プリンター徹底比較
2021年春時点のプリンター
〜エプソン・キャノン・ブラザーのプリンターを比較〜
(2021年9月13日公開)

プリンター比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンター比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。


A3カラー単機能プリンター(6万円以上)
 
 A3単機能機の中で、6万円以上の高価格帯の4機種である。エプソンのSC-PX1VSC-PX7VII、キャノンのimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1がこれにあたる。それぞれ98,978円、65,978円、87,780円、76,780円となる。SC-PX1VSC-PX7VIIは「プロセレクション」シリーズに属する製品で、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は型番にPROが入っているように、写真のプロ、又はハイアマチュア向けの製品だ。価格にもある程度の差があるが、4機種にどういった違いがあるのか細かく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
メーカー エプソン エプソン キャノン キャノン
型番 SC-PX1V SC-PX7VII imagePROGRAF PRO-G1 PIXUS PRO-S1
製品画像
実売価格(メーカーWeb/税込) 98,978円 65,978円 87,780円 76,780円
インク 色数 10色(同時使用9色) 9色(同時使用8色) 10色(同時使用9色) 8色
インク構成 フォトブラック
マットブラック
グレー
ライトグレー
シアン
ライトシアン
ビビッドマゼンタ
ビビッドライトマゼンダ
イエロー
ディープブルー
(フォトブラックとマットブラックは用紙による使い分け)
フォトブラック
マットブラック
シアン
マゼンダ
イエロー
ブルー
レッド
オレンジ
グロスオプティマイザ
(マットブラックとブルーは同時使用不可・差し替えによる切り替え)
マットブラック
フォトブラック
グレー
シアン
フォトシアン
マゼンダ
フォトマゼンダ
イエロー
レッド
クロマオプティマイザー
(マットブラックとフォトブラックは用紙による使い分け)
ブラック
グレー
ライトグレー
シアン
フォトシアン
マゼンダ
フォトマゼンダ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立 各色独立 各色独立 各色独立
顔料/染料系 顔料
(UltraChrome K3X)
顔料
(つよインク200X)
顔料
(LUCIA PRO)
染料
(ChromaLife100+)
インク型番 97番 88番 G1番 66番
ノズル数 1800ノズル 1440ノズル 7680ノズル 6144ノズル
全色:各180ノズル 全色:各180ノズル 全色:各768ノズル 全色:各768ノズル
最小インクドロップサイズ 1.5pl(MSDT) 1.5pl(MSDT) N/A(4pl?) N/A(4pl?)
最大解像度 5760×1440dpi 5760×1440dpi 4800×2400dpi 4800×2400dpi
高画質化機能 論理的色変換システム「LCCS」
ブラック・エンハンス・オーバーコート
斜行エラー検出機能
論理的色変換システム「LCCS」 OIG System
L-COA PRO
動的色間補正
斜行補正機構
サイドガイド・スライド機構
ノズルリカバリーシステム
OIG System
L-COA PRO
動的色間補正
斜行補正機構
サイドガイド・スライド機構
印刷速度 L判写真(フチなし・メーカー公称) 44秒 36秒 65秒(写真用紙・光沢 ゴールド)
95秒(写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード])
30秒(写真用紙・光沢 ゴールド)
30秒(写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード])
A3ノビ写真(フチあり・メーカー公称) 3分17秒 2分30秒 2分50秒(写真用紙・光沢 ゴールド)
4分15秒(フチあり/写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード])
1分25秒(写真用紙・光沢 ゴールド)
1分30秒(フチあり/写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード])
A4普通紙カラー(ISO基準) N/A N/A N/A N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準) N/A N/A N/A N/A
印刷コスト
(税込)
L判写真(フチなし) 20.8円 23.9円 28.3円(写真用紙・光沢 ゴールド)
42.0円(写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード])
24.5円(写真用紙・光沢 ゴールド)
36.0円(写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード])
A3写真(フチあり) N/A N/A 454.7円(写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]) 401.3円(写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード])
A4カラー文書 N/A N/A N/A N/A
A4モノクロ文書 N/A N/A N/A N/A
インク1本の印刷枚数
(L判写真)
黒系(マットブラック除く) 1,520ページ 723ページ 370ページ 1,120ページ
カラー 2,900ページ 570ページ 950ページ 550ページ
インク1本の価格
(税込)
各2,508円 各1,446円
(クロマオプティマイザーは702円)
各1,650円 各1,540円

 まずはインクを見てみよう。PIXUS PRO-S1以外の3機種は全色顔料インク、PIXUS PRO-S1は全色染料インクを採用しているのがまず大きな違いだ。また、同じ顔料インクでも、SC-PX1Vは「UltraChrome K3X」、SC-PX7IIは「つよインク200X」、imagePROGRAF PRO-G1は「LUCIA PRO」インクを採用しており、それぞれ工夫を凝らしたインクとなっている。
 4機種中3機種が顔料インクを採用するのには理由がある。顔料インクは色の安定性が高く、また色の定着が早いため、印刷後にしばらくしてから色味が変わるということがない点で細かな色調整をして写真作品を作り上げるのに向いているインクであるためだ。また、インクが用紙表面に留まるため、特に黒の表現に優れており、重厚感のある印刷が可能だ。同じ理由で、光沢感のある用紙に印刷しても光沢感が薄くなるのも特徴で、これを「用紙本来の光沢感が出ない」と考えるか、「落ち着いた雰囲気に仕上がる」と感じるかによって大きく異なる。ただ、長期間飾る事や写真展に出展する事を前提とした「写真作品印刷」という面で見ると、一般的にはマット系の用紙か微光沢、半光沢用紙が好まれ、アート紙の様にコットンベースの用紙も多用される。これらの用紙では、顔料インク専用のものや、顔料インクの方が高画質になる用紙もあるため、写真作品印刷なら顔料インクの方が良いと言える。また、耐水性も高いのもメリットだ。一方、普段の用途に使う場合は、例えばスナップ写真をL判に印刷するというような場合は、用紙本来の光沢感が出ないのは気になる点だ。また、光沢紙に印刷した時の発色もやや劣る。また、光沢した年賀ハガキをはじめとする光沢紙、フィルム紙、アイロンプリント紙などには染料インク専用の用紙もあるため、使い勝手は劣ると言える。SC-PX1V、SC-PX7II、imagePROGRAF PRO-G1は、写真作品印刷に特化した機種と言えるだろう。
 SC-PX1Vは「UltraChrome K3Xインク」と呼ばれるインクを採用している。インクは10色搭載で9色同時使用とする事により色の表現力を高めている。まず、黒系インクを4種類搭載し、用紙によってフォトブラックまたはマットブラックを自動で使い分けており、加えてグレー、ライトグレーの3色を使用するため、モノクロ印刷の表現力が高いのはいうまでもなく、カラー印刷でも表現できる領域が広がっている。これらの黒系インクに加えて、シアン、ライトシアン、ビビッドマゼンタ、ビビッドライトマゼンタ、イエロー、ディープブルーという構成となっており、マゼンダ系が高濃度のビビッドマゼンダになっているのも色域の拡大に一役買っている。さらに、シアンとビビッドマゼンダそれぞれにライトインクを搭載することにより、色の薄い部分でも粒状感を感じさせにくくなっている。一方ディープブルーインクにより青の色域を大幅に拡大しており、再現の難しかったブルー・バイオレット系の色を鮮やかに表現できる。フォトブラックインクは写真用紙などの光沢した用紙への印刷時に、マットブラックインクはマット紙やアート紙、普通紙などの光沢していない用紙への印刷に使われ、用紙設定によって自動的に使い分けがなされるため、特に意識する必要は無いのは簡単だ。プリントヘッドも独立しており、切り替え動作によってインクを消費してしまう事も無い。最小インクドロップサイズは1.5plと、家庭用複合機の最上位モデルと同等になっているため、遠くからみる大判プリントだけでなく、小さな用紙への写真印刷や年賀状印刷などでも粒状感を感じさせない印刷が可能だ。また、3種類のインクサイズを打ち分けるMSDTに対応しており、べた塗り部分には大きなインクで対応するため、ムラが出にくいという特徴もある。
 SC-PX7VIIは、「つよインク200X」を採用する。ビジネスプリンターや複合機の低価格機種で採用されていた「つよインク200X」と名称は同じながら異なるインクである。以前、A4単機能機の上位モデルが顔料インクの「PX-G」、中位モデルが染料インクの「PM-G」、下位モデルが顔料インクの「PX-V」という名称で呼ばれていた時代があったが、その頃の「PX-G」インクの流れをくむ製品だ。「光沢顔料」と呼ばれており、顔料インクながら、光沢写真の印刷が可能というものだ。顔料を高密度化透明樹脂でコーティングする事で光沢感を出す一方、インクの少ない所にはグロスオプティマイザと呼ばれる高密度化透明樹脂だけを打つことでプリント表面を均一にし、その結果光の乱反射が抑えられるため美しい光沢感が出るというインクである。顔料インクの特徴を持ちつつ、光沢写真の印刷も可能にしているわけである。インクは9色搭載の8色同時使用である。フォトブラックとマットブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、ブルー、レッド、オレンジ、そして透明のグロスオプティマイザの構成となっており、このうちマットブラックとブルーは差し替えによる使い分けとなる。マットブラックインクを取り付けた場合は、より深い黒を表現できるため、特にマット系の用紙を使用時に高濃度の発色が得られるというメリットがある。一方、ブルーインクの場合、光沢系用紙でより深い青色の表現が可能になる。その他、基本の4色以外に、レッドとオレンジインクを搭載しているのが特徴で、レッドインクはくすみがちになる赤系の色を鮮やかに、オレンジインクはイエローからオレンジ周辺の再現力を高めると共に、人肌などもより綺麗に表現できるという。また、イエローはただのイエローではなくややグリーン寄りのものを、マゼンダもややブルー寄りのものを、シアンはやや明るめとなっており、搭載するインクの色は出来るだけ色再現性が高まるよう細かく調整されている。一方で、SC-PX1Vとは異なりグレー系のインクを搭載していないため、モノクロの表現力では大きく劣ってしまう。カラー印刷重視のインク構成と言えるだろう。最小インクドロップサイズは1.5plと非常に小さくMSDTにも対応するため、近くで見る場合も粒状感を感じにくく、大判印刷でもムラが出にくいのはSX-PX1Vと同等だ。ちなみに、フォトマット紙やアート紙などのマット系の用紙を使用する際はマットブラックインクが必須となる。ハガキや封筒への印刷時も必須だ。ブルーインクをセットしている場合、それらの用紙を設定することすらできない。ファイン紙や普通紙印刷時はブルーインクをセットしていても印刷は出来るが、フォトブラックインクを使用するため黒濃度が薄くなると書かれている。そのため写真用紙などの光沢紙に印刷する場合で、ブルー系の表現力を少しでも高めたい場合のみブルーインクを取り付ける事になる。ここで問題は、マットブラックとブルーインクの切り替えが、物理的なカートリッジの交換となっていることだ。通常のインク交換と同じ手順でインクを交換し、その後プリンタードライバーのインク情報を更新する手間もかかるほか、取り外した方のインクの保管にも気を遣う。また、プリントヘッドも共通であるため、プリントヘッド部に残った交換前のインクを全て排出する必要があるため、交換後のインクがある程度の量が消費されてしまう。頻繁に交換するとそれだけで大半を使ってしまうことにもなりかねない。そのためか、光沢系用紙をマット系用紙の両方を使用する場合はマットブラックインクをセットして使用することが推奨されている。同時にセットでき、プリントヘッドもそれぞれ搭載するSC-PX1Vと比べると、切り替えには手間とコストがかかってしまうといえる。
 imagePROGRAF PRO-G1は顔料系の「LUCIA PROインク」を採用する。インク色数は10色で、マットブラックとフォトブラックは用紙による自動使い分けとなっており、同時使用は9色となる。SC-PX1Vとこの点では似ているといえる。それ以外の色は、グレー、シアン、フォトシアン、マゼンダ、フォトマゼンダ、イエロー、レッド、クロマオプティマイザーとなっている。フォトシアンとフォトマゼンダは、SC-PX1Vのライトインクと同じ傾向のインクなので、ライトグレーとディープブルーがなく、レッドとクロマオプティマイザーを搭載している事になる。ちなみに、マットブラックとフォトブラックインクは同時にセットが可能で、それぞれのプリントヘッドを持つため、用紙によって自動的に使い分けられ、意識することがないのは簡単だ。ライトグレーインクが無いため、モノクロの階調表現ではSC-PX1Vより劣る事になるが、マットブラックは「新マットブラック」となっており、より引き締まった黒表現が可能な他、レッド・グリーンの暗部表現も優れている。またレッドインクにより、くすみがちな赤系の色も鮮やかに表現できる。これに加えて透明の「クロマオプティマイザー」インクが特徴で、これはSC-PX7VIIのグロスオプティマイザーに似た用途のインクだ。顔料インクは紙の表面で定着するため、その分わずかながら高さがあり、インクのある箇所と無い箇所で段差ができてしまい、そこに光が当たることで反射光が不均一になってしまう。結果、光沢感にムラができ、色が浮き出ているような違和感を覚えたり、本来とは違う色味が見えてしまう「ブロンズ現象」が発生してしまう。そこでインクを打たない、又は少ない箇所に、透明の「クロマオプティマイザー」を打つことで、インクの段差が軽減され、これらの現象も改善される。最小インクドロップサイズは非公表ながら、海外の同機能のモデルから4plと予想される。SC-PX1Vの2.67倍であり、大判プリントで遠くからみるなら問題ないレベルだし、インクの色数が多い分粒状感は抑えられるが、箇所によっては粒状感を感じる場合もあるだろう。
 ちなみに写真の耐保存性は、SC-PX1Vがアルバム保存200年、耐光性60年、耐オゾン性60年、SC-PX7VIIがアルバム保存200年、耐光性80年、耐オゾン性35年、imagePROGRAF PRO-G1がアルバム保存200年、耐光性60年、耐ガス性60年といずれも高くなっている。
 残るPIXUS PRO-S1は、唯一染料インクの「ChromaLife100+」を採用する。「ChromaLife100+」というインクは、複合機などで6年前まで採用されたものと同じである(5年前からはChromaLife 100にダウングレードしている)。染料インクであるため、耐水性や、短時間での色の定着といった特徴はない。また、染料インクは用紙に染みこんで定着するため、マット紙やアート紙などの写真作品印刷によく使われる用紙では、特に黒濃度などが薄くなるため、重厚感のある色合いという点では劣ってしまう。その一方で、写真用紙や光沢紙に印刷した際の発色は良く、紙本来の光沢感が素直に出るのはメリットだ。写真作品印刷向けの用紙では一部非対応の用紙がある一方、普段の用途という点では、対応用紙が多いため使いやすいと言える。インクの色数も8色となるが、用紙による使い分けはないため、他機種との差は1〜2色だ。構成は、ブラック、グレー、ライトグレーに、シアン、フォトシアン、マゼンダ、フォトマゼンダ、イエローとなる。基本4色と色の薄いフォトインクを加えた一般的な6色インク構成に、グレーとライトグレーを加えた構成となる。グレーとライトグレーによってモノクロ写真の階調表現を高めている。一方、マットブラックインクを搭載しないため、暗部表現では他の3機種には及ばないといえる。とはいえ、カラーに関しては、グレーとライトグレーインクによって粒状感が抑えられる他、インク自体も新インクを採用することで、マゼンダ・レッド・ブルーの色域拡大と、黒濃度の向上によってレッド・ブルーの暗部再現の向上が計られているなど、家庭向けの機種とは一線を画したこだわりが見られる。最小インクドロップサイズは非公表ながら、海外の同機能のモデルから4plと予想される。imagePROGRAF PRO-G1と同等で、SC-PX1Vの2.67倍であり、大判プリントで遠くからみるなら問題ないレベルだし、インクの色数が多い分粒状感は抑えられるが、箇所によっては粒状感を感じる場合もあるだろう。耐保存性の面ではアルバム保存300年、耐光性40年、耐ガス性10年を実現しており、染料インクにしては耐保存性は高いが、特に耐ガス性で大きく劣り、耐光性も3分の2となるため、長期間の展示には向かないといえるだろう。顔料インクの他の3機種に比べて、写真作品印刷という点では劣るが、それ以外の用途には逆に使いやすいといえる。スナップ写真や年賀状印刷も主な用途だが、大判写真を綺麗に印刷したい、もしくは写真作品も印刷してみたいという、少しライトなユーザー向けと言えるだろう。
 これら4機種はインクそのものだけでなく、インクの組み合わせやその量などの制御方式も、一般的なプリンターとは一線を画すものとなっている。SC-PX1VSC-PX7VIIの場合、論理的色変換システム「LCCS」を搭載する。9色又は8色のインクを使用して元のデーターの色を忠実に再現するために、どのインクをどれだけ使うかというインク配分を、階調性、色再現域、粒状性、光源依存性が最適になる様に、論理的に算出してプリントする。それに加えて、SC-PX1Vでは暗部領域でライトグレーインクによってオーバーコートする事で、厚みのある引き締まった黒の表現が行える「ブラック・エンハンス・オーバーコート」機能も搭載する。また、斜行エラー検出機能を搭載しており、用紙が斜めに給紙されてしまった際にエラーメッセージが表示され、用紙とインクが無駄にならないようになっている。
 一方、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1も、無数にあるインクの組み合わせから、適正なインクの組み合わせとインク適の配置を決定する「OIG System」を搭載する。さらにimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1では画像処理エンジン「L-COA PRO」を搭載しており、高画質・高速な画像処理とプリントデーターの作成が行えるようになった。また、プリント中に、キャリッジ位置によって着弾がずれて生じる色ズレをセンサーが検知して補正する「動的色間補正」機能を搭載し、さらにimagePROGRAF PRO-G1はインクの吐出をセンサーでチェックし、目詰まりを検知すると別のノズルで補完する「ノズルリカバリーシステム」も搭載している。給紙機構にもこだわりがあり、両機種とも「斜行補正機構」により斜めに入った用紙をまっすぐに補正し、その後「サイドガイド・スライド機構」により、用紙幅に合わせておく左右のサイドガイドを自動的に少し広げ、用紙側面の抵抗を軽減することで、紙送り精度を向上させる機能まで搭載する。LCCSとOIG Systemは似た機能と言えるが、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1の方が、給紙精度までこだわっており、さらにimagePROGRAF PRO-G1のノズルリカバリーシステムは印刷の失敗を軽減できる点でうれしい機能だ。ただSC-PX1Vのブラック・エンハンス・オーバーコートも他にはない特徴的な機能だ。
 このあたりの機種では印刷スピードは機種を選ぶ上であまり意味をなさないとも言えるが、一応見ておこう。L判写真フチなしはSC-PX1Vが44秒、SC-PX7VIIが36秒、imagePROGRAF PRO-G1が65秒(キャノン写真用紙・光沢・ゴールド使用時/以下「光沢ゴールド」)又は95秒(キャノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]使用時/以下「光沢プロ」)、PIXUS PRO-S1が30秒となる。imagePROGRAF PRO-G1を除く3機種は大きな差は無く、比較的高速と言える。家庭向け複合機では10秒や13秒という機種もある事を考えると遅く感じるが、画質優先の機種としては十分高速だ。一方、imagePROGRAF PRO-G1だけはやや遅いのが気になるところだ。ただ、メインで使用すると思われる大判プリントとなると傾向が異なる。A3フチありプリントではSC-PX1Vが3分17秒、SC-PX7VIIが2分30秒、imagePROGRAF PRO-G1が2分50秒(光沢ゴールド)又は4分15秒(光沢プロ)、PIXUS PRO-S1が1分25秒(光沢ゴールド)又は1分30秒(光沢プロ)となる。今度はPIXUS PRO-S1以外の3機種に大きな差は無く、PIXUS PRO-S1のみ圧倒的に高速だ。A3プリントの場合、特に顔料インクの3機種では気にするほどの差が無いと考えて良いだろう。
 印刷コストは大判プリントが多いだけに気になるところだろう。L判写真フチなしでSC-PX1Vが20.8円、SC-PX7VIIが23.9円、imagePROGRAF PRO-G1が28.3円(光沢ゴールド)又は42.0円(光沢プロ)、PIXUS PRO-S1は24.5円(光沢ゴールド)又は36.0円(光沢プロ)となる。A3フチありはimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1しか公開していないが、それぞれ光沢プロ使用時で、454.7円と401.3円となる。顔料インクの3機種で見ると、SC-PX1Vが最も安く、次いでSC-PX7VIIとなり、imagePROGRAF PRO-G1が最も高い。いずれも写真用紙代約4.7円が含まれているので(光沢プロは約15.5円)、SC-XP1Vが16.1円、imagePROGRAF PRO-G1が23.6円となり、差は47%となる。1枚で数百円のインク代となるA3写真の場合、無視できない差となるだろう。印刷枚数が多い人は注意が必要だ。なお、染料インクのPIXUS PRO-S1imagePROGRAF PRO-G1よりやや安いとはいえ、SX-PX7VIIよりも高い。染料・顔料による印刷コストの差はなさそうだ。
 ちなみに、SX-PX1Vの印刷コストが安い理由は、インクの搭載方法も影響している。インクジェットプリンターの場合、インクカートリッジをヘッド上に搭載して印刷時にインクカートリッジも左右に動く「オンキャリッジ」方式と、固定されたインクカートリッジからチューブでヘッドにつながれており、ヘッド部分だけが左右に動く「オフキャリッジ」方式がある。オンキャリッジ方式は、プリントヘッド上にインクカートリッジが乗るのでスペースが小さく済み、構造も単純だが、動くパーツ上であるためあまり重く(大きく)しずらく、また大きくした分だけ本体サイズも大きくなってしまう。オフキャリッジ式は、別の箇所にインクカートリッジの搭載スペースがいるが、重さやサイズの制限が少ないため、大きなインクカートリッジを搭載しやすくなる。今回の4機種ではSC-PX1Vのみがオフキャリッジ式、その他の3機種がオンキャリッジ式だ。実際、SC-PX1Vでは、インクカートリッジ10本で本体の横幅の半分以上の幅となっており、その大きさがわかる。その結果、L判写真用紙への印刷可能枚数(マットブラックは光沢紙にあまり使わないので除く)を見てみると、SC-PX1Vは黒系インクの平均が約1,520枚、カラー系インクの平均が約2,900枚となっているのに対し、SX-PX7VIIはフォトブラックが723枚、カラー系が約570枚、imagePROGRAF PRO-G1は黒系が約370枚、カラー系が約950枚、PIXUS PRO-S1は黒系が約1,120枚、カラー系が550枚となる。やはりSC-PX1Vの印刷可能枚数の多さがわかるだろう。インクカートリッジの価格は、SC-PX1Vが1本2,508円で10本で25,080円、SC-PX7IIが1本1,446円(グロスオプティマイザは702円)で9本で12,270円、imagePROGRAF PRO-G1が1本1,650円で10本で16,500円、PIXUS PRO-S1が1本1,540円で8本で12,320円となり、SC-PX1Vが2万5千円超えとかなり高いが、価格差以上に印刷できる枚数が多いので、1枚あたりの印刷コストが安くなる。また大判プリントだとインクの消費量もかなり多く、すぐになくなってしまうため、印刷枚数が多いSC-PX1Vは、インク交換の手間という点でも便利だと言える。

プリント(給紙・排紙関連)
型番 SC-PX1V SC-PX7VII imagePROGRAF PRO-G1 PIXUS PRO-S1
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 L判〜A3ノビ L判〜A3ノビ L判〜A3ノビ/半切 L判〜A3ノビ/半切
長尺用紙 長さ18,000mm(18m)まで 長さ15,000mm(15m)まで 長さ990.6mmまで 長さ990.6mmまで
フチなし用紙対応用紙ズ A3ノビ/A3/A4/四切/六切/2L判/KG/L判/ハイビジョン/ハガキ A3ノビ/A3/A4/四切/六切/2L判/KG/L判/ハイビジョン/ハガキ A3ノビ/A3/A4/半切/四切/六切/2L判/KG/L判/ハガキ A3ノビ/A3/A4/半切/四切/六切/2L判/KG/L判/ハガキ
給紙方向 背面連続給紙 ○(A3ノビ対応)
(0.5mm厚紙対応)
○(A3ノビ対応) ○(A3ノビ対応) ○(A3ノビ対応)
セット可能枚数
普通紙(A4) 120枚 120枚 100枚 100枚
普通紙(A3)
50枚 50枚 20枚 20枚
写真用紙(L判)
30枚(クリスピア20枚) 30枚(クリスピア20枚) 20枚 20枚
写真用紙(2L判)
30枚(クリスピア20枚) 30枚(クリスピア20枚) 10枚 10枚
写真用紙(A4/六切)
30枚(クリスピア20枚) 30枚(クリスピア20枚) 10枚 10枚
写真用紙(A3)
10枚 10枚 10枚 10枚
写真用紙(四切)
10枚 10枚 1枚 1枚
写真用紙(A3ノビ/半切)
10枚(A3のみ) 10枚(A3のみ) 1枚 1枚
ハガキ
50枚 50枚 20枚 20枚
前面連続給紙
その他 前面手差し(A3ノビ/1.5mm厚)
ロール紙(A4〜A3ノビ・置くだけセット・未使用時本体収納可)
前面手差し(A3ノビ/1.3mm厚)
ロール紙(A3ノビ)
背面手差し(A3ノビ・半切/0.6mm厚) 背面手差し(A3ノビ・半切/0.6mm厚)
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(用紙セット時) ○(給紙口カバー(背面)連動/用紙セット(手差し)連動) ○(給紙口カバー(背面)連動/用紙セット(手差し)連動)
用紙幅チェック機能 ○(印刷時) ○(印刷時) ○(印刷時) ○(印刷時)

 続いて、給紙・廃止関連の機能を見てみよう。プロ向けの製品だけあって、対応用紙にもそれぞれこだわりがある。最大はA3ノビサイズまで対応し、最小サイズはL判となるのは共通だ。また、それぞれ長尺印刷にも対応している。SC-PX1Vは18,000mm(18m)まで、SC-PX7VIIも15,000mm(15m)まで対応しており、垂れ幕や横断幕、長尺POPなど様々な用途に使用できる。一方、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は共に990.6mmまでで、A3ノビの長さ483mmの倍以上とはいえ、エプソンの2機種と比べると物足りない。一方、キャノンの2機種は半切用紙に対応する。A3ノビ(329x483mm)より幅が広い、半切(356mm×432mm)用紙に対応しているのは大きなメリットだ。半切はA3などとは異なりアスペクト比が5:4の銀塩写真時代の印画紙のサイズであるため、そのサイズにこだわりのある人が少なからずいる他、額などの種類が多いというメリットがある。
 給紙は基本的には背面給紙となっており、A3ノビまで対応する。imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1も背面給紙は半切用紙には対応しない。フチなし印刷が可能な用紙もほぼ同じで、キャノンの2機種は前述の半切用紙に対応する一方、エプソンの2機種はハイビジョン用紙に対応しているくらいの差である。セットできる枚数は、普通紙の場合はA4サイズならSC-PX1VSC-PX7VIIは120枚、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1が100枚と、SC-PX1VSC-PX7VIIの方が給紙枚数が多い。A3サイズとなると差が広がりSC-PX1VSC-PX7VIIは50枚、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は20枚となる。写真用紙の場合も、L判ではSC-PX1VSC-PX7VIIは30枚(写真用紙クリスピアの場合20枚)、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は20枚となる。2LやA4、六切の場合はSC-PX1VSC-PX7VIIが30枚(写真用紙クリスピアの場合20枚)、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1が10枚だ。A3は4機種とも10枚だが、SC-PX1VSC-PX7VIIは四切やA3ノビも10枚なのに対して、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は四切/A3ノビ/半切は1枚ずつとなる。このように給紙枚数には結構な差があり、特に四切やA3ノビサイズを多用するなら、SC-PX1VSC-PX7VIIの方が利便性は高い。さらにSC-PX1Vの背面給紙は0.5mm厚まで対応している。そのためアート紙を背面給紙から利用可能で(1枚ずつ)、後述の手差し給紙を使わなければならない他の3機種と比べると非常に便利だ。
 背面給紙以外の給紙方法をだと、SC-PX1VSC-PX7VIIは前面からの手差し給紙による厚紙印刷にも対応する。SC-PX1Vは1.5mm厚、SC-PX7VIIは1.3mm厚までの厚紙に対応する。前面からの手差しで直線的に給紙が可能であるため、厚紙印刷が可能というわけである。一般的なプリンターに対応する厚紙は0.3mm程度なので4倍以上の厚みにも対応しており、作品を壁に掛ける場合などにも便利だろう。また両機種ともロール紙にも対応する。パノラマ写真などの印刷に非常に便利だ。ロール紙のセット方法に関しては、発売の新しいSC-PX1Vの方が便利だ。SC-PX7VIIでは、ロール紙の左右にロール紙ホルダーをはめ込み、ロール紙ホルダーを本体背面に引っかけるようにして取り付ける必要があるが、SC-PX1Vではロールペーパーユニットの上に置くだけで良くなっている。SC-PX1Vのロールペーパーユニットは使用しない時は本体に収納が可能な点でも優れている。またSC-PX7VIIでは3ノビ幅(329mm)のみ対応だったが、SC-PX1VではA4〜A3ノビ幅(210〜329mm)に対応している。一方cも手差し給紙に対応するが、背面からとなる。背面の給紙トレイの下に手差しトレイがあり。用紙のセットがやや不便なほか、手差しトレイが斜めになっているため、用紙が内部で曲がる必要があり、対応する厚さは0.6mmまでとなっている。一般的なプリンターの倍の厚みの用紙に対応しているとも言えるが、SC-PX1VSC-PX7VIIと比較すると劣るのは残念だ。なお、半切用紙はこの手差し給紙のみの対応となる。
 SC-PX7VIIを除く3機種はセットした用紙種類や用紙サイズを登録できる機能がある。印刷を実行した際に、印刷設定した用紙と、登録した用紙が異なる場合、警告メッセージができる仕組みだ。SC-PX1Vは背面給紙のみで用紙をセットした際に、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1の背面給紙は給紙口カバーを閉じた際に、背面手差し給紙は用紙をセットした際に、自動的に登録画面が表示されるため便利だ(されないようにもできる)。さらに、4機種とも印刷時に用紙幅をチェックするセンサーも搭載する。A3など用紙が大きくなると、1枚の失敗でも用紙やインクの損失が大きいため、こういった機能があれば無駄を減らすことができる。

プリント(付加機能)
型番 SC-PX1V SC-PX7VII imagePROGRAF PRO-G1 PIXUS PRO-S1
製品画像
自動両面印刷
自動両面
印刷速度
A4カラー文書
A4モノクロ文書
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
(ネイル印刷対応)

(ネイル印刷対応)
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX/デフォルトはオフ) ○(オートフォトファイン!EX/デフォルトはオフ) ○(自動写真補正) ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ −/○ −/− ○/○ ○/○
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能
その他の便利機能 機内照明
印刷写真表示
クロマオプティマイザーによる装飾効果機能

 そのほかの機能をみてみると、CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷機能は4機種とも備えている。imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1はネイルプリントにも対応している。一方で自動両面印刷機能は4機種とも非対応だ。また4機種とも写真の自動補正機能を備えている。SC-PX1VSC-PX7VIIは「オートフォトファイン!EX」、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は「自動写真補正」という名称のものだ(ただしSC-PX1VSC-PX7VIIでは色補正を手動で行うユーザーが多いとの判断で初期設定では一部用紙を除いてオフになっている)。顔を自動検出し顔とそれ以外の部分の露光状態を別々に解析して、それぞれに合った明るさに補正してくれるため、高精度で自動補正が行え、プロ用とだけでなく気軽にきれいな写真印刷も可能となっている。その他、EPSONは「Epson Print Layout」、キャノンは「Professional Print & Layout」というソフトを提供しており、単体での起動の他、プラグインとしても起動でき、様々なレイアウトやギャラリーラップといった、よりこだわったプリントが可能になっている点では同等だ。プラグインとして動作するのは、Adobe Photoshop、Adobe Lightroomは両ソフトとも対応しており、「Epson Print Layout」はさらにニコン ViewNX-iと市川ソフトラボラトリー SILKYPIXに、「Professional Print & Layout」はキャノン Digital Photo Professionalに対応している。またICCプロファイルと、用紙設定の組合せを登録できるようになっており、より用紙に適した印刷が行えるのも共通だ。SC-PX1Vはクラウドサーバー上から使用する用紙を選ぶだけで簡単に登録できる「Epson Media Installer」も提供している。
 印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能はimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1のみ対応だ。最近では、無線LANや有線LANでのネットワーク接続ができるようになり、プリンターから離れた場所のパソコンやスマートフォンから印刷を実行することが増えたが、そういった際にわざわざプリンターの電源を入れに行く手間が省ける。一方、指定した時間が経つと自動的に電源がオフになる機能はSC-PX7VIIを除く3機種が搭載している。
 その他の機能として、SC-PX1VimagePROGRAF PRO-G1は便利な機能を搭載している。SC-PX1Vの便利機能1つは機内照明だ。SC-PX1Vの天板の後方部分が大きなのぞき窓になっているのだが、その部分に照明が内蔵されているため、プリンターカバーを閉めたままでも印刷状態を確認できるのである。もう一つは、液晶パネルに印刷写真を表示する機能だ。印刷中に、現在印刷している写真のサムネイルが表示されるので、複数枚の連続印刷時に写真の選択ミスなどに気づきやすい。また、印刷中の表示は「印刷ステータス表示」と「印刷設定表示」に切り替える事も可能だ。「印刷ステータス表示」では、インク残量や用紙種類、用紙サイズの他、印刷中の写真のファイル名や、残り印刷時間なども表示される。「印刷設定表示」では、背景に印刷中の写真が表示され、前面にファイル名、用紙種類とサイズ、カラー・モノクロ、印刷品質、オーバーコートのオン・オフなどドライバーで設定した情報が表示される。機内照明と合わせて、印刷中に様々な確認が行いやすい様に工夫されている。一方imagePROGRAF PRO-G1にはクロマオプティマイザーを利用した装飾効果機能が搭載されている。光沢感を均一にする目的のクロマオプティマイザーを、あえて場所ごとに打ち分けて光沢感に違いを作ることで装飾効果を施せる機能だ。具体的には、撮影者のサインをデーターとして作成、ドライバーから登録し、印刷時に合成印刷設定を行う事で、サインの形に光沢感を変えられ、ウォーターマークのような効果を得ることが出来るという機能だ。こちらはユーザー全員が便利な機能ではないが、特定のユーザーには重宝するはずだ。

ダイレクト印刷
型番 SC-PX1V SC-PX7VII imagePROGRAF PRO-G1 PIXUS PRO-S1
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式
色補正機能
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/− −/− −/−
PictBridge対応 ○(Wi-Fi) ○(Wi-Fi) ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)
組み込みパターンペーパー
定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)
組み込みパターンペーパー

 ダイレクト印刷機能を見てみよう。とはいえ、4機種ともSDカードやUSBメモリーからのダイレクト印刷機能は搭載していない。SC-PX7VII以外の3機種はPictBridgeに対応するが、USB接続とWi-Fi接続の内、Wi-Fi接続のみ対応する。対応するデジタルカメラが限られる上に、写真画質を追求したプリンターでデジタルカメラからの簡易的なプリントを行うかという疑問もあるため、そこまで気にする必要は無いだろう。
 その他の機能として、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1はレポート用紙や原稿用紙、方眼紙、五線譜などを本体操作だけで印刷できる「定型フォーム印刷」機能と、カラフルなパターンを印刷できる「組み込みパターンペーパー」に対応している。「組み込みパターンペーパー」はスクラップブックの台紙やブックカバーなどに利用できる。

スマートフォン/クラウド対応
型番 SC-PX1V SC-PX7VII imagePROGRAF PRO-G1 PIXUS PRO-S1
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 EPSON iPrint
Epson Smart Panel
Epson Print Layout
EPSON iPrint Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末 iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(Epson Smart PanelはiOS 11.0移行・Android 5.0以降/Epson Print LayoutはiOS 13.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 11.0以降
Android 4.4以降
iOS 11.0以降
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応 N/A ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fiダイレクト接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/− ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(ファイルアップロード・PDF/Word/Excel/PowerPoint・Windows 10 IEのみ) ○(ファイルアップロード・PDF/Word/Excel/PowerPoint・Windows 10 IEのみ)
スキャンしてリモートプリント

 スマートフォンやタブレットとの連携機能は4機種とも搭載しており、iOSとAndroid端末に対応している。いずれも、専用のアプリを無料でダウンロードすることでプリントが行える。メインで使用すると思われる写真印刷の場合、用紙サイズや用紙種類、フチ無し設定まで行えるため、スマートフォンで撮影した写真を手軽に印刷できる。また、ドキュメント印刷にも対応しており、PDF/Word/Excel/PowerPointといった主要なファイルに対応している他、Webページの印刷もでき便利だ。アプリは基本的には他の複合機やプリンターと同じものである。キャノンは「Canon PRINT Inkjet/SELPHY」となっており、エプソンは発売の古いSC-PX7VIIは「EPSON iPrint」、発売の新しいSC-PX1Vは「EPSON iPrint」に加えて最新の「Epson Smart Panel」にも対応する。さらにSC-PX1Vはスマートフォンやタブレット向けの「Epson Print Layout」も提供される。プロ向けの専用アプリを用意するのはSC-PX1Vだけだ。画像のレイアウトやカラー設定などがより細かく行える上に、ICCプロファイルを使用したプリントも可能になっている。スマートフォンやタブレットからのプリントを考えているなら、SC-PX1Vがオススメと言える。現在の所iOS(iPadOS含む)にしか対応しておらず、Android版は提供されていない。また、SC-PX7VIIを除く3機種は、iPhoneやiPadの場合、AirPrintを利用したプリントも可能だ。
 スマートフォンとの接続は、無線LAN(Wi-Fi)で行うが、無線LANルーターを経由する方法と、ダイレクトに接続する「Wi-Fiダイレクト」(キャノンの名称はダイレクト接続)が選べる。無線LANルーターを経由する方が、機能面でも制限が無く、印刷する度にプリンターと接続と切断を繰り返すのWi-Fiダイレクトと比べると便利なので、こちらを利用するのがお勧めだが、無線LANルーターが無い環境で使用する場合や、一時的に同じネットワークに入っていない他人にプリンターを使わせる場合にWi-Fiダイレクトは便利だ。Wi-Fiダイレクトの接続設定は手動でもそれほど難しくは無いSC-PX1Vでは、接続支援機能が提供される。iOSの場合、本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、セキュリティーキーなどの入力は一切必要が無い。Androidの場合、アプリ上で接続するプリンターを選ぶと、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了する。こちらもセキュリティーキーの入力が不要で非常に簡単だ。
 クラウドとの連携機能も4機種とも搭載しており、各種オンラインストレージにアクセスして、ファイルを印刷する事が可能だ。ここで大きな違いは、SC-PX1VSC-PX7VIIはスマートフォンのアプリとして搭載しているのに対して、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1はスマートフォン上だけでなくプリンター本体の操作でも印刷ができる点が上げられる。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、本体だけで簡単にアクセスする方法と、使い勝手の良いアプリからアクセスする方法が選べるという点ではimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は便利だ。また、4機種ともSNSの写真をコメント付きで印刷する事ができる。さらに、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は写真共有サイトからの印刷も可能だ。
 ネットワークを利用したプリント機能として、SC-PX7VII以外の3機種が搭載している。印刷したい写真や文書を添付してプリンターのメールアドレスにメールすると自動で印刷できる「メールプリント」機能はSC-PX1Vのみ対応する。一方、LINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真を送信すると印刷される機能は、SC-PX1Vが「LINEからプリント」、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1が「PIXUSトークプリント」として搭載している。また、リモートプリント機能も3機種とも搭載するが、機能面では大きく異なる。SC-PX1Vは「リモートプリントドライバー」となっており、パソコンだけでなくスマートフォンにも対応しており、通常のプリントと同じ操作で、外出先など離れた場所から自宅のこれらの機種で印刷できる。印刷が出来るソフトであれば形式を問わず、ただプリント時のプリンター選択でリモートプリントを選ぶだけだ。それに対してimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1の「PIXUSでリモートプリント」は一度保存したファイルを、ブラウザ上からアップロードする形となる。Windows 10でInternet Explorerからしか利用できず、ファイル形式もPDF/Word/Excel/PowerPintに限定される。どちらかと言えば、「PIXUSトークプリント」を、LINE上で送るのでは無く、ブラウザ上から送る形にしただけと言える。リモートプリントに関しては、普通のプリント操作のままで、ファイル形式も問わないSX-PX1Vの方が圧倒的に使いやすいだろう。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
型番 SC-PX1V SC-PX7VII imagePROGRAF PRO-G1 PIXUS PRO-S1
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型(角度調整可) 3.0型 3.0型
操作パネル タッチパネル液晶 ボタン操作 ボタン操作
インターフェイス USB他 USB3.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11ac/n/a/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
5GHz帯対応
IEEE802.11n/g/b IEEE802.11n/a/g/b
(ダイレクト接続対応)
5GHz帯対応
IEEE802.11n/a/g/b
(ダイレクト接続対応)
5GHz帯対応
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 10/8.1/8/7
MacOS 10.9〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP1
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/7 SP1
MacOS 10.11.6〜
Windows 10/8.1/7 SP1
MacOS 10.11.6〜
外形寸法(横×奥×高) 515×368×185mm 622×324×219mm 639×379×200mm 639×379×200mm
重量 12.6kg 12.3kg 14.1kg 14.4kg
本体カラー ブラック ブラック ブラック ブラック

 プリント単機能機だが、最近では液晶ディスプレイを搭載している機種が増えてきた。この4機種もSC-PX7VII以外の3機種が搭載している。SC-PX1Vは4.3型のタッチパネル液晶を搭載しており、電源ボタン以外は全てタッチパネル操作となる。天面に配置され起こして角度調整が可能なので、見やすい角度に調整できる。前述の印刷写真表示機能などがあるため、遠くからでも見やすいように大型の液晶となっているようだ。タッチパネル操作も良好だ。imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は3.0型の液晶を搭載する。本体の前面から上面にかけて大きく面取りされており、そこに搭載されるため斜めになっており、どの角度からでも見やすいが、角度調整が出来てより大型のSC-PX1Vと比べると見劣りする。またボタン操作となっており、液晶右側に「ホーム」と「戻る」ボタン、その右に4方向カーソルと中央の「OK」ボタンと、非常にシンプルながらわかりやすい。電源ボタンとストップボタンは、本体前面の右端に縦に並んでおり、大きめとなっているためわかりやすくなっている。操作性ではSC-PX1Vが優秀だが、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1も比較的使いやすくなっている。SC-PX7VIIも全くボタンがないわけではなく、前面上部に「電源」「Wi-Fi」「ネットワークステータスシート」「インク」「ロール紙」ボタンが並んでいるが、液晶が無いため可能なのは簡単な操作だけだ。本体だけでインク残量やエラーメッセージの確認ができ、各種設定も行えるSC-PX1VimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1の3機種は便利だと言える。
 インターフェースはいずれもUSBに加えてネットワーク接続に対応する。最近では家に2台以上のパソコンがあり、ルーターで複数のパソコンがインターネットに接続できる状態になっているのも珍しくないため便利だろう。有線LANと無線LANの両方に対応しているため、アクセスポイントとの距離が遠い、または配線が煩わしい場合は無線LAN、安定性や速度をとる場合や、接続設定が面倒、壁にLANのコネクターがあるという場合は有線LANという風に、好きな方を選択できる。無線LANは「Wi-Fiダイレクト」(キャノンはダイレクト接続という名称)にも対応し便利だ。しかし、細かく見ると機能面で違いがある。まずUSBに関しては、SC-PX1V以外の3機種はUSB2.0だが、SC-PX1Vはより高速なUSB3.0となっている。USB2.0でも十分に高速なため大きな差は無いと思われるが、大判印刷の際に高解像度のデーターをプリントするとなると、転送時間が変わってくる可能性がある。また無線LANに関しては、SC-PX7VIIはIEEE802.11n/g/b規格にのみ対応するが、これは2.4GHz帯を使用しており、障害物には強いが電子レンジや電話の子機、無線のマウスやBluetoothなどと干渉しやすい問題がある。その点でimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は5GHz帯のIEEE802.11a/nにも対応しており、電波干渉を避けられる。さらにSC-PX1VはIEEE802.11ac/a/nに対応しており、5GHz帯を利用する事で安定する他、より高速な規格IEEE802.11acを利用できる。Wi-Fi接続を考えている人には、この機能差は重要だ。
 本体サイズは、SC-PX1Vが515×368×185mm、SC-PX7VIIが622×324×219mm、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は639×379×200mmとなる。高さに大きな差は無いが、横幅はSC-PX1Vが圧倒的に小さく、imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1と比べて12.4cmも小さい。SX-PX1VもimagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1も従来機種より小型化しているのがウリだが、SC-PX1Vは小型化率が大きく、差が付いてしまっている。スペースに制限があって諦めていた人には、ようやく買える機種が登場したと言っても良いだろう。imagePROGRAF PRO-G1PIXUS PRO-S1は、小型化したにもかかわらずSC-PX7VIIよりも横幅が大きいが、A3ノビより横幅が27mm大きい半切用紙に対応している事を考えると、微妙に小型であるといえるだろう。ただし、いずれも厚紙対応には注意が必要だ。SC-PX1VSC-PX7VIIは前面からの手差しによる厚紙印刷に対応しているが、厚紙の場合は内部で曲げることが出来ないため、用紙の長さに近い長さが一度後方に飛び出すことになる点は注意が必要だ。前面給紙を行う場合は、これらSC-PX1Vでは後方に330mm以上、SC-PX7VIIでは後方に320mm以上のスペースを確保することがマニュアルに書かれている。また、ロール紙も本体後部に取り付けるため、スペースが必要だ。一方のimagePROGRAF PRO-G1/PRO-100Sの厚紙は前述のように背面からの手差しである。こちらも斜めにではあるが、用紙の長さ分のスペースがないと用紙が挿し込めないためこちらも後方のスペースはかなり必要である。いずれの場合も手差し印刷を使用する場合は注意した方が良さそうだ。



 どの機種から選ぶかということについては非常に難しい。まず、本格的な写真作品印刷を行うなら顔料インクのSC-PX1VSC-PX7VIIimagePROGRAF PRO-G1から選ぶのが良いだろう。画質を重視するならSC-PX1VimagePROGRAF PRO-G1だろう。どちらも10色搭載、同時使用9色で画質は非常に高い。ただ、imagePROGRAF PRO-G1が透明のクロマオプティマイザーを含んでいるため、色を表現するインクは同時使用8色なのに対して、SC-PX1Vは9色だ。最小インクドロップサイズもSC-PX1Vの方が小さく、ブラック・エンハンス・オーバーコートも画質向上に一役買っている。imagePROGRAF PRO-G1の「動的色間補正」「斜行補正機構」「サイドガイド・スライド機構」「ノズルリカバリーシステム」も優れた機能だが、これらは本来の性能を「落とさない」為の機能であり、やはり画質面ではSC-PX1Vの方が上になる可能性は高い。とはいえ、コレは色の表現方法などの違いによる好みも現れると思われるため、必ずしも決め手とならない。SC-PX1Vの良さは、印刷速度がimagePROGRAF PRO-G1より早く、印刷コストは4機種中最も安い事、さらに用紙の給紙枚数の多さだろう。機内照明と印刷写真表示も使いやすく、さらに大型タッチパネル液晶とUSB、無線LANが他機種より高速で、その上圧倒的にコンパクトである事だ。使い勝手の良さでは SC-PX1Vが上回る。また、スマートフォンやタブレットからのプリントを考えているなら、一般的なプリンターより高性能な専用アプリを使えるのもSC-PX1Vだけだ。価格は最も高いがその価値はあるだろう。では、imagePROGRAF PRO-G1の強みは何かというと、クロマオプティマイザーによるインクによる段差の解消だろう。光沢感のムラがなくなりブロンズ現象も軽減されるため、飾ることだけを考えれば、ユーザの意図したとおりの表現が行いやすいといえる。前述の「動的色間補正」や「ノズルリカバリーシステム」など、印刷画質が常に最高を維持できる仕組みも強力で、失敗プリントが少なくなると言える。印刷速度や印刷コスト、本体サイズなどでSC-PX1Vより劣るとは言え、本体価格が1万円安いのであれば、こちらも選択肢として非常に良いと言える。また、使用する用紙で選ぶという方法もある。ロール紙への印刷や約1mを超える長尺印刷を行いたいならSC-PX1Vとなる。一方、A3ノビより幅の大きい半切用紙に印刷したいならimagePROGRAF PRO-G1となる。また厚紙に印刷したいなら、SC-PX1Vは1.5mm厚まで、imagePROGRAF PRO-G1は0.6mm厚までで大きな差がある他、前面から手差しできるSC-PX1Vの方が使いやすいだろう。
 では、他の2機種はどうだろうか。SC-PX7VIIは、プロ向けの顔料インクの機種としては圧倒的に安価なのが魅力だ。それでいて同時使用8色のインクや最小インクドロップサイズ1.5pl、LCCSなど画質面では十分高画質で、印刷速度も速く、印刷コストも悪くない。ロール紙や厚紙印刷にも対応するなど、写真作品印刷向けの機能はしっかり搭載している。。液晶ディスプレイを搭載していなかったり、本体サイズが大きめだったり、無線LANが他機種より劣るなど、価格が安い分劣る所もあるが、安価に顔料インクの機種が欲しいというならベストな選択肢だ。この下にはEP-50Vという機種が1万円安くあるが、6色染料でロール紙にも非対応、厚紙も0.6mm厚までと、やはり写真作品向けとは言いがたい。その点でSC-PX7VIIのお得感は非常に高い。残るPIXUS PRO-S1は唯一の染料インク採用だ。それ以外の機能ではimagePROGRAF PRO-G1とほぼ同等であるため、機能面では問題ないが、プリントの基本機能の項目で書いたとおり、写真作品印刷として本格的に使用する場合、色の安定性や、作品印刷向けの用紙への対応、画質面など様々な問題を抱えることになる。普段はスナップ写真や年賀状などの印刷も行いたいが、もう少し高画質な作品印刷「的」な事をしてみたいという人向けと言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/


SC-PX1V
SC-PX7VII
imagePROGRAF PRO-G1
PIXUS PRO-S1