の登録番号でダイヤルができるようになっている。 その他、グループダイヤル、順次同報送信、自動リダイヤルなどを備えているため、一般的な家庭用ファクス電話以上の事が可能だ。PX-M6011F/PX-M6010Fはポーリング送受信も可能だ。また、送信するファクスを液晶で確認してから送信する「見てから送信」と、受信したファクスの内容を液晶で確認した上で印刷するか決めることで用紙を節約できる「見てから印刷」機能も4機種とも備える。受信したファクスは、指定したアドレスにメールできるため、外出時でもファクスが確認できる他、PX-M6011F/PX-M6010Fは共有フォルダに保存したり、USBメモリーやメモリーカードに保存も出来、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはクラウドにアップロードが出来るため、情報共有も行いやすい。 さらに、パソコン内のデーターを直接ファクスできる「PCファクス」機能を備えているのも便利である。送信(パソコン上のデーターを画像として送信)だけでなく、受信(パソコン上にファクスのデーターを受信)することもできる。なお、ファクス機能だけで受話器がないため通話機能は無いが、モジュラージャックのインとアウトを備えており、アウトに電話機を接続すると通話が可能となる。その際、ファクス/電話自動切り替え機能にも対応している。4機種はワンタッチダイヤルや受信ファクスの扱いなど微妙な差はあるが、ほぼ同じと考えて良いだろう。 |
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(角度調整可) |
(角度調整可) |
(角度調整可) |
(角度調整可) |
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(角度調整可) |
(角度調整可) |
(角度調整可) |
(角度調整可) |
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5GHz対応 (Wi-Fiダイレクト対応) |
5GHz対応 (Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
(Wi-Fiダイレクト対応) |
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MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.6.8〜 |
MacOS 10.12.6〜 |
MacOS 10.12.6〜 |
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操作パネルを見てみよう。4機種ともタッチパネル式の液晶パネルを搭載しつつ、テンキーなど、一部は物理ボタンとして用意する事で、操作性を高めている点は共通だ。本体前面に配置され、持ち上げて角度調整が可能なので、見やすい角度に調整が出来て操作性が良いのも共通だ。液晶サイズはPX-M6011F/PX-M6010Fは4.3型、MFC-J6983CDWは3.7型、MFC-J6583CDWは2.7型となる。ブラザーの2機種は小さく、特にMFC-J6583CDWはかなり小さめだ。また、視野角や輝度などの面でPX-M6011F/PX-M6010Fの方が視認性は良い。とはいえタッチパネルと物理ボタンを併用しており、操作性は良好だ。 インターフェースは4機種ともUSB2.0に加えて、ネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクトに対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。ネットワーク接続に関しては、無線LANに加えて、有線LAN接続にも対応する。無線LANの電波が届きにくい、壁にLANコネクターがある、手軽に接続したいなどの理由で有線LAN接続を使用する事も可能だ。さらに、PX-M6011F/PX-M6010Fの無線LANはIEEE80.211ac/aにも対応し、5GHz帯にも対応する。IEEE802.11acはIEEE802.11nと比べると通信速度が圧倒的に速いため、無線LAN接続時でも待たされる心配が無い。さらに、IEEE802.11ac/n/a通信時は、5GHz帯の電波を使用できる。MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWの2.4GHz帯は、Bluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすいが、5GHz帯は無線LAN専用といえるので、通信が安定する。無線LANでの接続を考えているなら、この差は注目だ。 対応OSにも差がある。PX-M6011F/PX-M6010FはWindows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3と幅広く対応している。マイクロソフトのサポートが終了したWindows VistaやXPにも対応しているのは安心だ。MacOSも10.6.8以降と比較的古いバージョンから対応している。一方、MFC-J6983CDW/MFC-J6583CDWはWindows 10/8.1/8/7/Vista SP1となり、Windows XPには対応しない。MacOSも、10.12.6以降となり、PX-M6011F/PX-M6010Fよりは新しいバージョンからの対応となる。使用するパソコンのOSには注意したい。耐久枚数は4機種とも15万枚をうたっている。家庭用の機種が1万〜1万5000枚程度と言われているため、大量印刷でも安心だ。 本体サイズは前面給紙カセットが2段のPX-M6011Fが515×450×350mm、MFC-J6983CDWが575×477×375mm、カセットが1段のPX-M6010Fが515×450×285mmで、MFC-J6583CDWが575×477×305mmとなる。カセット段数が同じ機種同士で比較すると、エプソンの方がかなり小型だ。特に横幅は6cm小さく、奥行きも高さも2cm以上小さい。一回り大きいA3ノビに対応していながら、本体サイズが小型なのは、設置スペースが大きくなりがちなA3複合機では魅力的と言える。 4色顔料で、印刷速度が高速、給紙枚数やファイクス機能など似ている部分も多い4機種だが、4機種から選ぶ前に、前面給紙カセットが2段必要か、1段で良いのかを決める方が早いだろう。1段で良いのに、価格が高く本体サイズが大きくなる2段の機種を選ぶ必要は無く、すぐに半分に絞れる事になる。 前面給紙カセットが2段必要ならPX-M6011FかMFC-J6983CDWから選ぶ事になる。印刷速度で選ぶならカラープリントが多いか、モノクロがメインかによる。カラーが多いならカラープリントが高速なMFC-J6983CDWがオススメだ。モノクロならPX-M6011Fが速いが、MFC-J6983CDWも大きな差ではない。むしろ自動両面印刷を良く使うなら、PX-M6011Fがオススメだ。また印刷画質重視なら、完全な4色顔料で普通紙印刷の解像度の高いPX-M6011Fが、印刷コスト重視ならMFC-J6983CDWという選択肢もある。その他の点で言うと、長尺印刷や、64mm幅印刷、A3ノビ印刷を行いた場合や、Wi-Fiダイレクト接続が多い場合、遠隔地からのプリントを行いたい場合、コピーやファクスなど本体の操作が多い場合、本体がコンパクトな方が良い場合はPX-M6011Fがオススメと言える。一方、両面原稿が多い場合や、クラウドからのプリントを本体だけで行いたい場合はMFC-J6983CDWがオススメだ。ただ、全体で見れば印刷コスト以外の面ではPX-M6011Fの方がクセが少なく、万人にお勧めしやすいと言える。 一方前面給紙カセットが1段で良いならPX-M6010FかMFC-J6583CDWから選ぶ事になる。前面給紙カセットの段数以外の差が無いPX-M6010Fに対して、MFC-J6583CDWは他の部分でも機能に差が付いている。印刷速度で選ぶならカラープリントが多いか、モノクロがメインかによる。カラーが多いならカラープリントが高速なMFC-J6583CDWがオススメだ。モノクロならPX-M6010Fが速いが、MFC-J6583CDWも大きな差ではない。むしろ自動両面印刷を良く使うなら、PX-M6010Fがオススメだ。また印刷画質重視なら、完全な4色顔料で普通紙印刷の解像度の高いPX-M6010Fが、印刷コスト重視ならMFC-J6583CDWという選択肢もある。その他のPX-M6010Fは優れている部分が多く、長尺印刷や、64mm幅印刷、A3ノビ印刷を行いた場合や、Wi-Fiダイレクト接続が多い場合、遠隔地からのプリントを行いたい場合、両面原稿をが多い場合、コピーやファクスなど本体の操作が多い場合、本体がコンパクトな方が良い場合はPX-M6010Fがオススメと言える。一方、MFC-J6983CDWはクラウドからのプリントを本体だけで行える点はメリットだが、それ以外に印刷コストとカラープリント速度以外は、PX-M6010Fに対して大きく勝る部分がない。MFC-J6983CDWと比べて、ADFが片面となり、液晶もさらに小さい点が、PX-M6010Fとの差を広げている。印刷コストを特別重視するのでなければPX-M6010Fがオススメと言えるだろう。。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ |
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