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2020年末時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2020年5月28日公開)
A3単機能機の中で、プロ向けでない製品である5機種を比較する。価格的には5万円以下となるが、エプソンはEP-50V(49,980円)とPX-S5080(34,980円)、PX-S5010(25,980円)、キャノンはPIXUS iP8730(28,800円)、PIXUS iX6830(24,800円)と価格にはかなりばらつきがある。とはいえ、PX-S5010とPIXUS iP8730/PIXUS iX6830は価格が近いため比較できるが、EP-50VとPX-S5080はそれぞれ近い価格の製品が他に無いため、5機種まとめての比較となる。価格の近い3機種はどの機種がおすすめなのか、そしてそれより高価な2機種はその価格差だけの価値があるのか検証しよう。 |
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シアン マゼンタ イエロー レッド グレー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
染料ブラック グレー シアン マゼンタ イエロー |
染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
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(つよインク200) |
(つよインク200X) |
(ChromaLife100+) |
(ChromaLife100+) |
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74番(標準容量) |
350/351(標準容量) |
350/351(標準容量) 355XXL(特大容量・顔料ブラックのみ) |
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ブラック:800ノズル |
ブラック:360ノズル |
Y/染料BK:各512ノズル 顔料BK:1024ノズル |
Y/染料BK:各512ノズル 顔料BK:1024ノズル |
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(税別) |
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まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。まずは写真画質である。最も画質が高いのはEP-50Vである。6色インク構成で最小インクドロップサイズは1.5plと小さい。さらに通常の6色とは異なり、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に、レッドとグレーインクを搭載する。これを、「Epson ClearChrome K2インク」と呼んで、従来の6色と区別している。ライトインクがない分、色の薄い部分での粒状感などが悪くなりそうだが、そこは理論的色変換システム「LCCS」が力を発揮する。プロセレクション(写真のプロ向けのプリント単機能機)の製品に採用されてきたこの「LCCS」は写真をプリントする際のインク配分を論理的に算出する色生成技術で、階調性・色再現域・粒状性などの点からベストになるように複雑に計算されて打つインクが決定されるというものだ。さらに、光源によって色合いが異なる光源依存性も最適になる様に計算されるなど、かなり高度なものだ。さらに紙送りの精度も高めることで、基本4色だけでも高画質に印刷ができるという。そこにレッドインクにより、くすみがちな赤系統の表現力を高め、赤い物だけで無く夕日や肌の色などでも違いが出る。さらに従来の6色ではモノクロ写真の場合のグレーの部分はカラーインクを使って表現するため青白くなってしまうが、EP-50Vではグレーインクを搭載しているため綺麗なグレーの階調表現ができる。カラー、モノクロ両方の表現力をさらに高めた製品と言える。全色染料インクを採用しているため、写真用紙へ印刷した際に用紙の光沢感がそのまま出るため写真印刷に向いているといえる。次に画質が高いのはPIXUS iP8730だ。EP-50Vと同じ6色構成だが、顔料ブラックと染料の5色による6色構成だ。そのため写真印刷は5色で行うことになり、通常の6色構成よりやや画質が劣る。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローにグレーインクを搭載しており、グレーインクをベースにすることで粒状感を抑えているが、特に色の鮮やかさという点では劣ってしまう。一方のEP-50VはLCCSの効果もあって通常の6色よりも画質が高いため、PIXUS iP8730とEP-50Vではそれなりに画質の差がある。とはいえ最小インクドロップサイズは1plと小さく、染料インクなので写真用紙に印刷した際の発色と光沢感も良い。よほど画質にこだわらなければPIXUS iP8730でも十分綺麗だろう。次に写真画質が高いのはPIXUS iX6830である。PIXUS iP8730からグレーインクを抜いた5色構成で、写真印刷は基本の4色となる。PIXUS iP8730よりもやや画質が劣るが、最小インクドロップサイズは同じ1plであるため粒状感を感じるほどでは無い。十分に写真画質で印刷ができるだろう。残るPX-S5080とPX-S5010は4色インク構成だが、全色顔料インクとなるため、写真印刷に向いているとは言いがたい。顔料インクは写真用紙に印刷した際に発色はあまり良くなく、また表面の光沢も薄れポストカードのような鈍い光り方になってしまう。インクも基本4色であることに加えて、最小インクドロップサイズもPX-S5080は2.8pl、PX-S5010は非公開ながら3pl程度と考えられるため、他機種の倍となり粒状感もそれなりに出てしまう。写真印刷ができないわけではないが、画質的にもインク的にも向いているとは言いがたい。写真印刷を考えているなら、画質にこだわるならEP-50V、それなりでも良いならPIXUS iP8730やPIXUS iX6830が良いだろう。 一方、文書印刷(普通紙への印刷)の画質となると、大きく異なる。普通紙印刷の場合、染料インクでは用紙上で広がってしまうため、シャープさが弱くなり、文字や線が太くなるほか、中抜き文字や小さな文字が潰れたり、写真のメリハリが弱くなる。また耐水性が弱いため濡らしてしまったり濡れた手で触るとにじんでしまう。顔料インクではこういったことは無く、普通紙にもシャープな印刷ができる他、耐水性も高い。このことから、EP-50Vは全色染料インクであるため、普通紙の印刷画質は並だ。細線強調機能や文字くっきり機能を搭載し、ドライバーレベルで画質を改善しているため、昔と比べるとかなりマシにはなっているが、やはり顔料インクと比べると劣ってしまう。PIXUS iP8730とPIXUS iP6830はブラックだけだが顔料インクを搭載しているため、ブラックインクを使用する部分に限ってだが、顔料インクの恩恵が得られる。カラー部分は染料インクを使用するのはもちろん、完全な黒ではなくグレーの部分はグレーインク(PIXUS iP8730のみ)又はカラーインクを混ぜて作る場合があり、また背景色がある場合も染料ブラックを使用場合があるため、全ての黒色部分で必ずしも顔料ブラックの恩恵が得られるわけでは無いが、黒文字などが顔料インクなだけでも全体の仕上がりはぐっと引き締まる。PX-S5080とPX-S5010は4色とも顔料インクを採用するため、カラー・モノクロ問わず普通紙の印刷画質は非常に高い。ある意味普通紙に特化していると言える。またPX-S5080はPrecissionCoreプリントヘッドを採用しており、普通紙印刷時の解像度も360dpiから600dpiにアップしているため、より高画質で、図面のような細い線でも潰れず印刷ができる。写真に特化したEP-50V、普通紙に特化したPX-S5080とPX-S5010、その中間のPIXUS iP8730とPIXUS iX6830となる。 なお、インクだがそれぞれ特徴的だ、EP-50Vは「つよインク200」となっており、アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年と耐保存性が非常に高くなっており、アルバム保存だけで無く飾っておいても色あせを防ぐことができる。一方PX-S5080は「つよインク200X」となっており、アルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年となり、画質は写真向けとは言えないが、耐保存性は高い。PIXUS iP8730とPIXUS iX6830は「ChromaLife100+」でありアルバム保存300年、耐光性40年、耐ガス性10年と、こちらも耐保存性はかなり高い。これら4機種の耐保存性は問題ないレベルだ。一方PX-S5010は顔料インクである事しか公表されておらず、「つよインク200X」に準拠するかは不明だ。場合によっては耐保存性が劣る可能性はある。 印刷スピードを見てみよう。まずはL判写真フチなしである。EP-50Vは34秒、PX-S5080が45秒、PIXUS iP8730とPIXUS iX6830は30秒と、4機種に大きな差は無い。PX-S5010は写真の印刷速度が公表されていない 。EP-50Vは1.5plと最小インクドロップサイズが非常に小さいが、5つのサイズのインク滴を打ち分ける「Advanced-MSDT」に対応しており、必要に応じて大きいサイズのインクを打つことで、画質と速度を両立している。ノズル数も全色180ノズルと、エプソンのプリンターとしては多い方だが、エプソンの6色の複合機は同じノズル数で13秒である事を考えるとやや遅めだ。LCCSの複雑な処理に時間が掛かるのか、紙送りなどを高精度に行っているのかといろいろ想像はできるが、原因は不明だ。PX-S5080はカラーが各256ノズル、黒に至っては800ノズルとノズル数が非常に多くなっているが、L判写真縁なし印刷は45秒とやや遅めだ。Advanced-MSDTより劣る3つのサイズのインクを打ち分けるMSDT対応という事も影響していると思われるが、文書印刷向けチューニングがなされているためではないかと思われる。一方のPIXUS iP8730とPIXUS iX6830も1plと最小インクドロップサイズは非常に小さいが、ノズル数を多くすることで高速化しているが、こちらもキャノンの複合機では14秒や18秒であることを考えるとやや遅い。とはいえ、複合機の上位機種ほどではないが、ストレス無く使用できるレベルだ。 一方、文書の印刷速度(普通紙への印刷速度)はEP-50Vを除く4機種が公表している。PIXUS iP8730とPIXUS iX6830はA4カラー文書で10.4ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロ文書で14.5ipmとなっている。これはインクジェットプリンターとしてはかなり高速な部類だ。しかし、PX-S5080はカラー10.0ipm、モノクロ18.0ipmと、モノクロ印刷ではこれを上回る。写真印刷では1.5倍かかっていたPX-S5080が逆転している訳である。やはり普通紙が得意な機種だけあると言えよう。PX-S5010はPX-S5080の下位モデルだが、カラー11.0ipm、モノクロ18.0ipmと同等かわずかに上回る速度だ。いずれにしても4機種とも非常に高速と言える。EP-50Vは非公表だが、海外の同機能のモデルを参考にすると、カラー9.0ipm、モノクロ9.2ipmとなっており、これに近いと思われる。他機種よりやや遅く、特にブラックのノズル数がカラーと同等である事から、他機種の様にモノクロの方が高速と言うことも無いが、十分高速だと言えるだろう。 印刷コストを見てみよう。まず、L版写真フチなしの印刷コストである。EP-50Vは12.7円、PX-S5080は19.2円、PIXUS iP8730が17.3円、PIXUS iX6830が15.8円となる。いずれも写真用紙代込みで、EP-50VとPX-S5080は500枚で2,143円なので1枚4.286円、PIXUS iP8730が400枚で1,705円なので1枚4.2625円である。1枚4.3円とすると、インクコストだけを計算するとEP-50Vが8.4円、PX-S5080Sが14.9円、PIXUS iP8730が13.0円、PIXUS iX6830が11.5円となる。EP-50Vの印刷コストが抜きに出て安いが、これは、EP-50VがV-editionというシリーズに属しており、インクカートリッジの価格を安くして、低印刷コストをうたっているためである。一般的な6色機よりも量が多く価格は安いため、インク代では約半分になっているという。A4やA3などの大判で写真印刷をしても安心と言える。PIXUS iP8730とPIXUS iX6830も印刷コストは低めだ。キャノンでは2017年末以降に発売された新機種から印刷コストが大幅に上がったが、これら2機種はそれ以前に発売された製品なので、印刷コストは安い。同じインクを使用するが、PIXUS iX6830の方が1色少ない事もあって印刷コストは安い。一方、PX-S5080は写真の印刷コストが高くなりがちな顔料インクである事もあって19.2円となっているが、染料インクのプリンターと比べても平均的な値で、特に高いというわけではない。PX-S5010は写真の印刷コストは公表していない。 文書の印刷コストとなると状況が少し変わる。、EP-50Vは前述の理由により低印刷コストにこだわってるため、A4カラー文書が6.0円と安い。PIXUS iP8730の9.2円、PIXUS iX6730の8.6円と比べてもかなりの安さだ。しかしPX-S5080を見ると7.6円と迫る勢いで写真の印刷コストとは傾向が異なる。顔料インクは印刷コスト面でも普通紙印刷に向いていると言える。PX-S5010は下位モデルだけあって8.6円とやや高くなるが、それでもPIXUS iX6830と同等で、家庭用染料6色の機種が12.0円であることを考えると十分安価だ。またモノクロはPX-S5080は2.5円、PX-S5010が2.7円、PIXUS iX6830は2.7円と大きな差は無い。このように、印刷コストは差はあるとはいえ、5機種とも十分に安いため、大量印刷も安心でも安心と言える。 | |||||||
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(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
(50枚/20枚/20枚) (0.6mm厚紙対応) |
(1枚/1枚/1枚) |
(50枚/20枚/20枚) |
(150枚/40枚/20枚) |
(150枚/40枚/20枚) |
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A4まで (200枚/65枚/50枚) |
(250枚/50枚/20枚) 【カセット下段】 普通紙のみ・B5〜A3 (250/−/−) |
A4まで (200枚/65枚/50枚) |
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続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。対応する用紙は、最大サイズは5機種ともA3ノビとなっているが、最小サイズはEP-50V、PX-S5080、PIXUS iX6830が名刺サイズ、PX-S5080とPIXUS iP8730はL判となっている。名刺サイズにカットされた用紙に印刷できる3機種は、名刺印刷を考えている人には、印刷後に切り取る手間が無い他、フチ無しのデザインも行いやすく非常に便利だろう。給紙に関しては、それぞれの機種で特徴がある。一番シンプルなのはPIXUS iP8730とPIXUS iX6830で背面給紙のみとなっている。一度にセット可能な枚数はA4普通紙が150枚と家庭向けよりやや多い程度だ。背面給紙・前面排紙であるため用紙が内部で大きく曲げられることがなく、厚紙への印刷も安心で、写真用紙などにもローラー跡が強く付く心配もない。またセットも簡単だ。一方で用紙をセットしたままだとホコリが積もってしまい、その用紙がプリンター内部に入ると故障の原因となるため毎回取り除くのが望ましい他、トレイが後方に倒れるため、上方と後方にスペースが必要となる点は不便だ。EP-50VとPX-S5010は兄弟機の様な製品なので、方式は同じだ。前面給紙カセット背面給紙を併用する。前面給紙カセットはA4サイズまでとなっているが、大型なので普通紙を200枚までセットできる。一方A3サイズなどA4サイズを超える用紙は背面からとなる。こちらは50枚までセット可能で、一般的な背面給紙よりは少ないが、A4用紙や写真用紙などよく使う用紙を前面給紙カセットに入れておけばホコリが積もる心配が無く、それ以外の用紙はセットしやすい背面からという使い方を想定しているのだろう。もちろん前面給紙カセットはハガキや写真用紙もセットできる。一方で背面給紙に関してはPIXUS iP8730やPIXUS iX6830と同じくスペースが必要なほか、セットしたままにしておくとホコリが積もる問題があるのは同じだ。EP-50Vの背面給紙のもう一つの特徴として、0.6mm厚までの厚紙に対応している事がある。一般的なプリンターが0.3mmまでなので、倍の厚みまで使用できる。いざというときに便利だろう。PX-S5010も同じ構造だが厚紙対応はうたわれていない(対応していないとも書かれていない)ため不明だ。最後にPX-S5080だが、前面給紙を基本としている。給紙カセットを2段搭載し、それぞれに普通紙で250枚ずつセット可能と、圧倒的な給紙枚数である。下段にはB5〜A3の普通紙という制限があるが、2段ともA3やA4普通紙をセットして500枚の大量使用に備えても良いし、上段にA4、下段にA3というように使い分けることもできる。注意点としてはA4までの用紙の場合、カセットは内部に完全に収納できるが、それ以上のサイズの場合、トレイを伸ばす必要があり、前に飛び出してしまう。使用時は排紙トレイを伸ばすため問題ないとも言えるが注意が必要だ。前面給紙・前面排紙と言うことで、プリンター後方で用紙が180度方向転換する必要があり、厚紙や封筒などの二重になった紙は少し苦手だ。そこで、PX-S5080では1枚ずつではあるが背面からの手差し給紙を可能としているのが大きな特徴だ。従来の背面給紙に近い位置だが、用紙をセットしておけるような大型のものではなく、折りたたみ式の簡易的なものだ。複数枚セットしても一度に給紙されてしまうため、本当に1枚ずつとなる。その分、背面に大げさなトレイを設けること無く背面給紙を可能としているわけである。厚紙や、封筒の様な特殊なサイズに印刷する場合だけでなく、前面給紙カセットにセットしたのとは異なる用紙を1枚印刷したい場合に、わざわざ入れ替えることなく印刷できるというメリットもある。このように、各製品に特徴があるが、A3やB4を日常的に使うなら、これらの用紙を前面給紙カセットに入れられるPX-S5080が、日常的にはA4用紙までという人はEP-50VやPX-S5010が便利だろう。 ちなみに、ハガキや写真用紙のセット可能枚数も見てみよう。EP-50VとPX-S5010は前面給紙カセットにハガキが65枚、写真用紙が50枚までセットできる。ハガキは30〜50枚、写真用紙は20枚程度が一般的なので、給紙枚数はかなり多い。その上背面給紙にもハガキや写真用紙が20枚までセットできるので、合計でハガキは85枚、写真は70枚セットできる。PX-S5080は前面給紙カセットの上段のみで、ハガキが50枚、写真用紙が20枚となる。PIXUS iP8730とPIXUS iX6830はハガキ40枚、写真用紙20枚である。ハガキや写真用紙に大量印刷したい場合は、EP-50VやPX-S5010が手間が少なくて便利だ。 一方 排紙トレイで便利なのが、EP-50VとPX-S5010が搭載する自動開閉機能だ。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する。後述の自動電源オン機能と組み合わせると、プリンターの前にいなくても電源が自動で入り、自動で排紙トレイが伸張し、印刷が実行される。あとは印刷が完了した頃に取りに来るだけだ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。 EP-50V、PX-S5080、PX-S5010は用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙カセットを挿し込む、またはEP-50V/PX-S5010の背面給紙は用紙をセットした時点で、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。できる限り印刷ミスによる用紙とインクの無駄遣いをなくす工夫がなされている。これに加えて、印刷速度に影響は出るが、印刷時に実際の用紙幅をセンサーでチェックする機能もあり、誤って小さい用紙をセットした場合でもインクでプリンター内部を汚さないようになっている。 | |||||||
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印刷速度 |
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(USB接続時のみ) |
(USB接続時のみ) |
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その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能はEP-50VとPX-S5080、PX-S5010が対応している。ただし、PX-S5080はA3サイズまでの自動両面印刷に対応しているのに対して、EP-50VとPX-S5010はA4サイズまでとなる。一方EP-50VとPX-S5080は普通紙とハガキに加えて、ファイン紙の自動両面印刷にも対応している。両面印刷ファイン紙は多数の製品が発売されており、両面印刷時の裏移りを抑えられるなど、両面印刷に適しており、高画質に両面印刷を行いたい時に便利だ。CD/DVDレーベル印刷機能に関しては、EP-50V、PX-S5010、PIXUS iP8730が対応している。基本的には家庭向けの機種用の機能だが、PX-S5010はEP-50Vと同じ本体であるため機能が搭載されているのだろう。写真の自動補正機能としてエプソンの3機種は「オートフォトファイン!EX」を、キャノンの2機種は「自動写真補正」を備えている。「オートフォトファイン!EX」は顔を自動判別し、シーンに合った補正をするもので、逆光写真や色かぶりも自然に補正してくれる機能である。一方「自動写真補正」も顔を自動検出し、顔とそれ以外の部分の露光状態を別々に解析して、それぞれに合った明るさに補正してくれる機能である。つまり、5機種とも高精度で自動補正をする機能を搭載している。PictBridgeに関してはPIXUS iP8730がWi-Fi方式にのみ対応しているが、対応するデジタルカメラは少ない。最近、搭載機種が増えつつある自動電源オン機能だが、EP-50V、PX-S5010、PIXUS iP8730が対応している。電源が切れた状態でも印刷が実行されると自動的に電源がオンになり、指定した時間がたつと自動的に電源がオフになる。最近のプリンターはネットワーク接続ができるため、必ずしもパソコンのそばにあるとは限らず、またスマートフォンなどからのプリントも考えられるため、わざわざプリンターの前まできて電源を入れる必要がないのは便利だ。EP-50VとPX-S5010は排紙トレイも自動で伸張するため完全に自動だが、PIXUS iP8730は前面カバーを開け排紙トレイを開けた状態にしておく必要がある。また、PIXUS iP8730はUSB接続時のみ有効なので、Wi-Fi接続でパソコンやスマートフォンから離れた場所に置いた場合には使用できず、実質的に意味が無いとも言える。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能は5機種とも搭載している。ただし、こちらもPIXUS iP8730とPIXUS iX6830はUSB接続時のみ利用できる。 その他の便利機能として、EP-50VとPX-S5080、PX-S5010は交換式メンテナンスボックス(廃インクタンクの交換)にも対応している。メンテナンスボックスとはクリーニング時に排出される廃インクを貯めるもので、満タンになると通常は修理に出して交換する必要がある。交換費用もそれなりに掛かる他、プリンターが手元に無い期間が発生してしまう。しかし、これら3機種はユーザー自身で簡単に交換できるようになっている。インクカートリッジなどと共に家電量販店やパソコンショップなどでも販売されており、EP-50VとPX-S5010用は980円、PX-S5080用は2,382円となっている。PIXUS iP8730で修理に出すと14,300円、PIXUS iX6830は12,100円かかるのとは大きな差である。メンテナンスボックスの空き容量はインク残量と共に表示されるので、空きが少なくなったら予備を用意しておけば、満タンになってもすぐに印刷を再開できる。EP-50Vは印刷コストが安く、PX-S5080とPX-S5010はビジネス用である事から、印刷枚数が多いと思われるため、この機能はうれしいところだ。ただし、フチなし印刷時に用紙からはみ出た部分のインクを吸収させる「フチなし吸収材」に関しては修理対応だ。 | |||||||
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Android 5.0以降 |
Android 5.0以降 |
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Android 4.4以降 |
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スマートフォンとの連携機能は5機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることで行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。接続は無線LAN(Wi-Fi)を利用するが、無線LANルーターを経由する方法と、プリンターと直接接続するWi-Fiダイレクトが一般的だ。エプソンの3機種は両方に対応しているが、キャノンの2機種はWi-Fiダイレクトには非対応で、無線LANルーターが必須となる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、PX-S5080はNFCを利用した接続支援機能が提供される。対応機種はNFC対応のAndroidに限られるが、タッチするだけでパスワード入力などが不要で接続出来る。使う機会は限定されるとはいえ、少しでも簡単に接続できるよう工夫さえれている点は評価できる。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 エプソンの3機種はスマートスピーカーにも対応する。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。 また、EP-50V、PX-S5080、PX-S5010はクラウドとの連携機能も搭載されており、スマートフォン/タブレット上からオンラインストレージ上のデーターにアクセスし、そのファイルを印刷することも可能だ。さらにEP-50VとPX-S5010は、SNSの写真をコメント付きで印刷できる機能も搭載している。いずれもスマートフォン用アプリ経由で、プリンター本体でクラウドにアクセスする機能はない。 それ以外にも、ネットワークを利用した機能として、印刷したい写真や文書をメールに添付してEP-50V、PX-S5080、PX-S5010に送ると自動で印刷できる「メールプリント」、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される「LINEからプリント」、パソコンやスマートフォンから通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる「リモートプリントドライバー」といった機能を搭載しているのが便利だ。さらにPX-S5080は、スキャンしてリモートプリントの受信にも対応している。PX-S5080はスキャナーを搭載しないため、送信はできないが、同機能に対応した複合機でスキャンして離れた場所のPX-S5080で印刷する事ができる。簡易ファクスのような使い方ができるわけだ。EP-50V、PX-S5080、PX-S5010の3機種はネットワークに接続されていることを最大限に生かしていると言えよう。 | |||||||
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(90度角度調整可) |
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(90度角度調整可) |
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(Wi-Fiダイレクト対応) |
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MacOS 10.6.8〜 |
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最近では単機能プリンターでも操作パネルを備える機種が増えてきているが、EP-50V、PX-S5080、PX-S5010の3機種が該当する。EP-50VとPX-S5010は同じ本体を使用しているのでデザインは共通だ。2.4型のカラー液晶を搭載しており、液晶横の物理ボタンで様々な操作が行える。液晶と操作パネルは本体前面に搭載されるが、90度まで起こして角度調整ができるため、見やすい・操作しやすい角度にする事ができる。液晶は複合機と比べれば大きくはないが十分なサイズだ。PX-S5080は2.2型のモノクロ液晶を搭載する。モノクロとは言えバックライトを搭載しており、グラフィカルな表示ではないが文字は見やすい。同じく液晶横のボタンで操作する。これらは、本体の前面から上面にかけて面取りされた部分に内蔵されており、斜めになっているため、どの角度でもある程度見やすくはなっているが、角度調整できるEP-50V/PX-S5010よりはやや劣る。PIXUS iP8730/PIXUS iX6830には液晶は搭載されない。液晶があると、前述のセットした用紙の登録が行えるだけでなく、Wi-Fiダイレクトの設定や、インク残量確認、各種設定が行え、エラー発生時にはその内容も確認できる。利便性は大きく向上するといえる。 インターフェースは5機種ともUSB2.0に加えてネットワーク接続が可能だ。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。そんな人には、家庭内のどのパソコンからでも印刷できるため非常に便利だろう。ただしPIXUS iP8730は無線LANのみである一方、他の4機種は有線LANにも対応する。無線LANはケーブルが不要なので、ケーブルの取り回しに苦労しないで良いというメリットがあるが、無線LANルーターの近くに置く場合や、逆に遠くて接続が安定しない場合の他、接続設定が面倒という場合や、壁にLANコネクタが用意されている場合などに有線LANは重宝するため、そういった使い方を考えている人はPIXUS iP8730は注意が必要だ。一方、PX-S5010は他の4機種より無線LAN機能が強化されている。他の4機種は2.4GHz帯を使用するIEE802.11n/g/bのみの対応だが、PX-S5010はこれらに加えて5GHz帯を使用するIEEE802.11ac/n/aにも対応する。2.4GHz帯はBluetoothや無線マウス、電話の子機、電子レンジなどと電波干渉がおきてしまうが、5GHz帯はその心配がない事に加えて、IEEE802.11nに比べてIEEE802.11acは圧倒的に高速でるため、印刷データーの転送も速くなる。上位機種PX-S5080にも無い利点といえる。 また、5機種ともスマートフォンやタブレットからの印刷にも対応しているが、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能なWi-Fiダイレクトに対応しているのはEP-50V/PX-S5080/PX-S5010となる。Wi-Fiダイレクトの設定には液晶がないと非常に不便なため、これら3機種が液晶を搭載している事がWi-Fiダイレクト対応にもつながっていると言える。 対応OSは5機種ともWindows 10/8.1/8/7/Vista/XPとMacOS 10.6.8以降となる。Windows XPはSP3が必要だ。PIXUS iP8730/PIXUS iX6830はWindows Vistaの場合SP1以降が必要であるが、5機種はほぼ同じと言える。耐久枚数はPX-S5080が15万枚、PX-S5010は5万枚をうたっている。一般的な家庭用プリンターが1万〜1万5000枚である事を考えると、これら2機種はかなり高耐久に作られており、ビジネス利用でも十分耐えられるようになっている。。 本体サイズは、EP-50VとPX-S5010が476×369×159mm、PX-S5080は567×424×304mm、PIXUS iP8730は590×331×159mm、PIXUS iX6830が584×330×159mmである。EP-50VとPX-S5010の横幅の小ささは突出していると言える。PX-S5080より9.1cm、PIXUS iP8730より12.3cmも小さく、同じA3ノビに対応しているとは思えないほどだ。奥行きはPIXUS iP8730とPIXUS iX6830の方が3.8〜3.9cm小さいが、EP-50Vは前面給紙カセットを搭載している事を考えれば十分小さいと言えるだろう。A4までの用紙であれば、前面給紙カセットに入れられるEP-50V/PX-S5010に対して、背面給紙のスペースが必要なPIXUS iP8730/PIXUS iX6830では、逆転することになる。PX-S5080は横幅こそPIXUS iP8730よりやや小さいが、奥行きがEP-50Vと比べても5.5cm、高さも14.5cmも高い。ビジネス用プリンターであるためコンパクトさよりも耐久性が求められる事に加えて、前面給紙カセットも250枚を2段と多い事も原因だ。設置スペースに限りがある人は注意が必要だ。 この5機種を見ると、発売が新しいEP-50VとPX-S5010の機能とコンパクトさが優れて見える。A4用紙は前面給紙カセットに入れられる一方、A3ノビなどの大きい用紙も背面から連続給紙ができ、自動両面印刷やディスクレーベル印刷だけでなく、自動電源オンと排紙トレイの自動伸張機能など、最新の機種らしい便利な機能も豊富だ。スマートフォン対応だけで無く、ネットワークプリント機能などにも抜かりは無い。液晶を搭載し操作性も良い。それでいて他機種とは比べものにならないコンパクトさである。EP-50Vは写真の画質と印刷コストでは一歩抜きに出ているし、PX-S5010は文書印刷の画質と印刷コストに優れている。写真向け又は文書印刷のどちらかの用途が中心なら、写真ならEP-50V、文書ならPX-S5010をおすすめしたい。 ただ、惜しいのは写真と文書それぞれに特化しすぎている事だ。両方ともまんべんなく使いたいという人にはPIXUS iP8730やPIXUS iX6830が良いだろう。また、写真の印刷もしたいが、EP-50Vほど画質はこだわらないので本体価格を安く抑えたいという人にもこれら2機種が良いだろう。染料の5色または4色で写真印刷もそれなりの画質である一方、顔料ブラックで文字印刷も十分綺麗だ。本体は横幅が大きいことや、自動両面印刷に非対応、スマートフォン対応も機能が限定され、液晶が無いなど、旧世代のイメージが残るが、基本性能は悪くない。この2機種では、写真印刷やレーベル印刷といった機能を重視するならPIXUS iP8730、文書印刷や有線LAN接続といった機能を重視するなたPIXUS iX6830がおすすめだ。これらとは逆にPX-S5010より更に文書印刷機能を極めるならPX-S5080という選択肢もある。本体サイズが大きいが、給紙枚数も多く、文書印刷画質はより高く、印刷コストはより安くなる。自動両面印刷もA3まで対応するし、本体の耐久枚数も多い。これらの機能に惹かれるならPX-S5080もありだ。ただ、PX-S5080にスキャナー、コピー、ファクス機能を付けたPX-M5081Fも高さ以外はほぼ変わらず、価格も近いため、こちらも同時に検討したい所だ。 以上より、写真印刷ならEP-50V、文書印刷ならPX-S5010だがおすすめだが、そこまでどちらかに限定したくない場合はPIXUS iP8730やPIXUS iX6830、逆に文書印刷に特化したいならPX-S5080となるだろう。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/ |
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