2021年春時点のプリンター 〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜 (2021年9月13日公開)
2万円前後のこのクラスは、上位モデルと比べると多少機能が省かれる物の、まだまだ高性能な一方、購入しやすい価格になっている。エプソンはEP-813AとEP-713AキヤノンはPIXUS TS7430とPIXUS TS6330、さらにブラザーの唯一の(ファクス機能非搭載の複合機(ファーストタンク方式は除く)のDCP-J987Nがこの価格帯となる。価格はEP-813Aが26,950円、EP-713Aが20,350円、PIXUS TS7430が21,450円、PIXUS TS6330が18,150円、DCP-J987Nが21,450円となる。これを見るとEP-813Aだけ価格が5,000円以上高いが、この価格の他社製品が無く、比較的近いこのクラスで比較する事になる。エプソンとキャノンの4機種は、上位モデルからどの機能を省くかによって個性が出ており、結果的に方向性の異なる製品となっており、ブラザーもこの両社とも異なった方向性の製品となっている。どのような違いがあるのか細かく見ていこう。 |
メーカー | エプソン | エプソン | キャノン | キャノン | ブラザー | ||
型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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実売価格(メーカーWeb/税込) | 26,950円 | 20,350円 | 21,450円 | 18,150円 | 21,450円 | ||
インク | 色数 | 6色 | 6色 | 5色 | 5色 | 4色 | |
インク構成 | ブラック シアン ライトシアン マゼンタ ライトマゼンダ イエロー |
ブラック シアン ライトシアン マゼンタ ライトマゼンダ イエロー |
顔料ブラック 染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
顔料ブラック 染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
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カートリッジ構成 | 各色独立 | 各色独立 | 各色独立 | 各色独立 | 各色独立 | ||
顔料/染料系 | 染料 (つよインク200) |
染料 (つよインク200) |
染料/顔料(黒) (ChromaLife100) |
染料/顔料(黒) (ChromaLife100) |
染料(カラー)/顔料(黒) (アルバム保存100年/耐光性50年) |
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インク型番 | サツマイモ | サツマイモ | 380XL/381XL(大容量) 380/381(標準容量) 380s/381s(小容量) |
380XL/381XL(大容量) 380/381(標準容量) 380s/381s(小容量) |
LC3111 | ||
ノズル数 | 1080ノズル | 1080ノズル | 4096ノズル | 4096ノズル | N/A | ||
各色180ノズル | 各色180ノズル | C/M/顔料BK:各1024ノズル Y/染料BK:各512ノズル |
C/M/顔料BK:各1024ノズル Y/染料BK:各512ノズル |
N/A | |||
最小インクドロップサイズ | 1.5pl(AdvancedMSDT) | 1.5pl(AdvancedMSDT) | N/A | N/A | 1.5pl | ||
最大解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 4800×1200dpi | 4800×1200dpi | 1200×6000dpi | ||
高画質化機能 | − | − | − | − | − | ||
印刷速度 | L判縁なし写真(メーカー公称) | 13秒 | 17秒 | 18秒 | 18秒 | 14秒 | |
A4普通紙カラー(ISO基準) | N/A | N/A | 10.0ipm | 10.0ipm | 10.0ipm | ||
A4普通紙モノクロ(ISO基準) | N/A | N/A | 15.0ipm | 15.0ipm | 12.0ipm | ||
(税込) |
L判縁なし写真 | 32.5円 | 32.5円 | 大容量:19.0円 標準:19.0円 小容量26.1円 |
大容量:19.1円 標準:19.0円 小容量26.1円 |
20.5円 | |
A4カラー文書 | 18.8円 | 18.8円 | 大容量:10.5円 標準:10.5円 小容量15.6円 |
大容量:10.5円 標準:10.5円 小容量15.6円 |
9.4円 | ||
A4モノクロ文書 | N/A | N/A | 大容量:3.3円 標準:3.6円 小容量5.6円 |
N/A | 2.9円 | ||
(税込) |
顔料ブラック | − | 大容量:1,793円 標準容量:1,331円 小容量:1,012円 |
大容量:1,793円 標準容量:1,331円 小容量:1,012円 |
1,078円 | ||
染料ブラック | 990円 | 990円 | 大容量:1,914円 標準容量:1,133円 小容量:803円 |
大容量:1,914円 標準容量:1,133円 小容量:803円 |
− | ||
カラー | 各990円 | 各990円 | 大容量:1,914円 標準容量:1,133円 小容量:803円 |
大容量:1,914円 標準容量:1,133円 小容量:803円 |
1,078円 |
まずはプリントの基本となる画質と速度、印刷コストから見ていこう。写真の印刷画質を見てみると、EP-813AとEP-713Aは6色インクで最小インクドロップサイズは1.5pl、印刷解像度は5760×1440dpiであり、非常に高画質な印刷が可能だ。これは上位モデルEP-883Aと同等であり、EP-883Aの方がインクが改良された分の僅かな差があるだけで、ほぼ同等画質と言える。ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色に、ライトシアンとライトマゼンダを搭載しており、いずれも写真印刷向けの染料インクとなる。染料インクは写真印刷時の発色が良く、写真用紙本来の光沢感も素直に出るため、写真印刷に向いている。さらにライトインクを使う事で、カラー原稿の色の薄い部分での粒状感が抑えられる。一方、PIXUS TS7430とPIXUS TS6330は5色インクとなる。染料インクのブラック、シアン、マゼンダ、イエローの基本4色と顔料ブラックインクを搭載する。写真印刷時は基本の4色だけでの印刷となるため、6色印刷のEP-813A/EP-713Aと比べると一歩劣る事になる。また、印刷解像度は4800×1200dpiとやや低く、最小インクドロップサイズも非公開ながら2pl程度と言われているため、粒状感の面でもやや劣ることとなる。DCP-J987Nは4色インクでブラック、シアン、マゼンダ、イエローとなる。PIXUS TS7430/PIXUS TS6330と似ているように思えるが、こちらはブラックが顔料インク、カラー3色が染料インクとなり、染料インクのブラックが搭載されない。そのため写真印刷はカラー3色で行うことになり、ブラックインクが使えない。黒色はカラー3色を重ねて表現するが、完全な黒にはならず濃い茶色や濃いグレーにしかならない。全体にコントラストが低く感じられる他、影部分の表現など、暗い色の中の表現力で劣る。最小インクドロップサイズは1.5plで、印刷解像度も1200×6000dpiとPIXUS TS7430/PIXUS TS6330を上回るが、ブラックインクが使えないという影響が大きく、5機種中最も画質が劣る。EP-813A/EP-713Aは非常に綺麗で、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330でも十分綺麗に印刷できるが、DCP-J987Nはあまり写真印刷向けとは言えない。またこれは年賀状の通信面の印刷画質にも共通するため、年賀状を綺麗に印刷したいなら、EP-813A/EP-713Aか、せめてPIXUS TS7430/PIXUS TS6330の方が良いだろう。 一方、文書の印刷画質では傾向が大きく異なる。写真印刷に向いている染料インクは、普通紙に印刷すると用紙上でインクが広がり、文字や線などが太くなる他、小さな文字や中抜き文字が潰れてしまうことがある。発色も弱くなり、水に濡れると滲んでしまうというデメリットがある。その点、顔料インクなら普通紙にもメリハリのある印刷が行える他、耐水性も高い。EP-813A/EP-713Aは全色染料インクであるため、普通紙印刷の画質は並だ。それに対して、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330とDCP-J987Nは顔料ブラックを搭載しているため、ブラックインクを使用する部分に限ってだが、普通紙に高画質印刷が行える。黒と言っても、完全な黒ではないグレーの部分には染料のカラーインクを混ぜて作る場合があるし、背景色があるなどカラーの中に混ざっている場合も染料ブラックや染料カラーが使われる場合もあるなど、必ずしも顔料インクの恩恵を受けられるわけではないが、コピーや文書印刷では全体的に引き締まった印象となるのは確かだ。一方、EP-813A/EP-713Aも、細線強調機能や文字くっきり機能を搭載し、普通紙では苦手な写真も色鮮やかになるようドライバーレベルで文書印刷画質を高めているため、染料インクとしては高画質で、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330やDCP-J987Nとの差は縮まっているが、やはりこれら3機種の方が高画質だ。ちなみにPIXUS TS7430/PIXUS TS6330とDCP-J987Nの比較では大きな差は無い。基本的には顔料ブラックと染料カラー3色を使うためで、DCP-J987Nの方が最小インクドロップサイズが小さい(と予想される)だけやや画質が勝るが、一部、染料ブラックを使う箇所ではPIXUS TS7430/PIXUS TS6330の方が有利であるためだ。 最小インクドロップサイズは非常に小さいが、EP-813A/EP-713AはAdvanced-MSDTという5つのインクサイズのインクを打ち分ける機能を搭載しており、必要に応じて大きなインクサイズを打ち分ける事で高速化と高画質化を両立しており、一方PIXUS TS7430/PIXUS TS6330もノズル数を多くすることで高速化を図っているため、L判写真フチなし印刷速度はEP-813Aが13秒、EP-713Aが17秒、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330が18秒と、上位モデルと同等となっている。DCP-J987Nはノズル数などは非公開ながら、L版フチなしが14秒と、同等クラスとなっている。一方、普通紙への印刷速度はEP-813A/EP-713Aでは公表されていないため比較することはできないが、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330はカラーが10ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロが15ipmとなっており、こちらも上位モデルと同等だ。DCP-J987Nはカラーが10ipm、モノクロが12ipmと、カラーは同等、モノクロはやや劣るが十分高速だ。3機種とも家庭用プリンターとしては非常に高速な部類に入る。 使用するインクはEP-813A/EP-713Aは「つよインク200」である。アルバム保存300年、耐光性50年、耐オゾン性10年となる。一方、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330は「ChromaLife100」でありアルバム保存100年、DCP-J987Nは名称はないがアルバム保存100年、耐光性50年を実現している。5機種とも十分なレベルの耐保存性を持ったインクであるが、EP-813A/EP-713Aはアルバム保存の年数が最も長く、耐オゾン性なども明言されており、一歩上回る印象だ。一方PIXUS TS7430/PIXUS TS6330は耐光性の表記も無く、飾った場合などの色あせが気になるところだ。ちなみに、5機種とも各色独立インクとなっており、なくなった色だけ交換できる。 印刷する上で、印刷コストも気になるはずだ。EP-813A/EP-713AはL判写真1枚32.5円、PIXUS TS7430が19.0円、PIXUS TS6330が19.1円、DCP-J987Nが20.5円と大きな差がある。EP-813A/EP-713Aは上位モデルと異なり割安な大容量インクがないだけで無く、標準容量と比べても割高となっており、EP-883Aと比べて印刷コストは10円近く上がっている。一方、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330は上位モデルと同じ大容量・標準容量・小容量の3種類の容量が用意される事に加え、上位モデルと比べてインクが1色減っていることもあって印刷コストはやや下がっている。DCP-J987Nもインクカートリッジが安価なこともあって印刷コストや低めだ。結果的に、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330とDCP-J987Nは近いのに対して、EP-813Aだけ12円以上の差となっている。ちなみに、写真の印刷コストには、写真用紙代が含まれているが、これは各社の純正用紙の価格となっている。EP-813A/EP-713AとPIXUS TS7430/PIXUS TS6330は約4.7円、DCP-J987Nは約4.2円となっている。インク代を除くと、EP-813A/EP-713AはL判写真1枚27.8円、PIXUS TS7430が14.3円、PIXUS TS6330が14.4円、DCP-J987Nが16.3円となる。A4カラー文書の印刷速度もEP-813A/EP-713Aの18.8円に対してPIXUS TS7430/PIXUS TS6330が10.5円、DCP-J987Nが9.4円と開きがある。印刷枚数が多い場合はPIXUS TS7430/PIXUS TS6330やDCP-J987Nの方がコストを気にせず使えるだろう。ちなみに、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330の大容量に関しては5色セットはなく、印刷コストも標準容量と変わらない事から、一般的には標準と小容量を使うこととなる。L判写真は標準は19.0円だが、小容量で26.1円であり、これでもEP-813A/EP-713Aよりはかなり安い。 |
型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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対応用紙サイズ | L判〜A4 | L判〜A4 | 名刺〜A4 | 名刺〜A4 | L判〜A4 | ||
給紙方向 (セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙)) |
○手差し (1枚/1枚/1枚) (0.6mm厚紙対応) |
− | ○ (100枚/40枚/20枚) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
○手差し (1枚/1枚/1枚) (0.52mm厚紙対応) |
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前面 | 【カセット下段】 (100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 2L/B6以下 (−/20枚/20枚) |
【カセット】 (100枚/40枚/20枚) |
【カセット】 普通紙のみ (100枚/−/−) |
【カセット】 普通紙のみ (100枚/−/−) |
【カセット下段】A4〜A6/ハガキ (100枚/40枚/20枚) 【カセット上段】 L判/ハガキ/ポストカードのみ (−/20枚/20枚) 手動切り替え |
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その他 | − | − | − | − | − | ||
排紙トレイ自動伸縮 | − | − | ○ | − | − | ||
用紙種類・サイズ登録 | ○(カセット収納連動) | ○(カセット収納連動) | ○(給紙口カバー(背面)連動) | ○(カセット収納(前面)・給紙口カバー(背面)連動) | ○(カセット収納連動・下段のみ) | ||
用紙幅チェック機能 | ○(印刷時) | ○(印刷時) | ○(セット時・用紙サイズ表示) | − | − |
続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。給紙に関しては、EP-813AとDCP-J987Nが似ており、EP-713Aは大きく劣り、PIXUS TS7430は方向性が異なっている。EP-813AとDCP-J987Nは前面給紙を基本としており、大小2段のカセットとなっている。上段にL判やハガキサイズなどの小さな用紙を、下段にはA4やB5といった大きな用紙をセットするようになっている。完全に本体に収納可能なので、用紙をセットしたままにしてもホコリがかかるなどの心配がないのはメリットだ。下段にA4普通紙が100枚、上段に写真用紙やハガキなら20枚までセット可能だ。また、前面給紙・前面排紙と言うことで気になるのが、厚紙やラベル用紙、封筒などの2重になった紙への対応である。前面給紙カセットでも問題ない事になっているが、前面から給紙して前面から排紙するため、内部で180度曲げられてしまうのは少し心配だ。そこで、簡易的ながら背面給紙も行える。用紙をセットしておけるような大型のものではなく、1枚ずつの「手差し」という形となるが、いざという時に役に立つ。EP-813Aは上面の最も奥、DCP-J987Nは背面にある小さなカバーを開けて、用紙を支える小さな「用紙サポート」又は「用紙サポーター」を引き出せるだけだ。前面給紙では上手く給紙出来ない用紙の場合だけで無く、前面給紙カセットにセットした用紙と異なる用紙を数枚だけ印刷したい場合に、わざわざ入れ替える手間無く印刷することが出来る。また、通常の給紙カセットや背面給紙では0.3mm厚の用紙までの対応だが、背面手差し給紙では、EP-813Aは倍の0.6mm厚、DCP-J987Nも0.52mm厚まで対応しており、通常より厚い紙でも印刷できる。ちなみに、写真店に依頼した場合のような写真貼り合わせの年賀状の宛名面印刷はEP-813Aのみ正式対応している。非常に似ている両者だが、異なる点もある。まず前面給紙カセットの上下段の切り替えだが、EP-813Aは自動切り替えだ。使用する用紙やサイズによって自動的に切り替えられる。印刷設定から使用するトレイを指定することも出来る。自動切り替えであるため、ハガキや写真用紙などを上下段とも入れて連続で使用することも出来る。下段はハガキなら40枚、写真用紙なら20枚なので、上下段合わせてハガキなら60枚、写真用紙なら40枚まで、入れ替え無しで印刷が可能なのは便利だろう。一方、DCP-J987Nの切り替えは、手動だ。上段のトレイを奥にスライドさせると上段から、手前にしておくと下段から給紙される。目視で確認するしか無いため、間違えてしまうと、異なった用紙に印刷をしてしまうのは不便だ。また、EP-813Aと同じく下段にもハガキや写真用紙をセット可能で、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までとなるが、上下段の切り替えは手動なので、上下段を連続で使用する事はできず、ハガキなら最大40枚となる。また、下段は写真用紙の場合、EP-813AはL判にも対応するが、DCP-J987Nは対応せずハガキ/2L判以上となる(KGサイズには元々非対応)。逆に上段はEP-813Aは2L判もセットできるが、DCP-J987Nはハガキ/L判、ポストカードサイズのみとなる。このようにDCP-J987Nの方が制限が多く、EP-813Aの方が細かな点で使いやすいだろう。背面の手差し給紙も、上面奥側にあるEP-813では用紙がセットしやすい他、背面にスペースが無くても用紙を手で支えれば使用可能だが、DCP-J987Nでは背面をのぞき込む必要があり、トレイを開くスペースも必要となるなど、こちらも使い勝手に差があるといえる。 EP-713Aは非常にシンプルで、前面給紙カセットが1段のみだ。背面手差し給紙などもない。EP-813Aの下段カセットのみというイメージだ。そのため1種類の用紙しか同時にはセットできず、異なる用紙を使う場合は入れ替えが必要になる点で不便だ。ただ、前面給紙カセットは本体に完全収納出来る点は同等で、用紙をセットしたままでもホコリが積もらない。普通紙は100枚、ハガキは40枚、写真用紙は20枚までセットできる。 PIXUS TS7430/PIXUS TS6330は前面給紙カセット+背面給紙となっている。EP-813AやDCP-J987Nと似ているようだが、こちらは前面が1段で、代わりに背面は手差しでは無く一般的な背面給紙となっている。前面にA4普通紙、背面にL判写真用紙という風に入れておけばEP-813AやDCP-J987Nと同じような使い方となる。注意点としては、前面給紙カセットは普通紙のみという事だ。そのため、ハガキや写真用紙、ファイン紙など普通紙以外の用紙は全て背面給紙を利用することとなる。一方で背面給紙は普通紙もセット可能で100枚まで、前面給紙カセットも100枚なので、合計200枚までセットできるのはメリットだ。もちろん連続で使用する事ができる。写真用紙やハガキは背面給紙のみで、ハガキは40枚、写真用紙は20枚となる。背面給紙は用紙のセット時に左右のガイドを合わせるだけで良く、セットしやすい。一方でデメリットもあり、用紙をセットするために上方に空間が必要なほか、トレイが後方に傾くため、本体の後方にある程度のスペースが必要になってしまう。また、用紙をセットしたままだとホコリをかぶってしまい、その用紙が給紙されると故障の原因になる場合があるため、使わないときは取り除くのが理想だ。普通紙以外の用紙も常にセットしておくという使い方の場合は他の3機種より不便と言える。なお、背面給紙からの給紙の場合でも用紙厚は0.3mmまでで、EP-813AやDCP-J987Nのような厚紙には対応しない。逆にPIXUS TS7430/PIXUS TS6330はL判より小さな名刺サイズの用紙に対応する。 以上から、A4普通紙とL判写真用紙やハガキのように大小2種類の用紙を常時セットしておきたいなら、2段給紙になっているEP-813AかDCP-J987Nが便利だ。一方常時セットしておくのは普通紙のみで、それ以外にハガキや写真用紙、ファイン紙や、他のサイズの普通紙など様々な用紙を使いたいのなら、入れ替えがしやすい背面給紙のPIXUS TS7430/PIXUS TS6330が便利だ。EP-713Aは不便に感じるが、1種類の用紙しか使わない事が多いなら問題ないし、それが普通紙以外なら逆にPIXUS TS7430/PIXUS TS6330では前面給紙カセットにセットできないのでEP-713Aの方が便利だ。使う用紙と使い方によって便利な機種は異なるといえる。 5機種とも用紙の種類とサイズを登録しておく機能が搭載されている。液晶ディスプレイでメニューから登録も可能だが、前面給紙の場合はカセットを挿し込む(PIXUS TS7430を除く)、又はPIXUS TS7430/PIXUS TS6330は背面給紙の場合、給紙口カバーを閉じると、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。この登録内容と、印刷時の用紙設定が異なっている場合、メッセージが表示される仕組みだ。さらにEP-813A/EP-713AとPIXUS TS7430は用紙幅をチェックするセンサーも搭載されている。しかし、エプソンとキャノンで使い方が異なる。EP-813A/EP-713Aは印刷時に用紙幅をチェックし、用紙サイズが小さい場合に、用紙外にインクを打ってしまいプリンター内部が汚れるのを防ぐ機能である。一方、PIXUS TS7430は用紙セット時に用紙幅をチェックし、用紙の登録に活用する。前面給紙カセットの場合は、普通紙のみであるため、用紙種類は普通紙で確定でき、センサーによって横幅から用紙サイズが推定できるので、用紙の登録画面自体が表示されず、センサーで認識した用紙サイズを自動登録することで手間を省いている(PIXUS TS7430の用紙登録画面の自動表示の説明で、前面給紙の場合はPIXUS TS7430を除いたのはこのため)。背面給紙の場合は、予測されるサイズが表示されるが、用紙の種類は認識できない事や、サイズも様々な用紙では横幅が似ている用紙の場合もあるため、登録画面が表示される。このように、用紙のセット一つでも、様々な便利機能が搭載されている。一方、DCP-J987Nで登録できるのは下段のみで、上段の用紙は登録できない。また前述のように上下段の切り替えは認識しないので、印刷設定と下段として登録した用紙が一致していれば、上段給紙になっていても、エラーとはならない点は不便だ。 一方、排紙トレイで便利なのが、PIXUS TS7430の搭載する自動伸縮機能だ。印刷が実行されると自動的に排紙トレイが伸張する。後述の自動電源オン機能と組み合わせると非常に便利だ。逆に電源を切るときは自動的に排紙トレイが収納される。 |
型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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自動両面印刷 | ○(ファイン紙対応) | − | ○(普通紙のみ) | ○(普通紙のみ) | ○ | ||
自動両面 印刷速度 |
A4カラー文書 | N/A | − | N/A | N/A | 3.0ipm | |
A4モノクロ文書 | N/A | − | N/A | N/A | 3.0ipm | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 | ○ | ○ | − | − | ○ | ||
写真補正機能 | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(オートフォトファイン!EX) | ○(自動写真補正) | ○(自動写真補正) | − | ||
特定インク切れ時印刷 | ○(黒だけでモード・5日間のみ) | ○(黒だけでモード・5日間のみ) | − | − | ○(クロだけ印刷・最大30日) | ||
自動電源オン/オフ | ○/○ | −/○ | ○/○ | ○/○ | −/○ (USB接続・単体使用時のみ) |
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廃インクタンク交換 | − | − | − | − | − | ||
フチなし吸収材エラー時の対応機能 | ○(フチあり印刷継続可) | ○(フチあり印刷継続可) | − | − | − |
その他、プリントの付加機能を見てみよう。自動両面印刷機能はEP-713Aを除く4機種が搭載している。ただし、4機種で機能が異なる。EP-813Aが最も高性能で、普通紙だけでなくハガキやにも対応する。年賀状で通信面と宛名面を用紙の差し替え無しで印刷できる。それに加えて、ファイン紙の自動両面印刷にも対応している。普通紙では両面印刷時に裏移りが気になるほか、画質もそれほど良くない。ファイン紙なら、各社から両面印刷に対応した物が発売されており、裏移りが軽減されているほか、印刷品質も良くなるため、綺麗な両面印刷を行う場合はこちらが便利だが、他の3機種の場合は自動両面印刷が行えなくなる。EP-813Aはファイン紙設定でも自動両面印刷が行えるため、高画質に両面印刷を考えている人には便利だ。続いて高性能なのはDCP-J987Nで普通紙とハガキに対応している。PIXUS TS7430/PIXUS TS6330は普通紙のみの対応でハガキには非対応だ。ハガキの両面印刷を希望する人はEP-813AかDCP-J987Nを選ぶ必要がある。 EP-813A/EP-713AとDCP-J987NはCD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能も搭載する。レーベル印刷のトレイを使わない時は、EP-813A/EP-713Aは前面給紙カセットの下、DCP-J987Nはスキャナの原稿押さえのすき間に収納できるようになっている。ただしDCP-J987Nはレーベル印刷時は背面にトレイが一端飛び出るため、10cm以上のスペースが必要となる。写真の自動補正機能はEP-813A/EP-713AとPIXUS TS7430/PIXUS TS6330が搭載しており、EP-813A/EP-713Aは「オートフォトファイン!EX」、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330は「自動写真補正」と名称は違うものの、逆光や色かぶりをした写真でも、顔やシーンを認識して高いレベルで自動補正が行われる。EP-813A/EP-713Aはパソコンからの印刷時だけでなく、後述のダイレクト印刷時にも利用できる。 自動電源オン機能はEP-813AとPIXUS TS7430/PIXUS TS6330が搭載している。自動電源オンは、印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。無線LAN(Wi-Fi)接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。ただし、3機種とも排紙トレイが引き出された状態でないと印刷は実行されない。EP-813AとPIXUS TS6330では、排紙トレイを収納していると電源が入った状態で印刷が止まっている事になる。排紙トレイを出したままにしておけば自動的に印刷が行われるが、いささか不便だ。この点はPIXUS TS7430は排紙トレイが自動で伸張されるので、完全に印刷まで自動化されている。離れた場所からのプリントがメインならPIXUS TS7430は便利だろう。指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる「自動電源オフ」は5機種とも搭載しているため、電源オンのままにしてしまう事も無い。特にEP-813AとPIXUS TS7430/PIXUS TS6330は自動電源オン機能があるので、自動で電源が切れても、印刷時に自動で電源がオンになるため、入れっぱなしにする必要が無いといえる。一方、DCP-J987Nの自動電源オフ機能は、USB接続または単体使用時のみ利用でき、無線LANや有線LAN接続時は使用できない点は注意が必要だ。 EP-813A/EP-713Aの便利な機能が、フチなし吸収材エラー時の印刷継続機能だ。インクジェットプリンターのインクの吸収材は2種類あり、1つはクリーニングの際などに排出されるインクを貯める廃インクタンク(メンテナンスボックス)だが、こちらは上位モデルと異なり、満タンになると印刷が完全に止まってしまい修理対応となる。この点は5機種とも同じだ。もう一つは、フチなし吸収材だ。フチなし印刷は、用紙サイズピッタリに印刷すると用紙の微妙なズレによってフチができてしまう事から、少し大きめにプリントして、はみ出した部分はフチなし吸収材に吸収させる方法となっている。このフチなし吸収材が満タンになると、PIXUS TS7430/PIXUS TS6330やDCP-J987Nはプリントが完全に止まってしまうが、EP-813A/EP-713Aはフチあり印刷に関しては継続ができるようになっている。急ぎのプリントを行っておいて、余裕のあるときに修理に出せるため便利な機能だ。 |
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型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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最大スキャンサイズ | A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
A4 (215.9×297mm) |
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読み取り解像度 | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) ADF使用時は1200×600dpi |
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センサータイプ | CIS | CIS | CIS | CIS | CIS | ||
ADF | 原稿セット可能枚数 | − | − | − | − | 20枚 | |
原稿サイズ | − | − | − | − | 148×148〜215.9×355.6mm | ||
両面読み取り | − | − | − | − | − | ||
読み取り速度 | カラー | − | − | − | − | N/A | |
モノクロ | − | − | − | − | N/A | ||
原稿取り忘れアラーム | ○ | − | ○ | ○ | − | ||
スキャンデーターのメモリーカード保存 | ○(JPEG/PDF) | ○(JPEG/PDF) | − | − | ○(JPEG/PDF/TIFF) |
続いて、スキャナー部を見てみよう。解像度は5機種とも1200dpiで同等だ。上位モデルより解像度が下がっているが、反射原稿(紙などの原稿)にしか対応しないため、1200dpiでも十分すぎる解像度と言える。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを1200dpiで取り込むと約4,200×6,000ドットとなり2500万画素相当となる点から見ても、十分だと言えるだろう。いずれもCIS方式で、厚い本の綴じ目近くなど、ガラス面から浮いてしまう原稿ではピントが合わなくなってしまう点は注意が必要だ。 DCP-J987Nだけの機能としてADFを搭載していることが挙げられる。複数の原稿を連続でスキャンできる機能である。20枚までで片面のみのスキャンと最低限の機能だが、スキャンやコピーの際に重宝するだろう。また、ADFを使用した場合、長さ355.6mmまでスキャンが出来るので、A4用紙より少し長い原稿もスキャンできる。ただし、ADF使用時の読み取り解像度は1200×600dpiとなる。CISセンサーは1200dpiの機能を持っているので、A4の短辺方向には1200dpiでスキャンできるが、ADFではセンサーは固定され原稿の方が移動する形となるため、そちらの精度が600dpiまでしか対応していないという事になる。こちらも問題にはならないだろう。 逆にEP-813AとPIXUS TS7430/PIXUS TS6330が搭載しているのは原稿取り忘れアラームだ。コピーやスキャン後に原稿を取り忘れることはよくあるが、その場合に音とメッセージで警告してくれる。また、EP-813A/EP-713AとDCP-J987Nはスキャンした原稿をパソコンを使わずにメモリーカードに保存する機能を搭載しているためパソコン無しで簡単にスキャンができる。 |
型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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ダイレクトプリント | メモリーカード | SD | SD | − | − | SD | |
USBメモリー | ○ (メモリーカードリーダー/外付けHDD/外付けDVDドライブ対応) |
− | − | − | ○ | ||
赤外線通信 | − | − | − | − | − | ||
対応ファイル形式 | JPEG | JPEG | − | − | JPEG | ||
色補正機能 | トリミング フチあり/フチなし 赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
トリミング フチあり/フチなし 赤目補正 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) シャープネス調整(5段階) 鮮やかさ調整(5段階) フィルター(モノクロ/セピア) |
− | − | フチあり/フチなし 明るさ調整(5段階) コントラスト調整(5段階) |
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手書き合成 | ○ | ○ | − | − | − | ||
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ | ○/○ | −/− | −/− | −/− | −/− | ||
PictBridge対応 | ○(USB/Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | − | ||
各種デザイン用紙印刷 | 塗り絵印刷 フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード) デザインペーパー 証明写真印刷 シール印刷 フォトブック印刷 写真コラージュ ディスクレーベル印刷 CDジャケット印刷 |
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜) ディスクレーベル印刷 |
− | 定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳) 組み込みパターンペーパー |
− |
ダイレクト印刷を見てみよう。これはEP-813A/EP-713AとDCP-J987Nが対応している。対応メモリーカードはSDカードのみとシンプルだが、最近のデジタルカメラやスマートフォンは一部の一眼レフなどを除きSDカードかその小型版のmicroSDになっており、問題はないだろう。EP-713AはこのSDカードの未対応となる。一方、DCP-J987NはSDカードに加えて、USBポートを搭載しているためUSBメモリーにも対応する。さらにEP-813Aは同じくUSBポートを搭載するが、USBメモリーだけで無く、外付けハードディスクや、外付けDVDドライブなども接続可能だ。また、USBポートにパソコン用のメモリカードリーダーを接続すればSDカード以外のメモリカードにも対応できるなど、対応は幅広い。EP-813AはSDカードからUSBメモリーや外付けハードディスクへのバックアップ機能も搭載しており、パソコン無しでデジカメの写真の印刷からバックアップ、そしてバックアップした写真の印刷までが行える訳である。 写真印刷時の機能にも違いがある。3機種で共通しているのは、フチあり、フチなしの選択と、明るさ調整、コントラスト調整である。EP-813AとEP-713Aはそれに加えて、一部を拡大して印刷するトリミング機能や、赤目補正、シャープネス調整、鮮やかさ調整、さらいモノクロとセピアのフィルターも搭載される。EP-813AとEP-713Aは前述の自動写真補正機能「オートフォトファイン!EX」も使用できるため、自動でかなり高精度に補正されるが、さらに好みの色合いに調整することが可能だ。また、EP-813A/EP-713Aは手書き文字や絵と写真を合成して印刷できる「手書き合成シート」にも対応している。手書き文字やイラストと写真を組み合わせた写真や年賀状などが作成できる。このようにダイレクト印刷機能は3機種が対応しているが、画質面でだけでなく、各種機能面でもEP-813AとEP-713Aは使いやすくなっている。 ちなみに、デジタルカメラからの操作で写真印刷を行うPictBridgeはDCP-J987Nを除く4機種が対応しているが、EP-813AはUSB接続とWi-Fi接続の両方式のPictBridgeに対応しているのに対して、USBポートを省略したEP-713A、PIXUS TS7430、PIXUS TS6330ではWi-Fi接続のPictBridgeにしか対応しない点は注意が必要だ。 その他、プリンター単体で様々なプリントが行える機能を搭載した機種もある。EP-813Aは写真を塗り絵風の輪郭だけにして印刷する「塗り絵印刷」機能や、罫線、マス目、便箋、スケジュール帳、五線譜、メッセージカードなどが印刷できる「フォーム印刷」機能、ラッピングやブックカバーなどに使える全面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー印刷」、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」機能、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、写真を1〜数枚並べたフォトブックを印刷する機能を搭載する。背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」も行えるほか、写真を1枚又は複数枚並べて、「ディスクのレーベル面」と「CDジャケット」を印刷する事も可能だ。EP-713Aも「フォーム印刷」と「ディスクレーベル印刷」機能を搭載するが、フォーム印刷はメッセージカードなど一部非対応だ。PIXUS TS6330もレポート用紙、原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳が印刷できる「定型フォーム印刷」機能と、カラフルなパターンを印刷してスクラップブックの台紙やブックカバーなどに使える「組み込みパターンペーパー」も印刷できる。一方、PIXUS TS7430やDCP-J987Nにはこういったプリンター単体で印刷する機能も一切搭載していない。単体でのプリント機能はEP-713AとPIXUS TS6330が機能的に近く、EP-813Aは圧倒的に高性能と言えるだろう。 |
型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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スマートフォン連携 | アプリ | メーカー専用 | EPSON iPrint EPSON Smart Panel |
EPSON iPrint EPSON Smart Panel |
Canon PRINT Inkjet/SELPHY | Canon PRINT Inkjet/SELPHY | Brother iPrint&Scan |
AirPrint | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
対応端末 | iOS 10.0以降 Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) |
iOS 10.0以降 Android 5.0以降 (EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降) |
iOS 12.0以降 Android 4.4以降 |
iOS 12.0以降 Android 4.4以降 |
iOS 11.0以降 Android 4.03以降 |
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スマートスピーカー対応 | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント) | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | − | ||
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 | ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) | ○(QR(iOS)/Bluetooth(Android)) | ○(Bluetooth(Android)) | ○(NFC(Android)) | ||
写真プリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ドキュメントプリント | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
Webページプリント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
スキャン | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ||
クラウド連携 | プリント | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | ○/− | ○/○ | ○/○ |
オンラインストレージ | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) | ||
SNS | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | − | ||
写真共有サイト | − | − | ○(googleフォト/image.canon) | ○(googleフォト/image.canon) | − | ||
スキャン | アプリ経由/本体 | ○/○ | ○/− | ○/− | ○/○ | ○/○ | |
スキャンしてオンラインストレージにアップロード | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) (OneDriveはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive) (OneDriveはアプリからのみ) |
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) | ||
メールしてプリント | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) | − | − | ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文) | ||
LINEからプリント | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | − | ||
リモートプリント | ○(リモートプリントドライバー) | ○(リモートプリントドライバー) | ○(ファイルアップロード・Windows 10・IEのみ) | ○(ファイルアップロード・Windows 10・IEのみ) | − | ||
スキャンしてリモートプリント | ○ | ○(受信のみ) | − | − | − |
スマートフォンとの連携機能も5機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリント又はスキャンが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。さらにドキュメント印刷にも対応している。PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。また、5機種ともスマートフォン上からスキャンを実行し、データーをJPEG又はPDF形式で受け取ることもできる。新聞や雑誌、手書きの情報などをスマートフォンに電子化するといった使い方ができるため便利だろう。なお、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キヤノンはダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いが、5機種とも手軽に接続出来る工夫がなされている。ただし、その機能には大きな差がある。iOSの接続支援に対応しているのは、EP-813A、EP-713A、PIXUS TS7430である。いずれも、本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了するという方式だ。セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無いため非常に簡単だ。PIXUS TS6330とDCP-J987Nでは従来方式の、セキュリティーキーを入力して手動で接続する事に鳴る。一方、Androidの場合は5機種とも接続支援機能を搭載する。EP-813AとEP-713Aはアプリ上で接続するプリンターを選ぶと、プリンター本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で、iOS同様に非常に簡単だ。PIXUS TS7430とPIXUS TS6330はBluetoothを利用するが、Bluetoothで直接印刷データーを送信するのではなく、接続自体はWi-Fiだが、あらかじめBluetoothでペアリングしておけば、Wi-Fiダイレクトの設定が簡単に行えるというものだ。ただし、EP-813A/EP-713Aと比べると事前にペアリング設定が必要で、Bluetoothの接続設定とWi-Fiの接続設定の2段階となり使い勝手は劣るためか、本体とスマホ用アプリ上の両方で設定メニューはかなり奥にあり、メーカー側でも積極的に機能を薦めているわけではないようだ。DCP-J987NはNFCを利用する。NFCに対応したスマートフォンを液晶左にあるNFCロゴの上にタッチすれば自動的に接続されるため、こちらも非常に簡単だ。ただし、スマートフォンがNFCに対応している必要があるなど、対応機種がやや限定される。この点で見ると、iOSはEP-813A、EP-713A、PIXUS TS7430が便利、Androidは機種が限定されず手軽なEP-813AとEP-713Aが便利だろう。 さらに、EP-813AとEP-713Aにはスマホからプリンターの初期設定を簡単に行える機能も搭載する。アプリ上で「新規セットアップ」を選択し、初期設定を行っていないEP-813A/EP-713Aの電源をオンにすると、EP-813A/EP-713Aが一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用してEP-813A/EP-713Aに自動接続される。そして、設置からインクの取り付け方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にEP-813A/EP-713Aをスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。ユーザーが行わなければならないインクの取り付けなどの手順が非常に分かりやすいほか、自動的にネットワークの設定まで行われるので、初期設定のハードルは非常に低いと言える。 DCP-J987Nを除く4機種はスマートスピーカーに対応している。AlexaとGoogleアシスタント対応端末に対応しており、声だけでテンプレートを印刷させることができる。PIXUS TS7430/PIXUS TS6330はLINE Clova対応端末にも対応している。EP-813A/EP-713Aは、デザインペーパー、フォトプロップス、カレンダー、ノート、方眼紙、五線譜などのエプソン独自のものと、Alexaに登録された買い物リスト、やることリストなどの印刷に対応する。PIXUS TS7430/PIXUS TS6330はナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などキャノン独自のもの印刷と、プリンターの状態の確認が行える。 クラウドとの連携機能は5機種とも搭載している。プリントの場合、各種オンラインストレージにアクセスしてファイルを印刷する事ができる。またEP-813A/EP-713AとPIXUS TS7430/PIXUS TS6330はSNSの写真を印刷する事ができ、その際コメント付きでも印刷が可能だ。またPIXUS TS7430/PIXUS TS6330は写真共有サイトからの印刷も可能だ。ここで大きな違いは、EP-813A、EP-713A、PIXUS TS7430はスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、PIXUS TS6330とDCP-J987Nはスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、本体だけで手軽にアクセスできる方法と、操作性が良いアプリ上で行う方法が選べるという点では便利だ。 一方、スキャンの場合、スキャンしてオンラインストレージへアップロードできる。ここでもアプリ上のみか、プリンター本体でも行えるかという違いがあるが、プリントと異なりEP-813A、PIXUS TS6330、DCP-J987Nが両対応、EP-713AとPIXUS TS7430はスマートフォン上でのみ対応する。アプリをわざわざ立ち上げなくても、サッとスキャンしてアップロードできるため、スキャンした内容をクラウドにアップするのがメインの使い方なら、前者の3機種の方が便利だ。 さらにネットワークを利用したプリント機能も各種搭載している。まず、印刷したい写真や文書を添付したメールをプリンターのメールアドレスに送信すると自動で印刷できる機能はEP-813A/EP-713A(メールプリント)とDCP-J987N(Eメールプリント)が対応している。各種画像ファイル、PDF、オフィス文書ファイルとメール本文のプリントに対応している。一方、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真や文書を送信すると印刷される機能はEP-813A/EP-713A(LINEアプリからのプリント)とPIXUS TS7430/PIXUS TS6330(PIXUSトークプリント)が対応している。こちらも、画像ファイル、PDF、オフィス文書に対応している。さらにパソコンからのリモートプリントにはEP-813A/EP-713A(リモートプリントドライバー)とPIXUS TS7430/PIXUS TS6330(PIXUSでリモートプリント)が対応している。しかしこの4機種では機能に大きな違いがある。EP-813A/EP-713Aの「リモートプリントドライバー」は、通常のプリント操作と同じ手順で、ただプリンターの選択画面でリモートプリントの方を選ぶだけだ。プリントできるソフトであれば形式を問わないし、ソフト上からプリント操作が行えるため便利だ。それに対してPIXUS TS7430/PIXUS TS6330の「PIXUSでリモートプリント」は一度保存したファイルを、ブラウザ上からアップロードする形となる。Windows 10でInternet Explorerからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPintに限定される。どちらかと言えば、LINEからプリントする「PIXUSトークプリント」を、LINE上で送るのでは無く、ブラウザ上から送る形にしただけと言える。普通のプリント操作のままで、ファイル形式も問わないEP-813A/EP-713Aの方が圧倒的に使いやすいだろう。さらにEP-813Aだけの機能として、スキャンして離れた場所の対応複合機で印刷したり、その逆が行える「メールdeリモート印刷」にも対応する。プリンターの操作だけで紙原稿を相手に送ることが出来、簡易FAXのような使い方が可能だ。EP-713Aも「メールdeリモート印刷」に対応するが、受信だけで、送信は出来ない。これを見ると、リモートプリント機能に関しては、EP-813A/EP-713Aが圧倒的に機能が豊富だといえる。 |
型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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等倍コピー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
拡大縮小 | 倍率指定 | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | |
オートフィット | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
定型変倍 | ○ | ○ | − | ○ | ○ | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー | ○ | ○ | − | − | − | ||
写真焼き増し風コピー | ○(退色復元対応) | ○(退色復元対応) | − | ○(色あせ補正対応) | − | ||
割り付け(2面/4面) | ○/− | ○/− | ○/− | ○/○ | ○/○ | ||
その他のコピー機能 | プレビュー 濃度調整 背景除去機能 |
濃度調整 背景除去機能 |
濃度調整 | プレビュー 濃度調整 |
濃度調整 地色除去コピー 裏写り除去コピー インク節約モードコピー |
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バラエティコピー | 見開きコピー IDコピー ミラーコピー 塗り絵コピー リピートコピー |
見開きコピー ミラーコピー |
− | 枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
2in1IDカードコピー ブックコピー 透かしコピー ソートコピー ポスターコピー(3×3/2×2/1×2) |
コピー機能を見てみよう。単純なコピー機能としては、5機種とも等倍コピーだけでなく、原稿サイズを自動で認識し用紙サイズに合わせて拡大縮小する「オートフィット」機能、さらに25〜400%の間で1%刻みで拡大縮小コピーが行える機能を搭載した高性能な物を搭載している。PIXUS TS7430を除く4機種は原稿と印刷する用紙サイズの組み合わせを指定して拡大縮小コピーが行う「定型変倍」機能も搭載している。またEP-813A/EP-713AはCD/DVD/Blu-rayレーベルコピーにも対応する。さらに、EP-813A/EP-713AとPIXUS TS6330は原稿面に写真を複数枚置き、焼き増し風のコピーを行うことも出来、昔の色あせした写真も自動で補正してくれる「退色復元」又は「色あせ補正」機能も備えている。 5機種とも2枚の原稿を1枚に縮小してコピーする2面割り付けにも対応する。PIXUS TS6330とDCP-J987Nは4枚の原稿を1枚に並べる4面割り付けも行える。コピー時には5機種とも濃度調整が行える他、EP-813A、EP-713A、DCP-J987Nは背景色を消すことで見やすくし、インクも節約できる「背景除去機能」又は「地色除去コピー」も行える。また、EP-813AとPIXUS TS6330は、コピー前にプレビューを行うことで、原稿のセットミスの確認が行える他、プレビューを元に拡大縮小を調整できる。一方、DCP-J987Nは、裏面が透けて写るのを除去する「裏写り除去コピー」、インクを節約できる「インク節約モードコピー」に対応する。「インク節約モード」は全体に色を薄くするのでは無く、文書の文字はそのまま残しつつ、見出しなどの大きな文字や、グラフ、色囲みなどは、輪郭だけを残して内側の色を薄くすることで、見やすさを落とさずにインク使用量を減らすことができる。 その他、バラエティーコピー機能も様々だ。免許証などの裏表をそれぞれスキャンして1枚の用紙に並べて印刷する「IDコピー」又は「2in1IDカードコピー」機能はPIXUS TS7430を除く4機種が搭載している。本のとじ目部分や周囲に出来る影を消す「枠消しコピー」又は「ブックコピー」機能は、PIXUS TS6330とDCP-J987Nが搭載する。その他、EP-813AはA4又はB5の見開きの本を左右ページで別々にスキャンして、1枚に2面割付コピーする「見開きコピー」、、アイロンプリント紙への印刷時に使える「ミラーコピー」、メモリーカードからのダイレクト印刷時と同じく輪郭だけの塗り絵風に変換してコピーする「塗り絵印刷」が行える他、同じ内容を2面、4面、または用紙サイズに合わせて自動的に割り付ける「リピートコピー」機能を搭載する。「見開きコピー」は通常の2面割付と同じ機能のようだが、本の場合は右ページと左ページをスキャンする際で向きが逆になってしまうが、片方を180度回転させて同じ向きにして並べられる。「リピートコピー」は手書きメモやネームシールなどをコピーするのに便利だ。EP-713Aは、「見開きコピー」と「ミラーコピー」のみ対応する。PIXUS TS6330は、コピー実行中でも次の原稿の読み取り操作ができる「コピー予約」機能に対応する。DCP-J987Nは、コピー文書に透かし文字を入れられる「透かしコピー」、ADFを使用して、複数部のコピーを行う場合に1部ずつプリントする「ソートコピー」、さらに1枚の原稿を、2枚、4枚、9枚に分割し、貼り付ける事で大判コピーが行える「ポスターコピー」機能を搭載する。「透かしコピー」は「重要」「COPY」「社外秘」といった5種類から選べ、位置やサイズ、回転角度や透過度、文字の色も指定できる。このように、機能は異なるが、様々な便利なコピーが行える様になっている。ただし、PIXUS TS7430はこういった機能は一切搭載していない点でかなり見劣りする。 |
型番 | EP-813A | EP-713A | PIXUS TS7430 | PIXUS TS6330 | DCP-J987N | ||
製品画像 | ![]() |
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液晶ディスプレイ | 2.7型 (90度角度調整可) |
1.44型 | 1.44型 モノクロ有機EL |
3.0型 (90度角度調整可) |
2.7型 (角度調整可) |
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操作パネル | 静電式ボタン式 (90度角度調整可) |
物理ボタン | 物理ボタン | タッチパネル液晶+物理ボタン (90度角度調整可) |
タッチパネル液晶+物理ボタン (度角度調整可) |
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インターフェイス | USB他 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | |
無線LAN | IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
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有線LAN | − | − | − | − | 100BASE-TX | ||
対応OS | Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用) |
Windows 10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.11.6〜(AirPrint利用) |
Windows 10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.13.6〜 |
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外形寸法(横×奥×高) | 390×339×141mm | 390×338×163mm | 376×359×141mm | 372×315×139mm (前面給紙カセット伸張時372×360×139mm) |
400×341×172mm レーベル印刷時は後方に10cm以上のスペースが必要 |
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重量 | 6.8kg | 5.9kg | 6.3kg | 6.2kg | 8.6kg | ||
本体カラー | ホワイト | ホワイト | ブラック/ホワイト/ネイビー | ブラック/ホワイト | ホワイト |
操作パネルと液晶ディスプレイは5機種とも本体前面に取り付けられているが、使い勝手は大きく異なる。まず、EP-813A、PIXUS TS6330、DCP-J987Nは本体前面に垂直に取り付けられているが、起こすことで操作パネルごとEP-813AとPIXUS TS6330は90度(水平)まで、DCP-J987Nも40〜50度まで角度調整が可能なので、見やすい・操作しやすい角度に調節が出来る。高い所においても低いところにおいても操作しやすい。一方、EP-713Aは前面から上面にかけて大きく面取りされた部分に搭載され、PIXUS TS7430は前面が斜めに傾いておりその部分に搭載される。斜めに取り付けられているため、どの方向からでも操作はできるが、角度調整が出来る前の3機種と比べると操作性は劣る。特にEP-713Aはちょうど45度程度傾いているが、PIXUS TS7430は大きくは傾いていないため、低いところに置いた場合は操作しにくそうだ。 液晶サイズや操作ボタンにも大きな違いがある。一番使いやすいのはPIXUS TS6330だ。3.0型と比較的大きなカラー液晶で、タッチパネル式となっているため、液晶に表示されるボタンを直接タッチして操作できる。上位モデルよりは液晶が小さいため、液晶左に「ホーム」と「戻る」ボタン、液晶右に、「カラースタート」「モノクロスタート」「ストップ」という、頻繁に使うボタンだけは、物理ボタンで搭載している。続いてDCP-J987Nも使いやすい。液晶はわずかに小さい2.7型だが、同じくタッチパネルとなっており、操作性は良好だ。液晶右に、「戻る」「ホーム」「取り消し」の各物理ボタンも用意している。操作性ではPIXUS TS6330に似ているが、液晶の視野角や輝度などが低く、やや見にくい点では劣る。EP-813Aも2.7型カラー液晶という点では同じで、こちらの方が液晶の視野角や輝度は高いため、視認性ではDCP-J987Nより優れている。ただしタッチパネルとなっておらず、ボタン操作となる点で劣る。とはいえ、ボタン配置は、液晶左に「ホーム」と、操作状況によって様々な機能が割り当てられる「切り替えボタン」、液晶右には4方向カーソルと、その中心に「OK」、上に「+」「−」、左下に「戻る」、さらに「スタート」と「ストップ」ボタンとなっており、主要なキーが一通り備えられ、直感的に操作しやすいように配置されており操作性は悪くない。タッチセンサー式のボタンとすることで、見た目もスッキリさせている。EP-713Aは液晶が1.44型カラーとかなり小さくなる。液晶自体は明るいが、表示される内容はかなり小さく、視認性は大きく劣る。操作パネルはEP-813Aよりシンプルになり、液晶左に「ホーム」、液晶右に4方向カーソルと、その中心に「OK」、さらに「スタート」と「ストップ」ボタンとなる。基本的なキーは揃っているが、「+」や「−」や「切り替えボタン」が無く、4方向カーソルや「OK」で代替されるため若干分かりにくくなる。またEP-713Aとは異なり物理ボタンとなっている。最も操作性が劣るのはPIXUS TS7430だ。液晶サイズは1.44型とEP-713Aと同サイズだが、モノクロ液晶となっている。有機ELなので、黒背景に白文字で、表示自体はクッキリしているが、やはりモノクロ表示では視認性は良くない。その上に、液晶と操作パネルを右端に寄せて縦に配置しておりボタン数が限られる。画面左に「QR」と「ワイヤレスコネクト」ボタン、画面下に、上下カーソルと「戻る」「OK」「スタート」「ストップ」ボタンが並ぶ。上下カーソルしかないため、メニューの階層が深くなってしまい、操作が煩雑となる他、少ないボタン数での操作なので直感的には操作しにくい。同じ液晶サイズのEP-713Aと比べても操作性は大きく劣る。本体でコピー操作などをよく行うなら、PIXUS TS6330かDCP-J987N、最低でもEP-813Aが良く、なんとかEP-713Aも使えなくはないが、PIXUS TS7430は本体での操作はあまりオススメできないといえる。 インターフェースは5機種ともUSB2.0に加えて、無線LAN(Wi-Fi)接続にも対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、無線LAN(Wi-Fi)ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないはずだ。その場合、プリンターを無線LANルーターに接続しておけば、家庭内のどのパソコンでもプリント可能となり非常に便利だろう。またスマートフォンやタブレットからの印刷も可能となる。またWi-Fiダイレクト(キヤノンはダイレクト接続という名称)に対応しているため、無線LANルーターの無い環境でも、スマートフォンやタブレットと直接Wi-Fi接続が可能となっている点も共通の便利な点だ。これに加えて、DCP-J987Nは有線LAN接続にも対応する。環境や距離の面で無線LANでは不安定だったり、壁にLANのコネクターがある場合、接続設定などなく簡単に接続したい場合など、有線LAN接続も選べるのは便利だろう。 対応OSはメーカーによる差が大きい。エプソンのEP-813A/EP-713AはWindows XP SP3以降は全て対応する。MacOSもダウンロード対応とはなるが10.6.8以降に対応する。マイクロソフトのサポートの終了したWindows XPやVistaにも対応するのは安心だ。一方、キャノンのPIXUS TS7430/PIXUS TS6330とブラザーのDCP-J987NはWindows 7 SP1/8.1/10のみの対応だ。Windows XPやVistaだけでなく、Windows 8も非対応である点は注意が必要だ。MacOSもPIXUS TS7430は10.12.6以降、PIXUS TS6330は10.11.6以降、DCP-J987Nは10.13.6以降と比較的新しいバージョンのみ対応する。さらにPIXUS TS7430/PIXUS TS6330はMacOSの場合、ドライバーはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となっているため、インク残量確認や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsで利用する場合に比べて不便になっている。 本体サイズを見てみよう。EP-813Aが390×339×141mmでこれを基準に見ていこう。EP-713Aが390×338×163mmで幅と奥行きはほぼ同等なので設置面積は変わらない。液晶が斜めに固定されているためか、高さだけが22mm大きいが、大きな差ではないだろう。PIXUS TS7430が376×359×141mmで、横幅は14mm小さいが、奥行きは20mm大きくなる。また普通紙以外を利用する場合は背面給紙となり、後方と上方にスペースが必要だ。PIXUS TS6330は372×315×139mmと幅は18mm、奥行きは27mm小さく、最もコンパクトに見える。しかし、前面給紙カセットにA4又はB5用紙をセットする場合は、カセットを伸張する必要があり、その場合カセットは35mm飛び出すため奥行きは360mmとなる。設置面積ではPIXUS TS7430と変わらない。また同じく背面給紙を使用する際は後方と上方にスペースが必要だ。DCP-J987Nが400×341×172mmで、横幅が10mm大きいが奥行きはほぼ同じだ。高さはADFの分だけ高くなっているとはいえ、設置面積で大きな差は無いといえるだろう。ただし、ディスクレーベル印刷を行う場合は後方に10cmのスペースが必要だ。これを見ると、5機種ともサイズに大きな違いは無いことが分かる。最近の機種だけあって、どの機種もコンパクトで、置き場所にそれほど困ることは無さそうだ。ただしPIXUS TS7430/PIXUS TS6330の背面給紙を使用する場合と、DCP-J987Nでレーベル印刷を行う場合は注意が必要で、その点ではEP-813AとEP-713Aが、どのような使い方でもコンパクトと言えるかもしれない。 ちなみに本体のカラーバリエーションはEP-813A、EP-713A、DCP-J987Nはホワイトのみだが、PIXUS TS7430はホワイトとブラック、ネイビーの3色を、PIXUS TS6330はブラックとホワイトを用意している。 これら5機種の中で、価格が5,000円以上高いEP-813Aはさすがに高性能だ。写真印刷は綺麗で高速、前面2段給紙も便利でスペースを取らず、自動両面印刷やレーベル印刷機能もしっかり搭載している。ダイレクト印刷もSDカード以外にUSBメモリーや外付けHDDにも対応し、色補正機能も優秀だ。スキャン、コピー、クラウド関連の機能も問題なく、スマホとの接続設定も非常に簡単だ。操作パネルもタッチパネルではないとはいえ大型液晶で角度調整が可能、本体もコンパクトだ。オールマイティーに使える機種を希望するなら、この価格差を出してでもオススメできるといえる。ただし、印刷コストが高いのが唯一の弱点と言えるため、印刷枚数が多いなら、もしくは本体価格は安い方が良いというなら、他の4機種から選ぶ事になる。 まず、写真印刷や年賀状印刷を綺麗にしたいならEP-713Aがオススメだ。上位モデルと同等の6色インクで印刷も高速、写真の耐保存性も優秀だ。前面給紙カセット1段のみだが、写真用紙やハガキも前面からセットできるため、常時セットしておくには向いている。SDカードからの写真印刷も行え、色補正機能も豊富、リモートプリント機能も他機種より優れている。逆に文書印刷の機能では劣る部分が多く、顔料ブラックを搭載しない点は、そこまで画質差が無いとはいえ、自動両面印刷を唯一搭載していない点や、液晶が小さくコピー操作がしにくい点などは問題となる人もいるだろう。また印刷コストが高いため、印刷枚数が多い場合には向かない。 では文書印刷がメインという場合なら、PIXUS TS6330かDCP-J987Nがオススメだ。いずれも顔料ブラックを搭載し、文書印刷も比較的高速、自動両面印刷機能も搭載する。クラウドに本体だけでアクセスが可能な他、大型のタッチパネル液晶で、コピー操作なども行いやすい。ただ、こに2機種にはそれぞれ得手不得手があるため、それが決め手となるだろう。まず、写真や年賀状印刷もある程度すると言うのならPIXUS TS6330がオススメだ。染料ブラックを含む4色プリントができるPIXUS TS6330は十分綺麗に印刷でき、カラー3色だけのDCP-J987Nとは大きなの差がある。また、普通紙を常時セットしておき、それ以外の用紙を入れ替えて使うならPIXUS TS6330が、普通紙とハガキの様に2種類の用紙を常時セットしておく、又は普通紙以外を常時セットしておくならDCP-J987Nがオススメだ。その他、ハガキの両面印刷や、レーベル印刷、ADF、SDカードからのダイレクトプリント、有線LANなどが必要ならDCP-J987Nがオススメだ。 残るPIXUS TS7430だが、この機種はオススメしづらい。PIXUS TS6330より3,300円高い上位モデル扱いだが、画質や印刷速度、給紙機構や自動両面印刷などの機能は同じだ。PIXUS TS7430が優れているのは、前面給紙カセットにセットした用紙の自動判別機能と、排紙トレイが自動伸縮する事くらいだ。代わりに、液晶が小さくモノクロ表示なので操作性が大きく劣るだけでなく、小さな液晶では設定しにくいためか各機能が簡略化されており、定型フォーム印刷機能などが無く、本体でのクラウドアクセスもできず、コピー機能も他機種より見劣りしてしまう。他の部屋からプリントする事が多く、排紙トレイの自動伸張がよほど便利というので無ければPIXUS TS6330の方がよほど魅力的だ。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 エプソンhttp://www.epson.co.jp/ キャノンhttp://canon.jp/
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